JP3142993B2 - 水溶性ベナスタチン誘導体及びその薬学的用途 - Google Patents

水溶性ベナスタチン誘導体及びその薬学的用途

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JP3142993B2 JP05175282A JP17528293A JP3142993B2 JP 3142993 B2 JP3142993 B2 JP 3142993B2 JP 05175282 A JP05175282 A JP 05175282A JP 17528293 A JP17528293 A JP 17528293A JP 3142993 B2 JP3142993 B2 JP 3142993B2
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫調節剤(immun
omodulator)として有用である新規な水溶性
ベナスタチン誘導体及びその薬学的用途に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】免疫調節剤としては、サイクロスポリン
Aなどの免疫抑制剤やクレスチン(登録商標)、ウベニ
メクス(一般名)などの免疫賦活剤が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明で原料として用
いるベナスタチンC及びDは、青柳高明らにより分離さ
れたストレプトミセス エスピーMI384−DF12
株(微工研条寄第3228号)の醗酵生産物から新規生
理活性物質として単離され、強い免疫賦活作用と高濃度
での免疫抑制作用を有することが見い出された化合物で
ある。ベナスタチンC及びDの化学構造は以下の通りで
ある。
【化2】 ベナスタチンC:R1 =−CH=CH− ベナスタチンD:R1 =−CH2 CH2 − ベナスタチンC及びDは免疫賦活剤として期待される
が、これらの化合物は水溶性の点で問題があり、例えば
ベナスタチンCは水に難溶性のため製剤化の際に製剤的
工夫が必要と考えられていた。従って、水溶性の点にお
いて優れたベナスタチンC及びDの誘導体の開発が望ま
れている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは種々
検討の結果、ベナスタチンC及びDの分子中に存在する
1位の水酸基に特定の置換基を導入することによって、
水に対する溶解性が著しく改善されたベナスタチン誘導
体が得られ、そしてこの誘導体は特に低濃度では強い免
疫賦活性を有し、高濃度では免疫抑制活性を有すること
を見出し本発明を完成させた。従って、本発明は、下記
式(1)
【化3】 〔式中、R1 は−CH=CH−又は−CH2 CH2 −を
示し、R2 は−CO−(CH2 n −Y又は−(C
2 n+1 −Yを示す。ここでnは0〜5の整数、Yは
−CO2 H又はNR3 4 (R3 ,R4 はそれぞれ水素
原子、炭素原子数1〜5の低級アルキル基を示し、ある
いはR3 とR4 が結合しその結合鎖中に酸素原子又は窒
素原子を含んでいてもよい低級アルキレン基を示す)を
示す〕で表わされるベナスタチン誘導体及びその生理学
的に許容しうる塩である。更に、本発明は、上記式
(1)で表わされるベナスタチン誘導体又はその生理学
的に許容しうる塩を有効成分として含有する免疫調節剤
である。
【0005】上記式(1)で表わされるベナスタチン誘
導体及びその生理学的に許容しうる塩は、酸性、中性及
び塩基性の水溶液に対してベナスタチンC及びDより高
い溶解性を示し医薬品として極めて有用な化合物であ
る。上記式(1)の定義において、R3 ,R4 がそれぞ
れ炭素原子数1〜5の低級アルキル基を示す場合の低級
アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基などの炭素数1〜5のアル
キル基があげられる。結合鎖中に酸素原子又は窒素原子
を含んでいてもよい低級アルキレン基としては、例えば
−(CH2 3 −,−(CH2 4 −,−(CH2 5
−,
【化4】 −(CH2 2 −O−(CH2 2 −などの炭素原子数
1〜5の低級アルキレン基があげられる。
【0006】上記一般式〔I〕の置換基R2 が−CO−
(CH2 n −CO2 Hを示す時の置換基R2 として
は、例えばオキザロ基、2−カルボキシルアセチル基、
3−カルボキシプロパノイル基、4−カルボキシブチリ
ル基、5−カルボキシペンタノイル基などがあげられ
る。 置換基R2 が−CO−(CH2 n −NR3 4
を示す時の置換基R2 としては、例えば、ジメチルアミ
ノアセチル基、ジエチルアミノアセチル基、ジエチルア
ミノプロピオニル基、ブチルアミノアセチル基、ジメチ
ルアミノプロピオニル基、ジメチルアミノブチリル基、
ピロリジノブチリル基、ピロリジノアセチル基、ピペラ
ジノアセチル基、モルホリノアセチル基などがあげられ
る。置換基R2 が−(CH2 n+1 −CO2 Hを示す時
の置換基R2 としてはカルボキシメチル基、2−カルボ
キシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボ
キシブチル基、5−カルボキシペンチル基、6−カルボ
キシヘキシル基などがあげられる。
【0007】置換基R2 が−(CH2 n+1 −NR3
4 を示す時の置換基R2 としては、例えばアミノメチル
基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル
基、2−アミノエチル基、2−メチルアミノエチル基、
2−ジメチルアミノエチル基、2−エチルアミノエチル
基、2−ジエチルアミノエチル基、2−ピロリジノエチ
ル基、2−ピペリジノエチル基、2−モルホリノエチル
基、2−(4−ピペラジノ)エチル基、3−アミノプロ
ピル基、3−メチルアミノプロピル基、3−ジメチルア
ミノプロピル基、3−エチルアミノプロピル基、3−ジ
エチルアミノプロピル基、3−ピロリジノプロピル基、
3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル
基、3−(4−ピペラジノ)プロピル基、4−アミノブ
チル基、4−メチルアミノブチル基、4−ジメチルアミ
ノブチル基、4−エチルアミノブチル基、4−ジエチル
アミノブチル基、4−ピロリジノブチル基、4−ピペリ
ジノブチル基、4−モルホリノブチル基、4−(4−ピ
ペラジノ)ブチル基、5−アミノペンチル基、5−メチ
ルアミノペンチル基、5−ジメチルアミノペンチル基、
5−エチルアミノペンチル基、5−ジエチルアミノペン
チル基、5−ピロリジノペンチル基、5−ピペリジノペ
ンチル基、5−モルホリノペンチル基、5−(4−ピペ
ラジノ)ペンチル基、6−アミノヘキシル基、6−メチ
ルアミノヘキシル基、6−ジメチルアミノヘキシル基、
6−エチルアミノヘキシル基、6−ジエチルアミノヘキ
シル基、6−ピロリジノヘキシル基、6−ピペリジノヘ
キシル基、6−モルホリノヘキシル基、6−(4−ピペ
ラジノ)ヘキシル基などがあげられる。
【0008】一般式〔I〕の置換基R2 としては以上に
あげたものがあり、このような置換基R2 を有する一般
式〔I〕の化合物のなかでも特に好ましい一般式〔I〕
の化合物として次の化合物を挙げることができる。 化合物番号 1. 1−(3−ジメチルアミノプロパノイル)ベナス
タチンC 2. 1−(4−ジメチルアミノブチリル)ベナスタチ
ンC 3. 1−(5−ジメチルアミノペンタノイル)ベナス
タチンC 4. 1−(3−カルボキシプロパノイル)ベナスタチ
ンC 5. 1−(4−カルボキシブチリル)ベナスタチンC 6. 1−(5−カルボキシペンタノイル)ベナスタチ
ンC 7. 1−(2−アミノエチル)ベナスタチンC 8. 1−(2−メチルアミノエチル)ベナスタチンC 9. 1−(2−ジメチルアミノエチル)ベナスタチン
C 10.1−(3−アミノプロピル)ベナスタチンC 11.1−(3−メチルアミノプロピル)ベナスタチン
C 12.1−(3−ジメチルアミノプロピル)ベナスタチ
ンC 13.1−(3−ジメチルアミノプロパノイル)ベナス
タチンD 14.1−(4−ジメチルアミノブチリル)ベナスタチ
ンD 15.1−(5−ジメチルアミノペンタノイル)ベナス
タチンD 16.1−(3−カルボキシプロパノイル)ベナスタチ
ンD 17.1−(4−カルボキシブチリル)ベナスタチンD 18.1−(5−カルボキシペンタノイル)ベナスタチ
ンD 19.1−(2−アミノエチル)ベナスタチンD 20.1−(2−メチルアミノエチル)ベナスタチンD 21.1−(2−ジメチルアミノエチル)ベナスタチン
D 22.1−(3−アミノプロピル)ベナスタチンD 23.1−(3−メチルアミノプロピル)ベナスタチン
D 24.1−(3−ジメチルアミノプロピル)ベナスタチ
ンD
【0009】一般式(1)のベナスタチン誘導体は生理
学的に許容しうる塩の形態であってもよい。このような
塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リ
ン酸塩等の無機酸塩、あるいはギ酸塩、酢酸塩、フマー
ル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸
塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられる。あ
るいは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、
カルシウム塩等の金属塩又は4級アンモニウム塩、ピリ
ジニウム塩等の有機塩基塩が挙げられる。
【0010】一般式〔I〕で表わされるベナスタチン誘
導体は以下に述べる方法によって製造される。 1.一般式〔I〕において置換基R2 が−CO−(CH
2 n −Yであるベナスタチン誘導体は下記のいずれか
の方法により製造できる。 (1) 2 が−CO−(CH2 n −CO2 Hであっ
てnが2〜5の整数であるベナスタチン誘導体の製造
ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢酸エチ
ル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ピリ
