JP3134538B2 - 磁気記録再生装置及び磁気ヘッドの検査装置 - Google Patents

磁気記録再生装置及び磁気ヘッドの検査装置

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JP3134538B2 JP04247613A JP24761392A JP3134538B2 JP 3134538 B2 JP3134538 B2 JP 3134538B2 JP 04247613 A JP04247613 A JP 04247613A JP 24761392 A JP24761392 A JP 24761392A JP 3134538 B2 JP3134538 B2 JP 3134538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスク装置,磁気
テープ装置あるいはビデオやオーディオ信号を記録再生
する磁気記録再生装置に係り、特に、信号の再生を行う
磁気抵抗効果型ヘッドの動作状態を検出する磁気記録再
生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)は
磁気抵抗効果を有する薄膜から構成され、媒体からの漏
洩磁束の変化をその抵抗変化として検出し、データの再
生を行うものである。MRヘッドは高密度で記録された
媒体上の信号を効率良く再生するのに適したデバイスと
して期待されている。磁気抵抗効果を再生ヘッドに利用
する考えは公知であり、例えば、チン・ツァン“マグネ
ティックス・オブ・スモール・マグネトレジスティブ・
センサーズ”ジャーナル・オブ・アプリケーション・フ
ィジックス 55(6)(Ching Tsang,‘Magnetics of
smallmagnetoresistive sensors’,J.Appl.Phys,55
(6),15,March,1984)や、松本 光功,‘磁気
ヘッドと磁気記録’,電子総合出版,1983,p182
−p190に詳述されている.通常、MRヘッドの磁気
抵抗効果膜として、トラック幅方向に数十μm、媒体と
垂直方向に数μm,膜厚数十nm程度の短冊状の薄膜が
用いられる。磁気抵抗効果を示す膜としてNi系の合金
で、NiCo,NiFe,NiMnなどが知られている
が、抵抗変化率の大きさ,耐食性などの点から、NiF
e合金が多用される。磁気抵抗効果膜はその抵抗変化を
検出するための2本の電極で区切られ、感磁部とよばれ
る電極で挾まれた部分が媒体からの漏洩磁界を検出す
る。磁気抵抗効果膜の抵抗変化は通常、非線形となる。
このためMRヘッドでは短冊状の磁気抵抗効果膜の短い
方向(MR高さ方向)に非線形補償のためのバイアス磁
界(横方向バイアス磁界)を必要とする。バイアス磁界
の印加方法については古くから検討されており、前述の
文献にも多く紹介されているのでここでは省略する。
【0003】MRヘッドにはバルクハウゼンノイズとよ
ばれる磁性膜特有のノイズ現象があり、ヘッド実用化の
妨げとなっている。前の文献は磁気抵抗効果膜の抵抗値
がバルクハウゼンノイズにより不連続に変化する現象を
開示しており、その原因は磁気抵抗効果膜の中に存在す
る複数の磁区(磁壁)の活動に起因することが述べられ
ている。バルクハウゼンノイズの抑制方法についても数
多くの検討がなされているが、例えば、特開昭62−4061
0 号公報は、磁気抵抗効果膜の感磁部を除く端部領域に
FeMnに代表される反強磁性膜を積層し、磁気抵抗効
果膜の端部領域を単一磁区状態にしうるに十分なバイア
ス磁界(縦方向バイアス)を発生させる手段を開示して
いる。この方法によると、磁気抵抗効果膜の感磁部は縦
方向バイアスの影響を直接受けることはないが、磁気抵
抗効果膜に沿った、静磁気的な交換結合によって端部領
域の単一磁区状態が感磁部においても単一磁区状態を誘
起することが示されている。このように、感磁部を単磁
区状態にすることにより、不連続な移動を伴う磁壁移動
がなくなり、媒体からの漏洩磁界は磁気抵抗効果膜の磁
化回転のみを誘起し、バルクハウゼンノイズが抑制でき
る。また、特開平2−220213号公報は、磁気抵抗効果膜
を単一磁区化させる手段として反強磁性膜の代わりに永
久磁石膜を配置する方法を開示している。特開平3−242
983 号公報は磁気抵抗効果膜の両端を部分的に熱処理し
高保磁力化することで感磁部の単一磁区化の方法につい
て開示している。
【0004】以上の方法はいずれも磁気抵抗効果膜を単
磁区化し、バルクハウゼンノイズの発生原因となる磁区
(磁壁)を消滅させることを目的としている。これらの
