JP3130259B2 - 枠回転型減速機付アキシャルピストンモータ - Google Patents

枠回転型減速機付アキシャルピストンモータ

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JP3130259B2
JP3130259B2 JP08302639A JP30263996A JP3130259B2 JP 3130259 B2 JP3130259 B2 JP 3130259B2 JP 08302639 A JP08302639 A JP 08302639A JP 30263996 A JP30263996 A JP 30263996A JP 3130259 B2 JP3130259 B2 JP 3130259B2
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大記 越智
久稔 櫻井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枠回転型減速機付
アキシャルピストンモータに関する。
【0002】
【従来の技術】図3は特開平4−83943号公報に記
載の減速機付アキシャルピストンモータを示す。
【0003】この図に示す減速機付アキシャルピストン
モータでは、モータ機構部101のシリンダバレル10
2の回転中心にモータ出力軸103を配し、このモータ
出力軸103を、揺動内接噛合型の遊星歯車機構部10
4の入力軸として用いることで、内歯歯車としての回転
枠105を、共通の回転中心周りに回転させるようにし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記モータでは、モー
タ機構部101及び遊星歯車機構104の回転中心にモ
ータ出力軸102を設けた構成であるので、回転中心部
に、貫通した空間を確保することは不可能である。勿
論、モータ出力軸102の軸中心に貫通孔を穿設するこ
とは不可能ではないが、そうすると、モータ出力軸10
2が極めて大径になり、全体の寸法が大型化してしまう
ので、現実的ではない。
【0005】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
なされたものであって、枠回転中心に貫通した空間を簡
単に確保することのできる枠回転型減速機付アキシャル
ピストンモータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、回転
中心の周りに複数のピストンを保持し斜板に対する該ピ
ストンの動作により回転するシリンダバレルをハウジン
グ内部に収容してなるモータ機構部と、内周側から外周
側に向かって偏心体、外歯歯車、内歯歯車を順に配した
揺動内接噛合型の遊星歯車機構部とを備えた枠回転型
速機付アキシャルピストンモータにおいて、前記モータ
機構部のシリンダバレルの外周に、該シリンダバレルと
一体回転するよう前記偏心体を設け、前記外歯歯車を該
外歯歯車の自転成分のみを伝達する手段を介して前記ハ
ウジングに連結し、前記内歯歯車側を出力とすると共
に、前記斜板を、前記ハウジングの軸中心周りにおいて
前記シリンダバレルの各ピストンと対峙して配置すると
共に、該ハウジングによって保持し、前記ハウジングの
中心と一致する前記シリンダバレルの回転中心に、モ
ータ機構部及び遊星歯車機構部をすべて貫通する空間を
形成したことにより、上記課題を解決したものである。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の枠回転
型減速機付アキシャルピストンモータにおいて、前記ハ
ウジングを、相対向するハウジング本体とエンドカバー
で構成し、その対向面間の隙間に外歯歯車を配設し、外
歯歯車に設けた貫通孔を通してハウジング本体とエンド
カバーを連結し、ハウジングの外周に回転自在に前記回
転枠を取り付けたことにより、上記課題を解決したもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0009】図1は実施形態の枠回転型減速機付アキシ
ャルピストンモータの側断面図、図2は図1のII−II線
に沿う断面図である。
【0010】この枠回転型減速機付アキシャルピストン
モータは、モータ機構部Mと遊星歯車機構部Yを一体に
組み合わせたもので、モータ機構部Mの外周側に揺動内
接噛合型の遊星歯車機構部Yが組み付けられている。
【0011】モータ機構部Mを構成するハウジングは、
相対向するハウジング本体1とエンドカバー2とからな
る。ハウジングの内部には、ハウジング本体1側に斜板
3がピン4で回転止めされた状態で組み込まれ、その斜
板3の斜面3Aに対向するよう、エンドカバー2側にシ
リンダバレル5が収容されている。シリンダバレル5
は、回転中心Lの周りに複数のピストン6を保持するも
ので、各ピストン6の頭部がスリッパ7を介して斜板3
の斜面3Aに接触している。そして、ピストン6が、バ
ルブプレート8を介して導入される油圧によって動作さ
せられることにより、シリンダバレル5が前記回転中心
Lを中心に回転するようになっている。
【0012】一方、遊星歯車機構部Yは、内周側から外
