JP3137787U - ログ材 - Google Patents
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Abstract
ログ材(1)は、第一木口面(3)を側方に向けて配された一対の第一板材(4)と、第一板材(4)の第一木口面(3)に直交するように第二木口面(5)が配された第二板材(6)とによって構成され、第一板材(4)及び第二板材(6)が当接する当接面にそれぞれ接着剤を塗布し、プレス加工によって強固に接着することによってラミネートされたログハウスのログ壁を構築するためのラミネート材である。互いに隣接する板材(4),(6)の木口面(3),(5)が対向しているため、板材(4),(6)が乾燥した際の収縮を抑制することができる。
Description
本発明は、ログ材に関するものであり、セトリングの発生を抑制することが可能なラミネート材からなるログ材に関するものである。
従来から、複数のログ材を組合わせて壁面(ログ壁、またはログウォール)を構築し、ログハウスを建築することが行われている。近年のアウトドア志向によって、従来の別荘やセカンドハウスとしての用途以外に、一般住宅として係るログハウスを建築する人々も増加している。
ログハウスに使用されるログ材は、建築した際の外観の趣や風合いなどによって種々の種類のものが利用されている。例えば、木材を機械によって製材したマシンカットのログ材には、ムクの木材を芯を含んだ状態でカットした芯持ち材、芯の部分を外してカットした芯去り材、及び複数の板材を接着剤を利用して張り合わせたラミネート材などがある。また、これらのログ材の断面形状の違いによって、丸ログ、角ログ、Dログ、及びタイコログ等に大別することができる。さらに、これらのログ材は、上下方向に積重するためのグルーブや、直交方向に交差させて組上げるためにノッチが設けられている。これにより、多段に積重したログ材によってログ壁を構築することができる。
ここで、ラミネート材からなるログ材100は、図7に示されるように、一対の芯去り材101を木表同士を接着剤で張合わせることによって構成されている。木材は、一般に乾燥によって収縮し、木表102から「割れ」が生じることが知られている。そこで、互いの木表102同士を張り合わせることにより、芯去り材101の木表102の辺縁近傍は、乾燥による収縮によって当接面の方向に向かう力が作用し、互いに押し付け合うようになる。一方、木表102の中心部分は、木裏103の方向に向かう力が作用する。これにより、互いの芯去り材101同士の密着性が向上し、張り合わされたログ材100の強度を高めることができる。さらに、上述した「割れ」の問題の他に、ムクのログ材で発生する「ねじれ」等を解消することができる。そのため、芯持ち材や芯去り材に比べ、施工後の収縮などの変化を抑えることができる。換言すれば、従来のログ材よりも性能が優れ、近年では特に多用されるようになっている。
ここで、ラミネート材に用いられる木材(板材)は、張合わせ作業の前に予め所定の含水率以下(例えば、15%前後)になるように乾燥処理が行われている。しかしながら、これらの乾燥処理の後であっても、ログハウスの施工された施工地の気候や周囲の環境条件によって、ログ材の含水率は大きく変化することがある。そのため、多段に積重されたログ材100からなるログ壁104は、乾燥による収縮及び自重によって、施工から数年を経過すると、図8に模式的に示したように、当該ログ壁104の高さYが低くなることがある。なお、この高さYの変化は、当初高さに対して3%前後縮むこともある。
そして、これらの収縮によって、ログ壁104と天井部分の間に隙間が形成され、室内への雨水や湿気の浸入、或いは外気の侵入によって室内温度を一定に保持することができなくなる等の不具合を生じることがある。加えて、ログ材100の収縮によるログ壁104の高さYの変化によって、ログ壁104の間に配設された窓枠(図示しない)に過剰な負荷が加えられることが想定された。すなわち、ログ壁104の高さYが高さY’に変化することによって、窓枠を押し潰し、変形させたり、或いは窓の開閉ができなくなったり、ガラスにヒビ割れを生じさせるなどの問題を生じることがあった。
