JP3135899B2 - 電気素子 - Google Patents

電気素子

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、有機材料を用いた太陽電池、発光素子、ト
ランジスタ等の電気素子に関するものである。
[従来の技術] 従来、無機材料を用いていた、太陽電池、発光素子、
トランジスタ等に有機材料を適用する試みがなされる様
になってきた。その理由として、有機材料の半導体特性
の改良、特性の多様化、薄膜化技術の進歩が挙げられ
る。
上記素子は1mA/cm2以上の電流容量を持つことが望ま
しい共通の必要特性を有している。例えば、太陽電池で
は、太陽光下で5%以上の変換効率を達成するには10mA
/cm2以上の短らく光電流が必要であり、また、有機EL素
子(エレクトロルミネッセンス素子)では1000cd/m2
度の高輝度を得るにはやはり10mA/cm2程度の電流密度が
必要である。更にトランジスタにおいては作動時の電流
が大きい方が用途が広い。
以上のように、高い電流容量を有することが上記素子
の実用化にとって必須の技術課題である。
電荷担体として、正電荷(ホール)と電子があるが、
上記素子ではこの両者が素子の内部を抵抗なく移動する
必要がある。しかし、有機物ではその内部をホール、電
子の両方とも効率よく移動できるものがほとんどないの
で電流容量が必要な素子は、電子伝導とホール伝導の層
を別けて行なうような改良が提案されている。
しかし、それでも移動の際にエネルギー障壁等がある
とそれが抵抗成分として作用し、電流容量が低下する。
この障壁は素子構成上必要な異種材料層の接合部に生成
する。したがって、上記素子でその機能サイト(太陽電
池では光電荷が生成するサイト)以外の接合部分は電荷
移動に障壁のないオーミック接触である必要がある。
しかし、電子移動層とホール移動層を別個に備えた有
機電気素子を用いて高い電流密度を得るという課題を達
成しようと試みた報告を検討すると重大な問題があるこ
とがわかる。それは陰電極(以下陰極という)材料に関
するものである。
陰極材料として通常、金属が用いられており、有機半
導体とオーミック接触を達成するために仕事関数の小さ
な金属が用いられていた。
例えば、太陽電池の場合、特公昭62−4871では、短ら
く電流として最高3mA/cm2の例が記載されているが、こ
の際に用いられている陰極はAgやInである。周知の通
り、これらは耐酸化性に乏しい金属である。
また、電界発光の例ではR.H.Partridgeがポリビニル
カルパゾールを発光材料に用いた例を報告しており、こ
の例では[Polymer,24,748(1983)]陰極にセシウムを
用いている。
また別の例として、C.W.Tangが報告しているアルミニ
ウムキノリン錯体とジアミンの複層型素子では陰極にMg
−Ag合金が用いられているが[Appl.Phys.Lett.,51,913
(1987)]これらの金属材料もまた、耐酸化性に乏し
い。
この種の金属でなく、仕事関数の大きなものを陰極材
料として使用できれば、電極の安定性が増し、素子の実
用化が近付くものと考えられる。しかし、直接、これら
の材料を用いると、電流密度が大幅に低下し、素子特性
の低下が起きてしまう。これは、これらの金属を用いる
と、電子電導性の有機半導体と金属との間に、電子伝導
に対する障壁が生成するためと考えられる。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、電子伝導性有機半導体を用い、かつ、電流
密度を低下させずに安定な金属を陰極として使用できる
素子を提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段] 上記課題を達成するため検討した結果、陰極側の構成
として、仕事関数の大きな金属とそこに連続してn型無
機半導体層及び電子伝導性有機物層が順次重なったもの
であると、大きな電流が安定して得られることが判明し
た。
すなわち、本発明の構成は、特許請求の範囲に記載の
とおりの電気素子である。
仕事関数の大きな金属と電子伝導性有機物層が直接接
するとショットキー的接合が生成することがわかった。
この接合は、電極から電子伝導性有機層へ電子が移動す
る場合や、その逆においてもエネルギー障壁となる様に
作用する。
ここにn型無機半導体を介在させると、n型無機半導
体層のバルク電流容量及びn型無機半導体と電極を接し
たことによる接合電流容量は、電子伝導性有機層のバル
ク電流容量よりも大きく、また、n型無機層と電子伝導
性有機層の間はオーミック接触となり、素子全体の電流
容量の低下が生じない。
