JP3136292B1 - 空気調和設備 - Google Patents

空気調和設備

Info

Publication number
JP3136292B1
JP3136292B1 JP11374815A JP37481599A JP3136292B1 JP 3136292 B1 JP3136292 B1 JP 3136292B1 JP 11374815 A JP11374815 A JP 11374815A JP 37481599 A JP37481599 A JP 37481599A JP 3136292 B1 JP3136292 B1 JP 3136292B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
ceiling
floor
space
outlet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11374815A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001193962A (ja
Inventor
泰久 上垣
直樹 狩野
Original Assignee
株式会社きんでん
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社きんでん filed Critical 株式会社きんでん
Priority to JP11374815A priority Critical patent/JP3136292B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3136292B1 publication Critical patent/JP3136292B1/ja
Publication of JP2001193962A publication Critical patent/JP2001193962A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Central Air Conditioning (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 簡単な構成で、ペリメータ部で発生する冷房
時の高温空気および暖房時の低温空気のインテリア部へ
の流れ込みを防いで、空調負荷を低減し、低コストで快
適性を向上する。 【解決手段】 冷房時には、空気調和機AHの給気の出
口71を、インテリア部44の床39に設けられる吹出
し口52a〜52cに、床下空間42を介して連通させ
るとともに、空気調和機AHの還気の入口70を、ペリ
メータ部43の天井38に設けられる吸込み口49に、
天井裏空間41を介して連通させ、暖房時には、空気調
和機AHの給気の出口73を、インテリア部44の天井
38に設けられる吹出し口50に、天井裏空間41を介
して連通させるとともに、空気調和機AHの還気の入口
72を、ペリメータ部44の床39に設けられる吸込み
口50に、床下空間42を介して連通させる。天井38
および床39のペリメータ部44に設けられる各吸込み
口49,50は、前記窓33に沿ってペリメータ部44
のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状開口部4
7,48を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡単な構成で、室
内環境の快適性の向上および省エネルギ化を同時に図る
ことができる空気調和設備に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、典型的な従来の技術の空気調
和設備1aを示す断面図である。図11(1)は冷房時
の室内空間9内の気流の流れを示し、図11(2)は暖
房時の室内空間9内の気流の流れを示す。この空気調和
設備1aは、冷房時および暖房時とも天井吹出し・天井
吸込み方式で空気調和を行う空気調和設備であって、屋
外2に臨む窓3を有する建物4内の空間は、天井5より
も上方の天井裏空間6と、床7よりも下方の床下空間8
と、天井5および床7の間の室内空間9とに仕切られ
る。居住空間またはインテリアゾーンとも呼ばれるイン
テリア部16上の天井5には、各複数の給気の吹出し口
10a,10b,10cおよび還気の吸込み口11a,
11b,11cが設けられ、前記吹出し口10a〜10
cは、前記天井裏空間6に設けられるダクト13によっ
て、エアハンドリングユニットとも呼ばれる空気調和機
AHの給気の出口14に接続されるとともに、吸込み口
11a〜11cは、空気調和機AHの還気の入口15に
天井裏空間6によって連通され、各吹出し口10a〜1
0cから給気を供給しながら各吸込み口11a〜11c
から還気を吸引して、前記室内空間9を空気調和するよ
うに構成されている。
【0003】図12は、他の従来の技術の空気調和設備
1bを示す断面図である。図12(1)は、冷房時の気
流の流れを示し、図12(2)は暖房時の気流の流れを
示す。なお、図11の従来の技術と対応する部分には、
同一の参照符を付す。この空気調和設備1bは、冷房時
および暖房時とも天井吹出し・壁吸込み方式で空気調和
を行う空気調和設備であって、天井5には、各複数の給
気の吹出し口10a〜10cが設けられ、室内空間9の
インテリア部16と前記空気調和機AHが設置される機
械室17とを仕切る仕切壁18には、還気の吸込み口1
1が設けられる。各吹出し口10a〜10cには、空気
調和機AHの給気の出口14がダクト13によって接続
されるとともに、前記吸込み口11には、空気調和機A
Hの還気の入口15が接続され、各吹出し口10a〜1
0cから給気を供給しながら吸込み口11から還気を吸
引して、前記室内空間9を空気調和するように構成され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図11に示す天井吹出
し、天井吸込みの従来の技術では、冷房時においては、
図11(1)に示されるように、夏期の高温の外気およ
び日射などによって窓3付近の空気の温度が上昇し、ペ
リメータ部19で生じる温熱負荷気流は、天井5に沿っ
て拡がる。一方、各吹出し口10a〜10cから吹き出
される給気は、冷風であるため、前記天井5に沿って拡
がる高温空気と混合して降下し、その結果、インテリア
部16の温度がやや高くなり、そのため吹出し空気の温
度を低くする必要が生じ、空気調和機AHの冷房負荷が
大きくなってしまうという問題がある。。
【0005】また暖房時においては、図11(2)に示
されるように、冬期の低い外気温度によって、窓3など
の熱貫流率の大きい部分が冷却されるので、窓3の室内
空間9に臨む表面に接する領域の空気が冷却され、ダウ
ンドラフトが生じる。ペリメータ部19で生じたダウン
ドラフトすなわち冷熱負荷気流は、その比重が上層空気
に比べて大きいために床7に沿って拡がり、床7上の低
層に滞留する。一方、各吹出し口10a〜10cから吹
き出される給気は、温風であるため、その比重が室内空
気よりも小さく、各吹出し口10a〜10cから下方へ
吹き出されても、その向きが途中で反転して上方へ流れ
てしまい、各吹出し口10a〜10cに隣接して配置さ
れる各吸込み口11a〜11cから吸い込まれてショー
トパスしてしまい、低層の空気を撹拌することができな
い。その結果、インテリア部16で上下に大きな温度差
が生じ、室内の温度分布として理想とされる頭寒足熱の
