JP3126189B2 - カルボン酸ブチルエステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸ブチルエステルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカルボン酸ブチルエステ
ルの製造方法に関する。詳しくはタングステンの酸化物
を主体とするヘテロポリ酸の存在下にカルボン酸とエチ
レンとの反応によりカルボン酸ブチルエステルを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カルボン酸ブチルエステルの製造
方法としては、カルボン酸とブチルアルコール類とのエ
ステル化反応及びブチルアルコールとカルボン酸無水物
との反応により製造される事が古くから知られている。
しかしこれらの方法は、原料としてブタノール類を用い
ており、ブタノール類は、プロピレンのハイドロフォル
ミル化、ブテン類の水和反応等、オレフィンを更に化学
変化させた原料であり、経済的に不利である。又、ブタ
ノール類とカルボン酸からの製造方法はエステル化反応
による方法であり、エステル化反応は平衡反応である
為、該エステルを高い反応収率で生成することは困難で
あり、更に副生する水を除去するための手段を講じる必
要がある。又、カルボン酸無水物を用いる方法において
は該エステルの収率は高いが、使用するカルボン酸無水
物が高価であり、加えてカルボン酸1分子が遊離し、こ
のカルボン酸を無水物に変換することは極めて困難であ
る等の様々な欠点を有している。
【0003】又、これらの問題点を解決する方法とし
て、ブテン類とカルボン酸の付加反応によりカルボン酸
ブチルエステルを製造する方法としてカルボン酸とブテ
ン類との酸触媒存在下での付加反応が古くから知られて
いる。例えば、世界特許88−02216号にはN,N-ジ
アルキルアルカンアミドを触媒としてイソブテンと酢酸
から酢酸tert- ブチルを製造している。更に、世界特許
87−06244号ではスルホン酸基を有する高分子触
媒をもちいて1-ブテンと酢酸から酢酸sec-ブチルを製造
している。又、特公昭56−30334号においては、
タングステン系のヘテロポリ酸を触媒として1-ブテンと
酢酸から酢酸sec-ブチルを製造している。
【0004】しかしながら、これらの方法は総てオレフ
ィンとしてブテン類を用いている。ブテン類はエチレン
に比較して、世界的に生産量は極端に少なく、その供給
量はエチレンとは比較にならず、不安定であるという問
題点を有している。ここにおいて、上記カルボン酸のブ
チルエステルをエチレンとカルボン酸から製造すること
は、原料事情、経済性の観点から極めて望ましい方法と
いえる。エチレンとカルボン酸からカルボン酸ブチルエ
ステルを製造する方法に関しては、特公昭56-30334号中
の明細書中の従来の技術の中に、引用文献として示され
ている( 特公昭47-42808号、) が、これら特許を詳細に
検討したが、エチレンと酢酸等のカルボン酸からブチル
エステルの生成した例は見当たらない。従って、通常の
酸触媒反応において、エチレンとカルボン酸からカルボ
ン酸ブチルエステルを製造した例は未だ知られてはいな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチ
レンとカルボン酸との反応によりカルボン酸ブチルエス
テルを短時間で高選択率及び高転化率で製造すると共に
該反応を高温領域においても安定に実施可能たらしめる
触媒を提供する事を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カルボン
酸ブチルエステルの効率的な製造方法を検討し、エチレ
ンとカルボン酸との反応が優れた製造方法である事に着
目し、鋭意検討したところ、触媒としてタングステンの
酸化物を主体とするヘテロポリ酸が有するプロトンの一
部をパラジウムカチオンで置換したものを該反応系に存
在させる事により極めて効率良く進行する事を見出し本
発明方法を完成するに到った。即ち、タングステンの酸
化物を主体とするヘテロポリ酸の有するプロトンの一部
をパラジウムカチオンで置換したヘテロポリ酸の存在下
