JP3131561U - 歩行動作により駆動する自操車 - Google Patents

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Abstract

【課題】 前輪と後輪とを具設する車体枠の両側枠に一対の杖杆の中途を枢支し、杖杆の下端側に踏板を連結し、該踏板上の操縦者により、通常の歩行動作と同様に、上肢側杖杆と下肢側踏板とを、互いに前後逆向きに連動操作し、踏板より連杆を介して後輪を駆動する自操車を提供し、歩行動作の補助、歩行機能の恢復及び強化に資することとする。
【解決手段】 前輪と後輪とを具設する車体枠の両側に立設した一対の支柱の頂位に、杖杆の中途を枢支し、前後に揺動可能とし、杖杆の枢支位下側を伸縮自在となして下端部に踏板を枢支し、該踏板下位には転輪を付設し、車体枠の前後方向に架設した一対の軌条板に沿い転輪を転動しつつ踏板を前後に往復遊動可能とし、後輪のハブに一方向クラッチの出力側を嵌設し、入力側に揺動杆の基部を形設し、同揺動杆の自由端と、踏板との間を、連杆により連結している。
【選択図】図1

Description

本考案は、乗用者の自力操作により駆動する自操車に関する。
技術背景
従来、乗用者の自力操作による移動手段、即ち自操車として、福祉用具の車椅子があるが、主に座乗位の操縦者が上肢により操作して駆動する方式が採用されており、また、自転車類は、通常、脚力により駆動し、上肢は操向及び制動操作を分担している。
従来の操縦者の自力操作により駆動する自操車としての車椅子類は、座乗位の操縦者の上肢によりハンドリム又は駆動杆などを操作して車輪を駆動する方式であって、主に上肢の動作により操作し、下肢の動作は殆ど寄与しない状態である。 また、自転車類は、脚力により駆動し、上肢は操向及び制動操作を分担しているが、何れも、通常の歩行動作との関連は、看過されている状態であって、歩行機能の恢復・増進を目途とする自操車においては、上肢と下肢とを律動的に連動し、全身各部の筋力の相互作用と拮抗作用により、体位の重心移動に伴う不平衡を補正しつつ移動を行う、通常の歩行動作と同様の自力操作による駆動方式を採用することが望ましい。
本考案は、このような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、前輪と後輪とを具設する車体枠の両側枠に一対の杖杆の中途を枢支し、杖杆の下端側に踏板を連結し、該踏板上の操縦者により、通常の歩行動作と同様に、上肢側杖杆と下肢側踏板とを、互いに前後逆向きに連動操作し、踏板より連杆を介して後輪を駆動する自操車を提供し、歩行動作の補助、歩行機能の恢復及び強化に資することとする。
上記目的を達成するために、本考案の歩行動作により駆動する自操車においては、前輪と後輪とを具設する車体枠の両側に立設した一対の支柱の頂位に、杖杆の中途を枢支し、前後方向に揺動可能とし、杖杆の枢支位下側を伸縮自在となして下端部に踏板を枢支し、該踏板下位には転輪を付設し、車体枠の前後方向に架設した一対の軌条板に沿い転輪を転動して踏板を前後に往復遊動可能とし、後輪のハブに一方向クラッチの出力側を嵌設し、入力側に揺動杆の基部を持設し、同揺動杆の自由端と、踏板との間を、連杆により連結している。
また、上記構成の自操車において、車体枠に支柱基部を枢支して頂位の杖杆枢支位を前後に変位可能とし、両側の前輪を支持するキングピン頂位に付設した曲臂板の外臂部と杖杆枢支位との間をドラッグリンクにより連結し、内臂部の間には、タイロッドを横架状に連結してなる操向機構を適用することとしている。
