JP3043986B2 - 木材組積工法 - Google Patents

木材組積工法

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JP3043986B2
JP3043986B2 JP8061753A JP6175396A JP3043986B2 JP 3043986 B2 JP3043986 B2 JP 3043986B2 JP 8061753 A JP8061753 A JP 8061753A JP 6175396 A JP6175396 A JP 6175396A JP 3043986 B2 JP3043986 B2 JP 3043986B2
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▲隆▼ 富井
庫治 高橋
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雄武木材株式会社
▲隆▼ 富井
雄武町木箱生産協同組合
有限会社山福
平野産業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木材組積工法に係
り、とくに小径木材を多段に積層して壁面を構築する場
合に、安定した組積みを可能とする施工技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ログハウス(ログキャビン)をはじめと
する木材組積構造は、壁面全体で建物荷重を支持できる
ことから剛性に優れ、また在来の軸組工法やツーバイフ
ォー工法とは異なった独特の外観意匠を実現できること
から、個人住宅やセカンドハウス、宿泊施設等、様々な
構造物の構築に利用されている。施工にあたっては、一
般に壁面を構成する各木材の端部に切込み(ノッチ)を
形成し、交差する木材同士を交互に組み合わせ積み上げ
ることにより壁面を構築してゆく方式をとる。また壁内
には、所定の間隔もって土台から桁までを貫通するいわ
ゆる通しボルトが配設されることが多く、このボルト
は、各木材の横ブレを防ぐとともに、この種の構造物で
避けることが出来ない材料の径年変化(丸太の収縮によ
る壁の沈降;セトリング)に対し、各木材を締め上げて
材間の隙間を調整する機能を営む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる組積
工法の材料木材として、近時、間伐材の使用が期待され
ている。これは、ログハウスの建設コストを低減すると
ともに、木材資源として間伐材の有効利用を図るためで
ある。とくに我国で大きな面積比率を占める人工植林に
よる森林では、主要木の育成を促し森林全体を更正する
ために定期的に間伐が必要とされるが、伐り出された樹
木は一般に小径で、現在では使用用途がほとんどないの
が現状である。
【0004】一方、従来の組積工法にこのような小径木
材を使用するには次のような問題があり、その適用が難
しかった。すなわち従来の組積工法、例えばログハウス
では、比較的材径の大きな木材が使用されてきたが、こ
れを小径木材とする場合、組上げ作業中各木材が不安定
となるおそれがある。材径にもよるが、積み上げる木材
自体が幅狭となるうえに、積み上げる木材の数(段数)
が格段に増加するからである。例えば壁高を2mとした
場合、200mm径のログ材を使用すれば積層する木材
は10段程度で済むが、間伐材を加工して一般に入手可
能な例えば断面90mm×90mmの角材を使用した場
合、倍以上の約22段の木材を積層する必要がある。
【0005】また、積層段数が増加すれば、組積み後に
おける通しボルトの配設や開口部への建具枠の嵌め込み
施工も困難性が増すこととなる。通しボルトの配設に
は、土台から桁までのすべての木材に予め穿設された貫
通孔を同位置に合わせる必要があり、また建具枠の嵌め
込みには、開口部を形成する木材先端部を建具枠に沿っ
て正確に揃える必要があるからである。さらに、材自体
やノッチの加工精度を高めることは労力と時間を要し、
また施工までの材の乾燥により使用木材にある程度の変
形や狂いが生じることは避けられないから、小径木材を
多段に正確に組み上げることは現実には容易ではない。
【0006】他方、組み上げ後に各木材を安定させる技