これらのログ材の収縮の現象(一般に「セトリング」と呼ばれる)は、ログハウスを施工する上で不可避の問題であった。そのため、かかるセトリングに対応するために、施工時に予めログ材100の乾燥による収縮量を想定した空間(セトリングスペース)を設ける作業が行われている。具体的に説明すると、窓枠の上部に位置するログ材100にトリムボード(図示しない)を取設し、さらに該トリムボードとログ材100と天井の間に空間を形成する。なお、該空間には断熱材などが充填されることが多い。これにより、ログ材100が収縮した場合であっても、窓枠に直接ログ材100が当接することがなく、また充填された断熱材によって外気温を遮断し、室内を快適な状態にすることができる。
さらに、ログハウスの各所には、係るセトリングに対応するための対策が個々に施されており、例えば、配管の連結部分には伸縮自在な伸縮継ぎ手を用いたり、階段部分やログ壁の一部には、セトリングに対応可能なようにスライド部材を設け、収縮に応じて連結箇所を締結し直すことができるようになっているものもある。また、ログハウスの基礎となるコンクリートのベースの上に高さ方向の調整が可能なスクリュージャッキを配設し、ベースと支柱との間にセトリングスペースを設け、セトリングによる収縮に応じてログ壁の高さを調整するものも知られている。
また、土台に一段目のログ材をコーチボルトで固着し、さらにその上に多段にログ材を載置し、緊結ボルトで緊結するログ壁において、このコーチボルト又は緊結ボルトを、ログ材の高さに相応する長さのネジを下端に有するボルト部と、ボルト部の上端に該ネジと螺合可能なネジ孔が設けられたナット部と、ボルト部及びナット部の間に一体化された受け座金とを具備するものを用いるものが知られている(特許文献1参照)。これにより、ログ材に貫設されたボルト挿入孔に緊結ボルト等をボルト部を挿入し、下段のネジ孔に螺合させることにより、互いボルトを連結し、さらに受け座金によって下段のログ材を締め付けて組み付けることにより、上述したセトリングを解消することができる。
しかしながら、上述したセトリングスペースを設ける作業を含むログハウスの施工は、以下に掲げるような問題を生じることがあった。すなわち、セトリングの発生する箇所は、ログハウスの全体に存在し、それぞれの場所に対してセトリングスペースを設定することは工程数が増大し、作業者に多大な労力の負担を強いることがあった。さらに、セトリングは、使用するログ材の種類或いはログハウスを施工する施工場所の周囲環境や気候等によってその度合いが大きく変化し、セトリングスペースの設定量を見極めることは熟達した経験を要することがあった。また、係る工程数の増大により、施工期間が長期化することがあった。また、ログハウスの施工後であっても、ログ壁のセトリングを抑制するものは、作業工数及び施工コストを増大することがあった。そのため、施工主及びログハウスを施工するログハウスメーカーは、比較的簡易な構造でセトリングの発生を抑え、施工時の作業を簡易化し、さらに施工後のメンテナンス作業を容易に行うことができるログ材を望む声が大きかった。
そこで、本発明は、乾燥による収縮を抑え、セトリングスペースの設定及び係る工程を省略することが可能なログ材の提供することを課題とするものである。
本発明にかかるログ材は、「それぞれの第一木口面を同一方向に一致させて配された一対の第一板材と、前記第一板材の前記第一木口面と直交する方向に第二木口面を向け、前記第一板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされた第二板材と」を主に具備して構成されている。
ここで、ログ材は、従来からログハウスに用いられる複数の板材を接着剤を利用して互いに張り合わせて形成されるラミネート材から構成されている。このとき、一対の第一板材と第二板材とを張り合わせるために、PVAc(ポリ酢酸ビニル樹脂)などの強固な接着強度及び板材による呼吸を妨げない、従来から周知の接着剤を利用することが可能である。なお、これらの接着剤を用いて板材を張り合わせた後に、油圧プレスによって長時間圧力を加えて、ラミネート加工を行うものや、接着剤に高周波を照射し、接着剤の化学変化を促進して、硬化させる加工が一般に行われている。
ここで、第一木口面または第二木口面とは、丸太などの木材を板材に製材する際の丸太の断面に相当する面(年輪が視認される面)である。一方、木口面に直交する面としては、繊維方向(年輪方向)に沿って製材された場合の柾目面、または年輪の接線方向に沿って製材された板目面とが知られている。
したがって、本発明のログ材によれば、少なくとも三枚の板材によって構成され、互いの第一木口面を一致させた一対の第一板材と、第一板材の第一木口面に直交するように第二木口面を配し、第一板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされた第二板材とを具備している。すなわち、両側の第一板材と間に挟み込まれる第二板材との間の年輪の方向を互いに直交するようにしてラミネートされている。ここで、第一板材は、それぞれの木裏面が外側に向くように配されている。
ここで、木材の収縮は、その年輪(木目)の方向によって収縮率が大きく異なり、一般に成長時の木材の長手方向、換言すれば、板目及び柾目に見られる木目の方向にはほとんど変化しない。一方、木口面での収縮は大きく変化する。そのため、本発明のように、一対の第一板材の間に第二木口面を、第一木口面に直交するようにして第二板材をラミネートすることにより、木目方向の違いによって本発明のログ材の収縮が小さくなる。さらに、具体的に説明すると、乾燥によって第一板材が収縮しようとする場合、直交して配された第二板材はほとんど変化しないため、当該収縮は抑制される。そのため、乾燥によるログ材の高さが変化することがない。
同様に第二板材が、第二木口面の方向に収縮しようとする力が作用する場合であっても、両側に配されたそれぞれの第一板材によって当該方向への収縮を抑制することが行われる。そのため、ログ材はラミネート加工されたままの形状及びサイズを保持することができる。これにより、ログ材の収縮を抑制し、上述したセトリングを解消することが可能となる。
さらに、本発明にかかるログ材は、上記構成に加え、「一対の前記第一板材及び前記第二板材の少なくともいずれか二枚は、同一の板幅に形成されている」ものであっても構わない。
したがって、本発明のログ材によれば、第一板材及び第二板材の少なくともいずれか二枚が同一の板幅によって形成されている。すなわち、例えば、互いの第一板材同士が同一の板幅に形成されていることにより、従来のラミネート材からなるログ材を形成する際と同様に、一本の丸太を芯部から分割して第一板材を形成することが可能となり、ログ材のコストを抑えることができ、またログ材の両側の収縮率を略同一に設定することが可能となる。また、第一板材及び第二板材のそれぞれの板幅を同一にすることにより、ログ材に作用する収縮を効率的に分散させ、ログ材のサイズを容易に保持することが可能となる。
さらに、本発明にかかるログ材は、上記構成に加え、「一対の前記第一板材に挟まれる少なくとも二枚以上の前記第二板材を有して形成され、前記第二板材の前記第二木口面と直交する方向に第三木口面を向け、互いに隣り合う前記第二板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされた第三板材と」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明のログ材によれば、一対の第一板材の間に複数枚の第二板材と、それぞれの第二板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされる第三板材とを具備して構成されている。すなわち、本発明のログ材は、第一板材、第二板材、及び第三板材によって少なくとも五層以上の層構造で構成されている。さらに、第三板材の第三木口面は、第二板材の第二木口面に直交するように配されているため、第二板材及び第三板材の間でも収縮による変化を抑制する作用を奏することができる。そのため、ログ材の乾燥による収縮を、さらに小さくすることができる。なお、第一板材の間に挟み込まれる第二板材及び第三板材の数は、特に限定されないが、第二板材及び第三板材の数を増やし過ぎると、加工容易性がなくなり、さらに薄くなった板材による収縮率の抑制作用が十分得られないことが想定される。そのため、第一板材を含めて五層若しくは七層の構造にすることが特に好適と考えられる。
さらに、本発明にかかるログ材は、上記構成に加え、「前記第一板材の前記第一木口面を設置面に対向させ、前記設置面から長手方向を略垂直方向に一致させて配される」ものであっても構わない。
したがって、本発明のログ材によれば、第一板材の第一木口面を設置面に対向し、ログ材全体が設置面から略垂直方向から突出したようにして配されている。このとき、互いに隣り合うログ材同士が連結されることにより、ログ壁が形成されることとなる。ここで、一般のログハウスの場合、ログ材は長手方向を略水平方向に一致させ、下段のログ材の上にさらにログ材を重ねるように形成される(図8等参照)。しかしながら、本実施形態のログ材のように配することで、ログ材の自重が下段のログ材にかかることがなく、ログ材の高さ変化の要因を除去することができる。
