JP3132560U - ログ壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】セトリングが生じ難く、施工が容易で、施工時のセトリング対策作業に伴う労力負担や経済負担を軽減することができ、且つ、セトリングの進行に応じた施工後のメンテナンス作業の煩雑さや労力負担を軽減することができる、ログ壁を提供する。
【解決手段】ログ壁5は、複数の長尺のログ材1が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重されて構築されるログ壁5であって、それぞれのログ材1は、上面に長手方向に沿って設けられた凸条部21及び下面に凸条部21と嵌合可能に設けられた凹条部31を具備し、凸条部21の凸面21aと凹条部31の凹面31bとは、ログ材1の長手側面15から3〜4cmまでの表層部10より内方の内層部20に設けられており、下段側のログ材1の凸条部21と上段側のログ材1の凹条部31とが接合されると共に、凸面21a及び凹面31bは断熱材及び空隙を介することなく密着して当接している。
【選択図】図1

Description

本考案は、ログ壁に関するものであり、特に、長尺のログ材が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重されて構築されるログ壁に関するものである。
ログ材を積重してログ壁が構築されたログハウスでは、いわゆる「セトリング」が問題となっている。これは、ログ材の乾燥による収縮、及び、自重による圧縮によって、ログ壁の高さが経時的に低下する現象を言う。このログ壁の高さの低下(セトルダウン)の程度は、木材の種類や積重前に行われる乾燥の度合い等によっても異なるが、一般的に当初高さに対して3〜8%も高さが低下する。その結果、窓やドアなどの建具が圧迫され、建具が変形する、窓ガラスにひび割れが生じる、給排水管・ガス管等の配管類に負荷がかかる、階段が上階の床の高さと合わなくなる、等の種々の不具合を生じる。
そこで、従来より、ログハウスの施工に際しては、建具を取付ける開口部の上部とログ壁との間に、予めログ材の収縮分を見越した空隙(セトリングスペース)を設ける作業が行われている。このようなセトリングスペースは、収縮しない間仕切り壁と天井との間にも設ける必要がある。そして、セトリングスペースを設けるに際しては、気密性や水密性を保持するために空隙に断熱材や防水材を充填する作業や、空隙を覆って目隠しをするトリムボードを取付ける作業も行われる。また、他のセトリング対策として、セトルダウンに伴って建具や間仕切壁等とログ壁とを相対的にスライド可能とするために、ログ壁にキーウェイ(溝)を設けたり、棚や階段等とログ壁或いは床との相対的な高さを可変とするために、長孔を有するスライド部材を介して螺子やボルト等を留付けたりする作業が行われることもある。或いは、階段の下部にスペーサーをはさむ、配管類を伸縮可能な継手で接続する、支柱の上部または下部にスクリュージャッキを設ける等、ログ壁のセトリングの進行に応じて高さの調整を行うための構成を設ける作業が行われることもある。
しかしながら、このようなセトリング対策の作業には、実際にセトルダウンする量の予測が困難であるという問題があった。また、作業工程数が増加するため、作業者の労力負担が増すと共に、施工期間が長期化し、施工コストが嵩むという問題があった。
加えて、セトリングは施工後の数ケ月間に著しく、その後は進行が緩やかになるものの3〜5年は進行し続けるため、セトリングの進行に伴って、スペーサーを抜き取る、スライド用の留付け具、配管の伸縮継手、スクリュージャッキの調整を行う等の作業を、段階的に長期間にわたって行うことが必要であった。また、ログ壁の横ずれを防ぐために、要所で桁から土台までログ壁を貫通するように設けられる通しボルトも、セトリングによって留付けが緩むため、適宜締め直すことが必要であった。そのため、ログ壁の構築時における種々のセトリング対策作業に加え、施工後の数年間にわたって、セトリングの進行に応じた上記のメンテナンス作業も必要であり、労力負担が大きく作業も煩雑であるという問題があった。