状態に反して、足元が寒いいわば頭熱足寒の状態とな
り、快適な温度分布状態を得ることができないという問
題がある。
【0006】図12に示す天井吹出しインテリア部壁吸
込みの従来の技術では、冷房時においては、図12
(1)に示されるように、夏期の高温の外気および日射
などによって窓3付近の空気の温度が上昇し、こうして
ペリメータ部19で生じる温熱負荷気流は、天井5に沿
って拡がる。各吹出し口10a〜10cから吹き出され
る給気は、前記天井5に沿って拡がる高温空気と混合し
て降下するので、インテリア部16の温度は高くなる。
しかも前記ペリメータ部19で生じる温熱負荷気流は、
上記の図11(1)に示されるように、天井5に吸込み
口11a〜11cが設けられていないので、そのままイ
ンテリア部16の温熱負荷となり、上記の図11の従来
の技術に比べて、吹出し空気の温度をさらに低くする必
要がある。
【0007】また暖房時においては、図12(2)に示
されるように、ペリメータ部19で生じる冷熱負荷気流
は、インテリア部16側の吸込み口11に向かってイン
テリア部16の床7に沿って流れる。各吹出し口10a
〜10cから吹き出される空気は、インテリア部16を
通って仕切壁18の吸込み口11に向かって流れるが室
内空気に比べて温度の高い空気であるため、低層を流れ
る低温の空気を撹拌するほどの勢いはない。その結果、
インテリア部16で上下に大きな温度差が生じ、上記の
図11(2)の暖房時と同様に、室内の温度分布の理想
とされる頭寒足熱の状態に反して、足元が寒いいわば頭
熱足寒の状態となり、快適な温度分布状態を得ることが
できないという問題がある。
【0008】したがって本発明の目的は、簡単な構成
で、ペリメータ部で発生する冷房時の高温空気および暖
房時の低温空気のインテリア部への流れ込みを防いで、
空調負荷を低減し、低コストで快適性を向上することが
できるようにした空気調和設備を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、屋外に臨む窓33を有する空間は、天井38よりも
上方の天井裏空間41と、床39よりも下方の床下空間
42と、天井および床の間の室内空間40とに仕切ら
れ、室内空間40は、窓33近傍のペリメータ部43
と、ペリメータ部43よりも窓33側から見て奥方向の
インテリア部44と、インテリア部44よりもさらに奥
方向で仕切壁46によって仕切られたコア部45とに区
分される建物に設けられる空気調和設備において、 (a)天井38には、インテリア部44で、相互に間隔
をあけて複数の第1吹出し口52a〜52cが配置さ
れ、ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメータ部
43のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状の第
1開口部47が設けられ、 (b)床39には、インテリア部44で、相互に間隔を
あけて、かつ第1吹出し口52a〜52cとは水平方向
に位置をずらせて、複数の第2吹出し口53a〜53e
が配置され、ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリ
メータ部43のほぼ全長にわたって細長に開口するライ
ン状の第2開口部48が設けられ、 (c)コア部45内に配置される空気調和機AHであっ
て、 (c−1)ハウジング62であって、上部に、還気の上
部側入口70と、給気の上部側出口71とが設けられ、
下部に、還気の下部側入口72と、給気の下部側出口7
3とが設けられ、還気の上部側入口70と給気の上部側
出口71とは、天井裏空間41に臨み、還気の下部側入
口72と給気の下部側出口73とは、床下空間42に臨
むハウジング62と、 (c−2)ハウジング62内に設けられる熱交換手段で
あって、冷房モードと暖房モードとの各動作を行い、冷
房モードでは、還気の上部側入口70からの空気を冷却
して給気の下部側出口73から冷風を排出する動作を行
い、暖房モードでは、還気の下部側入口72からの空気
を加熱して給気の上部側出口71から温風を排出する動
作を行う熱交換手段とを有する空気調和機AHと、 (d)各第1吹出し口52a〜52cを開閉する第1ダ
ンパ67a〜67cと、 (e)第1開口部47を開閉する第2ダンパ63と、 (f)各第2吹出し口53a〜53eを開閉する第3ダ
ンパ69a〜69eと、 (g)第2開口部48を開閉する第4ダンパ65と、 (h)制御装置76,77であって、冷房時、空気調和
機AHの熱交換手段を冷房モードで動作させ、かつ第1
ダンパ67a〜67cを閉鎖し、第2ダンパ63を開放
し、第3ダンパ69a〜69eを開放し、第4ダンパ6
5を閉鎖し、暖房時、空気調和機AHの熱交換手段を暖
房モードで動作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを
開放し、第2ダンパ63を閉鎖し、第3ダンパ69a〜
69eを閉鎖し、第4ダンパ65を開放する制御装置7
6,77とを含むことを特徴とする空気調和設備であ
る。
【0010】本発明に従えば、屋外に臨む窓を有する建
物内の空間は、天井よりも上方の天井裏空間と、床より
も下方の床下空間と、天井および床の間の室内空間とに
仕切られ、天井および床には、給気の吹出し口および還
気の吸込み口が設けられる。冷房時には、空気調和機の
ハウジング62に形成された給気の出口73を、床のイ
ンテリア部に設けられる第2吹出し口に、前記床下空間
を介して連通させるとともに、前記空気調和機の還気の
入口70を、天井のペリメータ部に設けられる第1開口
部47に、前記天井裏空間を介して連通させる。また暖
房時には、空気調和機の給気の出口71を、天井のイン
テリア部に設けられる第1吹出し口に、前記天井裏空間
を介して連通させるとともに、空気調和機の還気の入口
72を、床のペリメータ部に設けられる第2開口部48
に、前記床下空間を介して連通させる。
【0011】このようにして空気調和機の還気の入口
は、冷房時には天井のペリメータ部の第1開口部49に
連通させるので、夏期の高温の外気および日射などによ
って窓付近の空気の温度が上昇し、ペリメータ部で生じ
る高温空気を、天井に沿って拡がる前に、前記第1開口
部49から吸引し、還気として前記空気調和機に供給さ
れる。これによって吹出し口から給気として吹き出され
る冷風が、前述した図12(1)に示される従来の技術
のように、前記天井に沿って拡がる高温空気と混合して
降下し、その結果、インテリア部の空気が吹出し口から
の低温の給気によって充分に冷却されないという不具合
が防がれ、空気調和機でより以上空気温度を低くしなけ
ればならないという問題を解決することができる。
【0012】また暖房時には、前述した図12(2)に
示される従来の技術のように、ダウンドラフトによって
ペリメータ部で生じる低温空気が床に沿って拡がり、床
上の低層に滞留して快適とされる頭寒足熱となる温度分
布を得ることができないという問題が、ペリメータ部床
面の第2開口部48で低温空気を捕捉することによって
解決される。
【0013】さらに天井および床のペリメータ部は、前
記窓に沿ってペリメータ部のほぼ全長にわたって細長に
開口するライン状の第1および第2開口部47,48を
有するので、ペリメータ部内で冷房時の高温空気および
暖房時の低温空気を第1および第2開口部47,48か
らそれぞれ吸引して、インテリア部への流れ込みを防
ぎ、冷房時および暖房時のいずれであっても、上記のよ
うにインテリア部を好ましい温度分布に維持し、空気調
