JP3088280B2 - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置

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JP3088280B2
JP3088280B2 JP32430195A JP32430195A JP3088280B2 JP 3088280 B2 JP3088280 B2 JP 3088280B2 JP 32430195 A JP32430195 A JP 32430195A JP 32430195 A JP32430195 A JP 32430195A JP 3088280 B2 JP3088280 B2 JP 3088280B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波ドプラ診断装
置、特に、ドプラ音をオーディオ出力可能な超音波ドプ
ラ診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波ドプラ診断装置は、生体内運動体
(例えば、血流)の速度情報を計測する装置であり、計
測方法としては、連続波ドプラ法やパルスドプラ法が知
られている。超音波ドプラ診断装置において、超音波が
生体内に送波されると、生体内の運動反射体にて反射さ
れた反射波が受波され、受信信号が得られる。その受信
信号に対し検波などの処理が行われ、これにより得られ
たドプラ信号(時間軸上のドプラ信号)に対してFFT
などの周波数解析演算が行われ、例えばパワースペクラ
ム表示としてドプラ情報が表示される。なお、パワース
ペクトラムは縦軸をドプラシフト周波数(血流速度)と
し、横軸を時間軸とし、輝度を各速度のパワーとした画
像である。
【0003】超音波ドプラ診断装置には、一般に、ドプ
ラ音を発生させる機能が備わっている。これはドプラ信
号をスピーカに与えて可聴音(ドプラ音)として出力す
るものであり、操作者はそのドプラ音の周波数や強度に
より、聴覚的に、血流の運動情報を認識できる。
【0004】このようなドプラ音の発生は、例えば、超
音波の送受波により得られた受信信号を送信周波数で復
調し、その復調信号をそのままスピーカに出力すること
により行うことも可能である。しかし、そのような方式
では、血流が順方向に流れているか、あるいは逆方向に
流れているかを音として区別することができない。そこ
で、例えば、復調に際して直交検波を用い、それによる
複素のドプラ信号を複素フィルタに通すことで順方向と
逆方向の信号成分の分離を行い、それらの2つの信号を
2つのスピーカに出力することが行われている。
【0005】しかしながら、ドプラ信号中にナイキスト
周波数を越える周波数成分が含まれている場合、すなわ
ち周波数軸上で折り返しが生じているような場合には、
折り返した信号成分が正逆反転して出力されたり、ま
た、ドプラ音に突発的高音が不自然に混じったりすると
いう問題があった。速度の正側及び負側のいずれにおい
ても、パルスドプラ法では超音波パルスの送信繰り返し
周波数の1/2を越える信号成分が折り返し、連続波ド
プラ法では量子化周波数の1/2を越える信号成分が折
り返す。
【0006】この問題に対処するため、ベースラインシ
フトという手法が提案されている。この方法は、概し
て、周波数軸上に存在する各周波数成分の内で折り返し
た周波数成分を反対側につなげるものである。このベー
スラインシフトによれば、連続したスペクトルで上記パ
ワースペクトルを表示することができる。
【0007】もちろん、このベースラインシフトは、ド
プラ音の発生に当たっても適用される。すなわち、例え
ば、正方向の上限(ナイキスト周波数)を越えて負の周
波数に回り込んでしまった折り返し信号成分を正の上限
側に付加し、周波数の変化が連続しているドプラ音を得
るものである。これはオーディオ信号のベースラインシ
フトを呼ばれており、順流・逆流の分離処理を行った際
に、折り返した信号成分が順流側から逆流側へ、あるい
は逆流側から順流側へ回り込んでしまうのを解消する手
段として知られている。
【0008】従来において、上記のオーディオ信号のベ
ースラインシフトを実現するための具体的な手法として
は、大別して、アナログ方式とデジタル方式が知られて
いる。これら双方の手法とも、時間軸上に存在している
ドプラ信号に対し、時間軸上で、ベースラインシフトを
実現するものである。アナログのべースラインシフトに
関しては例えば特開平7−231891号公報に開示さ
れている。デジタルのベースラインシフトに関し、参考
までに、図7を用いて説明する。
【0009】図7において、受信信号を直交検波して得
られた複素のドプラ信号(I,Q)がオーバーサンプリ