技術はバルクハウゼンノイズを低減させるに必須の技術
であり、有効な手法である。しかし、一方でMRヘッド
は膜厚数十nmの薄膜を積層した構造であり、装置に搭
載した後の経時変化を起こすことが懸念される。従来技
術は経時変化に起因するバルクハウゼンノイズの対策を
講じる技術を提供するものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁気
記録再生装置に搭載したMRヘッドからバルクハウゼン
ノイズの発生の有無を検出し、ヘッド異常を装置に知ら
せる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】MRヘッドにバルクハウ
ゼンノイズが発生した場合、孤立波形にベースライン変
動を伴う波形歪みが観察される。図2(b)はバルクハ
ウゼンノイズが発生したヘッドで孤立波形を再生した時
の観察結果である。通常孤立波形のベースライン部分
は、図2(d)に示すように、上側/下側孤立波形後で
一致するが、バルクハウゼンノイズが発生した場合、こ
のようなベースライン変動が発生する。この現象を利用
すれば、バルクハウゼンノイズの発生の有無を検出でき
る。本発明によれば、MRヘッドを搭載した磁気記録再
生装置に孤立波形の再生を定期的に行う電気回路を設け
ておく。更に、再生信号から前述したようなベースライ
ン変動を検出する電気回路を設けておき、これによりバ
ルクハウゼンノイズの発生の有無を定期的に検査でき
る。
【0007】
【作用】以上のように実装置にベースライン変動を検出
する回路を設けておけばヘッド異常を事前に検出でき
る。これにより、磁気記録再生装置の信頼性を大幅に向
上させることが可能である。
【0008】
【実施例】まず最初にMRヘッドの異常波形について説
明する。以下は発明者らの実験によって得られた知見で
ある。図2はバルクハウゼンノイズが発生したヘッドで
孤立波形を観察した結果である。写真(a)では上側孤
立波形の右側に小さな歪みが観察される。この歪みは、
ある電流で孤立波形のピーク位置に発生し、センス電流
の増加とともに波形のベースライン付近へ移動する性質
を持つ。ベースライン付近まで下りてきた波形歪みは、
更なる電流増加により、写真(b)に示すような上側/
下側孤立波後のベースラインの分離となって観察され
る。更に電流を増加していくと写真(c)に示すような
下側孤立波の左側にみられる波形歪みとなって観察され
る。この歪みは写真(a)のものと同様に電流増加とと
もに歪みは下側孤立波形ピーク付近へ移動し、ある電流
値で消滅する。写真(d)に最終的に歪みが無くなった
MR再生波形を示す。ここに示したヘッドは従来例に示
したような磁区制御をしていないため、MR膜は磁区に
分割されており、文献1に開示されているようなバルク
ハウゼンノイズが発生していることが予想される。図3
は前述したベースライン変動を抵抗変化曲線のヒステリ
シスから定性的に説明するモデルである。抵抗変化曲線
は磁気抵抗効果膜に印加する外部磁界(横軸)の大きさと
その抵抗変化(縦軸:図では出力とした)を示すもの
で、バルクハウゼンノイズが無い場合には外部磁界に対
してコサイン二乗の連続関数で定義される。しかし磁気
抵抗効果膜にバルクハウゼンノイズが発生した場合、
抗変化曲線に不連続点が発生し、この不連続点は図に示
したようなヒステリシスになって現れると予想される。
このようなヒステリシスを仮定した場合、再生信号はバ
イアス点がヒステリシス位置においてベースライン変動
として観察されるはずである。図4はセンス電流を変え
たときの再生信号の変化を説明するモデルである。この
モデルにより図1による観察結果を以下のように説明で
きる。すなわち図4(a)はヒステリシス発生位置より
もセンス電流が小さい場合であり、バイアス点が磁界の
弱い側(左側)に移動したときを示している。この場合
には再生波形の下側にヒステリシス部分がかかるため、
下側波形に歪みが観察される。このときベースライン変
動は発生しない。センス電流を増加してバイアス点をヒ
ステリシス方向に移動させると歪みの発生位置は下側孤
立波形のピーク位置からベースライン付近に移動する。
尚、この結果は図2の測定結果と逆であるが、これは再
生波形の極性が異なるためで本質は同じである。図4
(b)はセンス電流をヒステリシス発生位置より高く
し、バイアス点を右側に移動させたときのもので、歪み
は上側孤立波形に発生する。このように抵抗変化曲線に
ヒステリシスを仮定した場合、MRヘッドの波形歪みの
挙動をうまく説明できる。図5は実ヘッドの抵抗変化曲
