JP3124247B2 - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置

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JP3124247B2
JP3124247B2 JP09170841A JP17084197A JP3124247B2 JP 3124247 B2 JP3124247 B2 JP 3124247B2 JP 09170841 A JP09170841 A JP 09170841A JP 17084197 A JP17084197 A JP 17084197A JP 3124247 B2 JP3124247 B2 JP 3124247B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波ドプラ診断装
置、特に、ドプラ信号をオーディオ出力可能な超音波ド
プラ診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波ドプラ診断装置は、生体内運動体
(例えば、血流、心臓壁)の速度情報を計測する装置で
あり、計測方法としては、連続波ドプラ法やパルスドプ
ラ法が知られている。超音波ドプラ診断装置において、
超音波が生体内に送波されると、生体内の運動体にて反
射された反射波が受波され、受信信号が得られる。その
受信信号に対し検波などの処理が行われ、これにより得
られたドプラ信号(時間軸上のドプラ信号)に対してF
FTなどの周波数解析演算が行われ、例えばパワースペ
クラム表示としてドプラ情報が表示される。なお、パワ
ースペクトラムは縦軸をドプラシフト周波数(血流速
度)とし、横軸を時間軸とし、輝度を各速度のパワーと
した画像である。
【0003】超音波ドプラ診断装置には、一般に、ドプ
ラ音を発生させる機能が備わっている。これはドプラ信
号をスピーカーに与えて可聴音(ドプラ音)として出力
するものであり、操作者はそのドプラ音の周波数や強度
により、聴覚的に、血流の運動情報を認識できる。
【0004】このようなドプラ音の発生は、例えば、超
音波の送受波により得られた受信信号を送信周波数で復
調し、その復調信号をそのままスピーカーに出力するこ
とにより行うことも可能である。しかし、そのような方
式では、血流が順方向に流れているか、あるいは逆方向
に流れているかを音として区別することができない。そ
こで、例えば、復調に際して直交検波を用い、それによ
る複素のドプラ信号を複素フィルタに通すことで順方向
と逆方向の信号成分の分離を行い、それらの2つの信号
を2つのスピーカーに出力することが行われている。
【0005】図8は、時間領域において、順方向成分と
逆方向成分を分離するためのオーディオ処理の構成例を
示す。時間軸上の複素ドプラ信号の実部(I)はヒルベ
ルト変換器100へ、虚部(Q)は固定遅延器102へ
入力される。ヒルベルト変換器100は、FIRフィル
タであり、順流においては同相、逆流においては逆相の
成分を取り出す。すなわち、ヒルベルト変換器100
は、理想的には図9の特性をもち、I信号中の順方向成
分はそのままに、逆方向成分の正負を逆転させる。一
方、固定遅延器102は、ヒルベルト変換器100での
遅延量π/2+M/2(Mはヒルベルト変換器100の
タップ数)を相殺するためのフィルタである。ヒルベル
ト変換器100と固定遅延器102の出力の和を加算器
104で求めることにより、ドプラ信号の順方向信号が
得られる。また、両出力の差を加算器106で求めるこ
とにより、逆方向信号が得られる。順方向信号および逆
方向信号は、別々のスピーカーより可聴音となって出力
される。
【0006】しかし、上記の時間領域の処理では、FI
Rフィルタからなるヒルベルト変換器100が図9に示
すような理想的な周波数特性を実現することはできず、
そのため、順方向成分と逆方向成分を高精度に分離する
ことはできない。そこで、周波数領域にて上記の処理を