ング部10、12に入力されている。オーバーサンプリ
ング部10、12は、例えばD1 ,0,D2 ,0,
3 ,0,…のように、サンプリングされたデータ間に
0を挿入して、信号帯域を拡張する公知の回路である。
ヒルバートフィルタ14は、オーバーサンプリング後の
一方のドプラ信号(例えば実数信号)の位相を90度シ
フトさせるもので、遅延部16は、オーバーサンプリン
グ後の他方のドプラ信号(例えば虚数信号)に対し、ヒ
ルバートフィルタ14における処理時間に相当する時間
だけ遅延を行う時間調整回路である。加算器18,20
は、90度位相がシフトされた実数信号とそのまま遅延
された虚数信号の相互の和と差を演算するものであり、
これにより順流信号成分と逆流信号成分とが分離抽出さ
れる。それらの信号成分がローパスフィルタ22、24
に入れられ、順流音信号と逆流音信号とが生成されてい
る。順流音信号と逆流音信号はそれぞれスピーカ(図示
せず)に送られ、ドプラ音としての順流音と逆流音とが
可聴音として発生される。
【0010】正逆分離方法としては各種の方法が提案さ
れており、図7に示す方法はその内の1手法である。ち
なみに、直交変換後のドプラ信号は、パワースペクトル
画像などを形成するために、フーリエ変換部26におい
て周波数軸上のドプラ信号に変換され、更にスペクトラ
ム処理部28においてその周波数軸上のドプラ信号に対
してパワー演算やベースラインシフトが行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにアナログ処理により時間軸上でオーディオ信号の
ベースラインシフトを行う方法(時間軸アナログ方式)
では、それがアナログ処理であることに起因して、順流
信号成分と逆流信号成分の分離抽出を高精度に行うこと
が困難であるという問題があった。また、ドプラ信号が
短時間欠落するような送受信が行われる場合に、ドプラ
信号の補間を行う必要があるが、それをアナログ処理で
実現するのは著しく困難であるという問題があった。
【0012】その一方、上記のデジタル処理により時間
軸上でオーディオ信号のベースラインシフトを行う方法
(時間軸デジタル方式)によれば、比較的精度良くその
処理を行うことができるが、ドプラ信号が、サンプル入
力されるごとに複数のデジタルフィルタ処理をリアルタ
イムで繰り返し行う必要があるため、その演算量が多
く、それゆえ高価なハードウエアを要するという問題が
あった。
【0013】ところで、従来の一般的な超音波診断装置
では、Bモード断層画像とドプラスペクトラムの両方を
リアルタイムで同時表示することも行われる。このた
め、超音波の送受信シーケンスにおいては、Bモード用
の送受波とドプラ用の送受波とが一定のパターンで交互
に行われる。すなわち、例えば、Bモード用の送受波を
各ビーム方向について行いながら、その間に、時分割で
所定のビーム方向へドプラ用の送受波を行うものであ
る。このような送受波シーケンスがとられる場合、ドプ
ラ信号について着目してみると、Bモード用送受波の期
間では、ドプラ信号が得られず、信号の欠落が生じるこ
とになる。このため、そのままドプラ信号をオーディオ
信号に変換すると、間欠的にドプラ音が途絶えるという
問題があった。
【0014】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、折り返しを解消するためのベ
ースラインシフトを簡易な構成で精度良く行える超音波
ドプラ診断装置を提供することにある。
【0015】また、本発明の目的は、ドプラ音中に折り
返し音が生じることを防止でき、かつ、ドプラ音が途絶
える問題を解消できる超音波ドプラ診断装置を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、時間軸上のドプラ信号を周波数軸上のド
プラ信号に変換する変換手段と、前記周波数軸上のドプ
ラ信号に対し、折り返しを解消するために周波数軸上で
ベースラインシフトを行うベースラインシフト手段と、
前記周波数軸上のドプラ信号に対し、周波数軸上で所定
の周波数範囲の信号成分のみを分離抽出する分離抽出手
段と、前記ベースラインシフト及び前記分離抽出がなさ
れた周波数軸上のドプラ信号に対し、周波数軸上から時
間軸上への逆変換を行って時間軸上のドプラ信号を出力
する逆変換手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】本発明の好適な態様では、前記分離抽出手
段は、前記周波数軸上のドプラ信号から順流信号成分と
逆流信号成分を分離抽出する正逆分離処理を行い、前記
逆変換手段は、前記周波数軸上の順流信号成分及び逆流
信号成分のそれぞれに対し前記逆変換を行って、時間軸