に、脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸とエチレン
を反応させる事を特徴とするカルボン酸ブチルエステル
( とりわけカルボン酸sec-ブチル )の製造方法であり、
一般式: (M1)a(M2)b(W)c(O)d(H)e-f(Pd)f/2(但し、M1,M2 は金属
原子を表し、W はタングステン原子,Pd はパラジウム原
子を表し、O は酸素原子、H は水素原子を表す。更にa
は1 または2 の整数であり、b は0、1または2の整数
であり、cは20以下の正の整数であり、dは100以
下の正の整数であり、eは10以下の正の整数、f は1
0未満の正の実数である。)で表されるヘテロポリ酸を
触媒として用いることを特徴とする。これら一般式にお
いてM1が元素記号でP,Si,Co,Mn,Ni,As,Ti,Fe,V及び
Bのいずれかで表される元素であり、M2が元素記号Vで
表される元素であるものは好ましく、タングストケイ酸
及び/又はモリブドケイ酸の有するプロトンの一部をパ
ラジウムカチオンで置換したものを用いると特に好まし
い。
【0007】又、これらヘテロポリ酸が該酸の無結晶水
物及び/又は結晶水を含有するものであればよいが、こ
ららヘテロポリ酸が有する結晶水の量が該ヘテロポリ酸
1分子あたり平均3.0分子以下に調整されたヘテロポ
リ酸であると更に好ましい触媒となる。 更に、これら
ヘテロポリ酸を150℃から500℃の温度範囲で加熱
処理をすることもしくは不活性な気体の流通下に加熱処
理をすることにより、含有する結晶水の量が該ヘテロポ
リ酸1分子あたり平均3.0分子以下に調整されたヘテ
ロポリ酸を触媒として製造する方法が脱水調整方法とし
て好ましい。
【0008】以下本発明方法を詳細に説明する。本発明
方法において使用するカルボン酸類及びエチレンは特に
精製の必要はなく、一般的な試薬純度のカルボン酸類及
びエチレンをそのまま使用しても何ら差し支えない。水
分を除去すれば更に好ましい。ここにおいて本発明方法
に使用するカルボン酸類は脂肪族カルボン酸類及び芳香
族カルボン酸類であり、具体的には、脂肪族カルボン酸
類としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数
1〜15の脂肪族飽和カルボン酸類、アクリル酸、メタ
アクリル酸等の炭素数3〜15の脂肪族不飽和カルボン
酸類及びハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、
アミノ基、スルホン基で一部置換された炭素数1〜15
の脂肪族飽和カルボン酸類、炭素数3〜15の脂肪族不
飽和カルボン酸類であり、更にモノカルボン酸に加え、
ジ−、トリ−カルボン酸等のポリカルボン酸類も含まれ
る。
【0009】芳香族カルボン酸類としては、芳香族モノ
及びポリカルボン酸類であり、具体的には安息香酸、ナ
フタレンカルボン酸類、フタル酸類等及びこれらにハロ
ゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ス
ルホン基、アルキル基、アリル基等が置換した炭素数7
〜25の芳香族モノ及びポリカルボン酸類である。
【0010】本発明方法において使用する触媒はヘテロ
ポリ酸であり、一般式 (M1)a(M2)b(W)c(O)d(H)e-f(Pd)f/2 (但しM1は元素記号
P,Si,Co,Mn,Ni,As,Ti,Fe,V,B 等で表される元素であ
り、M2は元素記号V 等で表される元素であり、W はタン
グステン原子、Pdはパラジウム原子、O は酸素原子、H
は水素原子を表し、a は1又は2、bは0、1又は2、
cは20以下の正の整数、dは100以下の正の整数、
eは10以下の正の整数、f は10未満の正の実数)で
表されるヘテロポリ酸である。具体的にはドデカタング
ストケイ酸(SiW12O40H4)、ドデカタングストリン酸(PW
12O40H3) 、及びこれらのタングステン原子の1つ又は
2つ以上をバナジウム原子に置き換えた構造を有するヘ
テロポリ酸の有するプロトンの一部をパラジウムカチオ
ンで置換したヘテロポリ酸等が最も入手し易いヘテロポ
リ酸として挙げられる。しかしながら、本発明方法はこ
れらのヘテロポリ酸のみに限定されるものではない。こ