行うことが提案されている。
【0007】図10は、周波数領域において、順方向成
分と逆方向成分を分離するための処理を示す構成例であ
る。時間軸上のドプラ信号(I、Q)は、FFT部11
0にて、周波数軸上のドプラ信号に変換される。ここで
は、離散フーリエ変換の信号ブロックを一定量ずつオー
バーラップさせながら次々とフーリエ変換を行うFFT
(Fast Fourier Transform)畳み込み法が用いられる。F
FT処理後の信号は、前述の図9の特性をもったヒルベ
ルト変換器112に入力される。ここでは、周波数領域
で処理しているので、図9の周波数特性が理想に近い状
態で実現される。
【0008】ヒルベルト変換器112を通った信号とF
FT部110の出力信号とから、下記のように順方向信
号と逆方向信号が求められる。すなわち、ヒルベルト変
換器112の出力とFFT部110の出力に対して、そ
れぞれ、IFFT部114、116で逆フーリエ変換が
行われる。IFFT部114での逆変換後の実部と、I
FFT部116での逆変換後の虚部との和と差が、加算
器118、120で求められる。加算器118の出力
(和)が順方向信号、加算器120の出力(差)が逆方
向信号である。
【0009】このように周波数領域で処理することによ
り、時間領域での処理と比べて効率的に順逆方向成分の
分離が行われる。周波数領域では、ヒルベルト変換器が
図9の周波数特性を理想に近い状態で実現できるからで
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10
に示した構成では、2回の逆フーリエ変換が必要であ
り、全体として3回のフーリエ変換(逆フーリエ変換を
含む)が必要である。何度もフーリエ変換を行うことは
演算量と解析レートの増加を招き、演算量の増加ととも
に処理時間も増加してしまう。処理時間が長いと、超音
波送受信のパルス繰り返し周波数(PRF)の上限が制
限されてしまうという弊害もある。
【0011】特に図10の構成では、IFFT部114
の出力信号の虚部と、IFFT部116の出力信号の実
部は不必要な成分であって捨てられる。逆フーリエ変換
には長い処理時間がかかり、しかも、逆フーリエ変換結
果の半分が不必要な成分であることが、信号処理の効率
を下げ、演算量や処理時間の増加を招いている。
【0012】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、ドプラ信号の順逆成分分離を
簡易な構成で精度よく行え、演算量および処理時間の削
減、処理効率の向上を図ることができる超音波ドプラ診
断装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、時間軸上のドプラ信号をフーリエ変換し
て周波数軸上のドプラ信号に変換する変換手段と、前記
周波数軸上のドプラ信号を、順方向成分と逆方向成分と
に分離抽出する分離抽出手段と、前記順方向成分と前記
逆方向成分に逆変換前波形処理を施す波形処理手段と、
逆変換前波形処理が施された順方向移動成分および逆方
向移動成分を一括して逆フーリエ変換し、逆変換後実数
成分および逆変換後虚数成分を含む時間軸上のドプラ信
号に戻す逆変換手段と、逆フーリエ変換後のドプラ信号
の逆変換後実数成分と逆変換後虚数成分を、それぞれ順
方向成分または逆方向成分の可聴音に変換するドプラ音
発生手段とを含む。前記波形処理手段は、逆変換前波形
処理として、逆フーリエ変換の性質に基づき、前記順方
向成分が逆フーリエ変換されたときに逆変換後実数成分
と逆変換後虚数成分のどちらか一方に変換され、前記逆
方向成分が両逆変換後成分の他方へ変換されるように波
形処理を施す。
【0014】本発明によれば、フーリエ変換後の周波数
軸上のドプラ信号が、順方向成分と逆方向成分に分離さ
れる。ここでは、適宜、フィルタ処理などを行えばよ
い。分離後の順方向成分と逆方向成分には、それぞれ
に、実数成分と虚数成分が含まれている。
【0015】ところで、逆フーリエ変換には、次のよう
