JP3140443U - 吸音パネル - Google Patents

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徳顕 小川
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株式会社エルエス京都
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Abstract

【課題】高い吸音効果を長期間維持し、施工がしやすく、残材が少ない吸音パネルを提供する。
【解決手段】多数の貫通孔3が配列されてなる有孔部4を有するパネル本体2と、前記パネル本体2の裏面に取り付けられて前記有孔部4の裏面側を覆う板状のグラスウール5を有する吸音パネル1であって、前記グラスウール5は、その全面あるいはパネル本体と接する面を除く全面がガラスクロス6で被覆されている。グラスウール5は、寒冷紗7を介してパネル本体2の裏面に取り付けられてもよい。
【選択図】図1

Description

本考案は、音楽室、体育館、機械室等の内壁や天井に用いられる吸音パネルに関する。
吸音パネルは、スタジオ、音楽室、スポーツセンター等の娯楽施設からボイラ室、機械室等に至るまで広く用いられている。吸音パネルには様々な種類があるが、音を吸音するための貫通孔を多数設けたパネルが一般的である。また、貫通孔の裏面側に吸音材であるグラスウールを接着した吸音パネルが汎用されている。例えば、特許文献1には、パネル本体の裏面に不織布を貼り付け、同不織布にグラスウールを貼り付けた構造を有する吸音パネルを利用した吸音壁構造が開示されている。
しかし、従来の吸音パネルは、パネル本体の裏面にグラスウールがむき出しのまま取り付けられているため、施工する際やパネルを製造する際、グラスウールに直接接触することになり、口からグラスウールのガラス繊維が入り込んで喉がいがらっぽくなったり、皮膚に痒みが生じる等の弊害がある。また、グラスウールは、水分を含むと吸音効果が減少するため、施工後何年かすると吸音パネルとしての機能が低下するといった問題もある。
このような問題を解決するものとして、パネル裏面のグラスウールをスチロール製の箱体で覆った吸音パネルも使用されている。この吸音パネルでは、パネル本体とスチロールによってグラスウールが完全に覆われているため、グラスウールに直接触れることなく施工することができる。また、湿気によるグラスウールの機能低下や結露等を防ぐことができる。
しかし、吸音パネルの吸音効果には、グラスウールの裏面側の空気層も大きな役割を果たすため、スチロールによりグラスウールが囲われて、グラスウールの裏面側に空気層がなくなると、吸音効果が低下するといった問題が生じる。また、スチロールは嵩高いため、再工事を行う際に残材が増えることになり、且つスチロールは不燃物として処理する必要があるため、処分の手間と費用が増えるという問題もある。
実用新案登録第3025509号公報
したがって本考案は、上述の問題を解決するため、高い吸音効果を長期間維持でき、施工がしやすく、廃棄物が少ない吸音パネルを提供することを課題とする。
本考案者は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、パネル本体の裏面に取り付けるグラスウールの全面あるいはパネル本体と接する面を除く全面をガラスクロスで覆うことにより、吸音効果を維持しながら、施工のしやすさ等を改良することに成功し、前記課題を解決した。
すなわち本考案は、多数の貫通孔が配列されてなる有孔部を有するパネル本体と、前記パネル本体の裏面に取り付けられて前記有孔部の裏面側を覆う板状のグラスウールとを有する吸音パネルであって、前記グラスウールは、その全面あるいはパネル本体と接する面を除く全面がガラスクロスで被覆されていることを特徴とする吸音パネルに関する。
本考案の吸音パネルでは、パネル本体の裏面に取り付けられたグラスウールは、その全面あるいはパネル本体と接する面を除く全面がガラスクロスで覆われているため、グラスウールがむき出しになっている箇所がなく、施工の際、グラスウールに直接触れることや、グラスウールの細末を吸い込むことなく作業することができ、安全性に優れている。また、ガラスクロスはグラスウールの吸音効果を妨げず、且つ、防湿効果が高いのでグラスウールを水分から保護することができるため、施工後も長期間に渡って高い吸音効果を維持することが可能である。さらにガラスクロスはガラス繊維からなる布であるためスチロールのように嵩張らず、施工がしやすく残材も少ない。また、グラスウールとガラスクロスは共にガラス繊維からなるので、廃棄の際の分別が容易である。また、ガラスクロスは耐火性に優れ、有毒ガスが発生しないため、安全性にも優れている。
上述したように、本考案の吸音パネルは、取り扱い易さや安全性に優れるだけでなく、高い吸音効果を長期間維持することができる。
