JP3135662B2 - リン酸化蛋白質−リン酸カルシウム複化合物およびその製造方法 - Google Patents

リン酸化蛋白質−リン酸カルシウム複化合物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸カルシウム可溶化
能等を持つ、新規なリン酸化蛋白質化合物、該リン酸化
蛋白質化合物とリン酸カルシウムの複化合物及びそれを
利用したカルシウム強化剤に関する。
【0002】該カルシウム強化剤は乳製品等、広く食品
に適用できるものである。
【0003】
【従来の技術】従来のCa強化剤は、蛎殻、牛骨、炭酸
カルシウム、リン酸カルシウム等の各種カルシウム塩が
添加剤として用いられている。
【0004】しかしこれら化合物カルシウム塩は、酸性
域では溶解しているが、カルシウムが腸管で吸収される
中性付近のpHでは溶解度が低く、吸収率が低い。生体
内で活性のあるカルシウムはイオン状のカルシウムであ
るが、これが不足した場合の供給源は蛋白質と結合した
カルシウムであって、化合物カルシウムはイオン状カル
シウムの供給源としての働きはほとんどないことが知ら
れている。
【0005】したがって、Ca強化剤として従来用いら
れている化合物カルシウムでは、生理的に効果のあるカ
ルシウムの補給が困難であり、この意味で有効なCa強
化剤はほとんど知られていない。
【0006】ところで、天然物の中にはカルシウム供給
源として極めて有効なものがあり、その代表的なものが
乳カゼインである。カゼインはカルシウムと結合してカ
ゼインカルシウムをとなり、さらにリン酸カルシウムと
複化合物を作ってコロイド粒子として乳中に懸濁してい
る。乳カゼインに結合しているカルシウムは吸収率がよ
い。カゼインはリン酸カルシウムを可溶化し、カルシウ
ムの腸管吸収を促進する機能があるからである。
【0007】カゼインはリン蛋白質の一種でリン酸基を
カゼイン分子中に有しており、このリン酸基が、リン酸
カルシウムの可溶化等に関与していると考えられる。
【0008】そこでリン酸基をもつ蛋白質がカルシウム
の可溶化手段として有効であることが期待され、例え
ば、リン酸基をもたない乳清蛋白質にもリン酸基を導入
すればカゼインと同様の機能を付与できるものと期待で
きる。
【0009】一般に、蛋白質のリン酸化は乳化性、泡立
ち性、熱安定性等を向上させることが知られている。し
かし、化学的リン酸化は副反応が著しく、蛋白質の重合
や分解を伴うし、アミノ酸の損傷を引き起こす。また、
酵素的リン酸化は基質特異性のため、導入されるリン酸
基の数が極めて少ないし、反応にATPを必要とするの
で食品蛋白質への適用は難しい。
【0010】例えば、蛋白質の化学的リン酸化について
はドイツのG.Matheis が1984年と1991年に総説
を発表している(Food Chemistry 39 (1991) 13-26/J. A
gric. Food Chem. (1984), 32, 699-705) が中心になっ
ているのはホスホオキシクロリド法であり、現在までの
ところの反応に伴う副反応は克服されていない。
【0011】酵素的リン酸化はL.F. Ross ら(米国)が
1989年に大豆蛋白質に適用した(J. Agric. Food Ch
em. Vol. 37, No. 4 (1989) 841-844)が、導入されたリ
ン酸基は蛋白質1分子当り0.8個であった。日本では
脊黒らが1990年にホスホキナーゼにより大豆蛋白質
をリン酸化している(Agric. Biol. Chem. 54 (5), 1271
-1274 (1990)) が、導入されたリン酸基は蛋白質1分子
当り最大2個であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにいくつか
の試みがあるが、カゼインに匹敵するようなリン酸基
(概略1〜13個/分子、リン含量として0.16〜
1.60%、全カゼインのリン含量は0.85%)が多
数蛋白質に結合した例はない(乾燥カゼイン中のP:
2.9%)。
【0013】そこで本発明は、カゼインと類似のあるい
はそれ以上のリン酸カルシウム可溶化能をもつ、リン酸
と蛋白質が結合した新規なリン酸化蛋白質及び該蛋白質
とリン酸カルシウムとの複化合物を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、次に示す