上の順流信号成分及び逆流信号成分を出力し、前記時間
軸上の順流信号成分及び逆流信号成分をそれぞれ可聴音
に変換するドプラ音発生手段が設けられる。
【0018】図1には、上記構成の作用が概念的に示さ
れている。まず、変換手段により、時間軸上のドプラ信
号が周波数軸上のドプラ信号に変換される。(A)に
は、変換後のドプラ信号が示されており、(A)では正
側上限を越えた周波数成分100が折り返している。
(B)に示すように、ベースラインシフト手段は、例え
ば、スペクトルの連続性などに基づいて、折り返した周
波数成分100を特定し、その周波数成分を反対側の上
限につなげる。これにより、(B)に示すように、スペ
クトルの連続性が補償される。
【0019】このようなベースラインシフトがなされた
後、分離抽出手段は、部分的な周波数成分の抽出、望ま
しくは順流及び逆流の信号成分の分離抽出を行う。この
場合、例えば、(C)に示すような順流成分抽出関数を
(B)に示すスペクトルに乗算することにより(E)に
示す順流成分が抽出される。また、(D)に示すような
逆流成分抽出関数を(B)に示すスペクトルに乗算する
ことにより、(F)に示す逆流成分が抽出される。な
お、ベースバンドシフトと分離抽出処理は、望ましくは
ベースバンドシフトが先行して実行されるが、理論的に
は、分離抽出処理を先行して実行してもよい。逆変換手
段は、分離抽出された周波数軸上のドプラ信号を時間軸
上のドプラ信号に戻し、そのドプラ信号が例えばオーデ
ィオ回路に供給される。
【0020】また、上記目的を達成するために、本発明
は、時間軸上のドプラ信号に対し、一定時間幅を有する
所定の窓関数を半サイクルずつずらしながら順次乗算す
る窓処理を行う窓処理手段と、前記窓処理後の時間軸上
のドプラ信号を周波数軸上のドプラ信号に変換するフー
リエ変換手段と、前記周波数軸上のドプラ信号に対し、
折り返しを解消するために周波数軸上でベースラインシ
フトを行うベースラインシフト手段と、前記周波数軸上
のドプラ信号から、順流信号成分と逆流信号成分を分離
抽出する正逆分離手段と、前記ベースラインシフト及び
前記分離抽出がなされた周波数軸上の順流信号成分及び
逆流信号成分のそれぞれに対し逆フーリエ変換を行っ
て、時間軸上の順流信号成分及び逆流信号成分を出力す
る逆フーリエ変換手段と、前記時間軸上の順流信号成分
及び逆流信号成分のそれぞれに対し、半サイクルずつオ
ーバーラップさせながら順次加算を行うオーバーラップ
加算手段と、前記オーバーラップ加算後の時間軸上の順
流信号成分及び逆流信号成分をそれぞれ可聴音に変換す
るドプラ音発生手段と、を含む。
【0021】上記構成によれば、最初に時間軸上のドプ
ラ信号に対し、半サイクルずつオーバーラップさせなが
ら窓関数が順次乗算される。これによりフーリエ変換処
理に当たっての基本のデータ単位が切り出される。フー
リエ変換手段は、その基本単位であるドプラ信号に対し
複素FFTなどを実行して、時間軸上から周波数上への
変換を行う。ベースラインシフト手段は、折り返した周
波数成分を本来の位置に戻してスペクトルの連続性を補
償するために上記のベースラインシフトを実行する。ま
た、正逆分離手段はスペクトル全体から順流信号成分と
逆流信号成分を分離抽出する。逆フーリエ変換手段は信
号成分に対して逆フーリエ変換を行って、周波数軸から
時間軸への変換を行う。次に、オーバーラップ加算手段
は、各信号成分を半サイクルずつオーバーラップさせな
がら加算し、順流音信号及び逆流音信号を生成する。そ
れらの信号はドプラ音発生手段に供給され、順流音及び
逆流音が可聴音として発生される。
【0022】上記の窓関数の乗算及びオーバーラップ加
算によれば、周波数軸への変換及び時間軸への逆変換に
当たって、ドプラ信号の時間軸上での連続性を維持でき
る。窓関数としては、例えば公知のハニング関数やハミ
ング関数を利用できる。
【0023】本発明の好適な態様では、周波数軸上のド
プラ信号に対して補間処理を行う補間手段を有する。す
なわち、周波数軸上のドプラ信号(スペクトル)は時間
変化するものであるが、ドプラ信号が一定時間欠落した
場合には、例えば、その欠落の前後の周波数軸上のドプ
ラ信号を基礎として欠落部分が補填され、あるいは、そ
の欠落の前の周波数軸上のドプラ信号を維持することな
どにより欠落部分が補填される。これにより、ドプラ音
が途切れる問題を解消できる。周波数軸上のドプラ信号
を利用して補間を行うので、補間処理を実時間で簡単に
行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面に基づいて説明する。
【0025】図2には、本発明に係る超音波ドプラ診断
装置の全体構成がブロック図として示されている。この