本考案の歩行動作により駆動する自操車は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されたような効果を奏する。
本考案の自操車は、杖杆の中途を両側枠上の支柱頂位に枢支しており、杖杆下端部の踏板上において、操縦者は、歩行動作と同様に、左右両側の杖杆の把手側と踏板側とを交互に、前後逆向きに往復揺動して操作力を連杆ないし一方向クラッチを経て後輪へ伝動し、前進駆動を行うことができる。
本考案の自操車は、上記により走行し、操向操作を行うとき、操縦者は、歩行動作と同様に操向経路の内側へ上体を偏向すると、同経路の内側の上肢揺動の中心、即ち支柱の枢支位はもとの直進位より後方へ変位し、経路の外側の上肢揺動の中心、即ち支柱の枢支位は直進位より前方へ変位し、従って、経路の内側のドラッグリンクが後退側へ変位し、経路の外側のドラッグリンクが前進側へ変位することにより、両側の前輪と曲臂板とはいずれも操縦者上体の偏向に追従して操向経路の内側へ変向し、車体を容易に操向することができる。
坂路などにおいて制動を要するとき、予め、後輪側に、通常の自転車類と同様のブレーキを装備し、把手側において、制動操作を行うことができる。
操縦者が歩行動作により上肢側の杖杆及び下肢側の踏板を前後に往復操作するとき、両側は互いに連動するため、上肢及び下肢の筋力を相互に補完して歩行動作を行うことが可能であって、筋力の補助を受ける側は、上肢又は下肢何れの側にも適用することができる。
また、杖杆及び踏板の連動により、歩行動作における上肢と下肢との律動感覚の道具的条件付けを行い、体位の平衡を維持して円滑な歩行動作を行うことが可能であって、歩行機能の恢復ないし強化に資することができる。
本考案は、駆動輪のサイズの設定により、低速型及び高速型の自操車を構成し、小径駆動輪による低速型のものは、福祉用具として、また、大径駆動輪による高速型のものは、自転車類似の移動手段として適用することができる。
上述のように、杖杆と踏板との簡単な揺動操作及び連杆ないし一方向クラッチによる伝動機構を採用し、単純、且つ、軽量な構成としており、折り畳み可能な車体構成が可能であって、安全且つ低廉な自操車を提供することができる。
考案の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1ないし図4において、前輪2と後輪3を具備する車体枠1の両側枠1a,1a中途に一対の支柱4,4を立設し、頂位の支軸受4a,4aに、杖杆5,5の中途を枢支し、前後に揺動可能とし、下端側に伸縮自在に挿設した摺動筒5b,5bの下端部に踏板軸6a,6aを横設して踏板6,6の前端部を枢支し、該踏板下位には転輪6b,6bを軸支して付設し、側枠1a,1aと並行に、車体枠1に架設した一対の軌条板1b,1bに沿い転動する転輪6b,6bと共に踏板を、杖杆の把手5a,5aの揺動方向と逆向に往復遊動可能とし、後輪3,3のハブ3c,3c内には、一方向クラッチ7,7の出力側を嵌設し、入力側に揺動杆7a,7aの基部7b,7bを形設し、該揺動杆の自由端と、踏板6,6の後端部との間を、連杆8,8により連結してなり、踏板上の操縦者mの上肢により、杖杆の把手を前後方向に揺動操作するとき、下肢により、踏板を把手と逆向に往復遊動し、連杆、揺動杆ないし一方向クラッチを介して後輪を前進側へ駆動可能としている。
図3は、図2のB−Bにおける断面詳細を示し、軌条板1bの面上に、踏板6下部に軸支して配設した小径の転輪6b,6bを載設しており、踏板6上の操縦者mにより踏板6を操作するとき、転輪6bを、軌条板1bの凸面に沿い往復転動しつつ、踏板を前後に円滑に往復遊動可能としている。