そこで、本考案は上記の実情に鑑み、セトリングが生じ難く、施工が容易で、施工時のセトリング対策作業に伴う労力負担や経済負担を軽減することができ、且つ、セトリングの進行に応じた施工後のメンテナンス作業の煩雑さや労力負担を軽減することができる、ログ壁の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本考案に係るログ壁は、「複数の長尺のログ材が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重されて構築されるログ壁であって、それぞれのログ材は、上面に長手方向に沿って設けられた凸条部、及び、下面に長手方向に沿って前記凸条部と嵌合可能に設けられた凹条部を具備し、前記凸条部の凸面と前記凹条部の凹面とは、前記ログ材の長手側面から3〜4cmまでの表層部より内方の内層部に設けられており、下段側の前記ログ材の前記凸条部と上段側の前記ログ材の前記凹条部とが接合されると共に、前記凸面及び前記凹面は断熱材及び空隙を介することなく密着して当接している」ものである。
「凸条部」及び「凹条部」は、その嵌合によって上下に積重されるログ材を接合すると共に、横ずれ(水平方向のずれ)を防止するものであり、それぞれ、「サネ」及び「サネ溝」と称されることもある。また、「凸面」とは、凸条部において最も高い位置にある面であり、ログ材が積重される際に、略水平となるように形成することができる。更に、「凹面」とは、凹条部において最も低い位置にある面であり、ログ材が積重される際に、略水平となるように形成することができる。
従来のログ壁では、下段のログ材のサネと上段のログ材のサネ溝との間には、意図的に空隙を形成するのが、いわば、当業者にとっての「従来の常識」であった。これは、ログ材の経時的な収縮に伴ってサネとサネ溝がぶつかり合って両者間の良好な係合が阻害されることを危惧し、予め、サネとサネ溝とをゆるめの係合状態にしておくものであった。しかしながら、本考案では、敢えて「従来の常識」に反する構成とし、凸条部の凸面と凹条部の凹面がぴったりと密着して当接するようにログ材を積重する。このとき、それぞれのログ材において、長手側面から3〜4cmまでの「表層部」より更に内方の「内層部」で、凸面と凹面とが密着して当接するようにする。これは、鋭意研究の結果、ログ材における水分含有量は、長手側面に近い表層の部分では周囲環境の湿度変化等に影響を受けて変化するが、長手側面から3〜4cmを超えた内部の層では、水分含有量が経時的にほとんど変化しないことを見出したことによる。ここで、「長手側面」とは、それぞれのログ材の長手方向に沿った四つの側面のうち、上面及び下面を除いた二側面、すなわち、ログ材を積重してログ壁を構築した際に、ログ壁の内壁または外壁を構成することとなる側面を指す。
また、「従来の常識」として、サネ及びサネ溝との間に形成していた空隙によってログハウスの保温性が低下することを防止するために、空隙に充填されていたグラスウール、ポリウレタンやポリスチレンなどの発泡プラスチック等の「断熱材」は、凸面及び凹面の密着した当接を妨げるため、本考案では充填しない。
上記の構成により、本考案によれば、水分含量が変化し難く乾燥による収縮が生じ難いことが明らかとなった内層部で、下段側のログ材と上段側のログ材をぴったりと当接させて積重することにより、表層部において乾燥による収縮が生じても、ログ壁全体としてのセトルダウンを抑制することができる。これにより、ログハウスの構築の際にセトリングスペースを設ける作業、これに伴う断熱材の充填作業やトリムボードの取付け作業、或いは、セトルダウンの進行に応じて、ログ壁と建具等とを相対的にスライドさせるための構成、或いはログ壁の高さ調節を行うための構成を設ける作業を行う必要のないものとなる。従って、作業工程数の増加により施工期間が長期化し、作業者の労力負担が増すと共に、施工コストが嵩むという、従来の問題を解消することができる。
