JP3133479B2 - 多孔質セラミックスの製造方法 - Google Patents

多孔質セラミックスの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質セラミックスの
製造方法に関し、詳しくは微生物の担持体等に使用され
る多孔質セラミックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、バイオリアクタやバイオセンサの
利用に伴い、これらに使用される微生物担持体の研究が
進められており、最近では多孔質セラミックスの担持体
が注目されている。そして、この多孔質セラミックスを
製造するために、下記(a)〜(d)に示す様な製造方法が
提案されている。
【0003】(a)有機物粉或は炭化物粉と陶磁器原料粉
とを混合して成形し、その後焼成することによって揮発
残孔を発生させて、多孔質セラミックスを製造する。 (b)食塩結晶粒と陶磁器原料粉とを混合して成形し、食
塩結晶の揮発又は溶脱による残孔を発生させて、多孔質
セラミックスを製造する。
【0004】(c)セラミックスやガラスの基剤の軟化の
際に発泡させ、その発生ガス圧によって多くの孔を形成
して、多孔質セラミックスを製造する。 (d)粒の揃った粒子の原料に、極微量の溶融接着促進剤
を混入し、原料粒子間隙のよく揃った多くの孔を形成し
て、多孔質のセラミックスを製造する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(a)〜(d)技術では下記の様な問題があり、必ずしも微
生物の担持体を製造する方法としては好適ではなかっ
た。即ち、(a)の方法では、大型炉で大量生産する場
合、炉内位置によっては酸素不足になる場所があるの
で、多孔化が十分に行われないという問題があった。特
に、ビーズ状製品を製造する場合には、枡型匣鉢に入れ
て焼成するが、匣鉢内の下層では酸素不足になることが
あるので、多孔化が十分に行われないという問題があっ
た。
【0006】またこの技術では、例えば植物粉の様な軟
質なものを用いる場合には、成形が困難であり、一方、
石炭粉やコークス粉等の硬質炭化材を用いる場合には、
揮発に長時間かかかり、活性炭を用いる場合には、活性
炭は短冊状のために転動造粒時に方向性が生じるので、
20μm以上の連通孔量や表面開口量を充分量確保する
ことが困難である等の問題があった。
【0007】(b)の方法では、酸素の有無に影響されな
いという利点はあるが、食塩を使用するので、装置の耐
食性という問題や、食塩回収装置を別に設けなければな
らないという問題があった。(c)の方法では、上記と同
様に酸素の有無に影響されないという利点はあるが、内
部から発泡するので、製品表面の開口面積率が小さいと
いう難点がある。特に、数十μm以上の孔径の開口面積
率が小さく、しかも孔の開口部が閉ざされたものが出来
易いという問題がある。
【0008】また、径が20μm以上の(孔と孔とをつ
なぐ)連通孔や表面開口を得るためには、特殊な急加熱
装置を用いないと困難である。特に発泡体の場合は、組
織全体の粘性流動による展延ハニカム壁の薄膜化によっ
て、その微構造が形成されるが、その時の壁の弱い部分
で孔が発生して連通孔が形成されるので、連通孔の数や
大きさを増大させることは壁を薄くすることになり、そ
の結果、強度が低下するという問題があった。
【0009】(d)の方法では、上記と同様に酸素の有無
に影響されないという利点はあるが、原料粒子径/孔径
の比率が大きいので、本発明が目的とする様な微生物の
担持に好適な数十〜数百μmの孔を形成するには、原料
粒子径をその5〜6倍の100〜2000μmとしなけ
ればならず、成形性に問題がある。特に、この様な粒子
径の材料を使用して、バイオリアクターに好適な数mmの
直径の球体を得ることは、なかなか困難であった。
【0010】本発明は、上記課題を解決し、微生物等の
担持体として、好ましい形状の孔を多数備えたセラミッ
クスを容易に製造できる多孔質セラミックスの製造方法
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、上記目的を達する
ためになされた本発明は、釉式にて示す材料成分とし
て、酸性成分RO2,中性成分R23,アルカリ土属成
分RO,アルカリ成分R2Oを、モル比で下記〜式
を満たす範囲、又は下記,式で決定された配合座標
点(X,Y)を中心として下記式で示される半径rの