和機による負担を軽減して運転コストを削減し、同時に
快適性を向上することができる。
【0014】さらに冷房時における空気調和機の還気の
入口70と、天井のペリメータ部の第1開口部47と
は、天井裏空間を介して連通し、空気調和機の給気の出
口73と、床のインテリア部の第2開口部48とは、床
下空間を介して連通するので、ダクトが不要であり、こ
れによって設備の設置に要するコストを削減することが
できる。
【0015】請求項2記載の本発明は、屋外に臨む窓3
3を有する空間は、天井38よりも上方の天井裏空間4
1と、床39よりも下方の床下空間42と、天井および
床の間の室内空間40とに仕切られ、室内空間40は、
窓33近傍のペリメータ部43と、ペリメータ部43よ
りも窓33側から見て奥方向のインテリア部44と、イ
ンテリア部44よりもさらに奥方向で仕切壁46によっ
て仕切られたコア部45とに区分される建物の空気調和
方法において、天井38には、インテリア部44で、相
互に間隔をあけて複数の第1吹出し口52a〜52cを
配置し、ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメー
タ部43のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状
の第1開口部47を設け、床39には、インテリア部4
4で、相互に間隔をあけて、かつ第1吹出し口52a〜
52cとは水平方向に位置をずらせて、複数の第2吹出
し口53a〜53eを配置し、ペリメータ部43で、窓
33に沿ってペリメータ部43のほぼ全長にわたって細
長に開口するライン状の第2開口部48を設け、 (a)空気調和機AHをコア部45内に設置し、この空
気調和機AHは、 (a−1)ハウジング62であって、上部に、還気の上
部側入口70と、給気の上部側出口71とが設けられ、
下部に、還気の下部側入口72と、給気の下部側出口7
3とが設けられ、還気の上部側入口70と給気の上部側
出口71とは、天井裏空間41に臨み、還気の下部側入
口72と給気の下部側出口73とは、床下空間42に臨
むハウジング62と、 (a−2)ハウジング62内に設けられる熱交換手段で
あって、冷房モードと暖房モードとの各動作を行い、冷
房モードでは、還気の上部側入口70からの空気を冷却
して給気の下部側出口73から冷風を排出する動作を行
い、暖房モードでは、還気の下部側入口72からの空気
を加熱して給気の上部側出口71から温風を排出する動
作を行う熱交換手段とを有し、 (b)各第1吹出し口52a〜52cを開閉する第1ダ
ンパ67a〜67cを設け、 (c)第1開口部47を開閉する第2ダンパ63を設
け、 (d)各第2吹出し口53a〜53eを開閉する第3ダ
ンパ69a〜69eを設け、 (e)第2開口部48を開閉する第4ダンパ65を設
け、 (f)冷房時、空気調和機AHの熱交換手段を冷房モー
ドで動作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを閉鎖
し、第2ダンパ63を開放し、第3ダンパ69a〜69
eを開放し、第4ダンパ65を閉鎖し、 (g)暖房時、空気調和機AHの熱交換手段を暖房モー
ドで動作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを開放
し、第2ダンパ63を閉鎖し、第3ダンパ69a〜69
eを閉鎖し、第4ダンパ65を開放することを特徴とす
る空気調和方法である。
【0016】本発明に従えば、前述と同様にペリメータ
部で発生する冷房時の高温空気および暖房時の低温空気
のインテリア部への流込みを防いで、空調負荷を低減
し、低コストで快適性を向上することができるようにな
る。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
空気調和設備の全体の構成を簡略化して示す鉛直断面図
である。なお、本実施の形態において、ペリメータ部と
は、外周ゾーンまたはペリメータゾーンとも呼ばれ、窓
近傍で屋外から外乱の影響を受ける領域をいう。またイ
ンテリア部とは、居住空間、内周ゾーンまたはインテリ
アゾーンとも呼ばれ、前記ペリメータ部よりも内側で屋
外から熱の影響を受けないか、またはその影響が前記ペ
リメータ部に比べて少ない領域をいう。本実施の形態で
は、一例として、オフィスビルなどと呼ばれる鉄骨鉄筋
コンクリート製建物の日照のある地上階の一室に、本発
明に従う空気調和設備を実施した場合を想定して説明す
る。
【0018】本実施の形態の空気調和設備31は、屋外
32に臨む窓33を有する建物34の各階を構成する上
層スラブ35と下層スラブ36との間のフロア空間37
に設けられる。フロア空間37には、上層スラブ35に
近接して内装用天井材から成る天井38が設けられ、下
層スラブ36に近接して内装用床材から成る床39が設
けられ、これらの天井38および床39間には前記窓3
3が露出する室内空間40が形成される。上層スラブ3
5と天井38との間には、天井裏空間41が形成され、
床39と下層スラブ36との間には、床下空間42が形
成される。
【0019】室内空間40は、前記窓33近傍のペリメ
ータ部43と、このペリメータ部43よりも窓33側か
ら見て奥方向、すなわち図1の左方に連なるインテリア
部44と、インテリア部44よりもさらに奥方向のコア
部45とに区分される。インテリア部44とコア部45
とは、仕切壁46によって仕切られている。またペリメ
ータ部43は、外周ゾーンとも呼ばれ、窓33から直射
日光が差し込む範囲の空間領域をいい、本実施の形態で
は、窓33からコア部45に向かって約1m程度の範囲
の領域とする。
【0020】ペリメータ部43の天井38および床39
には、窓33の図1の紙面に垂直な間口方向のほぼ全長
にわたって一直線状に延び、細長に開口するライン状開
口部47,48を有する吸込み口49,50がそれぞれ
設けられる。各吸込み口49,50は、前記窓33の幅
を超えて、前記室内空間40を図1の紙面に垂直な方向
における両側から挟む内壁51間にわたって設けられ、
各開口部49,50はペリメータ部43のほぼ全長にわ
たって延びる。ペリメータ部43の天井38に設けられ
る吸込み口49によって、前記室内空間40と天井裏空
間41とが連通する。またペリメータ部43の床39に
設けられる吸込み口50によって、前記室内空間40と
床下空間42とが連通される。各吸込み口49,50
は、たとえばブリーズライン形吸込み口ユニットによっ
て実現される。
【0021】インテリア部44の天井38には、相互に
間隔をあけて複数(本実施の形態では3)の吹出し口5
2a〜52cが設けられる。またインテリア部44の床
39には、相互に間隔をあけて複数(本実施の形態では
5)の吹出し口53a〜53eが設けられる。天井5の
各吹出し口52a〜52cは、床39の各吹出し口53
a〜53eに上下方向に対向しないように、水平方向に
位置をずらせて配置されている。天井38の各吹出し口
52a〜52cは、たとえばアネモスタット形吹出し口
ユニットによって実現されてもよい。また床39の各吹
出し口53a〜53eは、たとえばファンによって強制
的に給気するフロアディフューザとも呼ばれる床下ファ
ンユニットによって実現されてもよい。
【0022】前記天井38の各吹出し口52a〜52c
には、天井裏空間41を介して前記コア部45に設置さ
れた空気調和機AHからの給気が導かれ、室内空間40
内に上方から放射状に拡散して供給することができる。