本考案にかかるパネル本体は、木製の単板や、合板(シナ合板、タモ合板等)や、ケイカル板等、通常の吸音パネルに用いられているパネル本体と同じ材質のものを使用することができる。板厚も通常のパネル本体と同程度でよい(主に5〜10mm程度)。また、貫通孔も、通常の吸音パネルと同様の孔径・個数・配列で形成すればよい。一例として、直径が5mmまたは9mmであり、縦横にそれぞれ15mmまたは30mmのピッチで配列された貫通孔を挙げることができる。このような貫通孔が配列されてなる有孔部は、パネル本体に1つでもよく、あるいは任意の間隔を空けて複数個形成されてもよい(例えば、450×900mmのパネル本体に、約330mm角の有孔部を、120mmの間隔を空けて2箇所形成するなど)。また、有孔部ごとに貫通孔の孔径や配列を変えてもよい。
パネル本体の裏面側に取り付けられる板状のグラスウールは、貫通孔の表面側開口から入射した音のエネルギーを吸収する役目を果たすため、有孔部の裏面側を覆うように配置する(すなわち、貫通孔の裏面側開口を塞ぐように配置する)。パネル本体に有孔部が複数存在する場合、各有孔部に対応する形状のグラスウールを有孔部ごとに配置してもよく、あるいは複数の有孔部全てを覆うサイズのグラスウールを1つ配置してもよい。
グラスウールの密度、厚み等は、求める吸音性能に応じて適宜選択すればよく、また、吸音効果を高めるために表面仕上げ等を施してもよい。好ましい一例として、厚さ20〜50mm、密度40〜64kg/m3のグラスウールが挙げられる。本考案において、グラスウールは、少なくともパネル本体と接する面を除く全面がガラスクロスで被覆されている。パネル本体と接する面がガラスクロスで覆われていない場合、パネル本体とグラスウールの間に布(好ましくは寒冷紗)を介在させることが好ましい。布を介在させることにより、グラスウールの細片が貫通孔から飛散するのを防ぐことができる。
本考案にかかるガラスクロスは、ガラス繊維で構成された布であればよく、種類は特に限定されない。好ましい一例として、ガラス長繊維からなる織布であって、厚さ0.16〜0.20mm程度のガラスクロスを挙げることができる。
図1に、本考案にかかる吸音パネルの一実施例の模式図を示す。Aは吸音パネル1を正面側から見た図を、Bは背面側から見た図を、Cは背面側から見た破断図を示す。本実施例において、吸音パネル1は、450mm角、厚さ5.5mmのパネル本体2と、その裏面に取り付けられた380mm角、厚さ25mmの板状のグラスウール5を有する。パネル本体2には、直径5mmの貫通孔3が縦横にそれぞれ30mmのピッチで配列(12列×12列)されてなる有孔部4が一つ設けられている(なお、図1は模式図であるため、貫通孔3の数、大きさ、ピッチ等は実物通りではない)。有孔部4(図1A中、破線で囲われた領域)は約330mm角であり、グラスウール5はそれより一回り大きい380mm角であるため、有孔部の裏面側はグラスウールで完全に覆われており、有孔部に存在する全ての貫通孔の裏面側開口がグラスウールによって塞がれている。グラスウール5は、パネル本体と接する面の中央部を除いて全体が黒色のガラスクロス6で覆われており、黒色の寒冷紗7を介してパネル本体2に接着されている。
図2に、実施例1の吸音パネル1を施工した状態の断面図を模式的に示す。図2に示すように、吸音パネル1は、躯体10との間に間隔を空けて設置される。本実施例では、躯体10に45mm角の角材からなる枠体9を取り付け、枠体9上にパネル本体2を設置しており、躯体10とグラスウール5の間に約20mmの間隔(空気層8)を設けている。グラスウール5の背面に空気層8を設けることにより、吸音効果をより高めることができる。
施工に際し、本考案の吸音パネルは、嵩張らないため作業が容易であり、のどや皮膚に不快な症状を感じずに作業することができた。また、グラスウールがむき出しのままの吸音パネルと比べて、湿気を含みにくく、施工後長時間経っても吸音効果が低下しなかった。
JIS A 1409による残響室法吸音率の測定方法に基づき、本考案にかかる吸音パネルの吸音率を測定した(残響室の容積:317.4m3 設置した吸音パネルの表面積:合計13.0m2 音源の設置点数:1 マイクの設置点数:3)。吸音率と残響時間の測定結果を図3に示す。測定結果から、本考案の吸音パネルが高い吸音効果を有することが証明された。
図1は、本考案にかかる吸音パネルの一実施例の模式図であり、Aは正面側から見た図を、Bは背面側から見た図を、Cは背面側から見た破断図を示す。 図2は、実施例1の吸音パネルを施工した状態を示す断面模式図である。 図3は、本考案の吸音パネルの吸音率、残響時間を示すグラフである。
符号の説明
1 吸音パネル
2 パネル本体
3 貫通孔
4 有孔部
5 グラスウール
6 ガラスクロス
7 寒冷紗
8 空気層
9 枠体
10 躯体

Claims (2)

  1. 多数の貫通孔が配列されてなる有孔部を有するパネル本体と、前記パネル本体の裏面に取り付けられて前記有孔部の裏面側を覆う板状のグラスウールを有する吸音パネルであって、前記グラスウールは、その全面あるいはパネル本体と接する面を除く全面がガラスクロスで被覆されていることを特徴とする吸音パネル。
  2. 前記グラスウールが寒冷紗を介して前記パネル本体の裏面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸音パネル。
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