こにおいて、本発明方法に使用するタングステンの酸化
物を主体とするヘテロポリ酸の有するプロトンの一部を
パラジウムカチオンで置換したヘテロポリ酸の調製法に
ついて述べる。
【0011】本発明方法における上記パラジウムカチオ
ン交換したヘテロポリ酸の調製法は特に限定されること
はなく、実質的に、上記一般式の形態となるものが調製
されれば、何れの方法で調製しても何ら差し支えはない
が、一般的に実施し易い方法としては、市販のタングス
テンの酸化物を主体とするヘテロポリ酸(ドデカタング
ストリン酸、ドデカタングストケイ酸)と酢酸パラジウ
ム等を混合溶解することで容易に調製することができ
る。通常、本発明に使用するヘテロポリ酸は、結晶水を
含有している。ここにおいて、該ヘテロポリ酸の結晶水
とは、市販もしくは調製時にヘテロポリ酸に含有される
水の総称であり、具体的には、含水溶媒中で該ヘテロポ
リ酸を調製した際、これらを非溶媒等により析出させた
場合にヘテロポリ酸結晶中に付着もしくは取り込まれた
水や、吸着、潮解等によってヘテロポリ酸が取り込んだ
水等である。例えば市販のドデカタングストケイ酸にお
いては、一般式H4SiW12O40・nH2Oで示され、又、市販の
ドデカタングストリン酸は一般式H3PW12O40 ・nH2Oで示
されるが、これら上記式中に示したnH2Oのことであり、
ヘテロポリ酸の結晶構造中に組み入れられた水分子もし
くは吸着又は含有した水分子のことをいう。従って、本
発明方法においては上記一般式で表されたヘテロポリ酸
はn 分子の結晶水を有していることを意味している。n
は平均値となるので必ずしも整数でなく、実数である。
上記式中のn の値は通常市販のヘテロポリ酸類では25か
ら30程度である。更に、水分の吸着等によりこれ以上の
値となり得る。これらの有している結晶水は加熱等の脱
水処理により、容易にnの値を0 とすることも可能であ
る。加えて、これら脱水されたヘテロポリ酸は水分を吸
着させること等の方法により、再度nの値を容易に増加
させることも出来る。
【0012】本発明に使用される触媒としてのヘテロポ
リ酸が含有する結晶水を該ヘテロポリ酸1分子当たり平
均3.0分子以下とする方法について述べる。通常、入
手し易いヘテロポリ酸は前記したようにヘテロポリ酸1
分子当たり数10分子の結晶水を含有している。これら
のヘテロポリ酸と酢酸パラジウム等のパラジウム化合物
から本発明に使用するプロトンの一部をパラジウムカチ
オンで置換したヘテロポリ酸を調製する場合、一般的に
は4〜30分子の結晶水を該ヘテロポリ酸1分子当たり
保有する。これらのヘテロポリ酸の結晶水をヘテロポリ
酸1分子あたり平均3.0分子以下とする方法は、本発
明方法においては特に限定されることはないが、実施し
易い方法として加熱脱水操作が挙げられる。
【0013】加熱脱水操作としては、例えば通常の電気
炉(マッフル炉)中での加熱等が推奨される。無論、本
発明方法においてはこの装置及び方法のみに限定されな
い。又、加熱温度としては特に限定されることはなく、
結晶水が該ヘテロポリ酸1分子当たり平均3.0分子以
下になるならば、いかなる温度で実施しても差し支えは
ないが、より効果的に実施するには80℃以上500℃
以下の温度で実施することが好ましく、更に好ましくは
200℃以上450℃以下で実施することが推奨され
る。低温度では脱水しがたく、550℃以上ではヘテロ
ポリ酸無水物となる恐れがある。この際に、必要とする
加熱時間に関しても特に限定されることは無く、結晶水
量が上記範囲となるならば差し支えは無いが、10分か
ら24時間の範囲である。例えば、通常の電気炉を使用
し、300℃前後で脱水操作を行えば、3時間程度で充
分上記結晶水量の範囲に到達する。
【0014】加熱脱水温度で該ヘテロポリ酸に対して不
活性な気体の流通条件下に、加熱脱水操作を行うことに
より、該ヘテロポリ酸1分子当たり平均3.0分子以下
に調整したヘテロポリ酸を触媒として用いると、その触
媒活性は更に向上する。この操作は、極めて有効な触媒
を提供可能とならしめる。ここにおいて、加熱脱水操作
の際に流通させる気体は、その加熱温度において、ヘテ
ロポリ酸に対して不活性であるものであれば、いかなる
気体を流通させても差し支えない。又、常温で液体もし
