JP3122350U - 褥瘡防止・治療用パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】被介護者の身体との密着性を高め、患部の位置から容易に移動してしまわない褥瘡防止・治療用パッドを提供する。
【解決手段】褥瘡防止・治療用パッドは、人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のシリコーンゴムなどのゴム材料等のエラストマーから成り、穴部3を形成した場合に当該穴部3が仰臥した人の仙骨部または肩甲部に生じる褥瘡6を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体2と、前記面状体2の略中央に、前記仰臥した人の仙骨部または肩甲部に生じる褥瘡6をカバーする大きさで設けられた穴部3とを有する。
【選択図】図1

Description

本考案は、所謂寝たきりの老人等に生じる褥瘡(床ずれ)の防止および同治療の補助に用いる褥瘡防止・治療用パッドに関する。
褥瘡(床ずれ)は、長期臥床中の被介護者の背中や腰などの骨の突出部位に発生する壊死性の皮膚障害である。褥瘡の頻発する部位は、仰臥位では仙骨部、踵部、肩甲部に、側臥位時では腸骨部であることが臨床上分かっている。このうち尾骨近くにある仙骨部には体重の半分近くが加わるため、最も褥瘡が発生しやすく、全体の6割近くを占めている。褥瘡は骨突起部の周辺に集中して発生しており、この部位の圧力の集中を避けるようにすることで事実上褥瘡を防止または解消できるといえる。
従来、褥瘡に対する治療の補助に関しては、主にドーナツ型の座部から成るクッション(円座)が用いられており、その使用の際の改良がいろいろ行われている(例えば、特許文献1参照)。しかし、一般に、円座はファスナーを縫着した円環状の袋体内にクッション本体を詰めた構造を有し、尻に敷く大きさのものであるため、以下に述べるような幾つかの問題点がある。
(1)円座の上記材質および構造的な問題により、圧力が分散しづらい状態で加わるため、血管の圧迫による創部の鬱血または虚血が生じ易い。すなわち、上記構造の円座では、かえって患部の周囲を圧迫し、新たに褥瘡(床ずれ)を発生するおそれがある。
(2)円座の円環状の袋体内に充填されているクッション本体は、ポリウレタンホームなどであるため容易に変形しやすい。この円座が容易に変形しやすいことに起因して、患者身体の深部組織のずれが生じ易い。
(3)円座の外皮をなす円環状の袋体は、通気性や敷き心地を重視した布などの材料からできているため、身体との密着性に乏しく、患部の位置から容易に移動してしまう。したがって、被介護者は、創部よりも円座が当たる周囲皮膚に疼痛があるため、自ら疼痛を減少させようとして、むしろ円座の圧迫が大きい部位を褥瘡部位で受けようとし、その結果として褥瘡を悪化させてしまう。
(4)円座の中心部の皮膚が引きつり、褥瘡部の血流を悪化させることにより更に褥瘡を悪化させてしまう、こと等が挙げられる。
現在褥瘡に対する最も有効な予防および治療手段は、頻繁な体位交換程度しかなく、2010年には寝たきり老人が155〜20万人にも達すると目され、寝たきり老人の多くが介護保険の下で、各施設や在宅で治療を受けるものと考えられる。このため、より有効な褥瘡の治療および予防に関する器具の開発が必要とされている。
特開平11−235364号公報
本考案は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本考案の目的は、被介護者の身体との密着性を高め、患部の位置から容易に移動してしまわない褥瘡防止・治療用パッドを提供することにある。
本考案の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体と、前記面状体の略中央に、前記仰臥した人の褥瘡をカバーする大きさで設けられた穴部と、を有することを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
(2)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(1)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(3)前記面状体が円形の輪郭を有し、その中央に前記穴部として円形の貫通孔を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(4)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、前記面状体が、仰臥した人の臀部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、背部下部近傍から大腿の付け根の近傍までの長さを有すると共に、左右の長さが、臀部の両側間に相当する長さを有し、さらに、仰臥した人の腰部の両脇を固定するための隆起部を備え、前記受けパッドが、前記仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡に対応する箇所に、当該褥瘡をカバーする大きさの穴部を有する、ことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
