以下、本考案の実施形態を図面に基づいて説明する
<第1の実施形態>
図1は本考案の第1の実施形態に係る画像表示装置200と画像印刷装置のブロック図である。ここでは、ユーザは、画像表示装置200で多色原稿の画像データ(以降、多色原稿画像データ)を作成した後、ネットワークLを介して多色原稿画像データを受信して印刷する孔版印刷装置100を例にして説明する。
孔版印刷装置100は、製版部102、印刷部103、制御部104、外部インターフェース部105、操作パネル106等を備えた多色印刷装置である。
印刷部103は、異なる色インクの版胴を装着可能な第1装着部(版胴103a)と第2装着部(版胴103b)とを備える。このように、本実施形態においては、2色刷り印刷を想定するが、本発明は一般の多色刷り印刷にも適用可能である。
制御部104は、処理装置(CPU)、RAM、ROM(図示せず)等で構成され、処理装置は、記憶手段(図示せず)に記憶されたプログラムやデータをRAMに読み出して処理し、処理結果に基づいて孔版印刷装置100全体を制御する。
操作パネル106は、ユーザから指示を受けるためのタッチパネル、キーボード、スイッチ(図示せず)等で構成される入力部と、ユーザに各種情報を表示するための液晶パネルやランプ(図示せず)等で構成される表示部を備える。
外部インターフェース部105は、孔版印刷装置100がネットワークLを介して原稿作成装置200と接続するための機能を備え、後述するインク色情報を含む各種データを画像表示装置200に送信する。
印刷部103は、版胴を装着できる2つの装着位置(第1装着位置及び第2装着位置)を備えており、第1装着位置、第2装着位置の順序で各装着位置に装着された版胴に印刷用紙を押圧して、各版胴から供給される色インクが、着版された孔版原紙穿孔を介して印刷用紙に転写されることで多色印刷する。以降、第1装着位置に装着される版胴を版胴103a、第2装着位置に装着される版胴を版胴103bとする。
また、各版胴には色インクを供給するインクボトルが装着される。制御部104は、例えば、インクボトルに貼り付けられたデータタグ等から読み取り手段を介して色インク情報(インク色名及びL*a*b*値)を読み取り、記憶手段に記憶する。以降、版胴103aの色インクを色インク1、版胴103bの色インクを色インク2と称する。
ここで、L*a*b*値とは、3つのパラメータL*,a*,b*の組(L*,a*,b*)で表される表色系における座標値のことであり、パラメータL*は明度(明るさ)を表し、パラメータa*及びb*は色度(色相+彩度)を表す。パラメータL*は0(暗い)〜100(明るい)の値をとり、パラメータa*及びb*は共に、−100〜100の値をとる。この表色系で表される色空間のことを以降ではL*a*b*色空間と称する。
なお、L*a*b*値は、分光式色差計等の測色器を用いて予め測定しておく。該測定値は、実際に用いる印刷用紙に対して実際にインクを塗布する際の塗布量、印圧等の条件下で該インクを塗布したときのL*a*b*値である。
孔版印刷装置100とネットワークLを介して接続される画像表示装置200は、例えば、パーソナルコンピュータにより実現され、各種情報を入力するキーボード、マウス、タッチパネル等の入力部201、画像データ等を含む各種データを表示する液晶パネル等のユーザインターフェース(表示部)を有する出力部202、外部インターフェース部210、制御部220、データ記憶部230、プリンタドライバ(サンプル画像作成部)240、アプリケーションプログラムを記憶するプログラム記憶部250、該アプリケーションプログラムに基づき多色原稿画像データを作成する原稿作成部260等を備える。
外部インターフェース部210は、画像表示装置200がネットワークLを介して孔版印刷装置100とを接続する機能を備え、原稿作成部260にて作成された多色原稿画像データを含む各種データを孔版印刷装置100に送信する。
制御部220は、処理装置(CPU)、RAM、ROM(図示せず)等で構成され、処理装置は、ROMやプログラム記憶部250に記憶されたアプリケーションプログラムやデータをRAMに読み出して各種の処理を行い、それらの処理結果に基づいて画像表示装置200全体を制御する。
データ記憶部230は、プリンタドライバ240にて作成されるサンプル画像の元となるカラー画像を記憶するカラー画像記憶部231と、該サンプル画像を作成するために用いられる色変換LUT(ルックアップテーブル)を記憶する色変換LUT記憶部232と、カラー画像から作成されたグレースケール画像を記憶するグレースケール画像記憶部233等を備える。
プリンタドライバ(サンプル画像作成部)240は、グレースケール画像作成部241、色変換部242、着色部243等を備える。
