JP3127216B2 - クレアチンキナーゼ活性測定試薬及びクレアチンキナーゼ活性測定方法 - Google Patents

クレアチンキナーゼ活性測定試薬及びクレアチンキナーゼ活性測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長期間安定でありかつ
正確に測定を行うことができるクレアチンキナーゼ活性
測定試薬及びクレアチンキナーゼ活性測定方法に関する
ものである。本発明は、臨床検査分野において特に重要
な生体由来試料中のクレアチンキナーゼ活性の測定に好
適なものである。
【0002】
【従来の技術】クレアチンキナーゼ(CK、クレアチン
ホスホキナーゼ、CPK;以下CKと略す)[E.C.
2.7.3.2]は、アデノシン三リン酸〔ATP〕又
はアデノシン二リン酸〔ADP〕を補酵素とし、下記の
反応を触媒する酵素である。
【0003】
【化1】
【0004】CKは、骨格筋、心筋及び脳等に分布し、
エネルギー代謝上重要な役割を果たしている酵素であ
る。そして、このCKは二量体酵素であり、M型(筋
型)とB型(脳型)のサブユニットの組み合わせによ
り、MM型(CK−3)、MB型(CK−2)及びBB
型(CK−1)の3種のアイソザイムが存在し、生体組
織中では骨格筋にMM型が、心筋にMM型とMB型が、
脳にBB型が多く存在する。
【0005】生体由来試料中のCK活性は、急性心筋梗
塞などの虚血性心疾患、多発性筋炎、進行性筋ジストロ
フィー症などの原発性筋疾患及び甲状腺機能異常などの
疾病において高値となるため、生体由来試料中のCK活
性の測定はこれらの疾病の診断にとって大変有用なもの
である。
【0006】また、心筋に多く存在しているCKのMB
型アイソザイムの測定は、心筋梗塞に特異性の高い検査
として重要視されており、更にM型サブユニットの組織
型アイソフォームと血清型アイソフォームの比率の測定
は、急性心筋梗塞の早期診断の指標として注目されてき
ている。
【0007】CK活性の測定は、下記の反応式(1)、
(2)及び(3)で示される反応により生成するβ−ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(還元型)〔NA
DH〕又はβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
リン酸(還元型)〔NADPH〕 (NADHとNADPHを総称して、NAD(P)Hと
する)の生成速度を340nmにおける吸光度の増加速
度より算出することにより行われる。また、下記の反応
式(1)、(2)、(3)及び(4)で示される反応に
より生成するホルマザン色素の生成量を可視部の吸光度
を測ることにより求める方法も行われている。
【0008】
【化2】
【0009】しかしながら、CKは血清等の生体由来試
料中で、温度依存性の不可逆的失活と活性中心のSH基
がブロックされることによる可逆的失活により速やかに
不活性化されるので、活性測定時にチオール化合物を存
在させ、予備加温を行うことにより、CKを活性化して
活性を測定する必要がある。
【0010】このCKの活性化剤であるチオール化合物
としては、種々のものが使用されてきたが、近年は無臭
で取り扱い易く安価なことからN−アセチルシステイン
が広く用いられてきた。〔特開昭49−106397号
公報〕 ところが、N−アセチルシステインは溶液中では不安定
であり、そのSH基が少しずつ酸化されることによりC
Kを活性化する能力が低下してしまい、CK活性の測定
値も負の誤差を生じるようになる。更に、N−アセチル
システインの酸化物は、CKの活性を阻害するとの報告
もある。〔Gerhardtら、Scand.J.Cl
in.Lab.Invest.,39,737−742
(1979)〕
【0011】また、CKの活性化剤として用いられる還
元型グルタチオン及びジチオスレイトールなどの他のチ
オール化合物も溶液中で更に不安定であり、測定値に誤
差を生じさせるようになるものであった。
【0012】このように、チオール化合物を含むCK活
性測定試薬及びチオール化合物を存在させるCK活性測
定方法は不安定なものであり、長期間測定に使用するこ
とができないものであった。
【0013】チオール化合物であるN−アセチルシステ
インを安定化することができ、37℃での保存で最長1
4日間使用することができる測定試薬として、ジチオス
レイトール、メルカプトエタノール又はチオグリセロー
ルなどのN−アセチルシステイン以外のチオール化合物
(SH基含有化合物)とN−アセチルシステインとを含
有するCK測定試薬が開示されている。〔特開昭61−
289900号公報〕しかしこれは、ジチオスレイトー
ルが高価であること、メルカプトエタノールは悪臭を放
つこと、そしてチオグリセロールは溶液状のため凍結乾
燥に適さないことなどの難点を有するものであった。
【0014】また、やはりチオール化合物であるN−ア
セチルシステインを安定化することができ、4℃での保
存で28日間使用することが可能な測定試薬として、少
なくともN−アセチルシステイン及びエチレンジアミン
四酢酸塩を含む試薬群とマグネシウムを含む試薬群に分
けて構成若しくは調製するCK測定試薬が開示されてい