術としては、ログハウスで一般に使用されている前記通
しボルトや、上下2本のログ間に差し込むダボ等のほ
か、例えば実開昭62−49521号の締め付け装置が
ある。この装置は、図13に示すように基礎台1の上端
縁部に凹部2を形成し、この凹部2に通しボルト3の下
端側の固定ナット4を位置せしめて、該固定ナット4と
上端側の固定ナット5とで各木材6を締め付け安定させ
るものである。またこのような構造により、たる木を取
り外すことなく下端の固定ナット4を増し締めして木材
間の隙間調整を行うことを可能とする。しかしながらこ
の提案技術によっても、前記組上げ施工中における材の
不安定さや通しボルト配設の困難性等を回避できるもの
ではなく、各材を多段に正確に組上げる施工の難しさを
何ら解消できるものではない。
【0007】そこで本発明の目的は、木材組積工法にお
いて、使用する木材の断面寸法や加工精度にかかわら
ず、安定した且つ正確な組積施工を可能とすることにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成して課題
を解決するため、本発明に係る木材組積工法は、複数の
木材を水平に積み重ね組み上げることにより建物壁体を
構築し、該壁体を略垂直に貫く貫通ボルトを壁内に配設
する木材組積工法において、壁体を構成する各木材に、
ナットが移動可能な径寸法としたボルト貫通孔を穿設
し、該木材を適宜の段数組み上げる一方、前記ボルト貫
通孔に貫通ボルトを挿通して当該既組木材の最下段下面
と最上段上面とに突出させ、これら突出部に座金を介在
させつつ固定ナットを螺着して当該既組木材を仮固定
し、該仮固定した既組木材の上にさらに木材を組み上
げ、最終段まで木材を組み上げた後、前記最下段下面の
固定ナットを緩めて貫通ボルトを所定量上方に移動さ
せ、該位置で最終段の木材上面に座金を介在させ固定ナ
ットを螺着することにより壁体各木材を挟持固定する。
【0009】 また、貫通ボルトを、複数の短寸ボルト
を長手方向に接続した構造とし、木材の組み上げ途上
で、該短寸ボルトを螺合接続手段により適宜上方に継ぎ
足してゆく場合がある。
【0010】 さらに、ナットが移動可能な径寸法のボ
ルト貰通孔を穿設した木材を組んで同一の高さレベルの
土台枠組を形成して最下段の木材とし、該土台枠組の対
向位置上面に低寸木材を載置した後、木材の組み上げを
行う場合がある。
【0011】
【作用】本発明の組積工法は、とくに材径が細小な木材
(例えば初回間伐材)を使用して組積みを行うのに好適
な工法で、任意の段数木材を組み上げた時点で適宜、貫
通ボルト(通しボルト)を利用して木材を仮固定しなが
ら組積みを行うものである。
【0012】すなわち、使用する各木材には、ナットが
移動可能な径寸法のボルト貫通孔を穿設しておき、該木
材を適宜の段数組み上げた時点で、ボルト貫通孔に貫通
ボルトを挿通して当該既組木材の最下段下面と最上段上
面とに突出させ、これら突出部に座金を介在させつつ固
定ナットを螺着することにより当該既組木材を仮固定す
る。この仮固定にあたっては、例えば矩尺を当ててコー
ナ部の直角を正確に合わせたり、積層した木材相互の位
置関係を調整したり、固定ナットで挟持することにより
材の変形を矯正するなどの作業を行うことが出来る。そ
して仮固定した既組木材の上に、さらに木材を組み上げ
てゆく。
【0013】仮固定は、一回でも良いが、複数回行って
も構わない。例えば組み上げた木材が不安定となった時
点で何度でも仮固定することが可能である。このように
施工途上で各木材を適宜調整し固定しながら組積みを行
うことにより、安定した且つ正確な組積みを行うことが
可能となる。また使用木材に多少の変形や狂いが生じて
いたとしても、上下のナットで締め付け、各材を矯正し
ながら組み上げることが出来るから、使用木材の加工精
度にかかわらず確実な組積みが可能である。そして最終
段まで木材を組み上げた後、最下段下面の固定ナットを
緩めて貫通ボルトを所定量上方に移動させ、該位置で最
終段の木材上面に座金を介在させ固定ナットを螺着する
ことにより壁体各木材を挟持固定する。
【0014】このように貫通ボルトを上方に移動させて
おくのは、後日、セトリング(壁の沈降)が生じた場合