また床下空間42には、前記空気調和機AHから給気が
導かれ、各吹出し口53a〜53eによって、室内空間
40内に下方から放射状に拡散して供給することができ
る。
【0023】図2は、空気調和機AHの構成を説明する
ための簡略化した側面図である。前記空気調和機AH
は、エアハンドリングユニットによって実現され、送風
機54、エリミネータ55、加湿器56、加熱コイル5
7、冷却コイル58、フィルタ59、およびドレンパン
60を含む。このような空気調和機AHは、図示しない
冷凍機およびボイラを熱源とし、冷房時には冷凍機から
の冷水を前記冷却コイル58に送水し、また暖房時には
ボイラからの温水を前記加熱コイル57に送水して、送
風機54によって供給される還気と熱交換し、冷風およ
び温風のいずれか一方を選択的に得ることができるよう
に構成されている。
【0024】前記送風機54、エリミネータ55、加湿
器56、加熱コイル57、冷却コイル58、フィルタ5
9、およびドレンパン60は、ハウジング62内に収納
される。このハウジング62の上部には、還気(RA)
の上部側入口70および給気(SA)の上部側出口71
が設けられる。またハウジング62の下部には、還気の
下部側入口72および給気の下部側出口73が設けられ
る。これらの還気の入口70,72および給気の出口7
1,73には、ダンパ74a〜74dが個別に開閉自在
にそれぞれ設けられる。また前記ペリメータ部43の天
井38の吸込み口49には、ダンパ63が設けられ、こ
のダンパ63はモータ64によって開閉駆動される。前
記床39の吸込み口50には、ダンパ65が設けられ、
このダンパ65はモータ66によって開閉駆動される。
さらに前記インテリア部44の天井38の各吹出し口5
2a〜52cには、ダンパ67a〜97cが設けられ、
これらのダンパ67a〜67cはモータ68a〜68c
によって開閉駆動される。前記インテリア部44の床3
9の吹出し口53a〜53eには、ダンパ69a〜69
cがそれぞれ設けられ、これらのダンパ69a〜69e
はモータ78a〜78eによって開閉駆動される。
【0025】空気調和機AHの各ダンパ74a〜74d
は、モータ75a〜75dによって個別に水平な回転軸
線まわりに約90°の角度範囲にわたって時計まわりお
よび反時計まわりに角変位駆動され、還気の各入口7
0,72および給気の各出口71,73を塞いだ閉鎖位
置と、還気の各入口70,72および給気の各出口7
1,73を開放した開放位置とにわたって各ダンパ74
a〜74dを開閉することができる。このような各ダン
パ74a〜74dの開口量は、各モータ75a〜75d
の回転量を調整することによって個別に変化させること
ができ、これによって還気の取込み量および給気の吐出
し量を最適に調整することができる。
【0026】上記の各モータ64,66,68a〜68
c,75a〜75d,78a〜78eは、制御手段76
によって制御される。この制御手段76には、冷房モー
ドと暖房モードとを切換えるための入力手段77からの
冷房モード信号および暖房モード信号が入力される。入
力手段77は、操作者が操作可能なように室内の壁に設
けられ、前記冷房モードおよび暖房モードのいずれかを
選択するための冷房モード選択スイッチ78aおよび暖
房モード選択スイッチ78bを有する。冷房モード選択
スイッチ78aを押圧操作したときには、前記冷房モー
ド信号が出力され、暖房モード選択スイッチ78bを押
圧操作したときには、前記暖房モード信号が出力され
る。
【0027】制御手段76は、前記入力手段77から冷
房モード信号および暖房モード信号のいずれか一方を入
力するまでは、すべてのダンパ63,65,67a〜6
7c,69a〜69e,74a〜74dを閉鎖状態に維
持する。前記入力手段77から冷房モード信号を入力す
ると、前記ペリメータ部43の天井38に設けられるモ
ータ64を駆動し、ダンパ63を開方向に角変位駆動し
て吸込み口49を開放し、かつインテリア部44の床3
9に設けられる各モータ78a〜78eを駆動し、各ダ
ンパ69a〜69eを開方向に角変位駆動して床39の
各吹出し口53a〜53eを開放する。同時に空気調和
機AHの還気の上部側入口70に設けられるモータ75
aを駆動し、ダンパ74aを開方向に角変位駆動して還
気の上部側入口70を開放し、かつ給気の下部側出口7
3に設けられるモータ74d駆動し、ダンパ75dを角
変位駆動して、給気の下部側出口73を開放する。この
とき、ペリメータ部43の床39のダンパ65、および
インテリア部44の天井39の各吹出し口52a〜52
cの各ダンパ67a〜67c、ならびに空気調和機AH
の還気の下部側入口72のダンパ74cおよび給気の上
部側出口71のダンパ74bは、閉鎖した状態に保たれ
る。
【0028】また制御手段76が前記入力手段77から
暖房モード信号を入力すると、一旦リセットして、すべ
てのダンパ63,65,67a〜67c,69a〜69
e,74a〜74dを閉鎖状態にした後、前記ペリメー
タ部43の床39に設けられるモータ66を駆動し、ダ
ンパ65を開方向に角変位駆動して吸込み口50を開放
し、かつインテリア部44の天井38に設けられる各モ
ータ68a〜68eを駆動し、各ダンパ67a〜67e
を開方向に角変位駆動して天井38の各吹出し口52a
〜52eを開放する。同時に空気調和機AHの還気の下
部側入口72に設けられるモータ75cを駆動し、ダン
パ74cを開方向に角変位駆動して還気の下部側入口7
2を開放し、かつ給気の上部側出口71に設けられるモ
ータ74bを駆動し、ダンパ75bを角変位駆動して、
給気の上部側出口71を開放する。このとき、ペリメー
タ部43の天井38のダンパ63、およびインテリア部
44の床の各吹出し口53a〜53cの各ダンパ69a
〜69c、ならびに空気調和機AHの還気の上部側入口
70のダンパ74aおよび給気の下部側出口72のダン
パ74dは、閉鎖した状態に保たれる。
【0029】このように入力手段77から冷房モード信
号または暖房モード信号を選択的に切換えて制御手段7
6に入力することによって、冷房時には、ペリメータ部
43の天井38に設けられる吸込み口49からペリメー
タ部43で生じる温度の高い空気を吸引しながら、イン
テリア部44の床39に設けられる各吹出し口53a〜
53eから冷風を供給するので、前記ペリメータ部43
で生じる温度の高い空気がインテリア部44側へ天井3
8に沿って流れ込むことが防がれる。また暖房時には、
ペリメータ部43の床39に設けられる吸込み口50か
らペリメータ部43で生じる温度の低い空気を吸引しな
がら、インテリア部44の天井38に設けられる各吹出
し口52a〜52cから温風を供給するので、ペリメー
タ部43で生じる前記温度の低い空気がインテリア部4
4側へ床39に沿って流れ込むことが防がれる。次に、
本件発明者の実験結果について説明する。
【0030】図3は、本件発明者による冷房時の環境実
験に用いた環境実験室を模式的に示す側面図である。図
3(1)は天井85に2箇所の吹出し口86と、天井8
5に4箇所の吸込み口88とを設けた条件Aの環境実験
室を示し、図3(2)は床87に12箇所の吹出し口8
6と、天井85のペリメータ部にブリーズライン形吸込
み口89とを設けた条件Bの環境実験室を示し、図3
(3)は天井85に2箇所の吹出し口86とコア部の壁
90に横向き吸込み口91とを設けた条件Cの環境実験
室を示す。
【0031】冷房時の環境実験室は、前述の実施の形態
でいう室内空間40を模擬した測定空間82と、屋外3
2を模擬した外気室83とに隔壁81によって仕切ら
