JP3125488U - 超音波チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】偽膜性口腔カンジダ症の患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒し、再発を少なくすることのできる超音波チップを提供する。
【解決手段】
歯科用超音波スケーラ装置のハンドピースの先端にねじ込み装着される超音波チップであって、前記ハンドピースの先端に着脱および固定が自在である基底部と、前記基底部から先曲がりに延設され湾曲した外側に凸面を形成して投影面が紡錘形または楕円形の先端部と、により構成されたことを特徴とする超音波チップ。
【選択図】図1

Description

本考案は、歯科用超音波スケーラ装置におけるハンドピースの先端に装着される超音波チップに関し、特に、偽膜性口腔カンジダ症における偽膜除去用に特化した超音波チップに関するものである。
歯科用超音波スケーラ装置は、術者がハンドピースを手に持ち、歯科治療において、主に歯石除去をはじめ、イリゲーション(洗浄)、スケーリング(歯垢除去)、ファイリング(根管拡大)等を施術する際に用いられる医療機器である。この歯科用超音波ハンドピースは、ネジ連結機構により、チップの着脱が簡単、かつ短時間で済み、術者の作業を容易にし、歯科治療をよりスムーズに行えるようにするものが知られている(特許文献1)。
一方、偽膜性口腔カンジダ症の偽膜を疼痛少なく効率良く完全に除去して治癒させる方法がなく、その方法の開発が全世界的に求められていた。この背景として、以下の事情があった。
まず、口腔カンジダ症は、健康な生体も含めて全てのヒトの口腔内に常に存在する真菌の一種であるカンジダ菌が、生体の免疫機能の低下により異常増殖することを原因とする疾患である。
口腔カンジダ症は、主にエイズ患者、癌患者、および抵抗力の弱い高齢者等が、全身の免疫機能を低下し、カンジダ菌が粘膜上で広範囲に異常増殖して疾患する。その口腔カンジダ症が慢性に経過した時に偽膜性口腔カンジダ症となり、口腔内の粘膜にカンジダ菌の固まりである白く厚い偽膜を形成する。
この偽膜は粘膜に強固に癒着しているので、それを除去する治療を施術する際、疼痛を伴うので除去治療が困難である。また、疼痛の問題とは別に、ガーゼ等を用いて無理に偽膜を除去すると粘膜まで同時に剥離され、びらんや潰瘍を生じる。さらに、除去したつもりでも除去が不完全であれば、除去後2〜3日で除去前と同様に偽膜が増殖する。
そして、この偽膜性口腔カンジダ症は治癒しない限り、口腔粘膜全体の疼痛により、開口も困難で食事すらできなくなることがあった。このような偽膜性口腔カンジダ症は、エイズ患者、癌患者、および高齢者の増加に伴って、その疾患者も急増し、有効な治療法の確立が全世界的に求められていた。
なお、ネジ連結機構及び該機構を用いた歯科用超音波ハンドピースに関連する公知文献として、下記の文献がある。
特開平10−61642号公報([0007〜0008]、図3)
しかしながら、偽膜性口腔カンジダ症の歯科治療における偽膜を除去するための方法はなく、さらにそれに特化した超音波チップもなかった。そこで、本考案は、前記実情に鑑みてなされたものである。
すなわち、抗真菌薬ならびに口腔清掃等、従来の治療方法では治癒できなかった偽膜性口腔カンジダ症の患者に用いて効果的であり、その患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒させ再発を少なくすることのできる超音波チップ、詳しくは、既に普及している歯科用超音波スケーラ装置のハンドピースに装着して簡便に利用可能な超音波チップを提供すること、さらに、コスト性、加工性、耐久性、特に化学的安定性が良好であり、錆びずに清潔かつ長寿命であることを課題とする。
請求項1に係る考案は、歯科用超音波スケーラ装置のハンドピース(1)の先端(2)にねじ込み装着される超音波チップ(10)であって、前記ハンドピースの先端(2)に着脱および固定が自在である基底部(11)と、前記基底部(11)から先曲がり状に延設され湾曲した外側に凸面(12)を形成し投影面(13)が紡錘形または楕円形の先端部(14)と、により構成されたことを特徴とする超音波チップ(10)
である。
請求項1に係る考案によれば、歯科用超音波スケーラ装置のハンドピース(1)の先端(2)に、ねじ込み装着される超音波チップ(10)は、その基底部(11)で着脱および固定が自在であるので、歯石除去用として普及している既存の歯科用超音波スケーラ装置を簡便に兼用利用できる。
そのハンドピース(1)の先端(2)に基底部(11)をねじ込み装着した超音波チップ(11)は、基底部(11)から先曲がりに延設され湾曲した外側に凸面を形成して投影面(13)が紡錘形または楕円形の先端部により構成されている。
投影面が紡錘形または楕円形の先端部は湾曲した外側に凸面(12)を形成しているので、抗真菌薬、ならびに口腔清掃等、従来の治療方法では治癒できなかった偽膜性口腔カンジダ症の患者に用いて効果的であり、その患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒させ再発を少なくすることができる。
請求項2に係る考案は、請求項1に記載の考案に加えて、前記先端部(14)はヒトの歯間または歯の生え際を支持するように形成されている歯茎に接触することが可能な尖鋭形状であることを特徴とする超音波チップ(10)である。これによれば、ヒトの歯間または歯の生え際(根元)付近に形成されている歯茎を接触して治療できる。
請求項3に係る考案は、請求項1または請求項2に記載の考案に加えて、前記凸面(12)には微細な凹凸を残すように表面処理されていることを特徴とする超音波チップ(10)である。これによれば、微細な凹凸を残して「やすり」面のように表面処理され、外側に湾曲した凸面(12)は、患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒し、再発を少なくする効果を強く発揮できる。
請求項4に係る考案は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の考案に加えて、材料の主成分にステンレス鋼を用いたことを特徴とする超音波チップ(10)である。これによれば、ステンレス鋼の特性上、コスト性、加工性、耐久性、特に化学的安定性が良好であり、錆びないので清潔かつ長寿命である。
本考案に係る超音波チップによれば、既に普及している歯科用超音波スケーラ装置のハンドピースに装着して簡便に利用可能であり、抗真菌薬ならびに口腔清掃等、従来の治療方法では治癒できなかった偽膜性口腔カンジダ症の患者に用いて効果的である。
すなわち、粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒し再発を少なくすることが可能である。また、ヒトの歯間または歯の生え際(根元)付近を支持するように形成されている歯茎に、直に接触して治療できる。そして、主な材料がステンレス鋼であれば、錆びないので清潔で長寿命である。
本考案が適用される歯科用超音波スケーラ装置(不図示)は、コントローラ本体、フットコントローラ、超音波ハンドピース(以下、単に「ハンドピース」と略す)がケーブル接続されて構成されるものであり、主に歯石除去治療用として広く普及している。また、ハンドピースの先端部には金属製の超音波チップが着脱自在に装着されている。
以下、考案を実施形態に係る超音波チップを図に沿って説明する。図1は本実施形態に係る超音波チップをハンドピースに装着した状態の外観図である。
ここで、ハンドピース1の先端に、ねじ込み装着される金属製の超音波チップ10は、その基底部で着脱および固定が自在であるので、歯石除去用として普及している既存の歯科用超音波スケーラ装置を簡便に兼用利用できる。
術者は、ハンドピース1を把持して患者に臨み、その患部に超音波チップ10を接触させ、フットコントローラの足踏み操作により、コントローラ本体を起動し、ハンドピース1に超音波を伝達し、患部に作用させる。その際、患部の位置、症状、およびその治療目的に応じて、患部と超音波チップ10の接触を最良な状態に保ち、かつ超音波が患部に効果的に作用するような工夫が凝らされている。
図2は本実施形態に係る超音波チップの拡大側面図である。図3は図2に示した超音波チップの拡大正面図である。図4は図2に示した超音波チップの拡大背面図である。なお、超音波チップ10はスプーンを細小化した形状であるが、ここでは、スプーンの背中に該当する凸面12を正面、スプーンの腹に該当する凹面を背面と称し、一般的なスプーンの部分呼称とは逆である。超音波チップ10は凸面12を患部に接触させて用いるからである。
図2に示す超音波チップ10は、ハンドピース1の先端に基底部11をねじ込み装着し、その基底部11から先曲がりに延設され湾曲した外側に凸面12を形成して投影面13が紡錘形または楕円形の先端部14により構成されている。いわば、スプーンを細小化し、茶道に用いる茶杓の先を一回り小さく、耳掻きを少し大きくした形状である。
図3〜図4に示したように超音波チップ10の投影面13が紡錘形または楕円形の先端部14は湾曲した外側に凸面12を形成しているので、抗真菌薬、ならびに口腔清掃等、従来の治療方法では治癒できなかった偽膜性口腔カンジダ症の患者に用いて効果的であり、その患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒させ再発を少なくすることができる。
また、超音波チップ10の先端部14はヒトの歯間または歯の生え際(根元)付近を支持するように形成されている歯茎に接触することが可能な尖鋭形状である。これによれば、細かく入り込んだヒトの歯間または歯の生え際に近い歯茎を接触して治療できる。本実施形態に係る超音波チップ10の紡錘形または楕円形の先端部14の寸法は、長さ6〜10mm,幅4〜5mm,厚さ1mm前後で最良の結果を得ているが、適宜に変更しても構わない。
そして、凸面12には微細な凹凸を残して「やすり」面のように表面処理され、外側に湾曲した凸面12は、患者の粘膜に強固に癒着した偽膜を、疼痛少なく効率よく完全に除去して治癒し再発を少なくする効果が強く発揮できる。
なお、超音波チップ10は材料の主成分にステンレス鋼を用いている。これによれば、ステンレス鋼の特性上、コスト性、加工性、耐久性、特に化学的安定性が良好であり、錆びないので清潔かつ長寿命である。ただし、材料技術の進歩等により、ステンレス鋼以外の好適な金属材料、あるいは金属材料に限定することなく、超音波を伝達する作用に優れた材料があればそれを用いても構わない。
本実施形態に係る超音波チップをハンドピースに装着した状態の外観図である。 本実施形態に係る超音波チップの拡大側面図である。 図2に示した超音波チップの拡大正面図である。 図2に示した超音波チップの拡大背面図である。
符号の説明
1 ハンドピース
2 (ハンドピース)の先端
10 超音波チップ
11 基底部
12 凸面
13 投影面
14 先端部

Claims (4)

  1. 歯科用超音波スケーラ装置のハンドピース(1)の先端(2)にねじ込み装着される超音波チップ(10)であって、
    前記ハンドピースの先端(2)に着脱および固定が自在である基底部(11)と、
    前記基底部(11)から先曲がり状に延設され湾曲した外側に凸面(12)を形成し投影面(13)が紡錘形または楕円形の先端部(14)と、により構成されたことを特徴とする超音波チップ(10)。
  2. 前記先端部(14)はヒトの歯間または歯の生え際を支持するように形成されている歯茎に接触することが可能な尖鋭形状であることを特徴とする請求項1に記載の超音波チップ(10)。
  3. 前記凸面(12)には微細な凹凸を残すように表面処理されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波チップ(10)。
  4. 材料の主成分にステンレス鋼を用いたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の超音波チップ(10)。
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