JP3122755B2 - 真偽判別可能な印刷物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は真偽判別可能な印刷物に関するものである。
さらに詳しくは偽造防止効果を高めると共に、偽造物に
対する真偽の判別が容易な印刷物に関するものである。

〔従来の技術〕 銀行券をはじめとする諸証券類は常に偽造の危険にさ
らされている。その対策として真偽を識別する方法が従
来から試みられており、視覚によって判別する方法や、
機械的に判別する方法などが提案されている。そのうち
視覚による方法は機械的に判別する方法と異なり、特殊
な装置を必要とせず、一般的にも直ちに真偽が判別でき
る利点がある。この視覚的に判別する方法のうち、印刷
物に潜像を付与する方法については印刷画線の盛りの良
い凹版印刷を用い、画線の方向の違いから潜像を付与す
る方法が既に行われているが、これは製版に時間がかか
り、また、多大なコストがかかるという問題がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記のように凹版印刷を用いて潜像を付与する方法は
多大なコストと時間がかかるが、本発明では製版が容易
で、安価なオフセット印刷により潜像を付与することの
できる真偽判別可能な印刷物を得ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

色相の同じ光沢インキと無光沢インキを用い、それぞ
れを重ねてオフセット印刷を行う。その印刷物の光沢イ
ンキ皮膜表面は正反射し、無光沢インキ皮膜表面は乱反
射するので、その反射光の差から潜像を付与することが
できる。なお、ここに用いた光学インキは微細で濡れの
良い有機顔料を用い、ワニス配合量を多くして練合する
ことにより製造できる。また、無光沢インキは粒子径が
大きく濡れの悪い無機顔料を主体的に配合し、ワニス配
合量を少なくして練合することによって製造できる。

なお、光沢インキには合成樹脂及び乾性油の含有量の
多い光沢ワニスを用い、無光沢インキには合成樹脂及び
乾性油の含有量が少なく、浸透性の良い無光沢ワニスを
用いればさらに良好な印刷物が作製できる。また、光沢
インキとしてはUVインキを用いることもできる。

〔作用〕

本発明の印刷物は２種のインキを用いているが全く同
色であり、上から見た場合は潜像は認められないが、傾
けることによって潜像が確認できる。

〔実施例〕

実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこの例によって、なんら限定されるものではな
い。

（１） 光沢インキの製造例 光沢ワニスは荒川化学製ロジン変性フェノール樹脂
（タマノールKG1808）に、乾性油（あまに油と桐油を6:
4）を加え、220℃で40分溶解し、その後日本石油製６号
ソルベントを加えて、170℃で30分撹拌することにより
製造した。ワニス配合は合成樹脂38％、乾性油40％、石
油溶剤22％とした。このワニスを用いて光沢インキを作
製した。インキ配合を以下に示す。

（２） 無光沢インキの製造例 無光沢ワニスは大日本インキ製ロジン変性フェノール
樹脂（ベッカサイト1126）に、乾性油（あまに油と桐油
を6:4）を加え、250℃で溶解し、その後、日本石油製０
号ソルベントＨを加えて、170℃で30分撹拌することに
より製造した。ワニス配合は合成樹脂33.3％、乾性油3
3.3％、石油溶剤33.3％とした。このワニスを用いて無
光沢インキを製造した。インキ配合を以下に示す。無機
顔料としては硫酸バリウム（ピグメントホワイト21）を
使用した。

上記の各インキを用いて例えば第１図に示すような図
柄の印刷物（Ａ）を作製した。第１図の印刷物（Ａ）の
文字、即ち図では「印」の部分（１）を無光沢インキ、
背景（２）を光沢インキでオフセット印刷した。この印
刷物（Ａ）は上から見ると「印」の文字は見えず、１色
の印刷物に見えるが、第２図のように角度を変えて見る
ことにより潜像（１′）として隠れていた「印」の部分
が現れてくる。

〔発明の効果〕

本発明の印刷物は２種のインキを用いているが、同色
のため、一見すると１種のインキを用いているように見
える。しかし、この印刷物を傾けてみると光沢差による
潜像が現れてくる。この印刷物を写真的に色分解して偽
造しようとしても、その偽造された印刷物には本発明に
おける潜像は現れないため、偽造防止効果が大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の印刷物の図柄を示す平面図。第２図
は第１図の印刷物を傾けて見た場合を示す図。 （Ａ）……印刷物 （１）……無光沢インキ （２）……光沢インキ （１′）……潜像

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 3/14 B42D 15/10 G03G 21/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】印刷物を同色で、図柄の一方と他方を光沢
   の異なるインキで印刷し、正面から見たときは１種のイ
   ンキで印刷したように見えるが、印刷物を傾けると潜像
   が現れてくることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。
2. 【請求項２】光沢インキは濡れの良い微細な有機顔料を
   用い、無光沢インキは濡れが悪く粒子径の大きい無機顔
   料を主体的に配合して製造した請求項１記載の真偽判別
   可能な印刷物用インキ材。