グレースケール画像作成部241は、色変換LUT記憶部232に記憶された色変換LUTを用いてカラー画像記憶部231に記憶されたカラー画像を色分解処理(分版処理)することによって、第1及び第2のグレースケール画像233−a及び233−bを作成する。
例えば、あるカラー画像を、黒赤(赤黒)分版、青赤(赤青)分版、緑赤(赤緑)分版処理することを想定した場合、色変換LUT記憶部232に記憶された黒赤(赤黒)分版用の色変換LUTを用いて、該カラー画像から黒版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを作成する。同じく、色変換LUT記憶部232に記憶された青赤(赤青)分版用の色変換LUTを用いて、該カラー画像から青版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを作成し、緑赤(赤緑)分版用の色変換LUTを用いて、該カラー画像から緑版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを作成する。これらのグレースケール画像はそれぞれ、0(黒)から255(白)までの階調値を有する。この場合には、1枚のカラー画像に対して6つの色変換LUTが必要となるが、この数は必要に応じて変更可能である。また、カラー画像も複数枚用意しておくことも可能であるが、以下では、1枚のカラー画像についての画像表示処理について説明する。
上記サンプル画像の作成の際に、誤差拡散、網点処理や強調・シェープアップ処理等の画像処理を施せば、カラーサンプル画像の特徴(写真、文字等の特徴)を生かした色再現も可能となる。
上記の例では、版胴103a用の第1グレースケール画像233−aとして、黒版用のグレースケール画像、青版用のグレースケール画像、緑版用のグレースケール画像が得られ、版胴103b用の第2グレースケール画像233−bとして、赤版用のグレースケール画像が得られることになる。
このとき作成された黒版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを重ね合わせた画像を黒赤印刷用のサンプル画像、青版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを重ね合わせた画像を青赤印刷用のサンプル画像、緑版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とを重ねあわせた画像を緑赤印刷用のサンプル画像としたとき、グレースケール画像作成部241は、装着された色インク1及び色インク2のインク色情報に対応したサンプル画像(例えば、色インク1が黒系の色インク、色インク2が赤系の色インクの場合には、黒赤印刷用のサンプル画像)を出力部202のユーザインターフェース上に表示する。
なお、色インクの色系の判別は、例えば、インク色情報中のL*a*b*値に基づいて行われる(ある範囲のL*a*b*値は赤系、別の範囲のL*a*b*値は青系など)が、インク色情報中のインク色名に基づいて行われてもよい。その場合、インク色名には、色系を示す情報が含まれるようにしておく。
色変換部241は、孔版印刷装置100の第1装着位置に装着された版胴103aの色インク1のインク色情報としてインク色名とそのL*a*b*値(これを(L*,a*,b*)=(L1*,a1*,b1*)とする)と、第2装着位置に装着された版胴103bの色インク2のインク色情報としてインク色名とそのL*a*b*値(これを(L*,a*,b*)=(L2*,a2*,b2*) とする)とを外部インターフェース210を介して孔版印刷装置100から取得し、各L*a*b*値を次の2つの変換式:
(L*a*b*色空間からXYZ色空間への変換式)
(XYZ色空間からRGB色空間への変換式)
に基づき、出力部202の色空間であるRGB色空間の値(これを(R,G,B)と書く)に変換する。ここで、Xγ,Yγ,Zγはそれぞれ、対象とする物体色と同一照明下の完全拡散反射面の3刺激値を表し、通常、Yγ=100と規格化される。以降では、版胴103aの色インク1のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*) の変換後の値を(R1,G1,B1)、版胴103bの色インク2のL*a*b*値(L2*,a2*,b2*)の変換後の値を(R2,G2,B2)とする。
着色部243は、色変換部242によって算出された版胴103aの色インク1のRGB値(R1,G1,B1)及び版胴103bの色インク2のRGB値(R2,G2,B2)を第1グレースケール画像231−a及び第2グレースケール画像231−bの階調値(0〜255段階)に対応付けて着色する着色部232等を備える。