線を実測した結果を示している。これは外部励磁源とし
てフェライトをコアとする電磁石を用いMRヘッド先端
を交流励磁したときの抵抗変化を観察したもので、横軸
に磁界強度、縦軸に抵抗変化を示している。励磁磁界が
弱いので観察結果は抵抗変化曲線の一部しか表示されて
いないが、この観測から実ヘッドに前述したようなヒス
テリシスが存在することが確認できた。また、このヒス
テリシスはセンス電流によってその発生位置が左右に移
動する様子が観察され、前述のモデルを裏付ける結果が
得られた。更にこのヒステリシスとベースライン変動の
関係を調べるため、複数のヘッドについてヒステリシス
の発生電流点とベースライン変動が観察された電流点を
比較した結果を図6に示した。これらの結果は若干のば
らつきがあるものの両者には相関があることを裏付けて
いる。
【0009】以上の実測結果からMRヘッドのバルクハ
ウゼンノイズは再生波形のベースライン変動と相関があ
ることがわかった。ベースライン変動を測定すれば実ヘ
ッドのバルクハウゼンノイズの発生の有無を検査するこ
とが可能である。次にこの性質を利用したバルクハウゼ
ンノイズの検査装置を搭載した磁気記録装置のブロック
図を図1に基づいて説明する。
【0010】装置は大きくわけて、記録用のインダクテ
ィブヘッドと再生用のMRヘッドを複合化したヘッド1
01,情報記録用の媒体102,情報記録用の信号発生
源,信号の再生部及びベースライン変動検出部とからな
る。通常は記録信号切り替えスイッチ117により11
5で示された通常記録信号源が選択されて、入力された
信号をヘッド101で記録する。情報の再生はヘッドか
らの信号を増幅器105で増幅し、信号処理部118を通
して所定の情報を得ることにより行う。
【0011】次に、本発明によるヘッドの異常検出のた
めの装置動作を説明する。異常検出のための記録/再生
を行うために、ヘッドをあらかじめ設けてあった媒体の
検査用特定トラックに移動させる。更に、記録信号切り
替えスイッチ117を孤立波形信号源にし孤立波形を媒
体に記録する。孤立波形としては、上側と下側の孤立波
形が干渉しない数キロFCI以下が望ましい。また、検
査のための記録動作をせずに、検査用トラックにはあら
かじめ専用のパターンを記録しておいても良い。ヘッド
異常の検出は図7に示すように上側孤立波後のベースラ
イン電圧VB1と下側孤立波後のベースライン電圧VB
2の比較により行う。上側孤立波後のVB1を求める手
順は、上側孤立波形の70%程度にあらかじめ検出レベ
ル1を設定しておき、コンパレータ1(110)の信号
をもとに遅延回路1(111)により所定時間遅延した
トリガ信号1(112)を作っておく。このトリガ信号
1によりサンプル/ホールド108によりVB1を求め
る。下側孤立波形後のVB2も同様にサンプル/ホール
ド回路109により求める。最後にVB1とVB2の差
分信号からベースライン変動の大きさを定量化し、この
信号からバルクハウゼンノイズの発生の有無を検出する
ことができる。このとき、センス電流を変えながら、V
B1とVB2の差分信号を測定すれば更に感度良くベー
スライン変動を定量化できる。
【0012】また、これらのベースライン変動検出部分
をMRヘッドのバルクハウゼンノイズの検査装置とし
て、装置搭載用のヘッド選別に使用することも可能であ
る。
【0013】尚、発生したバルクハウゼンノイズの抑制
に関しては、磁気抵抗効果膜の容易軸方向に磁界印加が
有効であることを確認している。しかし、安定化には比
較的強い磁界が必要であることなどから、実装置への搭
載は何らかの工夫が必要であると考える。また、別の方
法として、ソフト膜バイアス構造のMRヘッドであれ
ば、センス電流の制御で磁気抵抗効果膜の磁化方向を変
えることができる。これを利用して磁気抵抗効果膜の磁
化方向を制御してバルクハウゼンノイズを抑制すること
も可能である。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、装置に搭載したMRヘ
ッドのベースライン変動を定期的に測定することによ
り、ヘッドのバルクハウゼンノイズ発生状態を検査する
ことができる。事前にヘッド状態をモニタしておけば情
報の再生誤りを起こす前に対策を講じることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】MRヘッドのベースライン変動波形図。
【図3】ベースライン変動波形とバルクハウゼンノイズ
の対応モデル図。
【図4】ベースライン変動波形とバルクハウゼンノイズ
の対応モデル図。
【図5】実ヘッドのバルクハウゼンノイズの観察結果の