れ、隔壁81のほぼ中央部には前記窓33を模擬した窓
ガラス84が嵌め込まれている。測定空間82は、図3
の紙面に垂直な幅が5m、図3の左右方向の長さが9
m、図3の上下方向の天井高さが2.7mの直方体の空
間であり、外気室83には日射を模擬するための複数の
日射ランプ(図示せず)が前記窓ガラス窓84に向けて
照射するように設けられている。測定空間82に臨む前
記隔壁81およびコア部の壁90を含む内周壁は、硬質
ポリウレタンフォームから成る断熱材によって覆われ、
外部に対する通気性が遮断されている。これらの条件A
〜Cにおいて、前記外気室83内の温度は34°Cに保
たれ、日射強度は515kcal/m2・hに保たれ
る。また測定空間82内は、設定温度が26°C、湿度
が50%、各吹出し口86から吹き出される給気の総送
風量は1350m3/h、吹出し温度は16.0℃であ
る。
【0032】図3(1)に示される条件Aでは、吹出し
口86としてアネモディフューザ形吹出し口を用い、こ
の吹出し口86を天井85の2箇所に設け、吸込み口8
8は天井リターンチャンバ形吸込み口を用いて、天井8
5に設けた。このときの測定空間82内の温度分布は、
図4(1)に示される。同図において、ペリメータ部を
除いたインテリア部では、上下方向の温度勾配も少な
く、良好な温度分布になっている。前記ペリメータ部
は、窓ガラス84からの日射熱によって1.5°C程度
インテリア部より温度が高くなっている。ペリメータ部
の窓側上部の空間には、日射熱などの負荷によって生じ
た高温の空気だまりができ、それが天井85に沿ってイ
ンテリア部側へ流れるので、天井85付近にはペリメー
タ部からインテリア部側へ向かって40.0°C、3
6.0°C、32.0°C程度の高温の空気層ができて
いることが判る。
【0033】図3(2)に示される条件Bでは、吸込み
口89をペリメータ部の天井85に設けた場合であり、
上記の図1および図2の実施の形態に相当する。このと
きの測定空間82内の温度分布を図4(2)に示す。ペ
リメータ部の天井85に設けた吸込み口89によって、
日射熱などの負荷による高温の空気だまりが効果的に排
出されているので、インテリア部の上層部に高温空気の
滞留はなくなっている。
【0034】図3(3)に示される条件Cは、天井吹出
しおよび壁吸込みの場合であり、このときの測定空間8
2内の温度分布を図4(3)に示す。前記壁吸込み口9
0の床87からの高さは、300mmである。この条件
は、インテリア部側の出入口扉の下部に空気の連通口を
設け屋内からの還気が廊下を経て空気調和機に戻る空調
方式に相当する。日射熱などの負荷による高温空気も、
吹出し冷風と混合してインテリア部を経由して吸込み口
90へ流れるため、インテリア部の温度を他と同じにす
るためには吹出し空気の温度をやや低く設定する必要が
ある。
【0035】図5は、各条件A〜Cにおける測定空間8
2の中央部の上下方向の温度勾配を示す図であり、図5
(1)は条件Aにおける温度勾配を示す図であり、図5
(2)は条件Bにおける温度勾配を示す図であり、図5
(3)は条件Cにおける温度勾配を示す図である。各条
件A〜Cともインテリア部においては、大きな違いは見
られず、設定温度に対してほぼ良好な温度分布を示して
いる。条件Cは壁面下部からの吸込みであるため、イン
テリア部では条件Bのペリメータ天井面からの吸込みに
比べて温度が高くなっている。また天井面に沿った高温
空気があるため、床上2mよりも上方で急激な温度勾配
となっている。
【0036】図6は、測定空間82内を室内代表点温度
が26°Cの定常状態に維持したときの各条件A〜Cに
おける室内温度と吹出し口の温度との差(以下、吹出し
口温度差と記す)の実験結果を示すグラフである。同図
において、棒グラフは室内冷房負荷を示し、符号「●」
は吹出し口温度差を示す。同図から明らかなように、条
件Bの吹出し口温度差が7.9°Cと最も温度差が小さ
く、条件A,Cの順に大きくなることが判る。条件Aで
は、吹出し空気がインテリア部に達するまでに天井付近
の高温空気の一部と混合するため、吹出し温度を条件B
よりも低くする必要がある。また条件Cでは、負荷によ
る高温空気も吹出し空気と混合し、すべてインテリア部
を通過して吸込み口90に流れるため、吹出し空気温度
はさらに低くする必要がある。すなわち、同じ負荷条件
であっても窓側および天井付近に偏在する熱負荷を効果
的に排除すれば、室内居住空間の負荷を軽減できること
になり、給気温度を同一温度に設定するとすれば、送風
量を減少させることができる。従来の空調システムであ
る条件Aまたは条件Cに比べて、ペリメータ部の天井面
に還気を集中することによって、約22%の送風量の削
減が可能となり、運転時の省エネルギ化を図ることがで
きる。
【0037】図7は、本件発明者による暖房時の環境実
験に用いた環境実験室を模式的に示す側面図であり、条
件Dでは、図7(1)に示されるように、天井85に2
箇所の吹出し口86と、4箇所の吸込み口88とを設
け、条件Eでは、図7(2)に示されるように、天井8
5に2箇所の吹出し口86と、床面87のペリメータ部
にブリーズライン形吸込み口89とを設け、条件Fで
は、図7(3)に示されるように、天井85に2箇所の
吹出し口86と、インテリア部の壁90に1箇所の吸込
み口91とを設け、暖房時における測定空間82内の温
度を検出した。
【0038】条件Dは、天井吹出し・天井吸込み形構造
であり、吹出し口86はアネモディフューザ形吹出し口
を用い、吸込み口88は天井リターンチャンバを用い、
このときの測定空間82内の温度分布を図8(1)に示
す。各吹出し口86からの吹出し気流は、上方から下方
に向かって床面上1m程度の高さまでは到達するが、こ
の高さよりも下へは浮力による上昇によって到達せず、
吸込み口88から吸い込まれる。そのため、床面上1m
程度以上の上層域は、ほぼ均一な温度になっているが、
床面から0.5m程度の高さ位置よりも下の低層域に
は、大きな温度勾配ができている。特に、窓側からの低
温負荷気流が床面に沿うように拡がって停滞しているの
で、足元に冷感がある。
【0039】条件Eは、天井吹出し・床吸込み形構造で
あり、吸込み口を窓側床でブリーズラインとした場合で
あり、このときの測定空間82内の温度分布を図8
(2)に示す。この温度分布は、吹出し気流が窓側下部
に向かう流れとなっている。窓ガラス面で発生した低温
空気は、窓ガラス84に沿って降下し、ペリメータ部の
床面に開口した吸込み口89から排出されるため、床面
に沿う低温空気もなく、足元の冷感もなくなり、室内の
上下方向の温度勾配も小さく、吹出し温度も天井吸込み
に比べて1℃程度低くすることができる。
【0040】条件Fは、天井吹出し・壁面吸込み形とし
た場合であり、このときの測定空間82内の温度分布を
図8(3)に示す。この場合の気流は、インテリア部側
の出入口扉のドアガラリから廊下を経て空気調和機に戻
る流れに相当し、その結果、気流がインテリア部側に向
かう流れになり、負荷による低温空気も吸込み口91の
同じ方向に流れるため、窓側から5m程度まで足元の温
度は低い。
【0041】図9は、各条件D〜Fにおける測定空間8
2の中央部の各位置での上下方向の温度勾配を示す図で
あり、図9(1)は条件Dにおける温度勾配を示し、図
9(2)は条件Eにおける温度勾配を示し、図9(3)
は条件Fにおける温度勾配を示す。各条件D〜Fにおい
て、床面上0.5m以上の領域では、全般に温度勾配が
少ないが、床面上0.5m未満の下層に着目すると、窓