ジン等の溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウムアンモニア水等の無機塩基、あるいは
1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノン−5−エ
ン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウン
デセン、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基を用
い、ベナスタチンC又はDに、下記式
【化5】 (式中、nは2〜5の整数を示す)で表わされるジカル
ボン酸無水物を反応させて得ることができる。
【0011】(2) 2 が−CO−(CH2 n −C
2 Hであってnが0〜5の整数であるベナスタチン誘
導体の製造: a) 前記(1)と同様の溶媒中、必要に応じて4−ジ
メチルアミノピリジン等の触媒存在下、N,N′−ジシ
クロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて、下記
【化6】R5 2 C(CH2 n CO2 H (式中、R5 はエステル基の保護基、nは0〜5の整数
を示す)で表わされる化合物をベナスタチンC又はDに
反応させ、反応後、保護基R5 を脱離させることによっ
て得ることができる。エステルの保護基は通常用いられ
る保護基を用いることができ、その脱離もそれ自体周知
の方法を採用することによって実施できる。
【0012】b) 前記(1)と同様の溶媒中、必要に
応じて4−ジメチルアミノピリジン等の触媒の存在下、
前記(1)と同様の塩基を用い、下記式
【化7】R5 2 C(CH2 n COZ (式中、R5 はエステル基の保護基、nは0〜5の整
数、ZはCl、Br、I等のハロゲン原子を示す)で表
わされる化合物をベナスタチンC又はDに反応させ、反
応後、保護基R5 を脱保護することによっても得ること
ができる。
【0013】(3) 2 が−CO−(CH2 n −N
3 4 であるベナスタチン誘導体の製造: a).前記(2)のa)と同様の溶媒、触媒、縮合剤を
用いた反応条件下、下記式
【化8】R3 4 N(CH2 n CO2 H (式中、R3 ,R4 は前記と同じであり、nは0〜5の
整数を示す)で表わされる化合物をベナスタチンC又は
Dに反応させることにより得ることができる。R3 4
Nにおいて保護基が必要な場合は保護基が導入された化
合物R 3 4 N(CH2 n CO2 Hを反応させ、反応
後、保護基を脱保護することにより得ることができる。
ここで用いる保護基としては、アミノ基の保護基として
通常用いられる保護基を用いることができ、その脱離も
それ自体周知の方法によって実施することができる。
【0014】b).前記(2)のb)と同様の溶媒、触
媒、塩基を用いた反応条件下、下記式
【化9】R3 4 N(CH2 n COZ (式中、R3 ,R4 は前記と同じであり、nは0〜5の
整数、ZはCl,Br,I等のハロゲン原子を示す)で
表わされる化合物をベナスタチンC又はDに反応させる
ことによっても得ることができる。R3 4 Nにおいて
保護基が必要な場合は保護基が導入された化合物R3
4N(CH2 n COZを反応させ、反応後、保護基を
脱保護することにより得ることができる。
【0015】c).前記(3)のa)又はb)と同様の
反応条件下、それぞれ、下記式
【化10】W(CH2 n CO2 H (式中、Wは、Cl,Br,I等のハロゲン原子、ある
いはメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニ
ルオキシ基等を示し、nは0〜5の整数を示す)で表わ
される化合物、又は下記式
【化11】W(CH2 n COZ (式中、W及びnは前記と同じであり、ZはCl,B
r,I等のハロゲン原子を示す)で表わされる化合物を
ベナスタチンC又はDに反応させ、次いでアミノ化合物
HNR3 4 を反応させることによっても得ることがで
きる。
【0016】2. 一般式〔I〕において置換基R2
−(CH2 n+1 −Yであるベナスタチン誘導体は下記
のいずれかの方法により製造できる。 (1) ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢
酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ピリジン等の溶媒中、ジエチルアゾジカルボキシラ
ート(DEAD)又はトリフェニルホスフィン存在下、
下記式
【化12】Y−(CH2 n+1 −OH (式中、Yは前記と同じであり、nは0〜5の整数を示
す)で表わされる化合物をベナスタチンC又はDに反応
させることにより得ることができる。ここで上記化合物
中のYに保護基が必要な場合は保護基の入った化合物Y
−(CH2 n+1 −OHを反応させ、反応後、保護基を
脱保護することにより得ることができる。
【0017】(2) ヘキサン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、ト