周側に向かって偏心体11、外歯歯車13、内歯歯車
(後述する回転枠15及び外ピン16で構成される)を
順に配したもので、ここでは2枚の偏心体11が、モー
タ機構部Mのシリンダバレル5の外周にスプライン9を
介して嵌合されている。2枚の偏心体11は、所定位相
差(この例では180°)をもってそれぞれシリンダバ
レル5の回転中心Lに対して偏心量eだけ偏心した円筒
体で構成されている。各偏心体11にはベアリング12
を介して外歯歯車13がそれぞれ回転自在に嵌合されて
いる。偏心体11と外歯歯車13を複列(2枚)にして
いるのは、主に伝達容量の増大、強度の維持、回転バラ
ンスの保持を図るためである。
【0013】ハウジング本体1とエンドカバー2の対向
面間には隙間が確保されており、この隙間に外歯歯車1
3が配設されている。外歯歯車13には、モータ軸方向
に貫通する内ピン孔(貫通孔)17とキャリアピン孔
(貫通孔)18が複数個間隔をおいて設けられている。
内ピン孔17には前記偏心量eの略2倍だけ小さい直径
の内ピン19が挿入されており、その内ピン19の一端
がハウジング本体1のピン孔に嵌合され、他端がエンド
カバー2のピン孔に嵌合されている。この内ピン19
は、外歯歯車13の自転成分のみをハウジング本体1と
エンドカバー2に伝達する機能を果たす。なお、後述す
るように、ハウジング本体1とエンドカバー2が固定さ
れている場合は、その反作用で揺動成分のみが内歯歯車
側に伝達される。
【0014】又、キャリアピン孔18には、ハウジング
本体1とエンドカバー2を、キャリアピン孔18を通し
て一体に連結する矩形凸部20が挿入されている。矩形
凸部20は、キャリアピン孔18との間に前記偏心量e
の2倍以上の隙間を確保するもので、エンドカバー2に
一体に突設され、ハウジング本体1側から捩じ込んだボ
ルト(キャリアピン)21により締結されている。
【0015】又、ハウジング本体1とエンドカバー2か
らなるハウジングの外周には、回転枠15が設けられて
いる。回転枠15は、ハウジング本体1の外周に配した
ベアリング23と、エンドカバー2の外周に配したベア
リング24により、シリンダバレル5の回転中心Lと一
致する回転中心周りに回転自在に支持されている。回転
枠15は内歯歯車の本体を兼ねるもので、その内周には
内歯を構成する外ピン16が設けられ、これら外ピン1
6と外歯歯車13とが内接噛合している。この場合、外
歯歯車11の外周にはサイクロイド系歯形の外歯が設け
られ、内歯である外ピン16は、外歯よりも歯数が1個
多く設定されている。
【0016】回転枠15とエンドカバー2の端部隙間
は、回転用シール25と回転シール受26により液密に
シールされている。また、回転枠15のハウジング本体
1側の開口端は、ボルト29によって止められたフロン
トカバー28により、ガスケット27を介して塞がれて
いる。
【0017】上記の構成により、シリンダバレル5の回
転中心部よりモータ出力軸を排除できることから、シリ
ンダバレル5の回転中心部には、軸線方向に沿って貫通
孔31が設けられている。また、その貫通孔31に対応
させてハウジング本体1及びエンドカバー2にも貫通孔
32、33が設けられ、更にフロントカバー28にも貫
通孔34が設けられている。
【0018】そして、これら貫通孔31、32、33、
34をすべて貫通して中空パイプ35が通されている。
この中空パイプ35は、ハウジング本体1及びエンドカ
バー2の貫通孔32、33に対しては固定用O−リング
37を介して接し、フロントカバー28の貫通孔34に
対しては、回転用オイルシール38を介して接してお
り、これにより内部の液密性が確保されている。又、シ
リンダバレル5の貫通孔31に対しては非接触となって
いる。そして、この中空パイプ35の内部の空間40
が、自由に利用できる空間として解放されている。
【0019】この空間40は、例えば次のように利用で
きる。
【0020】a)振動ローラの走行用として、本減速機
付アキシャルピストンモータをローラドラム内に装備
し、回転枠15の出力を走行力としてローラドラムに伝
達するようにした場合、その一方で、回転中心部に確保
した前記空間40に、別のモータ出力軸を通し、ローラ
ドラム内の偏心装置を回転させることで、振動を起こす
ようにすることが可能となる。
【0021】b)空間40に丁度挿入される径のシャフ
トを相手機械側に突出形成しておいた場合、このシャフ
トを利用して、相対機械に対する本減速機付アキシャル
ピストンモータを最少限の固定治具で簡単に位置決め・
固定することができ、モータの交換(取付けや取外し)
が容易に実現可能となる。
【0022】c)空間40に対応するシャフトをベース
体の上に垂直に立設した場合、このシャフトを介して本
減速機付アキシャルピストンモータを載置、保管した
り、あるいはベース体ごと安全且つ確実に移送したりす
ることが容易に可能となる。
【0023】次に作用を説明する。
【0024】ここでは、回転枠15が出力部材とされ、
エンドカバー2が固定されている。シリンダバレル5が
1回転すると、偏心体11が1回転する。この偏心体1
1の1回転により、外歯歯車13はシリンダバレル5の