円内の範囲で用いるとともに、上記中性成分R23の原
料粒子径を10〜60μmとし、かつアルカリ土属成分
ROは原料粒子径40μm以上の含有率を40〜70重
量%とし、1.2<θ<1.45(但しθ=t℃×1
-3)を満たす焼成温度tの範囲で焼成することを特徴
とする多孔質セラミックスの製造方法を要旨とする。
【0012】 X=RO2/(RO+R2O) … Y=R23/(RO+R2O) … Z=R2O/(RO+R2O) … Z=2.311×105×exp(−12.28×θ) ±exp(−3.8×θ) … Y1<Y<Y2 … 但し Y1=X−1.75,Y2=X+0.75 Y=−X+A(θ) … 但し A(θ)=5808.75×{1−exp(−6.72×θ)} −5805.07 r={A(θ+0.05)−A(θ)}/21/2 … a)本発明において、上記中性成分R23の原料粒子径
の範囲,アルカリ土属成分ROの原料粒子径の範囲及び
重量%,焼成温度tの範囲に加え、上記〜の各式に
て示される(酸性成分RO2,中性成分R23,アルカ
リ土属成分RO,アルカリ成分R2Oからなる)X,
Y,Zの成分比の範囲は、いずれも実験によって定めら
れたものであり、この範囲であれば良好な多孔質セラミ
ックスを形成できる。
【0013】b)次に、本発明のX,Y,Zの成分比の
範囲を、図1及び図2にて示す。図1は、X−Yの成分
比と換算した温度θとの関係を示し、図の右下がりの斜
めの線が温度θを示している。これは下記表1に示す様
に、実際に上記,式に具体的なθの値を代入してA
(θ),r(θ)を算出し、それによってX,Yの範囲
を求めたものである。
【0014】
【表1】
【0015】この図1から明かな様に、本発明におい
て、実際にX,Yの配合比を求める場合には、まず焼成
温度t(即ち換算した温度θ)とX値を定め、次に、図
のθの線上で上記式の範囲内でYの値を定めることが
できる。尚、焼成時間やその他の操作条件や原料条件を
加味して、半径r内での任意のX,Y値を決定し得る。
【0016】また、図2は、下記表2に示す様に、上記
式に換算した温度θの具体的な数値を代入し、Z
(θ)算出して求めたものであり、Z成分比と換算温度
θとの関係を示している。
【0017】
【表2】
【0018】従って、本発明においては、換算温度θに
よってZ成分比の望ましい1点が決定されるが、所定の
範囲内であれば多少ずれていてもよい。 c)また、上記釉式で示すRとは、窯業で通常用いられ
る酸化物成分であり、例えばSi,Zr,Al,Fe,
Ca,Mg,Na,K等が挙げられる。従って、酸性成
分RO2としては、例えばSiO2,ZrO2、中性成分
23としては、例えばAl23,Fe23、アルカリ
土属成分ROとしては、例えばCaO,MgO、アルカ
リ成分R2Oとしては、例えばNa2O,K2O等を各々
使用できる。
【0019】更に、上記材料を用いて、造粒等の成形を
行なう場合には、その成形圧力は、例えば1〜5[kgf
/cm2]程度の低圧が望ましいが、高圧振動加圧の状態
での成形も可能である。更に、焼成雰囲気としては、酸
素の有無は特に関係がなく、例えば大気中或は非酸化性
雰囲気等、各種の雰囲気での焼成が可能である。
【0020】
【作用】本発明では、上記組成の範囲内の材料を使用
し、また、下記(イ)〜(ニ)の反応・変化を利用して多孔質
セラミックスの製造を行なう。 (イ) 焼成温度は、同一成分の粉末であれば粒子径の小さ
なもの程低温である。
【0021】(ロ) 釉式R23成分(例えばAl23)の
少ないものは、共融点が低下する。 (ハ) 釉式R2O成分(例えばNa2OやK2O)は、微少
量混入でも、共融点を大幅に低下させる。 この粒子径及び多成分系による共融点の低下の概略の様
子を、下記表3(窯業ハンドブック,P1080,P2
073:技報堂1984出版参照)に示す。
【0022】
【表3】
【0023】(ニ)釉式RO成分(例えばCaOやMg
O)は、CO2ガスを発生するので、低い温度で分子レ
ベルの多孔化が起こり、その後、例えば1100℃でそ
れほど大径でない孔の小塊化が促進される。 従って、下記の様にして反応及び変化が進行する。
【0024】まず、上記焼成温度帯より50〜100℃
低温から、組織内部で小径粒子(数μm以下)のものの
間で上記釉式成分間の多成分共融が部分的に進行し、無
定形化した部分が粘性流動し、より大径粒子のRO2
23,ROに凝着する。この時に小孔が出来始める。
【0025】次に、焼成温度帯に達すると、大径粒子で
も溶け易い物を含んだ釉式成分間の共融が進行すること
で、大径の孔の生成が製品の内部や表面で進行する。こ
の最終的共融による無定形化物による凝着場での核とし
て最後まで残っているのは、R23成分(主として例え
ばAl23の大径粒子)であるが、これらは仕上がり時
点では一体化した組織となり磁器化する。
【0026】この様に、核の部分が焼成過程の終末近く
まで存在することによって、全体的組織は特に大きな変
形や組織全体の流動化はなく、成形時の形状は寸法的に
は2〜3%以下の変化内で保形されながら、多孔体(多
孔質セラミックス)を得ることが可能となる。
【0027】つまり、焼成して製造する製品には、各々
望ましい(例えば上記高温或は低温温度帯の様な)最終
的焼成温度帯があるが、本発明では、R23を大径粒子
としているのでその比表面積が小さく、従って、その最
終的焼成温度帯以下においては、実質的にR23成分が
少ないことにより、共融点が低下することになる。
【0028】この理由により、まず、大径粒子以外の部
分で低温で溶融が起こるとともに微細な孔が多くでき、
その後、最終的焼成温度帯で加熱することによって、成
形体寸法変化を起こすことなく無数の孔が融合して多数
の大きな孔となる。それとともに、最後まで形を保って
いた大径粒子のR23が磁器化するので、変形すること
なく優れた磁器多孔体が得られることになる。
【0029】この様にして製造されることによって、本
発明による多孔質セラミックスは、例えば下記表4に示
す様に、微生物の担持体として望ましい性質を有する。
尚、表4の気孔率と連通孔径はポロシメータを用いて測
定し、円相当径は画像処理によって求めたもので、これ
ら孔径は孔径1μm以上での中央値である。尚、ポロシ
メータでは、積算容積中央値対応孔径値,画像処理で
は、積算孔面積を全孔数で除した平均面積対応平均孔径
である。
【0030】
【表4】
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。本実施例で
は、微生物を担持する多孔質セラミックスとして、ビー
ズ状の担持体を製造した。この担持体の製造方法を示
す。
【0032】(1)下記表5に示す様な組成(重量%)
の窯業原料No.1〜6を準備し、それらを混合して下記
表6のX,Y,Zの配合モル比及び原料粒子径となる様
に、試料No.A1〜A4を調製した。尚、この試料No.A
1〜A4に該当する配合座標点を、図1及び図2に示
す。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】(2)ここで、上記試料の調製方法につい
て説明する。例えば原料No.5から試料を調製する場合
には、まず、下記表7に示す様に各成分を算出する。
【0036】
【表7】
【0037】そして、この算出した値を下記〜の式
に代入してX,Y,Zを算出する。 X=RO2 /(RO+R2O)=0.383 … Y=R23/(RO+R2O)=0.024 … Z=R2O /(RO+R2O)=0.0022 … ここで、算出したX,Y,Zの値が、上述した温度範囲
にて本発明の〜式を満たせば、そのまま試料No.5
を使用できるが、そうでない場合には、他の試料を混合
する等の方法によって、所定の焼成温度に対して図1,
2の範囲内に納まる様に、使用する原料比率を決定す
る。具体的方法は、前述の〜式と、原料粒子径,焼
成後モル比,原料比等とを用いて、コンピュータプログ
ラムによって逆算すれば、原料比率は容易に得られる。
【0038】(3)次に、上記の様にして調製した試料
No.A1〜A4を用いて、各々ビーズ状の担持体(製品N
o.B1〜B4)を製造するのであるが、まず、主に水を
バインダーとして、転動造粒機を用いて、φ2〜25mm
の球体を形成した。尚、試料No.A1〜A3は、高圧で
造粒したが、試料No.A4は試料No.A1〜A3の圧力の
約1/5とした。
【0039】(4)この球体を、昇温時間を15時間,
焼成温度保持時間を5時間として焼成した。焼成温度
は、試料の組成に応じて異なり、試料No.A1,A2
は、炉内容積0.35m3のガス炉を使用し、高温の温度
範囲(1300〜1400℃)の1350℃で焼成し
た。一方、試料No.A3,A4は、炉内容積2m3のガス
炉を使用し、低温の温度範囲(1200〜1300℃)
の1250℃で焼成した。
【0040】(5)そして、焼成後に消火して、炉を冷
却した。数時間後に約800℃の赤まったままの球体を
大気中に引出し、冷却速度を高めて冷却して、試料No.
A1〜A4に対応して各々担持体の製品No.B1〜B4
を得た。この様にして製造した担持体の製品No.B1〜
B4の特性を調べた。その結果を、下記表8に記す。
【0041】
【表8】
【0042】尚、この表8の製品の各性能の定義は、下
記の通りである。 気孔率 =(飽水重量−乾燥重量)/浮力 かさ比重 =乾燥重量/浮力 圧縮破壊強度=平板による圧縮破壊荷重/ビーズの投影
面積 (単位…重量[grf],浮力[grf],直径[mm],荷重[kg
f],面積[cm2]) この表8から明かな様に、本実施例の方法で製造された
ビーズ状の製品No.B1〜B4は、形成された孔のうち
20μm以上を超える大きなものが殆どであり、しかも
表面開口率が適度に大きく、更に内部には大きな連通孔
が多く形成されている。
【0043】従って、本実施例のものは、微生物を担持
する担持体として、内部に微生物が付着し易く、しかも
微生物が繁殖可能な空間を多く備えた極めて優れたもの
である。また、圧縮強度も大きいので割れや摩耗に強
く、耐久性に優れている。 (5)次に、本実施例の原料粒子径の組み合せによる効
果を検討した。このため、上記表5及び表7のデータの
一部を下記表9にまとめた。
【0044】
【表9】
【0045】この表9から明かな様に、両成分(R2O3
RO)の粒子径が大きい試料No.A1,A3を用いた場合
には、製造された製品No.B1,B3において、大径
(>20μm)の孔の気孔率が大きくなることが分かる。
それに対して、両成分の粒子径の小さい試料No.A4か
ら製造された製品No.B4では、大径の孔の気孔率は小
値となっていることが分かる。
【0046】つまり、上記成分の粒子径は、製品の大径
の孔の気孔率に大きな影響を与え、大径の孔を多く形成
する場合には、本実施例の様に上記成分の粒子径を大き
くする必要があることになる。 (実験例1)次に、本実施例の方法によって製造される
多数の大孔を有する担持体が、組織の体積変化によって
もたらさるのではなく、あくまで、微細な孔が融合して
大きな孔となって形成されるものであることを確認する
ために行った実験例について説明する。
【0047】材料として、試料No.A2の組成のものを
用い、焼成温度を600〜1400℃の範囲で変更し
て、その時に製造される製品No.B2の特性を調べた。
その結果を、下記表10に記す。尚、重量,体積,気孔
率は、1000℃における製品No.B2の値を100と
して、比率で示した。
【0048】
【表10】
【0049】この表10から明らかな様に、本実施例の
焼成温度の範囲のうち、例えば1360℃で焼成したも
のは、基準の1000℃のものと比較して、気孔率の増
加は8%と少なく、しかも比表面積は著しく減少してい
る。つまり、製品重量及び孔の全体積はあまり変化せず
に比表面積が減少しているのであるから、小さな孔と孔
とが一体になって大きな孔となり、それによって比表面
積が減少したことを示している。 (実験例2)次に、図3〜図4に多くの配合例のプロッ
トを示す。
【0050】ここで、図3(a)は、式,に基づい
たデータでθxyを観察したものである。但し、θxy
X,Y座標点が示す最適温度焼成温度帯 (t[℃],θxy=t×10-3) また、図3(b)は、式,,に基づいたデータで
θxy及びrを観察したものである。
【0051】但し、rによる表示は、境界部分で代表的
に図示した。更に、図4は、式に基づいたデータでθ
zを観察したものである。 但し θz:Z,Y座標点が示す最適温度焼成温度帯 (t[℃],θz=t×10-3) また、各データのプロット毎の製品について、物性の観
察を行ったところ、次の様な性質があることが判明し
た。
【0052】[1]適した焼成温度θと、その焼成温度
帯保持時間T(時間)との関係 (1)T=約1時間[H] θ=約(θxy+θz)/2 但し、θxy>1.4ならθxy=1.4とする T=約5時間[H] θ=約θxy 但しθxy<θz(図3参照) θ=約θz 但しθxy>θz(図4参照) 但し、θxy:X,Y座標点が示す最適温度焼成温度帯 t[℃],θxy=t×10-3 但し、θz:Z,Y座標点が示す最適温度焼成温度帯 t[℃],θz=t×10-3 (2)|θxy−θz|が大きく離れていると、良好な多