手段により達成される。すなわち、本発明は、還元糖リ
ン酸エステルと蛋白質をアミノカルボニル反応により結
合させ、蛋白質にリン酸基を導入してなるリン酸化蛋白
質化合物とリン酸カルシウムが溶解する溶液中で双方を
反応させ、該リン酸化蛋白質化合物にカルシウムと無機
リン酸とを結合させてなるリン酸化蛋白質−リン酸カル
シウム複化合物に関するまた本発明は、還元糖リン酸
エステルと蛋白質の混合物を固体状態もしくは粉状態で
加熱してアミノカルボニル反応により蛋白質にリン酸基
を導入する工程と、該リン酸化蛋白質化合物とリン酸カ
ルシウムが溶解する溶液中で双方を反応させ、該リン酸
化蛋白質化合物にカルシウムと無機リン酸とを結合させ
る工程を有するリン酸化蛋白質−リン酸カルシウム複化
合物の製造方法に関する。
【0015】さらに、本発明は上記リン酸化蛋白質−リ
ン酸カルシウム複化合物よりなるカルシウム強化剤であ
る。
【0016】本発明によればリン酸を還元糖を介して蛋
白質に結合させるので、糖の親水性とリン酸基の機能を
同時に付与でき、蛋白質の機能性を飛躍的に改善するこ
とができる。
【0017】還元糖リン酸エステルと蛋白質の結合は、
リン酸を直接蛋白質に結合させるのとは異なり、自然界
で生ずるアミノカルボニル反応で足りるため副反応が小
さくまた、食品への適用性にも問題はない。ただし、ア
ミノカルボニル反応は、進行しすぎれば褐変を招くが、
反応の程度を調節することで、これら弊害を生じさせ
ず、還元糖と蛋白質を充分に結合させることができる。
【0018】以下、本発明を詳述する。
【0019】本発明者らはリン酸カルシウムによるカゼ
イン分子間架橋形成性の面から研究を進め、架橋形成に
おけるリン酸基の役割を明らかにし、その知見に基づき
リン酸化蛋白質のカゼイン的機能発現の可能性を見出
し、本発明に至った。ここで、問題となるのは、リン酸
化蛋白質は有効であるにしても、前述従来技術で述べた
とおり蛋白質を直接的に有効なレベルまでリン酸化する
のは技術的に極めて困難である点である。
【0020】そこで、本発明では還元糖のリン酸エステ
ルを用い、これを蛋白質に結合させることで上記問題を
解決したのである。
【0021】このように蛋白質とリン酸基が還元糖を介
して結合してもリン酸基の機能は全く損なうことがな
く、さらに、糖のもつ親水性の機能も付加されることと
なり、リン酸カルシウム可溶化能の他、食品加工特性の
改善に優れた機能を発揮することができる。
【0022】本発明で用いることができる還元糖リン酸
エステルは、還元糖とリン酸のエステルであって還元性
を維持しているものである。還元糖としては、フラクト
ース、リボース等の五炭糖、ガラクトース、マンノー
ス、グルコース等の六炭糖、マルトース、ラクトース等
の二糖類等、遊離のアルデヒド基又はケトン基をもち還
元性を示す糖を挙げることができる。
【0023】ただし、アミノカルボニル反応における褐
変等の防止、反応の安定性、得られたリン酸化蛋白質の
性質等から五炭糖より六炭糖が好ましく、特にグルコー
スが実用性の面からも好ましい。
【0024】リン酸としては、正リン酸、ピロリン酸、
メタリン酸等があるが、還元糖との反応性、カルシウム
可溶化能の観点等から正リン酸が好ましい。
【0025】還元糖とリン酸の反応は公知技術に基づい
て実施でき、所望の還元糖リン酸エステルを得ることが
できる。あるいは上市されている各種、還元糖リン酸エ
ステルも用いることができる。代表的にはグルコース−
6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、ガラクトース
−3−リン酸等が挙げられるが、反応性、実用性、得ら
れたリン酸蛋白質の機能等からグルコース−6−リン酸
が好ましい。グルコース−6−リン酸はα−D−グルコ
ース−6−リン酸でも、β−D−グルコース−6−リン
酸でもよい。
【0026】次に、本発明で用いることのできる蛋白質
としては、アルブミン、グロブリン、グルテリン、プロ
ラミン等の単純蛋白質及びリン蛋白質、糖蛋白質で等で
ある。本発明の目的が蛋白質のリン酸化であることを鑑
みれば単純蛋白質を対象とするのが合理的であるが、そ
れに限らず、リン蛋白質であってもそれにさらに還元糖
を介してリン酸基を導入することで蛋白質の性質を変え
ることができるので対象となる。
【0027】天然界に存在する蛋白質形態でいえば、乳