以上述べたように、本発明のログ材は、互いに隣接する板材の木口面を直交するように配することで、板材の収縮を当接した板材によって抑制することが可能となる。これにより、ログ材全体の収縮が相殺され、元の状態のサイズ及び形状を保持することができる。そのため、ログハウスの施工時に、予め収縮量を想定したセトリングスペースを設ける作業を行う必要がなくなり、係る工程数の削減によって施工期間を短縮し、施工コストを低下させることができる。加えて、作業者の労力の負担を軽減することができる。特に、セトリングを解消するために、特殊な装置を用いることなく、木材が収縮する性質を利用するだけであり、施工作業も従来とほとんど変わらない。その結果、作業者に特殊な作業を習得させるような教育を行う必要がない。さらに、施工後のログハウスの定期的なメンテナンス作業を簡易にすることができる。
以下、本発明の第一実施形態であるログ材1について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態のログ材1の構成を示す斜視図であり、図2はログ材1の構成を示す分解斜視図であり、図3はログ材1の構成を示す正面図であり、図4はログ材1の構成を示す平面図であり、図5はログ材1を多段に積重して構築したログ壁2の一例を示す説明図である。
第一実施形態のログ材1は、図1乃至図5に示されるように、第一木口面3を側方(図3における紙面手前方向または奥行方向に相当)に向けて配された一対の第一板材4と、第一板材4の第一木口面3に直交するように第二木口面5が配された第二板材6とによって構成され、第一板材4及び第二板材6が当接する当接面にそれぞれ接着剤7を塗布することによって張り合わされたログハウス建築用のラミネート材である。なお、図1乃至図4は簡略化のために、木口面3,5側に現れる木目をそれぞれ示し、木口面3,5に直交する面(板目面または柾目面)に現れる木目の図示を省略している。さらに、ログ材1は、ログハウスのログ壁2として構築するために、長手状に形成されているものであるが、図1及び図2にはログ材1の端部近傍を図示している。
さらに、詳しく説明すると、第一板材4は、ログ材1を多段に積重する際に水平方向の移動を抑制し、横ずれを防止するために、第一板材4の上面8から上方に向かって突設された断面台形状の台形突部9と、第一板材4の下面10に設けられた台形突部9の断面形状に一致する台形溝部11とを具備している。また、ログ材1の四隅に相当する角は、上下にそれぞれ面取りが施されている。これにより、ログ材1を多段に積重した場合、下段側のログ材1の台形突部9が、上段側のログ材1の台形溝部11に嵌合された状態となる(図5参照)。これにより、仮にログ材1によって構築されたログ壁2に水平方向(図5における紙面左右方向に相当)の力が作用した場合であっても、台形突部9及び台形溝部11の嵌合により、ログ材1の横ずれが規制される。そのため、ログ壁2の構造を安定して維持することができる。なお、図1及び図3等に示されるように、第一板材4は、それぞれの互いの木裏12がログ材1の外面になるように、換言すれば木表13が第二板材6との当接面となるように接合されている。なお、互いの第一板材4は、木裏が外側に向けられた状態で配されている。
一方、第二板材6は、第一板材4の第一木口面3に直交するように第二木口面5が向けられ、全体が直方体形状を呈して形成されている(図2参照)。なお、本実施形態では、第一板材4及び第二板材6は、互いに同種の木材から製材されたものを用いている。さらに、ログ材1に対するそれぞれの板幅は、略同一となるように形成されている。これにより、本実施形態のログ材1は、一対の第一板材4及び第二板材6によって、それぞれの板幅が同一の三層構造を呈して構成されている。
ここで、第一板材4及び第二板材6の張り合わせは、PVAcからなる接着剤7を各々の当接面に塗布し、両側から強力な圧力によってプレス加工することによって行われている。さらに、具体的に示すと、第一板材4及び第二板材6の互いの当接面に接着剤7を塗布し、張り合わせた後、プレス加工機によって両側から強い力で押圧を継続する。このとき、係る押圧は本実施形態では約24時間継続して行われる。さらに、接着剤7の硬化反応を促進するために、プレス加工機で押圧された状態のログ材1に対して高周波が照射される。これにより、接着剤7を構成する分子の分子運動を活性化し、短時間で強固な接着力を得ることができる。