な性質がある。実部を偶関数、虚部を奇関数とする信号
を逆フーリエ変換すると、変換結果は実関数(実部の
み、虚部は零)となる。実部を奇関数、虚部を偶関数と
する信号を逆フーリエ変換すると、変換結果は純虚数関
数(実部は零、虚部のみ)となる。この性質を元に図1
のようなことがいえる。すなわち、 (A)虚数成分を零とし、偶関数波形を有する実数成分
を逆フーリエ変換すると、逆フーリエ変換後の信号は実
部のみとなり、虚部は零になる; (B)実数成分を零とし、奇関数波形を有する虚数成分
を逆フーリエ変換すると、逆フーリエ変換後の信号は実
部のみとなり、虚部は零になる; (C)実数成分を零とし、偶関数波形を有する虚数成分
を逆フーリエ変換すると、逆フーリエ変換後の信号は虚
部のみとなり、実部は零になる; (D)虚数成分を零とし、奇関数波形を有する実数成分
を逆フーリエ変換すると、逆フーリエ変換後の信号は虚
部のみとなり、実部は零になる。
【0016】本発明の波形処理手段は、逆変換前波形処
理として、上記の逆フーリエ変換の性質を利用して、順
方向成分が逆フーリエ変換されたときに逆変換後実数成
分と逆変換後虚数成分のどちらか一方に変換され、逆方
向成分が両逆変換後成分の他方へ変換されるように波形
処理を施す。
【0017】例えば、逆フーリエ変換前の順方向成分中
の実数成分を上記(A)タイプの実数成分、虚数成分を
(B)タイプの虚数成分の波形にするとともに、逆方向
成分中の実数成分を(C)タイプの虚数成分、虚数成分
を(D)タイプの実数成分の波形にする。これにより、
順方向成分は逆フーリエ変換されたときに逆変換後実数
成分のみに現れ、逆方向成分は逆フーリエ変換されたと
きに逆変換後虚数成分のみに現れる。なお、図1から分
かるように、逆方向成分については、実数成分を虚数成
分に変え(虚数化)、また虚数成分を実数成分に変える
(実数化)必要がある。この虚数化、実数化では、対象
となる信号を虚数として、あるいは実数として扱えばよ
い。
【0018】もちろん、図1の性質に従うかぎり、他の
どのような逆変換前波形処理が行われてもよい。例え
ば、順方向成分には図1(A)の実数成分、(B)の虚
数成分を適用し(実部に(A)(B)のどちらか一方を
適用、虚部は他方を適用、以下同様)、逆方向成分には
(C)の虚数成分、(D)の実数成分を適用する。ある
いは、順方向成分には(C)の虚数成分、(D)の実数
成分を適用し、逆方向成分には(A)の実数成分、
(B)の虚数成分を適用する。
【0019】逆変換前波形処理が施された順方向成分と
逆方向成分は一括して逆フーリエ変換される。逆フーリ
エ変換により、周波数軸上のドプラ信号が時間軸上のド
プラ信号に戻される。逆フーリエ変換後の実数成分と虚
数成分を別々に可聴音に変換すれば、一方が順方向のド
プラ音、他方が逆方向のドプラ音となる。
【0020】このように、本発明によれば、逆フーリエ
変換の特性を利用した逆変換前波形処理を行うことによ
り、従来よりも少ない回数の逆フーリエ変換にて、ドプ
ラ信号の順逆方向分離を行うことができる。逆フーリエ
変換結果の実部、虚部の一方が順方向成分、他方が逆方
向成分であり、すなわち、逆フーリエ変換結果の実部、
虚部ともに有効活用される。これは、逆フーリエ変換の
結果として不必要な成分を求めるという従来技術の効率
の低さが解消されることを意味する。従って、演算量や
解析レートが低減され、ドプラ信号の処理時間が短くな
り、超音波送受信のパルス繰り返し周波数の増大を図る
ことも可能となる。また、逆変換前波形処理では、信号
波形を偶関数波形にしたり、奇関数波形にしたりといっ
た処理を行えばよいので、簡単な構成にて本発明の波形
処理手段を実現できる。例えば、後述するような共役対
称、共役反対称のスペクトルを構成する対称化手段を設
ければよい。もちろん、本発明では、周波数領域での処
理を行っているので、順方向成分と逆方向成分を精度よ
く分離できる。以上より、本発明によれば、ドプラ信号
の順逆成分分離を簡易な構成で精度よく行え、演算量お
よび処理時間の低減、処理効率の向上を図ることができ
る。
【0021】本発明の装置の波形処理手段は、好ましく
は、前記順方向成分の実数成分の信号波形を偶関数波形
に変換する手段と、前記順方向成分の虚数成分の信号波
形を奇関数波形に変換する手段と、前記逆方向成分の実
数成分の信号波形を偶関数波形に変換するとともに虚数
化する手段と、前記逆方向成分の虚数成分の信号波形を
奇関数波形に変換するとともに実数化する手段とを含
む。この構成では、分離後の順方向成分の実部に図1
(A)の実数成分が適用され、虚部に(B)の虚数成分
が適用される。また、逆方向成分の実部に(C)の虚数
成分が適用され、虚部に(D)の実数成分が適用され
る。
【0022】また、本発明の装置の波形処理手段は、好
ましくは、前記順方向成分の実数成分の信号波形を偶関
数波形に変換するとともに虚数化する手段と、前記順方
向成分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変換すると
ともに実数化する手段と、前記逆方向成分の実数成分の
信号波形を偶関数波形に変換する手段と、前記逆方向成
分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変換する手段と
を含む。この構成では、分離後の順方向成分の実部に図
1(C)の虚数成分が適用され、虚部に(D)の実数成
分が適用される。また、逆方向成分の実部に(A)の実
数成分が適用され、虚部に(B)の虚数成分が適用され
る。
【0023】
【発明の実施の形態】まず、図2を参照し、本発明の原
理を概念的に説明する。図2(a)は、変換手段でのフ
ーリエ変換結果である周波数軸上のドプラ信号である。
変換手段の前段にて、周知の直交検波、周波数シフト、
フィルタ処理などが行われている。これにより、図2
(a)において、正の周波数成分は順方向成分であり、
負の周波数成分は逆方向成分となっている。このドプラ
信号Zi(ω)の実部をRi(ω)、虚部をXi(ω)とする。
【0024】
【数1】 Zi(ω)=Ri(ω)+jXi(ω) (但し、j2=−1) さらに、図2(a)に示すように、実部Ri(ω)の順方
向成分をRf(ω)、逆方向成分をRb(ω)とし、虚部Xi
(ω)の順方向成分をXf(ω)、逆方向成分をXb(ω)とす
る。
【0025】
【数2】 分離抽出手段では、ドプラ信号Zi(ω)が、順方向成分
(Rf(ω)+jXf(ω))(図2(b))と、逆方向成分
(Rb(ω)+jXb(ω))(図2(c))とに分離抽出さ
れる。波形処理手段では、各成分に下記の逆変換前波形
処理が施される。
【0026】順方向成分については、図2(d)に示す
ように、実数成分Rf(ω)の信号波形を偶関数波形にす
る(Rf(-ω)が発生)とともに、虚数成分jXf(ω)の
信号波形を奇関数波形にする(−jXf(-ω)が発生)。
従って、図示のような共役対称なスペクトルが構成され
る。ここで、前述の図1に示すように、逆フーリエ変換
では、その性質上、逆変換前に偶関数波形をもつ実数成
分と、逆変換前に奇関数波形をもつ虚数成分を複素数成
分とする場合、逆変換後の波形は、実数成分の波形にな
る(図1(A)(B))。従って、図2(d)のように
逆変換前波形処理が施された順方向成分を逆フーリエ変
換すると、順方向成分は、必ず逆フーリエ変換後の信号
の実数成分にのみ含まれる。
【0027】逆方向成分については、図2(e)に示す
ように、まず、上記と同様に実数成分Rb(ω)の信号波
形を偶関数波形にするとともに、虚数成分jXb(ω)の
信号波形を奇関数波形にする。そして、偶関数波形の実
数成分を虚数化するとともに、奇関数波形の虚数成分を
実数化する(図2(f))。これにより、jRb(ω)、
jRb(-ω)、−Xb(ω)、Xb(-ω)が発生し、共役反対
称なスペクトルが構成される。なお、実際の処理では、
図2(e)、(f)の処理は一括して行えばよく、ま
た、虚数化、実数化とは、信号成分を虚数として、ある