(5)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(4)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(6)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、前記面状体が、仰臥した人の肩甲骨部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、第9ないし第12肋骨上部近傍から肩をカバーするまでの長さを有すると共に、左右の長さが、胸部中央から上腕をカバーするまでの長さを有し、さらに、仰臥した人の脇の下に相当する部位に体を固定するための隆起部を備え、前記受けパッドが、前記仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡に対応する箇所に、当該褥瘡をカバーする大きさの穴部を有する、ことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
(7)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(6)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(8)前記エラストマーは、硬度が2度〜30度(JIS−A)のゴム材料であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(9)前記エラストマーは、硬度が5度〜25度(JIS−A)のゴム材料であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(10)前記エラストマーは、シリコーンゴムであることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(11)前記エラストマーは、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする上記(1)、(4)、又は(6)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(12)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する円形の面状体から構成されていることを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
(13)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(12)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(14)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、前記面状体が、仰臥した人の臀部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、背部下部近傍から大腿の付け根の近傍までの長さを有すると共に、左右の長さが、臀部の両側間に相当する長さを有し、さらに、仰臥した人の腰部の両脇を固定するための隆起部を備えたことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
(15)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(14)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(16)人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、前記面状体が、仰臥した人の肩甲骨部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、第9ないし第12肋骨上部近傍から肩をカバーするまでの長さを有すると共に、左右の長さが、胸部中央から上腕をカバーするまでの長さを有し、さらに、仰臥した人の脇の下に相当する部位に体を固定するための隆起部を備えたことを特徴とする記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(17)前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする上記(16)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(18)前記面状体は、仰臥した人の褥瘡をカバーする任意の形状および大きさの穴部を形成するための始端となる小径の孔を有することを特徴とする上記(12)〜(17)のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(19)前記エラストマーは、硬度が2度〜30度(JIS−A)のシリコーンゴムであることを特徴とする上記(12)〜(18)のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
(20)前記エラストマーは、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする上記(12)、(14)、又は(16)に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
本考案の褥瘡防止・治療用パッドは、その面状体が、人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のゴム材料等のエラストマーにより形成されている。従って、被介護者の体に直接にまたは衣類を通して間接に当てた場合に、密着性が従来よりも高く、横方向への応力に対しても強靱であることから、被介護者が安静仰臥位で臥床したとき、例えば仙骨部または肩甲部における患部の位置から容易に移動しない。このことは、被介護者自らが疼痛を減少させようとして本考案の褥瘡防止・治療用パッドを褥瘡部に移動させることが、物理的に行い難いことを意味しており、この結果、医学的に良好な予防および治療が継続できることから、従来の円座等が抱えていた問題を解決し得るものである。
この結果、穴部の中に患部の褥瘡を収納し保護した状態で体重をかけた場合、その体圧に対し、患部の褥瘡に対する減圧作用が適正に確保され、褥瘡の発症の予防や褥瘡の治癒が効果的に行われる。
また本考案における褥瘡防止・治療用パッドは、その面状体が内実の低硬度のゴム材料等のエラストマーからできているため、従来の袋体の中に充填物を入れた嵩高な円座等に比べ、厚さが薄くなることから、褥瘡周辺の皮膚組織に対する圧力を、より均一に分散させることが可能となる。結果として、創部の鬱血、虚血を起こす可能性が減少され、被介護者が訴える違和感および疼痛なども少ない。
故に、本考案の褥瘡防止・治療用パッドによれば、有効な褥瘡の予防および治療の補助が可能となる。
以下、本考案の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本考案の第1の実施形態にかかる褥瘡防止・治療用パッド1を示したもので、(a)は斜視図、(b)は断面図である。この褥瘡防止・治療用パッド1は、人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る、柔らかく、弾性に富む材料から成る円形の面状体2と、この面状体2の略中央に設けた貫通孔から成る穴部3とを有し、上面から見て全体として円環状に構成されている。なお、角部を丸みを持たせても良い。
面状体2の材料としては、軟質ゴム等の高分子化合物のうち、柔らかく、弾性に富み、かつ圧力、横ずれ応力等の外圧に対して強い材料が使用される。より具体的には、面状体2は、人体の皮膚に当てた場合の当該面状体と人体との位置ずれの発生を抑え得る低硬度のエラストマーから成り、本実施形態ではシリコーンゴム等のゴム材料から成る。ゴム材料の硬度は、好ましくは2度〜30度、より好ましくは5度〜25度(JIS−A)である。なお、面状体2のゴム材料等のエラストマーには、白金(Pt)、クロム(Cr)等の添加剤が含まれていてもよい。
この面状体2は、上記の穴部3を形成した場合に、当該穴部3が仰臥した人の褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する。
また、この面状体2は、患部の褥瘡およびその周囲をカバーする大きさに形成される。後述するように、褥瘡には、これより大きいサイズのガーゼやドレッシングテープ等の手当て用品4をあてがう(図3(a)参照)が、上記した面状体2は、このガーゼ等の手当て用品4より大きいサイズで且つ人体の横幅よりは小さい大きさを有する。この実施形態の場合、面状体2は円形に形成されているが、楕円形、四角形、その他の多角形に形成されていても良い。
また、上記面状体2に設けられる穴部3は、仰臥した人の例えば仙骨部または肩甲部に生じる褥瘡をカバーする大きさに設けられる。穴部3の大きさは、例えば直径2〜16cmである。
上記構成の褥瘡防止・治療用パッド1を腰部褥瘡に使用する際には、例えば図2に示すように、仰臥した状態の被介護者5の腰部の下に位置させる。このとき、被介護者5の仙骨部に生じる褥瘡6の中心を、褥瘡防止・治療用パッド1の穴部3の中心に合わせる。
図3に、この褥瘡防止・治療用パッド1の使用例を段階を追って示す。まず、図3(a)に示すように、患部の褥瘡6に、これより大きいサイズのガーゼやドレッシングテープ等の手当て用品4をあてがい、その手当て用品4をあてがった患部が穴部3の中心に来るように、褥瘡防止・治療用パッド1の位置を合わせる。なお符号5aは被介護者5の背骨を示す。
次に、図3(b)に示すように、被介護者5の体重を褥瘡防止・治療用パッド1にかけると、患部の褥瘡6が穴部3の中に入り込む。また、褥瘡防止・治療用パッド1の面状体2が、中央部分は手当て用品4の上を覆う形となるが、面状体2のそれより外側の外周領域部分は被介護者5の皮膚と直接に接触する。
更に、図3(c)に示すように、被介護者5の体重を褥瘡防止・治療用パッド1に掛けると、面状体2が上から押されて厚さが多少収縮するが、面状体2は内実のシリコーンゴム等のエラストマーである弾性材料からできているため、患部の褥瘡6が穴部3内に沈み込み且つ床7から浮いた状態でバランスする。これにより褥瘡6に係る力は、その周囲に分散される。また、これと同時に、褥瘡防止・治療用パッド1の面状体2が、中央部分は手当て用品4の上を覆う形となるが、面状体2のそれより外側の外周領域部分は、被介護者5の皮膚と直接に密接し、以後その密接した位置から面状体2がずれなくなる。
最終的には、図3(d)に示すように、被介護者5の背中が床7に付き、褥瘡防止・治療用パッド1の面状体2が少し扁平となる。しかし、このとき面状体2は一定の厚さを残しており、褥瘡6が穴部3の中で体重による圧迫を受けずに保護されている状態となり、仙骨部における循環障害が解消され、褥瘡防止・治療用パッド1が褥瘡6の発症の予防と治療に寄与することとなる。
図4に本考案の第2の実施形態を示す。上記第1の実施形態では、最初から穴部3を形成したが、この第2の実施形態は、当初は穴部3を有せず、被介護者5の褥瘡6の大きさに合わせて、介護者等がハサミやカッターナイフなどの用具を用いて穴部3を形成する例である。
図4(a)に示す褥瘡防止・治療用パッド8は、人体の皮膚に当てた場合に位置ずれを抑え得る低硬度のゴム材料等のエラストマーから成り、穴部3を形成した場合に当該穴部3が仰臥した人の例えば仙骨部または肩甲部に生じる褥瘡6を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する円形の面状体2から構成されている。この穴なし褥瘡防止・治療用パッド8は、介護者が、被介護者5の褥瘡6の位置や大きさに合わせて、図4(b)のように、ハサミやカッターナイフなどの穴開け用具を用いて面状体2の一部を例えば仙骨部を中心として切り抜き、これにより所望の穴部3を形成する。この穴開け用具で開ける穴部3の位置や形状寸法は任意に決定することができ、例えば穴なし褥瘡防止・治療用パッド8に多角形や十字形や星形の穴部3を必要な大きさで開けることができる。図4(b)は三角形の穴部3を形成した例を示す。
図5に本考案の第3の実施形態を示す。この図5(a)に示す褥瘡防止・治療用パッド8は、図4(a)で説明した穴なし褥瘡防止・治療用パッド8の面状体2に、仰臥した人の褥瘡6をカバーする任意の形状および大きさの穴部3を形成するための始端となる小径の始端孔9を設けた例である。この穴なし褥瘡防止・治療用パッド8の場合、介護者が、ハサミやカッターナイフなどの穴開け用具を用いて、始端孔9から、面状体2に所望の穴部3を開ける。すなわち、被介護者5の褥瘡6の位置や大きさに合わせて、面状体2の一部を例えば仙骨骨突出部を中心として、始端孔9から図5(b)のように切り抜き、これにより所望の穴部3を形成する。図5(b)は十字形の穴部3を形成した例を示す。
図6に本考案の第4の実施形態を示す。この図6に示す褥瘡防止・治療用パッド10は、上記の面状体2が、仰臥した人の臀部を支持する矩形状の受けパッド11として形成され、その上下の長さLが、背部下部近傍から大腿の付け根の近傍までの長さを有すると共に、左右の長さW1が、臀部の両側間に相当する長さを有し、さらに、仰臥した人の腰部の両脇を固定するための隆起部12を備える。また、上記の受けパッド11が、仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡6に対応する箇所に、当該褥瘡6をカバーする大きさの穴部3を有する。
図7に本考案の第5の実施形態を示す。これは、図6に示す褥瘡防止・治療用パッド10の面状体2のように予め穴部3を設けず、後に介護者等によって穴部3を開けるようにした、穴なし褥瘡防止・治療用パッド13の形態例である。
図8に本考案の第6の実施形態を示す。この図8に示す褥瘡防止・治療用パッド14は、図7の穴なし褥瘡防止・治療用パッド13の面状体2に、仰臥した人の褥瘡6をカバーする任意の形状および大きさの穴部3を形成するための始端となる小径の始端孔9を、図8(a)の如く設けた例である。この穴なし褥瘡防止・治療用パッド14の場合、介護者が、ハサミやカッターナイフなどの穴開け用具を用いて、始端孔9から、図8(b)に示すように面状体2に所望の穴部3を開ける。
図9に本考案の第7の実施形態を示す。この図9に示す褥瘡防止・治療用パッド15は、上記の面状体2が、仰臥した人の肩甲骨部を支持する矩形状の受けパッド16として形成され、その上下の長さL2が、第9ないし第12肋骨上部近傍から肩(鎖骨付近)をカバーするまでの長さを有すると共に、左右の長さW2が、胸部中央(胸骨付近)から上腕(上腕骨の近傍)をカバーするまでの長さを有し、さらに、仰臥した人の脇の下に相当する部位に体を固定するための隆起部17を備える。従って、隆起部17を境として上腕を支持する領域A2と、脇より内側の体の部位を支持する領域A1とを有する。また、上記の受けパッド16が、仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡6に対応する箇所に、当該褥瘡6をカバーする大きさの穴部3を有する。
図10に本考案の第8の実施形態を示す。これは、図9に示す褥瘡防止・治療用パッド15の面状体2のように予め穴部3を設けず、後に介護者等によって穴部3を開けるようにした、穴なし褥瘡防止・治療用パッド18の形態例である。
図11に本考案の第9の実施形態を示す。この図11に示す褥瘡防止・治療用パッド19は、図10の穴なし褥瘡防止・治療用パッド18の面状体2に、仰臥した人の褥瘡6をカバーする任意の形状および大きさの穴部3を形成するための始端となる小径の始端孔9を、図11(a)の如く設けた例である。この穴なし褥瘡防止・治療用パッド19の場合、介護者が、ハサミやカッターナイフなどの穴開け用具を用いて、始端孔9から、図11(b)に示すように面状体2に所望の穴部3を開ける。
上記第1〜第9の実施形態で述べた褥瘡防止・治療用パッドは、その面状体2が、人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のゴム材料等のエラストマーにより形成されている。従って、被介護者の体に直接当てた場合に、密着性が従来よりも高く、横方向への応力に対しても強靱であることから、被介護者が安静仰臥位で臥床したとき、例えば仙骨部または肩甲部における患部の位置から容易に移動しない。この効果は、衣類を通して間接に褥瘡防止・治療用パッドを患部に当てた場合にも得られる。
この結果、患部の褥瘡6に対する減圧作用が常に適正に確保され、褥瘡6の発症の予防や褥瘡6の治癒が効果的に行われる。従って、例えば褥瘡が一定以上(概略4cm以上)に広がった褥瘡6に対しても、治癒を遷延させることなく、効果的に治療を行うことができる。また、従来の円座等に比べ厚さが薄く、体圧が均一に分散されるため、周辺組織への圧迫が減少し、周辺部での血行の障害が減少され、被介護者5が訴える違和感および疼痛なども少ない。
上記実施形態では、面状体2の材料としてシリコーン系のゴム材料等のエラストマーを用いたが、面状体2の材料は、人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のゴム材料等のエラストマーであればよく、サイバースキン系、軟質ゴム系、熱可塑性エラストマー等の他の高分子化合物を用いることもできる。
また褥瘡防止・治療用パッド1の大きさおよび形態は、褥瘡6の生じる部位および形態が一様でないため、大きさ、厚さ、形態を一律に規定することはできないが、「人間工学的になるべく人体に密着すると共に、かつ圧に対して一様な分散がなされ、かつ均一に反作用を人体に対して返す形態」とするのがよい。その基本形態としては、上述した円形の他、楕円形、四角形、多角形等の形状を採ることができる。
本考案の第1の実施形態に係る褥瘡防止・治療用パッドを示したもので、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 本考案の第1の実施形態に係る褥瘡防止・治療用パッドの使用例を示した概略図である。 本考案の第1の実施形態に係る褥瘡防止・治療用パッドの使用形態を示した図である。 本考案の第2の実施形態に係る褥瘡防止・治療用パッドを示したもので、(a)は斜視図、(b)は穴部を形成した後の斜視図である。 本考案の第3の実施形態に係る褥瘡防止・治療用パッドを示したもので、(a)は斜視図、(b)は穴部を形成した後の斜視図である。 本考案の第4の実施形態に係る仙骨部の褥瘡防止・治療用パッドを示した斜視図である。 本考案の第5の実施形態に係る仙骨部の褥瘡防止・治療用パッドを示した斜視図である。 本考案の第6の実施形態に係る仙骨部の褥瘡防止・治療用パッドを示したもので、(a)は始端孔を有する状態の斜視図、(b)は穴部を形成した後の斜視図である。 本考案の第7の実施形態に係る肩甲部の褥瘡防止・治療用パッドを示した斜視図である。 本考案の第8の実施形態に係る肩甲部の褥瘡防止・治療用パッドを示した斜視図である。 本考案の第9の実施形態に係る肩甲部の褥瘡防止・治療用パッドを示したもので、(a)は始端孔を有する状態の斜視図、(b)は穴部を形成した後の斜視図である。
符号の説明
1 褥瘡防止・治療用パッド、
2 面状体、
3 穴部、
4 手当て用品、
5 被介護者、
5a 背骨、
6 褥瘡、
7 床、
8 褥瘡防止・治療用パッド、
9 始端孔、
10 褥瘡防止・治療用パッド、
11 受けパッド、
12 隆起部、
13 褥瘡防止・治療用パッド、
14 褥瘡防止・治療用パッド、
15 褥瘡防止・治療用パッド、
16 受けパッド、
17 隆起部、
18 褥瘡防止・治療用パッド、
19 褥瘡防止・治療用パッド。

Claims (20)

  1. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体と、
    前記面状体の略中央に、前記仰臥した人の褥瘡をカバーする大きさで設けられた穴部と、を有することを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
  2. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項1に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  3. 前記面状体が円形の輪郭を有し、その中央に前記穴部として円形の貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  4. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、
    前記面状体が、仰臥した人の臀部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、背部下部近傍から大腿の付け根の近傍までの長さを有すると共に、左右の長さが、臀部の両側間に相当する長さを有し、さらに、仰臥した人の腰部の両脇を固定するための隆起部を備え、
    前記受けパッドが、前記仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡に対応する箇所に、当該褥瘡をカバーする大きさの穴部を有する、
    ことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
  5. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項4に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  6. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、
    前記面状体が、仰臥した人の肩甲骨部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、第9ないし第12肋骨上部近傍から肩をカバーするまでの長さを有すると共に、左右の長さが、胸部中央から上腕をカバーするまでの長さを有し、さらに、仰臥した人の脇の下に相当する部位に体を固定するための隆起部を備え、
    前記受けパッドが、前記仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡に対応する箇所に、当該褥瘡をカバーする大きさの穴部を有する、
    ことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
  7. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項6に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  8. 前記エラストマーは、硬度が2度〜30度(JIS−A)のゴム材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  9. 前記エラストマーは、硬度が5度〜25度(JIS−A)のゴム材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  10. 前記エラストマーは、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  11. 前記エラストマーは、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1、4、又は6に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  12. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する円形の面状体から構成されていることを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
  13. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項12に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  14. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の仙骨部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、
    前記面状体が、仰臥した人の臀部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、背部下部近傍から大腿の付け根の近傍までの長さを有すると共に、左右の長さが、臀部の両側間に相当する長さを有し、さらに、仰臥した人の腰部の両脇を固定するための隆起部を備えた
    ことを特徴とする褥瘡防止・治療用パッド。
  15. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項14に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  16. 人体の皮膚に当てた場合の位置ずれを抑え得る低硬度のエラストマーから成り、穴部を形成した場合に当該穴部が仰臥した人の肩甲部に生じる褥瘡を収納するのに足る深さとなる一定の厚さを有する面状体を有し、
    前記面状体が、仰臥した人の肩甲骨部を支持する矩形状の受けパッドとして形成され、その上下の長さが、第9ないし第12肋骨上部近傍から肩をカバーするまでの長さを有すると共に、左右の長さが、胸部中央から上腕をカバーするまでの長さを有し、さらに、仰臥した人の脇の下に相当する部位に体を固定するための隆起部を備えた
    ことを特徴とする記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  17. 前記エラストマーは、ゴム材料であることを特徴とする請求項16に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  18. 前記面状体は、仰臥した人の褥瘡をカバーする任意の形状および大きさの穴部を形成するための始端となる小径の孔を有することを特徴とする請求項12〜17のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  19. 前記エラストマーは、硬度が2度〜30度(JIS−A)のシリコーンゴムであることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1つに記載の褥瘡防止・治療用パッド。
  20. 前記エラストマーは、熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項12、14、又は16に記載の褥瘡防止・治療用パッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101449923B1 (ko) * 2013-05-10 2014-10-15 황성우 신체에 탈부착이 가능한 욕창 보호대

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