超音波ドプラ診断装置は、連続波ドプラ法が適用された
装置である。
【0026】図2において制御器30は送信周波数を発
生しており、その送信周波数を示す信号が送信器32に
供給される。また、この送信周波数は直交検波器34に
供給されると共に、量子化回路36にも供給されてい
る。すなわち量子化回路36は、後述するように、標本
化周波数fs にてドプラ信号を標本化し、デジタル信号
に量子化している。
【0027】送信器32から送信信号が探触子38に供
給されると、探触子38から超音波が連続的に生体内に
送波され、生体内にて反射した反射波が探触子38にて
受波される。探触子38から出力された受信信号は、受
信器40に送られ、その受信器40にて増幅などの処理
がなされた後、受信信号が直交検波器34に送られる。
直交検波器34は、送信周波数を利用して受信信号に対
して公知の直交検波を行い、複素信号としてのドプラ信
号を出力する。このドプラ信号は、実数信号と虚数信号
とで構成される。
【0028】量子化回路36は、上述したように、各ド
プラ信号に対して標本化周波数fsの周期でサンプリン
グを行う。具体的には、この量子化回路36は、A/D
変換器で構成される。このようにデジタル信号に変換さ
れたドプラ信号は、デジタル信号処理器42に供給され
る。このデジタル信号処理器42は、図3に示されるよ
うな回路構成を有し、ドプラ画像としてのパワースペク
トラムの演算機能、ドプラ信号中における折り返しを解
消する機能、及びドプラ信号の補間機能、などを有す
る。デジタル信号処理器42から出力されたスペクトラ
ムは、DSC(デジタルスキャンコンバータ)44に供
給され、パワースペクトラム画像などが形成され、それ
が表示器46に表示される。
【0029】また、デジタル信号処理器42から出力さ
れた順流音信号は、D/A変換器48においてアナログ
信号に変換された後、スピーカー50に供給され順流音
が可聴音として出力される。また、デジタル信号処理器
42から出力された逆流音信号もD/A変換器52にお
いてアナログ信号に変換された後、スピーカー54に送
られてそのスピーカー54にて逆流音が可聴音として出
力される。これらのスピーカー50,54は、ドプラ音
発生手段として機能するものである。
【0030】次に、図3を用いて、デジタル信号処理器
42の具体的な構成について説明する。図2に示した量
子化回路36から出力されたデジタル化されたドプラ信
号I,Qは、窓処理部56に入力される。この窓処理部
56は、各ドプラ信号に対して、一定時間幅を有する所
定の窓関数を半サイクルずつずらしながら順次乗算する
回路であり、例えば、FFTのポイント数が128であ
る場合には、64サンプルの信号データが入力されるご
とにFFT演算が繰り返される。その窓関数としては例
えばハニング関数またはハミング関数などがあげられ
る。
【0031】図4には、窓処理部56の作用が概念的に
示されている。(A)にはドプラ信号が示されており、
(B)には一定時間幅Tを有する窓関数102が示され
ている。なお、図4に示す各信号は説明のためアナログ
信号のように示されているが、実際にはデジタル信号で
ある。一定期間Tのドプラ信号に対して窓関数102が
乗算されると、(B)に示すようにその当該期間Tの両
端部で振幅が所定値(例えば0)に絞り込まれたデータ
ブロックが取り出される。(C)に示すように、窓処理
部56は半サイクルずれた次の期間Tにおいてもドプラ
信号にたいして窓関数102の乗算を行っており、これ
が半サイクルずつシフトされながら順次行われている。
以下に説明する各処理では、このデータブロック単位で
その処理が行われる。なお、このような窓関数102の
乗算によれば、後述するように、オーバーラップ加算を
行った場合に復元されるドプラ信号の連続性を維持する
ことができる。ちなみに、図4に示したような窓関数の
乗算は、ドプラ信号I及びQのそれぞれに対して行われ
ており、以下に説明する各処理は各ドプラ信号について
個別的に並列して行われている。
【0032】図3に戻って、フーリエ変換部58は、周
知のFFT(高速フーリエ変換)を行うものであり、具
体的には複素フーリエ変換を行っている。このフーリエ
変換により、時間軸上のドプラ信号が周波数軸上のドプ
ラ信号に変換される(図1(A)参照)。フーリエ変換
部58から出力された周波数軸上のドプラ信号I,Q
は、スペクトラム処理部60に供給されており、図7に
示した従来のスペクトラム処理部28と同様にパワース
ペクトラムを得るための各種の演算が行われている。そ
の演算には、ベースラインシフトやパワー演算などが含
まれる。
【0033】一方、フーリエ変換部58から出力された
ドプラ信号I,Qは、分岐されてベースラインシフト部
