JP3137619U - ドリップチャンバ - Google Patents

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Abstract

【課題】血液(血球、血小板)が空気に触れず、凝固や残血の発生がなくなることから、ヘパリン等の抗凝固剤の使用量を低減できるドリップチャンバを提供すること。
【解決手段】略円筒状の中央部材(6)は、上部と下部にそれぞれ上部筒体(2)と下部筒体(3)を装着し、前記中央部材(6)は、側部に血液流入口(7)を形成し、前記中央部材(6)の内部には仕切(8)を配置し、当該仕切(8)の側部と前記血液流入口(7)の間に流体の通孔(8a)を形成し、前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面の間に、少なくとも1個以上の支板(9)を配置することにより、前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面との間に流体の通路(W)を形成したドリップチャンバ(1)。
【選択図】図1

Description

本考案は、血液透析、血液濾過、血漿交換などの血液の体外循環回路の途中に設置して使用されるドリップチャンバの改良に関する。特にヘパリン等の抗凝固剤の使用量を低減し、血液の凝血、残血を皆無ないし最小限に抑えて体外循環を行なうことができるドリップチャンバである。
出願人は、特許文献1に、上部筒体2と、側部に体液導入口3aを有するリング3と、内部にフィルタ6と体液導出口5aを有する下部筒体4とからなり、体液導入口リング3の内側に、下方に延びた点滴芯3cを形成したドリップチャンバを開示した。本件考案では、血液はドリップチャンバ本体10の横方向から確実に底部に向けて導入され、液面レベルが下がっても、抗凝固剤の注入された血液の層をチャンバ本体10上部に、安定して最上部層として終始維持することができるので、血液が空気と接触する機会を遮断することができる。
しかしながら本件考案では、ヘパリン等の抗凝固剤の使用量を皆無ないし低減することができない。
また特許文献2には、チャンバの上面から血液導入管をチャンバ内に30mm以上垂直下方に延伸させた血液回路用チャンバの発明が開示されている。すなわちチャンバの略中間部付近に、血液導入管の開口部を延設し、当該開口部から緩やかに血液を流入させ、チャンバ内で上方から空気層、血漿をわずかに含んだ生理食塩水層、血液層の3層に分離させ、血液層が直接空気層に接触れることがないようにすることができる発明である。本件発明では、血液回収時に血液出口からチャンバー内上方の生理食塩水が最後にでるため凝血、残血の発生が大幅に減少できる。
しかし、血液はチャンバの略中間部から導入され、そのまま下方にゆっくりと血液出口から排出されるので、チャンバ内でほとんど攪拌されない。このため血液の滞留による凝固等が懸念される。
そこで、以上の問題点を解決するため、出願人は特許文献3のように、略円筒状の中央部材6の側部に血液流入口7を形成し、さらに血液流入口7よりも上部の内壁に孔9を形成した仕切8を配置したドリップチャンバ1の考案を開示した。
ドリップチャンバ1内に導入された血液は、同文献3の図5のように仕切8の上部まで、界面が乱れないように流出するが、界面が上昇しにくいため、生理食塩水と混合せず、その生理食塩水が最上層を形成することで、血液は空気に触れないため、凝固しない。しかしながら、仕切8の孔9は真ん中にあるため、急激な圧力の変動や流量の変動、または外部からの振動などのはずみで血液が孔9から急激に上昇することがあり、その場合はどうしても生理食塩水と血液が混合してしまう。
実用新案登録第2574507号公報(図1) 特開昭60−119959号公報(図5) 実用新案登録第3128724号公報(図5)
本考案者が解決しようとする問題点は、特許文献1では、ヘパリン等の抗凝固剤の使用量を皆無ないし低減することができない点である。特許文献2では、血液は、チャンバ内でほとんど攪拌されないので、血液の滞留による凝固等が懸念される点である。
また、特許文献3においても、ドリップチャンバ内の急激な圧力の変動や流量の変動、または外部からの振動などにより、仕切8の孔9から急激に血液が生理食塩水層へと上昇して、生理食塩水と混合する可能性がある点である。
そこで本考案者は、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の考案に到達した。
[1]本考案は、略円筒状の中央部材(6)は、上部と下部にそれぞれ上部筒体(2)と下部筒体(3)を装着し、
