JP2002226753A - 偽造防止用インキ及び印刷物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】有価証券、銀行券、商品券、カード類の現金交
換価値のある印刷物が大量に出回っており、これらの模
倣、偽造行為が頻発し、偽造抑止又は防止のための対策
が講じられつつあるが、特殊な印刷技術又は精密な高価
な測定装置を必要とするものが少なくないので、印刷物
の真偽判定に高度の印刷技術又は精密な測定装置を使用
せずにオリジナルとそのコピーとを単に肉眼だけで真偽
を判別しうるような簡便な方法が要望されている。 【解決手段】一見同色に見える複数個の色素について、
長波長の赤色から赤外の領域において著しく反射、吸収
特性の異なる色素からなるインキを組み合わせて印刷物
を作成することによって、印刷物自身においては判別が
殆どできない模様、図形がカラーコピーしたとき、色
相、濃度のずれを生ずることによって、肉眼によっても
明らかに両者の相違を感知し、真偽の判断が簡単に、か
つ短時間になしえられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】有価証券、銀行券、商品券、
チケット、カード等をカラーコピー機による複写偽造抑
止又は防止しうる印刷用インキ及び該インキを用いて印
刷した印刷物及び真偽を識別する装置に関する技術分野
に属する。

【０００２】

【従来の技術】特開平１１−４８５９９号公報、特開２
０００−６５６５号公報又は特開２０００−１６００８
５号公報等があるが、特開平１１−４８５９９号公報は
上層と下層との二重構造の印刷インキを用いており、カ
ラーコピーによっては特定の部分がオリジナルと異なる
図形に表示されることによって真偽の弁別が可能である
としており、特開２０００−６５６５号公報は同色同濃
度の牽制潜像部と非牽制潜像部とにおいて例えば異なる
網点のサイズ又は濃度とすることによって、コピーとオ
リジナルとは異なる像を示すことを特徴としており、特
開２０００−１６００８５号公報はインキ組成物が活性
光線硬化型重合液晶組成物からなっており、光の方向に
よって異なる色調を示すもので、カラーコピーによって
は再現し難いことを特徴としており、この技術分野にお
いては従来からカラーコピー機で解像できる大きさの網
点印刷と解像できない大きさの網点印刷を組み合わせ、
解像能力を越える微細文字を印刷し、微細文字をルーペ
を用いて真偽を判定する方法、又は特定波長光を照射す
ると、蛍光を発する透明蛍光インキで予め印刷してお
き、この部分をたとえばブラックライトで照射し真偽を
判定する方法等が用いられてきている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
技術は高度な印刷技術が要求されるし、また真偽判定に
特殊な器具又は装置を必要とするため、高度な印刷技術
又は精密な測定装置等を用いることなく従来の技術水準
で容易に印刷可能なインキを用い、その印刷物のコピー
とオリジナルとの真偽判定が特殊の装置を用いずに単に
肉眼で可能である方法を開発することが望まれていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】一見同色に見える複数個
の色素において、長波長の赤色から赤外の領域において
著しく異なる反射、吸収特性を有する色素からなるそれ
ぞれのインキを用いて印刷することによって、オリジナ
ルの印刷では判別できないが、カラーコピーしたとき色
相、濃度のずれを生じ肉眼によって明らかに真偽を判断
することができる。

【０００５】それぞれフタロシアニン系及びカーボニル
基を有する多環式系に属する色素を５〜４０％を含有す
るインキを調製したとき、前者の色素は赤色領域の範囲
内で１０％以下のほぼ水平に近いきわめて緩い傾斜の反
射率を示すのに対し、後者の色素は同一の領域の比較的
短い波長の範囲では前者と大差はないが、長い波長の範
囲においては反射率は急激に上昇して７０％程度の差を
生ずることによって、両者をほぼ同一の色調に調色し、
カモフラージュ図形を印刷することによって、これをカ
ラーコピーによって複写した場合前者の２種の特性を異
にする色素からなるインキで印刷された図形とは異なっ
た色調、濃度に仕上がることによって、コピーとオリジ
ナルとを肉眼によっても判断しえられるようなインキの
組み合わせに到達しえた。

【０００６】

【発明の実施の形態】赤色の長波長領域において、反射
率の著しく異なる２種のほぼ同一の色相を有し、肉眼で
は明らかには識別できない色素からなるインキを用い
て、基材の上にカモフラージュした文字、図形等を印刷
した印刷物を調製したとき、オリジナルではカモフラー
ジュした図柄は色相が近似しているため、肉眼ではその
差を識別することができず、そのカモフラージュした図
柄を認識しえないが、カラーコピーした印刷物では色相
のずれ、濃度変化を生じてくるため、肉眼でも偽造の有
無を容易に識別しうる。

【０００７】

【実施例】赤色波長領域の比較的短い波長の範囲と長い
波長の範囲の間で反射率が急激に変化するカーボニル基
を有する多環式系に属する色素にチタン白、亜鉛華、リ
トポン、炭酸カルシュウム、シリカ、アルミナ等の白色
顔料を添加し、ビヒクル、添加剤を加えて約２５％の濃
度のインキを調製し、また前記の色素とほぼ同一の色調
を有し、赤色の波長領域ではきわめてゆるやかな反射率
の変化しかしないフタロシアニン系の色素に前記の白色
顔料、体質顔料を調合し、２種のインキを調製する。

【０００８】インキはＵＶインキ、油性インキ、水性イ
ンキのいずれでもよく、両者のインキは目視判定では差
がないような色相に調色され、カモフラージュパタンは
オフセット、グラビア、シルクスクリーン、凸版印刷等
の周知の方法で印刷する。

【０００９】前述の両者の色素を用いて色相をほぼ同一
のダークグリーンのＵＶインキに調製し、ベタ印刷し、
ＸＥＲＯＸ社のＤｏｃｕｃｏｌｏｒ１２５０の装置によ
ってカラーコピーしたところ、図１及び図２に示すよう
に、特別の測定機を使用することなく自然光の下で目視
によって１０人のパネラーがオリジナルとコピーと異な
っていることを容易に判定しえた。

【図１】

【図２】

【００１０】特殊なインキを用いて隠し文字、図柄を印
刷しておき、通常のインキでカモフラージュする図柄を
作成したが、網点印刷でさらにカモフラージュすること
も可能であり、この場合、オリジナルとコピーとを肉眼
で比較しても隠し文字、図柄がかなり鮮明な相違が見ら
れ、偽造印刷物であることが識別できた。

【００１１】

【発明の効果】本発明はカラーコピー機のセンサーに特
異な反応を示す色素を配合した特殊なインキに通常の反
応しか示さないインキとをほぼ同一の色相に調製し、あ
まり高度の印刷技術を駆使することなくカモフラージュ
パターンを印刷することが可能となり、特殊な測定機を
必要とせず、偽造の有無を識別しうるという特徴を有す
る。

【００１２】オリジナルの図形がほぼ同色に肉眼では見
えても、その波長領域で明らかに反射率を異にする色素
からなるインキで印刷された場合にカラーコピー機では
オリジナルに使用されたインキを構成する２つの色素の
反射率の相違に起因して２つの色素の部分では著しく異
なったコピー像が現れるため、肉眼で両者の相違を簡単
に認識しうるという特徴を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の色素からなるインキを用いて印刷され
たオリジナルの図形を示す。

【図２】第１図のオリジナルをカラーコピーした場合の
コピーの図形を示す。

【符号の説明】

１ 第１像 ２ 第２像

フロントページの続き (72)発明者 田邊 久幸 大阪市西淀川区姫里３丁目12番25号 日本 コレス株式会社内 (72)発明者 畑 邦雄 大阪市西淀川区姫里３丁目12番25号 日本 コレス株式会社内 Ｆターム(参考） 2C005 HA02 HB04 HB09 HB10 HB13 JB11 JB25 2H113 AA06 BC01 BC02 BC09 CA39 CA40 CA45 2H134 NA06 NA27 NA28 4J039 BA13 BA16 BA21 BA30 BA31 BA35 BC16 BC60 BE01 BE02 CA03 CA04 CA06 CA07 EA06 GA01 GA02 GA03 GA10 GA13

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】特定の長波長領域において反射、吸収率を
   異にする色素を含有する組成物を複数個組み合わせて使
   用して、印刷物の真偽を判別しうることを特徴とする偽
   造防止用インキ。
2. 【請求項２】カラーコピーによって複写したコピーとオ
   リジナルとを目視によって真偽の判別を可能ならしめる
   請求項１の偽造防止用インキを用いてカモフラージュパ
   ターン、網点印刷してなることを特徴とする印刷物。