また、本考案のログ壁ではセトリングが抑制されることから、従来はセトリングの進行に応じて、施工後も3〜5年は必要であったメンテナンス作業を行う必要性を低減することが可能となる。
また、本考案によるログ壁は、上記構成に加え、「それぞれの前記ログ材は、前記表層部の上端及び下端にそれぞれ下方に向かって外側にテーパ状に傾斜した上傾斜部及び下傾斜部を更に具備し、下段側の前記ログ材の前記上傾斜部と上段側の前記ログ材の前記下傾斜部とが当接している」ものとすることができる。
上記の構成により、本考案によれば、ログ材の水分含有量が変化しやすく経時的に収縮し易い表層部では、上下に積重されるログ材が、それぞれ同一方向に傾斜している上傾斜部及び下傾斜部で当接する。ここで、従来の一般的なログ壁では、上下段のログ材は、表層部で略水平な面を有する段部で当接する構成となっていた。このような構成では、表層部が乾燥収縮した際に、内層部が収縮しないことにより、上段側のログ材と下段側のログ材との間で段部の略水平な面の間隙が広がることとなり、表層部が収縮したことが一見して分かり易い。
これに対し、本考案では、表層部でログ材が乾燥収縮しても、上下に積重されたログ材が当接する位置が、上傾斜部及び下傾斜部に沿ってずれるのみであるため、ログ材が収縮したことが分かり難いものとなる。これにより、セトリングが抑制される上記の効果に加えて、外観を重視する場合にも好適なログ壁となる。
更に、本考案によるログ壁は、上記構成に加え、「それぞれの前記ログ材は、繊維方向を上下方向に一致させた第一木材層、及び、繊維方向を長手方向に一致させると共に木表側を前記第一木材層に向けて前記第一木材層を挟み込んで接着された一対の第二木材層を」具備するものとすることができる。
「繊維方向」とは、木材の繊維組織が延びる方向であり、木材が成長する方向と一致する。また、本考案のログ材は「長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重される」ものであるため、「繊維方向を上下方向に一致させた」第一木材層と、「繊維方向を長手方向に一致させた」第二木材層とでは、繊維方向が互いに直交している構成となる。
「木表」は、木材の樹皮に近い側を指し、年輪の中心に近い側を指す「木裏」に対する語である。更に、「第一木材層」及び「第二木材層」と「内層部」及び「表層部」との関係は、特に限定されるものではないが、内層部と表層部との境界では水分含有量の変化率の相違により応力が生じ易いため、内層部及び表層部の境界と第一木材層及び第二木材層の境界とは、一致させない方が望ましい。例えば、内層部を第一木材層、及び第二木材層の一部によって構成させ、内層部と表層部との境界は第二木材層内に存在する構成とすることができる。或いは、表層部を第二木材層、及び第一木材層の一部によって構成させ、内層部と表層部との境界は第一木材層内に存在する構成とすることができる。なお、「第一木材層」と「第二木材層」を構成する木材の種類は、同一であっても異なっていても構わない。
第一木材と第二木材との「接着」は、ポリ酢酸ビニル樹脂などの木材を強固に接着することができる周知の接着剤を使用することができる。また、接着剤により第一木材層及び一対の第二木材層を張り合わせた後、プレス機による加圧処理或いは高周波照射による接着剤の硬化処理を行うことにより、接着状態をより強固なものとすることができる。
一般的に、木材は、繊維方向に直交する方向で大きく乾燥収縮するのに対し、繊維方向ではほとんど乾燥収縮しない性質を有している、従って、上記の構成により、本考案によれば、第一木材層及び第二木材層の繊維方向が直交していることにより、一方の木材層における繊維方向に直交する方向への乾燥収縮が、その方向に繊維方向を一致させており乾燥収縮し難い他方の木材層によって抑制される。これにより、それぞれのログ材で個々に乾燥収縮がより効果的に抑制され、ひいては、ログ壁全体としての乾燥収縮に起因するセトリングを抑制することができる。