くは固体であっても加熱温度において気体であり、且つ
該ヘテロポリ酸に対して不活性であれば使用することも
可能である。具体的には、空気、アルゴン、窒素、ヘリ
ウム、水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げ
られるが、無論これらの気体のみに本発明方法は限定さ
れない。更に、不活性な気体の流通速度は、特に限定さ
れないが、加熱温度での気体体積換算で装置内空間速度
として、0.2〜20vol/Hr*volの範囲が好
ましい。
【0015】本発明方法における触媒はタングステンの
酸化物を主体とするヘテロポリ酸の保有するプロトンの
一部をパラジウムカチオンで置換したものである。この
時、本発明方法においてはパラジウムでの置換率は、置
換前にヘテロポリ酸か保有しているプロトンをベースと
して、1〜99%のプロトンをパラジウムカチオンに置
換したヘテロポリ酸を触媒として使用することが好まし
い。更に好ましくは、全プロトンの10〜90%をパラ
ジウムカチオンで置換したものである。本発明方法にお
けるカルボン酸とエチレンの反応は液相−気相もしくは
固相−気相の不均一系として実施される。本発明方法は
又、常圧、減圧、加圧の何れの条件においても実施する
ことが可能である。通常加圧状態で気−液混相反応とな
る。又、反応方式として特に限定するものではないが、
連続方式でもバッチ方式でもセミバッチ方式でも実施す
ることが出来る。
【0016】本発明方法を実施するにあたり、触媒及び
反応試剤(原料及び生成物)に対して不活性な溶媒もし
くは添加剤を添加することも出来る。具体的には、n−
ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等である脂肪族
飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼ
ン、キシレン、アニソール、キュメン、ニトロベンゼン
等の芳香族炭化水素類、シクロペンタン、アルキル置換
シクロペンタン類、アルコキシ置換シクロペンタン類、
ニトロ置換シクロペンタン類、シクロヘキサン、アルキ
ル置換シクロヘキサン類、アルコキシ置換シクロヘキサ
ン類、ニト置換シクロヘキサン類、シクロヘプタン、ア
ルキル置換シクロヘプタン類、アルコキシ置換シクロヘ
プタン類、ニトロ置換シクロヘプタン類、シクロオクタ
ン、アルキル置換シクロオクタン類、アルコキシ置換シ
クロオクタン類、ニトロ置換シクロオクタン類等の脂環
式飽和炭化水素類等や、窒素、アルゴン、空気、ヘリウ
ム等を溶媒もしくは希釈剤として使用することも可能で
ある。
【0017】本発明方法において反応を実施する際に仕
込むカルボン酸及びエチレンの量的関係は特に限定はさ
れない。カルボン酸/エチレン量比は0.1〜100
(モル比)の範囲である。例えば、カルボン酸の高い転
化率を達成しようとすれば、カルボン酸に対するエチレ
ンのモル比を1以上で行うことが望ましく、又、エチレ
ンの高い転化率を達成しようとすれば、エチレンに対す
るカルボン酸のモル比を1以上で行うことが望ましい。
又、本発明方法を実施するにあたり、添加する触媒量は
特に限定されることはないが、例えばバッチ式反応で行
う際には、仕込みの酢酸に対してその重量%で0.1か
ら100重量%、好ましくは1から50重量%で使用す
ることが推奨される。これ以下の量では反応の進行は遅
くなり、これ以上の量では反応は充分進行するが経済的
な観点等から好ましいとは言い難い。しかしながら、本
発明方法においてはこの範囲外で実施することも可能で
あることは言うまでもない。
【0018】本発明方法を実施するに際し、触媒及び反
応試剤の仕込み方法は特に限定はされなく、触媒、カル
ボン酸及びシクロヘキセン等を同時に仕込んでも差し支
えなく、又、触媒を他の溶媒等に溶解もしくは懸濁させ
て仕込んでも差し支えない。本発明方法においてその実
施する反応温度は特に限定されることはなく、広範な温
度範囲で実施することが可能であるが、好ましくは30
℃以上400℃以下の範囲で、更に好ましくは70℃以
上200℃以下で実施することが推奨される。余りに低
温で実施すれば反応速度が低下し、余りに高温で実施す