る。〔特開昭62−104598号公報〕しかしこれ
は、第1試薬中にマグネシウムが存在せずヘキソキナー
ゼ(又はグルコキナーゼ)及びグルコース−6−リン酸
デヒドロゲナーゼによる反応が進行しないため、第1試
薬添加後の下記の反応式による試料ブランク反応の測定
値を第2試薬添加後の測定値から差し引くことにより、
溶血試料中のアデニル酸キナーゼによる正の誤差を補正
して正確なCK活性の測定値を得ることができる、ダブ
ルカイネティック法と称される方法による測定を行えな
いという難点を有するものであった。
【0015】
【化3】
【0016】なお、近年液状の測定試薬の需要が高まっ
てきており、その製造、流通、保管及び使用の各段階を
通じての長期間の安定化が望まれていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、従来の
CK活性測定試薬及びCK活性測定方法は不安定なもの
であり、長期間測定に使用することができないものであ
った。また、チオール化合物であるN−アセチルシステ
インを安定化し長期間使用することができるとして開示
されたCK活性測定試薬は、高価な物質、悪臭を放つ物
質若しくは凍結乾燥に適さない物質などを使用するもの
であったり、又は溶血試料におけるアデニル酸キナーゼ
による正の誤差を補正して正確な測定値を得ることがで
きるダブルカイネティック法により測定を行えないとい
う難点を有するものであった。
【0018】本発明者らは、この従来のCK活性測定試
薬及びCK活性測定方法が有する難点の解消を目指して
鋭意検討を行った結果、硫黄を中心原子とするオキソ酸
若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を測定試薬に含有さ
せることにより、長期間安定かつ正確にCK活性を測定
することができることを見出し、安価であり、悪臭を有
さず、液状試薬と凍結乾燥試薬の両方の試薬形態に適用
でき、ダブルカイネティック法により測定を行え、かつ
長期間安定であって正確に測定を行うことができるCK
活性測定試薬及びCK活性測定方法を完成するに至っ
た。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の発明を提
供する。 (1) チオール化合物を含むCK活性測定試薬におい
て、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸
又はこれらの塩を含有することを特徴とするCK活性測
定試薬。 (2) 硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチ
オ酸が、スルホキシル酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、チオ硫
酸、亜ジチオン酸、二亜硫酸、ジチオン酸、二硫酸又は
ポリチオン酸である前記(1)のCK活性測定試薬。 (3) チオール化合物を存在させるCK活性測定方法
において、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこの
チオ酸又はこれらの塩の共存下で測定を行うことを特徴
とするCK活性測定方法。 (4) 硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチ
オ酸が、スルホキシル酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、チオ硫
酸、亜ジチオン酸、二亜硫酸、ジチオン酸、二硫酸又は
ポリチオン酸である前記(3)のCK活性測定方法。
【0020】本発明において、硫黄を中心原子とするオ
キソ酸とは、SOm(OH)n〔m,nはそれぞれ整
数〕で表されるプロトンとして解離しうる水素が酸素原
子に結合した酸のことである。
【0021】また、本発明において、硫黄を中心原子と
するオキソ酸若しくはこのチオ酸のこのチオ酸とは、前
記の硫黄を中心原子とするオキソ酸の酸基に含まれる酸
素原子の一部又は全部が硫黄原子で置換された化合物の
ことである。
【0022】本発明における、これらの硫黄を中心原子
とするオキソ酸若しくはこのチオ酸としては、例えば、
スルホキシル酸〔H2SO2〕、亜硫酸〔H2SO3〕、チ
オ亜硫酸〔H222〕、チオ硫酸〔H223〕、亜ジ
チオン酸〔H224〕、二亜硫酸〔H225〕、ジチ
オン酸〔H226〕、二硫酸〔H227〕及びポリチ
オン酸〔H2SxO6(x=3、4‥‥)〕などが挙げら
れる。
【0023】本発明において、硫黄を中心原子とするオ
キソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩のこれらの塩
とは、前記の硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
のチオ酸のプロトンとして解離しうる水素の一部又は全
部がアルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の金属又
は塩基性基で置換された化合物のことである。例えば、
このアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、ルビジウム及びセシウムなどが挙げられ、アル
カリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、ストロンチウム及びバリウムなどが挙げら
れ、そして塩基性基としては、アンモニウム基などが挙
げられる。
【0024】これらの塩をより具体的に例示すると、亜
硫酸アンモニウム〔(NH42SO3〕、亜硫酸カリウ
ム〔K2SO3〕、亜硫酸カルシウム〔CaSO3〕、亜
硫酸水素アンモニウム〔NH4HSO3〕、亜硫酸水素ナ
トリウム〔NaHSO3〕、亜硫酸ナトリウム〔Na2
3〕、亜硫酸バリウム〔BaSO3〕、亜硫酸ビスマス
〔Bi2(SO33〕、亜硫酸水素カリウム〔KHS
3〕、チオ硫酸アンモニウム〔(NH4223〕、
チオ硫酸ナトリウム〔Na223〕、チオ硫酸バリウ
ム〔BaS23〕、チオ硫酸マグネシウム〔MgS
23〕、チオ硫酸カルシウム〔CaS23〕、チオ硫酸
カリウム〔K223〕、亜ジチオン酸ナトリウム〔N
224〕、亜ジチオン酸カリウム〔K224〕、亜
ジチオン酸カルシウム〔CaS24〕、二亜硫酸ナトリ
ウム〔Na225〕、二亜硫酸カリウム〔K2
25〕、二亜硫酸マグネシウム〔MgS25〕、二亜硫
酸カルシウム〔CaS25〕、ジチオン酸ナトリウム
〔Na226〕、二硫酸カリウム〔K227〕、二硫
酸ナトリウム〔Na227〕及び四チオン酸ナトリウ
ム〔Na246〕などが挙げられる。
【0025】本発明において、硫黄を中心原子とするオ
キソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩は、チオール
化合物を含むCK活性測定試薬に含有させる。
【0026】また本発明において、硫黄を中心原子とす
るオキソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩は、チオ
ール化合物と共存させてCK活性の測定を行う。
【0027】この硫黄を中心原子とするオキソ酸若しく
はこのチオ酸又はこれらの塩を含有又は共存させる濃度
は、0.001〜1.0%が適当であり、0.005〜
0.5%が好ましく、0.01〜0.2%が特に好まし
い。
【0028】本発明は、1試薬系及び2試薬系などの多
試薬系のいずれにおいても実施できるが、多試薬系の場
合、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸
又はこれらの塩は、少なくともチオール化合物を含む試
薬に含有又は共存させる必要がある。しかし、チオール
化合物を含まない試薬には含有又は共存させても、させ
なくてもどちらでも良い。
【0029】本発明において、硫黄を中心原子とするオ
キソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩は、1種類又
は複数種類のものを含有又は共存させることができる。
【0030】本発明において、チオール化合物は、SH
基を有する化合物で、CKを活性化又は安定化すること
ができ、例えば、N−アセチルシステイン、ジチオスレ
イトール、還元型グルタチオン、システイン、ジチオエ
リスリトール、臭化2−アミノエチルイソチオウロニウ
ム、チオグリセロール、2−チオグルコース、チオグリ
コール酸及び2−メルカプトエタノールなどが挙げら
れ、0.2〜100mMの濃度で含ませること又は存在
させることが適当である。
【0031】本発明のCK活性測定試薬及びCK活性測
定方法は、下記の反応によるCK活性を測定するもので
あればいかなる測定原理のものにおいても実施すること
ができ、かつ効果を得ることができる。
【0032】
【化4】
【0033】例えば、下記の反応式(5)、(6)及び
(7)で示される反応により生成するNAD(P)Hの
生成速度を340nmにおける吸光度の1分間当たりの
変化量より算出する測定原理のもの又は下記の反応式
(5)、(6)、(7)及び(8)で示される反応によ
り生成するホルマザン色素の生成量を可視部の吸光度を
測ることにより求める測定原理のものなどにおいても実
施することができる。
【0034】
【化5】
【0035】これらの測定原理において実施する場合、
クレアチンリン酸又はこの塩は5〜250mMの濃度
で、ADP又はこの塩は0.5〜50mMの濃度で、グ
ルコースは2〜200mMの濃度で、ヘキソキナーゼ又
はグルコキナーゼは100〜30,000単位/Lの活
性値で、NAD+若しくはNADP+又はこれらの塩は
0.2〜20mMの濃度で、グルコース−6−リン酸デ
ヒドロゲナーゼは100〜30,000単位/Lの活性
値で、テトラゾリウム塩は0.02〜5mMの濃度で、
ジアホラーゼは10〜10,000単位/Lの活性値で
及び1−メトキシ−フェナジンメトサルフェートは0.
005〜1.0mMの濃度で用いれば良い。
【0036】そして、pHは、1試薬系にて測定を行う
場合にはpH5〜pH8が好ましく、pH5.5〜pH
7.5とすることが特に好ましい。多試薬系にて測定を
行う場合には試薬を混合した最終反応液のpHが、pH
5〜pH8となるのが好ましく、pH5.5〜pH7.