また、木材は、繊維方向で大きな圧縮強度を有している。従って、本考案のログ材は、乾燥収縮し難い内層部を主に構成することとなる第一木材層が、繊維方向を上下方向に一致させており、上段に積重されるログ材の荷重によって圧縮され難い構成となっている。これにより、乾燥収縮に起因するセトリングに加え、自重による圧縮に起因するセトリングも効果的に抑制されたログ壁を構築することができる。
更に、木材は木表側に反り返り易い性質を有している。従って、第一木材層を挟み込む一対の第二木材層が、それぞれの木表側を第一木材層に向けて接着されることにより、反りによって第二木材層が第一木材層に押し付けられるような力が作用し、層間の接着状態がより強固なものとなる。
加えて、第二木材層は繊維方向を長手方向に一致させているため、ログ壁の外表面に木材の板目面または柾目面が表れることとなり、複数の木材層を張り合わせた集成材であるログ材を使用しながら、丸太材の風合いを有するログ壁を構築することができる。
以上のように、本考案によれば、セトリングが生じ難く、施工が容易で、施工時のセトリング対策作業に伴う労力負担や経済負担を軽減することができ、且つ、セトリングの進行に応じた施工後のメンテナンス作業の煩雑さや労力負担を軽減することができる、ログ壁を提供することができる。
以下、本考案を実施するための最良の一実施形態であるログ壁、及び、該ログ壁を構成するログ材について、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1(a)は本実施形態のログ壁を構成するログ材の概略構成を示す斜視図であり、図1(b)は本実施形態のログ壁の構成を示す正面図であり、図2(a)は水分含有量の測定を行ったログ材の部位を示す説明図であり、図2(b)はログ材の水分含有量の変化を示すグラフであり、図3は(a)対照例及び(b)本実施形態のログ壁の施工後6月後のセトリングを対比して説明する写真であり、図4は他の実施形態のログ材の概略構成を示す斜視図である。
本実施形態のログ壁5は、複数の長尺のログ材1が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重されて構築されるものであり、ログ材1は、図1(a)に示すように、ログ壁5の内壁または外壁を構成することとなる一対の長手側面15が略平行な、いわゆる角型ログである。そして、それぞれのログ材1は、上面に長手方向に沿って設けられた凸条部21、及び、下面に長手方向に沿って凸条部21と嵌合可能に設けられた凹条部31を具備し、凸条部21の凸面21aと凹条部31の凹面31bとは、ログ材1の長手側面15から3〜4cmまでの表層部10より内方の内層部20に設けられている。
また、本実施形態では、凸条部21は二つが設けられているため、その間に第二凹条部32が形成されている。また、凹条部31も凸条部21に対応して二つが設けられているため、その間に第二凸条部22が形成されている。そして、第二凸条部22は第二凹条部32と嵌合可能な構成となっている。また、第二凸条部22の第二凸面22a、及び第二凹条部32の第二凹面32bも当然ながら、内層部20内に存在する。
加えて、本実施形態では、凸面21a、凹面31b、第二凸面22a、及び第二凹面32bは、それぞれ略水平に形成されている。なお、図中の二点鎖線Xは、表層部10と内層部20との境界を仮想的に示すために、長手側面15から3〜4cmの位置に引いた線であり、これは、後述の他の図においても同様である。また、表層部10と内層部20との境界は、実際には長手側面15に平行に面的に想定されるものである。
更に、本実施形態では、表層部10の上端には、凸面21aから長手側面15まで、下方に向って外側にテーパ状に傾斜した上傾斜部11が設けられ、表層部10の下端には、凹面31bから下方に向って外側にテーパ状に傾斜し、かつ上傾斜部11と同一の傾斜を有する下傾斜部12が設けられている。すなわち、凹条部31を構成する長手方向に沿った一対の内側面のうち、長手側面15側の内側面が上傾斜部11と同一の傾斜を有する下傾斜部12を構成している。