[実施例] 以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
材料 電極 金、パラジウム、白金、クロム、ニッケル、カーボン
等の仕事関数の高いもの、 n型無機半導体層 n型シリコン結晶、n型a−Si、ZnS、ZnO、ZnSe、Cd
S、CdSe等 電子伝導性有機半導体層 テトラシノキノジメタン、テトラシアノエチレン、ジ
メチルジクロルベンズキノン、トリニトロフルオレノン
等のアクセプタ化合物、PR179、PB26、PR189等のペリレ
ン系顔料、PR168、PR177、PY24等のキノン系顔料、カリ
ウム、ナトリウム等がドープされたポリアセチレン、ポ
リチオフェン等の共役系高分子 素子構成 上記電極、n型無機半導体層、電子伝導性有機半導体
層は順次積層されており、更にこの上に必要に応じて他
の層及び陽極がある。例えば有機太陽電池ではホール移
動性有機色素層と電極がもうけられ、2つの有機物層の
界面で光電変換がおこなわれる。EL素子では、発光層等
が更にもうけられる。
実施例1 ITOガラス上の基板温度約300℃で、導入ガスとしてア
ルゴンを用い、DCマグネトロンスパッタ法で酸化亜鉛を
約1300Åの厚さで設けた。
更にその上に真空蒸着法で電子伝導性化合物であるペ
リレンテトカルボン酸メチルイミドを約2000Åの厚さで
設け、その上に金を真空蒸着した。ITOと金がなす面積
は0.25cm2とした。2つの電極に銀ペーストにてリード
線を取り付けた。
この素子のITO側に6mv/sで掃引される電圧を印加し
て、±1Vでの電流を測定したところ−1Vでの電流密度
[J(−1V)]として−1.3×10-3A/cm2が得られた。
比較例1 ZnOをもうけないこと以外は実施例1と同様に試料を
作製して電流測定をおこなったところJ(−1V)=−7.
0×10-5A/cm2であった。
実施例2 実施例1のペリレン顔料層の厚さを800Åとした以外
は実施例1と同様に試料を作製し、電流測定をおこなっ
た。J(−1V)=−2.6×10-3A/cm2が得られた。
実施例3 電子伝導性化合物を実施例1のものから下記の化学構
造の化合物にかえ、その厚さを2000Åとした以外は実施
例1と同様に試料を作製し電流測定をおこなった。
その結果J(−1V)=−2.2×10-3A/cm2が得られた。
実施例4 電子伝導性化合物を実施例1のものから下記の化学構
造の化合物に変え、その厚さを1300Åとした以外は実施
例1と同様に試料を作製し電流測定をおこなった。
その結果J(−1V)=−1.5×10-3A/cm2が得られた。
実施例5 電子伝導性化合物を実施例1のものから下記の化学構
造の化合物に変え、その厚さを1300Åとした以外は実施
例1と同様に試料を作製し電流測定をおこなった。
その結果J(−1V)=−3.2×10-3A/cm2が得られた。
比較例2 ZnOをもうけないこと以外は実施例2と同様に試料を
作製したところ短らくしていた。
比較例3、4、5 ZnOをもうけないこと以外は実施例3、4、5と同様
に試料を作製し電流測定をおこなったところ、それぞれ
−1.3×10-4A/cm2、−2.3×10-5A/cm2、−4.5×10-5A/c
m2が得られた。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明の電気素子の
効果を要約すると下記のとおりである。
1.電流密度の低下がおこらない。
2.電子伝導性有機半導体層が薄膜でも(薄膜の方が電流
密度が高い。有機層のバルク抵抗で電流が制限されてい
るためと考えられる。)ピンホールによる短らく確率が
低下する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−88777(JP,A) 特開 昭61−1059(JP,A) 特開 昭61−20372(JP,A) 特開 昭61−61475(JP,A) 特開 昭61−202478(JP,A) 特表 昭61−501949(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/00 - 31/119 H01L 33/00 H01L 51/00 - 51/40 H05B 33/00 - 33/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仕事関数の大きな金属、n型無機半導体
    層、電子伝導性有機半導体層が順次積層された部分を有
    することを特徴とする電気素子。
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