孔製品が得られず、或は得られても最適温度幅が狭くな
る。
【0053】(3)評価基準 汎用焼成炉では、炉内温度やガス組成雰囲気が炉内位置
で異なる。又、焼成対象物を容器に充填して焼成する
が、容器内の充填積層位置によっても同様な違いがあ
る。この違いは汎用量産用大型炉になると小型炉より大
となる。この場合、温度や雰囲気の一定値を得るために
は、長時間(4〜6時間)の焼成が必要となる。尚、専
用特殊炉によれば、短時間であっても均質製品を得るこ
とは、従来より可能であったが、汎用炉にての実現は困
難であった。
【0054】(4)上述した(3)の基準からの結論
は、上記(1)のT=5時間の時のθの値が量産用とし
ては適切であることを示している。 [2]次に、成形時の圧密に関して述べる (1)三形式の圧密程度の分類 イ)P18:手で成形,圧力<1[kgf/cm2],含水率約
18% ロ)P14:小型転動造粒機で成形,成形時最大積層高1
50[mm],含水率約14% ハ)P12:大型転動造粒機で成形,成形時最大積層高6
00[mm],含水率約12% 尚、圧力と加速度の両方によって原料のしまり具合い、
即ち含水率(バインダが水の場合)が異なる。転動式造
粒時における球形品の点接触圧力の測定は困難なので、
結果値である含水率によって、圧力程度の表示とした。
【0055】(2)(成形時圧力分類P−焼成帯保持時
間T[時間])による品種別(Bn)の気孔率表
【0056】
【表11】
【0057】(3)評価 成形時、加圧力が小さければ、原料粒径が小であって
も気孔率は大としうる。 高圧力成形であっても、原料粒径大であれば、気孔率
は大としうる。かつ本法にあっては、原料粒子に大粒子
を含むB1,B2,B3は、長時間の方が短時間より気
孔率が大となる。 (実験例3)次に、図5〜図8に、上記図3,図4で示
した全データのプロットから、上述した試料No.(製品N
o.)に関係するA1(B1),A2(B2),A3(B
3),A4(B4)の関するプロットを、7〜10点抜
き取って評価したものを示す。尚、各図における左側の
グラフはX−Yを縦横の軸にとったものであり、図の右
側のグラフはY−Zを縦横の軸にとったものである。以
下順に、この選択したデータに関して説明する。
【0058】また、下記の表14,16,18,20に
おける製法分類評価Aは、低圧密成形品P18を、最適温
度で0.5〜1時間焼成した場合における多孔評価を示
し、製法分類評価Bは、下記表12の焼成幅ランクを含
む低圧密成形品P18を1時間焼成した場合の焼成評価を
示し、製品分類評価Cは、高圧密成形品P12を5時間焼
成した場合の焼成評価を示している。この際に使用され
る評価の記号としては、下記表12の焼成幅ランクを加
味して、製法分類評価毎に孔の形成状態等の製品とし
て、総合的に優れたものから順に、(◎,○,△,×)
とした。
【0059】つまり、評価基準としては、下記の基準を
採用した。
【0060】
【表12】
【0061】[A1(B1)]図5に、試料No.B1の
うち、下記表13に示す様に、X,Y,Zの各成分を違
えたデータをプロットした。また、表14に、θ等の値
と各データの評価を示した。尚、プロット数は7とし、
原料粒径は、RO成分:大,YのR23成分:大とし、
焼成帯目標温度t=1350℃(θ=1.35)とし
た。尚、下記表中の備考欄の*印は代表例であり(表
6,表8,表9参照)、以下記述するA2(B2),A
3(B3),A4(B4)も同様である。
【0062】
【表13】
【0063】
【表14】
【0064】この図5,表13及び表14から明かな様
に、大粒子(特にY成分)が多過ぎる場合には、θより
低温時には共融成分の体積が少ないことにより、その移
動による空孔径が小さな値となり、大径孔を含む不規則
な多孔の生成が困難になるとともに、孔径の揃ったより
小径の多孔体が生成される。よって、目的とする多孔体