に、下側の固定ナット(最下段下面の固定ナット)を増
し締めしてメンテナンスを行えるようにするためであ
る。すなわち、セトリング発生後、壁体全体を締め付け
るには、上端側の固定ナットが最上段木材の上面(座
金)に当接するまで貫通ボルトが下方に移動する必要が
あるが、壁中間部には前記仮固定に使用した座金とナッ
トが配設されており、ボルトの移動を行っておかない
と、該中間部のナットが座金に当接して貫通ボルトの下
降を妨げてしまう。そこで本工法では、予め貫通ボルト
を上方に移動させ、中間部のナットを各座金から上方に
離脱させておくことにより、セトリング調整のための締
め代を確保するのである。
【0015】尚、セトリングに伴い中間部のナットも座
金から浮き上がって遊びができることとなるが、最上段
のナットの浮き上がり量(遊び)の方が大きくなる。中
間部の浮き上がり量は当該ナットより下方の木材の総収
縮量であるのに対し、最上段ナットの浮き上がり量は積
層した全木材の総収縮量となるからである。また、上側
の固定ナットは建物完成後には小屋組に隠れて操作が困
難であることから、本工法では下側の固定ナットの操作
により容易にセトリング調整ができるようにしたもので
ある。
【0016】このように、本工法における貫通ボルト
は、施工中には組積木材を安定させ、正確な組積みを可
能とする一方、組積完了後(建物完成後)には従来の通
しボルトと同様に、壁面の強度向上やセトリングに対す
る調整機能を営むことが出来るものである。尚、貫通ボ
ルトの配設本数や配設間隔はとくに限定されるものでは
なく、使用木材の径やノッチ構造の種類等に応じ、各種
建築法規に適合するよう適宜設計すれば良い。
【0017】また、本工法では、貫通ボルトを、複数の
短寸ボルトを長手方向に接続した構造とすることが望ま
しい。従来のように一本の連続した貫通ボルトを使用す
ると、前記貫通ボルトの配設(仮固定)後さらに木材を
組み上げる場合に、貫通ボルト上方(壁高より高位置)
まで各木材を持ち上げる必要が生じるが、かかる方式に
よれば、組み上げ作業の進行に応じて適宜ボルトを継ぎ
足すことが可能となり、施工が容易となるからである。
各短寸ボルトの接続手段としては、例えば長寸のナット
(ロングナット)を使用すれば良い。
【0018】さらに本工法では、ナットが移動可能な径
寸法のボルト貫通孔を穿設した前記木材を使用してまず
同一の高さレベルの土台枠組を形成し、該土台枠組の対
向位置上面に低寸木材(いわゆる半割り材)を載置し、
木材を組み上げてゆくこととしても良い。従来の丸太組
工法では、基礎上に水平な土台を形成することなく、基
礎枠の対向位置に半割り材を設置して基礎上面からダイ
レクトに組積みを行う場合が多く、在来の軸組工法にお
ける床組施工をそのまま適用できなかった。これに対し
かかる工法によれば、軸組工法と同様に段差のない水平
な土台を形成できるから、在来の床組構造をそのまま使
用することが可能となり、在来工法の施工技術者や丸太
組工法の未熟者にとって施工が容易となる。尚、本工法
でこのような構造をとっても、土台(最下段の木材)と
その上部に組み上げられる木材とは、貫通ボルトにより
接続され一体化されるから、組積施工中に、あるいは施
工完了後において材がずれたり不安定となるおそれはな
い。
【0019】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を
説明する。図1〜図8は本工法の施工工程の一例を順に
示す概念図である。同図を参照してまず本工法の施工原
理を説明する。尚、これらの図においては、ログ材を短
寸の木材ブロック(一のボルト配設部分のみ)として示
しており、材端のノッチ部等は省略している。
【0020】まず本工法では、図1に示すように壁体
を構成する各ログ材11に、ナット(後に説明する仮固
定用のナット)が上下動可能な径寸法のボルト貫通孔1
2を穿設し、該ログ材11を適宜の段数(例えば10
段)組み上げる。 次に、図2に示すように貫通孔12にボルト13を挿
通し、既組木材11aの下面と上面とに突出させ、これ
ら突出部にワッシャ14,15を介在させてナット1
6,17をそれぞれ装着することにより既組ログ11a
を仮固定する。尚、材間に位置することとなるワッシャ