詳細には、着色部243は、版胴103aの色インク1のRBG値(R1,G1,B1)を第1グレースケール画像231a−1の階調値0に対応させる。R,G,Bとも階調値の最大値は256なので、例えば、(R1,G1,B1)=(64,128,32)の場合には、R,G,Bの階調幅は、それぞれ、64÷256=0.25、128÷256=0.5、32÷256=0.125となる。従って、第1グレースケール画像231a−1の階調値が100の画素のRGB値は(R,G,B)=(100×0.25,100×0.5,100×0,125)=(25,50,12.5)として算出される。このような計算を各画素について行うことによって、版胴103aの色インク1のインク色情報(L*a*b*値)を用いて予め用意された第1グレースケール画像231a−1に着色する(これを着色画像1とする)。同様にして、版胴103bの色インク2のインク色情報(L*a*b*値)を用いて予め用意された第2グレースケール画像231a−2に着色する(これを着色画像2とする)。
このようにして作成された着色画像1と着色画像2とを重ね合わせることによって、ユーザの装着した色インク1及び色インク2に基づく最終的な着色画像を得る(これを印刷イメージ画像と称する)。この過程においては、例えば、ある画素(P1)に着目した場合に、着色画像1の画素(P1)のRGB値(R1(P1),G1(P1),B1(P1))と着色画像2の画素(P2)のRGB値(R1(P2),G1(P2),B1(P2))との間で各成分を比較し、小さい値を選択する。つまり、印刷イメージ画像の画素P1のRGB値を(R’,G’,B’)とすると、(R’,G’,B’)=(min(R1(P1),R1(P2)),min(G1(P1),G1(P2))),min(B1(P1),B1(P2)))となる。なお、このような選択は、実際の印刷に即した表示色をRGB色空間上で再現するために行われるものであって、色インクの3原色が減法混色の特徴を有することに基づくものである。
着色部243は、このような計算を全画素について行うことによって印刷イメージ画像を作成した後、該印刷イメージ画像を出力部202のユーザインターフェース上に表示させる。
原稿作成部260は、上述したアプリケーションプログラムに基づき2色原稿画像データを作成する。この2色原稿画像データは、例えば、グレースケール画像作成装置241により作成されたサンプル画像と着色部230により作成された印刷イメージ画像とを比較することによって、実際に得られるであろう印刷物の色合いを確認した後、装着された色インク1及び色インク2を用いた実際の印刷対象となるものである。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る画像表示装置の動作手順を図2に示すフローチャートを参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る画像表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザが、孔版印刷装置100の印刷部103の版胴103a及び版胴103bにそれぞれ色インク1及び2の入ったインクボトルを装着すると処理が開始される。
ステップST10において、制御部220は、外部インターフェース部210、ネットワークLを介して、版胴103a及び版胴103bの色インク1及び色インク2のインク色名とL*a*b*値をそれぞれ孔版印刷装置100の制御部104から取得する。
この場合、制御部104は、印刷部103の第1装着部、第2装着部に装着された版胴を版胴103a,103bと認識し、色インク1及び色インク2のインク色情報を版胴103a及び版胴103bに設けた記憶手段を介して読み取る。本実施形態では、インク色情報としてインク色名とL*a*b*色空間におけるL*a*b*値を取得する。また、印刷順序情報は第1装着部、第2装着部の順として記憶する。
ステップST20において、色変換LUT選択部242は、取得した色インク1のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*)と色インク2のL*a*b*値(L2*,a2*,b2*)に基づき、色変換LUT記憶部232に記憶された色変換LUTの中から最適な色変換LUTを選択する。例えば、版胴103aに色インク1を黒系の色インク、版胴103bに色インク2を赤系の色インクが装着された場合には、色変換LUT選択部は、黒赤分版用の色変換LUTを選択する。この色変換LUTの選択は、ユーザが好みに応じて行うようにも設定可能である。