次に、第一実施形態のログ材1の使用例について説明する。ここで、第一実施形態のログ材1は、図5に模式的に示されるように、複数の該ログ材1を上下方向に多段に積重することによってログ壁2が構築されている。このとき、下段側に位置するログ材1の上面8から突設された台形突部9が、上段側に位置するログ材1の下面10に設けられた台形溝部11に嵌合される。これにより、上段側に位置するログ材1は、台形突部9及び台形溝部11に嵌合によって水平方向(図5における紙面左右方向に相当)の移動が規制される。そして、この積重を繰返すことにより、ログ材1によるログ壁2が完成する。なお、ログ材1同士の接続をさらに強固なものとするために、ボルトやダボなどの締結具(図示しない)が用いられている。なお、係る積重の方法は、従来のログハウスのログ壁を構築する場合と同一である。
これにより、板材4,6が三層にラミネートされたログ材1によってログ壁2が構築される。このとき、本実施形態のログ壁2の構築の際には、ログ材1の最上端と天井との境界、或いは窓枠との間にログ壁2の経年変化による収縮を考慮したセトリングスペースが設けられていない。換言すれば、セトリングスペースを設ける作業を省略して構築されている。
そして、ログハウスを施工した後、数年が経過すると、ログ壁2自体の自重及び周囲の環境条件によるログ材1の乾燥により、ログ壁高さY(図5参照)に収縮しようとする。なお、係る収縮は木口面に沿った方向に収縮しようとする木材の一般的な性質によるものである。
しかしながら、第一実施形態のログ材1は、隣接する板材4,6のそれぞれの木口面3,5が、互いに直交するように配されているため、第一板材4で第一木口面3に沿って収縮しようする力が作用した場合でも、それに直交した第二木口面5を有する第二板材6によってかかる収縮が抑制される。また、第二板材6で第二木口面5に沿って収縮しようする力が作用した場合でも、それに直交した両側の第一木口面3を有する第一板材4によってかかる収縮が抑制される。
これにより、ログ壁2の高さ方向Y及びログ材1の長手方向X(図1参照)のそれぞれの収縮が抑制される。加えて、木口面3,5を直交させることにより、強い力(例えば、ログ壁2自体の自重等)が加えられた場合でも、本実施形態のログ材1は、それに抗することができる。そのため、ログ材1は、ラミネート加工された形成時と、ログハウスの施工後であってもほぼ同一のサイズを維持することができる。その結果、従来のように予め収縮量を考慮したセトリングスペースを設ける必要がなく、施工時に係るセトリングスペースを設定する作業を行う必要がない。さらに、各板材4,6の板幅を同一に形成している、換言すれば、ログ材1の全幅に対して等分の板幅を有して形成されている。これにより、ログ壁高さY及び長手方向Xの収縮を良好に抑制することができる。仮に、第二板材6の板幅が第一板材4の板幅よりも狭かった場合、第一板材4の収縮を十分に抑制することができず、ログ壁高さYが変化する可能性が高くなる。
次に、本発明の第二実施形態のログ材20について、図6に基づいて説明する。ここで、図6は第二実施形態のログ材20の構成を示す斜視図である。なお、第二実施形態のログ材20において、第一実施形態と略同一の構成を示すものは、同一番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
第二実施形態のログ材20は、図6に示されるように、第一木口面21を側方に向けて配された一対の第一板材22と、第一板材22の第一木口面21に直交するように第二木口面23が配された一対の第二板材24と、第二板材24の第二木口面23に直交し、かつ第一板材22の第一木口面21に平行な第三木口面25を有する第三板材26とによって構成されている。すなわち、図6に示されるように、一対の第一板材22の間に一対の第二板材24が挟み込まれ、さらに一対の第二板材24の間に一枚の第三板材26が挟み込まれている。なお、各板材22,24,26の間は第一実施形態で示した接着剤7によって強固に張合わされている。
これにより、第一実施形態のログ材1による効果に加え、第三木口面25を有する第三板材26によって、ログ材20の収縮をさらに抑えることができる。なお、収縮を抑制する原理については、第一実施形態において既に説明をしたため、ここでは省略するものとする。
