JP3120667B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

Info

Publication number
JP3120667B2
JP3120667B2 JP27039694A JP27039694A JP3120667B2 JP 3120667 B2 JP3120667 B2 JP 3120667B2 JP 27039694 A JP27039694 A JP 27039694A JP 27039694 A JP27039694 A JP 27039694A JP 3120667 B2 JP3120667 B2 JP 3120667B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damping force
change
changed
suspension control
control device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27039694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08108728A (ja
Inventor
一男 小川
高明 榎本
稔 加藤
真人 河井
淳一 仲松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP27039694A priority Critical patent/JP3120667B2/ja
Publication of JPH08108728A publication Critical patent/JPH08108728A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3120667B2 publication Critical patent/JP3120667B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のばね上部材とば
ね下部材とを減衰力可変に懸架するサスペンション制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のサスペンション制御装置
は、減衰力を車両の走行状態に応じてソフトにしたりハ
ードにしたりすることで車両の乗り心地の向上をもたら
している。そして、次のようにして減衰力が変更され
る。
【0003】車両を懸架するショックアブソーバには、
上下の油室がピストンを挟んで設けられており、このピ
ストンには、上下の油室を連通する油路があけられてい
る。また、この油路は、その開度が変更可能に構成され
ている。そして、ピストンの油路を通過して上下の油室
に流入する作動油の油量を油路の開度を変えて制御し、
この油路開度の調整を通して、減衰力の変更が行なわれ
ている。具体的には、油路の開度を大きくして油室間の
作動油流量を増大させ、減衰力をソフトとする。また、
開度を小さくして作動油流量を減少させ、減衰力をハー
ドとする。
【0004】車両の走行に伴いショックアブソーバのピ
ストンが上下に摺動しそのピストン速度が大きくなる
と、上下の油室の圧力差が大きくなる。そして、高圧側
の油室から低圧側の油室に、ピストンの油路を経由して
作動油が通流する。このような状況にあるときに減衰力
を高めるべく急激に油路の開度を小さくした場合には、
油路の前後で通流する作動油の急激な圧力変化が生じて
油撃が発生する。よって、このような場合には乗り心地
が悪化する。このため、ピストン速度が大きくなったと
きには油撃のショックを低減することを狙って減衰力の
変更制御を禁止する技術が、特開平3−262719号
に提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
サスペンション制御装置では、次のような問題点が指摘
されるに至っている。
【0006】例えば、レーンチェンジ等により急激なハ
ンドル操作が行なわれると、当該操作に伴い車両は大き
く姿勢変化を起こす。このような場合には、姿勢変化が
激しいためにショックアブソーバのピストン速度は大き
くなるので、上記の従来技術にあっては減衰力の変更制
御は禁止される。しかし、走行安定性の確保の観点から
は、上記の状況では減衰力を高めて車両の姿勢変化を抑
制するほうが望ましい。ところが、上記の従来技術で
は、ピストン速度が大きければ一律に減衰力の変更制御
を禁止するため、減衰力を高めることができず走行安定
性を損なう虞がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、車両の走行安定性と乗り心地の改善との両立を図
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載のサスペンション制御装置の採用した
手段は、車両のばね上部材とばね下部材との間に配設さ
れ減衰力を可変に該両部材を懸架する懸架手段と、該懸
架手段の減衰力を、前記車両の走行状態に応じてソフト
側とハード側との間に亘って変更する減衰力変更手段と
を有するサスペンション制御装置であって、前記ばね上
部材とばね下部材との相対速度を検出する検出手段と、
前記減衰力変更手段による減衰力の変更がハード側から
ソフト側への変更であることを判定する判定手段と、前
記検出した相対速度が所定値以上であるときに該判定し
た減衰力の変更がハード側からソフト側への変更である
場合には、前記減衰力変更手段による減衰力の変更を規
制する変更規制手段とを有し、該変更規制手段は、減衰
力の変更を禁止することで前記減衰力変更手段による減
衰力変更を規制する手段と、減衰力の変更速度を遅くし
て減衰力を徐変することで前記減衰力変更手段による減
衰力変更を規制する手段のいずれかの手段を備えるをそ
の要旨とする。
【0009】請求項2記載のサスペンション制御装置で
は、上記構成に加え、電源電圧を検出する電圧検出手段
と、該検出した電源電圧の低下に応じて前記所定値を低
減する低減手段とを備える。
【0010】
【作用】上記構成を有する請求項1記載のサスペンショ
ン制御装置では、通常、減衰力変更手段により、懸架手
段の減衰力を車両の走行状態に応じてソフト側とハード
側との間に亘って変更し、乗り心地の向上を図る。そし
て、検出手段の検出したばね上部材とばね下部材との相
対速度が第1の所定値以上であり、且つ、判定手段によ
り判定された減衰力の変更がハード側からソフト側への
変更である場合には、減衰力変更手段による減衰力の変
更を変更規制手段により規制する。このハード側からソ
フト側への減衰力の変更規制に当たっては、減衰力の変
更を禁止する、或いは減衰力をハード側からソフト側に
徐変することとした。
【0011】一般に、減衰力をハード側からソフト側に
変更制御する際には、車両の走行状態は、比較的安定し
