JP3123906B2 - エコーキャンセラ - Google Patents

エコーキャンセラ

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JP3123906B2
JP3123906B2 JP07261528A JP26152895A JP3123906B2 JP 3123906 B2 JP3123906 B2 JP 3123906B2 JP 07261528 A JP07261528 A JP 07261528A JP 26152895 A JP26152895 A JP 26152895A JP 3123906 B2 JP3123906 B2 JP 3123906B2
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一真 三浦
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はATM網からなる電
話回線において、音声品質にあたえるエコーの影響を削
減するためのエコーキャンセラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディジタル通信網の通信方式には、ST
M(Synchronous Transfer Mo
de;同期転送モード)や、ATM(Asynchro
nous Transfer Mode;非同期転送モ
ード)等がある。STMはN−ISDN等で採用されて
いる方式であり、複数のチャンネルがそれぞれ1フレー
ム中の定められた位置(タイムスロット)に割り当てら
れ、多重化されて伝送される方式である。また、ATM
はより高速な通信網であるB−ISDN等で採用される
方式であり、すべてのデータは、音声や映像などの通信
メディアによらずに「セル(cell)」と呼ばれる固
定長のブロックで伝送される。セルはヘッダとペイロー
ド(情報フィールド部)とから構成されており、ヘッダ
には宛先を示す識別子が格納されている。このヘッダに
格納された識別子を用いてセルが相手先に転送される。
ATMは、周期的なフレームによって通信速度が固定さ
れてしまうSTMに比べ、通信毎にセルの送信数を変え
ることができるため、通信速度を任意に設定できるばか
りでなく、様々な速度の通信を一元的に扱うことができ
る。
【0003】上記のようなディジタル通信網を使用して
通話を行う場合、送信した自分の声の一部が回線上に設
けられたハイブリッド回路(2線−4線変換回路)を通
して遅延されて戻ってくるためエコーが発生する。特に
ATMを採用した通信網では通信回線による遅延だけで
なく、音声データのセル化による遅延もまたその原因と
なっている。
【0004】エコーは低音量や雑音による音声品質の劣
化以上に大きな不快感を通話者に与えるため、回線上に
設けられたエコーキャンセラによって削減される。エコ
ーキャンセラは、受信した音声データから疑似エコー
(エコーの推定値)を作成し、この作成した疑似エコー
を送出する音声データから差し引くことでエコーの削減
を行う。疑似エコーは、エコー経路のインパルス応答h
(t)と受信した信号との畳み込み和として作成され、
フィルタ係数h(0)、h(1)、h(2)…を持つF
IR(有限長インパルス応答)フィルタやIIR(無限
長インパルス応答)フィルタ等のタップ付き遅延線フィ
ルタによって実現される。
【0005】従来のATMの通信網では、セルを一旦S
TMのデータ形態に変換し、STMで使用されている上
記のようなエコーキャンセラで1セル分の音声データに
ついてエコーを削除し、エコーを削除した後、再びAT
Mセル化して回線に送出していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな従来のエコーキャンセラでは、ATMの通信網でエ
コーを削除する場合、上述したようにセルを一旦STM
のデータ形態に変換し、エコーを削除した後、再びAT
Mセル化して回線に送出していたため、再セル化による
遅延によって、さらにエコー(残留エコー)が発生して
しまう問題があった。
【0007】また、上記のような手順でエコーを削除し
ていたため、処理に時間がかかるという問題もあった。
【0008】本発明は上記したような従来の技術が有す
る問題点を解決するためになされたものであり、ATM
の通信網で通話を行う場合に、残留エコーの発生を抑制