62,64に入力されている。これらのベースラインシ
フト部62,64は、図1(B)に示したように、折り
返し周波数成分100を本来の位置に戻してスペクトル
の連続性を成立させることにより、折り返しを解消させ
るものである。本発明では、周波数軸上でベースライン
シフトが行われているため、その演算を容易に行うこと
ができ、またその処理を迅速に行うことができる。な
お、図3では、ベースラインシフト部62及びベースラ
インシフト部64が発明の説明のため独立した回路とし
て示されているが、一方を省略してベースラインシフト
部の出力を分岐させてもよい。
【0034】図3において、正逆分離部66は図1
(C)に示したような分離抽出関数をベースラインシフ
ト後の周波数軸上のドプラ信号に乗算することにより、
図1(E)に示したような順流信号成分を分離抽出する
回路である。一方、正逆分離部68は図1(D)に示し
たような分離抽出関数を周波数軸上のドプラ信号に乗算
することによって、図1(F)に示したような逆流信号
成分を分離抽出するものである。図1(C)及び(D)
に示される順流用の関数及び逆流用の関数において、そ
れらの関数が1をとる合計の区間はfs に相当する。各
関数が1をとる幅は、折り返し周波数成分100の周波
数幅に基づいて適宜調整される。
【0035】なお、実際の装置においては、図3に示し
たように、ベースラインシフト部62,64の後段に正
逆分離部66,68を設けるのが望ましいが、正逆分離
部66,68の後段にベースラインシフト部62,64
を設けることも可能である。また、それらを一体的に構
成してもよい。
【0036】このような正逆分離部66及び68によ
り、図1(E)及び(F)に示したような順流信号成分
及び逆流信号成分が分離抽出され、それぞれの信号成分
は逆フーリエ変換部70,72に供給され、逆フーリエ
変換がなされる。これにより周波数軸上の信号が時間軸
上の信号に戻される。
【0037】オーバーラップ加算部74,76は、逆フ
ーリエ変換後のドプラ信号を半サイクルずつずらしなが
ら加算して元の時間軸上のドプラ信号と同様の時間軸上
のドプラ信号を生成する。その作用が図4(E)に示さ
れている。図4(B)〜(D)に示されるような逆フー
リエ変換により戻されたドプラ信号がオーバーラップ加
算され、図4(E)に示すような時間軸上のドプラ信号
が得られている。このような処理により、オーバーラッ
プ加算部74から順流音信号が出力され、オーバーラッ
プ加算部76から逆流音信号が出力される。これらは図
2に示したように、それぞれD/A変換器48,52に
供給されてアナログ信号に戻された後、スピーカー5
0,54に供給されてドプラ音として出力される。
【0038】なお、ベースラインシフトや正逆分離など
を行う際に複素信号で処理する理由は、位相情報を保存
することにある。逆フーリエ変換部70,72において
も位相情報を保持するため、複素による逆フーリエ変換
処理が行われる。なお、逆フーリエ変換部70,72か
らも複素信号が出力されるが、図3に示す構成では、実
数成分Iまたは虚数成分Qのいずれかの成分が出力され
ている。
【0039】以上説明したように、従来のように時間軸
上のドプラ信号に対してベースラインシフトや正逆分離
を行うのではなく、周波数軸上のドプラ信号に対してベ
ースラインシフトや正逆分離などを行うことによって、
極めて高精度かつ迅速に折り返しの解消を行うことがで
きるという利点がある。図3に示すような構成によれ
ば、従来よりも回路規模を1/4以下にすることができ
る。
【0040】次に、図5には、本発明に係る超音波ドプ
ラ信号装置の他の実施形態が示されている。なお、図3
に示す構成と同様の構成には同一符号を付けその説明を
省略する。
【0041】この図5に示す装置においては、フーリエ
変換部58の後段に補間処理部78が設けられている。
この補間処理部78は、周波数軸上のドプラ信号に対し
て補間処理を行うものであり、上述したようにBモード
断層画像とドプラ画像とをリアルタイミングで同時表示
するような場合において、Bモード用の送受波を行って
いる際にドプラ信号が途絶える問題を解消することがで
きる。すなわち、短時間の間、周波数軸上のドプラ信号
が時間的に見て途絶えるような場合、この補間処理部7
8は信号欠落の前後の信号などを利用して、その欠落部
分に疑似的にデータ列を発生させている。その補間の方
法としては、例えば欠落前の周波数軸上のドプラ信号を
そのまま繰り返して時間的に維持させる方法や、欠落前
後の信号のパワーの積分値と平均周波数を計算してこれ
らを直線補間し、信号強度を変化させたり周波数方向に
データをローテションさせながら補間する方法などが挙
げられる。