また、図4は、図1のA−Aにおける断面詳細であって、車体枠1後部に凸設した支枠3a,3aに車軸3bを横架し、ハブ3c,3cを介して後輪3,3を軸支し、同ハブの両端部に一方向クラッチ7,7の出力側を嵌着し、入力側を車軸3bに軸支して揺動杆基部7b,7bを形設し、同基部に延設した揺動杆7a,7aの自由端と、踏板6,6後端部とを連結する連杆8,8を示している。
上記構成と共に、図1、図2及び図5に示すように、側枠1a,1aと支柱4,4下端部との間に受金4b,4bを介設して支柱4,4基部を枢支し、頂部の支軸受4a,4aを前後に揺動して変位可能とし、前輪2,2を支持するキングピン2a,2a頂位に付設した曲臂板2b,2bの外臂部と支軸受4a,4aとの間をドラッグリンク2d,2dにより連結し、内臂部の間には、タイロッド2cを横架状に連結し、所謂、アッカーマン(Ackermann)類似方式の操向機構を適用している。
そして、上記操向機構の作用については、図5に示すように、操縦者mが歩行動作により操作して走行し、反時計回り、即ち左回り操向操作を行うとき、通常の歩行動作における所作と同様に、操向経路の内側へ操縦者mの上体が偏向すると、同操向経路の内側の上肢揺動の中心、即ち支柱4の支軸受4aは直進位より後退(図中の+X)し、同経路の外側の上肢揺動の中心、即ち支柱4の支軸受4aは直進位より前進(図中の−X)し、従って経路の内側のドラッグリンク2dが後退側へ変位し、外側のドラッグリンク2dが前進側へ変位し、内側及び外側の曲臂板2bと前輪とは、いずれも操縦者上体の偏向に追従して操向経路の内側へ偏向し、経路の内側前輪、外側前輪及び後輪それぞれの回転半径R1,R2ならびにR3により操向経路を形成し、各回転の中心は、両側の曲柄板の間のタイロッド2cの連係設定により、何れもR3上の操向中心Oに集束して、円滑に操向することができる。 また、上記の操向と逆に、時計回り、即ち右回り操向を行うときの操作及び作用は、上記と全く左右逆勝手状となる。
なお、上記の曲臂板2b,2bと車体枠1との間にバネ2e,2eを張架し、前輪2,2、操向機構及び支柱頂位の支軸受4a,4aを直進位の状態へ復元可能とし、また、不規則な凹凸状路面を走行し、操向を行うとき、前輪に発生する傾向のある不測の偏向(yawing)ならびに異常な横振れ(shimmy)を抑制可能としている。
つぎに、伝動及び駆動系の構成要素の設定条件と走行性能とに係る実施設計の一例として、図1に示すように、把手5a側及び摺動筒5b側との揺動角θを48度、支軸受4aと、前方踏み足位の踏板軸6aとの間隔r1を39.5cm、また、後方踏み足位の踏板軸6aとの間隔r2を40.5cmに設定するとき、踏板軸6a,6aの前後移動距離Lf(図示なし)は、余弦定理により、数1の値となり、軽度の歩行動作の歩幅に相当する。
Figure 0003131561
また、受動側の後輪3の半径Rwを25.4cm(直径20インチ相当)とし、揺動杆7aの受動角Θを125度に設定すると、後輪3による駆動長さLw(図示なし)は、数2の値となる。
Figure 0003131561
ここに、後輪の駆動長さLwと踏板軸移動距離、即ち歩幅Lfとにおける行程所要時間は、共に同時間であって、両者の比は、数3に示すように、後輪駆動速度と、歩行速度に相当する踏板軸の前後操作速度との比、即ち増速比ωに相当する。
Figure 0003131561
そして、歩行速度Vとして、2〜4km/hrの歩調の歩行動作で操作を行うとき、駆動速度ω・V、即ち1.7・Vは3.4〜6.8km/hrとなり、比較的低速の駆動に適用し、また、後輪3の半径Rwを60.9cm(直径24インチ相当)に設定するときは、上記の条件において、ほぼ、4〜8km/hrの駆動速度となり、さらに、歩行駆動速度の2〜3倍に相当する駆足速度で操作を行うとき、駆動速度は16〜24km/hrに達する。