側床吸込みを行わない各条件D,Fでは、床面上0.5
m以上の上層に比べて温度勾配が急激に下がっており、
足元に冷感を感じ易い状況であることが判る。
【0042】図10は、測定空間82の室内代表点温度
を温度22°Cに維持したときの各条件D〜Fにおける
室内温度と吹出し口での温度との差(以下、吹出し口温
度差と記す)を示すグラフである。同図から明らかなよ
うに、ペリメータ部の床に吸込み口を設けた条件Eが最
も吹出し口温度差が小さいことが判る。吹出し口温度差
は、条件F,Dの順に大きくなり、条件Eでは、一般的
に多い天井吹出し・天井吸込みである条件Dに比べて3
3%の差がある。これは、条件Eでは床付近に停滞する
低温空気が効果的に排除されるためであり、冷房時と同
様に、省エネルギ効果が大きいことが判る。
【0043】さらに、冷房時にペリメータ部の天井に、
また暖房時にペリメータ部の床に吸込み口がそれぞれ設
けることによって、従来の吸込み口の位置に比べて室内
負荷が軽減できるだけでなく、室内へ供給する給気の送
風量を減少させることができるので、空気調和機の送風
量減少による運転コストの削減および空気調和機自体の
設備コストをも低減することができる。
【0044】さらに前述したように、冷房時および暖房
時のいずれであっても、各ダンパ63,65,67a〜
67c,69a〜69eおよび空気調和機AHのダンパ
74a〜74dを、入力手段77によって冷房時と暖房
時とで選択的に切り換えればよいので、前記従来の技術
のように、ダクトを用いる必要がなく、簡単な構成で安
価な設備コストで快適な空調空間を実現することができ
る。さらにダクトが不要であることによって、天井裏空
間41および床下空間42が狭い建物であっても、本発
明を有利に実施することができ、構造上の異なる各種の
建物に対して本発明に従う空気調和設備を広範囲に実施
することができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、冷房時には、ペリメー
タ部で生じる高温空気がペリメータ部の天井に設けられ
る第1開口部47から吸引されるので、従来のように、
インテリア部の天井に設けられる吹出し口から給気とし
て吹き出される低温の空気が、天井に沿って拡がる高温
の空気と混合して降下し、その結果、インテリア部の下
層域の空気が吹出し口からの低温の空気によって充分に
冷却されないという不具合が本発明では、防がれ、従来
に比べて空気調和機で吹出し温度差を大きくしなければ
ならない負担が低減される。また暖房時には、ペリメー
タ部で生じる低温の空気がペリメータ部の床に設けられ
る第2開口部48から吸引されるので、床上の下層域の
低温の空気滞留がなくなり、快適とされる頭寒足熱とな
る温度分布を得ることができる。このようにペリメータ
部で生じる空調負荷を、天井および床に設けられる第1
および第2開口部47,48から吸引するので、冷房時
および暖房時のいずれであっても、インテリア部を好ま
しい温度分布に維持し、空気調和機の負担を軽減して運
転コストを削減し、快適性を向上することができる。
【0046】さらに天井および床のペリメータ部に設け
られる第1および第2開口部47,48は、前記窓に沿
ってペリメータ部のほぼ全長にわたって細長に開口する
ので、ペリメータ部で発生する冷房時の高温空気および
暖房時の低温空気をそれぞれ吸引し、したがってインテ
リア部への流れ込みを防いで、最適な温熱環境を実現す
ることができる。
【0047】さらに冷房時における空気調和機の還気の
入口70と、天井のペリメータ部の第1開口部47と
は、天井裏空間を介して連通し、空気調和機の給気の出
口73と、床のインテリア部の第2開口部48とは、床
下空間を介して連通し、暖房時にもこれらの天井裏空間
と床下空間とを空気の流れのために利用するので、ダク
トが不要であり、これによって設備コストを削減するこ
とができる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の空気調和設備の全体の
構成を簡略化して示す鉛直断面図である。
【図2】空気調和機AHの構成を説明するための簡略化
した側面図である。
【図3】本件発明者による冷房時の環境実験に用いた環
境実験室を模式的に示す側面図である。図3(1)は天
井85に2箇所の吹出し口86と、天井85に4箇所の
吸込み口88とを設けた条件Aの環境実験室を示し、図
3(2)は床87に12箇所の吹出し口86と、天井8
5のペリメータ部にブリーズライン形吸込み口89とを
設けた条件Bの環境実験室を示し、図3(3)は天井8
5に2箇所の吹出し口86とコア部の壁90に吸込み口
91とを設けた条件Cの環境実験室を示す。
【図4】各条件A〜Cにおける測定空間82内の温度分
布を示す図であり、図4(1)は条件Aの測定空間82
の温度分布を示し、図4(2)は条件Bの測定空間82
の温度分布を示し、図4(3)は条件Cの測定空間82
の温度分布を示す。
【図5】各条件A〜Cにおける測定空間82の中央部の
上下方向の温度勾配を示す図であり、図5(1)は条件
Aにおける温度勾配を示し、図5(2)は条件Bにおけ
る温度勾配を示し、図5(3)は条件Cにおける温度勾
配を示す。
【図6】測定空間82内を室内代表点温度が26°Cの
定常状態に維持したときの各条件A〜Cにおける室内温
度と吹出し口の温度との差(以下、吹出し口温度差と記
す)の実験結果を示すグラフである。
【図7】本件発明者による暖房時の環境実験に用いた環
境実験室を模式的に示す側面図であり、図7(1)は天
井85に2箇所の吹出し口86と、天井85に4箇所の
吸込み口88とを設けた条件Dを示し、図7(2)は天
井85に2箇所の吹出し口86と、床面87のペリメー
タ部にブリーズライン形吸込み口89とを設けた条件E
を示し、図7(3)は天井85に2箇所の吹出し口86
と、インテリア部の壁90に1箇所の吸込み口91とを
設けた条件Fを示す。
【図8】各条件D〜Fにおける測定空間82内の温度分
布を示す図であり、図8(1)は条件Dの温度分布を示
し、図8(2)は条件Eの温度分布を示し、図8(3)
は条件Fの温度分布を示す。
【図9】各条件D〜Fにおける測定空間82の中央部各
位置での上下方向の温度勾配を示す図であり、図9
(1)は条件Dにおける温度勾配を示し、図9(2)は
条件Eにおける温度勾配を示し、図9(3)は条件Fに
おける温度勾配を示す。
【図10】測定空間82の室内代表点温度を温度22°
Cに維持したときの各条件D〜Fにおける室内温度と吹
出し口での温度との差を示すグラフである。
【図11】典型的な従来の技術の空気調和設備1aを示
す断面図である。図11(1)は冷房時の室内空間9内
の気流の流れを示し、図11(2)は暖房時の室内空間
9内の気流の流れを示す。
【図12】他の従来の技術の空気調和設備1bを示す断
面図である。図12(1)は、冷房時の気流の流れを示
し、図12(2)は暖房時の気流の流れを示す。
【符号の説明】
31 屋外 33 窓 34 建物 38 天井 39 床 40 室内空間 41 天井裏空間 42 床下空間 43 ペリメータ部 44 インテリア部 49,50 吸込み口 52a〜52c,53a〜53e 吹出し口 63,65,67a〜67c,69a〜69e,74a
〜74d ダンパ 70 還気の上部側入口 71 給気の上部側出口 72 還気の下部側入口 73 給気の下部側出口 76 制御手段 77 入力手段 82 測定空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 3/044