【0042】図6には、補間処理部78が実行する補間
処理の一例が示されており、この図6にはパワースペク
トラムが示されている。すなわち、横軸が時間軸に相当
し、縦軸が周波数軸に相当している。図の104や10
6で示されるようにデータの欠落に対して、補間処理部
78は欠落前のスペクトラムを時間的に維持して欠落部
分104,106のデータを補っている。このように周
波数軸上のデータを利用して補間を行えば、その処理を
極めて簡易に行うことができる。このような補間処理に
よれば、最終的に得られる順流音信号や逆流音信号が連
続することになり、結果として、折り返しや音のとぎれ
がないドプラ音を得られる。
【0043】なお、上述した装置は、いずれも連続波ド
プラ法にもパルスドプラ法にも応用することが可能であ
る。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
折り返しを解消するためのベースラインシフトを簡易な
構成で精度よく行うことができる。また、本発明によれ
ば、ドプラ音中に折り返し音が生じることを防止でき、
またドプラ音が途絶える問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明するための原理説明図で
ある。
【図2】 本発明に係る超音波ドプラ診断装置の全体構
成を示すブロック図である。
【図3】 デジタル信号処理器42の具体的な回路構成
を示す図である。
【図4】 窓処理及びオーバーラップ加算を示す説明図
である。
【図5】 本発明に係る超音波ドプラ診断装置の他の実
施形態を示す図である。
【図6】 パワースペクトル表示におけるデータの補間
を示す図である。
【図7】 折り返しを防止するための従来の時間軸上で
のデジタル処理を示す図である。
【符号の説明】
30 制御器、34 直交検波器、36 量子化回路、
42 デジタル信号処理器、56 窓処理部、58 フ
ーリエ変換部、62,64 ベースラインシフト部、6
6,68 正逆分離部、70,72 逆フーリエ変換
部、74,76オーバラップ加算部、78 補間処理
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−264644(JP,A) 特開 平8−52136(JP,A) 特開 平8−619(JP,A) 特開 昭62−41644(JP,A) 特開 平7−231891(JP,A) 特開 昭63−315035(JP,A) 特開 昭63−216547(JP,A) 特開 平2−309934(JP,A) 特開 平7−275241(JP,A) 特開 平5−344971(JP,A) 特開 平3−186254(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 8/00 - 8/15

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時間軸上のドプラ信号に対し、一定時間
    幅を有する所定の窓関数を半サイクルずつずらしながら
    順次乗算する窓処理を行う窓処理手段と、 前記窓処理後の時間軸上のドプラ信号を周波数軸上のド
    プラ信号に変換するフーリエ変換手段と、 前記周波数軸上のドプラ信号に対し、折り返しを解消す
    るために周波数軸上でベースラインシフトを行うベース
    ラインシフト手段と、 前記周波数軸上のドプラ信号から、順流信号成分と逆流
    信号成分を分離抽出する正逆分離手段と、 前記ベースラインシフト及び前記分離抽出がなされた周
    波数軸上の順流信号成分及び逆流信号成分のそれぞれに
    対し逆フーリエ変換を行って、時間軸上の順流信号成分
    及び逆流信号成分を出力する逆フーリエ変換手段と、 前記時間軸上の順流信号成分及び逆流信号成分のそれぞ
    れに対し、半サイクルずつオーバーラップさせながら順
    次加算を行うオーバーラップ加算手段と、 前記オーバーラップ加算後の時間軸上の順流信号成分及
    び逆流信号成分をそれぞれ可聴音に変換するドプラ音発
    生手段と、 を含むことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、 周波数軸上のドプラ信号に対して補間処理を行う補間手
    段を有することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 請求項記載の装置において、 前記時間軸上のドプラ信号は複素信号であり、その複素
    信号に対し上記の各処理が行われることを特徴とする超
    音波ドプラ診断装置。
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