ステップST30において、グレースケール画像作成部241は、選択された色変換LUTに基づき、カラー画像記憶部231に記憶されたカラー画像を一組のグレースケール画像(第1グレースケール画像233−a及び第2グレースケール画像233−bに色分解する。詳細は上述した通りであるが、この場合には、黒版用のグレースケール画像と赤版用のグレースケール画像とが作成される。これら第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bはグレースケール画像記憶部233に記憶される。
さらに、ステップST40において、グレースケール画像作成部241は、作成された第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bを重ね合わせることによって一枚のサンプル画像を作成する。このサンプル画像は、例えば、RAM上に一時保管される。
ステップST50において、色変換部242は、ステップST10において取得された色インク1のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*)と色インク2のL*a*b*値(L2*,a2*,b2*)を、(式1)及び(式2)を用いて、それぞれRGB値(R1,G1,B1),(R2,G2,B2)に変換する。
ステップST60において、着色部243は、変換された色インク1のRGB値(R1,G1,B1)及び色インク2のRGB値(R2,G2,B2)をそれぞれ、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bの階調値0の画素のRGB値として設定し、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bの階調幅をそれぞれ、
として算出する。ここで、Γ(Ri)(i=1,2)はグレースケール画像233−iのR値の階調幅、Γ(Gi)(i=1,2)はグレースケール画像233−iのG値の階調幅、Γ(Bi)(i=1,2)はグレースケール画像233−iのB値の階調幅を表す。
次に、ステップST70において、着色部243は、ステップST60において算出された第1グレースケール画像233−aの階調幅(Γ(R1),Γ(G1),Γ(B1))及び第2グレースケール画像233−bの階調幅(Γ(R2),Γ(G2),Γ(B2))に基づき、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bのそれぞれを構成する全画素のRGB値を、
として算出(着色)する。ここで、(j,k)は第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bを構成する各画素(2次元)の座標を表す。いま、出力部202の表示画面がN2個の画素から成る正方形である場合、j,kはそれぞれ1からNまでの整数値をとる。p(j,k)は座標(j,k)における階調値を表す。
そして、着色部243は、第1グレースケール画像233−aを構成する全画素のRGB値(R1(p(j,k)),G1(p(j,k)),B1(p(j,k)))(j,k=1,...,N)に基づき、第1グレースケール画像233−aを着色する(着色画像1)。同様に、着色部243は、第2グレースケール画像233−bを構成する全画素のRGB値(R2(p(j,k)),G2(p(j,k)),B2(p(j,k)))(j,k=1,...,N)に基づき、第2グレースケール画像233−bに着色する(着色画像2)。
さらに、ステップST80において、着色部243は、上記のようにして着色された着色画像1及び着色画像2を
として重ね合わせることによって、印刷イメージ画像(R’(p(j,k)),G’(p(j,k)),B’(p(j,k)))(j,k=1,...,N)を作成する。
ステップST90において、制御部220は、ステップST80で作成された印刷イメージ画像とステップST40で作成されたサンプル画像を出力部202のユーザインターフェース(表示部)上に表示させる。
その後、制御部220は、ステップST80において作成された印刷イメージ画像をピットマップデータとしてデータ記憶部230に保存する。これにより、再度同じ色インク1,2が版胴103a及び103bに装着された場合には、制御部220は、この印刷イメージ画像をデータ記憶部230からRAM上に単に呼び出せばよい。
図3は、サンプル画像と印刷イメージ画像とを表示した出力部202のユーザインターフェースの一例であり、本考案に係る画像印刷装置により分版印刷を行う際に表示される画面を表す。