いは実数として扱えばよいことを意味する。ここで、や
はり図1に示すように、逆フーリエ変換において、逆変
換前に偶関数波形をもつ虚数成分と、逆変換前に奇関数
波形をもつ実数成分を複素数成分とする場合、逆変換後
の波形は、虚数成分の波形になる(図1(C),
(D))。従って、図2(f)のように逆変換前波形処
理が施された逆方向成分を逆フーリエ変換すると、逆方
向成分は、必ず逆フーリエ変換後の信号の虚数成分にの
み含まれる。
【0028】このように逆変換前波形処理が施された順
方向成分と逆方向成分に対して、一括して逆フーリエ変
換が施される。図2(d)、(f)の実部同士、虚部同
士を加算した状態で変換処理が行われる。
【0029】上記のような逆変換前波形処理を施してい
るので、逆フーリエ変換後の実数成分は順方向成分であ
り、虚数成分は逆方向成分である。各成分は、それぞ
れ、ドプラ音発生手段にて可聴音に変換される。これに
より、順方向のドプラ音と、逆方向のドプラ音とを別々
に得ることができる。
【0030】以上の処理をまとめると下記のようにな
る。分離抽出手段では、周波数軸上のドプラ信号Zi
(ω)が、順方向成分Zf(ω)と逆方向成分Zb(ω)とに
分離される。
【0031】
【数3】 そして、順方向成分Zf(ω)を使って新しい信号Z1(ω)
が合成される(*は共役複素を表す)。このZ1(ω)
は、これを逆フーリエ変換すると、順方向のスペクトル
を持つ実数の信号が得られるものであり、虚数部は零と
なる。
【0032】
【数4】 また、逆方向成分Zb(ω)を使って新しい信号Z2(ω)
が合成される。このZ2(ω)は、これを逆フーリエ変換
すると、逆方向のスペクトルを持つ実数の信号が得られ
るものである。
【0033】
【数5】 これらの合成した信号Z1(ω)、Z2(ω)から下式のZs
(ω)を作り逆フーリエ変換すると、変換結果の実部が順
方向成分に、虚部が逆方向成分になる。これらを別々の
スピーカーから可聴音として出力すると、順方向のドプ
ラ音と逆方向のドプラ音が操作者に聞き分けられる。
【0034】
【数6】 次に、図3を参照し、上記の原理を実現するための構成
例を説明する。FFT部2の前段では、すでに、超音波
エコー信号を直交検波(シフト処理などを含む)するこ
とによりドプラ信号(時間軸上)のI成分とQ成分が抽
出され、このドプラ信号にサンプルホールド、ウォール
フィルタ等の処理が施されている。ドプラ信号をサンプ
リング周波数でサンプリングして得られたデジタルデー
タがFFT部2に入力される。FFT部2では、FFT
畳み込み法を用いた周知のFFT(高速フーリエ変換)
が行われる。離散フーリエ変換の対象となるデータブロ
ックを、前後のデータブロックと一定量ずつオーバーラ
ップさせる。このようなデータブロックが以降の処理単
位となり、次々とフーリエ変換される。フーリエ変換後
の周波数スペクトルは、図2(a)に概念的に示したよ
うなものとなる。
【0035】フーリエ変換後の周波数軸上のドプラ信号
Zi(ω)は、上側波帯分離フィルタ4、下側波帯分離フ
ィルタ6を通すことにより、正成分Zf(ω)と負成分Zb
(ω)に分離される。両フィルタの特性は下式によって表
される。
【0036】
【数7】 上側波帯分離フィルタ4は上式H1(ω)および図4に示
す特性をもつので、正成分Zf(ω)のみが上側波帯分離
フィルタ4を通過し、通過後の波形は図2(b)に示さ
れる。一方、下側波帯分離フィルタ6は図5に示す特性
をもつので、負成分Zb(ω)のみが下側波帯分離フィル
タ6を通過し、通過後の波形は図2(c)に示される。
【0037】両フィルタ4、6を通過後の信号に対し、
スペクトル対称化部8にて前述したような逆変換前波形
処理が施される。すなわち、スペクトル対称化部8は、
入力された正成分Zf(ω)、負成分Zb(ω)から、Zf
*(−ω)、Zb*(−ω)を発生し、これを入力信号に加算
し、負成分における実数成分の虚数化と虚数成分の実数