5となることが特に好ましい。例えば、2試薬系にて測
定を行う場合、第1試薬はpH5〜pH8の範囲内のp
Hとすることが好ましく、そして第2試薬はpH6〜p
H9の範囲内のpHとすることが好ましく、かつ第1試
薬と第2試薬を混合した最終反応液のpHをpH5〜p
H8とするのが好ましく、pH5.5〜pH7.5とす
ることが特に好ましい。
【0037】なお、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、
グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びジアホラ
ーゼは、それぞれ前記の反応式(6)、(7)又は
(8)の反応を触媒するものであれば、いかなる由来の
もの及びいかなる調製法、操作法により得られたものを
も使用することができる。
【0038】また、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ及
びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼによる反応
に必要なマグネシウムイオンを、酢酸マグネシウム、塩
化マグネシウム又は硫酸マグネシウムなどのマグネシウ
ム塩を含ませるか又は存在させることにより用いること
ができ、その濃度は0.5〜150mMが適当である。
【0039】そして、エチレンジアミン四酢酸若しくは
この塩を0.1〜30mMの濃度で、ジアデノシンペン
タリン酸若しくはこの塩を1〜100μMの濃度で、ア
デノシン一リン酸〔AMP〕若しくはこの塩を0.5〜
25mMの濃度で、イミダゾール若しくはグッド緩衝剤
などの緩衝剤を10〜500mMの濃度で含ませるか又
は存在させることにより用いても良い。
【0040】更に、アルブミンなどのタンパク質、糖類
若しくは高分子化合物などの安定化剤、アジ化ナトリウ
ムなどの防腐剤、妨害物質消去剤、界面活性剤、賦形剤
あるいはその他の活性化剤等を含ませるか又は存在させ
ても良い。
【0041】本発明のCK活性測定試薬及びCK活性測
定方法においては、下記の反応を触媒する6−ホスホグ
ルコノラクトナーゼを含ませるか又は存在させることも
できる。この場合は前記の反応式(7)の反応を促進で
きる点で好ましい。
【0042】
【化6】
【0043】この6−ホスホグルコノラクトナーゼは、
いかなる由来のもの及びいかなる調製法、操作法により
得られたものをも使用することができ、10〜50,0
00単位/Lの活性値で用いれば良い。
【0044】本発明のCK活性測定試薬及びCK活性測
定方法によりCK活性の測定を行う場合において、CK
活性を測定する生体由来試料としては、例えばヒト又は
動物の血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾
液、汗、涙、腹水、羊水等の体液若しくは心臓、脳等の
臓器、毛髪、皮膚、爪、筋肉若しくは神経等の組織又は
細胞などを挙げることができる。
【0045】本発明によりCK活性の測定を行う場合、
測定は反応速度法(レート法)又は終点法(エンドポイ
ント法)のいずれによるものでも良く、測定ステップは
1ステップ法又は2ステップ法などの多ステップ法のい
ずれでも良く、測定波長は紫外部及び可視部の適当な波
長を使用することができ、測定反応の温度は30℃又は
37℃など測定反応が進行しかつ測定反応に係わる酵素
が熱により失活しない範囲内の温度を設定すれば良く、
測定反応の開始方法はクレアチンリン酸若しくはこの塩
などの基質を加えることにより行う方法又は生体由来試
料を加えることにより行う方法などいずれの方法でも良
く、そして測定の手法は用手法又は自動分析装置などの
装置による方法のいずれをも用いることができる。
【0046】また、本発明によりCK活性の測定を行う
に当たり、溶血試料、ビリルビン高濃度試料又は乳び試
料などの妨害物質含有試料における測定値の誤差を補正
するため、試料ブランク値を差し引く方法により測定を
行っても良く、例えば前記のダブルカイネティック法な
どを用いることもできる。
【0047】なお、本発明のCK活性測定試薬及びCK
活性測定方法は、MB型アイソザイムなどのCKアイソ
ザイムの測定及びCKのM型サブユニットのアイソフォ
ームの測定においても実施することができ、かつ効果を
得ることができる。この場合、M型若しくはB型のサブ
ユニットを阻害する抗体又はM型サブユニットの組織型
若しくは血清型のアイソフォームを阻害する抗体を生体
由来試料に含まれるCKに作用させ、本発明のCK活性
測定試薬又はCK活性測定方法によりCK活性を測定す
ることによって行うことができる。
【0048】
【作用】本発明は、チオール化合物を含むCK活性測定
試薬において硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
のチオ酸又はこれらの塩を含有することを特徴とするC
K活性測定試薬及びチオール化合物を存在させるCK活
性測定方法において硫黄を中心原子とするオキソ酸若し
くはこのチオ酸又はこれらの塩の共存下で測定を行うこ
とを特徴とするクレアチンキナーゼ活性測定方法であっ
て、長期間安定かつ正確にCK活性を測定することがで
きるなどの効果を有するものであるが、その作用機序は
現在のところ明らかではない。強いて挙げるならば、硫
黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸又はこ
れらの塩が含有又は共存することにより、チオール化合
物が安定化されて、前記の効果が発現されるのではない