かかる構成のログ材1が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重して構築されるログ壁5は、図1(b)に示すように、下段側のログ材1の凸条部21と上段側のログ材1の凹条部31、及び上段側のログ材1の第二凸条部22と下段側のログ材1の第二凹条部32との嵌合によって、ログ材1が上下方向に接合されることにより組み上げられる。
このとき、凸面21aと凹面31bとの間、及び第二凸面22aと第二凹面32bとの間には、断熱材が充填されたり空隙が形成されたりすることなく、凸面21aと凹面31b、及び第二凸面22aと第二凹面32bとが、それぞれぴったりと当接するように積重される。従って、本実施形態のログ壁5は、上下のログ材1が内層部20において密着して当接している構造となる。
ところで、従来のログ壁100は、図5(a),(b)に例示するように、サネ101及びサネ溝102との間等、上下のログ材間には意図的に空隙105が形成されるのが「常識」であり、空隙105にはグラスウール等の断熱材が充填されていた。これに対し、本実施形態では、上記のように、いわば「従来の常識」に反する構成となっている。これは、以下に示すように、ログ材において、表層部10では経時的に水分含有量が大きく低下するのに対し、内層部20では水分含有量が経時的にほとんど変化しないことを見出したためである。
ログ材の水分含有量の変化は、下記の方法で測定した。湿度及び温度の調整が可能な実験棟内に、ログ材を八段積重してログ壁を構築し、約2000kgのコンクリートブロックを載せて荷重をかけた上で、実験棟内の湿度を65日間で約98%から約20%へ変化させるという、自然界より過酷な環境下に置いた。そして、65日の経過後、ログ壁を鉛直方向に切断し、各ログ材の断面について、図2(a)にP1からP9で示すように、長手方向に直交する方向に沿ってほぼ等間隔に設定した九箇所について、水分含有量の測定を行った。その結果を、図2(b)に示す。ここで、実験開始時のログ材の水分含有量は約14%であり、図2(b)では一点鎖線で示している。なお、65日という期間は、通常ログ材を積重してログ壁を構築した後、著しくセトルダウンする期間である。
図2(b)から明らかなように、両側の長手側面からそれぞれ3〜4cmまでの表層部10では、実験開始時に比べて水分含有量は大きく低下したが、それより内側の内層部20では、水分含有量はほとんど変化しなかった。このことから、ログ材1の内層部20は周囲の環境の変化に関わらず水分含有量が変化し難く、乾燥に起因するログ材1の収縮は、内層部20ではほとんど生じないと考えられた。
すなわち、従来の一般的なログ壁100におけるセトリングは、図6(a)に示すように、もともと表層部10でのみ上下のログ材110が当接しており、内層部20では上下のログ材110の間に間隙部105が形成されているため、図中一点鎖線Yで示すように、表層部10が経時的に乾燥収縮すると、図6(b)に示すように、その分だけ間隙部105を埋めるように上段のログ材110が降下し、全体としてログ壁100がセトルダウンするというしくみであったことが分かった。
これに対し、本実施形態では、ログ壁5を構築する当初から、上下のログ材1が内層部20において密着して当接するように積重されるため、経時的に表層部10で乾燥収縮しても、ほとんど収縮しない内層部20によって、ログ壁の高さが維持される。すなわち、セトリングが生じ難いログ壁5となっている。
実際に、本実施形態のログ壁で構築されたログハウスと、従来と同様に、凸条部及び凹条部との間に空隙を設けて断熱材を充填しつつログ材を積重してログ壁が構築された対照例のログハウスとで、セトリングの発生の程度について比較を行った。なお、本実施形態及び対照例のログ壁の構築に使用したログ材は、ほぼ同形・同サイズで同程度に乾燥処理を施したパイン材であり、両ログハウスは近接した土地にほぼ同時期に構築され、温度・湿度・降水量等の環境も近似している。