清蛋白質(ホエー蛋白質)、卵白、卵白アルブミン、カ
ゼイン、大豆蛋白質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、ケ
ラチン等である。
【0028】次に、還元糖リン酸エステルと蛋白質を結
合させるアミノカルボニル反応は、非酵素的褐変として
知られている反応であり、反応の最終段階では褐色物質
(メラノイジン)が生成される。また、褐変まで至らな
くともリジンの損失等栄養学的な弊害を生ずる。逆に反
応が不充分では蛋白質に還元糖を結合させることができ
ない。
【0029】したがって、アミノカルボニル反応は反応
条件を制御し、アマドリ転位までの初期段階で反応を止
めることが必要である。反応は、温度、pH、水分等に
より比較的容易に制御できるが、具体的には蛋白質との
還元糖リン酸エステルを均一に混合した粉状体物(水分
5〜10%程度)を45〜55℃、好ましくは50℃、
相対湿度65〜70%、好ましくは65%の条件下に8
時間以上、好ましくは12時間保持するとよい。適性処
理条件は、蛋白質の種類によっても異なり、例えば、1
分子中の遊離のアミノ基が多い蛋白質では比較的緩和な
条件でも反応が進行し易く、逆に遊離アミノ基が少ない
場合は、処理条件を若干厳しくする必要がある。アマド
リ転位の初期段階生成物を得れば、褐変はそれほど進行
させず遊離アミノ基に有効に還元糖を結合することが可
能である。好ましい条件においては、遊離アミノ基の5
0〜60%程度が還元糖と結合する。したがって蛋白質
1分子中には15〜20個の遊離アミノ基があれば、1
分子中に7〜12個程度のリン酸基の導入が可能とな
る。
【0030】なお、アミノカルボニル反応の終点は、例
えばfluorescein を用いた蛍光分析によりアミノ基の減
少を計測したり、褐変程度を色差計で測定する等の手段
により管理可能であるが、簡単には、得られたリン酸化
蛋白質の物性により、実験的に適性反応条件を設定して
もよい。
【0031】また、生成物であるリン酸化蛋白質を直接
高速液体クロマトグラフィー等により検出し、分析する
ことでも適性条件の設定ができる。
【0032】次に、蛋白質と還元糖リン酸エステルを均
一に混合した粉状体物を調製するには、両者を粉々混合
で均一化するよりは、両者を溶液状態で混合し、これを
凍結乾燥等の手段で熱をあまりかけずに乾燥するのがよ
い。両者とも分子レベルで均一化が進んでいることが好
ましいからである。
【0033】蛋白質と還元糖リン酸エステルの量比は、
目的とするリン酸基の導入程度、蛋白質が1分子中にも
つアミノ基の数等により異なるため適宜調整する。原理
的には、最大、蛋白質が有するアミノ基の数と、還元糖
のもつ還元基の数が同じになるだけ還元糖リン酸エステ
ルを結合できる。しかし、実際には反応の効率等を考慮
し、還元糖リン酸エステルは多めに用いる。反応液中に
残った還元糖リン酸エステルは透析等の手段で容易に除
去できる。
【0034】量比の具体例としては、概略、蛋白質:還
元糖リン酸エステル(重量比)=1:10〜1:1程度
がよい。
【0035】該リン酸化蛋白質は、アミノカルボニル反
応の初期段階の生成物であるため、可溶性であり、その
ままでも食品添加物となり得る。そしてこのものは蛋白
分子に導入されたリン酸基によって、リン酸カルシウム
可溶化能の他に、もとの蛋白質に比べ優れた溶解性、熱
安定性、乳化性を発揮する。
【0036】したがって、食品品質改良剤として広汎に
適用することができる。
【0037】次に、該リン酸化蛋白質とリン酸カルシウ
ムの複化合物を調製する。すなわち、リン酸カルシウム
を可溶化する。この手段としては、例えば、リン酸化蛋
白質を水に溶解し、これにカルシウム水溶液とリン酸塩
水溶液を交互に添加してリン酸カルシウムを可溶化させ
ればよい。リン酸カルシウム自体は溶解性に乏しく、ほ
とんど水に溶けないため、これをリン酸化蛋白質を水に
混合しても、直ちにはリン酸カルシウムの可溶化は起こ
らない。したがって、上記のように可溶性カルシウム
塩、例えば、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコ
ン酸カルシウム等と、リン酸塩、例えば、リン酸一カリ
ウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸
二ナトリウム等を徐々に加えることによりリン酸化蛋白