リグライム等の非プロトン性溶媒中、ナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属;メチルリチウム、エチルリチウ
ム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルマグネ
シウムアイオダイド、エチルマグネシウムブロマイド、
フェニルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウ
ムアイオダイド、等の有機金属;水素化リチウム、水素
化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化物;あるいは
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムア
ミド、ソジウムアミド、ポタシウムアミド、リチウムジ
シクロヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド
等の金属アミド等の存在下、下記式
【化13】Y−(CH2 n+1 −V (Yは前記と同じであり、nは0〜5の整数、Vはフッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨーウ素原子などのハロ
ゲン原子、あるいはメタンスルホニルオキシ基、p−ト
ルエンスルホニルオキシ基等を示す)で表わされる化合
物をベナスタチンC又はDに反応させることにより得る
ことができる。ここで上記化合物中のYに保護基が必要
な場合は保護基の導入された化合物Y−(CH2 n+1
−Vを反応させ反応後、保護基を脱保護することにより
得ることができる。
【0018】(3) 前記の2の(1)又は(2)と同
様の反応条件下、それぞれ、下記式
【化14】V1 −(CH2 n+1 −OH (式中、V1 はCl,Br,I等のハロゲン原子、ある
いはメタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニ
ルオキシ基等を示し、nは0〜5の整数を示す)で表わ
される化合物、又は下記式
【化15】V2 −(CH2 n+1 −V3 (式中、V2 ,V3 はそれぞれCl,Br,I等のハロ
ゲン原子又はメタンスルホニルオキシ基、p−トルエン
スルホニルオキシ基等を示し、nは0〜5の整数を示
す)で表わされる化合物をベナスタチンC又はDに反応
させ次いでアミノ化合物HNR3 4 を反応させること
によっても製造することができる。
【0019】以上に示した各種の製造法によって上記式
(1)のベナスタチン誘導体を得ることができる。上記
した各種の製造法における反応後の処理としては、各種
の製造法に応じて通常の手法に従い反応後の処理を行う
ことができる。例えば、必要に応じて沈澱物をろ別し、
反応液を酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ベ
ンゼン、キシレン等の溶剤に溶解し、希塩酸、希硫酸、
希硝酸等の酸、又は希水酸化ナトリウム水溶液、希炭酸
ナトリウム水溶液、希炭酸水素カリウム水溶液、希アン
モニア水等の塩基で洗浄する。酸又は塩基で洗浄した
後、好ましくは速やかに逆の性質の水溶液、即ちそれぞ
れ塩基又は酸で洗浄し、更に水で洗浄し酸又は塩基を除
くことによって反応後の処理を実施できる。
【0020】精製法としては通常の方法を採用すること
ができる。例えばシリカゲル、アルミナ、けいそう土
等、あるいはそれらを各種コーティング剤で修飾した充
填剤を用い、常圧から数百気圧の圧力下、順層又は逆層
のカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン、トルエ
ン、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、アセトン、エタノール、メタノール、水、酢酸、
ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、トリエチルアミン、アンモニア水等又はそれらの適
当な比率の混合溶媒で溶出する方法、又は同様の溶媒又
はそれらの適当な比率の混合溶媒を用いて再結晶又は再
沈澱あるいはそれらの方法を組み合わせて行なうことが
できる。
【0021】本発明の上記式(1)のベナスタチン誘導
体は、必要に応じて生理学的に許容し得る塩に変換する
こともできる。これらの塩への変換は、通常知られた方
法により、前記した無機酸塩、有機酸塩、金属塩、有機
塩基塩などの塩に変換することにより実施できる。
【0022】本発明のベナスタチン誘導体は、免疫調節
作用、特に強い免疫賦活作用を有し、従って、免疫調節
剤として有用である。ベナスタチン誘導体は以下の試験
例に示すようにリンパ球幼若化反応において低濃度(例
えば約7μg/ml以下)では免疫賦活作用を示し、高
濃度(例えば約12μg/ml以上)では免疫抑制作用
を示す。しかもこの化合物は毒性を示さない。したがっ
て、ベナスタチン誘導体は免疫調節剤として極めて有用
である。ベナスタチン誘導体は、通常、経口投与あるい