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋外に臨む窓33を有する空間は、天井
    38よりも上方の天井裏空間41と、床39よりも下方
    の床下空間42と、天井および床の間の室内空間40と
    に仕切られ、 室内空間40は、 窓33近傍のペリメータ部43と、 ペリメータ部43よりも窓33側から見て奥方向のイン
    テリア部44と、 インテリア部44よりもさらに奥方向で仕切壁46によ
    って仕切られたコア部45とに区分される建物に設けら
    れる空気調和設備において、 (a)天井38には、 インテリア部44で、相互に間隔をあけて複数の第1吹
    出し口52a〜52cが配置され、 ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメータ部43
    のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状の第1開
    口部47が設けられ、 (b)床39には、 インテリア部44で、相互に間隔をあけて、かつ第1吹
    出し口52a〜52cとは水平方向に位置をずらせて、
    複数の第2吹出し口53a〜53eが配置され、 ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメータ部43
    のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状の第2開
    口部48が設けられ、 (c)コア部45内に配置される空気調和機AHであっ
    て、 (c−1)ハウジング62であって、 上部に、還気の上部側入口70と、給気の上部側出口7
    1とが設けられ、 下部に、還気の下部側入口72と、給気の下部側出口7
    3とが設けられ、 還気の上部側入口70と給気の上部側出口71とは、天
    井裏空間41に臨み、 還気の下部側入口72と給気の下部側出口73とは、床
    下空間42に臨むハウジング62と、 (c−2)ハウジング62内に設けられる熱交換手段で
    あって、 冷房モードと暖房モードとの各動作を行い、 冷房モードでは、還気の上部側入口70からの空気を冷
    却して給気の下部側出口73から冷風を排出する動作を
    行い、 暖房モードでは、還気の下部側入口72からの空気を加
    熱して給気の上部側出口71から温風を排出する動作を
    行う熱交換手段とを有する空気調和機AHと、 (d)各第1吹出し口52a〜52cを開閉する第1ダ
    ンパ67a〜67cと、 (e)第1開口部47を開閉する第2ダンパ63と、 (f)各第2吹出し口53a〜53eを開閉する第3ダ
    ンパ69a〜69eと、 (g)第2開口部48を開閉する第4ダンパ65と、 (h)制御装置76,77であって、 冷房時、空気調和機AHの熱交換手段を冷房モードで動
    作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを閉鎖し、 第2ダンパ63を開放し、 第3ダンパ69a〜69eを開放し、 第4ダンパ65を閉鎖し、 暖房時、空気調和機AHの熱交換手段を暖房モードで動
    作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを開放し、 第2ダンパ63を閉鎖し、 第3ダンパ69a〜69eを閉鎖し、 第4ダンパ65を開放する制御装置76,77とを含む
    ことを特徴とする空気調和設備。
  2. 【請求項2】 屋外に臨む窓33を有する空間は、天井
    38よりも上方の天井裏空間41と、床39よりも下方
    の床下空間42と、天井および床の間の室内空間40と
    に仕切られ、 室内空間40は、 窓33近傍のペリメータ部43と、 ペリメータ部43よりも窓33側から見て奥方向のイン
    テリア部44と、 インテリア部44よりもさらに奥方向で仕切壁46によ
    って仕切られたコア部45とに区分される建物の空気調
    和方法において、 天井38には、 インテリア部44で、相互に間隔をあけて複数の第1吹
    出し口52a〜52cを配置し、 ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメータ部43
    のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状の第1開
    口部47を設け、 床39には、 インテリア部44で、相互に間隔をあけて、かつ第1吹
    出し口52a〜52cとは水平方向に位置をずらせて、
    複数の第2吹出し口53a〜53eを配置し、 ペリメータ部43で、窓33に沿ってペリメータ部43
    のほぼ全長にわたって細長に開口するライン状の第2開
    口部48を設け、 (a)空気調和機AHをコア部45内に設置し、 この空気調和機AHは、 (a−1)ハウジング62であって、 上部に、還気の上部側入口70と、給気の上部側出口7
    1とが設けられ、 下部に、還気の下部側入口72と、給気の下部側出口7
    3とが設けられ、 還気の上部側入口70と給気の上部側出口71とは、天
    井裏空間41に臨み、 還気の下部側入口72と給気の下部側出口73とは、床
    下空間42に臨むハウジング62と、 (a−2)ハウジング62内に設けられる熱交換手段で
    あって、 冷房モードと暖房モードとの各動作を行い、 冷房モードでは、還気の上部側入口70からの空気を冷
    却して給気の下部側出口73から冷風を排出する動作を
    行い、 暖房モードでは、還気の下部側入口72からの空気を加
    熱して給気の上部側出口71から温風を排出する動作を
    行う熱交換手段とを有し、 (b)各第1吹出し口52a〜52cを開閉する第1ダ
    ンパ67a〜67cを設け、 (c)第1開口部47を開閉する第2ダンパ63を設
    け、 (d)各第2吹出し口53a〜53eを開閉する第3ダ
    ンパ69a〜69eを設け、 (e)第2開口部48を開閉する第4ダンパ65を設
    け、 (f)冷房時、空気調和機AHの熱交換手段を冷房モー
    ドで動作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを閉鎖
    し、 第2ダンパ63を開放し、 第3ダンパ69a〜69eを開放し、 第4ダンパ65を閉鎖し、 (g)暖房時、空気調和機AHの熱交換手段を暖房モー
    ドで動作させ、かつ第1ダンパ67a〜67cを開放
    し、 第2ダンパ63を閉鎖し、 第3ダンパ69a〜69eを閉鎖し、 第4ダンパ65を開放することを特徴とする空気調和方
    法。
JP11374815A 1999-12-28 1999-12-28 空気調和設備 Expired - Fee Related JP3136292B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11374815A JP3136292B1 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 空気調和設備