前記中央部材(6)は、側部に血液流入口(7)を形成し、
前記中央部材(6)の内部には仕切(8)を配置し、
当該仕切(8)の側部と前記血液流入口(7)の間に流体の通孔(8a)を形成し、
前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面の間に、少なくとも1個以上の支板(9)を配置することにより、前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面との間に流体の通路(W)を形成したドリップチャンバ(1)を提供する。
[2]本考案は、前記仕切(8)は、略円筒状に形成され、その上部は略半球状の天上部(C)により閉塞され、下部は開口部(O)により開口されている[1]に記載のドリップチャンバ(1)を提供する。
(1)血液流入口7からドリップチャンバ1内に導入された血液は、そのまま仕切8の開口部Oから上に上昇しないので、生理食塩水と混合することがない。このため最上層に生理食塩水の層を形成できるため、血液(血球、血小板)は空気に触れることはなく、凝血することもなくなる。
(2)ドリップチャンバ1内の血液(血球、血小板)は、(1)のように空気に直接触れる機会が皆無であり、半円球状の空間S内で攪拌も充分にされるので、血液の滞留がなくなり、滞留による血液の凝固、残血がなくなる。
(3)血液回収時には、血液は上部を生理食塩水の層で覆われた状態で、先に血液流出口14から流出し、その後から生理食塩水が流出する。このためドリップチャンバ1内の血液(血球、血小板)は、空気に触れることなく速やかに回収できるので、凝固や残血が発生しない。
(4)(1)から(3)のように血液の凝固や残血の発生がなくなることから、ヘパリン等の抗凝固剤の使用量を低減できる。
図1は本考案のドリップチャンバ1の概略図(断面図)、図2は中央部材6の(A)断面図、(B)天面図、(C)底面図、図3は本考案のドリップチャンバ1の使用状態を示す概略図で(A)生理食塩水充填時(B)血液導入時(C)血液循環時(D)血液回収時、図4は図3(C)の部分拡大図である。
[ドリップチャンバ1]
本考案のドリップチャンバ1は、図1に例示するように、略円筒状の中央部材6に上部筒体2と下部筒体3を装着している。中央部材6の側部には、血液流入口7を形成し、上部筒体2の上部には上部キャップ4、下部筒体3の下部には下部キャップ5を装着している。
なお、本考案で使用する「装着」には、係合、嵌合、圧入、挿着、挿入等の意味も含まれる。
[中央部材6]
中央部材6は、図1と図2に例示するように、略円筒状に形成され、側部には血液流入口7を形成している。
中央部材6の内部には仕切8を配置し、当該仕切8の側部と血液流入口7の間に流体(生理食塩水、血液)の通孔8aを形成している。
中央部材6内周壁面と仕切8外周壁面の間に、少なくとも1個以上の支板9を配置することにより(図2の例示では、3個配置)、中央部材6内周壁面と仕切8外周壁面を離間させ、流体(生理食塩水、血漿等の血液成分)の通路Wを形成している。
また中央部材6は、上端部と下端部を中間部よりもやや薄肉に形成し、それぞれに上部筒体2と下部筒体3の装着溝6a、6bを形成し、それぞれ上部筒体2、下部筒体3を装着している。
[仕切8]
仕切8は、図1及び図2に示すように、略円筒状に形成され、その上部は略半球状の天上部Cにより閉塞され、下部は開口部Oにより開口されている、
さらに詳述すれば、仕切8の外周面は図2(A)(B)(C)に例示するように、支板9により、中央部材6の内周面と連結して固定されている。
支板9は、例えば図2(B)(C)では3個形成されているが、仕切8が中央部材6に連結して固定できるとともに通路Wが確保できれば、支板9の個数や形状、配置する位置等は特に限定されない。
また仕切8の天上部Cは、略半球状に形成することにより、血液導入口7から仕切8内部の空間Sに導入された血液が、半球状の丸みに沿って適度に攪拌されながら、開口部Oから下方へと流れていくことができる。
[ドリップチャンバ1のその他の構成]
図1に示すように、上部筒体2に装着した上部キャップ4のさらに上部には、公知のドリップチャンバと同様に圧力モニタライン(の接続部)13と補液ライン(の接続部)12が装着されている。さらに、上部キャップ4の上部には、他にも必要に応じて、レベル調整ライン及び/または気泡除去ライン(図示せず)を装着してもよい。気泡除去ラインを装着すると、気泡を上部筒体2内から外部に排出することができる。