は静脈、皮内、筋肉内投与などの非経口投与によって投
与することができる。投与量は投与する対象、投与ルー
トなどによって変動するが、通常0.5〜100mg/
kg/日、好ましくは1〜50mg/kg/日である。
【0023】投与する際の製剤としては慣用的に用いら
れている剤形が挙げられる。経口投与の場合には、デン
プンなどの通常の賦形剤などともに成型された錠剤、顆
粒剤、カプセル剤などが用いられる。非経口投与の場合
には生理食塩水、溶解剤などを用いて成型された通常の
注射剤などが用いられる。
【0024】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明で
は新規な生理活性物質ベナスタチン誘導体が提供され
る。本発明のベナスタチン誘導体は、水に対する高い溶
解性を示す。例えば化合物番号5のナトリウム塩は水に
対し0.23mg/mlでありベナスタチンCの20倍
以上の溶解性を示す。更には、本発明のベナスタチン誘
導体は、低濃度においては免疫賦活作用を示し、高濃度
では免疫抑制作用を示し、従って免疫調節剤として極め
て有用である。
【0025】以下に本発明のベナスタチン誘導体の合成
例、製剤例及び試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説
明する。
【合成例】実施例1 1−(4−カルボキシブチリル)ベナスタチンC(化合
物番号5)の合成 ベナスタチンC(98mg,0.21mmole)をピ
リジン(7.0ml)に溶解し、グルタル酸無水物(3
1mg,0.27mmole)を加え、室温で3日間攪
拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで2回抽出
し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、有機層を減圧濃縮して得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/テト
ラヒドロフラン=24/1〜22/3)で精製して1−
(4−カルボキシブチリル)ベナスタチンC(50m
g,収率41%)を得た。更に精製不十分のフラクショ
ンを分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶
媒;クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、
1−(4−カルボキシブチリル)ベナスタチンC(11
mg,収率9%)を得た。1 H−NMR(200MHzFT,TMS,CD3
D) 0.93 (3H,t,J=6Hz) 1.33−1.47 (4H,m) 1.75 (6H,s) 1.62−1.86 (2H,m) 2.11 (2H,m) 2.52 (2H,t,J=7Hz) 2.79 (2H,t,J=8Hz) 3.01 (2H,t,J=7Hz) 6.28 (1H,d,J=2Hz) 6.71 (1H,d,J=2Hz) 7.20 (1H,d,J=2Hz) 7.60 (1H,d,J=2Hz) 7.67 (1H,d,J=9Hz) 8.23 (1H,d,J=9Hz) 8.76 (1H,s) マススペクトル FABmass 571.5(〔M+H〕+
【0026】実施例2 1−(2−ジメチルアミノエチル)ベナスタチンC(化
合物番号9)の合成 ベナスタチンC(72mg,0.16mmole)をテ
トラヒドロフラン(4.0ml)に溶解しトリフェニル
フォスフィン(47mg,0.18mmole)を加
え、室温でアゾジカルボン酸エチルエステル(31m
g,0.18mmole)のテトラヒドロフラン溶液
(3.0ml)を滴下した。続いてN,N−ジメチルア
ミノエタノール(17mg,0.19mmole)のテ
トラヒドロフラン溶液(5.0ml)を滴下し室温で1
4時間攪拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで2
回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後、有機層を減圧濃縮して得られた残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム
/酢酸エチルエステル=24/1〜1/1,クロロホル
ム/メタノール=100/1〜4/1)で精製して1−
(2−ジメチルアミノエチル)ベナスタチンC(20m
g,収率19%)を得た。1 H−NMR(200MHzFT,TMS,CDC
3 :CD3 OD=10:1) 0.90 (3H,t,J=7Hz) 1.21−1.47 (4H,m) 1.77 (6H,s) 1.53−1.92 (2H,m) 2.39 (6H,s) 2.73 (2H,t,J=8Hz) 2.83 (2H,t,J=5Hz) 4.17 (2H,t,J=5Hz) 6.41 (1H,d,J=2Hz) 6.78 (1H,d,J=2Hz) 6.95 (1H,d,J=1Hz) 7.23 (1H,d,J=1Hz) 7.62 (1H,d,J=9Hz) 8.26 (1H,d,J=9Hz) 9.61 (1H,s) マススペクトル FABmass 528(〔M+H〕+