化を施す。これにより、図2(d)、(f)に示される
スペクトルの対称化が行われる。ここでは、正の周波数
成分、負の周波数成分に対し、図2(d)、(f)から
分かるように、それぞれ、下式(8・1),(8・2)
の処理を行う事になる。ここでRf(ω)、Xf(ω)は順方
向の実部、虚部(ω≧0で定義)、Rb(ω)、Xb(ω)
は逆方向の実部、虚部(ω<0で定義)である。
【0038】
【数8】 Rf(ω)+Xb(-ω)+j×{Xf(ω)+Rb(-ω)}・・・(8・1) Rf(-ω)−Xb(ω)+j×{Rb(ω)−Xf(-ω)}・・・(8・2) スペクトルの対称化が施された信号に対し、IFFT部
10にて逆フーリエ変換が行われる。逆フーリエ変換に
より、周波数軸上のドプラ信号が時間軸上のドプラ信号
に戻される。逆フーリエ変換後の信号の実部が順方向信
号として取り出され、虚部が逆方向信号として取り出さ
れる。順方向信号、逆方向信号は、別々にアナログ信号
に変換され、別々のスピーカーから出力される。以上よ
り、一対のFFT−IFFT処理でドプラ信号における
オーディオ信号の順逆方向分離が実現される。
【0039】次に、図6を参照し、上記の構成を組み込
んだ超音波診断装置の全体構成について説明する。図6
において制御器20は送信周波数を発生しており、その
送信周波数を示す信号が送信器22に供給される。ま
た、この送信周波数は直交検波器24に供給されると共
に、A/D変換器26にも供給されている。A/D変換
器26は、後述するように、サンプリング周波数にてド
プラ信号を標本化し、デジタル信号に量子化している。
【0040】送信器22から送信信号が探触子28に供
給されると、探触子28から超音波が生体内に送波さ
れ、生体内にて反射した反射波が探触子28にて受波さ
れる。探触子28から出力された受信信号は、受信器3
0に送られ、その受信器30にて増幅などの処理がなさ
れた後、受信信号が直交検波器24に送られる。直交検
波器24は、送信周波数を利用して受信信号に対して公
知の直交検波を行い、複素信号としてのドプラ信号を出
力する。このドプラ信号は、実数信号と虚数信号とで構
成される。ドプラ信号は、サンプルホールド、ウォール
フィルタ処理などを施された後、A/D変換器26に送
られる。
【0041】A/D変換器26は、上述したように、各
ドプラ信号に対してサンプリング周波数の周期でサンプ
リングを行う。このようにデジタル信号に変換されたド
プラ信号は、分岐されてドプラ画像処理器32とドプラ
音処理器40に入力される。ドプラ画像処理器32は、
ドプラ画像としてのパワースペクトラムの演算機能を有
する。ドプラ画像処理器32では、パワースペクトルを
得るために、各種の演算が行われ、この演算には、周波
数軸上でのドプラ信号を得るためのフーリエ変換や、パ
ワー演算などが含まれる。そして、ドプラ画像処理器3
2では、パワースペクトル画像が生成され、この画像が
表示器34に送られて表示される。
【0042】また、ドプラ音処理器40は、図7に示さ
れるような回路構成を有し、ドプラ信号を順方向信号と
逆方向信号に分離して出力する。出力された順方向信号
は、D/A変換器42においてアナログ信号に変換され
た後、スピーカー44に供給され順方向音が可聴音とし
て出力される。また、ドプラ音処理器40から出力され
た逆方向信号もD/A変換器46においてアナログ信号
に変換された後、スピーカー48に送られてそのスピー
カー48にて逆方向音が可聴音として出力される。これ
らのスピーカー44,48は、ドプラ音発生手段として
機能するものである。
【0043】次に、図7を用いて、ドプラ音処理器40
の具体的な構成について説明する。ここでは、上述の本
発明の原理がハードウエアで実現された場合の構成例を
説明する。同図において、制御部60は、各素子の動作
やそのタイミングを制御している。
【0044】デジタルデータに変換されたドプラ信号
は、MUX(マルチプレクサ)部62に入力される。M
UX部62はセレクタであり、制御部60に制御され