ここで、セトリングの発生の比較は、ログ壁の横ずれを防ぐために、要所でログ壁を桁から土台まで貫通するように設けられる通しボルトの留め付けの緩みの程度を比較することにより行った。すなわち、セトリングが発生すると、通しボルトをログ壁に留め付けるためのワッシャやナットに緩みが生じ、ログ壁が収縮した分だけナットを新たにナットを締め付ける必要が生じる。
図3に、対照例及び本実施形態のログ壁について、ログ壁の下端で通しボルトを留め付けるナット及びワッシャの、施工から6ケ月経過後の様子を写真で示す。図3(a)から明らかなように、対照例では、ログ壁の下端とナット及びワッシャとの間に大きく隙間が生じている。また、施工直後にはナット内に隠れていたために塗装が施されていないボルト部分が、ねじ山三つ程度ナットから露呈している(図示矢印A)。これらのことから、ログ壁のセトリングにより、通しボルトの留め付けがかなり緩んでいることが分かる。これに対し、本実施形態のログ壁では、図3(b)に示すように、ログ壁のセトリングによる通しボルトの緩みはほとんど生じておらず、施工直後にはナット内に隠れていたために塗装が施されていないボルト部分で、ナットの新たな締め付けにより現れた部分は、ねじ山一つ程度であった(図示矢印B)。
以上のように、本実施形態のログ壁5によれば、乾燥による収縮が生じ難い内層部20で、下段側のログ材1と上段側のログ材1とがぴったりと当接するように積重されるため、表層部10でログ材1が収縮しても、ログ壁5全体としてのセトリングが抑制される。そのため、ログハウスの施工時に、セトリング対策のための種々の作業を行う必要のないものとなり、セトリング対策のために施工期間が長期化し、作業者の労力負担が増すと共に、施工コストが嵩んでいたという、従来の問題を解消することができる。また、従来では、ログ壁の施工後に、セトリングの進行に応じて長期にわたって必要であったメンテナンス作業の負担を、著しく低減することができる。
また、本実施形態では、上段のログ材1の下傾斜部12と下段のログ材1の上傾斜部11とが当接しているため、表層部10が収縮しても、上下のログ材1の当接位置が、上傾斜部11及び下傾斜部12に沿って相対的にずれるのみであるため、表層部に略水平な段部を有する従来のログ材を用いたログ壁に比べて、表層部におけるログ材の収縮が外観上分かり難いものとなっている。従って、セトリングが抑制されるという効果に加えて、見栄えも良いログ壁を構築することができ、外観を重視する人が多いログハウスの愛好家の要望に応えることができる。
上記のログ材1は、丸太材を用いたムク材であっても、複数の木材層を張り合わせた集成材であっても良い。また、本考案のログ壁は、例えば、次のような構成のログ材2を積重して構築することもできる。
ログ材2は、図4に示すように、繊維方向を上下方向に一致させた第一木材層41、及び、繊維方向を長手方向に一致させると共に木表側を第一木材層41に向けて第一木材層41を挟み込んで接着された一対の第二木材層42による三層構造のログ材である。なお、構成を分かり易くするため、図4では繊維方向に直交する方向の木目(年輪が視認される面の木目)のみを図示している。
また、凸条部21、凹条部31、第二凸条部22、第二凹条部32、上傾斜部11、及び下傾斜部12等については、ログ材1と同様の構成を有しており、同一の符号を付すと共に詳細な説明は省略する。また、ログ材2では、長手側面15から3〜4cmまでの表層部10と、それより内方の内層部20との境界面は第二木材層42内に位置している。
上記の構成により、第一木材層41及び第二木材層42の繊維方向が直交していることにより、一方の木材層における繊維方向に直交する方向への乾燥収縮が、その方向には繊維方向を一致させており乾燥収縮し難い他方の木材層によって抑制される。これにより、それぞれのログ材2で個々に乾燥収縮がより効果的に抑制され、ひいては、ログ壁全体としての乾燥収縮に起因するセトリングを抑制することができる。