かと推測される。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に詳
述するが、本発明はこの実施例によって何ら限定される
ものではない。
【0050】実施例1 血清試料のCK活性の測定 チオール化合物であるN−アセチルシステインを含み、
硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸又は
これらの塩である二亜硫酸カリウムを含有する本発明の
CK活性測定試薬を調製し、血清試料のCK活性の測定
を行った。
【0051】(1)CK活性測定試薬及び血清試料の調
製 第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水
に溶解し、0.1N酢酸でpHを6.00(20℃)に
調整して第1試薬を調製した。 試薬成分 濃 度 二亜硫酸カリウム(ナカライテスク社製) 0.03% N−アセチルシステイン(ベーリンガーマンハイム社製) 26.7mM イミダゾール 100mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2.0mM 酢酸マグネシウム(4水和物) 10.0mM ADP一カリウム塩 2.0mM AMP二ナトリウム塩 6.67mM ジアデノシンペンタリン酸三リチウム塩 13.3μM D−グルコース(無水) 20.0mM NADP(酸化型)二ナトリウム塩 2.67mM ヘキソキナーゼ(ベーリンガーマンハイム社製、酵母由来)3,900単位/L グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(ユニチカ社製、微生物由来) 2,000単位/L アジ化ナトリウム 0.05%
【0052】第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水
に溶解し、0.1N酢酸でpHを8.00(20℃)に
調整して第2試薬を調製した。 試薬成分 濃 度 クレアチンリン酸二ナトリウム塩 120mM イミダゾール 120mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2.0mM 酢酸マグネシウム(4水和物) 10.0mM ADP一カリウム塩 2.0mM D−グルコース(無水) 20.0mM アジ化ナトリウム 0.05%
【0053】血清試料の調製 CK活性値6,070単位/Lのヒト血清試料をそれぞ
れ0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、
0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL及び
0.9mL分注し、これらに生理食塩水(0.9%塩化
ナトリウム水溶液)をそれぞれ0.9mL、0.8m
L、0.7mL、0.6mL、0.5mL、0.4m
L、0.3mL、0.2mL及び0.1mL加え混合し
て、10段階に希釈された血清試料を調製した。
【0054】(2)血清試料のCK活性の測定 測定は日立製作所社製7150型自動分析装置にて行
い、前記のそれぞれの血清試料8μLに第1試薬300
μLを加え37℃で5分間反応させた後、第2試薬を1
00μL添加し37℃で反応させ、主波長340nm及
び副波長405nmにおける第1試薬添加後の試料ブラ
ンク反応の2分36秒目(13ポイント)から4分24
秒目(22ポイント)までの吸光度の1分間当たりの変
化量及び第2試薬添加後のCK活性による反応の2分1
2秒目(36ポイント)から5分目(50ポイント)ま
での吸光度の1分間当たりの変化量よりCK活性値の算
出を行った。(ダブルカイネティック法) なお、血清試料のCK活性値は純水を試料とした時の吸
光度の1分間当たりの変化量を試薬盲検値として、下記
の計算式により求めた。
【0055】
【数1】
【0056】また、比較のため従来のCK活性測定試薬
である二亜硫酸カリウムを含有しない第1試薬を調製し
対照試薬として、前記と同様にして血清試料のCK活性
の測定を行った。
【0057】これらの10段階に希釈した血清試料の測
定結果を図1に示した。なお、この図1において、横軸
は血清試料の希釈率を、縦軸はCK活性値を表し、そし
て○は本発明のCK活性測定試薬による測定値を、●は
比較のための従来のCK活性測定試薬である二亜硫酸カ
リウムを含有しない対照試薬による測定値を示す。
【0058】
【図1】
【0059】この図より、本発明のCK活性測定試薬に
よるCK活性の測定では、検量線が原点を通る直線であ
り、5,900単位/L以上まで直線性を有し、かつ硫
黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸又はこ
れらの塩を含有しない従来のCK活性測定試薬によるも
のと同一の測定値を示すことがわかり、CK活性の測定
において充分な性能を持つことが確かめられた。
【0060】実施例2 従来のCK活性測定試薬との相
関 本発明のCK活性測定試薬による測定値と従来のCK活
性測定試薬である日本臨床化学会常用基準法CK活性測
定試薬による測定値との相関を確かめた。
【0061】(1)本発明のCK活性測定試薬による測
定 実施例1の(1)の及びに記載した方法に従って第
1試薬及び第2試薬を調製し、同じく実施例1の(2)
に記載した方法に従って69検体のヒト血清試料のCK
活性値の測定を行った。
【0062】(2)日本臨床化学会常用基準法CK活性
測定試薬による測定 CK活性測定試薬の調製 a)第1試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水