下部筒体3の下部の、下部キャップ5のさらに下部には、公知のドリップチャンバと同様に血液流出口14が形成されている。また、下部筒体3(もしくは下部キャップ5の内周及び/または内底面)の内周壁には、血液等を濾過するためのフィルタ11が装着されている。
[ドリップチャンバ1の使用例]
(1)生理食塩水によるプライミング
プライミング時には、図3(A)のように、まず、血液流入口7よりドリップチャンバ1内に生理食塩水を充填する。生理食塩液をドリップチャンバ1内のほぼ全体に充填するには、ドリップチャンバ1を適宜倒立させながら充填する。その際、生理食塩水ISは、通路Wを通って上筒部2の内部にも充填される。
(2)血液の導入
(1)のプライミング終了後、図3(B)のように血液を血液流入口7からゆっくりと(血液流速;例えば50から100ml/分)ドリップチャンバ1内に導入する。このように血液をゆっくり導入することにより、半球状の天上部Cの内面を伝って渦流を形成し、上部から下部にかけて、血液流出口14方向に移動するので、血液は仕切8の開口部Oを超えて上昇しない。したがって血液の過剰な上昇によって生理食塩水と攪拌されるといったことがなく、血液と生理食塩水は混合しないので、混濁のない最上部の生理食塩水層を維持することができる。
(3)血液循環時
血液循環時(血液流速;例えば200から300ml/分)には、図4(図3(C)の拡大図)のように、ドリップチャンバ1内は常時、生理食塩水の層ISが最上層に位置し、その下部に血漿層BPができる。そのため、血液中の血球、血小板は空気(空気層A)に直接触れることがない。さらに仕切8の内部の血液中の気泡abは、中央部材6内側部と仕切8の外側部の間の通路Wを経て、上筒部2の上部空間(空気層A)へとすみやかに排出される。
また、血液流入口7から中央部材6内に導入された血液Bは、半球状の天上部Cの内面を伝って渦流を形成し、中央部材6内に充填された血液を上部から下部にかけて充分撹拌しながら、血液流出口14より流出する。
したがって、ドリップチャンバ1内の血液B(血球、血小板)は、空気に直接触れる機会が皆無であり、攪拌も充分にされるので、血液の滞留がなくなり、滞留による血液の凝固、残血の発生がなくなる。
(4)血液回収時
続いて図3(D)に示すように、圧力モニタライン(の接続部)13から上部筒体2内に空気を導入し、液面レベルを低下させると、仕切8(空間S)内外の血液B、仕切8より上部の血漿BP及び生理食塩水ISは、仕切8の天上部Cの球面に沿って通路Wを通り、下筒部3方向へすみやかに排出される。その際、血液Bと血漿BPは、上部を生理食塩水層ISで覆われた状態で血液流出口14から順次流出し、最後に生理食塩水ISが流出する。
以上のように、ドリップチャンバ1内の血液(血球、血小板)は空気に触れることはなく、凝固や残血が発生しないので、安全で速やかに回収することができる。
本考案のドリップチャンバ1の概略図(断面図) 中央部材6の(A)断面図(B)天面図(C)底面図 本考案のドリップチャンバ1の使用状態を示す概略図で(A)生理食塩水充填時(B)血液導入時(C)血液循環時(D)血液回収時 図3(C)の部分拡大図
符号の説明
1 ドリップチャンバ
2 上部筒体
3 下部筒体
4 上部キャップ
5 下部キャップ
6 中央部材
6a、6b 装着溝
7 血液流入口
8 仕切
8a 通孔
9 支板
11 フィルタ
12 補液ライン(の接続部)
13 圧力モニタライン(の接続部)
14 血液流出口
C (中央部材の)天上部
O (中央部材の)開口部
S (半球状の)空間
W 通路
A 空気(空気層)
IS 生理食塩水(生理食塩水層)
B 血液
BP 血漿(血漿層)
ab 気泡

Claims (2)

  1. 略円筒状の中央部材(6)は、上部と下部にそれぞれ上部筒体(2)と下部筒体(3)を装着し、
    前記中央部材(6)は、側部に血液流入口(7)を形成し、
    前記中央部材(6)の内部には仕切(8)を配置し、
    当該仕切(8)の側部と前記血液流入口(7)の間に流体の通孔(8a)を形成し、
    前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面の間に、少なくとも1個以上の支板(9)を配置することにより、前記中央部材(6)内周壁面と前記仕切(8)外周壁面との間に流体の通路(W)を形成した、ことを特徴とするドリップチャンバ(1)。
  2. 前記仕切(8)は、略円筒状に形成され、その上部は略半球状の天上部(C)により閉塞され、下部は開口部(O)により開口されている、ことを特徴とする請求項1に記載のドリップチャンバ(1)。
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