ればエチレン等の反応試剤などの熱安定性の低下をもた
らし経済的でない。反応時間は、触媒量もしくは反応温
度に依存するが、触媒量を多量且つ高温度にすれば極め
て短時間(0.1秒以下程度)、触媒量を少量且つ低温
度にすれば長時間(24時間程度)である。反応終了
後、目的生成物は通常の蒸留操作等の分離操作によって
取得することが出来る。
【0019】本発明方法を実施する為の具体的な態様に
ついて述べる。本発明方法における実施方法に関しては
特に限定はされないが、実施し易い方法として以下の方
法が挙げられる。勿論、これらの方法のみに本発明方法
は限定されるものではない。 (1)オートクレーブ中に所定量の触媒、酢酸及びエチ
レンを必要ならば窒素又はアルゴン等の媒体と共に入れ
た後、加熱攪拌反応を行う方法。 (2)予め所定温度、所定圧力に保たれた反応器中に所
定量の触媒、エチレン及び酢酸を必要であるならば溶媒
等の希釈剤と共に連続的に導入し反応を行う方法。
【0020】
【実施例】以下、本発明方法を実施例により更に具体的
に説明する。 (1)反応生成物の定量 反応生成物は、所定時間、所定温度で反応を行った後、
室温にまで冷却し、反応液をガスクロマトグラフ法によ
り定量を行った。尚、実施例中のエーテル類の収率は総
て、仕込みのカルボン酸をベースとして算出した。 (2)ヘテロポリ酸の有するプロトンの一部をパラジウ
ムカチオンで置換する方法。市販のヘテロポリ酸(ドデ
カタングストケイ酸、ドデカタングストリン酸)を水に
溶解しこれに所定量の酢酸パラジウム水溶液を添加し攪
拌して置換させた。 (3)パラジウムカチオン置換量の算出 仕込んだヘテロポリ酸のモル数=mにこのヘテロポリ酸
1モルが保有するプロトン量=f(例えばドデカモリブ
ドリン酸の場合には3)とし、さらに仕込んだ酢酸パラ
ジウムのモル数kとした場合このヘテロポリ酸のパラジ
ウムカチオン置換率L(%)は以下の式で算出される。 L=100(2k)/(fm) (4)触媒中に含有する結晶水の定量 タングステンの酸化物を主体とするヘテロポリ酸の一部
をパラジウムカチオンで置換したヘテロポリ酸中に含有
される結晶水の量は置換操作に使用したヘテロポリ酸を
500℃で加熱脱水し、その重量が一定となりそれ以上
減少しなくなったものを結晶水の量が0言い換えれば無
水状態の市販のヘテロポリ酸とし、これをベースに置換
操作に仕込むヘテロポリ酸の結晶水量を決定し、その後
置換操作等はこれを基に重量換算で算出した。 (5)触媒の脱結晶水方法 a.通常のマッフル炉(内容積8リットル)中、350
℃、所定時間加熱脱水を行い結晶水量を調整した。 b.上記bの方法において流通気体をアルゴンに代えた
以外は総て同一操作により加熱脱水を行い結晶水量を0
とした。
【0021】実施例1 200mlの磁気攪拌装置付オートクレーブ中に脱水法
aにより保有する結晶水量を0としたドデカタングスト
リン酸の保有するプロトン(1モル当たり3原子)を3
0%分パラジウムカチオンで置換した触媒3.0g、市
販の酢酸(国産化学社製、特級)60.4g(1モル)
及び市販のエチレン(99.5%)高千穂商事社製
(0.68モル)を仕込み140℃、5時間加熱に加圧
した後、室温に冷却後、ガスを放圧し、常圧にもどした
後、反応液を取り出し、定量した。この結果、反応液中
には酢酸sec-ブチルが収率43.5%で生成していた。
この時酢酸エチルは全く生成しなかった。
【0022】比較例1 脱水したドデカタングストリン酸に触媒を代えた以外は
総て実施例1と同一の反応条件で反応を行った。結果は
酢酸ブチルエステルの生成は全く確認されず、酢酸エチ
ルのみ生成した。
【0023】比較例2 触媒を添加しなかった以外はすべて実施例1と同一の条
件で反応を行った。結果は、原料を回収したのみであ
り、反応生成物は確認されなかった。
【0024】実施例2 実施例1において反応時間を3時間とした以外は総て実
施例1と同一の条件で反応をを行った。結果は酢酸sec-
ブチルが収率31.7%で生成した。
【0025】実施例3 反応時間を1時間とした以外は総て実施例1と同一の条
件で反応を行った。この結果、酢酸sec-ブチルは収率1
4.3%で生成した。この結果から極めて短時間でも、
酢酸ブチルは収率良く生成することが分かる。
