JP3138589B2 - 磁気記録再生装置のブレーキ構造 - Google Patents

磁気記録再生装置のブレーキ構造

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JP3138589B2
JP3138589B2 JP06096457A JP9645794A JP3138589B2 JP 3138589 B2 JP3138589 B2 JP 3138589B2 JP 06096457 A JP06096457 A JP 06096457A JP 9645794 A JP9645794 A JP 9645794A JP 3138589 B2 JP3138589 B2 JP 3138589B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁気記録再生装置な
どに用いられる回転するリールのブレーキ構造に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の磁気記録再生装置におけ
るブレーキ構造を示す図である。図において、1はベー
ス、2はブレーキアーム、3は磁気テープの巻回された
リールと一体的に回転するリール台である。4はブレー
キアーム2に付勢力を付与するばねである。ブレーキア
ーム2は、ベース1上に配設された軸1aに回転可能に挿
入され、回転支点2aと弾性を有したたわみ部2bを介した
補助アーム部2cとばね4に係合するフック部2dとから構
成されている。5は、補助アーム部2cに配設されたブレ
ーキパッドである。リール台3は、ベース1上に配設さ
れた軸1bに回転可能に挿入され、回転支点3aとリール台
3の外周に設けられブレーキパッド5と摺動するブレー
キ摺動部3bとを有している。
【0003】このように構成されたブレーキ構造の動作
について、図6に基づいて説明する。カセットテープ
(図示せず)の早送りまたは巻戻しでリール台3がA方
向に回転するとき、これを停止させる場合を考える。ば
ね4の付勢力によりB方向に回転したブレーキアーム2
は、ブレーキパッド5をリール台3の外周に設けられた
ブレーキ摺動部3bに押し当てる。このとき、ブレーキパ
ッド5はブレーキ摺動部3bによりCの方向へ摩擦力を受
けることになる。ブレーキパッド5は、弾性を有したた
わみ部2bを介して設けられた補助アーム部2cに取り付け
られているので、補助アーム部2cはたわみ部2bの変形に
よる反発力を受けながら摩擦力によりDの方向に変位す
る。このように、ブレーキアーム2はリール台3のブレ
ーキ摺動部3bからの摩擦力と補助アーム部2cの変位によ
り、さらにBの方向に回転し、ブレーキパッド5をブレ
ーキ摺動部3bに押し当てて食い込ませてゆくことによ
り、強い摩擦力によってリール台3の回転は停止する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような構成のブ
レーキ構造では、高速で回転する磁気テープのリールを
何度も停止させているうちに、ブレーキパッド5とリー
ル台3のブレーキ摺動部3bの摩擦熱により、ブレーキパ
ッド5が溶けて変質し、その摩擦係数が高くなり、ブレ
ーキ力が大きくなり過ぎるので、長期間にわたって常に
安定したブレーキ動作を行えないという問題点があっ
た。また、リール台のスムーズな停止動作を行うため
に、摩擦力の小さいブレーキパッドを用いると、その磨
耗が激しいという問題点もあった。
【0005】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、第1の目的は、高速で回転する
リール台を長期間にわたって常に安定して停止させるこ
とのできる磁気記録再生装置のブレーキ構造を得ようと
するものである。また、第2の目的は、安価でかつ長期
間の常に安定したブレーキ動作の行える構成のブレーキ
構造を得ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の磁気記録再生
装置のブレーキ構造に係わる発明においては、磁気テー
プを巻回したリールと一体的に回転するリール台の外周
にパッド部を押圧してブレーキ力を作用させる磁気記録
再生装置のブレーキ構造であって、パッド部を通るリー
ル台の半径線を境として一方側に回転支点を有するブレ
ーキアームを設け、このブレーキアームには前記半径線
を境として回転支点とは反対側の位置に設けられた弾性
を有したたわみ部を介して補助アーム部を備え、この補