て、新たに入力されたドプラ信号と、後述の対称化処理
が行われフィードバックされる信号とをセレクトする。
MUX部62から出力されたドプラ信号(対称化前)
は、一度、第1メモリ64にバッファリングされてか
ら、FFT部66に送られる。FFT部66は、制御部
60によるポインタ操作に従い、フーリエ変換または逆
フーリエ変換を行う。ここでは、ドプラ信号に対し、前
述したFFT畳み込み法を適用した周知のFFT(高速
フーリエ変換)が行われる。
【0045】FFT後のドプラ信号(周波数軸上)は、
第2メモリ68に一度バッファリングされてから、対称
化処理部70に送られる。第2メモリ68と上述の第1
メモリ64の読み書きとそのタイミングは、制御部60
によって制御されている。対称化処理部70は、図3の
上側波帯分離フィルタ4、下側波帯分離フィルタ6およ
びスペクトル対称化部8の機能を合わせ持つ。対称化処
理部70では、ドプラ信号を順方向成分と逆方向成分に
分離する上・下側波帯分離処理が行われ、さらに、図2
(d)、(f)に示したスペクトルの対称化が行われ
る。
【0046】対称化後の信号はMUX部62に出力さ
れ、第1メモリ64にバッファリングされ、FFT部6
6に送られる。このとき、FFT部66は、制御部60
の制御により、入力信号に対して逆フーリエ変換を行
う。逆フーリエ変換により周波数軸上のドプラ信号が時
間軸上のドプラ信号に戻され、この時間軸上のドプラ信
号がドプラ音処理器40から出力される。出力信号の実
部は順方向信号、虚部は逆方向信号である。このように
して、直交検波後のドプラ信号が、ドプラ音処理器40
で順方向信号と逆方向信号に分離される。図6に戻り、
ドプラ音処理器40から出力された順方向信号、逆方向
信号は、それぞれD/A変換器42、46に供給されて
アナログ信号に戻された後、スピーカー44、48に供
給されてドプラ音として出力される。
【0047】以上説明したように、本実施形態では、1
回のフーリエ変換と1回の逆フーリエ変換を行うことに
より、ドプラ信号の順逆分離を行うことができる。これ
は、逆フーリエ変換の前にあらかじめ、逆フーリエ変換
後の信号の実部が順方向信号、虚部が逆方向信号となる
ように、スペクトルを対称化する逆変換前波形処理を行
うことにより実現される。フーリエ変換の回数が削減さ
れたので、演算量が低減し、処理時間の短縮を図ること
が可能となる。従来技術と異なり、逆フーリエ変換後の
実部、虚部ともに有効活用されるので、処理効率の向上
が可能となる。また、スペクトルの対称化は簡単な構成
によって実現でき、さらに逆フーリエ変換部の削減によ
る構成の簡素化が可能となる。
【0048】なお、図7では、本発明の主要な構成がハ
ードウエアで実現されていた。これに対し、FFT部6
6、対称化処理部70、制御部60での処理を、DSP
素子を用いてソフトウエアによって実現することも可能
である。
【0049】また、上記の装置は、連続波ドプラ法に
も、パルスドプラ法にも適用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ドプラ信号の順逆成分分離を簡易な構成で精度よく行
え、演算量および処理時間の削減、処理効率の向上を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明するために逆フーリエ変
換の性質を示した図である。
【図2】 本発明の原理を説明するために信号処理の流
れを示した図である。
【図3】 図2の処理を実現する構成を示したブロック
図である。
【図4】 上側波帯分離フィルタの特性を示す図であ
る。
【図5】 下側波帯分離フィルタの特性を示す図であ
る。
【図6】 本発明に係る超音波ドプラ診断装置の全体構
成を示すブロック図である。
【図7】 ドプラ音処理器の具体的な回路構成を示す図
である。
【図8】 時間領域でドプラ信号の順逆方向成分を分離
する従来の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8および図10の構成で用いるヒルベルト