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11374815A JP3136292B1 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 空気調和設備

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3136292B1 true JP3136292B1 (ja) 2001-02-19
JP2001193962A JP2001193962A (ja) 2001-07-17

Family

ID=18504478

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11374815A Expired - Fee Related JP3136292B1 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 空気調和設備

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3136292B1 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001193962A (ja) 2001-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11441796B2 (en) Construction method and design method of air-conditioning system
JP2008134032A (ja) 空気調和システム
JP2019049376A (ja) 建物のダブルスキン構造の換気制御システム及び換気制御方法
JP2018155444A (ja) 空気調和システム及び建物
JPH01300135A (ja) 換気・循環冷暖房設備
JP4647503B2 (ja) 空調システム
KR101251221B1 (ko) 창호 환기시스템
JP2010243142A (ja) 空調システム及び建物
JP2009084936A (ja) 断熱住宅及び換気システム
JP6480690B2 (ja) 全館冷暖房システム
JP3136292B1 (ja) 空気調和設備
JP3082061B2 (ja) 暖房または暖冷房の空調方法
JP2009270799A (ja) 換気経路切換装置および建物の熱交換換気システム、並びに建物の熱交換換気方法
JP5137599B2 (ja) 空調システム
JPH11182893A (ja) 住宅空調装置
JPH0719525A (ja) 床下吹出し空調装置
JP2017129339A (ja) 全館冷暖房システム
JPH04106333A (ja) 一体型集中空調システム
JPH1144435A (ja) 空気循環式空調型床暖房システムハウス
JP4531201B2 (ja) 空調方法及び空調システム
JP7191557B2 (ja) 全館空調システム
JPH11218342A (ja) 家屋の空調システム及び空調方法
JP2004060959A (ja) 建物の空気循環システム
JP2020204466A (ja) 空調システムの施工方法及び空調システムの設計方法
JP2023118915A (ja) 空調システムの施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3136292

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081201

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091201

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131201

Year of fee payment: 13

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees