JP3144396U - 頭付き房 - Google Patents

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隆 土屋
敏雄 森口
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株式会社土屋念珠店
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Abstract

【課題】製造および修繕が容易で、かつ一定品質のものを大量生産できる頭付き房を提供する。
【解決手段】装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房1を、頭部3および房部5および接続具8で構成し、その接続具8が、筒状体9および笠状部分11を備え、頭部3が、笠状部分11を被覆し、装飾すべき対象物からのびる接続用の糸2が、筒状体9における第1の部分9aの外周面に巻きつけられて接合され、房部5の接続端部が、第2の部分9bの外周部に巻きつけられて接合されるように構成する。
【選択図】図1

Description

本考案は、装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房に関するものである。
図4は、従来の頭付き房の製造方法を説明する図である。
図4に示すように、従来法によれば、まず、頭付き房の部品である紙筒20(図4の(a)参照)および房部22(図4の(b)参照)が準備される。房部22は、平行に並べられた多数本の撚り糸23の一方の端が別の糸または紐24によって接続されたすだれ状のものからなっている。
次に、図4(c)に示すように、房部22の接続端部が、紙筒20の一端開口21から一定の距離だけ離れた位置の外周面に巻きつけられて、接着剤等で接着される。
そして、図4(d)に示されるように、紙筒20の房部22から露出する部分の外周面に、糸が巻きつけられて、接着剤等で固められて所定の大きさの丸みを帯びた拡張部25が形成される。
最後に、図4(e)に示すように、拡張部25に、一本の撚り糸で形成された袋状の編物からなるかがり部(頭部)26が被せられて頭が整形され、頭付き房が形成される。
この従来法は、多数の工程からなるので製造に非常に手間がかかり、とりわけ、手作業により紙筒に糸を巻きつけて拡張部を形成するため、拡張部を一定の形状にするのが難しく、よって品質にばらつきが生じやすく、製造に熟練を要するという問題があった。また、頭付き房は伝統工芸品でもあり、一般に長年にわたって愛用され、長期使用により房部等の劣化や破損等が生じた場合に修繕できることが望ましいが、従来法においては、紙筒に接着されている房部または糸の剥離が容易でないため、その修繕が非常に困難であった。
そこで、本考案の課題は、製造が容易で、かつ一定品質のものを大量生産できる頭付き房を提供することにある。
また、本考案の別の課題は、修繕が容易な頭付き房を提供することにある。
上記課題を解決するため、本考案は、装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房であって、1本の撚り糸によって組織された袋状の編物からなる頭部と、平行に並べられた多数本の撚り糸の一方の端が別の糸または紐によって接続されたものからなるすだれ状の房部と、前記頭部および前記房部を接続する接続具と、からなり、前記接続具は、筒状体と、前記筒状体の一端側の外周を取り巻くように設けられ、他端側に向かって末広がりになった笠状部分と、を備え、前記筒状体は、前記笠状部分から外側にのびる第1の部分と、前記笠状部分と重なる第2の部分とからなり、前記頭部は、前記笠状部分を被覆するとともに、前記筒状体の一端開口に対応する領域に通し孔を有し、前記装飾すべき対象物からのびる接続用の糸または紐が、前記通し孔および前記一端開口から前記筒状体に挿通され、さらにその他端開口からのびる部分が、前記第1の部分の外周面に巻きつけられて接合され、前記房部の接続端部が、前記第2の部分の外周面に巻きつけられて接合されることを特徴とする頭付き房を構成したものである。
上記構成において、前記頭部を組織する撚り糸の一方の端部が通し孔の縁からのび、他方の端部が前記頭部の開口の縁からのびており、前記組織する撚り糸の一方の端部が、前記一端開口から前記筒状体に挿通され、さらに前記他端開口からのびる部分が、引っ張られて前記通し孔を収縮させるとともに、前記第1の部分の外周面に巻きつけられて接合される一方、前記組織する撚り糸の他方の端部が、前記笠状部分を貫通せしめられ、さらに前記笠状部分から突出する部分が、切断されることが好ましい。
また、前記第2の部分の外周面に巻きつけられて接合された前記房部の接続端部が、束縛用の糸または紐で縛られているのが好ましい。
さらに、前記第1の部分の外周面には、その外周に沿って、少なくとも1つ以上の溝または突起が設けられ、当該溝または突起に対して、前記接続用の糸または紐と前記組織する撚り糸の一方の前記他端開口からのびる部分が、接合されることが好ましい。
上記構成において、好ましくは、前記接続用の糸または紐と前記組織する撚り糸の一方の前記他端開口からのびる部分、および前記房部の接続端部が、水溶性接着剤によって、それぞれ前記第1の部分の外周面および前記第2の部分の外周面に接合される。
上記構成において、また好ましくは、前記笠状部分の外側面は、円錐台、または楕円錐台、または多角錐台の側面と同じ形状となっている。また、前記筒状体および前記笠状部分は、プラスチック、または木材、または金属、またはゴム、またはガラス、またはセラミック、またはそれらの2以上の組み合わせから形成されていることが好ましい。
上記構成において、さらに好ましくは、前記装飾すべき対象物は、数珠からなり、前記対象物からのびる前記接続用の糸または紐は、多数の主玉、親玉およびボサに挿通されてそれらを環状に連結し当該ボサからのびる通し糸の両端部に絡められた軸糸からなっている。
この場合、前記装飾すべき対象物は、御輿、および馬具、および緞帳、およびカーテン、および法衣のうちのいずれかであることが好ましい。
本考案によれば、袋状の編物を接続具の笠状部分に被せるだけで、簡単に頭を形成することができる。それによって、従来法のように、その都度紙筒に糸を巻きつけて形成した拡張部に袋状の編物を被せて頭を形成するという熟練を要する工程が不要になるので、頭付き房の製造が容易となる。また、接続具の笠状部分の形状が一定しているので、常に一定形状の頭を形成することができ、よって一定品質のものを大量生産できる。
さらに、筒状体および笠状部分をプラスチックから形成し、房部および糸を水溶性接着剤によって筒状体の外周面に接合する構成とした場合には、連結具から房部や糸を容易に剥離することが可能となり、修繕がより容易になる。
以下、本考案の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本考案の1実施形態による、装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房を示した分解斜視図であり、図2は、図1における頭付き房の構成の一例を説明する断面図である。
図1および図2に示すように、頭付き房1は、頭部3、房部5、および接続具8からなっている。
頭部3は、1本の撚り糸によって組織された袋状の編物からなり、袋の開口3cと反対側に通し孔4を有している。そして、頭部3を組織する撚り糸の一方の端部3aが、通し孔4の縁からのびるとともに、他方の端部3bが、頭部3の袋の開口3cの縁からのびている。通し孔4は、撚り糸の一方の端部3aを引っ張ると、収縮するようになっている。
房部5は、平行に並べられた多数本の撚り糸6の一方の端が、別の糸7によって接続されたすだれ状のものからなる。この場合、多数本の撚り糸6の一方の端は、別の糸7の代わりに、紐やテープなどに類するものによって接続されてもよいし、あるいは接着剤等によって直接に接続されてもよい。
接続具8は、筒状体9および笠状部分11から構成される。この実施形態では、筒状体9および笠状部分11は、それぞれプラスチック、例えばアクリルから形成されるが、筒状体9および笠状部分11の形成材料は、これに限定されない。筒状体9および笠状部分11は、プラスチック、または木材、または金属、またはゴム、またはガラス、またはセラミック、またはそれらの2以上の組み合わせの材料から形成されておればよい。この場合、筒状体9の硬度が、笠状部分11の硬度よりも高くなっていることが好ましい。
笠状部分11は、筒状体9の一端開口10側の外周を取り巻くように設けられ、他端開口12側に向かって末広がりになっている。
筒状体9は、笠状部分11から外側にのびる第1の部分9aと、笠状部分6と重なる第2の部分9bとからなっている。第1の部分9aの外周面には、その外周に沿って少なくとも1つ以上の突起13が設けられている。この場合、突起13の代わりに、第1の部分9aの外周面に、その外周に沿って少なくとも1つ以上の溝が設けられていてもよい。
次に、頭付き房1の製造方法を、以下詳細に説明する。
まず、上述の頭部3、房部5、および接続具8を準備する。
次に、図2(a)に示すように、頭部3を、その通し孔4が筒状体9の一端開口10に対応するように、笠状部分11に被せる。そして、頭部3を組織する撚り糸の一方の端部3aを、筒状体9の一端開口10から筒状体9に挿し通し、さらに他端開口12からのびる部分を、引っ張ることにより通し孔4を収縮させ、第1の部分9aの外周面に設けられた突起13に巻きつけて、水溶性接着剤(ポリビニルアルコール(PVA)またはでん粉)によって接合する。この場合、頭部3を組織する撚り糸の他方の端部3bを、笠状部分11に貫通させた後、さらに笠状部分11から突出する部分を切断するのが好ましい。
さらに、図2(b)に示すように、装飾すべき対象物からのびる接続用の糸2を、通し孔4および筒状体9の一端開口10から筒状体9に挿し通し、さらにその他端開口12からのびる部分を、第1の部分9aの外周面に設けられた突起13に巻きつけて、水溶性接着剤(ポリビニルアルコール(PVA)またはでん粉)によって接合する。この場合、図示しないが、接続用の糸2は、紐から形成されてもよく、筒状体に巻きつけられるものであれば、何ら限定されるものではない。
最後に、図2(c)に示すように、房部5の接続端部を、第2の部分9bの外周面に巻きつけて、水溶性接着剤(ポリビニルアルコール(PVA)またはでん粉)によって接合することによって、図2(d)に示すように、頭付き房が完成する。図示しないが、第2の部分9bの外周面に巻きつけられて接合された房部5の接続端部は、さらに束縛用の糸または紐に類するもので縛られることが好ましい。
上述のように、筒状体および笠状部分をアクリルから形成し、房部や糸を水溶性接着剤(ポリビニルアルコール(PVA)またはでん粉)によって筒状体の外周面に接合する構成としたので、連結具から房部や糸を容易に剥離することが可能となり、修繕がより容易になる。
笠状部分11の外側面は、円錐台、または楕円錐台、または多角錐台の側面と同じ形状であることが好ましいが、この形状に限定されない。また、笠状部分11の断面の輪郭は、コップ形状、またはドーム型状、または釣り鐘型状に形成されるのが好ましい。
次に、上述の装飾すべき対象物を数珠とした場合の、頭付き房の取り付け方法を説明する。
図3は、数珠に取り付けられた本考案の1実施形態による頭付き房を示す斜視図である。
まず、多数の主玉15、親玉16、ボサ17、通し糸18、軸糸19、および本考案の1実施形態による頭付き房1を準備する。
次に、図3に示すように、通し糸18を、多数の主玉15、親玉16、およびボサ17に順次挿し通して、それらを環状に連結し、通し糸18の両端をボサ17から引き出す。
そして、軸糸19を、その中央付近でボサ17に固定するとともに、ボサ17からのびる一対の軸糸19および通し糸18を互いに絡めて、通し糸18の両端部からさらに軸糸19をのばし、接続用の糸とする。
最後に、通し糸18の両端部からのびる軸糸19を、頭付き房1における通し孔4および一端開口から筒状体に挿し通し、さらにその他端開口からのびる部分を、第1の部分の外周面に巻きつけて、水溶性接着剤(ポリビニルアルコール(PVA)またはでん粉)によって接合し、数珠14に取り付けられた頭付き房1が完成する。
以上、本考案の好ましい実施形態を説明したが、本考案の構成はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態において、装飾すべき対象物は、御輿、および馬具、および緞帳、およびカーテン、および法衣のうちのいずれかであってもよい。本願の実用新案登録請求の範囲に記載の構成の範囲内において、様々な変形例およびその改良例を創作することが可能である。
本考案の1実施形態による、装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房を示した分解斜視図である。 図1における頭付き房の構成の一例を説明する断面図である。 数珠に取り付けられた本考案の1実施形態による頭付き房を示す斜視図である。 従来の頭付き房の製造方法を説明する図であり、(a)は従来の頭付き房の部品である紙筒の斜視図、(b)は従来の頭付き房の部品である房部の側面図、(c)は紙筒に房部が取り付けられた状態を示す側面図、(d)は紙筒に拡張部が形成された状態を示す側面図、(e)は拡張部にかがり部(頭部)が被せられて頭が整形された状態を示す側面図である。
符号の説明
1 頭付き房
2 装飾すべき対象物からのびる接続用の糸
3 頭部
3a 組織する撚り糸の一方の端部
3b 組織する撚り糸の他方の端部
3c 袋の開口
4 通し孔
5 房部
6 平行に並べられた多数本の撚り糸
7 別の糸
8 接続具
9 筒状体
9a 第1の部分
9b 第2の部分
10 一端開口
11 笠状部分
12 他端開口
13 突起
14 数珠
15 主玉
16 親玉
17 ボサ
18 通し糸
19 軸糸
20 紙筒
21 一端開口
22 房部
23 平行に並べられた多数本の撚り糸
24 別の糸または紐
25 拡張部
26 かがり部(頭部)

Claims (9)

  1. 装飾すべき対象物に取り付けて使用される頭付き房であって、
    1本の撚り糸によって組織された袋状の編物からなる頭部と、
    平行に並べられた多数本の撚り糸の一方の端が別の糸または紐によって接続されたものからなるすだれ状の房部と、
    前記頭部および前記房部を接続する接続具と、
    からなり、
    前記接続具は、
    筒状体と、
    前記筒状体の一端側の外周を取り巻くように設けられ、他端側に向かって末広がりになった笠状部分と、
    を備え、
    前記筒状体は、
    前記笠状部分から外側にのびる第1の部分と、
    前記笠状部分と重なる第2の部分と
    からなり、
    前記頭部は、前記笠状部分を被覆するとともに、前記筒状体の一端開口に対応する領域に通し孔を有し、
    前記装飾すべき対象物からのびる接続用の糸または紐が、前記通し孔および前記一端開口から前記筒状体に挿通され、さらにその他端開口からのびる部分が、前記第1の部分の外周面に巻きつけられて接合され、
    前記房部の接続端部が、前記第2の部分の外周面に巻きつけられて接合されることを特徴とする頭付き房。
  2. 前記頭部を組織する撚り糸の一方の端部が通し孔の縁からのび、他方の端部が前記頭部の開口の縁からのびており、
    前記組織する撚り糸の一方の端部が、前記一端開口から前記筒状体に挿通され、さらに前記他端開口からのびる部分が、引っ張られて前記通し孔を収縮させるとともに、前記第1の部分の外周面に巻きつけられて接合される一方、
    前記組織する撚り糸の他方の端部が、前記笠状部分を貫通せしめられ、さらに前記笠状部分から突出する部分が、切断されることを特徴とする請求項1に記載の頭付き房。
  3. 前記第2の部分の外周面に巻きつけられて接合された前記房部の接続端部が、束縛用の糸または紐で縛られていることを特徴とする請求項1または2に記載の頭付き房。
  4. 前記第1の部分の外周面には、その外周に沿って、少なくとも1つ以上の溝または突起が設けられ、当該溝または突起に対して、前記接続用の糸または紐と前記組織する撚り糸の一方の前記他端開口からのびる部分が、接合されることを特徴とする請求項1乃至3に記載の頭付き房。
  5. 前記接続用の糸または紐と前記組織する撚り糸の一方の前記他端開口からのびる部分、および前記房部の接続端部が、水溶性接着剤によって、それぞれ前記第1の部分の外周面および前記第2の部分の外周面に接合されることを特徴とする請求項1乃至4に記載の頭付き房。
  6. 前記笠状部分の外側面は、円錐台、または楕円錐台、または多角錐台の側面と同じ形状であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の頭付き房。
  7. 前記筒状体および前記笠状部分は、プラスチック、または木材、または金属、またはゴム、またはガラス、またはセラミック、またはそれらの2以上の組み合わせから形成されていることを特徴とする請求項1乃至6に記載の頭付き房。
  8. 前記装飾すべき対象物は、数珠からなり、
    前記対象物からのびる前記接続用の糸または紐は、多数の主玉、親玉およびボサに挿通されてそれらを環状に連結し当該ボサからのびる通し糸の両端部に絡められた軸糸からなっていることを特徴とする請求項1乃至7に記載の頭付き房。
  9. 前記装飾すべき対象物は、御輿、および馬具、および緞帳、およびカーテン、および法衣のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7に記載の頭付き房。
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