助アーム部にパッド部を配設してパッド部がたわみ部の
弾性によって変位可能に構成しするとともに、パッド部
のリール台外周への押圧方向にブレーキアームを付勢す
る付勢手段を設けた磁気記録再生装置のブレーキ構造に
おいて、パッド部は第1パッドと第2パッドを有し、パ
ッド部のリール台の外周への押圧に際しては、第1パッ
ドからリール台の外周に当接するよう構成したものであ
る。
【0007】また、請求項2の磁気記録再生装置のブレ
ーキ構造に係わる発明においては、上記請求項1の構成
において、第1パッドの摩擦係数を第2パッドの摩擦係
数よりも小さくしたものである。また、請求項3の磁気
記録再生装置のブレーキ構造に係わる発明においては、
上記請求項1の構成において、第2パッドがたわみ部か
ら分岐され所定の弾性を有した第2の補助アーム部上に
配設されるように構成したものである。また、請求項4
の磁気記録再生装置のブレーキ構造に係わる発明におい
ては、上記請求項1項、2項または3項の構成におい
て、少なくとも1つのパッドは補助アーム部と一体形成
されたものである。
【0008】
【作用】請求項1の構成による磁気記録再生装置のブレ
ーキ構造においては、リール台の回転の停止に際して
は、まず第1パッドから回転するリール台の外周に当接
し、リール台の回転速度をある程度減速させてから、第
2パッドがリール台の外周に当接し、リール台の回転を
さらに減速させて停止する。請求項2の構成による磁気
記録再生装置のブレーキ構造においては、まず摩擦係数
の小さい第1パッドから回転するリール台に当接するの
で、回転するリール台を急減速させない。請求項3の構
成による磁気記録再生装置のブレーキ構造においては、
所定の弾性を有した第2の補助アーム部上に配設された
第2パッドがリール台の外周に当接した状態において、
このパッドの摩擦係数と第2の補助アームの反発力との
相乗効果により最適な摩擦力でリール台の回転を停止さ
せる。請求項4の構成による磁気記録再生装置のブレー
キ構造においては、少なくとも1のパッドは補助アーム
部の端面の一部で代用できる。
【0009】
【実施例】
実施例1.図1は、この発明の請求項1の磁気記録再生
装置のブレーキ構造を示す図である。図1において、1
はベース、2はブレーキアーム、3は磁気テープの巻回
されたリールと一体的に回転するリール台である。4は
ブレーキアーム2に付勢力を付与するばねである。ブレ
ーキアーム2は、ベース1上に配設された軸1aに回転可
能に挿入され、回転支点2aと弾性を有したたわみ部2bを
介した補助アーム部2cとばね4に係合するフック部2dと
から構成されている。
【0010】6および7は、それぞれブレーキパッドで
あり、ブレーキパッド6と7は図1に示すように所定の
段差を有して補助アーム部2cに配設され、ブレーキパッ
ド6およびブレーキパッド7は摩擦係数の異なった材質
の材料あるいは同一材質の材料で構成されている。リー
ル台3は、ベース1上に配設された軸1bに回転可能に挿
入され、回転支点3aとリール台3の外周に設けられブレ
ーキパッド6および7と摺動する摺動部3bとを有してい
る。
【0011】このように構成された磁気記録再生装置の
ブレーキ構造の動作について、図1および図2に基づい
て説明する。図1において、カセットテープ(図示せ
ず)の早送りまたは巻戻しでリール台3がA方向に回転
するとき、これを停止させる場合を考える。ばね4の付
勢力によりB方向に回転したブレーキアーム2は、まず
補助アーム部2cの先端部に取り付けられたブレーキパッ
ド6をリール台3の外周に設けられた摺動部3bに押し当
てる。このとき、ブレーキパッド6は摺動部3bによりC
の方向へ摩擦力を受けることになる。ブレーキパッド6
は、弾性を有したたわみ部2bを介して設けられた補助ア
ーム部2cに取り付けられているので、補助アーム部2cは
たわみ部2bの変形による反発力を受けながら摩擦力によ
りDの方向に変位する。
【0012】このように、ブレーキアーム2は、リール
台3の外周に設けられた摺動部3bからの摩擦力と補助ア
ーム部2cの変位により、さらにBの方向に回転し、ブレ
ーキパッド6を摺動部3bに押し当てて食い込ませて行
き、図2に示すようにブレーキパッド7もリール台3の
外周の摺動部3bに押し当てられた状態になる。この状態
では、ブレーキパッド6および7ともリール台3の摺動
部3bに当接しているが、リール台3の回転が速いほどブ
レーキパッド6および7には摩擦力がCの方向に働き続
ける。この結果、ブレーキアーム2のたわみ部2bの変形
により、ブレーキパッド6はCの方向に逃げる。従っ
て、ブレーキパッド7には、たわみ部2bの変形に伴う反
発力がますます強く加わることになる。
【0013】このように、まず、ブレーキパッド6を用
いてリール台3の回転をある程度減速させた後に、ブレ
ーキパッド7を用いてリール台3をさらに減速させて停
止するようにしているで、リール台3は急激な停止をす
ることはなく、スムーズな停止を可能とする。また、急
激な停止をしないのでブレーキパッド6および7はいず
れも摩擦熱の発生も少なくなり、従って、長期間にわた
って頻度高くブレーキ動作を行ってもブレーキパッド6
および7の摩擦熱による変質を防止することができる。
なお、ブレーキパッド6によるリール台の回転の減減速
作の開始時において、ブレーキパッド6の摩擦係数が高
いと、リール台を急減減させる恐れがあるが、ブレーキ
パッド6の摩擦係数をブレーキパッド7の摩擦係数より
も小さくしておけば、リール台回転の急減速を確実に防
止することがでる。
【0014】実施例2.図3は、この発明の請求項2の
磁気記録再生装置のブレーキ構造を示す図である。図3
において、1はベース、2はブレーキアーム、3は磁気
テープの巻回されたリールと一体的に回転するリール台
である。4はブレーキアーム2に付勢力を付与するばね
である。ブレーキアーム2は、ベース1上に配設された
軸1aに回転可能に挿入され、回転支点2aと弾性を有した
たたわみ部2bを介した補助アーム部2cとばね4に係合す
るフック部2dとから構成されている。さらに、ブレーキ
アーム2には、たわみ部2bより分岐して補助アーム部2c
と所定の空間を設けてほぼ平行に配設され、所定の弾性
を有した第2の補助アーム部8が形成されている。
【0015】9および10は、それぞれブレーキパッドで
あり、図3に示すように、ブレーキパッド9は補助アー
ム部2cの端面に取り付けられており、また、ブレーキパ
ッド10はブレーキパッド9と所定の段差を有して第2の
補助アーム部8に取り付けられている。なお、実施例1
と同様に、ブレーキパッド9およびブレーキパッド10を
構成する材料は、それぞれ摩擦係数の異なった材質の材
料であっても、同一の材質の材料であってもよい。リー
ル台3は、ベース1上に配設された軸1bに回転可能に挿
入され、回転支点3aとリール台3の外周に設けられブレ
ーキパッド9および10と摺動する摺動部3bとを有してい
る。
【0016】このように構成された磁気記録再生装置の
ブレーキ構造の動作について、図3および図4に基づい
て説明する。図3において、カセットテープ(図示せ
ず)の早送りまたは巻戻しでリール台3がA方向に回転
するとき、これを停止させる場合を考える。ブレーキパ
ッド9がリール台3の外周の摺動部3bに食い込むまで
は、上述した実施例1の場合と同様である。ブレーキア
ーム2が図4に示す状態までB方向に回転すると、ブレ
ーキパッド7がリール台3の外周の摺動部3bに押し当て
られる。
【0017】この状態ではブレーキパッド9および10
は、ともにリール台3の外周の摺動部3bに当接している
が、リール台3の回転が速ければ、ブレーキパッド9に
は摩擦力がCの方向に働き続ける。この結果、ブレーキ
アーム2の弾性を有したたわみ部2bの変形によって、ブ
レーキパッド9はCの方向へ逃げ、ブレーキパッド10
は、主として弾性を有した第2の補助アーム部8の変形
による反発力によって、リール台3の外周の摺動部3bに
押し当てられることになる。
【0018】従って、第2の補助アーム部8の剛性の強
さをこの第2の補助アーム部8に取り付けられたブレー
キパッド10の摩擦係数の大小に合わせて適切に調整すれ
ば、最適な摩擦力でリール台3の回転を停止させること
ができる。なお、第2の補助アーム部8はブレーキアー
ム2のたわみ部2bより分岐された構成になっているが、
全く独立した構成としても同様の効果が得られる。
【0019】実施例3.実施例1あるいは実施例2の磁
気記録再生装置のブレーキ構造において、複数のブレー
キパッドのうちの少なくともいずれか1つのブレーキパ
ッドを、これが取り付けられている補助アーム部と同一
材料で一体形成した構成としてもよい。このような構成
により、実施例1あるいは実施例2と同様の効果が得ら
れるとともに、かつ、安価なブレーキ構造を提供するこ
とができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明による磁
気記録再生装置のブレーキ構造においては、リール台の