回転中心Lの周りで揺動回転を行おうとするが、エンド
カバー2に固定された内ピン19によって外歯歯車13
の自転成分が吸収されるので、外歯歯車13は揺動のみ
行い、この揺動運動は外歯歯車13から外ピン16に伝
わり、回転枠15が回転する。
【0025】今、例えば外歯歯車13の歯数をN、外ピ
ン16による内歯の歯数をN+1とした場合、その歯数
差は1である。そのため、シリンダバレル5の1回転毎
に外歯歯車13に対して、内歯が1歯分だけずれること
になる。これはシリンダバレル5の1回転が回転枠15
の1/(N+1)の回転に減速されたことを意味する。
【0026】この枠回転型減速機付アキシャルピストン
モータは、モータ機構部Mのシリンダバレル5の外周か
らモータ出力をとるようにし、シリンダバレル5の外周
側に遊星歯車機構Yを組み付けたので、モータ機構部M
と遊星歯車機構Yを軸方向に並べないで済み、それだけ
軸方向寸法を短縮できる。又、モータ出力軸を設けない
でよいため、その分コストがかからない。又、ハウジン
グ本体1とエンドカバー2の対向面間に外歯歯車13を
配設し、且つ、該ハウジング本体1とエンドカバー2と
をボルト(キャリアピン)21を介して連結するように
したため、構造がコンパクトになり、且つ高い強度を維
持することができる。
【0027】更に、回転枠15の回転中心部に貫通した
空間40を確保しているので、この空間を利用して別の
モータ出力軸を通したりするというようなことも可能と
なる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の
枠回転型減速機付アキシャルピストンモータによれば、
シリンダバレルの外周に遊星歯車機構部の入力部材であ
る偏心体を直に設けることで、モータ出力軸を排除し、
その代わりに貫通した空間を設けたので、この空間を利
用して別のモータ出力軸等を通したりするというような
様々な工夫が可能になる。
【0029】請求項2の発明の減速機付アキシャルピス
トンモータによれば、ハウジング本体とエンドカバーの
対向面間の隙間に外歯歯車を配設し、該外歯歯車を、ハ
ウジング外周の回転枠に設けた内歯歯車に内接噛合させ
たので、枠回転形の減速機付モータをコンパクトに構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の側断面図
【図2】図1のII−II矢視図
【図3】従来例の側断面図
【符号の説明】 L…回転中心 M…モータ機構部 Y…遊星歯車機構部 1…ハウジング本体(ハウジング) 2…エンドカバー(ハウジング) 5…シリンダバレル 6…ピストン 11…偏心体 13…外歯歯車 15…回転枠(内歯歯車) 16…外ピン(内歯) 18…キャリアピン孔(貫通孔) 19…内ピン(自転成分のみ伝達する手段) 35…中空パイプ 40…空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−83943(JP,A) 特開 平4−334772(JP,A) 特開 昭55−64168(JP,A) 特開 昭48−10604(JP,A) 特開 平3−181602(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F03C 1/22 F16H 1/32 F04B 1/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転中心の周りに複数のピストンを保持し
    斜板に対する該ピストンの動作により回転するシリンダ
    バレルをハウジング内部に収容してなるモータ機構部
    と、内周側から外周側に向かって偏心体、外歯歯車、内
    歯歯車を順に配した揺動内接噛合型の遊星歯車機構部と
    を備えた枠回転型減速機付アキシャルピストンモータに
    おいて、 前記モータ機構部のシリンダバレルの外周に、該シリン
    ダバレルと一体回転するよう前記偏心体を設け、 前記外歯歯車を該外歯歯車の自転成分のみを伝達する手
    段を介して前記ハウジングに連結し、 前記内歯歯車側を出力とすると共に、 前記斜板を、前記ハウジングの軸中心周りにおいて前記
    シリンダバレルの各ピストンと対峙して配置すると共
    に、該ハウジングによって保持し、 前記ハウジングの中心と一致する前記シリンダバレル
    の回転中心に、モータ機構部及び遊星歯車機構部をすべ
    て貫通する空間を形成したことを特徴とする枠回転型
    速機付アキシャルピストンモータ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の枠回転型減速機付アキシャ
    ルピストンモータにおいて、 前記ハウジングを、相対向するハウジング本体とエンド
    カバーで構成し、 その対向面間の隙間に前記外歯歯車を配設し、 該外歯歯車に設けた貫通孔を通して前記ハウジング本体
    とエンドカバーを連結し、 前記ハウジングの外周に回転自在に前記回転枠を取り付
    けたことを特徴とする枠回転型減速機付アキシャルピス
    トンモータ。
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