15は、例えばハンマー等で叩いてログに埋め込む(食
い込ませる)ことが望ましい。ログ間に隙間が生じるの
を防ぐためである。また、ボルト13の下方側の突出長
さは、後の工程でボルトを上方に移動させる該移動量を
少なくとも確保しておく。
【0021】図3に示すように長寸ナット18(ロン
グナット)によりボルト13aを接続し継ぎ足した後、
図4に示すように既組ログ11aの上にさらにログ材1
1bを組み上げ、これら組み上げたログ11bを、ワッ
シャ19を介在させナット20により固定する。 さらにロングナット21によりボルト13bを継ぎ
(図5)、最終段までログ11cを組み上げ(図6)、
ワッシャ22及びナット23を装着する。 図7(a)に示すように最下端のナット16を緩め、
同図(b)に示すようにボルト13を上方に押し上げ
る。ボルト13,13a,13bは一体となって上方に
移動し、それに伴って仮固定に使用したナット17,2
0もボルト貫通孔12内を上方に移動し、各ワッシャ1
5,19との間にそれぞれスペースSが生じることとな
る。 そしてこの状態で図8に示すように最終段のナット2
3を締め、該ナット23と最下端のナット16とでログ
全体11a〜11cを締め上げ固定する。尚、かかるナ
ット23の締結操作によっても、各中間部ナット17,
20とワッシャ15,19との間のスペースSが失われ
ることはない。ナット23がワッシャ22に当接するま
でボルト13bに沿って下降するだけで、ボルト13,
13a,13b自体(従って中間部ナット17,20)
は全く移動しないからである。尚、ボルト13bの上端
部Uは、小屋組の邪魔になる場合などには適宜切断して
構わない。
【0022】また、このような操作により中間ナット部
に確保するスペースSは、後日、最下端のナット16を
増し締めしてセトリング調整を行うために必要となるも
ので、これを確保しておく理由は次の通りである。すな
わち、径年変化により各ログ11a〜11cは、鉛直方
向に収縮し下方に沈むこととなるため、ナット23は最
終段のログ11Tの上面(ワッシャ22)から相対的に
浮き上がって遊びが生じることとなる。この遊びを下端
ナット16を締めて(上端ナット23を操作することな
く)なくするためには、ナット23がログ11Tの上面
に当接するまでボルト全体13,13a,13bを下方
に移動させる必要がある。ところが、セトリング発生後
ナット16を回してボルトを下降させてゆくと、中間部
のナット17,20も一緒に貫通孔内を下降するから、
中間部のナットにスペースSを予め確保しておかない
と、上端ナット23がワッシャ22に噛む(当接する)
より先に中間部のナットがワッシャに噛んでしまい、ボ
ルトがそれ以上さがらなくなってしまうのである。なぜ
なら、ログの収縮により中間部ナット17,20にも確
かに浮上がりが生じるが、これらの浮上がり量は上端ナ
ット23の浮上がり量より小さいからである。具体的に
は、上端ナット23の浮上がり量は全ログ11a〜11
cの総収縮量であるのに対し、中間ナット20はログ1
1a+11b分だけ、中間ナット17はログ11a分だ
けとなって、結局、より下方に位置するナット(17)
ほど浮上がりが小さくなって、ボルトを下降させる場合
に早くワッシャ(15)に噛んでしまうこととなる。
尚、ナット17がワッシャ15に噛んでしまうと、ログ
11aについては締め上げが可能であるが、それより上
のログ11b〜11cは締め上げることが出来ない。ナ
ット20,23には依然として遊びがあるままだからで
ある。従ってセトリング調整時に、中間ナットが先にワ
ッシャに噛んでしまう不都合をなくすには、ログが収縮
した場合に、中間ナット17,20の浮上がり量が上端
ナット23の浮上がり量より大きくなるよう、中間ナッ
ト17,20に予めスペースSを補っておく必要があ
る。このスペースSが加えられて、ログ収縮後の中間ナ
ット17,20の浮上がり量は、上端ナット23の浮上
がり量より大きくなり、ボルトの下降を妨げることがな
くなる。
【0023】図9〜図11はかかる工法を適用して構築
したログハウスの一例を示すものである。図示のように
このログハウスは、土台から桁まで22段の角ログ材3
1を組み上げて壁面を構築してなり、壁内を貫通する通
しボルト33により各ログ材31を例えば下から10段