上記に説明したように、第一実施形態及び第二実施形態のログ材1,20によって、ログハウスを施工した際の収縮を極力抑えることができる。これにより、木材の性質を利用した比較的簡易な構成で、従来から行われていたセトリングスペースを設ける作業を省略することができ、施工コスト及びメンテナンスコストなどを削減することができる。さらに、作業者がセトリングスペースを設ける複雑な作業を行うことがないため、施工期間を短縮し、かつ作業者に多大な労力を課することがない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、第一実施形態及び第二実施形態のログ材1,20において、角形状の断面形状を有するものを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、種々の断面形状を有するログ材に本発明を適用することができる。さらに、第一実施形態及び第二実施形態のログ材1,20において、複数の板材4,6等を水平方向(図3における紙面左右方向に相当)に積層するものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、六枚の板材を上下にそれぞれ三層配するような構造を採用することも可能である。これにより、各板材の収縮率を適宜分散させることができる。
また、第一実施形態または第二実施形態のログ材1,20とともに、既存のセトリングを解消するための部材(例えば、スライド部材)等を組み合わせてログハウスを建築することも可能である。これにより、セトリングに係る問題を確実に解消することができる。
さらに、第一実施形態または第二実施形態のログ材1,20において、いずれもログ材1,20の長手方向(例えば、図1における長手方向X参照)を略水平方向に一致させ、複数のログ材1,20を多段に積重してログ壁2等を形成するものを示したがこれに限定されるものではない。例えば、ログ材1等の長手方向Xを略垂直方向に一致させ、横方向に複数のログ材1,20を並設するようにしてログ壁を構築するものであってもよい(図示しない)。これにより、個々のログ材1,20に対し、その他のログ材の重量が加わることがないため、施工後のログ壁の高さの変化に影響を及ぼすことがほとんどない。加えて、現行の日本における建築法上の規制条件をログ材1を縦に配することによって緩和することができるようになる。
Claims (4)
- それぞれの第一木口面を同一方向に一致させて配された一対の第一板材と、
前記第一板材の前記第一木口面と直交する方向に第二木口面を向け、前記第一板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされた第二板材と
を具備することを特徴とするログ材。 - 一対の前記第一板材及び前記第二板材の少なくともいずれか二枚は、
同一の板幅に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のログ材。 - 一対の前記第一板材に挟まれる少なくとも二枚以上の前記第二板材を有して形成され、
前記第二板材の前記第二木口面と直交する方向に第三木口面を向け、互いに隣り合う前記第二板材の間に挟み込まれた状態でラミネートされた第三板材と
をさらに具備することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のログ材。 - 前記第一板材の前記第一木口面を設置面に対向させ、前記設置面から長手方向を略垂直方向に一致させて配されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のログ材。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2004/016538 WO2006048945A1 (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | ログ材 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3137787U true JP3137787U (ja) | 2007-12-13 |
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Family Applications (1)
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