に溶解し、酢酸でpHを6.60(30℃)に調整して
第1試薬を調製した。 試薬成分 濃 度 N−アセチルシステイン(ベーリンガーマンハイム社製) 23mM イミダゾール 115mM エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2.3mM 酢酸マグネシウム(4水和物) 11.3mM ADP一カリウム塩 2.3mM AMP二ナトリウム塩 5.8mM ジアデノシンペンタリン酸三リチウム塩 11.5μM D−グルコース(無水) 23mM NADP(酸化型)二ナトリウム塩 2.3mM ヘキソキナーゼ(オリエンタル酵母工業社製、酵母由来) 3,450単位/L グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(オリエンタル酵母工業社製、酵母由 来) 1,725単位/L
【0063】b)第2試薬の調製 下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し
て第2試薬を調製した。 試薬成分 濃 度 クレアチンリン酸二ナトリウム塩 345mM
【0064】血清試料のCK活性の測定 前記本実施例の(1)にて測定を行った69検体のヒト
血清試料を用い、それぞれの0.10mLに第1試薬
2.00mLを加え37℃で5分間予備加温を行った
後、37℃で予備加温しておいた第2試薬を0.20m
L添加し37℃で反応させ、日立製作所社製3200型
分光光度計を用いて測光した340nmにおける第2試
薬添加後のCK活性による反応の2分目から4分目まで
の吸光度の1分間当たりの変化量より、CK活性値の算
出を行った。なお、血清試料のCK活性値は、第2試薬
の替わりに純水を添加し同様に反応させた時の吸光度の
1分間当たりの変化量を試料ブランク反応による変化量
として、下記の計算式により求めた。
【0065】
【数2】
【0066】(3)得られた測定値の相関 前記本実施例の(1)の本発明のCK活性測定試薬によ
る測定値と前記本実施例の(2)の日本臨床化学会常用
基準法CK活性測定試薬による測定値との相関を図2に
示した。なお、この図2において、横軸(x軸)は日本
臨床化学会常用基準法CK活性測定試薬による測定値
を、縦軸(y軸)は本発明のCK活性測定試薬による測
定値を表す。
【0067】
【図2】
【0068】この図より、本発明のCK活性測定試薬に
よるCK活性の測定と、従来のCK活性測定試薬である
日本臨床化学会常用基準法CK活性測定試薬によるCK
活性の測定とでは、回帰式がy=1.03x+1.1、
相関係数がr=1.000と大変良好な相関を示し、同
一の測定値が得られることがわかった。従って、本発明
のCK活性測定試薬によるCK活性の測定値は、臨床検
査及び診断の場において、問題なく用いることができる
ことが確かめられた。
【0069】実施例3 25℃での安定性の確認 本発明のCK活性測定試薬を25℃にて保存して、その
安定性を確かめた。
【0070】(1)CK活性測定試薬の調製 第1試薬の調製 a)「0.01%二亜硫酸Na試薬」及び「0.03%
二亜硫酸Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%二亜硫
酸ナトリウム又は0.03%二亜硫酸ナトリウムを含有
させた2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.01
%二亜硫酸Na試薬」及び「0.03%二亜硫酸Na試
薬」とした。
【0071】b)「0.01%亜硫酸水素Na試薬」及
び「0.03%亜硫酸水素Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%亜硫酸
水素ナトリウム又は0.03%亜硫酸水素ナトリウムを
含有させた2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.
01%亜硫酸水素Na試薬」及び「0.03%亜硫酸水
素Na試薬」とした。
【0072】c)「0.01%亜硫酸Na試薬」及び
「0.03%亜硫酸Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%亜硫酸
ナトリウム又は0.03%亜硫酸ナトリウムを含有させ
た2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.01%亜
硫酸Na試薬」及び「0.03%亜硫酸Na試薬」とし
た。
【0073】d)「対照試薬」の調製 比較のため、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
のチオ酸又はこれらの塩である二亜硫酸カリウムを含有
しない第1試薬を実施例1の(1)のに記載した方法
に従い調製し、「対照試薬」とした。
【0074】第2試薬の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従って第2試薬
を調製した。
【0075】(2)CK活性測定試薬の保存 前記(1)ののa)、b)、c)並びにd)の7種類
の第1試薬及び前記(1)のの第2試薬を、容量10
0mLの日立7150型自動分析装置用容器にそれぞれ
注入し、蓋をして、25℃の恒温装置内にて保存した。
【0076】(3)保存したCK活性測定試薬による測
定 前記(2)の保存した7種類の第1試薬及び第2試薬を
用いて、2種類のヒト血清試料(試料1及び試料2)の
CK活性値を測定することにより、安定性を確かめた。
保存開始時、保存1カ月後、保存1カ月2週後及び保存
2カ月2週後の4時点において、実施例1の(2)に記
載した方法に従ってCK活性値の測定を行った。