し、あわせて処理時間を短縮したエコーキャンセラを提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明のエコーキャンセラは、音声情報が所定の情報量
からなるセルに分割され、前記セル毎に通信が行われる
ディジタル通信網上に設置されるエコーキャンセラであ
って、遠端側からの音声情報のうち、最新のセルを含む
音声情報からエコーの推定値である疑似エコーを作成す
るタップ付き遅延線フィルタと、遠端側からの音声情報
の中の1セル前に入力された音声情報、および近端側か
らの音声情報の中の1セル前に入力された音声情報か
ら、適応アルゴリズムにしたがって前記タップ付き遅延
線フィルタのフィルタ係数を算出する適応化フィルタ
と、前記遠端側の音声情報を一時的に保持し、前記適応
化フィルタ、および前記タップ付き遅延線フィルタにそ
れぞれ必要な音声情報を出力するリングバッファと、前
記タップ付き遅延線フィルタの出力を一時的に保持する
バッファと、近端側の音声情報が入力されると、前記バ
ッファから前記疑似エコーを読み出して該近端側の音声
情報から前記疑似エコーを減算するエコー削除部とを有
することを特徴とする。
【0010】このとき、遠端側からの音声情報を一時的
に保持し、所定の時間の経過後、該遠端側からの音声情
報をリングバッファに時系列順に出力する遠端側入力セ
ル処理回路部と、近端側からの音声情報を一時的に保持
し、所定の時間の経過後、前記遠端側からの音声情報が
リングバッファから適応化フィルタに出力されるタイミ
ングに同期して、該近端側からの音声情報を前記適応化
フィルタに送出する近端側入力セル処理回路部とを有し
ていてもよい。
【0011】上記のように構成された本発明のエコーキ
ャンセラは、ATM通信網において通話を行う場合に、
適応化フィルタが1セル前に入力されたセルの音声情報
を使用してフィルタ係数を算出し、算出されたフィルタ
係数でタップ付き遅延線フィルタが最新のセルを含む音
声情報からエコーの推定値である疑似エコーを作成す
る。したがって、音声情報をセル単位で処理することが
可能になり、処理に要する時間が短縮される。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を参照
して説明する。本発明のエコーキャンセラは、セル単位
で通信が行われるATM通信網等でエコーを削除する場
合に適用される方式である。
【0013】図1は本発明のエコーキャンセラの構成を
示すブロック図である。図1において、本発明のエコー
キャンセラは、疑似エコーを作成する疑似エコー作成部
100と、回線1から入力された遠端側(相手側)から
のセルのヘッダをチェックし、セルのペイロードの音声
データを疑似エコー作成部100に出力する遠端側入力
セル処理回路部200と、回線2から入力された近端側
(自側)からのセルのヘッダをチェックし、セルのペイ
ロードの音声データを疑似エコー作成部100に出力す
る近端側入力セル処理回路部300と、疑似エコー作成
部100で作成した疑似エコーを一時的に保持するバッ
ファ400と、近端側からセルが到着すると、バッファ
400から疑似エコーを読み出して近端側のセルから疑
似エコーを減算し、回線3を介して通話相手に送出する
エコー削除部500とから構成されている。
【0014】疑似エコー作成部100は、疑似エコーを
作成するためのタップ付き遅延線フィルタであるFIR
フィルタ20と、FIRフィルタ20のフィルタ係数を
算出する適応化フィルタ10と、適応化フィルタ10と
FIRフィルタ20とで使用する音声データを一時的に
保持するためのリングバッファ30とから構成されてい
る。
【0015】このような構成において、回線1を介して
遠端側のセルが到着すると、遠端側入力セル処理回路部
200はセルのヘッダをチェックしてセルの損失や誤挿
入の発生などの異常の有無を調べ、正常時にはセルのペ
イロードから音声データ(47バイト;1セル当たりの
音声データ)を、また、異常時には定められた手順で発
生させたダミーデータを音声データとして蓄積する。
【0016】ここで、遠端側の音声データを時系列順に
Rin(0)、Rin(1)、Rin(2)、…と定義
すると、遠端側入力セル処理回路部200は、セルが到
着する度に上記処理を繰返し、遠端側の音声データをR
in(0)、Rin(1)、Rin(2)、…の時系列
順に蓄積する。蓄積した遠端側の音声データは、セルの
揺らぎ(次のセルが到着するまでの時間が一定でないこ
とにより生じるジッタ)を吸収するのに十分な遅延時間
m0(例えば3msec)が経過した後、125μse
c(音声のサンプリング時間;8KHz)ごとにリング
バッファ30へ時系列順に出力する。
【0017】一方、回線2を介して近端側のセルが到着
すると、近端側入力セル処理回路部300はセルのヘッ
ダをチェックしてセルの損失や誤挿入の発生等の異常の
有無を調べ、正常時にはセルのペイロードから音声デー
タ(47バイト)を、また、異常時には定められた手順
で発生するダミーデータを音声データとして蓄積する。
【0018】ここで、近端側の音声データを時系列順に
Sin(0)、Sin(1)、Sin(2)、…と定義
すると、近端側入力セル処理回路部300は、セルが到
着する度に上記処理を繰返し、近端側の音声データをS
in(0)、Sin(1)、Sin(2)、…の時系列
順に蓄積する。蓄積した近端側の音声データは、セルの
揺らぎを吸収するのに十分な遅延時間m0’が経過した
後、リングバッファ30から適応化フィルタ10へ遠端
側の音声データを送出するタイミングに同期して125
μsecごとに適応化フィルタ10へ時系列順に出力す
る。このとき、遅延時間m0’は、遠端側入力セル処理
回路部200から出力される音声データと同期するよう
に設定する。
【0019】このように、遠端側入力セル処理回路部2
00、および近端側入力セル処理回路部300を有する
ことで、疑似エコー作成部100にそれぞれの音声デー
タが同期して入力されるため、後述する疑似エコー作成
部100の動作が確実に実行され、誤処理が防止され
る。
【0020】次に、疑似エコー作成部100の動作につ
いて説明をする。
【0021】疑似エコー作成部100を構成している適
応化フィルタ10は、例えば、LMS(最小2乗平均;
least−mean−square)アルゴリズムな
どの適応アルゴリズムにしたがってFIRフィルタ20
のフィルタ係数hj(T)を算出し、更新する。ここで
は、フィルタ係数のタップ数を512としたLMSアル
ゴリズムを例にして説明する。
【0022】動作を開始して時間Tが経過した適応化フ
ィルタ10は、リングバッファ30に蓄積された遠端側
の音声データRin(T−558)〜Rin(T−4
6)と、近端側入力セル処理回路部300に蓄積された
近端側の音声データSin(T−46)とを125μs
ec毎に読み出し、数1にしたがって数2を算出するた
めのフィードバック係数e(T)を算出し、数2にした
がってフィルタ係数hj(T)を算出する(ここで、D
は1セル当たりの音声データの数)。このとき、それぞ
れの音声データは1セル前に入力された音声データを使
用する。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】 一方、FIRフィルタ20は、適応化フィルタ10で算
出されたフィルタ係数hj(T)と、リングバッファ3
0に蓄積された最新のセルを含む遠端側の音声データR
in(T−511)〜Rin(T)とを読み出して、数
3にしたがって疑似エコーy(T)を作成し、バッファ
400に出力する。
【0025】
【数3】 エコー削除部500では、最新の近端側のセルが到着す
ると、作成済の疑似エコーy(T)をバッファ400か
ら読み出して数4の処理を行い、疑似エコーを減算した
音声データe’を回線3に出力する。
【0026】
【数4】 適応アルゴリズムは、通常、疑似信号と参照信号との差
をフィードバックして適応化を図るため、参照信号入力
前に疑似信号を作成することは不可能であるが、本発明
のエコーキャンセラでは、通話路系が呼ごとでは安定し
ていることを利用して、1セル前に入力された音声デー
タを使用して適応化フィルタ10でフィルタ係数hj
(T)を作成し、この作成したフィルタ係数hj(T)
を使用して最新のセルを含む遠端側の音声データからF
IRフィルタ20で疑似エコーを作成する。なお、この
ように1セル前に入力された音声データで算出したフィ
ルタ係数hj(T)を使用して疑似エコーを作成した場
合の、エコーキャンセラとしてのエコーの削除能力につ
いてはシミュレーションによって聴感上問題がないこと
を確認している。したがって、セル単位で音声データを
処理することが可能になるため、音声データのセル化に
よるエコーの発生が防止され、エコーを削減するための
処理時間が短縮される。