また、木材は、繊維方向で大きな圧縮強度を有している。従って、乾燥収縮し難い内層部20を主に構成する第一木材層41が、繊維方向を上下方向に一致させていることにより、上段に積重されるログ材2の荷重を第一木材層41で支持することができ、下段側のログ材2が圧縮され難い。すなわち、乾燥収縮に起因するセトリングに加え、自重による圧縮に起因するセトリングも抑制されるログ壁を構築することができる。
更に、第一木材層41を挟み込む一対の第二木材層42が、それぞれの木表側を第一木材層41に向けて接着されていることにより、反りによって第二木材層42が第一木材層41に押し付けられるような力が作用し、第一木材層41及び第二木材層42層間の接着状態がより強固なものとなる。
更に、第二木材層42は繊維方向を長手方向に一致させているため、ログ壁の外表面に木材の板目面または柾目面が表れることとなり、複数の木材層を張り合わせた集成材であるログ材2を使用しながら、丸太材の風合いを有するログ壁を構築することができる。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本考案のログ壁を構成する個々のログ材として、角型のログ材を使用した場合を例示したが、これに限定されず、丸型、D型、タイコ型等の各種形状のログ材により構築されるログ壁に、本考案を適用することができる。ここで、長手側面が湾曲する形状のログ材の場合は、表層部も長手側面に沿って湾曲するように想定される。
なお、従来では、上述のように、サネとサネ溝の間に空隙を設けてログ材を積重することが、何ら疑問視されることなく常識的に行われてきたのであり、例えば、従来のログ材の積重構造に関する文献の記載において、サネとサネ溝の間の空隙が省略された略図が示されていたとしても、そのことをもって、本考案の拠って立つ技術的思想が開示されていると言うことはできないものである。
(a)本実施形態のログ壁を構成するログ材の概略構成を示す斜視図であり、(b)本実施形態のログ壁の構成を示す正面図である。 (a)水分含有量の測定を行ったログ材の部位を示す説明図であり、b)ログ材の水分含有量の変化を示すグラフである。 (a)対照例及び(b)本実施形態のログ壁の施工後6月後のセトリングを対比して説明する写真である。 他の実施形態のログ材の概略構成を示す斜視図である。 従来のログ壁を例示した正面図である。 従来のログ壁におけるセトリングを説明した説明図である。
符号の説明
1,2 ログ材
5 ログ壁
10 表層部
11 上傾斜部
12 下傾斜部
15 長手側面
20 内層部
21 凸条部
21a 凸面
22 第二凸条部
22a 第二凸面
31 凹条部
31b 凹面
32 第二凹条部
32b 第二凹面
41 第一木材層
42 第二木材層

Claims (3)

  1. 複数の長尺のログ材が長手方向を水平方向に一致させ上下方向に積重されて構築されるログ壁であって、
    それぞれのログ材は、上面に長手方向に沿って設けられた凸条部、及び、下面に長手方向に沿って前記凸条部と嵌合可能に設けられた凹条部を具備し、
    前記凸条部の凸面と前記凹条部の凹面とは、前記ログ材の長手側面から3〜4cmまでの表層部より内方の内層部に設けられており、
    下段側の前記ログ材の前記凸条部と上段側の前記ログ材の前記凹条部とが接合されると共に、前記凸面及び前記凹面は断熱材及び空隙を介することなく密着して当接している
    ことを特徴とするログ壁。
  2. それぞれの前記ログ材は、前記表層部の上端及び下端にそれぞれ下方に向かって外側にテーパ状に傾斜した上傾斜部及び下傾斜部を更に具備し、
    下段側の前記ログ材の前記上傾斜部と上段側の前記ログ材の前記下傾斜部とが当接していることを特徴とする請求項1に記載のログ壁。
  3. それぞれの前記ログ材は、繊維方向を上下方向に一致させた第一木材層、及び、繊維方向を長手方向に一致させると共に木表側を前記第一木材層に向けて前記第一木材層を挟み込んで接着された一対の第二木材層を更に具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のログ壁。
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