【0026】実施例4 触媒を脱水法aにより保有する結晶水を0としたドデカ
タングストケイ酸の保有するプロトンの30%をパラジ
ウムカチオンの置換したものに代えた以外は総て触媒使
用重量等、その他の条件を実施例3と同一として反応を
行った。この結果、酢酸sec-ブチルが17.5%の収率
で生成した。
【0027】実施例5〜7 触媒をそれぞれ、脱水法aにより結晶水をドデカタング
ストケイ酸の保有するプロトンの30%をパラジウムカ
チオンで置換したヘテロポリ酸でかつヘテロポリ酸1分
子あたりそれぞれ0.4、1.7、2.9、7.8及び
17.2分子の結晶水を含有するものとしたものとした
以外は、触媒使用量等その他の条件は総て実施例1と同
一の条件で反応を行った。結果は表1に示したように、
それぞれ酢酸sec-ブチルが生成した。
【0028】
【表1】 表1 ─────────────────────────────────── 触媒1分子あたりの 酢酸sec-ブチルの収率 結晶水量(分子) 収率(%) ─────────────────────────────────── 実施例5 0.4 44.9 実施例6 1.7 45.1 実施例7 2.9 38.1 実施例8 7.8 15.3 実施例9 17.2 16.8 ───────────────────────────────────
【0029】実施例10 触媒量を1.0gとし、反応温度を190℃とした以外
は総て実施例3と同一の条件で反応を行った。この結
果、酢酸sec-ブチルは40.7%の収率で得られた。 実施例11〜12 反応温度をそれぞれ100℃、120℃に代えた以外は
総て実施例1と同一の条件で反応を行った。結果は表2
に示した如く反応温度を低下させても酢酸sec-ブチルは
良い収率で生成した。
【0030】
【表2】 表2 ────────────────────────────────── 反応温度(℃) 酢酸sec-ブチル収率 % ────────────────────────────────── 実施例11 100 21.5 実施例12 120 33.4 ───────────────────────────────────
【0031】実施例13 仕込みの酢酸を90.0gとした以外は総て実施例1と
同一の条件で反応を行った。この結果、酢酸sec-ブチル
は31.6%の収率で生成した。
【0032】実施例14〜17 実施例3において、パラジウムカチオンによるプロトン
の置換率をそれぞれ、10.0、20.0、50.0及
び80.0%とした、結晶水を保有しない部分パラジウ
ム置換ドデカタングストリン酸を使用した以外は、触媒
使用量等その他の条件は総て実施例3と同一の条件で反
応を行った。この結果、酢酸sec-ブチルは表3に示した
如く、良い収率で生成した。
【0033】
【表3】 表3 ─────────────────────────────────── プロトンのPdカチオンによ 酢酸sec-ブチル る置換率(%) 収率(%) ─────────────────────────────────── 実施例14 10.0 8.9 実施例15 20.0 12.4 実施例16 50.0 13.5 実施例17 80.0 6.2 ───────────────────────────────────
【0034】実施例18 触媒の脱水方法をbに代えた以外は総て実施例1と同一
の条件で反応を行った。この結果、酢酸sec-ブチルは収
率46.7%で生成した。
【0035】実施例19〜22 カルボン酸をそれぞれプロピオン酸、酪酸、蟻酸及びジ
クロロ酢酸(1モル)に代えた以外は総て実施例4と同
一の条件で反応を行った。結果は表4に示したように、
それぞれ収率よくカルボン酸sec-ブチルエステルが生成
した。
【0036】
【表4】 表4 ─────────────────────────────────── カルボン酸 カルボン酸sec-ブチル 収率( % ) ─────────────────────────────────── 実施例19 プロピオン酸 15.8 実施例20 酪酸 14.2 実施例21 蟻酸 17.9 実施例22 ジクロロ酢酸 21.3 ───────────────────────────────────
【0037】
【発明の効果】本発明方法によれば、タングステンの酸
化物を主体とするヘテロポリ酸が保有するプロトンの一
部をパラジウムカチオンで置換したヘテロポリ酸を触媒
として用いることで、エチレンとカルボン酸から驚くべ
きことに、一段でカルボン酸ブチルエステルを製造出来
る。ここにおいて、該触媒の保有する結晶水量を触媒で
あるヘテロポリ酸1分子当たり平均3.0分子以下に調
整することで、本発明方法における触媒はその活性が極
めて向上する。更に該ヘテロポリ酸の脱水方法として、
空気、アルゴン等の該ヘテロポリ酸に対して不活性な気
体の流通下に該ヘテロポリ酸の有する結晶水量を該ヘテ
ロポリ酸1分子あたり平均3.0分子以下に調整するこ
とで更に高い触媒活性を発現することも見出され、極め
て温和且つ短時間で高選択率且つ高転化率でカルボン酸
ブチルエステル類が得られ、加えて、高温状態において
も安定且つ効果的に本発明方法を遂行することが可能と
なった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 69/14 C07B 61/00 300 // C07B 61/00 300 B01J 23/64 103X (56)参考文献 特開 昭54−52025(JP,A) 特開 昭64−71828(JP,A) 特公 昭50−34002(JP,B1) 特公 昭47−42808(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/04 B01J 23/30 B01J 23/64 B01J 27/188 C07C 69/003 C07C 69/02 C07C 69/14 C07B 61/00 300

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステンの酸化物を主体とするヘテ
    ロポリ酸の保有するプロトンの一部をパラジウム陽イオ
    ンで置換したヘテロポリ酸であって、該ヘテロポリ酸の
    有する結晶水の量が該ヘテロポリ酸1分子当たり平均
    3.0分子以下に調整されたヘテロポリ酸の存在下に、
    カルボン酸及びエチレンを反応させることを特徴とする
    カルボン酸ブチルエステル類の製造方法。
  2. 【請求項2】 タングステンの酸化物を主体とするヘテ
    ロポリ酸が一般式;(M1)a(M2)b(W)c(O)d(H)e(但しM
    1 、M2 は金属元素を表し、W はタングステン原子を表
    し、O は酸素原子を表し、H は水素原子を表す。更にa
    は1又は2の整数であり、bは0,1又は2の整数であ
    り、cは20以下の正の整数であり、dは100以下の正
    の整数であり、eは10以下の正の整数である。)で表
    されるヘテロポリ酸である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 M1 が元素記号でP、Si、Co、Mn、Ni、A
    s、Ti、Fe、VおよびBのいずれかで表される元素であり
    M2 が元素記号でVで表される元素である請求項2記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 プロトンの一部をパラジウム陽イオンで
    置換したヘテロポリ酸を150℃から500℃の温度範
    囲で加熱処理することにより、含有する結晶水の量が該
    ヘテロポリ酸1分子当たり平均3.0分子以下に調整
    れたヘテロポリ酸を用いる請求項1〜3のいずれかに記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 ヘテロポリ酸が該ヘテロポリ酸に対し
    て不活性な気体の流通下に加熱脱水されたものである
    求項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 タングステンの酸化物を主体とするヘテ
    ロポリ酸がタングストリン酸、タングストケイ酸、
    これらの混合物である請求項1〜5のいずれかに記載
    の方法。
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