JP3118925B2 - 重合体粒子の水性分散体の製造方法 - Google Patents

重合体粒子の水性分散体の製造方法

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JP3118925B2 JP03355973A JP35597391A JP3118925B2 JP 3118925 B2 JP3118925 B2 JP 3118925B2 JP 03355973 A JP03355973 A JP 03355973A JP 35597391 A JP35597391 A JP 35597391A JP 3118925 B2 JP3118925 B2 JP 3118925B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は重合体粒子の水性分散体
の製造方法に関し、特に、耐候性,耐汚染性および無機
基材に対する密着性などに優れた被膜を形成することが
できる重合体粒子の水性分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機溶剤による大気汚染や人体へ
の悪影響を防止する環境衛生の点ならびに省資源などの
点から、従来一般的に使用されている溶液状の溶剤系フ
ッ素樹脂から分散媒体として水を用いた水分散系フッ素
樹脂への転換が盛んに検討されている。
【0003】しかしながら、水分散系フッ素樹脂は溶剤
系フッ素樹脂に比べると物性面で劣り、特に耐候性,耐
汚染性,無機基材に対する密着性の点で劣っている。
【0004】このことは、主に以下の理由によると考え
られる。
【0005】水分散系フッ素樹脂においては、重合体が
分散状態にあって粒子の形態を有することから、これを
安定化させるために分散安定材,石ケン,アルカリ等の
種々の水溶性成分が必要である。そのため、被膜形成時
に、これらの水溶性成分が塗膜表面に残留し、これが耐
候性,耐汚染性,無機基材に対する密着性等を低下させ
るものと考えられる。
【0006】これに対し、溶剤系フッ素樹脂において
は、重合体が溶液状態にあって粒子形態を持たない分子
単位レベルの成膜が可能であり、しかも水分散系フッ素
樹脂に必須な分散安定剤,石ケン,アルカリ等の水溶性
成分をまったく必要としないために、成膜性,耐候性,
耐汚染性および基材への密着性等において水分散系フッ
素樹脂より優れている。
【0007】このような水分散系フッ素樹脂の有する欠
点を緩和するために、水分散系フッ素樹脂のモノマー組
成の最適化,小粒子径化,コア/シェル構造を有する粒
子の複合化,水溶性溶剤の水媒体への添加等の技術によ
る改良が試みられているが、未だ十分に改良されていな
いのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景に成されたもので、その目的とするとこ
ろは、耐候性,耐汚染性,無機基材に対する密着性など
が改善された、フッ素系重合体にポリシロキサンを複合
化した重合体粒子の水性分散体の製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、フッ化ビニリ
デン系重合体もしくはこれを含むフッ素系重合体粒子の
水性分散体100重量部(固形分換算)の存在下に、
般式R n Si(OR′) 4-n (式中、R,R′は炭素数1
〜8の有機基、nは0〜3の整数を示す)で表されるア
ルコキシシラン化合物およびR m SiO (4-m)/2 (式中、
Rは炭素数1〜8の有機基、mは0〜3の数を示す)で
表される環状シロキサンから選ばれた少なくとも1種の
オルガノシラン化合物1.0〜300重量部を縮合反応
させることを特徴とする重合体粒子の水性分散体の製造
方法に関する。
【0010】本発明においては、フッ素系重合体粒子の
水性分散体の存在下にオルガノシラン化合物を縮合反応
させることにより、フッ素系とポリシロキサン系との重
合体粒子の水性分散体が得られる。この水性分散体を用
いることにより、耐候性,耐汚染性,無機基材に対する
密着性等の点で優れた被膜を形成することができる。
【0011】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】フッ素系重合体 本発明において用いられるフッ素系重合体としては、フ
ッ化ビニリデンを用いたフッ化ビニリデン系重合体が好
ましく、フッ化ビニリデンの単独重合体、およびフッ化
ビニリデンとこれと共重合可能な単量体、例えばトリフ
ルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、四
フッ化エチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブ
チレン、パーフルオロアクリル酸等のフッ素含有エチレ
ン系不飽和化合物、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒ
ドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレ
ン系不飽和化合物、ブタジエン、イソプレン、クロロプ
レン等のフッ素非含有ジエン化合物等との共重合体を挙
げることができる。フッ化ビニリデン系重合体中におけ
るフッ化ビニリデンの使用割合は、通常重合体の30重
量%以上である。フッ化ビニリデン系重合体のうちで
は、フッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデン/
四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン/四フッ
化エチレン/六フッ化プロピレン共重合体等が好まし
く、特にフッ化ビニリデン/四フッ化エチレン/六フッ
化プロピレン共重合体が好ましく使用され、その共重合
割合は、通常、フッ化ビニリデン30〜90重量%、四
フッ化エチレン50〜9重量%、六フッ化プロピレン2
0〜1重量%である。また、フッ化ビニリデン系重合体
の分子量は、通常1〜50万である。
【0013】フッ素系重合体は、水性媒体中で粒子とし
て分散される限り、どのような状態で添加してもよい
が、本発明においては乳化重合によって得られるフッ素
系重合体が好ましく、この場合、水性分散体として製造
されることから、そのまま水性分散体として次の縮合反
応に使用することが好都合である。このようなフッ素系
重合体の水性分散体は、通常の乳化重合方法により、例
えば原料単量体を水性媒体中で通常使用される乳化剤、
重合開始剤、pH調整剤等の存在下に乳化重合して製造
することができる。
【0014】なお、フッ素系重合体粒子の粒径は、目的
とする重合体粒子の粒径に応じて変わるが、通常、0.
05〜3μmの範囲にあるのが好ましい。
【0015】また、本発明においては、フッ素系重合体
粒子をそのまま用いてもよいが、前記フッ素系重合体粒
子をシード粒子として、これに主として(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体を吸収もしくは吸着させて重合を行
う、いわゆるシード重合によって得られるフッ素/アク
リル系重合体粒子(以下、「フッ素/アクリル系重合体
粒子」という)を好適に用いることができる。このシー
ド重合において(メタ)アクリル酸エステルを主とする
単量体成分は以下の(a)〜(c)成分からなることが
好ましい。 (a)アルキル基の炭素数が1〜5の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体 この(a)成分の使用量は、全単量体に対して10〜9
9.9重量%、好ましくは30〜60重量%である。 (b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 この(b)成分の使用量は、全単量体に対して0.1〜
60重量%、好ましくは10〜40重量%である。 (c)これらの単量体(a),(b)と共重合可能な他
の単量体 この(c)成分の使用割合は、0〜89.9重量%、好
ましくは0〜40重量%、特に好ましくは0〜30重量
%である。
【0016】このようなフッ素/アクリル系重合体粒子
を用いることにより、フッ素系重合体を単独で用いた場
合に比べ、被膜の耐候性,耐汚染性,無機基材に対する
密着性等がより一層改善される。
【0017】上記(a)成分のうちのアルキル基の炭素
数が1〜5のアクリル酸アルキルエステルとしては、例
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミルを挙げる
ことができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1
〜3のアクリル酸アルキルエステル、特にアルキル基の
炭素数が1または2のアクリル酸アルキルエステルが好
ましく使用される。
【0018】アルキル基の炭素数が1〜5のメタクリル
酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸アミル、メタクリル酸イソアミル等を挙げること
ができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜3
のメタクリル酸アルキルエステル、特にアルキル基の炭
素数が1または2のメタクリル酸アルキルエステルが好
ましく使用される。
【0019】上記(b)成分のエチレン系不飽和カルボ
ン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などを挙げるこ
とができ、特にアクリル酸が好ましく使用される。
【0020】上記(c)成分としては、酢酸ビニル等の
ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N
−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−ア
ルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリル
アミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド等のアミ
ド化合物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル
酸N−ジアルキルアミノエチル、アクリル酸グリシジ
ル、アクリル酸フルオロアルキル等のアクリル酸エステ
ル;メタクリル酸ジアルキルアミノエチル、メタクリル
酸フルオロアルキル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメ
タクリレート等のメタクリル酸エステル;アリルグリシ
ジルエーテル等のビニルエーテル化合物;1,3−ブタ
ジエン、イソプレン等の共役ジエン;スチレン、α−メ
チルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル化
合物;ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル等を
挙げることができる。これらのうち、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、アリルグリシジルエーテル、1,3−ブタ
ジエン、スチレン、アクリロニトリル等が好ましく使用
される。
【0021】前記フッ素系重合体粒子の水性分散体
(イ)100重量部(固形分換算)の存在下に、上記の
(a)、(b)、(c)成分からなる単量体を10〜9
00重量部、好ましくは40〜400重量部、さらに好
ましくは100〜300重量部の比率で重合すること
で、該単量体がフッ素系重合体粒子に吸収あるいは吸着
された状態、好ましくは吸収された状態で重合されて、
フッ素系重合体を含有する粒子の水性分散体(ロ)が得
られる。
【0022】本発明の重合体粒子の水性分散体は、フッ
素系重合体を含有する粒子の水性分散体(ロ)の存在下
に、オルガノシラン化合物を縮合させることにより、製
造される。
【0023】オルガノシラン化合物 前記オルガノシラン化合物としては、一般式RnSi
(OR′)4-n で表わされるアルコキシシラン化合物ま
たはRmSiO(4−m)/2で表わされる環状シロキ
サンなどが挙げられる。
【0024】式中、R,R′は炭素数1〜8の有機基、
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロ
ピル基等のアルキル基、その他のγ−クロロプロピル
基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ
−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロ
ピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,
4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−アミノプロ
ピル基等が挙げられる。また、式中、nは0〜3の整
数、mは0〜3の数を示すものである。
【0025】これらのアルコキシシラン化合物の具体例
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラ
ン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルト
リエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、
i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキ
シシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロ
ヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメト
キシシラン等を挙げることができる。好ましくは、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。
【0026】また、環状シロキサンとしては、ヘキサフ
ェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテ
トラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテト
ラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシク
ロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキ
サン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチ
ルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサ
シロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキ
サンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状
のオルガノシロキサンを挙げることができる。
【0027】これらのオルガノシラン化合物は、1種単
独または2種以上を併用することができ、他の例えばチ
タン,アルミニウム等の金属アルコキシドと併用するこ
ともできる。また、これらのオルガノシラン化合物は必
要に応じて有機溶媒に溶解させて使用することもでき
る。
【0028】フッ素系重合体粒子(以下、「重合体シー
ド」という)の水性分散体に対するオルガノシラン化合
物は、重合体シード100重量部(固形分換算)に対し
て1〜300重量部、好ましくは5〜150重量部、さ
らに好ましくは10〜100重量部である。
【0029】縮合反応 本発明の製造方法において用いられる水系分散媒は、水
単独もしくは水に良く混合するケトン類,低級アルコー
ル類,エステル類等を含むことができる。これらの有機
溶剤は、水に対して1〜100重量%の割合で使用する
ことが可能であるが、重合体シードの分散状態を良好に
保つためには70重量%以下、好ましくは50重量%以
下の割合で使用されることが望ましい。
【0030】本発明において、重合体シード中にオルガ
ノシラン化合物を吸収させることは、重合体シードが分
散された水系分散体中にオルガノシラン化合物を添加
し、系を良く撹拌することにより容易に達成される。
【0031】上記重合体シードにオルガノシラン化合物
を効率よく吸収させるために、必要に応じて、水に対す
る溶解度が10-3重量%以下の溶媒を予め重合体シード
に吸収させておくことも可能である。また、系をpH4
〜10、好ましくはpH5〜9、さらに好ましくはpH
6〜8に調整し、温度は90℃以下、好ましくは70℃
以下、さらに好ましくは50℃以下、特に好ましくは3
0℃以下の条件下で、オルガノシラン化合物を添加,吸
収させることが望ましい。
【0032】オルガノシラン化合物の縮合反応は、反応
温度および水素イオン濃度を調整することにより容易に
制御され、オルガノシラン化合物の重合度をコントロー
ルできる。
【0033】オルガノシラン化合物の縮合反応は、通常
温度30℃以上、好ましくは50℃以上、さらに好まし
くは80℃以上で行うことができ、例えば乳化剤の存在
下において行うことができる。この乳化剤は界面活性剤
の役目を果たすと同時にオルガノシラン化合物の縮合反
応の触媒として機能するものであり、かかる乳化剤とし
ては脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましい。
【0034】本発明においてオルガノシラン化合物は重
合体シードに吸収された状態で縮合反応しても、あるい
は重合体シードに吸収されずに例えば吸着した状態で縮
合反応してもよいが、より相溶性に優れた複合粒子を得
るためにはオルガノシラン化合物の一部または全部が重
合体シードに吸収されて縮合反応することが好ましい。
その際、重合体シードに吸収されて縮合反応するオルガ
ノシラン化合物は、使用される全オルガノシラン化合物
の好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量
%以上、特に好ましくは30重量%以上である。
【0035】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に
説明する。なお、「部」および「%」はいずれも重量基
準である。
【0036】実施例1 容量7リットルのセパラブルフラスコの内部を窒素雰囲
にして、表1の実施例1に示すフッ化ビニリデン系重合
体(フッ化ビニリデン/四フッ化エチレン/六フッ化プ
ロピレン共重合体、平均粒径0.25μm、商品名カイ
ナー:KYNAR9031/アトケム社製)100部お
よび過硫酸ナトリウム0.3部を入れて攪拌し、75℃
まで昇温させた。
【0037】別容器で表1の実施例1に示すメタクリル
酸メチル50部、アクリル酸エチル25部、アクリル酸
ブチル15部、スチレン5部、アクリル酸5部および水
50部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(乳化
剤)1.0部を乳化混合したものを、上記セパラブルフ
ラスコに3時間かけて連続的に添加した。この添加終了
後、さらに85℃〜95℃で2時間熟成した後、冷却し
て反応を終了させ、フッ化ビンリデン系重合体を得た。
【0038】次に、25℃を保った状態で系のpHを
8.0に調整し、表1の実施例1に示すアルコキシシラ
ン化合物30部を添加し、約30分間にわたって強く攪
拌した。その後、反応容器を70℃に昇温し、3時間反
応させて重合体粒子の水性分散体を得た。この分散体に
おいては凝固物の発生は観察されず、また、長時間放置
したところ、分散粒子の分離もなく、安定した分散状態
を維持し得ることが確認された。
【0039】実施例2〜10,比較例1〜4 実施例1と同様の方法で、表1,表2および表3に示し
た成分を用いて重合を行ない、実施例2〜10および比
較例1〜4にかかる重合体粒子の水性分散体を得た。こ
れらの水性分散体は、いずれも実施例1と同様に、凝固
物がなく、かつ分散安定性に優れていた。
【0040】
【表1】
【表2】
【表3】 (重合体粒子の水性分散体の評価)上記実施例および比
較例で得られた重合体粒子の水性分散体100部(固形
分換算)に、 充填剤として酸化チタン(商品名、タイペークR930、石原産業(株)製) 50部、 分散剤としてポリカルボン酸ナトリウム塩(商品名、SN−DISPERSA NT5044、サンノプコ社製) 2部、 凍結防止剤としてエチレングリコール 1部、 防腐剤(商品名、SN−215、サンノプコ社製) 0.05部、 消泡剤(商品名、FOAMASTER−AP、サンノプコ社製)0.5部、 および 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 2部、 を添加し、固形分が60%になるように水で調整した
後、増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(商品
名、A−5000、フジケミカル社製)を用い、塗料粘
度が4000cpsになるように調整した。混合はディ
スパー攪拌機を用い、充分混合した後、減圧脱泡機に移
し、脱泡した。
【0041】得られた塗料をキシレンおよびアルカリ性
洗浄剤で脱脂した鉄板(JIS−G3141、SPCC
板、0.8×70×150mm)にエアレススプレーガ
ンにて乾燥後の塗膜が200μmになるように塗布し
た。塗布した鉄板は150℃で15分間乾燥した。
【0042】上記の塗布鉄板を用いて、以下の各特性に
ついて試験を行った。その結果を表1,表2および表3
に示す。 耐候性 フェードメータ(スガ試験機(株)製)中に1000時
間入れた後の光沢の初期値に対する光沢の保持率(%)
を求め、下記基準により耐候性を評価した。
【0043】光沢保持率 ○:100〜80 △: 79〜40 ×: 39以下 密着性 塗膜面をクロスカット(2mmます目10×10個)し
た後、粘着テープ(ニチバン(株)製)による剥離試験
を実施した。密着性は下記基準により評価した。
【0044】カット面上の残存個数 ○:100〜80 △: 79〜40 ×: 39以下 耐汚染性 カーボン粉とグリセリンとを重量比1:2で混合したペ
ースト状の混合物を塗膜表面に均一に塗布し、24時間
放置した。その後、この塗膜を水洗いし、目視で汚れの
落ち具合を観察し、以下の3段階で評価した。
【0045】○:完全に汚れが落ちた。
【0046】△:若干汚れが残った。
【0047】×:汚れがかなり残った。 耐水性 蒸溜水(20℃)に24時間浸漬した後の塗膜の状態に
よって判定した。
【0048】(塗料膜厚500μm) ◎:優秀 ○:良好 △:普通 ×:悪い 撥水性(接触角) エルマ光学(株)製の接触角測定装置を使用し、塗膜の
接触角を測定した。 耐久性 2mの高さからビニールパイプを通してナット(M−
6)を塗膜上に60度の角度で落下させ、鉄板が露出し
たときのナットの重量を求め、下記基準により耐久性を
評価した。
【0049】○: 30kg以上 △: 11kg以上〜30kg未満 ×: 10kg以下 鉛筆硬度 JIS−K5400、6−14に準じて測定した。 成膜性 アルミニウム基板に、塗料の膜厚が30μmになるよう
にアプリケーターで塗布し、2週間にわたって常温乾燥
を行い、塗膜を得た。判定は目視によって次の3段階で
行った。
【0050】○: クラックによる塗膜の亀裂なし △: 一部にクラックが発生 ×: 全体にクラックが発生 実施例1〜10は本発明の範囲内の水性分散体を用いた
水性塗料の例であり、本発明の目的とする良好な特性が
得られている。
【0051】比較例1は、アルコキシシラン化合物を使
用していない例であり、耐候性,耐汚染性が劣る。
【0052】比較例2は、アルコキシシラン化合物の使
用量が本発明の範囲を超えた例であり、特に密着性、成
膜性が劣り、また添加量に見合った性能が得られない。
【0053】比較例3は、フッ化ビニリデン系重合体粒
子のかわりにアクリルエステル共重合体ラテックス「A
B316(A)」(日本合成ゴム(株)製)100部を
用いた以外は実施例1と同様にして得られた重合体粒子
の水性分散体を用いた例である。この比較例において
は、耐候性をはじめ多くの特性が全体的に劣る結果とな
った。
【0054】比較例4は,アルコキキシラン化合物を使
用していない例であり、特性の全般にわたって劣ってい
る。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素系重合体にオル
ガノシラン化合物を添加した後、オルガノシラン化合物
の縮合反応を進行させることにより、フッ素系樹脂が有
する特徴とポリシロキサンが有する特徴とを兼ね備えた
水性分散体の製造が可能となり、従来にない水性分散体
が容易に製造できる。
【0056】本発明によって得られる重合体粒子の水性
分散体は、耐候性、密着性、耐汚染性、撥水性、耐水性
等の点で優れた被膜を形成することから、各種塗料のほ
か、電着塗装、繊維処理材、紙加工材、床塗布材等に好
適に利用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 笠井 澄 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−258636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 77/06 C08L 27/12 C08L 83/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ化ビニリデン系重合体もしくはこれ
    を含むフッ素系重合体粒子の水性分散体100重量部
    (固形分換算)の存在下に、一般式R n Si(OR′)
    4-n (式中、R,R′は炭素数1〜8の有機基、nは0
    〜3の整数を示す)で表されるアルコキシシラン化合物
    およびR m SiO (4-m)/2 (式中、Rは炭素数1〜8の有
    機基、mは0〜3の数を示す)で表される環状シロキサ
    ンから選ばれた少なくとも1種のオルガノシラン化合物
    1.0〜300重量部を縮合反応させることを特徴とす
    る重合体粒子の水性分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記フッ素系重合体粒子の水性分散体は、フッ化ビニリ
    デン系重合体粒子の水性分散体100重量部(固形分換
    算)の存在下に、 (a)アルキル基の炭素数が1〜5のアクリル酸アルキルエステルおよび/ま たはアルキル基の炭素数が1〜5のメタクル酸アルキルエステル単量体 10〜99.9重量%、 (b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体 0.1〜60重量%、 (c)これらの単量体(a),(b)と共重合可能で、かつ、これらの単量体 (a),(b)以外の 単量体 0〜89.9重量% からなる単量体10〜900重量部を水性媒体中で乳化
    重合することにより得られたものであることを特徴とす
    る重合体粒子の水性分散体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記オルガノシラン化合物は、pH4〜10の条件下で
    前記フッ素系重合体粒子に吸収されることを特徴とする
    重合体粒子の水性分散体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記オルガノシラン化合物は、90℃以下の条件下で前
    記フッ素系重合体粒子に吸収されることを特徴とする重
    合体粒子の水性分散体の製造方法。
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