図の左上の「原稿」は、ステップST40において作成されたサンプル画像を示し、左下の「印刷物」はステップST80において作成された印刷イメージ画像(サンプル画像の印刷イメージ画像)を示す。また、画面中央には、上から、「インク色情報の更新」、「1色プリント」、「2色プリント」の表示欄が設けられている。「インク色情報の更新」は、ユーザが孔版印刷装置100の版胴103aの色インク1及/又は版胴103bの色インク2を入れ替えたりした場合に、各種情報を更新するために使用される。また、「1色プリント」は、孔版印刷装置100の版胴103aのみを用いて1色刷り印刷を行う際に、版胴103aの色インク1のインク色名を表示する。このインク色名は制御部104によって自動的に読み取られる。「2色プリント」は、版胴103a及び版胴103bを用いて2色刷り印刷する際に、版胴103aの色インク1のインク色名(ここでは、ブラック)及び版胴103bの色インク2のインク色名(ここでは、レッド)を表示する。これらのインク色名も制御部104によって自動的に読み取られる。また、この例の場合、2色刷り印刷のモードの画面であるので、「製版」には「両方のドラム」が表示されている。
また、「分版方法」は、ステップST20において、版胴103aの色インク1のインク色情報と版胴103bの色インク2のインク色情報とに基づき、色変換LUTをどのように選択するかを設定する。「おすすめ分版(オート)」は、プリンタドライバ240がこれらのインク色情報から最適な色変換LUTを選択する際に使用される。一方、「マニュアル分版」は、ユーザが好みに応じて自身で色変換LUTを選択する際に使用される。
このように、本実施形態に係る画像表示装置200は、版胴103a及び103bの色インク1及び色インク2のL*a*b*値をそれぞれ取得して、これらのL*a*b*値から適切な色変換LUTを選択し、サンプル画像の雛型となるカラー画像から一組のグレースケール画像を作成する。同時に、色インク1及び色インク2のL*a*b*値をそれぞれRGB色空間上のRGB値に変換し、これらのRGB値を上記一組のグレースケール画像の階調値にそれぞれ対応付けて該グレースケール画像を着色する。そして、これら着色された画像を重ね合わせて作成した印刷イメージ画像を上記一組のグレースケール画像を重ね合わせて作成したサンプル画像と共に出力部202のユーザインターフェース(表示部)上に表示させた。
これにより、本実施形態に係る画像表示装置200では、たとえユーザの手持ちの色インクが孔版印刷装置100に対して規格外のものであったとしても、その色合いが規格品から極端に逸脱しない限り、ユーザは、装着された色インクに基づき上記のようにして作成された印刷イメージ画像を、画像処理装置200に予め記憶されたカラー画像から作成されたサンプル画像に対して作成された印刷イメージ画像と比較することによって、印刷物の色合いを適切に評価することができる。
次に、本実施形態の変形例について簡単に説明する。
(変形例1)
図4は、第1の実施形態に係るプリンタドライバの第1の変形例を示すブロック図である。本変形例では、プリンタドライバ240は、グレースケール画像作成部241、色変換部242、着色部243以外に、色補正部244を備える。
一般に、RGB色空間は、L*a*b*色空間のようなデバイス非依存の表色系とは異なり、出力部202に使用される表示機器に依存して表示の色合いが変わってしまう。そこで、本変形例では、例えば、出力部202の表示特性を表す補正係数γを入力部201から取得し、この補正係数γに基づき、
と補正する色補正部244を備える。ここで、補正係数γは、2.2〜2.5程度の値を取る。
これにより、第1の実施形態のステップST80において作成された印刷イメージ画像のRGB値(R’(p(j,k)),G’(p(j,k)),B’(p(j,k)))(j,k=1,...,N)を出力部202のユーザインターフェース上でほぼ遜色なく表示させることが可能となる。
(変形例2)
図5は、第1の実施形態に係るプリンタドライバの第2の変形例を示すブロック図である。本変形例では、プリンタドライバ240は、グレースケール画像作成部241、色変換部242、着色部243以外に、色差算出部245を備える。また、データ記憶部230に、典型的な色インク1及び色インク2のベタ印刷時のL*a*b*値を所定のサンプル画像と対応付けて、あるカラー画像に対する印刷イメージ画像として記憶させておく。
例えば、典型的な色インク1としてL*a*b*値(RT1*,GT1*,BT1*)を有する黒インクT1と典型的な色インク2としてL*a*b*値(RT2*,GT2*,BT2*)を有する赤インクT2に対応付けてサンプル画像1をデータ記憶部230に記憶させている状況を考える。
本変形例では、図2のフローチャートのステップST10とステップST20の間のステップ(これをステップST11とする)において、色差算出部245は、制御部220が取得した色インク1及び色インク2のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*),(L2*,a2*,b2*)とデータ記憶部230に予め記憶された黒インクT1及び赤インクT2のL*a*b*値(RT1*,GT1*,BT1*),(RT2*,GT2*,BT2*)との色差を、それぞれ、例えば、
として算出する。
次のステップ(これをステップST12とする)において、プリンタドライバ240は、算出された色差Δ1,Δ2がそれぞれ所定の閾値ΔTH1,ΔTH2以内、つまり、
を満たす場合には、ステップST90に移り、サンプル画像1を印刷イメージ画像として出力部202のユーザインターフェース上に表示させる。
一方、色差Δ1,Δ2がそれぞれ所定の閾値ΔTH1,ΔTH2より大きい、つまり、
を満たす場合には、ステップST20以降の処理を行い、プリンタドライバ240は、ステップST80において作成された印刷イメージ画像を、出力部202のユーザインターフェース上に表示させる。
なお、閾値ΔTH1,ΔTH2は異なる値に設定しても同じ値に設定してよい。これらの閾値は、例えば、予め様々な2つの色インクの組み合わせを用いて印刷物に印刷し、印刷物に印刷された各色インクをユーザの目で区別可能であるか否かに基づいて決められる。また、予め記憶させるサンプル画像は複数枚であってもよい。ここで、(式9)を満たす色インクの組が複数ある場合には、ステップST11において、制御部220が取得した色インク1及び色インク2のL*a*b*値との色差が最も小さいL*a*b*値を有する色インクから作成されたサンプル画像を選択するような構成とすればよい。
これにより、閾値未満の色インクが装着された場合には、グレースケール画像への着色処理を行うことなく、予め記憶されたサンプル画像をそのまま表示させるので、第1の実施形態と比較して必要最低限の着色処理で済ませることが可能となる。
(変形例3)
図6は、第1の実施形態に係るプリンタドライバの第3の変形例を示すブロック図である。本変形例は、変形例2の変形であり、プリンタドライバ240は、グレースケール画像作成部241、色変換部242、着色部243、色差算出部245以外に、色分布算出部246を備える。また、データ記憶部230に、典型的な色インク1及び色インク2のベタ印刷時のL*a*b*値を所定のサンプル画像と対応付けて、あるカラー画像に対する印刷イメージ画像として複数枚記憶させておく。
本変形例では、色分布算出部246は、版同103a及び版同103bに色インクが装着される回数に応じて、制御部220によって取得される色インク1,2それぞれのL*a*b*値の分布を算出する。
たとえば、黒系の色インクと赤系の色インクの組み合わせについてのL*a*b*値の分布として、以下のことが行われる。黒系の色インクのL*a*b*値および赤系の色インクをそれぞれ、n個の領域に分ける。ここで、nは2以上の自然数である。他の系の色インクの組み合わせについても同様に行う。制御部は、2つの色インクが装着されるごとに、各色インクがどの系の組み合わせに属するか判別し、次に、どの領域に属するか判別し、判別した領域に属する系の色インクの組み合わせの装着度数に1を加えることで、装着度数のカウントを、2つの色インクが装着されるごとに、行う。そして、制御部220によって取得される色インク1,2それぞれのL*a*b*値の分布として、上記組み合わせ(黒系の色インクと赤系の色インクの組み合わせなど)ごとに、各領域に対する装着度数(黒系の色インクのL*a*b*値の第1の領域と赤系の色インクのL*a*b*値の第1の領域範囲とに対する装着度数、黒系の色インクのL*a*b*値の第2の領域と赤系の色インクのL*a*b*値の第2の領域とに対する装着度数、・・・、黒系の色インクのL*a*b*値の第nの領域と赤系の色インクのL*a*b*値の第nの領域とに対する装着度数)の分布を算出する。
これに基づき、制御部220は、分布の度合いの低いL*a*b*値を有する色インクから作成されたサンプル画像を削除し、残りのサンプル画像のL*a*b*値と上記分布の傾向とから新たなL*a*b*値を算出し、算出されたL*a*b*値を用いて、グレースケール画像記憶部233に記憶されているグレーサンプル画像に着色したカラー画像を新たなサンプル画像としてデータ記憶部に記憶させる。
例えば、制御部220は、所定期間ごとに、装着度数が0(0以外の低い値でもよい)に対応する領域の色インクの組み合わせのサンプル画像が記憶されているか否かを判別し、記憶されている場合には、上記サンプル画像を削除する。そして、制御部220は、装着度数が高い領域を抽出し、その領域の色インクの組み合わせのサンプル画像が記憶されていない場合には、上記のようにしてサンプル画像を作成し、削除されたサンプル画像の代わりとして、上記サンプル画像を記憶させる。
これにより、ユーザの利用頻度に応じて使用される色インクの傾向に合わせたサンプル画像を常に記憶しておくことができる。加えて、このような構成としたことによって、変形例2の効果に加えて、予め記憶させるサンプル画像の数を最小限にすることができ、且つサンプル画像作成の手間を少なくすることができる。