目でナット37およびワッシャ39で仮固定し組積みを
行ったものである。ログ材31としては、例えば間伐材
として一般に入手容易な断面90mm×90mmの角ロ
グ材を使用する。
【0024】このログハウスにおいては、前記ボルト移
動量(工程,工程のスペースS)は、具体的には5
5mm以上とすることが出来る。その根拠は次の通りで
ある。本発明者の実験によれば、ログの収縮率は、収縮
が終了するまで(5年程度)に例えば約5%が見込ま
れ、全段につき収縮率が同一とすれば、仮固定した10
段分(900mm)の総収縮量は45mmとなる。一
方、全ログ22段(1980mm)の総収縮量は約10
0mmとなる。最下端のナット36を締めてセトリング
調整を可能とするには、中間ナット37に収縮によって
生じる遊び量(45mm)を最終段ナット38に収縮に
よって生じる遊び量(100mm)より大きくする必要
があるから、100mm−45mm=55mmで、少な
くとも55mmボルトを予め上方に移動させておく必要
がある。
【0025】尚、10段目よりさらに上段でも仮固定を
行う場合であっても、該位置に生じるナットの遊び量は
10段目ナット37の遊び量より大きくなるから、本工
法では、最下位置(この場合、10段目)の仮固定ナッ
トの遊び量を基準にボルト移動量を決定すれば良いこと
となる。尚、現実の施工においては、材の収縮量のばら
つき等を考慮して、ある程度の余裕をもって(多めに)
移動量を決定することが望ましい。またログの収縮率
は、材の種類や乾燥状態、施工地域の気候等によって変
動するから、5%に限られるものではない。
【0026】また、このログハウスでは、最下段のログ
材31aにより水平な土台枠組を形成し、該枠組の対向
位置に半割り材32を設置してログの組上げを行ってい
る。在来の軸組工法における床組施工をそのまま適用可
能とするためである。尚、床組は具体的には土台枠組の
内側に適当な受け材を設けて、大引きや根太を渡し、床
張りを行えば良い。
【0027】本発明は実施例に限定されるものではな
い。例えば使用木材の断面寸法や積層段数、ナットによ
る仮固定の位置(段数)や回数も適宜変更が可能であ
る。実施例では90mm×90mmのログを22段積層
したが、これより小径の木材をより多段に積層すること
も可能である。また、これより大径の木材を使用しても
構わない。また木材の断面形状は、4面をカットした角
ログ(角材)に限られず、上下2面をカットしたもの
(タイコ挽き)や3面をカットしたもの(Dログ)、丸
ログ材等の使用も可能である。さらに使用樹種も、例え
ばマツ(カラマツ、トドマツ、エゾマツ等)やスギ、ヒ
ノキ等の針葉樹でも良いし、ブナやナラ等の広葉樹であ
っても構わない。尚、建設コストの点からは間伐材の使
用が望ましい。またノッチ構造は、既存の各種構造を適
宜使用して構わない。さらに本工法を適用する構造物の
規模や種類、用途もとくに限定されるものではなく、例
えば住宅やバンガロー、物置小屋、浴室小屋等、各種の
建築物の構築に適用することが可能である。
【0028】また、壁体を内外に二重に構築して該壁体
間に断熱材を充填することとすれば、例えば寒冷地に好
適な高断熱の住宅を構成することが出来る。また、各ロ
グ間に樹脂シート等の弾性材を挟み込みつつ組み上げて
ゆけば、材間の隙間を塞いですきま風を確実に防止する
ことができ、壁面の高気密化を図ることが出来る。
【0029】また、本工法を適用し、図12に示すよう
に短寸のログ材41を積み上げて柱を構築することも可
能である。すなわち、ログ41内に通しボルト42を挿
通して、前記壁面の構築と同様にワッシャとナットとで
(図示せず)適宜仮固定しながら組積みを行うことによ
り、施工中における倒壊事故等を防ぎ、安定した組積み
を行うことが出来る。またこのようして形成した柱は、
材の収縮に伴って壁面と一緒に沈降するから、ログ材を
立てて柱を形成した場合に必要とされたスクリュージャ
ッキ等の調整機構を省くことも可能となる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る木材組
積工法によれば、使用する木材の断面寸法や加工精度に
かかわらず、安定した且つ正確な組積み施工を行うこと