変換器の特性を示す図である。
【図10】 周波数領域でドプラ信号の順逆方向成分を
分離する従来の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
2,66 FFT部、4 上側波帯分離フィルタ、6
下側波帯分離フィルタ、8 スペクトル対称化部、10
IFFT部、20 制御器、24 直交検波器、40
ドプラ音処理器、44,48 スピーカー、60 制
御部、70 対称化処理部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−164142(JP,A) 特開 平2−264644(JP,A) 特開 平8−619(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 8/00 - 8/15

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時間軸上のドプラ信号をフーリエ変換し
    て周波数軸上のドプラ信号に変換する変換手段と、 前記周波数軸上のドプラ信号を、順方向成分と逆方向成
    分とに分離抽出する分離抽出手段と、 前記順方向成分と前記逆方向成分に逆変換前波形処理を
    施す波形処理手段と、 逆変換前波形処理が施された順方向移動成分および逆方
    向移動成分を一括して逆フーリエ変換し、逆変換後実数
    成分および逆変換後虚数成分を含む時間軸上のドプラ信
    号に戻す逆変換手段と、 逆フーリエ変換後のドプラ信号の逆変換後実数成分と逆
    変換後虚数成分を、それぞれ順方向成分または逆方向成
    分の可聴音に変換するドプラ音発生手段と、 を含み、 前記波形処理手段は、逆変換前波形処理として、逆フー
    リエ変換の性質に基づき、前記順方向成分が逆フーリエ
    変換されたときに逆変換後実数成分と逆変換後虚数成分
    のどちらか一方に変換され、前記逆方向成分が両逆変換
    後成分の他方へ変換されるように波形処理を施すことを
    特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、 前記波形処理手段は、 前記順方向成分の実数成分の信号波形を偶関数波形に変
    換する手段と、 前記順方向成分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変
    換する手段と、 前記逆方向成分の実数成分の信号波形を偶関数波形に変
    換するとともに虚数化する手段と、 前記逆方向成分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変
    換するとともに実数化する手段と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の装置において、 前記波形処理手段は、 前記順方向成分の実数成分の信号波形を偶関数波形に変
    換するとともに虚数化する手段と、 前記順方向成分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変
    換するとともに実数化する手段と、 前記逆方向成分の実数成分の信号波形を偶関数波形に変
    換する手段と、 前記逆方向成分の虚数成分の信号波形を奇関数波形に変
    換する手段と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記変換手段と前記逆変換手段は一つのフーリエ変換回
    路によって構成され、前記フーリエ変換回路がフーリエ
    変換または逆フーリエ変換のいずれを行うかの切換を制
    御する制御部が設けられていることを特徴とする超音波
    ドプラ診断装置。
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