JP3119947U - 木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造 - Google Patents

木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造 Download PDF

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Abstract

【課題】間伐材などの木材の有効活用と、大型重機を使用することなく組立て施工が可能な壁体構造を提供する。
【解決手段】コンクリート底板1の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱2と木製支柱3を連結して立設し、一定の間隔(S)で横に並べてコンクリート支柱2と木製支柱3に形成された凹溝に多数の木質板材4,…と幅広のコンクリート板材5を横長にして両端部を嵌め込み、積み上げた上端に天端笠板6を被せて構成される木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造であり、木質板材4は、厚さの異なる二枚の木質板材3b,3cの間にスペース間材3dを介在させて分離可能に組立て、金属製の接続プレート9,9を介在させて連結する。
【選択図】図1

Description

本考案は、間伐材などの木材の有効活用と、大型重機を使用することなく組立施工を可能とする木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造に関するものである。
水路の側壁や土手、盛土等の擁壁や壁体構造として、従来、型枠を組立てた後にコンクリートを流し込んで施工する構造のものや、コンクリートの床盤を打設した後にコンクリート製のL字状ブロックを並べて施工する構造のものが一般的に知られている。
又、間伐材などの木材を有効に活用するため、背中合わせとなる一対の側面を平面に整形した加工木材と、管材とからなり、複数の前記加工木材の平面同士を接着剤で接合し、前記接合した加工木材群の一方の端部に配置した加工木材から他方の端部に配置した加工木材までを貫通する管材を複数配置した木製パネル、及び該木製パネルをもたれ擁壁、落石防止柵、防音壁、盛土壁面として使用する使用方法(特許文献1参照)や、コンクリート基礎部に下端側を連結して立設させた軸圧棒材に所要の高さの金属筒管を挿入して縦方向に支持させ、該金属筒管の上端側で金属筒管を台座として軸圧棒材に引張力を加えて継ぎ足しできるようにした軸圧棒材と金属筒管により形成される仮設支柱と、仮設支柱の内側(地山側)に立てて設置される壁体(間伐材)とを含む擁壁構造(特許文献2参照)が開示され、公知となっている。
特開2003−89103号公報 特開2005−207163号公報
しかしながら、従来行われているコンクリート擁壁や壁体構造は、型枠の組立や解体に手間や技術を要するといった問題点を有し、コンクリート製のL字状ブロックによる擁壁や壁体構造は、L字状ブロックが大きくて重量があり、大型重機により運んだり、吊したりして施工しなければならず、水路等の狭い場所での施工作業が難渋するといった問題点があるほか、全面をコンクリートで覆うので自然環境に与える負荷が大きい問題点を有している。
又、上記特許文献1、特許文献2に記載される技術は、間伐材等の木材を利用してはいるが、間伐材等の木材で形成されるパネルや壁体が、加工木材の平面同士を接着剤で接合して管材を貫通させた木製パネルであったり、間伐材等の木材を横長に配置して上下に積層し、厚板構造体として組付けた壁体と地山との空隙部分に硬化性流体を投入して硬化させるようにした擁壁構造であったりして、間伐材等の加工木材の組立てや取替えが容易に行えない問題点や、基礎コンクリートを打設したり、加工木材と斜面や地山との間にコンクリートや硬化性流体等を投入して固めるので、施工後の解体が容易でなく自然環境に与える負荷も大きい問題点を有している。
本考案は、上記問題点に鑑みてなされた木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造であり、その解決するための手段は、コンクリート底板の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱と木製支柱を連結して立設し、一定の間隔で横に並べてコンクリート支柱と木製支柱に形成された凹溝に多数の木質板材と幅広のコンクリート板材を横長にして両端部を嵌め込み、積み上げて上端に天端笠板を被せて構成されてなることを特徴とする手段を講じたものである。
又、前記コンクリート底板の上に立設する支柱は、左右に凹溝を形成したH型状のコンクリート支柱をコンクリート底板上に固定された支持金具で支持して立設し、その上に、左右に凹溝を形成したH型状の木製支柱を連結してなることを特徴としており、前記コンクリート支柱と木製支柱は、前後両面に金属製の接続プレートを面一になるように埋設してボルトを貫通させ、ボルトの端部をナットで締め付けて連結されてなることを特徴とする手段を講じたものである。
更に、前記コンクリート支柱は、左右に凹溝を設けてH型状に一体に形成され、木質支柱は、厚さの異なる二枚の木質板材の間にスペース間材を介在させてH型状に組立てられてなることを特徴としており、前記木質支柱と木質板材、及び天端笠板は、間伐材を製材したものであることを特徴とする手段を講じたものである。
上記手段にて記載するように、本考案は、コンクリート底板の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱と木製支柱を連結して立設し、一定の間隔で横に並べてコンクリート支柱と木製支柱に形成された凹溝に多数の木質板材と幅広のコンクリート板材を横長にして両端部を嵌め込み、積み上げた上端に天端笠板を被せて構成されたものであり、以下に記載するような効果を奏する。
すなわち、
(1)構成される各部品が、予め人手で持ち運び可能に成形したものであるから、狭い場所への持ち運び、及び組立て施工が容易であり、大型重機で吊したり、運んだりして施工する必要がない。
(2)間伐材を利用することにより、林業振興に寄与できると共に、自然環境に与える負荷の低減が図られる。
(3)木製支柱は二枚の木質板材の間にスペース間材を介在させて形成されるものであり、組立て施工後は前面の木質板材を取り外すだけで両端部を嵌め込んで横長に積み上げた木質板材やコンクリート板材の着脱が可能となり、木質材が劣化したり、破損したりした場合の取替えや補修が容易且つ迅速に行えると共に、補修にかかる費用の低減も図れる。
(4)土圧のかかる下部支柱や底板、及び水流等の接触する側壁部の板材は、鉄筋入りのコンクリート製であるから、壁体としての強度や耐久性の維持が図られる。
(5)各部品単位で加工や保管ができるので、間伐材の利用や工場等の量産加工により安価に提供できると共に、品質管理や保管がやりやすく、即納体制を整えるのに有利である。
本考案を実施するための最良の形態は、コンクリート底板の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱を立て、該コンクリート支柱に、左右に凹溝を形成した木製支柱を金属製の接続プレートを介在させてボルトとナットで連結し、一定の間隔で横に並べ、コンクリート支柱と木製支柱に形成された凹溝に、下から多数の木質板材と、その上に幅広のコンクリート板材、多数の木質板材と順次横長にして両端部を嵌め込み、積み上げた上端に天端笠板を被せて構成される形態である。以下実施例にて図面を参照して説明する。
図1は、本考案の実施例を示す図面で、(A)は前面の縦平面図、(B)は(A)のA−A断面図である。図示するように、コンクリート底板1,1,…の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱2,2,…立て、該コンクリート支柱に、左右に凹溝を形成した木製支柱3,3,…を連結し、一定の間隔(S)で横に並べ、コンクリート支柱2,2,…と木製支柱3,3,…に形成された凹溝2a,2a,…、3a,3a,…に、下から多数の木質板材4,4,…と、その上に幅広のコンクリート板材5、多数の木質板材4,4,…と順次横長にして両端部を嵌め込み、積み上げた上端に天端笠板6を被せた構成となっている。前記間隔Sはおおむね1.0〜1.2m程度とし、施工距離に応じて多数並設される。
コンクリート底板1は、厚さが5〜6cmで、一辺が45〜50cm程度の方形の底板で、補強のための鉄筋(図示せず)が適宜配筋され、上面にはコンクリート支柱2を立てて支持するための支持金具7,7を突き出して固めたコンクリート二次製品であり、ボルト8を貫通させて端部をナットで締め付けることによりコンクリート支柱2の下端部が支持されて立設されており、コンクリート支柱2の上端部には、木製支柱3が、前後両面に金属製の接続プレート9,9を面一になるように埋設してボルト8a及び8bを貫通させ、該ボルトの端部をナットで締め付けることにより連結されている。木製支柱3の後面は板厚を厚くした木質板材3cにしてコンクリート支柱2の上端部後面に当接させて連結してある。
コンクリート支柱2は、図2に示すように左右に凹溝2a,2aを設けてH型状に一体に形成され、適宜鉄筋が配筋されて補強されたコンクリート二次製品であり、下端部をコンクリート底板1の上面に突き出した支持金具7,7で挟むようにしてボルト8を通し、両端部をナット10,10で締め付けることによりしっかりと支持され、木製支柱3は、図3に示すように厚さの異なる二枚の木質板材3b,3cの間にスペース間材3dを介在させてボルト8aを通し、端部をナット10,10で締め付けてH型状に分離可能に組立てられており、組立て施工後に前面のナット10を緩めて取り外すことにより、前面の木質板材3b及び接続プレート9を取り外すことができて、凹溝3a,3aに両端部を嵌め込んだ木質板材4,4の着脱が可能となる。
前記木製支柱3と木質板材4、及び天端笠板6は、間伐材を製材したものであり、木質板材4の幅はおおむね10cm、厚さは5cm程度にして、長さはコンクリート支柱2と木製支柱を連結して並設した前記間隔Sより5cm程度短くする。例えば、前記間隔Sが1.0m(100cm)の場合は95cm程度ということになる。
コンクリート板材5は、鉄筋を適宜配筋して固められたコンクリート製の平板であり、厚さと長さは前記木質板材と同一であるが、幅はおおむね45〜50cmとし、幅広に形成されたコンクリート二次製品である。なお、コンクリート板材5は、コンクリートに限定されず、耐食性があり、強度のある、例えば繊維強化プラスチック等の板材を使用することもできる。
以上のようにしてなる本考案により、壁体(側壁)を組立て施工する場合の組立て施工例について、図4,図5,図6にて説明する。本組立て施工例は、組立て施工をわかりやすく説明する一例であって、必ずしもこのとおりでなくてはならないものではなく、組立て施工現場の状況に応じて変り得るものである。
先ず、下方部の組立てを行うため、図4の(4−1)に示すコンクリート底板1をちょうはりに合わせて設置する。コンクリート底板1は、支持金具7,7が上面より垂直に突き出した状態となっている。
上記のようにして設置したコンクリート底板1に、(4−2)に示すようにコンクリート支柱2を立て、コンクリート支柱2の下端部を支持金具7,7で挟むようにしてボルト8を通し、端部をナット10,10で締め付けて固定する(断面図は図2参照)。ボルト8は、全ねじのボルト棒(市販品)を所要の長さに切断して使用しても良いし、所要の長さの頭付きボルト(規格品)を使用しても良い。頭付きボルトの場合は、片方だけナット10で締め付けることになる。
以上のように、コンクリート底板1の上に立設したコンクリート支柱2の凹溝2aに、間伐材を所要の寸法に製材した多数の木質板材4,…を横長にして端部を嵌め込み、積み上げたその上に所要の寸法に形成されたコンクリート板材5を同様にして嵌め込み、土を埋め戻して(4−3)の状態とする。埋め戻し面11は、上方の木質板材4が二枚程度露出する程度とする。なお、本実施例図では片面視断面図で説明してあるが、実際はコンクリート底板1に立設されたコンクリート支柱2が複数並べられて、コンクリート支柱2の左右に設けられた凹溝2aに、木質板材4,…の両端部が嵌め込まれて壁体(側壁)が構築されることになる。
次いで、上方部の組み立てを行うため、図5の(5−1)に示すように木質板材3b,3cの間にスペース間材3dを挟むようにし、且つ金属製の接続プレート9,9を木質板材3b,3cの下方部外面に面一になるようにして、ボルト8a,8aを貫通させ、端部をナットで締め付けると(5−2)に示すような木製支柱3となる(断面図は図3参照)。木質板材3cは厚さを厚くして、コンクリート支柱2の上端部後面に当接させて連結するようにしてある。
上記のように組立てられた木製支柱3を、前記コンクリート底板1の上に立設したコンクリート支柱2に連結すると図6の(6−1)に示すようになる。コンクリート支柱2と木製支柱3はボルト8a,8bを貫通させ、端部をナットで締め付けることにより連結され、コンクリート支柱2の凹溝2aと木製支柱3の凹溝3aが略一致した状態で立設された状態となる。この状態で間伐材を所要の寸法に製材した木質板材4,…を多数積み上げ、上端に天端笠板6を被せてビス12,…で止めると(6−2)に示すようになる。
図7は、以上のようにして組立てた壁体を側壁とする水路の施工例を示すものである。前記埋め戻し面11を更に埋め戻してコンクリート板材5の下端より上の埋め戻し面11a迄上げ、水路の水の流れがコンクリート板材5の壁面に当るようにし、水路の外壁側は天端笠板6の下面迄埋め戻して平坦面12,12としてある。この状態で、木製支柱3の内側の木質板材3b,3bは、ナット10,10,…を緩めて取り外すことができ、木質板材3b,3bを取り外すことにより、壁面の木質板材4,4,…は容易に取り外すことができる。
本考案は、水路等の側壁や、土手、盛土等の壁体のみならず、間伐材を利用した柵や防護柵、及び塀等にも利用できる可能性があり、利用を図ることにより林業振興に寄与できる。
本考案の実施例を示す図面で、(A)は縦平面図、(B)は(A)におけるA−A断面図である。 図1の(B)におけるB−B要部断面図である。 図1の(B)におけるC−C要部断面図である。 下方部の組立て施工例を示す説明図である。 上方部(木製支柱)の組立て例を示す説明図である。 下方部と上方部の組立て施工例を示す説明図である。 水路の壁体(側壁)の組立て施工例を示す断面図である。
符号の説明
1 コンクリート底板
2 コンクリート支柱
2a,3a 凹溝
3 木製支柱
3b,3c 木質板材
3d スペース間材
4 木質板材
5 コンクリート板材
6 天端笠板
7 支持金具
8,8a,8b ボルト
9 接続プレート
10 ナット
11,11a 埋め戻し面
12 平坦面

Claims (5)

  1. コンクリート底板の上に、左右に凹溝を形成したコンクリート支柱と木製支柱を連結して立設し、一定の間隔で横に並べてコンクリート支柱と木製支柱に形成された凹溝に多数の木質板材と幅広のコンクリート板材を横長にして両端部を嵌め込み、積み上げた上端に天端笠板を被せて構成されてなることを特徴とする木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造。
  2. コンクリート底板の上に、左右に凹溝を形成したH型状のコンクリート支柱をコンクリート底板上に固定された支持金具で支持して立設し、その上に、左右に凹溝を形成したH型状の木製支柱を連結してなることを特徴とする請求項1記載の木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造。
  3. コンクリート支柱と木製支柱が、前後両面に金属製の接続プレートを面一になるように埋設してボルトを貫通させ、ボルトの端部をナットで締め付けて連結されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造。
  4. コンクリート支柱は、左右に凹溝を設けてH型状に一体に形成され、木製支柱は、厚さの異なる二枚の木質板材の間にスペース間材を介在させてH型状に組立てられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造。
  5. 木製支柱と木質板材、及び天端笠板は、間伐材を製材したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の木質板材とコンクリートの組立式複合壁体構造。
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