回転の停止に際して、まず第1のブレーキパッドからリ
ール台の外周に当接させ、リール台の回転速度がある程
度減速されてから、第2のブレーキパッドを当接させて
停止するようにしたので、リール台の回転を急激に停止
をさせることなく、スムーズに停止させることができ
る。さらに、第1および第2のブレーキパッドの摩擦熱
の発生を少なくするので、それぞれのブレーキパッドの
摩擦熱による変質を防止でき、長期間にわたって常に安
定したブレーキ動作を行える。また、請求項2の発明に
おいては、請求項1の磁気記録再生装置のブレーキ構造
において、第1のブレーキパッドの摩擦係数を第2のブ
レーキパッドの摩擦係数より小さくしたので、第1のブ
レーキパッドによるリール台の急激な回転停止動作によ
る多量の摩擦熱の発生を抑制し、第1のブレーキパッド
の摩擦熱による変質を長期にわたって防止できる。
【0021】また、請求項3の発明においては、請求項
1の磁気記録再生装置のブレーキ構造において、弾性を
有した第2の補助アーム部を設け、この第2の補助アー
ム部の剛性の強さをこれに取り付けられたブレーキパッ
ドの摩擦係数の大小に合わせて適切に調整できるように
したので、最適な摩擦力でリール台3の回転を停止させ
ることができる。また、請求項4の発明においては、請
求項1、2あるいは3の磁気記録再生装置のブレーキ構
造において、複数のブレーキパッドのうちの少なくとも
いずれか1つのブレーキパッドを、これが取り付けられ
ている補助アーム部と同一材料で一体形成した構成とし
たので、安価で、かつ、安定性のよいブレーキ構造を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例による磁気記録再生装置
のブレーキ構造を示す平面図である。
【図2】この発明の第1実施例による磁気記録再生装置
のブレーキ構造の動作状態を示す平面図である。
【図3】この発明の第2実施例による磁気記録再生装置
のブレーキ構造を示す平面図である。
【図4】この発明の第2実施例による磁気記録再生装置
のブレーキ構造の動作状態を示す平面図である。
【図5】従来の磁気記録再生装置のブレーキ構造を示す
平面図である。
【図6】従来の磁気記録再生装置のブレーキ構造の動作
状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ベース 2 ブレーキアーム 2b たわみ部 2c 補助アーム部 3 リール台 3b ブレーキ摺動部 4 ばね 6 ブレーキパッド 7 ブレーキパッド

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気テープを巻回したリールと一体的に
    回転するリール台の外周にパッド部を押圧してブレーキ
    力を作用させる磁気記録再生装置のブレーキ構造であっ
    て、 前記パッド部を通る前記リール台の半径線を境として一
    方側に回転支点を有するブレーキアームを設け、 このブレーキアームには前記半径線を境として前記回転
    支点とは反対側の位置に設けられた弾性を有したたわみ
    部を介して補助アーム部を備え、 この補助アーム部に前記パッド部を配設して前記パッド
    部が前記たわみ部の弾性によって変位可能に構成すると
    ともに、前記パッド部の前記リール台外周への押圧方向
    に前記ブレーキアームを付勢する付勢手段を設けた磁気
    記録再生装置のブレーキ構造において、 前記パッド部は、第1パッドと第2パッドとを有し、前
    記パッド部の前記リール台の外周への押圧に際しては、
    第1パッドから前記リール台の外周に当接するよう構成
    されたことを特徴とする磁気記録再生装置のブレーキ構
    造。
  2. 【請求項2】 第1パッドは第2パッドより摩擦係数が
    小さいことを特徴とする請求項1項記載の磁気記録再生
    装置のブレーキ構造。
  3. 【請求項3】 第2パッドが、前記たわみ部から分岐さ
    れ所定の弾性を有した第2の補助アーム部上に配設され
    たことを特徴とする請求項1項記載の磁気記録再生装置
    のブレーキ構造。
  4. 【請求項4】 第1パッドあるいは第2パッドのうち、
    少なくとも1つは補助アーム部と一体形成されたことを
    特徴とする請求項1項、2項または3項記載の磁気記録
    再生装置のブレーキ構造。
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