【0077】この測定の結果を表1に示した。なお、こ
の表において表示した値はCK活性の測定値〔単位/
L〕であり、またカッコ内の数値はその測定値の保存開
始時の測定値に対する相対比率を表す。
【0078】
【表1】
【0079】これより、硫黄を中心原子とするオキソ酸
若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含有しない従来の
CK活性測定試薬は、25℃での保存1カ月2週後では
保存開始時に比べて9%も測定値が低下してしまい、ま
た25℃での保存2カ月2週後では16〜18%測定値
が低下してしまうのに対して、本発明の硫黄を中心原子
とするオキソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含
有するCK活性測定試薬は、25℃での保存1カ月2週
後においては保存開始時に比べて測定値に変化はなく、
また25℃での保存2カ月2週後でも測定値の低下が抑
えられていることがわかる。よって、本発明のCK活性
測定試薬による測定では、長期間安定かつ正確にCK活
性の測定を行えることが確かめられた。
【0080】実施例4 種々のpHのCK活性測定試薬
の25℃での安定性の確認 種々のpHの本発明のCK活性測定試薬を25℃にて保
存して、その安定性を確かめた。
【0081】(1)CK活性測定試薬の調製 第1試薬の調製 a)「pH6.0試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、pHが
6.00(20℃)の第1試薬を調製し、「pH6.0
試薬」とした。
【0082】b)「pH6.3試薬」の調製 pHをpH6.00からpH6.30(20℃)に変え
る他は実施例1の(1)のに記載した方法に従って第
1試薬を調製し、「pH6.3試薬」とした。
【0083】c)「pH6.7試薬」の調製 pHをpH6.00からpH6.70(20℃)に変え
る他は実施例1の(1)のに記載した方法に従って第
1試薬を調製し、「pH6.7試薬」とした。
【0084】d)「対照試薬」の調製 比較のため、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
のチオ酸又はこれらの塩である二亜硫酸カリウムを含有
せず、pHがそれぞれpH6.00(20℃)、pH
6.30(20℃)又はpH6.70(20℃)の3種
類の第1試薬を、実施例1の(1)のに記載した方法
に従い調製し、それぞれ「対照pH6.0試薬」、「対
照pH6.3試薬」、「対照pH6.7試薬」とした。
【0085】第2試薬の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従って第2試薬
を調製した。
【0086】(2)CK活性測定試薬の保存 前記(1)ののa)、b)、c)並びにd)の6種類
の第1試薬及び前記(1)のの第2試薬を、容量10
0mLの日立7150型自動分析装置用容器にそれぞれ
注入し、蓋をして、25℃の恒温装置内にて保存した。
【0087】(3)保存したCK活性測定試薬による測
定 前記(2)の保存した6種類の第1試薬及び第2試薬を
用いて、2種類のヒト血清試料(試料1及び試料2)の
CK活性値を測定することにより、安定性を確かめた。
保存開始時及び保存1カ月後の2時点において、実施例
1の(2)に記載した方法に従ってCK活性値の測定を
行った。
【0088】この測定の結果を表2に示した。なお、こ
の表において表示した値はCK活性の測定値〔単位/
L〕であり、またカッコ内の数値はその測定値の保存開
始時の測定値に対する相対比率を表す。
【0089】
【表2】
【0090】これより、硫黄を中心原子とするオキソ酸
若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含有しない従来の
CK活性測定試薬は、いずれも25℃での保存1カ月後
では保存開始時に比べて約10%前後測定値が低下して
しまうのに対して、本発明の硫黄を中心原子とするオキ
ソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含有するCK
活性測定試薬では、第1試薬のpHにかかわらずいずれ
のCK活性測定試薬においても、25℃での保存1カ月
後では保存開始時に比べて測定値にほとんど変化がない
ことがわかる。よって、本発明のCK活性測定試薬によ
る測定では、CK活性測定試薬のpHにかかわらず長期
間安定かつ正確にCK活性の測定を行えることが確かめ
られた。
【0091】実施例5 5℃での安定性の確認 本発明のCK活性測定試薬を5℃にて保存して、その安
定性を確かめた。
【0092】(1)CK活性測定試薬の調製 第1試薬の調製 a)「0.01%二亜硫酸Na試薬」及び「0.03%
二亜硫酸Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%二亜硫
酸ナトリウム又は0.03%二亜硫酸ナトリウムを含有
させた2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.01
%二亜硫酸Na試薬」及び「0.03%二亜硫酸Na試
薬」とした。
【0093】b)「0.01%亜硫酸水素Na試薬」及
び「0.03%亜硫酸水素Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%亜硫酸
水素ナトリウム又は0.03%亜硫酸水素ナトリウムを
含有させた2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.