従って、駆動速度を低速度に設定する自操車は、福祉用具として歩行補助用及び歩行機能回復に適用し、高速度に設定するものは、歩行機能及び走行機能の増進ないし自転車類似の移動手段に適用することができる。
なお、後輪には、通常の自転車部品類のブレーキ9,9を装備し、ブレーキワイヤを介し、把手付近のハンドレバーにより制動可能としている。
本考案の歩行動作により駆動する自操車の使用状態を示した立面図である。 図1の平面図である。 図2のB−Bにおける断面詳細図である。 図1のA−Aにおける断面詳細図である。 本考案自操車の反時計回り操向作用を示す平面図である。(実施例2)
符号の説明
1 車体枠
1a 側枠
1b 軌条板
2 前輪
2a キングピン
2b 曲臂板
2c タイロッド
2d ドラッグリンク
2e バネ
3 後輪
3a 支枠
3b 車軸
3c ハブ
4 支柱
4a 支軸受
4b 受金
5 杖杆
5a 把手
5b 摺動筒
6 踏板
6a 踏板軸
6b 転輪
7 一方向クラッチ
7a 揺動杆
7b 揺動杆基部
8 連杆
9 ブレーキ
θ 揺動角度(杖杆ないし踏板軸の)
r1 前方揺動半径(支軸受と前方の踏板軸の間隔)
r2 後方揺動半径(支軸受と後方の踏板軸の間隔)
Θ 受動角度(揺動桿、一方向クラッチないし後車輪の)
Rw 後輪半径
Lf 踏板軸の前後移動距離Lf(図示なし)
Lw 後輪3による駆動長さLw(図示なし)
+X 後方への変位(支軸受及びドラッグリンクの)
−X 前方への変位(支軸受及びドラッグリンクの)
R1 前輪操向半径(操向経路内側の)
R2 前輪操向半径(操向経路外側の)
R3 後輪操向半径
O 操向中心
m 操縦者

Claims (2)

  1. 前輪と後輪とを具設する車体枠の両側に立設した一対の支柱の頂位に、杖杆の中途を枢支し、前後方向に揺動可能とし、杖杆の枢支位下側を伸縮自在となして下端部に踏板を枢支し、該踏板下位には転輪を付設し、車体枠の前後方向に架設した一対の軌条板に沿い転輪を転動しつつ踏板を前後に往復遊動可能とし、後輪のハブに一方向クラッチの出力側を嵌設し、入力側に揺動杆の基部を形設し、同揺動杆の自由端と、踏板との間を、連杆により連結してなり、踏板上の操縦者の上肢により、杖杆の把手部を前後方向に揺動操作するとき、下肢により踏板を同把手と逆向に往復遊動し、連杆、揺動杆ないし一方向クラッチを介して後車輪を前進側へ駆動可能とすることを特徴とする歩行動作により駆動する自操車。
  2. 前輪と後輪とを具設する車体枠の両側に立設した一対の支柱の頂位に、杖杆の中途を枢支し、前後方向に揺動可能とし、杖杆の枢支位下側を伸縮自在となして下端部に踏板を枢支し、該踏板下位には転輪を付設し、車体枠の前後方向に架設した一対の軌条板に沿い転輪を転動しつつ踏板を前後に往復遊動可能とし、後輪のハブに一方向クラッチの出力側を嵌設し、入力側に揺動杆の基部を形設し、同揺動杆の自由端と、踏板との間を、連杆により連結してなるものにおいて、車体枠に支柱基部を枢支して頂位の杖杆枢支位を前後に変位可能とし、前輪を支持するキングピン頂位に付設した曲柄板の両外側の柄状部と杖杆枢支位との間をドラッグリンクにより連結し、同曲柄板の両内側の柄状部の間には、タイロッドを横架状に連結してなる操向機構を適用することを特徴とする歩行動作により駆動する自操車。
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