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材組積工法の原理を説明する側
面図(a)および斜視図(b)である。
【図2】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図3】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図4】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図5】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図6】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図7】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図8】同じく本工法の原理を説明する側面図(a)お
よび斜視図(b)である。
【図9】本組積工法の適用例を示す正面図である。
【図10】本組積工法の適用例を示す側面図である。
【図11】本組積工法の適用例を示す土台部の平面図で
ある。
【図12】本組積工法の別の適用例を示す平面図であ
る。
【図13】従来の壁面構造を例示する図である。
【符号の説明】
11,31,41 ログ材 12 ボルト貫通孔 13,33,42 貫通ボルト(通しボルト) 14,15,19,22,39 ワッシャ 16,17,20,23,36,37,38 ナット 18,21 長寸ナット(ロングナット)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 396004246 平野産業株式会社 北海道川上郡標茶町字中チャンベツ基線 45番地 (72)発明者 富井 ▲隆▼ 北海道川上郡標茶町字塘路32番地372 (72)発明者 高橋 庫治 北海道紋別郡雄武町字雄武931番地1 雄武木材株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−44447(JP,A) 特開 平9−209478(JP,A) 実開 昭63−51008(JP,U) 実開 昭63−134004(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 2/02 E04B 1/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の木材を水平に積み重ね組み上げるこ
    とにより建物壁体を構築し、該壁体を略垂直に貫く貫通
    ボルトを壁内に配設する木材組積工法において、 壁体を構成する各木材に、ナットが移動可能な径寸法と
    したボルト貫通孔を穿設し、 該木材を適宜の段数組み上げる一方、前記ボルト貫通孔
    に貫通ボルトを挿通して当該既組木材の最下段下面と最
    上段上面とに突出させ、これら突出部に座金を介在させ
    つつ固定ナットを螺着して当該既組木材を仮固定し、 該仮固定した既組木材の上にさらに木材を組み上げ、 最終段まで木材を組み上げた後、前記最下段下面の固定
    ナットを緩めて貫通ボルトを所定量上方に移動させ、該
    位置で最終段の木材上面に座金を介在させ固定ナットを
    螺着することにより壁体各木材を挟持固定することを特
    徴とする木材組積工法。
  2. 【請求項2】 通ボルトを、複数の短寸ボルトを長手
    方向に接続した構造とし、木材の組み上げ途上で、該短
    寸ボルトを螺合接続手段により適宜上方に継ぎ足してゆ
    くことを特徴とする請求項1に記載の木材組積工法。
  3. 【請求項3】 ナットが移動可能な径寸法のボルト貰通
    孔を穿設した木材を組んで同一の高さレベルの土台枠組
    を形成して最下段の木材とし、該土台枠組の対向位置上
    面に低寸木材を載置した後、木材を組み上げることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の木材組積工
    法。
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