【0027】なお、本実施例では疑似エコーを作成する
タップ付き遅延線フィルタの例としてFIRフィルタ2
0を使用した場合で説明したが、FIRフィルタ20に
限らず、例えばIIRフィルタ(無限長インパルス応答
フィルタ)等を用いてもよい。また、適応化フィルタ1
0ではLMSアルゴリズムを用いてフィルタ係数を算出
しているが、LMSアルゴリズムに限らず、例えばRL
S(再帰最小2乗)アルゴリズム等によってフィルタ係
数を算出してもよい。
【0028】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。
【0029】請求項1に記載のものにおいては、最新の
セルを含む遠端側の音声情報からエコーの推定値である
疑似エコーを作成するタップ付き遅延線フィルタと、1
セル前に入力された遠端側セル、および近端側セルの音
声情報から、適応アルゴリズムにしたがってタップ付き
遅延線フィルタのフィルタ係数を算出する適応化フィル
タとを有することで、セル単位で音声情報を処理するこ
とが可能になるため、音声情報のセル化によるエコーの
発生が防止され、エコーを削減するための処理時間が短
縮される。
【0030】請求項2に記載のものにおいては、遠端側
入力セル処理回路部、および近端側入力セル処理回路部
を有することで、適応化フィルタにそれぞれの音声情報
が同期して入力されるため、疑似エコー作成時の誤処理
が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエコーキャンセラの構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
1〜3 回線 10 適応化フィルタ 20 FIRフィルタ 30 リングバッファ 100 疑似エコー作成部 200 遠端側入力セル処理回路部 300 近端側入力セル処理回路部 400 バッファ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤谷 宏 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 三浦 一真 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/20 - 3/23 H03H 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音声情報が所定の情報量からなるセルに
    分割され、前記セル毎に通信が行われるディジタル通信
    網上に設置されるエコーキャンセラであって、 遠端側からの音声情報のうち、最新のセルを含む音声情
    報からエコーの推定値である疑似エコーを作成するタッ
    プ付き遅延線フィルタと、 遠端側からの音声情報の中の1セル前に入力された音声
    情報、および近端側からの音声情報の中の1セル前に入
    力された音声情報から、適応アルゴリズムにしたがって
    前記タップ付き遅延線フィルタのフィルタ係数を算出す
    る適応化フィルタと、 前記遠端側の音声情報を一時的に保持し、前記適応化フ
    ィルタ、および前記タップ付き遅延線フィルタにそれぞ
    れ必要な音声情報を出力するリングバッファと、 前記タップ付き遅延線フィルタの出力を一時的に保持す
    るバッファと、 近端側の音声情報が入力されると、前記バッファから前
    記疑似エコーを読み出して該近端側の音声情報から前記
    疑似エコーを減算するエコー削除部と、を有することを
    特徴とするエコーキャンセラ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のエコーキャンセラにお
    いて、 遠端側からの音声情報を一時的に保持し、所定の時間の
    経過後、該遠端側からの音声情報をリングバッファに時
    系列順に出力する遠端側入力セル処理回路部と、 近端側からの音声情報を一時的に保持し、所定の時間の
    経過後、前記遠端側からの音声情報がリングバッファか
    ら適応化フィルタに出力されるタイミングに同期して、
    該近端側からの音声情報を前記適応化フィルタに送出す
    る近端側入力セル処理回路部と、を有することを特徴と
    するエコーキャンセラ。
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