を、不規則で大洞穴を含む多孔体とし、かつ空孔量が大
きく、しかも高密度成形,5時間焼成,広い温度幅での
多孔性維持等を同時に目的とした場合、分類Cの評価は
△や×となって、必ずしも好ましくない。
【0065】[A2(B2)]図6に、試料No.B2の
うち、下記表15に示す様に、X,Y,Zの各成分を違
えたデータをプロットした。また、表16に、θ等の値
と各データの評価を示した。尚、プロット数は9とし、
原料粒径は、RO成分:B2-4,B2-7,B2-9は小で
他は大,YのR23成分は全プロット:小とし、焼成帯
目標温度t=1350℃(θ=1.35)とした。
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】この図6,表15及び表16から明かな様
に、原料粒径の小さなものは、θxyが同一であり、 |
θxy−θz|の値が小であっても、B2-3とB2-4の比
較,B2-6とB2-7の比較,B2-8とB2-9の比較から
分かる様に、評価は劣る。またB2-6については、目標
温度帯が1250℃の場合には、評価がよいが安定性が
劣る。更に、B2-8,B2-9については、|θxy−θz
|が大きな値となり、焼成温度帯の幅が狭く、不安定な
焼成結果となるので、評価は好ましくない。
【0069】[A3(B3)]図7に、試料No.B3の
うち、下記表17に示す様に、X,Y,Zの各成分を違
えたデータをプロットした。また、表18に、θ等の値
と各データの評価を示した。尚、プロット数は10と
し、原料粒径は、RO成分:大,YのR23成分:大と
し、焼成帯目標温度t=1250℃(θ=1.25)と
した。
【0070】
【表17】
【0071】
【表18】
【0072】この図7,表17及び表18から明かな様
に、B3-6はYが多く、大粒子ROがB3-5より少な
い。また、|θxy−θz|もB3-6はやや大きく、従っ
て、B3-5がより好ましい。一方、B3-1は大粒子のY
が少なく、大粒子ROも少ない。その結果、表18に示
す評価差が生じた。
【0073】[A4(B4)]図8に、試料No.B4の
うち、下記表19に示す様に、X,Y,Zの各成分を違
えたデータをプロットした。また、表20に、θ等の値
と各データの評価を示した。尚、プロット数は10と
し、原料粒径は、RO成分:小,YのR23成分:小と
し、焼成帯目標温度t=1250℃(θ=1.25)と
した。
【0074】
【表19】
【0075】
【表20】
【0076】この図8,表19及び表20から明かな様
に、B4-4とB4-9を比較すると、B4-9の方が目標焼
成温度帯での評価が優れている。B4-4とB4-10を比
較すると、B4-10はB4-4よりX,Y成分、特にX成
分(小粒子分画分が大きい)大のために、低温で大塊化
した組織を作り易いため、表20に示す様な劣った評価
となった。B4-1,B4-2は、θxyが大きすぎ、かつ|
θxy−θz|が大である。B4-3は、B4-1,B4-2と
同様であるが、短時間焼成や低圧密成形であれば、多孔
体を得ることができる。
【0077】上述した各実施例の方法によって、微生物
のビーズ状の担持体として、良好な多孔質セラミックス
を製造することができるので、これらの多孔質セラミッ
クスの担持体は、食品工業に用いられるバイオリアクタ
或は廃水の生物化学的処理に用いられるバイオリアクタ
等の微生物や酵素の担持体として好適である。また、農
薬や肥料の担持体或は園芸用の床材等にも利用できる。
更に、連通孔が大である製品は、高速吸収液用多孔体と
して、各種用途がある。
【0078】以上本発明の各実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例に何等限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々な
る態様で実施できることは勿論である。
【0079】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明では、微生物