【0027】
【製剤例】実施例3 化合物番号5、30重量部、結晶乳糖120部、結晶セ
ルロース147部及びステアリン酸マグネシウム3部を
V型混合機で混合後打錠し、1錠300mgの錠剤を得
た。
【0028】
【試験例】以下に、ベナスタチン誘導体が免疫調節活性
を有し、且つ毒性を示さないことを試験例により示す。試験例1 ベナスタチン誘導体のリンパ球幼若化反応における免疫
調節活性 リンパ球幼若化反応に対するベナスタチン誘導体の調節
効果の試験法は次の通りである。培養には20%牛胎児
血清、25mM Hepes buffer、100μ
g/mlのストレプトマイシン及び100単位/mlの
ペニシリンGを添加したRPMI 1640培地を用い
た。培養は96穴の平底マイクロプレート(COSTA
R)で行った。マイトジェンは、リポポリサッカライド
(LPS)とコンカナバリンA(Con A)をそれぞ
れ最終濃度100、5μg/mlで用いた。
【0029】脾臓細胞は、BALB/cマウス(雌性、
>20週齢)から脾臓を取り出し単細胞浮遊液を作り、
ハイパーショック(hyper shock)で赤血球
を除去し、LPS用にはこれをそのまま用いて調整し、
Con A用にはT細胞分離用Nylon Fiber
(和光純薬)を通して調整した。各ウエルに2×10 5
個の脾細胞と、それぞれの希釈濃度の被験化合物を加え
総量0.2mlとし、これを72時間培養した。培養終
了の8時間前にウエル当たり37KBqの〔 3H〕−チ
ミジンを添加し、その細胞内への取り込み量を測定し
た。効果の判定は、それぞれの被験化合物添加群の対照
に対する〔 3H〕−チミジンの取り込み量の比率によっ
た(日本免疫学会編、免疫実験操作法、第2267〜2
276頁)。ベナスタチン誘導体のマウスのリンパ球幼
若化反応に対する作用を表1及び2に示した。ベナスタ
チン誘導体はLPS,Con Aによるリンパ球幼若化
反応を低濃度において非常に強く促進した。
【0030】
【表1】 LPS及びCon Aによるマウスリンパ球幼若化反応に おける化合物番号5(Na塩)の作用 ───────────────────────────────── 化合物 濃度 作用指数(%) 番号 (μg/ml) LPS Con A ───────────────────────────────── 5(Na 塩) 0.1 155.8 159.8 0.33 396.3 293.8 1 982.6 947.2 3.3 863.0 1320.1 10 22.6 13.3 33 2.0 1.7 100 1.8 1.6 コントロール 100.0 100.0 ─────────────────────────────────
【0031】
【表2】 LPS及びCon Aによるマウスリンパ球幼若化反応に おける化合物番号9(HCl塩)の作用 ───────────────────────────────── 化合物 濃度 作用指数(%) 番号 (μg/ml) LPS Con A ───────────────────────────────── 9(HCl塩) 0.1 111.1 141.4 0.33 189.4 112.0 1 291.3 239.9 3.3 265.3 268.2 10 72.9 87.5 33 4.2 8.3 100 2.3 0.8 コントロール 100.0 100.0 ─────────────────────────────────
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 217/24 C07C 217/24 (72)発明者 青柳 高明 神奈川県藤沢市本鵠沼3−3−6 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5−1−11−701 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 69/353 A61K 31/135 A61K 31/225 A61P 37/00 A61P 37/06 C07C 217/24 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 〔式中、R1は−CH=CH−又は−CH2CH2−を示
    し、R2は−CO−(CH2n−Y又は−(CH2n+1
    −Yを示す。ここでnは0〜5の整数、Yは−CO2
    又はNR34(R3,R4はそれぞれ水素原子、炭素原子
    数1〜5の低級アルキル基を示し、あるいはR3とR4
    結合しその結合鎖中に酸素原子又は窒素原子を含んでい
    てもよい低級アルキレン基を示す)を示す〕で表わされ
    るベナスタチン誘導体又はその生理学的に許容しうる
    塩。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のベナスタチン誘導体又は
    その生理学的に許容しうる塩を有効成分として含有する
    免疫調節剤。
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