<第2の実施形態>
図7は、本考案の第2の実施形態に係る画像表示装置340を備えた孔版印刷装置300と、ネットワークLを介して接続された原稿作成装置400とを示すブロック図である。この画像印刷装置においては、ユーザは、原稿作成装置400で多色原稿画像データ作成し、ネットワークLを介して孔版印刷装置300に多色原稿画像データを送信して印刷する、或いは孔版印刷装置300の原稿読み取り部101で多色原稿画像を多色原稿画像データとして読み取って印刷する、の何れも可能である。
孔版印刷装置300は、原稿読み取り部101、製版部102、印刷部103、制御部104、外部インターフェース部105、操作パネル106、データ記憶部330、画像表示装置340等を備えた多色印刷装置であり、印刷部103は異なるインク色の版胴を装着可能な第1装着部(版胴103a)と第2装着部(版胴103b)を備える。
製版部102、印刷部103、制御部104、外部インターフェース部105、操作パネル106はそれぞれ、第1の実施形態と同一であるので説明を省略する。
原稿読み取り部101は、スキャナー等で構成され印刷すべき多色原稿画像を光学的に読み取り、スキャナーの色空間の多値画素値(ビットマップ画像データ)を出力する。
制御部104は、処理装置(CPU)、RAM、ROM(図示せず)等で構成され、処理装置は、画像処理装置は各種アプリケーションプログラムをRAMに読み出して各種の処理を行うことによって孔版印刷装置300全体を制御する。
データ記憶部330は、カラー画像記憶部331、色変換LUT記憶部332、グレースケール画像記憶部333等を備えている。カラー画像記憶部331、色変換LUT記憶部332、グレースケール画像記憶部333はそれぞれ、第1の実施形態で説明したカラー画像記憶部231、色変換LUT記憶部232、グレースケール画像記憶部233と同等であるので、詳細な説明は省略する。
画像表示装置340は、グレースケール画像作成部341、色変換部342、着色部343、入力部344、出力部345等を備えている。グレースケール画像作成部341、色変換部342、着色部343はそれぞれ、第1の実施形態で説明したグレースケール画像作成部241、色変換部242、着色部243と同等であるので、詳細な説明は省略する。
入力部344は、各種情報を入力するキーボード、マウス、タッチパネル等から構成される。出力部355は、画像データ等を含む各種データを表示する液晶パネル等のユーザインターフェース(表示部)を有する。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る画像表示装置の動作手順を図8に示すフローチャートを参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る画像表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
ユーザが、孔版印刷装置300の印刷部103の版胴103a及び版胴103bにそれぞれ色インク1及び2の入ったインクボトルを装着すると処理が開始される。
ステップST110において、制御部140は、版胴103a及び版胴103bの色インク1及び色インク2のインク色名とL*a*b*値をそれぞれ取得する。
この場合、制御部104は、印刷部103の第1装着部、第2装着部に装着された版胴を版胴103a,103bと認識し、色インク1及び色インク2のインク色情報を版胴103a及び版胴103bに設けた記憶手段を介して読み取る。本実施形態では、インク色情報としてインク色名とL*a*b*色空間におけるL*a*b*値を取得する。また、印刷順序情報は第1装着部、第2装着部の順として記憶する。
ステップST120において、色変換LUT選択部342は、取得した色インク1のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*)と色インク2のL*a*b*値(L2*,a2*,b2*)に基づき、色変換LUT記憶部332に記憶された色変換LUTの中から最適な色変換LUTを選択する。
ステップST130において、グレースケール画像作成部341は、選択された色変換LUTに基づき、カラー画像記憶部331に記憶されたカラー画像を一組のグレースケール画像(第1グレースケール画像333−a及び第2グレースケール画像333−bに色分解する。これら第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bはグレースケール画像記憶部333に記憶される。
さらに、ステップST140において、グレースケール画像作成部341は、作成された第1及び第2グレースケール画像333−a,333−bを重ね合わせることによって一枚のサンプル画像を作成する。このサンプル画像は、例えば、RAM上に一時保管される。
ステップST150において、色変換部342は、ステップST110において取得された色インク1のL*a*b*値(L1*,a1*,b1*)と色インク2のL*a*b*値(L2*,a2*,b2*)を、(式1)及び(式2)を用いて、それぞれRGB値(R1,G1,B1),(R2,G2,B2)に変換する。
ステップST160において、着色部343は、変換された色インク1のRGB値(R1,G1,B1)及び色インク2のRGB値(R2,G2,B2)をそれぞれ、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bの階調値0の画素のRGB値として設定し、(式3)及び(式4)を用いて、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bの階調幅(Γ(R1),Γ(G1),Γ(B1)),(Γ(R2),Γ(G2),Γ(B2))をそれぞれ算出する。
次に、ステップST170において、着色部343は、ステップST160において算出された第1グレースケール画像333−aの階調幅(Γ(R1),Γ(G1),Γ(B1))及び第2グレースケール画像333−bの階調幅(Γ(R2),Γ(G2),Γ(B2))に基づき、(式4)を用いて、第1及び第2グレースケール画像233−a,233−bのそれぞれを構成する全画素のRGB値(R1(p(j,k)),G1(p(j,k)),B1(p(j,k)))(j,k=1,...,N),(R2(p(j,k)),G2(p(j,k)),B2(p(j,k)))(j,k=1,...,N)をそれぞれ算出(着色)する。
そして、着色部343は、第1グレースケール画像233−aを構成する全画素のRGB値(R1(p(j,k)),G1(p(j,k)),B1(p(j,k)))(j,k=1,...,N)に基づき、第1グレースケール画像233−aを着色する(着色画像1)。同様に、着色部243は、第2グレースケール画像233−bを構成する全画素のRGB値(R2(p(j,k)),G2(p(j,k)),B2(p(j,k)))(j,k=1,...,N)に基づき、第2グレースケール画像233−bに着色する(着色画像2)。
さらに、ステップST180において、着色部43は、上記のようにして着色された着色画像1及び着色画像2を、(式5)を用いて重ね合わせることによって、印刷イメージ画像(R’(p(j,k)),G’(p(j,k)),B’(p(j,k)))(j,k=1,...,N)を作成する。
ステップST190において、制御部104は、ステップST180で作成された印刷イメージ画像とステップST140で作成されたサンプル画像を出力部344のユーザインターフェース(表示部)上に表示させる。
その後、制御部104は、ステップST180において作成された印刷イメージ画像をピットマップデータとしてデータ記憶部330に保存する。これにより、再度同じ色インク1,2が版胴103a及び103bに装着された場合には、制御部104は、この印刷イメージ画像をデータ記憶部330からRAM上に単に呼び出せばよい。
このように、本実施形態に係る画像表示装置340は孔版印刷装置300と一体的な構成としたことによって、第1の実施形態の効果を孔版印刷装置単独で得ることが可能となる。
以上、本交換の画像表示装置を2つの実施形態に基づいて説明したが、本考案はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上記の各実施形態では、インク色情報として、色インク1,2のインク色名とL*a*b*値を取得する構成としたが、各色インクの色値として、L*a*b*値の変わりに、同じくデバイス非依存の表色系であるXYZ色空間の色値を取得する構成にしてもよい。その場合には、式(1)の変換が不要となるだけで、その他の構成は上記の各実施形態と同様の構成としてよい。また、例えば、デジタルカメラ等の画像データのRGB値を直接取得する構成としてもよい。その場合には、式(1)及び式(2)の変換が不要となるだけで、その他の構成は上記の各実施形態と同様の構成としてよい。
さらに、上記の各実施形態では、作成された印刷イメージ画像とサンプル画像とを一括してインターフェース上に表示する構成とした(第1の実施形態におけるステップST90、第2の実施形態におけるステップST190)が、この印刷イメージ画像をサンプル画像作成の雛型となるカラー画像と一緒に表示させたり、当該印刷イメージ画像を単独で表示させたりすることも可能である。
さらに、上記の各実施形態では、印刷装置として孔版印刷装置を例に挙げて説明したが、その他の印刷装置に適用することも可能である。