説明図。
【図6】実ヘッドのバルクハウゼンノイズ発生電流とベ
ースライン変動発生電流点の相関測定結果の説明図。
【図7】ベースライン電圧検出の説明図。
【符号の説明】
101…記録/再生複合ヘッド、102…情報記録媒
体、103…センス電流源、105…再生アンプ、11
0,106…コンパレータ、111,107…遅延回
路、108,109…サンプル/ホールド回路、114
…ベースライン変動幅、115,116…記録信号源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−105362(JP,A) 特開 平1−155560(JP,A) 特開 昭63−4462(JP,A) 特開 平6−36203(JP,A) 特開 昭52−119215(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/02 G11B 5/455

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号が記録される磁気記録媒体,前記磁気
    記録媒体からの漏洩磁束の変化をその膜の抵抗変化とし
    て検出する磁気抵抗効果膜を備えた磁気ヘッド,前記磁
    気ヘッドが検出した抵抗変化を孤立波形の再生信号とし
    て前記磁気記録媒体に記録された信号を再生する再生部
    及び複数回測定した前記再生信号の波形のベースライン
    電圧値の経時的な変動を検出するベースライン変動検出
    部を設けたことを特徴とする磁気記録再生装置。
  2. 【請求項2】 前記ベースライン変動検出部は、前記再生
    信号の孤立波形の上側ピーク位置と当該上側ピーク位置
    の次の下側ピーク位置との間に存在するベースライン電
    圧値VB1と下側ピーク位置と当該下側ピーク位置の次
    の上側ピーク位置との間に存在するベースライン電圧値
    VB2をそれぞれを検出する手段と、前記ベースライン
    電圧値VB1とVB2の差分電圧値を測定する手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装
    置。
  3. 【請求項3】 前記磁気記録媒体は、前記ベースライン電
    圧値の変動を検出するための専用トラックあるいは専用
    セクタであって、少なくとも一周期以上の孤立再生波形
    を含む信号を記録した領域を有することを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録再生装置。
  4. 【請求項4】 信号が記録される磁気記録媒体,センス電
    流を通電させて前記磁気記録媒体からの漏洩磁束の変化
    をその膜の抵抗変化として検出する磁気抵抗効果膜を備
    えた磁気ヘッド,前記磁気ヘッドが検出した抵抗変化を
    孤立波形の再生信号として前記磁気記録媒体に記録され
    た信号を再生する再生部,前記再生信号の孤立波形の上
    側ピーク位置と当該上側ピーク位置の次の下側ピーク位
    置との間に存在するベースライン電圧値VB1と下側ピ
    ーク位置と当該下側ピーク位置の次の上側ピーク位置と
    の間に存在するベースライン値電圧VB2をそれぞれを
    検出し、前記ベースライン電圧値VB1とVB2の差分
    電圧値の経時的な変動に応じて前記磁気ヘッドに通電す
    るセンス電流を変化させて前記ベースライン電圧値VB
    1とVB2を移動させることを特徴とする磁気記録再生
    装置。
  5. 【請求項5】 漏洩磁束の変化をその膜の抵抗変化として
    検出する磁気抵抗効果膜を備えた磁気ヘッド,前記磁気
    ヘッドが検出した抵抗変化を孤立波形の再生信号として
    検出する再生部,前記再生信号の孤立波形の上側ピーク
    位置と当該上側ピーク位置の次の下側ピーク位置との間
    に存在するベースライン電圧値VB1と下側ピーク位置
    と当該下側ピーク位置の次の上側ピーク位置との間に存
    在するベースライン電圧値VB2をそれぞれを検出し前
    記ベースライン電圧値VB1とVB2の差分電圧値の経
    時的な変動に応じて前記磁気ヘッドに通電する電流を変
    化させて前記ベースライン電圧値VB1とVB2を移動
    させるベースライン変動検出部とを設けたことを特徴と
    する磁気ヘッドの検査装置。
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