の繁殖及び微生物利用反応に好適な製品内部細孔径及び
表面開口径を有する孔を多く形成することができ、しか
も開口した孔に深さ方向や円周方向に、大きな径の連通
孔を多数形成することができる。つまり、本発明の方法
によって、微生物の担持能力に優れしかも頑丈な担持体
を容易に製造できるという特長がある。
【0080】また、その製造に際して、汎用窯業材料を
用い、しかも従来使用されていた窯業機械設備を使用す
ることによって、容易に優れた担持体を製造することが
できる。即ち、 従来利用されている成形機械は、緻密な成形物を得る
目的のものが殆どであるので、成形時の圧力は高く設定
されていたり、真空引きされているものが多く、多孔体
製品用成形機としては望ましくないが、本発明では、そ
の様な従来の機器をそのまま利用できるという顕著な利
点がある。勿論、実験結果が示す様に、低圧の成形が可
能な機器であれば、原料配合や焼成の条件の巾が広がっ
て一層製造が容易になることは言うまでもない。
【0081】また、本発明によれば、焼成の際には、
従来の汎用機器や設備を用いて、様々な昇温速度,焼成
保持時間,冷却保持時間,炉内温度分布巾,酸化性雰囲
気,非酸化性雰囲気、或は大型炉でありがちな同一炉内
部位による酸化性・非酸化性両雰囲気の混在雰囲気等の
条件に対する適応巾が広いので、容易に優れた製品を製
造できるが、特別の操作条件を加えることによって、一
層優れた製品を製造することができることは勿論であ
る。
【0082】更に、本発明では、従来の様に、酸素不足
によって燃焼しきれない炭素成分が生じるという問題が
ない。つまり、燃焼しきれない炭素成分が生じないの
で、多くの細孔や連通孔が容易に形成されるという利点
がある。この様に、本発明によれば、従来の機器や設備
を用いた場合でも、微生物の担持体が必要とする細孔径
20μm以上のものが、実用上問題が生じることのない
強度と気孔率を確保しながら、従来の量産設備での簡単
な操作で容易に製造することができるという顕著な効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 X−Y−θの相関関係を示すグラフである。
【図2】 Z−θの相関関係を示すグラフである。
【図3】 X−Yの相関関係を示すグラフである。
【図4】 Y−Zの相関関係を示すグラフである。
【図5】 A1(B1)に関するX−Y及びY−Zの相
関関係を示すグラフである。
【図6】 A2(B2)に関するX−Y及びY−Zの相
関関係を示すグラフである。
【図7】 A3(B3)に関するX−Y及びY−Zの相
関関係を示すグラフである。
【図8】 A4(B4)に関するX−Y及びY−Zの相
関関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釉式にて示す材料成分として、酸性成分
    RO2,中性成分R23,アルカリ土属成分RO,アル
    カリ成分R2Oを、モル比で下記〜式を満たす範
    囲、又は下記,式で決定された配合座標点(X,
    Y)を中心として下記式で示される半径rの円内の範
    囲で用いるとともに、上記中性成分R23の原料粒子径
    を10〜60μmとし、かつアルカリ土属成分ROは原
    料粒子径40μm以上の含有率を40〜70重量%と
    し、1.2<θ<1.45(但しθ=t℃×10-3)を満
    たす焼成温度tの範囲で焼成することを特徴とする多孔
    質セラミックスの製造方法。 X=RO2/(RO+R2O) … Y=R23/(RO+R2O) … Z=R2O/(RO+R2O) … Z=2.311×105×exp(−12.28×θ) ±exp(−3.8×θ) … Y1<Y<Y2 … 但し Y1=X−1.75,Y2=X+0.75 Y=−X+A(θ) … 但し A(θ)=5808.75×{1−exp(−6.72×θ)} −5805.07 r={A(θ+0.05)−A(θ)}/21/2
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