01%亜硫酸水素Na試薬」及び「0.03%亜硫酸水
素Na試薬」とした。
【0094】c)「0.01%亜硫酸Na試薬」及び
「0.03%亜硫酸Na試薬」の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従い、0.03
%二亜硫酸カリウムに替えてそれぞれ0.01%亜硫酸
ナトリウム又は0.03%亜硫酸ナトリウムを含有させ
た2種類の第1試薬を調製し、それぞれ「0.01%亜
硫酸Na試薬」及び「0.03%亜硫酸Na試薬」とし
た。
【0095】d)「対照試薬」の調製 比較のため、硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
のチオ酸又はこれらの塩である二亜硫酸カリウムを含有
しない第1試薬を実施例1の(1)のに記載した方法
に従い調製し、「対照試薬」とした。
【0096】第2試薬の調製 実施例1の(1)のに記載した方法に従って第2試薬
を調製した。
【0097】(2)CK活性測定試薬の保存 前記(1)ののa)、b)、c)並びにd)の7種類
の第1試薬及び前記(1)のの第2試薬を、容量10
0mLの日立7150型自動分析装置用容器にそれぞれ
注入し、蓋をして、5℃の冷蔵庫内にて保存した。
【0098】(3)保存したCK活性測定試薬による測
定 前記(2)の保存した7種類の第1試薬及び第2試薬を
用いて、2種類のヒト血清試料(試料1及び試料2)の
CK活性値を測定することにより、安定性を確かめた。
硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこのチオ酸又は
これらの塩である二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム又は亜硫酸ナトリウムの濃度が0.01%の第1
試薬については保存開始時及び保存6カ月後の2時点に
おいて、また二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム又は亜硫酸ナトリウムの濃度が0.03%の第1試薬
については保存開始時、保存6カ月後及び保存9カ月後
の3時点において、実施例1の(2)に記載した方法に
従ってCK活性値の測定を行った。
【0099】この測定の結果を表3に示した。なお、こ
の表において表示した値はCK活性の測定値〔単位/
L〕であり、またカッコ内の数値はその測定値の保存開
始時の測定値に対する相対比率を表す。
【0100】
【表3】
【0101】これより、硫黄を中心原子とするオキソ酸
若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含有しない従来の
CK活性測定試薬は、5℃での保存6カ月後では保存開
始時に比べて7%も測定値が低下してしまい、また5℃
での保存9カ月後では14%測定値が低下してしまうの
に対して、本発明の硫黄を中心原子とするオキソ酸若し
くはこのチオ酸又はこれらの塩を含有するCK活性測定
試薬は、5℃での保存6カ月後においては保存開始時に
比べて測定値にほとんど変化はなく、また5℃での保存
9カ月後でも測定値の低下が抑えられていることがわか
る。よって、本発明のCK活性測定試薬による測定で
は、長期間安定かつ正確にCK活性の測定を行えること
が確かめられた。
【0102】
【発明の効果】本発明のCK活性測定試薬及びCK活性
測定方法は、その安定性が著しく改善されたものであ
る。
【0103】例えば、従来のCK活性測定試薬及びCK
活性測定方法は、25℃での保存1カ月2週後では保存
開始時に比べて9%も測定値が低下してしまい、また5
℃での保存6カ月後では保存開始時に比べて7%も測定
値が低下してしまって、長期間使用することができない
のに対して、本発明のCK活性測定試薬及びCK活性測
定方法はほとんど測定値の低下を示さず長期間正確な測
定値を得ることができる。
【0104】つまり、本発明のCK活性測定試薬及びC
K活性測定方法は、安価であり、悪臭を有さず、液状試
薬と凍結乾燥試薬の両方の試薬形態に適用でき、溶血試
料におけるアデニル酸キナーゼによる正の誤差を補正す
ることができるダブルカイネティック法を適用でき、長
期間安定でありかつ長期間正確にCK活性の測定を行う
ことができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCK活性測定試薬による測定及び従来
のCK活性測定試薬による測定の直線性を示したグラフ
である。
【図2】本発明のCK活性測定試薬による測定と日本臨
床化学会常用基準法CK活性測定試薬による測定との相
関を示したグラフである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チオール化合物を含むクレアチンキナーゼ
    活性測定試薬において、硫黄を中心原子とするオキソ酸
    若しくはこのチオ酸又はこれらの塩を含有することを特
    徴とするクレアチンキナーゼ活性測定試薬。
  2. 【請求項2】硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
    のチオ酸が、スルホキシル酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、チ
    オ硫酸、亜ジチオン酸、二亜硫酸、ジチオン酸、二硫酸
    又はポリチオン酸である請求項1記載のクレアチンキナ
    ーゼ活性測定試薬。
  3. 【請求項3】チオール化合物を存在させるクレアチンキ
    ナーゼ活性測定方法において、硫黄を中心原子とするオ
    キソ酸若しくはこのチオ酸又はこれらの塩の共存下で測
    定を行うことを特徴とするクレアチンキナーゼ活性測定
    方法。
  4. 【請求項4】硫黄を中心原子とするオキソ酸若しくはこ
    のチオ酸が、スルホキシル酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、チ
    オ硫酸、亜ジチオン酸、二亜硫酸、ジチオン酸、二硫酸
    又はポリチオン酸である請求項3記載のクレアチンキナ
    ーゼ活性測定方法。
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