質とリン酸カルシウムの複化合物を生成することができ
る。反応の間、溶液のpHは、pH調整剤として水酸化
ナトリウム等を用いて中性付近に保持するのがよい。溶
液中では、カルシウムは可溶化され安定に存在する。こ
れはリン酸カルシウムにより、リン酸基をもつ蛋白分子
間の架橋形成性が影響を受け、結果的に安定な複化合物
を形成するためと考えられる。
【0038】得られた溶液は、凍結乾燥等の手段により
乾燥すればリン酸カルシウム結合リン酸化蛋白が得ら
れ、このものは、カルシウム強化剤として有効である。
【0039】リン酸化蛋白質が可溶化できるリン酸カル
シウムは蛋白質の種類、有するリン酸基の数等により異
なるが、概略、リン酸化蛋白質重量当りで16〜19重
量%程度のリン酸カルシウムが可溶化できる(リン酸化
蛋白質のリン酸基1個当り、カルシウム原子6〜8個、
無機リン酸4〜5個程度)。リン酸化蛋白質のカルシウ
ム可溶化限度を越えてリン酸化カルシウムが存在する場
合には、溶液中にカルシウムの沈殿や白濁が生ずるの
で、適正添加量を知る目安となる。
【0040】なお、カルシウム強化剤とする場合には必
要に応じて、その他の賦形剤、糖類、乳化剤、色素、香
料等適宜添加できる。
【0041】このカルシウム強化剤は、中性付近におい
ても沈殿等を生ずることがなく、また、優れた腸管吸収
性が期待できる。例えば、牛乳等に添加しても長期間沈
殿を生ぜず、牛乳の品質に実質的影響を与えず、牛乳1
00ml当り120〜160mgのカルシウム強化が可
能となる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 G−6−P(グリコース−6−リン酸)・ホエー蛋白質
化合物の製法:25gのG−6−Pと50gの精製ホエ
ー蛋白質(タンパク95%)を1リットルの蒸留水に溶
解し、INNaOHでpHを7.5に調整した後、凍結
乾燥した。得られた粉末74.2gを50℃、相対湿度
65%に12時間保持し、アミノカルボニル反応を起こ
させた後、5%に溶解し10リットルの蒸留水で透析
し、未反応G−6−Pを除去した。この溶液を凍結乾燥
しG−6−P・ホエー蛋白質化合物60gを得た。
【0043】この粉末中には、蛋白質に結合したリンが
0.79%含まれていた。
【0044】したがって、蛋白質に導入されたリン酸基
は2.5個/104 g-proteinと計算できる。
【0045】G−6−P・ホエー蛋白質化合物によりリ
ン酸カルシウムの可溶化:4%(W/V)G−6−P・
蛋白質化合物500mlに1Mクエン酸カリウム10m
l、0.2M塩化カルシウム50ml、0.2Mリン酸
1水素カリウム60mlにクエン酸を10mM加えた。
【0046】この溶液に、0.1M塩化カルシウム50
mlと0.1Mリン酸カリウム25mlを交互に4回滴
下した。この間pHは、IM KOHで6.7を保ち続
けた。得られた液には沈殿はなくカルシウムは溶解して
いた。これを凍結乾燥して蛋白質カルシウム錯化合物を
得た。
【0047】この粉末1g中にはカルシウム60mg、
リン34.1mgが含有されていた。
【0048】この粉末の濃度2%の溶液100g中に
は、カルシウム120mg、リン68.2mgが含まれ
ることになるので、上記カルシウム錯化合物をカルシウ
ム強化剤として牛乳に2%加えると、牛乳のカルシウム
含量は通常の2倍以上になるが、得られた牛乳には沈殿
等が認められず、また風味等の変化のない美味なもので
あった。 実施例2 G−6−P・オボアルブミン化合物の製法:20gのオ
ボアルブミン(蛋白100%)と20gのG−6−Pを
400mlの蒸留水に溶解し、pHをINNaOHで
7.5に調整した後、凍結乾燥した。得られた粉末を5
0℃、相対湿度65%に24時間保持し、アミノカルボ
ニル反応を起こさせた後、5%に溶解し蒸留水で透析
し、未反応G−6−Pを除去した。この溶液を凍結乾燥
し、G−6−P・ホエー蛋白質結合物22gを得た。
【0049】この粉末中には、蛋白質に結合したリンが
0.83%含まれていた。
【0050】したがって、蛋白質に導入されたリン酸基
は2.7個/104 g-protein、12個/分子と計算で
きる。
【0051】G−6−P・オボアルブミン化合物により
リン酸カルシウムの可溶化:4%(w/v)G−6−P
・オボアルブミン化合物500mlに1Mクエン酸カリ
ウム10ml、0.2M塩化カルシウム50ml、0.
2Mリン酸1水素カリウム60mlにクエン酸を10m
M加えた。
【0052】この溶液に、0.1M塩化カルシウム50
mlと0.1Mリン酸カリウム25mlを交互に6回滴
下した。この間pHは、6.0を保ち続けた。得られた
液には沈殿はなくカルシウムは溶解していた。これを凍
結乾燥して蛋白質カルシウム錯化合物を得た。この粉末
1g中にはカルシウム80mg、リン41.8mgが含
有されていた。
【0053】この粉末の濃度2%の溶液100g中に
は、カルシウム160mg、リン83.7mgが含まれ
ることになるので、上記カルシウム錯化合物をカルシウ
ム強化剤として牛乳に1.25%加えると、牛乳のカル
シウム含量は通常の2倍以上になるが、得られた牛乳に
は沈殿等が認められず、また風味等の変化のない美味な
ものであった。 実施例3 Glucose(G)とOVA(オボアルブミン)を0.5:1
(w/w)、G−6−PとOVAを0.94:1(w/
w)の割合でpH7.5の水溶液(0.5%)として凍
結乾燥後、50℃、65%の相対湿度のもとで24時間
貯蔵してアミノカルボニル反応生成物を調製した。gluc
ose 及びG−6−PとOVAとの反応性について、α−
アミノ基の減少をfluorescein を用いた蛍光法で比較し
たところ、G−6−P−OVAの方がG−OVAより遅
かった。しかし、褐変及び蛍光物質の生成反応はG−6
−P−OVAの方が速く、280nmの吸光度変化から
見た蛋白質の変性も進んでいた。また、TSK−GEL
G3000カラムによるHPLCで重合物の生成割合
を比較したところ、G−6−P−OVAでは分子量の大
きい重合物が多量に形成された。pH7.0の熱変性温
度は、G−OVAでは76.5℃であったが、G−6−
P−OVAは100℃でも凝固しなかった。
【0054】したがってG−6−P−OVAは、G−O
VAに比べ蛋白分子間の電気的分子間反発力が増大して
おり熱安定性が大幅に改善されていた。
【0055】G−OVAとG−6−P−OVAを用い
て、実施例2と同様の方法でリン酸カルシウムの可溶化
テストをした結果G−6−P−OVAではカルシウムの
沈殿は生じなかったが、G−OVAでは沈殿が認められ
た。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリン酸化
蛋白質はリン酸カルシウムの可溶化能に極めて優れてお
り、特に中性付近のpH領で安定にリン酸カルシウムを
溶解する。また、このリン酸化蛋白質は熱安定性等にも
優れており、カルシウム強化剤としてばかりでなく、食
品素材として広汎な応用が可能であり、工業的に加工す
る場合にも利用しやすく、食品産業上極めて有用性が高
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/47 A23J 3/08 A23L 1/304 A61K 33/06 A61K 38/17 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元糖リン酸エステルと蛋白質をアミノ
    カルボニル反応により結合させ、蛋白質にリン酸基を導
    入してなるリン酸化蛋白質化合物とリン酸カルシウムが
    溶解する溶液中で双方を反応させ、該リン酸化蛋白質
    合物にカルシウムと無機リン酸とを結合させてなるリン
    酸化蛋白質−リン酸カルシウム複化合物。
  2. 【請求項2】 還元糖リン酸エステルが、グルコース−
    6−リン酸である請求項2に記載のリン酸化蛋白質−リ
    ン酸カルシウム複化合物
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のリン酸化蛋白質
    −リン酸カルシウム複化合物よりなるカルシウム強化
    剤。
  4. 【請求項4】 還元糖リン酸エステルと蛋白質の混合物
    を固体状態もしくは粉状態で加熱してアミノカルボニル
    反応により蛋白質にリン酸基を導入する工程と、該リン
    酸化蛋白質化合物とリン酸カルシウムが溶解する溶液中
    で双方を反応させ、該リン酸化蛋白質化合物にカルシウ
    ムと無機リン酸とを結合させる工程を有するリン酸化蛋
    白質−リン酸カルシウム複化合物の製造方法。
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