た走行状態に推移しつつあるといえる。このため、この
ような場合には走行安定性よりも乗り心地を優先すべ
く、上記のようにハード側からソフト側への減衰力の変
更制御を規制して、油撃の発生を抑制し乗り心地の向上
を図る。
【0012】しかし、判定手段により判定された減衰力
の変更がハード側からソフト側への変更でなくソフト側
からハード側への変更である場合には、相対速度に拘ら
ず変更規制手段による減衰力の変更規制は行なわない。
つまり、急激な姿勢変化等が生じて減衰力をソフト側か
らハード側へ変更制御する際には、乗り心地よりも走行
安定性を優先すべく、走行状態に応じたソフト側からハ
ード側への減衰力の変更制御を速やかに実施する。
【0013】請求項2記載のサスペンション制御装置で
は、減衰力の変更の規制を行なう際の所定値を、電圧検
出手段の検出した電源電圧に応じて、低減手段により低
減する。よって、電源電圧が低下すれば、減衰力をハー
ド側からソフト側へ変更する際に、変更規制手段による
減衰力の変更規制の頻度が高まる。このため、急激な減
衰力の変化を緩和する機会が増える。
【0014】また、減衰力の変更規制により減衰力の変
更を禁止すれば減衰力の変更禁止の頻度が高まる。よっ
て、ハード側からソフト側への減衰力の変更の頻度を低
下させて、ハード側からソフト側への減衰力の変更のた
めの減衰力変更機器の駆動機会を低減させる。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係るサスペンション制御装置
の好適な実施例について、図面に基づき説明する。図1
は、実施例のサスペンション制御装置10の全体構成を
概略的に示すブロック図である。
【0016】図示するように、サスペンション制御装置
10は、図示しない左右の前輪および後輪にそれぞれ対
応して、ショックアブソーバ11a〜11dと、主エア
ーチャンバ12a〜12dおよび副エアーチャンバ13
a〜13dを有する。なお、以下の説明に際しては、各
輪を区別して説明する場合には数字の主符号にアルファ
ベットの補助符号a〜dを付すが、各輪共通の説明につ
いては補助符号a〜dを省略することとする。
【0017】ショックアブソーバ11は、ばね下部材で
ある車輪とばね上部材である図示しない車体との間に配
設され、減衰力を可変に車輪と車体とを懸架する。ショ
ックアブソーバ11は、減衰力を変更する際の制御対象
機器となるアクチュエータとしてステッピングモータ1
4を備える。また、ショックアブソーバ11内部は、上
側油室と下側油室とがピストン40を挟んで設けられて
おり、このピストン40には、上下の油室を連通する油
路があけられている。この油路には、ステッピングモー
タ14によりその開度が変更されるロータリーバルブが
設けられている。従って、ショックアブソーバ11は、
ピストン40の油路を通過して上下の油室に流入する作
動油の油量を、ステッピングモータ14によるバルブ開
度を変えて制御する。そして、このバルブ開度の調整を
通して、車体の上下動に対する減衰力を多段階(9段
階)に変更する。具体的には、バルブ開度を大きくして
油室間の作動油流量を増大させ、減衰力をソフトとす
る。また、開度を小さくして作動油流量を減少させ、減
衰力をハードとする。
【0018】主エアーチャンバ12は、容量可変の空気
室を備え、対応する車輪位置の車高を収容空気量に応じ
て連続的に変更できるよう構成されている。なお、主エ
アーチャンバ12と副エアーチャンバ13とが連通され
ている場合には、副エアーチャンバを含めた収容空気量
に応じて車高は変更される。
【0019】副エアーチャンバ13は、アクチュエータ
15に取り付けられたバルブのオンオフにより、主エア
ーチャンバ12に対して連通・非連通状態になり、主エ
アーチャンバ12と協働して車体の上下動に対するばね
定数を2段階(小、大)に変更できるよう構成されてい
る。
【0020】主エアーチャンバ12には、空気を給排す
る給排装置が接続されている。この給排装置は、電動モ
ータ16により駆動されるコンプレッサ17を備え、そ
の下流には、チェック弁18,エアードライヤ19,並
列接続されたチェック弁21およびオリフィス22を備
える。そして、給排装置は、チェック弁21およびオリ
フィス22の下流で主エアーチャンバ12a〜12dに
分岐して接続されている。また、主エアーチャンバ12
a〜12dへの各分岐管路には第1電磁切換弁23a〜
23dが、チェック弁18とエアードライヤ19との管
の管路には第2電磁切換弁24が設けられている。そし
て、第1電磁切換弁23,第2電磁切換弁24のオン・
オフを通して、主エアーチャンバ12a〜12dにエア
ーが給排される。なお、主エアーチャンバ12による車
高調整は本発明の要旨と直接関係しないので、その説明
を省略する。
【0021】次に、上記ステッピングモータ14,アク
チュエータ15,第1電磁切換弁23および第2電磁切
換弁24等を制御するマイクロコンピュータ37につい
て説明する。マイクロコンピュータ37は、CPU,R
OM,RAM,バックアップRAMを中心に論理演算回
路として構成され、以下に記す種々のセンサやスイッチ
からの検出信号に基づき、ステッピングモータ14等を
駆動して減衰力制御や車高制御等を行なう。このマイク
ロコンピュータ37には、各輪ごとのストロークセンサ
31,モードスイッチ32,ブレーキスイッチ33,舵
角センサ34,車速センサ35,ヨーレートセンサ3
6,スロットル開度センサ38,シフトセンサ39およ
び上下加速度(上下G)センサ41が接続されている。
【0022】ストロークセンサ31は、各輪位置にそれ
ぞれ設けられ、同位置における車高変位量をそれぞれ検
出して、車高変位量を表わす信号を出力する。モードス
イッチ32は、運転者により操作されて、サスペンショ
ン特性をノーマルモードまたはスポーツモードに選択的
に切り換える操作スイッチであり、サスペンション特性
の信号を出力する。ブレーキスイッチ33は、図示しな
いブレーキペダルの踏み込み操作を検出するものであ
り、通常オフ状態にあって該ブレーキペダルの踏み込み
操作時にオン信号を出力する。舵角センサ34は、図示
しないハンドル又は前輪の操舵角を検出して、その操舵
角を表わす信号を出力する。ヨーレートセンサ36は、
車体のヨーレートを検出して、そのヨーレートを表わす
検出信号を出力する。スロットル開度センサ38は、図
示しないアクセルペダルの操作に連動するスロットルの
開度を検出し、その開度を表わす信号を出力する。シフ
トセンサ39は、図示しないシフトレバー装置内に組み
込まれ、ニュートラルからドライブレンジにシフトレバ
ーが切り換えられるとオン信号を出力する。上下Gセン
サ41は、車体に作用する上下方向の加速度を検出し、
その加速度を表わす信号を出力する。
【0023】次に、上記した構成を備える本実施例のサ
スペンション制御装置が行う減衰力変更制御(減衰力変
更ルーチン)について、図2のフローチャートに基づき
説明する。
【0024】図2に示すように、減衰力変更ルーチン
は、図示しないイグニッションスイッチがオンされてか
らオフされるまでの間に亘り繰り返し実行される。な
お、電源投入時には、CPUの内部レジスタのクリア等
の初期処理が行なわれ、その後本ルーチンの処理に移行
する。
【0025】初期処理に続いては、まず、上記した各種
センサとスイッチをスキャンし(ステップS100)、
その検出信号に基づき各種の車両制御の際に要求される
減衰力を演算する(ステップS110)。例えば、舵角
センサ34と車速センサ35からの検出信号に基づいて
車両の旋回状況の緩急を判別し、その旋回状況にある車
両の姿勢変化の抑制に必要な減衰力(アンチロール)を
演算する。また、ストロークセンサ31と上下Gセンサ
41からの検出信号に基づいて路面の凹凸が反映する車
体の上下動を検出し、その上下動の抑制に必要な減衰力
(路面入力抑制)を演算する。車速センサ35とブレー
キスイッチ33からの検出信号に基づいて車両のダイブ
の緩急を判別し、そのダイブの状況にある車両の姿勢変
化の抑制に必要な減衰力(アンチダイブ)を演算する。
車速センサ35とスロットル開度センサ38からの検出
信号に基づいて車両のスクォートの緩急を判別し、その
スクォートの状況にある車両の姿勢変化の抑制に必要な
減衰力(アンチスクォート)を演算する。或いは、シフ
トセンサ39からの検出信号に基づいて車両のシフトチ
ェンジ時のスクォートの緩急を判別し、そのスクォート
の状況にある車両の姿勢変化の抑制に必要な減衰力(ア
ンチシフトスクォート)を演算する。
【0026】これら減衰力の演算に続いては、上記演算
済みの減衰力の最大値を目標減衰力として採用し、この
目標減衰力を発揮するためのステップ数GP1を演算す
る(ステップS120)。本実施例では、減衰力は9段
階に変更可能であるので、目標減衰力に相当する減衰力
をこの9段階の減衰力から選択し、その段数を目標減衰
力ステップ数GP1とする。その後は、電源電圧Evを
読み込み(ステップS130)、読み込んだ電源電圧E
vと図3に示すグラフに対応するマップとから、ショッ
クアブソーバ11におけるピストン40の速度の上下の
基準値aup,adownを算出する(ステップS140)。
これにより、電源電圧Evが低下すれば小さい値の基準
値aup,adownが演算される。なお、下限基準値adown
は、上限基準値aupより所定の値だけ小さくされるの
で、ピストン速度の基準値のマップは上限基準値aupに
ついてのみ、予めROMに記憶されている。
【0027】次いで、現状の減衰力ステップ数GP0を
読み込む(ステップS150)。なお、この現状減衰力
ステップ数GP0は、前回の本ルーチンにてバックアッ
プRAMに書き込まれている。その後は、ストロークセ
ンサ31a〜31dの車高変位量の変化率から各輪につ
いてのピストン速度Pvを演算する(ステップS16
0)。この場合、ストロークセンサ31a〜31dにつ
いて演算された最速のピストン速度Pvがこのステップ
における演算値とされる。
【0028】次に、演算したピストン速度Pvとステッ
プS140で算出したピストン速度の上限基準値aupと
を比較する(ステップS165)。ピストン速度Pvが
上限基準値aup以上である場合には、現状減衰力ステッ
プ数GP0と目標減衰力ステップ数GP1との比較(ス
テップS175)に移行する。この比較結果により、シ
ョックアブソーバ11の減衰力をハード側からソフト側
に変更するか、ソフト側からハード側に変更するか否か
が判明する。つまり、現状減衰力ステップ数GP0が仮
に5であり、ステップS120で演算した目標減衰力ス
テップ数GP1が7であれば、ステップS175では否
定判断され、減衰力ステップ数を5から7に高めて減衰
力をソフト側からハード側に変更する局面であると判明
する。また、現状減衰力ステップ数GP0が仮に5であ
り目標減衰力ステップ数GP1が3であれば、ステップ
S175では肯定判断され、減衰力ステップ数を5から
3に低下して減衰力をハード側からソフト側に変更する
局面であると判明する。
【0029】そして、ステップS165でピストン速度
Pvが上限基準値aup以上であると判断し、且つ、ステ
ップS175で減衰力をハード側からソフト側に変更す
ると判断した場合には、ステッピングモータ14の駆動
を禁止して、現状減衰力ステップ数GP0から目標減衰
力ステップ数GP1へのステップ数の変更を禁止する
(ステップS180)。これにより、ショックアブソー
バ11の減衰力をソフト側に変更する局面ではあるが、
ピストン速度Pvが上限基準値aup以上であるために、
ショックアブソーバ11の減衰力は現状減衰力ステップ
数GP0に保持されその変更は禁止される。その後は、
一旦本ルーチンを終了して再度ステップS100からの
処理を行なう。
【0030】一方、ステップS175で減衰力をソフト
側からハード側に変更すると判断した場合には、現状減
衰力ステップ数GP0と目標減衰力ステップ数GP1の
減衰力ステップ数の差分に相当するパルス数のパルスを
ステッピングモータ14に出力して当該モータを駆動す
る(ステップS190)。これにより、ショックアブソ
ーバ11の減衰力は、ソフト側からハード側に変更され
る。つまり、減衰力の変更がソフト側からハード側への
変更であれば、ピストン速度Pvが上限基準値aup以上
であっても減衰力の変更は禁止されず、減衰力はソフト
側からハード側に変更される。その後は、やはり一旦本
ルーチンを終了して再度ステップS100からの処理を
行なう。なお、減衰力のソフト側からハード側への変更
に伴い、変更後の減衰力ステップ数(目標減衰力ステッ
プ数GP1)は、現状減衰力ステップ数GP0としてバ
ックアップRAMに更新して書き込まれる。
【0031】また、ステップS165でピストン速度P
vは上限基準値aupを下回ると否定判断した場合には、
ピストン速度PvとステップS140で算出したピスト
ン速度の下限基準値adownとを比較する(ステップS1
95)。つまり、ステップS165での否定判断を受け
てこのステップS195を行なうことで、ピストン速度
Pvが下限基準値adownから上限基準値aupまでの速度
であるかが判断される。そして、ステップS195で否
定判断すればピストン速度Pvは下限基準値adownより
小さいので、減衰力の変更に際してはその変更の向きや
ピストン速度Pvによる変更禁止を考慮する必要がない
としてステップS190に移行し、既述したようにステ
ッピングモータ14を駆動してショックアブソーバ11
の減衰力を変更する。この場合には、ソフト側からハー
ド側への変更とハード側からソフト側への変更のいずれ
もが、現状減衰力ステップ数GP0と目標減衰力ステッ
プ数GP1の減衰力ステップ数の差に応じて行なわれ
る。そして、変更後の減衰力ステップ数の更新書き込み
を経て本ルーチンを終了し、再度ステップS100から
の処理を行なう。
【0032】一方、ステップS195でピストン速度P
vが下限基準値adown以上であると判断した場合には、
現状減衰力ステップ数GP0が変更可能な9段階の減衰
力のうちの中間段n(例えば、4段又は5段)よりソフ
ト側か否かを判断する(ステップS205)。なお、こ
の中間段の段数は初期設定されており、本実施例では4
段(n=4)にされている。ここで、現状減衰力ステッ
プ数GP0が中間段nより大きく現状の減衰力が中間段
nよりハード側であると判断すれば、減衰力の変更に際
してはやはりその変更の向きやピストン速度Pvによる
変更禁止を考慮する必要がないとしてステップS190
に移行し、ショックアブソーバ11の減衰力を変更す
る。つまり、現状の減衰力が中間段nよりハード側であ
る場合に限り、ソフト側からハード側への変更とハード
側からソフト側への変更のいずれもが、現状減衰力ステ
ップ数GP0と目標減衰力ステップ数GP1の減衰力ス
テップ数の差に応じて行なわれる。そして、変更後の減
衰力ステップ数の更新書き込みを経て本ルーチンを終了
し、再度ステップS100からの処理を行なう。
【0033】ステップS205で現状の減衰力が中間段
n以下のソフト側であると判断すれば、ステップS17
5に移行して減衰力の変更がハード側からソフト側への
変更かソフト側からハード側への変更かを判断する。そ
して、このステップS175で減衰力をハード側からソ
フト側に変更すると判断した場合には、ステップS18
0に移行して減衰力の変更を禁止する。これにより、ピ
ストン速度Pvが下限基準値adown以上で上限基準値a
up未満であっても、中間段n以下のソフト側にある現状
の減衰力を更にソフト側に変更する場合には、ショック
アブソーバ11の減衰力は現状減衰力ステップ数GP0
に保持されその変更は禁止される。その後は、一旦本ル
ーチンを終了して再度ステップS100からの処理を行
なう。
【0034】一方、ステップS205から移行後のステ
ップS175で減衰力をソフト側からハード側に変更す
ると判断した場合には、ステップS190に移行してシ
ョックアブソーバ11の減衰力をハード側に変更する。
つまり、減衰力の変更がソフト側からハード側への変更
であれば、現状の減衰力が中間段n以下のソフト側にあ
っても減衰力の変更は禁止されず、減衰力はソフト側か
らハード側に変更される。そして、変更後の減衰力ステ
ップ数の更新書き込みを経て本ルーチンを終了し、再度
ステップS100からの処理を行なう。
【0035】以上説明したように本実施例のサスペンシ
ョン制御装置10では、ピストン速度Pvが上限基準値
aup以上である場合には(ステップS165)、ショッ
クアブソーバ11の減衰力のハード側からソフト側への
変更を禁止し(ステップS175,180)、減衰力を
保持する。つまり、ピストン速度Pvが上限基準値aup
を越える場合には、ピストン40の油路を通過して上下
の油室に流入する作動油流速が高くなるので、減衰力の
変更を禁止して油撃の発生を回避する。これにより、減
衰力の変更に伴う衝撃がないので乗り心地が向上する。
【0036】しかし、ショックアブソーバ11の減衰力
の変更がソフト側からハード側への変更である場合には
(ステップS175)、ピストン速度Pvが上限基準値
aup以上であっても減衰力の変更は禁止されず、減衰力
はソフト側からハード側に変更される。従って、ピスト
ン速度Pvが大きく且つ急ハンドルや急ブレーキを余儀
なくされる状況では、ショックアブソーバ11の減衰力
は、ステップS120で走行状態に応じて算出した目標
減衰力になるよう、通常通りソフト側からハード側に変
更される。このため、本実施例のサスペンション制御装
置10によれば、急ハンドルや急ブレーキ操作時や車体
にあおりが生じている場合におけるハンドル操作時、或
いは高速走行にあるときの急激なハンドル操作時等に
は、乗り心地に優先して走行安定性を確実に確保するこ
とができる。
【0037】換言すれば、ピストン速度Pvと減衰力の
変更の方向に応じて車両の走行安定性と乗り心地の改善
との両立を図ることができる。
【0038】また、本実施例のサスペンション制御装置
10では、電源電圧Evが低下すれば減衰力変更の禁止
或いは実行を選択する際の一条件となる上限基準値aup
を小さくする。このため、ステップS165ではピスト
ン速度Pvが上限基準値aup以上であると判断する頻度
が増し、ステップS175,180を経たハード側から
ソフト側への減衰力の変更の禁止頻度が高まる。よっ
て、電源電圧低下時のハード側からソフト側への減衰力
の変更頻度が低くなる。従って、以下のような利点があ
る。
【0039】ショックアブソーバ11での減衰力の変更
は、ピストン40の油路におけるバルブ開度に左右さ
れ、当該油路を作動油が通過する際には、バルブには作
動油の流体力がかかる。この流体力は、ロータリーバル
ブの構造の都合上、常にバルブ閉め側に作用する。よっ
て、バルブ開度を大きくして減衰力をソフト側に変更す
る際には、流体力は、ロータリーバルブを開こうとする
ステッピングモータ14に対して負荷となる。その一
方、バルブ開度を小さくして減衰力をハード側に変更す
る際には、流体力は、ロータリーバルブを閉めようとす
るステッピングモータ14を付勢する。
【0040】ところで、ステッピングモータ14の発生
する駆動トルクは、電源電圧Evの低下に伴い低下す
る。従って、電源電圧Evが低下した際には、ロータリ
ーバルブの駆動にトルク不足を招き易くなり、ステッピ
ングモータ14は脱調し易くなる。特に、減衰力をソフ
ト側に変更する際には、流体力がステッピングモータ1
4に対して負荷となるので、ステッピングモータ14は
より脱調し易くなる。しかし、本実施例では、電源電圧
Evの低下時には、上限基準値aupの低下を通して既述
したようにハード側からソフト側への減衰力の変更頻度
を低くするので、ステッピングモータ14の不用意な脱
調を抑制することができる。
【0041】また、本実施例のサスペンション制御装置
10では、ピストン速度Pvを下限基準値adownとも比
較し(ステップS195)、ピストン速度Pvが上限基
準値aup未満であっても下限基準値adown以上であれ
ば、中間段n以下のソフト側にある現状の減衰力を更に
ソフト側に変更する場合にその変更を禁止することとし
た(ステップS205,175,180)。よって、次
のような利点がある。
【0042】ショックアブソーバ11の減衰力を変更す
る際には、変更直後に瞬間的にピストン40の油路を通
過する作動油流量が変化するので、その変化に応じてピ
ストン40には上下方向に加速度が発生する。この加速
度は、ピストン40のピストンロッド,ブッシュ等を介
して車体側に伝わり、車体に不快な振動を起こし異音を
発生させる。この上下加速度は、作動油流量が増大する
側の減衰力の変更、即ちハード側からソフト側への変更
の際に大きくなり、この場合に振動や異音が顕著とな
る。また、ソフト側の減衰力を更にソフト側に変更する
際には、作動油流量は変更前でもある程度の流量があっ
た状態から更に流量増となるため、大きな上下加速度が
生じる。よって、ソフト側の減衰力を更にソフト側に変
更する場合では、不快な振動を起こし易く異音も発生し
易くなる。しかし、本実施例では、中間段n以下のソフ
ト側にある現状の減衰力を更にソフト側に変更する場合
にその変更を禁止するので、不快な振動や異音の発生を
回避でき乗り心地を向上することができる。
【0043】次に、第2実施例のサスペンション制御装
置について説明する。この第2実施例では、ハード側か
らソフト側への減衰力の変更を禁止するのではなく、こ
の減衰力の変更をその変更速度の点で規制した点で、上
記の第1実施例とその構成が異なる。また、目標減衰力
の算出の手法の点でも、上記の第1実施例とその構成が
異なる。よって、第2実施例のサスペンション制御装置
の説明に際しては、この相違する構成について説明する
こととする。
【0044】第2実施例のサスペンション制御装置が行
う減衰力変更制御(減衰力変更ルーチン)は、図4,図
5のフローチャートに示すように、ばね上である車体の
上下速度(ばね上速度)と、ばね上とばね下との相対速
度とに基づき目標減衰力を演算するいわゆるスカイフッ
ク制御理論に基づくものである。
【0045】図4に示すように、第2実施例の減衰力変
更ルーチンでは、まず、ステップS300からステップ
S330までのスカイフック演算処理を行なう。つま
り、上下Gセンサ41とストロークセンサ31のセンサ
から上下Gと車高変位量を読み込み(ステップS30
0)、次いで、読み込んだ上下Gと車高変位量の微分を
経てばね上速度z’と相対速度y’を演算する(ステッ
プS310)。その後は、これら速度の速度比z’/
y’の演算(ステップS320)を行ない、その結果か
ら目標減衰力を演算し当該減衰力を発揮するためのステ
ップ数GP1を求める(ステップS330)。
【0046】この一連のスカイフック演算処理に続いて
は、現状減衰力ステップ数GP0の読み込み(ステップ
S340),電源電圧Evの読み込み(ステップS35
0)を行なう。その後、図5に示すように、読み込んだ
電源電圧Evが基準電圧値Ev0より小さいか否かを判
断する(ステップS360)。そして、このステップS
360の判断結果により、それ以降の処理は、電源電圧
Evが基準電圧値Ev0以上の正常電圧値の場合の減衰
力の変更か、電源電圧Evが基準電圧値Ev0より小さ
い低電圧値の場合の減衰力の変更のいずれかとなる。
【0047】ステップS360で電源電圧Evは基準電
圧値Ev0以上の正常電圧値であると判断した場合に
は、現状減衰力ステップ数GP0が演算された目標減衰
力ステップ数GP1より小さいか否かを判断する(ステ
ップS370)。つまり、このステップS370で、ソ
フト側からハード側への変更か或いはハード側からソフ
ト側への変更か否かを判断する。ここで、肯定判断を経
て減衰力の変更がソフト側からハード側への変更である
場合は、現状減衰力ステップ数GP0が目標減衰力ステ
ップ数GP1(>GP0)となるよう減衰力をハード側
に変更する(ステップS380)。この場合、ステッピ
ングモータ14には、現状減衰力ステップ数GP0と目
標減衰力ステップ数GP1の減衰力ステップ数の差分に
相当するパルス数のパルスが駆動周波数Cで出力され
る。
【0048】一方、ステップS370で否定判断した場
合には、現状減衰力ステップ数GP0が目標減衰力ステ
ップ数GP1より大きいか否かを判断する(ステップS
390)。つまり、このステップS390では、GP0
とGP1とが等しく減衰力を変更する必要がないか或い
はハード側からソフト側への変更か否かを判断する。こ
こで、否定判断すれば減衰力の変更は不要なので、一旦
本ルーチンを終了して再度ステップS300からの処理
を行なう。しかし、肯定判断を経て減衰力の変更がハー
ド側からソフト側への変更である場合は、減衰力の変更
に先立ち相対速度y’(絶対値|y’|)が基準値αE
vhighより大きいか否かを判断する(ステップS40
0)。このαEvhighは、基準電圧値Ev0以上の正常
電圧値にある電源電圧Evにより定まり、予めROMに
記憶されている。
【0049】このステップS400で相対速度y’(|
y’|)が基準値αEvhighより大きいと肯定判断すれ
ば、現状減衰力ステップ数GP0が目標減衰力ステップ
数GP1(<GP0)となるよう減衰力をソフト側に変
更する(ステップS410)。この場合、ステッピング
モータ14には、現状減衰力ステップ数GP0と目標減
衰力ステップ数GP1の減衰力ステップ数の差分に相当
するパルス数のパルスが駆動周波数D2で出力される。
また、ステップS400で否定判断すれば、現状減衰力
ステップ数GP0が目標減衰力ステップ数GP1(<G
P0)となるよう減衰力をソフト側に変更する(ステッ
プS420)。この場合、ステッピングモータ14には
駆動周波数D1でパルスが出力される。
【0050】ここで、ステップS410,420による
減衰力の変更の様子について説明する。この両ステップ
では、いずれも減衰力をソフト側に変更するが、ステッ
プS410は相対速度y’(|y’|)が基準値αEv
highより大きい場合(相対速度:高)の減衰力変更であ
り、ステップS420は相対速度y’(|y’|)が基
準値αEvhigh以下の場合(相対速度:低)の減衰力変
更である。また、ステッピングモータ14を駆動する際
の駆動周波数は、ステップS410ではD2,ステップ
S420ではD1である。この駆動周波数D2,D1
は、相対速度y’と基準値αEvhighの比較結果に応じ
て使い分けられ、図6に示すように、D2<D1の関係
にある。
【0051】従って、相対速度y’が基準値αEvhigh
以下の場合は、駆動周波数D1でステッピングモータ1
4を駆動するので、ピストン40の油路におけるロータ
リーバルブは、その開度を駆動周波数D1で通常通り増
大させる。しかし、相対速度y’が基準値αEvhighよ
り大きい場合は、低い駆動周波数D2でステッピングモ
ータ14を駆動するので、バルブ開度は徐々に増大す
る。このため、相対速度y’が高い値の時には、ショッ
クアブソーバ11の減衰力は、ハード側からソフト側に
低い駆動周波数D2で徐々に変更されることになり、相
対速度y’が低い場合に較べて減衰力の変更が規制され
る。
【0052】上記したステップS380,410,42
0にて減衰力が目標減衰力ステップ数GP1に変更され
ると、変更後の減衰力ステップ数(目標減衰力ステップ
数GP1)を現状減衰力ステップ数GP0としてバック
アップRAMに更新して書き込む(ステップS43
0)。その後は、一旦本ルーチンを終了して再度ステッ
プS300からの処理を行なう。
【0053】一方、ステップS360で電源電圧Evは
基準電圧値Ev0より小さい低電圧値であると判断した
場合には、ステップS440以降のステップにて、電源
電圧Evが正常電圧値である場合と同様にして減衰力の
変更を行なう。つまり、ステップS440では、現状減
衰力ステップ数GP0と目標減衰力ステップ数GP1の
比較を通して、ソフト側からハード側への変更か或いは
ハード側からソフト側への変更か否かを判断する。そし
て、減衰力の変更がソフト側からハード側への変更であ
れば、ステップS450で、目標減衰力ステップ数GP
1となるよう減衰力をハード側に変更する。この場合の
ステッピングモータ14の駆動周波数Bは、図6に示す
ようにステップS380の場合における駆動周波数Cよ
り小さい周波数である。つまり、ソフト側からハード側
への変更であっても電源電圧Evが低下すれば(ステッ
プS360)、ステッピングモータ14は低い駆動周波
数で駆動して減衰力の変更がなされる。
【0054】ステップS440での否定判断に続くステ
ップS460では、現状減衰力ステップ数GP0と目標
減衰力ステップ数GP1の比較を通して、減衰力を変更
する必要がないか或いはハード側からソフト側への変更
か否かを判断する。そして、減衰力の変更が不要であれ
ば本ルーチンを終了して再度ステップS300からの処
理を行なう。しかし、減衰力の変更がハード側からソフ
ト側への変更である場合は、ステップS470で、相対
速度y’が基準値αEvlow より大きいか否かを判断す
る。このαEvlow は、基準電圧値Ev0より低い低電
圧値にある電源電圧Evにより定まり、予めROMに記
憶されている。また、基準値αEvlowは基準値αEvh
ighより小さい値として定められている。よって、電源
電圧Evが基準電圧値Ev0より低下すれば、相対速度
y’の比較値は小さい値の基準値αEvlow とされる。
【0055】そして、相対速度y’が基準値αEvlow
より大きければ、ステップS480で、目標減衰力ステ
ップ数GP1となるよう減衰力をソフト側に変更する。
この場合のステッピングモータ14の駆動周波数A2
は、図6に示すようにステップS410の場合における
駆動周波数D2より小さい周波数である。また、ステッ
プS470で否定判断すれば、ステップS490で、目
標減衰力ステップ数GP1となるよう減衰力をソフト側
に変更する。このステップS490の場合のステッピン
グモータ14の駆動周波数A1は、図6に示すようにス
テップS420の場合における駆動周波数D1より小さ
い周波数である。そして、この駆動周波数A2,A1
は、相対速度y’と基準値αEvlow の比較結果に応じ
て使い分けられ、図6に示すように、A2<A1の関係
にある。
【0056】従って、相対速度y’が基準値αEvlow
以下の場合は、ピストン40の油路におけるロータリー
バルブの開度は駆動周波数A1で増大するが、相対速度
y’が基準値αEvlow を越えると、A1より低い駆動
周波数A2でバルブ開度は徐々に増大する。このため、
相対速度y’が高い値の時には、ショックアブソーバ1
1の減衰力は、ハード側からソフト側に低い駆動周波数
A2で徐々に変更されることになり、相対速度y’が低
い場合に較べて減衰力の変更が規制される。
【0057】しかも、D1>A1,D2>A2の関係に
あることから、ハード側からソフト側への減衰力の変更
は、電源電圧Evが低下すれば(ステップS360)、
相対速度y’が基準値αEvlow より大きくても小さく
ても、低い駆動周波数で徐々になされる。また、C>B
の関係にあることから、ソフト側からハード側への変更
であっても電源電圧Evが低下すれば(ステップS36
0)、低い駆動周波数で徐々に減衰力の変更がなされ
る。つまり、電源電圧Evが低下すれば、減衰力の変更
の向きや相対速度の如何に拘らず、ショックアブソーバ
11の減衰力は低い駆動周波数で徐々に変更されること
になり、電源電圧Evが正常電圧値である場合に較べて
減衰力の変更が規制される。
【0058】上記したステップS450,480,49
0に続いてはステップS430に移行して変更後の減衰
力ステップ数の更新書き込みを行ない、その後は、再度
ステップS300からの処理を行なう。
【0059】以上説明したように第2実施例のサスペン
ション制御装置10では、相対速度y’が基準値αEv
highより大きい場合には(ステップS400)、ショッ
クアブソーバ11の減衰力のハード側からソフト側への
変更を、ステッピングモータ14を低い駆動周波数D2
で駆動することで、徐々に行ない、相対速度y’が低い
場合に較べて減衰力の変更を規制する。これにより、ハ
ード側からソフト側への減衰力の変更の際には、単位時
間当たりの減衰力変化が小さくなるので減衰力切り換え
時のショックを緩和し乗り心地を悪化させない。しか
も、低い駆動周波数でステッピングモータ14を駆動す
るので、モータの駆動トルクを確保できる。よって、既
述したようにステッピングモータの脱調を招き易いハー
ド側からソフト側への減衰力の変更であっても、駆動ト
ルクの確保によりステッピングモータ14の不用意な脱
調を抑制できる。このため、現状減衰力を、より正確に
ソフト側の目標減衰力に変更できる。
【0060】また、電源電圧Evが低下すれば、ハード
側からソフト側への減衰力の変更の規制(低駆動周波数
の採用)を行なう際の条件となる基準値αEvhighを基
準値αEvlow に小さくする。このため、ステップS4
70では相対速度y’がこの基準値αEvlow を越える
と判断する頻度が増し、ステップS480を経たハード
側からソフト側への減衰力の変更の規制頻度が高まる。
しかも、ステップS480では、電源電圧Evが正常電
圧時におけるステップS410よりも低い駆動周波数で
ステッピングモータ14を駆動してより高いトルクを発
生させ、減衰力をより徐々にソフト側に変更する。よっ
て、電源電圧低下時には、単位時間当たりの減衰力変化
がより小さい状態でハード側からソフト側へ減衰力の変
更がなされるので、減衰力切り換え時のショックをより
緩和し乗り心地を確保できる。また、ステッピングモー
タ14の脱調もより効果的に回避できる。
【0061】その一方で、ソフト側からハード側への変
更に際しては、相対速度y’の如何に拘らず減衰力の変
更規制を行なわないので、減衰力はソフト側からハード
側に変更される。従って、相対速度y’が大きく且つ急
ハンドルや急ブレーキを余儀なくされる状況では、ショ
ックアブソーバ11の減衰力は、その走行状態に応じた
目標減衰力になるよう、通常通りソフト側からハード側
に変更される。このため、この第2実施例のサスペンシ
ョン制御装置10によれば、車両の走行状態によっては
乗り心地に優先して走行安定性を確実に確保することが
できるので、相対速度y’と減衰力の変更の方向に応じ
て車両の走行安定性と乗り心地の改善との両立を図るこ
とができる。
【0062】また、この第2実施例のサスペンション制
御装置10では、電源電圧Evが低下すれば、上記した
ハード側からソフト側への変更規制に加え、ソフト側か
らハード側への変更も駆動周波数を下げることで規制す
る(ステップS380,450)。よって、電源電圧の
低下時であっても、減衰力の変更の向きや相対速度の如
何に拘らず確実に駆動トルクを確保でき、モータの脱調
の回避と正確な減衰力変更を図ることができる。
【0063】以上本発明の一実施例について説明した
が、本発明はこの様な実施例になんら限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0064】例えば、第1実施例のサスペンション制御
装置10では、ハード側からソフト側への減衰力の変更
を、ピストン速度Pvが上限基準値aup以上である場合
にはステッピングモータ14へのパルスの出力を停止し
て、禁止した。しかし、減衰力の変更を禁止するのでは
なく、減衰力の変更の様子がピストン速度Pvが上限基
準値aup未満の場合と異なるよう、以下のように減衰力
の変更を規制することもできる。
【0065】まず第1に、第2実施例のように、ステッ
ピングモータ14に出力するパルスの周波数を低くして
減衰力変化を小さくし、ハード側からソフト側への減衰
力の変更を規制するよう構成してもよい。このように構
成した場合には、周波数低下によりステッピングモータ
14の発生する駆動トルクを増大させることができるの
で、ハード側からソフト側への減衰力の変更の際のステ
ッピングモータ14の脱調を抑制することができる。ま
た、減衰力変化も小さくなるので、減衰力変更の際のシ
ョックや異音も緩和することができる。
【0066】第2に、ステッピングモータ14を4相の
ステッピングモータとしてその励磁方法を4相励磁から
2相励磁に変更することで、ハード側からソフト側への
減衰力の変更を規制するよう構成してもよい。また、駆
動電流値を増大することで減衰力の変更を規制すること
もできる。
【0067】更に、第1実施例では、電源電圧Evが低
下すれば上限基準値aupを低下させてハード側からソフ
ト側への減衰力の変更頻度を低くしたが、この上限基準
値aupをステッピングモータ14周辺の環境温度が低下
すれば低くするよう構成することもできる。このように
構成すれば、次のような利点がある。
【0068】ステッピングモータ14が低い温度環境に
あれば、コイル抵抗値が低下するのでその分電流値が大
きくなる。よって、減衰力変更時のステッピングモータ
14の脱調を駆動トルクの増大を通して抑制することが
可能となる。
【0069】また、ピストン速度Pvの比較値である上
限基準値aup,下限基準値adownを、ショックアブソー
バ11の伸び工程と縮み工程とで異なる値とし、伸び工
程での基準値を縮み工程での基準値より小さくするよう
構成することもできる。ショックアブソーバ11の伸び
工程では縮み工程より減衰力差が大きいため一般に脱調
し易く異音もで易い。しかし、上記の構成を採れば、伸
び工程での減衰力の変更禁止機会が増して減衰力の変更
の機会が少なくなるので、モータの脱調や異音の発生を
より効果的に抑制することができる。
【0070】第2実施例では、駆動周波数を低くするこ
とで減衰力の変更の規制処理(ステップS410,48
0)を行なった。しかし、この規制処理に替えて、第1
実施例における減衰力の変更禁止処理(ステップS18
0)を採用し、ステッピングモータ14の駆動を禁止し
て減衰力の変更を行なわないよう構成することもでき
る。
【0071】なお、本発明における変更規制手段は、上
記した第1および第2実施例では、ステッピングモータ
の駆動信号の駆動周波数を変更してハード側からソフト
側への減衰力の変更制御における減衰力の時間変化率を
変更すること、或いは、ハード側からソフト側への減衰
力の変更制御を禁止することで具現化されている
【0072】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1記載のサス
ペンション制御装置では、ばね上部材とばね下部材との
相対速度と、減衰力の変更の向きとを考慮して減衰力の
変更制御を規制する、即ち、減衰力の変更禁止を通して
変更制御を規制したり、減衰力をハード側からソフト側
に徐変して変更制御を規制する。よって、請求項1記載
のサスペンション制御装置によれば、ハード側からソフ
ト側への減衰力の変更制御の際には、その減衰力変更を
規制して油撃の発生を抑制し、走行安定性に優先して乗
り心地の向上を図ることができる。また、このサスペン
ション制御によれば、急激な姿勢変化等が生じたために
減衰力をソフト側からハード側へ変更制御する際には、
走行状態に応じたソフト側からハード側への減衰力の変
更制御を速やかに実施して、乗り心地に優先して走行安
定性を確保することができる。
【0073】請求項2記載のサスペンション制御装置で
は、ハード側からソフト側への減衰力の変更を、電源電
圧の低下時には相対速度が比較的小さい場合であっても
規制する。この結果、請求項2記載のサスペンション制
御装置によれば、減衰力の変更規制による急激な減衰力
変化の緩和を通して乗り心地の改善を図ることができ
る。また、減衰力の変更規制により減衰力の変更を禁止
すれば、減衰力変更のための減衰力変更機器の駆動機会
を低減させる。このため、請求項2記載のサスペンショ
ン制御装置によれば、電源電圧の低下時における減衰力
変更機器の駆動不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のサスペンション制御装置10の全体構
成を概略的に示すブロック図。
【図2】第1実施例のサスペンション制御装置が行う減
衰力変更ルーチンを示すフローチャート。
【図3】ピストン速度Pvの比較値である上限基準値a
upと電源電圧Evとの関係を示すグラフ。
【図4】第2実施例のサスペンション制御装置が行う減
衰力変更ルーチンの前半部分を示すフローチャート。
【図5】この減衰力変更ルーチンの後半部分を示すフロ
ーチャート。
【図6】第2実施例のサスペンション制御装置が行う減
衰力変更ルーチンにおけるステッピングモータ14の駆
動周波数の大小関係を、相対速度y’,電源電圧Evお
よび減衰力の変更方向とについて説明するための説明
図。
【符号の説明】
10…サスペンション制御装置 11a〜11d…ショックアブソーバ 12a〜12d…主エアーチャンバ 13a〜13d…副エアーチャンバ 14…ステッピングモータ 15…アクチュエータ 23a〜23d…第1電磁切換弁 24…第2電磁切換弁 31a〜31d…ストロークセンサ 32…モードスイッチ 33…ブレーキスイッチ 34…舵角センサ 35…車速センサ 36…ヨーレートセンサ 37…マイクロコンピュータ 38…スロットル開度センサ 39…シフトセンサ 40…ピストン 41…上下Gセンサ
フロントページの続き (72)発明者 河井 真人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 仲松 淳一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−276806(JP,A) 特開 平4−38213(JP,A) 特開 平4−321415(JP,A) 特開 平4−135911(JP,A) 特開 平4−102740(JP,A) 特開 平4−27613(JP,A) 特開 平4−169316(JP,A) 実開 昭57−118915(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015 F16F 9/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のばね上部材とばね下部材との間に
    配設され減衰力を可変に該両部材を懸架する懸架手段
    と、 該懸架手段の減衰力を、前記車両の走行状態に応じてソ
    フト側とハード側との間に亘って変更する減衰力変更手
    段とを有するサスペンション制御装置であって、 前記ばね上部材とばね下部材との相対速度を検出する検
    出手段と、 前記減衰力変更手段による減衰力の変更がハード側から
    ソフト側への変更であることを判定する判定手段と、 前記検出した相対速度が所定値以上であるときに該判定
    した減衰力の変更がハード側からソフト側への変更であ
    る場合には、前記減衰力変更手段による減衰力の変更を
    規制する変更規制手段とを有し、 該変更規制手段は、 減衰力の変更を禁止することで前記減衰力変更手段によ
    る減衰力変更を規制する手段と、減衰力の変更速度を遅
    くして減衰力を徐変することで前記減衰力変更手段によ
    る減衰力変更を規制する手段のいずれかの手段を備える
    とを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のサスペンション制御装置
    であって、 更に、 電源電圧を検出する電圧検出手段と、 該検出した電源電圧の低下に応じて前記所定値を低減す
    る低減手段とを備えるサスペンション制御装置。
JP27039694A 1994-10-07 1994-10-07 サスペンション制御装置 Expired - Fee Related JP3120667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27039694A JP3120667B2 (ja) 1994-10-07 1994-10-07 サスペンション制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27039694A JP3120667B2 (ja) 1994-10-07 1994-10-07 サスペンション制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08108728A JPH08108728A (ja) 1996-04-30
JP3120667B2 true JP3120667B2 (ja) 2000-12-25

Family

ID=17485682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27039694A Expired - Fee Related JP3120667B2 (ja) 1994-10-07 1994-10-07 サスペンション制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3120667B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4744405B2 (ja) * 2006-09-19 2011-08-10 本田技研工業株式会社 ダンパ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08108728A (ja) 1996-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3125603B2 (ja) サスペンション制御装置
US5467280A (en) Vehicular suspension system utilizing variable damping force shock absorber
JP3342719B2 (ja) サスペンション制御装置
US8090500B2 (en) Control device for a variable damper
JPH0295911A (ja) 自動車用アクティブサスペンションの制御装置
JPH0487815A (ja) 車両用減衰力制御装置
JPH0737204B2 (ja) 車両用サスペンシヨン装置
CN111137096A (zh) 用于可变阻尼力阻尼器的控制系统
JP3120667B2 (ja) サスペンション制御装置
JPH04100724A (ja) 車両用能動型スタビライザ
JPH0986131A (ja) サスペンション制御装置
JP4621582B2 (ja) 可変減衰力ダンパの制御装置
JP3061841B2 (ja) 車両の姿勢制御装置
JP2947004B2 (ja) 能動型サスペンション
JPH0732845A (ja) 車両用サスペンション制御装置
JP2008162333A (ja) 車両用サスペンションシステム
JP3250380B2 (ja) 車両のロール剛性制御装置
JPH02208108A (ja) 能動型サスペンション
JP3095398B2 (ja) 車両のサスペンション装置
KR100229413B1 (ko) 자동차의 롤링 제어장치 및 그 제어방법
JP3325130B2 (ja) 車両懸架装置
JPH06106945A (ja) 減衰力可変ショックアブソーバ制御装置
JPH07205628A (ja) サスペンション制御装置
KR100770308B1 (ko) 차량용 전자제어 현가장치에서의 모드 제어 방법
JP2591671Y2 (ja) 車両用エアサスペンション装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081020

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081020

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091020

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091020

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees