JP3117933U - 避難方向明示物 - Google Patents

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Abstract

【課題】地下鉄駅舎等の鉄道施設、官公庁、病院、公会堂・劇場等の公共施設、商業ビル、ホテル、地下街など多数の施設利用者が自由に出入りする施設において、不特定多数の施設利用者を安全にしかも適確に非常口まで避難誘導できる避難方向明示物を提供する。
【解決手段】施設内の多数個所に設置される避難方向明示物1に、蓄光材で形成される避難誘導表示2と、2次元コードあるいはICタグからなる固有情報記録媒体3と、位置表示5を設ける。固有情報記録媒体3には、避難方向明示物1の位置情報や、避難管理サーバー10の宛先情報などが記録されている。位置表示5は、施設内における避難方向明示物1の位置を示す文字表示からなる。
【選択図】図2

Description

本考案は、地下鉄駅舎等の鉄道施設、官公庁、病院、公会堂・劇場等の公共施設、商業ビル、ホテル、地下街などに適用されて、火災やテロ、あるいは地震などの自然災害発生時などに施設利用者を非常口まで避難誘導するための避難方向明示物に関する。
特許文献1の避難方向明示物では、非常時に点灯される非常灯の前面パネルに避難誘導表示を表示してある。避難誘導表示は、非常口の位置や方向を示す方向表示(矢印)と、非常口あるいは避難口と表記される文字表示と、現在の場所から非常口までの距離を示す距離表示などがある。本考案では、方向表示、文字表示などを蓄光材で表示するが、避難誘導表示を蓄光材で形成することは特許文献2の避難方向明示物に公知である。そこでは、廊下などの床面に、避難すべき方向を示す矢羽状の方向表示を繰り返し形成し、さらに現在場所から非常口までの距離を示す距離表示を一定間隔置きに形成している。
実開昭52−92684号公報(第2頁11〜20行、第1図) 特開平9−108368号公報(段落番号0014〜0019、図2)
避難誘導表示を蓄光材で形成した特許文献2の避難方向明示物によれば、停電と同時に避難誘導表示が自己発光するので、非常口の位置や方向、あるいは非常口までの距離などを知ることができる。しかし、この種の避難誘導表示は、任意の場所における最寄りの非常口の情報などを固定的に表示しているに過ぎない。例えば、災害の内容や発生場所、あるいは最適な避難ルートなど、避難を行うのに重要な情報までは得ることができない。
そのため、最適な避難ルートを的確に判断できないのはもちろんのこと、最悪の場合には、避難誘導表示に従って災害発生場所へ向かって避難する可能性もあり得る。施設の構造によっては、特定の非常口に施設利用者が殺到して混乱を招たり、あるいは事故を誘発するおそれがある。例えば、地下街などにおいて、構築物の一部が倒壊するなどで避難移動が不可能になった場合に、自分が地下街のどの位置にいるかを知ることすらできない。特許文献1の避難方向明示物にも同様の問題点がある。
本考案の目的は、地下鉄駅舎等の鉄道施設、官公庁、病院、公会堂・劇場等の公共施設、商業ビル、ホテル、地下街など、多数の施設利用者が自由に出入りする施設内の多数個所に設置されて、災害発生時に不特定多数の施設利用者を安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる避難方向明示物を提供することにある。本考案の目的は、特定の避難誘導システムと併用することにより、災害発生の内容や場所などの災害情報と、最適の避難ルートなどを施設利用者に報知して、不特定多数の施設利用者を安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる避難方向明示物を提供することにある。
本考案では、施設内の多数個所に設置される避難方向明示物1に、自己発光可能な蓄光材で形成される避難誘導表示2と、固有情報記録媒体12とが設けてある。固有情報記録媒体12には、避難方向明示物1の位置情報と、避難管理サーバー10の宛先情報などを含む固有情報が記録してある。
避難方向明示物1に、施設内における避難方向明示物1の固有位置を文字表示する位置表示5を設ける。
固有情報記録媒体は、避難方向明示物1に設けられた2次元コード3からなる。2次元コード3には、施設内における避難方向明示物1の位置データと、位置データを避難管理サーバー10に送るための宛先データなどの固有情報が記録してある。
固有情報記録媒体は、避難方向明示物1に設けられたICタグ3からなる。ICタグ3には、施設内における避難方向明示物1の位置データと、位置データを避難管理サーバー10に送るための宛先データなどの固有情報とが記録してある。
避難方向明示物1の避難誘導表示2は、透明なプラスチック材からなるパネル4に蓄光塗料を印刷して形成する。あるいは、避難方向明示物1は、透明なプラスチック材からなるパネル4と、パネル4の内面側に貼り付けられるベースシートとで構成する。ベースシートの片面に蓄光塗料を印刷して避難誘導表示2を形成する。
本考案の避難方向明示物によれば、避難誘導表示2を自己発光が可能な蓄光材で形成したので、停電や、非常電源装置の停止によって照明機器が消灯した状態であっても、施設利用者を避難誘導できる。本考案の避難方向明示物1を、特定の避難誘導システムと併用することにより、災害発生の内容や場所などの災害情報と、最適の避難ルートなどを施設利用者に報知して、不特定多数の施設利用者を安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。
避難方向明示物1に位置表示5が設けてあると、位置表示5に明示された文字表示から、施設利用者の現在位置を特定する事ができる。したがって、災害発生時に避難路が遮断されて閉じ込められてしまっても、位置表示5に表示された文字表示を、携帯電話などで施設管理者や消防、警察などに通報することにより、施設利用者の現在位置を特定して、迅速にしかも効果的に救助作業を行うことができる。施設利用者自身が、位置表示5に明示された文字表示から現在位置を特定して、最寄の非常口までの非難ルートを決定することにも役立つ。
固有情報記録媒体が2次元コード3で構成してあると、2次元コード3をカメラ付きの携帯電話で読み込むことにより、施設内における避難方向明示物1の位置を知って、最寄の非常口までの非難ルートを決定することができる。さらに、避難方向明示物1を特定の避難誘導システムと併用する場合には、広く普及しているカメラ付きの携帯電話12を利用して避難誘導を行えるので、施設に入場した不特定多数の施設利用者を、任意位置から最寄りの非常口まで効果的に避難誘導できる。加えて、特定の非常口に施設利用者が殺到するなどの混乱を防止できる。
固有情報記録媒体がICタグ3で構成してあると、リーダー付きの携帯電話12ICタグ3の配置位置にかざすだけで、ICタグ3に記録された固有情報を携帯電話12に取り込むことができるので、施設内の照明器具が消灯した状態においても、施設内における避難方向明示物1の位置を知って、最寄の非常口までの非難ルートを決定することができる。避難行動を起こすのが遅れた施設利用者であっても安全にしかも的確に避難できる。さらに、避難方向明示物1を特定の避難誘導システムと併用する場合には、固有情報記録媒体が2次元コード3で構成してある場合と同様に、施設に入場した不特定多数の施設利用者を、任意位置から最寄りの非常口まで効果的に避難誘導できる。
透明なプラスチック材からなるパネル4に蓄光塗料を印刷して形成した避難誘導表示2によれば、避難方向明示物1を低コストで形成できるうえ、印刷された避難誘導表示2をパネル4で保護して、いたずら等によって避難誘導表示2が傷付けられるのを防ぐことができる。
透明なプラスチック材からなるパネル4と、パネル4の内面側に貼り付けられるベースシートとで避難方向明示物1を構成し、ベースシートの片面に蓄光塗料を印刷して避難誘導表示2を形成すると、パネル4とベースシートとの間に固有情報記録媒体3を配置して保護できる。避難方向明示物1の設置場所に応じて、パネル4の材質を適宜変更し好適化できる。
(実施例) 図1は本考案に係る避難方向明示物1の実施例を示す。図1において避難方向明示物1は、多数の施設利用者が自由に出入りする施設内の壁面や床面、あるいは出入口、および非常口の周囲壁などの多数個所に設置してある。
避難方向明示物1には、避難誘導表示2と、2次元コード(固有情報記録媒体)3とが設けてある。避難誘導表示2は、透明なプラスチック製のパネル4の内面に、蓄光塗料を図例のようなパターンで直接印刷して形成する。ベースシートの片面に蓄光塗料を印刷したうえで、ベースシートをパネル4に貼り付けて形成することもできる。パネル4は板ガラスで形成することができる。
場合によっては、市販品を利用して形成することができる。例えば、蓄光材で避難誘導表示2が形成してある市販の高輝度蓄光式標識陶板(大塚オーミ陶業社製、商品名セライト)を避難方向明示物1とすることができる。さらに、プラスチックシートに避難誘導表示2が印刷してある高輝度蓄光表示ユニット(ターンオン社製)などをパネル4に貼り付けて形成することができる。
避難誘導表示2は、非常口であることを示す表示パターンと、非常口の方向を示す表示パターンと、あるいは単に避難すべき方向を示す表示パターンのいずれであってもよい。図例の避難誘導表示2は、施設の照明器具が消灯するのと同時に白地部分が自己発光する。
2次元コード3はパネル4の内面に直接印刷して、若しくは印刷シールをパネル4に貼り付けて形成してあり、そこには施設内における避難方向明示物1の位置情報と、後述する避難管理サーバー10に対する宛先情報などを含む情報とが記録してある。さらに、避難方向明示物1が設置してあるフロアの通路構造や、非常口の配置位置を意味する情報などが付加してあってもよい。
先に説明した、市販の高輝度蓄光式標識陶板を避難方向明示物1とする場合には、その表面に2次元コード3を直接印刷して、あるいは印刷シールを貼り付けて形成する。2次元コード3としては、QRコード、PDF417、データマトリクス、マキシコードなどを適用できる。図例の2次元コード3はQRコードである。2次元コード3は、避難誘導表示2の表示領域内の発光部分に配置することができる。
図2に示すように、避難方向明示物1には、施設内における避難方向明示物1の固有位置を表示する位置表示5を、避難誘導表示2と同時に形成することができる。位置表示5は、施設内における避難方向明示物1の設置場所を意味する文字表示からなり、例えば、避難方向明示物1の設置ゾーンを意味するアルファベット記号と、設置ゾーン内の何番目の避難方向明示物1かを意味するアラビア数字記号とでコード化しておく。この位置表示5は、日本語及び英語、韓国語、中国語などで表記でき、施設によっては他の外国語で表記してもよい。
上記のように、位置表示5を避難方向明示物1に付加すると、災害発生時に避難路が遮断されて閉じ込められてしまっても、位置表示5を携帯電話などで通報することにより効果的に救助作業を行うことができる。位置表示5や固有情報記録媒体3は、避難方向明示物1の任意の位置に配置することができる。
図1および図2では、固有情報記録媒体3として2次元コードを用いたが、ICタグ3を固有情報記録媒体として用いてもよい。ICタグ3とは、無線ICタグ(Radio
Frequency Identification、RFID)を意味し、パッシブタグとアクティブタグのどちらであってもよい。タグ形状は、円板形、円筒形、ラベル形,カード形、箱形のいずれであってもよい。固有情報記録媒体3は、避難方向明示物1に2次元コードとICタグとの少なくともいずれか一方が設けてあればよいが、2次元コードとICタグの両者を設けておくことができる。この考案における固有情報記録媒体12としてはバーコードを含む。
以上のように構成した避難方向明示物1によれば、避難誘導表示2を自己発光が可能な蓄光材で形成したので、停電や、非常電源装置の停止によって照明機器が消灯した状態であっても、不特定多数の施設利用者を安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。さらに、以下に説明する避難誘導システムと併用することによって、災害発生の内容や場所などの災害情報と、最適の避難ルートなどを施設利用者に報知して、不特定多数の施設利用者をさらに安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。
図3において本考案の避難方向明示物が適用される避難誘導システムは、先に説明した避難方向明示物1と、施設の一画に配置される避難管理サーバー10と、災害発生場所を避難管理サーバー10に対して自動通報する報知機11と、施設に入場した不特定多数の施設利用者が携行する携帯電話(送信手段)12と、放送設備13などで構成する。
避難管理サーバー10で管理されるデータベースには、避難方向明示物1の設置場所を意味するコードと、施設に設けられた非常口の位置コードと、災害発生場所を通報する報知機11の位置コードと、施設の通路構造などが予め登録してある。
報知機11は、例えば煙感知機やスプリンクラーの作動に連動して、あるいは火災報知機の報知ボタンがオン操作されるのに連動して、災害発生場所を避難管理サーバー10に対して自動通報する。第三者からの電話などによる災害発生の通報を受けた管理者が、避難管理サーバー10に災害発生場所や災害の内容を入力することもできる。災害内容の多くは火災であるが、ガス洩れ、水漏れ、犯罪、あるいは事故など、緊急避難をすべき状況の全てを含む。
避難管理サーバー10は、報知機11などから送られて来た報知情報から、災害の内容と災害発生の場所を基準にして、個々の避難方向明示物1の位置と、施設に設けられた非常口の位置とを対照し、個々の避難方向明示物1を起点とし、非常口に至るまでの最適の避難ルートを判定する。この判定は、災害の広がりや副次的な災害の発生に応じて繰り返し行って、常に内容を更新することになるであろう。避難管理サーバー10で特定された災害の内容は、施設内の放送設備13で一斉に報知して、施設利用者に最寄りの避難方向明示物1へ向かって避難移動し、さらに避難方向明示物1に設けられた2次元コード3を携帯電話12に読み込むよう勧告する。
携帯電話12には、2次元コード3を読み込むためのカメラと、カメラで読み込んだコード情報を解釈し、避難方向明示物1の位置データと、携帯電話12の電話番号やメールアドレスなどの固有情報を、読み込んだ宛先情報に基づいて避難管理サーバー10へ自動的に送信するプログラムとが組み込んである。このプログラムは、予め携帯電話12に組み込んでおくことが好ましいが、施設内において随時ダウンロードできるようにしてあってもよい。
災害発生時には、図4に示すように施設利用者は、放送設備13の勧告に従って最寄りの避難方向明示物1へ行き、避難方向明示物1に設けた2次元コード3を携帯電話12で読み込む。これにより、避難方向明示物1の位置情報(施設利用者の現在位置)と、送信してきた携帯電話12の電話番号やメールアドレスなどが避難管理サーバー10へ自動送信される。
位置情報などを受信した避難管理サーバー10は、個々の避難方向明示物1を起点とする最寄の非常口に至る最適の避難ルート情報(基本ルート)と、災害の場所および内容などの災害情報を、送信してきた携帯電話12に返信する。返信される情報は、電子メールによる文字情報を主とするが、視覚障害者のために音声情報を同時に送ってもよい。電子メールによるイメージ情報であってもよい。聴覚障害者は、避難管理サーバー10から返信された電子メールによる文字情報から、避難ルート情報や災害情報等を知ることができる。
上記のように施設利用者は、避難管理サーバー10から返信された災害情報によって、災害発生場所や災害の内容を知ることができ、さらに返信されてきた最適の避難ルートに従って非常口まで移動できるので、安全にしかも適確に避難移動できる。
避難ルートが長い場合には、非常口にたどり着くまでに状況が変化しているおそれがある。例えば、災害の広がりや副次的な災害の発生で、避難ルートが遮断され、あるいは避難ルートが危険な状態になっていることがあり得る。このような場合には、再度、最寄りの避難方向明示物1へ行って2次元コード3を携帯電話12で読み込み、避難管理サーバー10に対して送受信を行って、更新された最適の避難ルート情報を受信する。
このとき、遮断された避難ルートの災害状況が避難管理サーバー10に報知されていれば、新たな避難ルートを施設利用者に報知する。しかし、そうでない場合には、複数回受信した電話番号を認識して(1<n?)、新たに送られてきた位置情報と前回の最適の避難ルート情報とから、新たに送られてきた位置情報と非常口との間に何らかの障害があるかも知れないことを判定できる。
この判定結果は、任意の避難方向明示物1から非常口までの最適の避難ルートを判定するうえで、とりあえず参考情報として反映され、前回の避難ルートで決定された非常口とは異なる非常口への避難ルート(回避ルート)を選定し、送信してきた携帯電話12に返信する。
また、別の場所からの携帯電話12の送信を受けた避難管理サーバー10は、同程度の最適の避難ルートが複数ある場合には、何らかの障害があるかも知れない問題個所を避けて最適の避難ルートを選定する。その後に、例えば問題個所の近傍に設けられたスプリンクラーの作動に伴って新たな災害情報を報知機11から受け、先の障害を確認できた場合には、先の参考情報を災害現場の真の情報として取り扱うことで、危険な個所を確実に避けて避難ルートを最適化できる。
施設利用者が、怪我や建物の崩壊等で避難できなくなった場合には、消防もしくは警察へ電話をかけ、図2に示す避難方向明示物1の位置表示11の位置コードを通知して救助を要請することができる。さらに、位置コードとともに負傷者の有無や人数などの災害状況の詳細を施設利用者が通報することにより、災害救助を迅速にしかも効果的に行える。
上記の避難誘導システムによれば、携帯電話12を携行する施設利用者が、施設内の避難方向明示物1に設けた2次元コード3を携帯電話12に読み込むだけで、災害発生の内容や場所などの災害情報を避難管理サーバー10から施設利用者に報知できるうえ、災害情報との関係で決定される最適の避難ルートを施設利用者に報知して、安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。しかも、避難方向明示物1に設けた2次元コード3によって施設利用者の現在位置を特定できるので、多数の施設利用者が自由に出入りする地下街や商業ビルなどの施設であっても、不特定多数の施設利用者を適確に避難誘導できる。
地下街などの広大な施設では、現在位置が施設内のどの部分であるかを判断しにくいが、災害が発生していない場合に限って、施設利用者の現在位置を特定することを目的として避難誘導システムを利用することができる。その場合には、施設の通路配置や施設の出入口、2次元コード3を読み込んだ避難方向明示物1の設置位置などのイメージデータを携帯電話12に送信して、施設利用者に現在位置を報知することができる。
先に説明したように、地下街などでは通路が錯綜し、方位を把握するのが難しいうえ、施設内のどの部分にいるのかを明確に知るのが難しい。こうした場合に対応するために、地下街の全店舗の店頭に小形の避難方向明示物1を設置しておくことにより、先の要領で現在位置が地下街のどの部分であるかを施設利用者に報知できるので、目的とする場所へ無駄なく移動できる。
上記のように、固有情報記録媒体3が2次元コードである場合には、そこに記録された固有情報をカメラ付きの携帯電話12で読み込むが、固有情報記録媒体3がICタグ3である場合には、携帯電話12に、ICタグ3に記録された情報を読み込むためのリーダーを組み込んでおくことにより、個々の避難方向明示物1の位置情報や、送信してきた携帯電話12の電話番号やメールアドレスなどを避難管理サーバー10へ自動送信することができる。この場合には、ICタグ3の装着部分の周りを蓄光材で形成したガイド表示で囲んで、携帯電話12をかざすべき位置を表示することにより、停電状態であっても携帯電話12による固有情報の読み込みを的確に行える。なお、避難方向明示物1に災害発生と同時に音声や振動を発生する発振装置を設けておくと、視覚障害者を避難方向明示物1の設置位置まで誘導して、ICタグ3に記録された情報を携帯電話12で確実に読み取ることができるであろう。
避難方向明示物1は、それ単独で設置することができるが、図5および図6に示す設置形態を採ることができる。駅構内、地下街、官公庁、病院、公会堂などの施設には点字ブロック15が設けられるが、点字ブロック15の表面側に避難方向明示物1を設けておくことにより、火災や事故などによって各施設が停電した状態において、避難方向明示物1によって施設利用者を非常口まで避難誘導することができる。避難方向明示物1に位置表示5と固有情報記録媒体3を設けておくことにより、先の避難誘導システムによって最適の避難ルートを施設利用者に報知して、安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。
具体的には図5(a)に示すように、既存の点字ブロック15の表面に避難方向明示物1を貼着する。この場合の避難方向明示物1は、例えば耐久性に優れた透明なプラスチックシート17の貼着面側に避難誘導表示2、位置表示5、および2次元コード3を印刷して形成し、さらに避難方向明示物1の表面に、避難方向明示物1および位置表示5の表示内容に合致した点字表示18を設けて構成する。固有情報記録媒体12としてICタグを使用する場合には、ICタグを透明なプラスチックシート17の貼着面側に配置する。
上記のように、シート状の避難方向明示物1を点字ブロック15の表面に貼着すると、避難方向明示物1を付加することで、点字ブロック15の表面に膨出形成した点状突起(あるいは線状突起)16の誘導機能が損なわれるのを解消しながら、非常時に備えることができる。また、点字表示18によって、視覚障害者に非常口の方向や、非常口までの距離などを伝達することができる。既存の点字ブロック15であっても避難方向明示物1を追加することにより、避難誘導表示2によって災害時の避難誘導を行える。避難方向明示物1は、約5mの設置間隔で点字ブロック15に貼着される。
図5(b)に示す点字ブロック15においては、点字ブロック15の表面に避難誘導表示2、および位置表示5を直接印刷したうえで、その外面を透明の保護層19で被覆して避難方向明示物1とした。この場合には、避難方向明示物1の占有領域の全体に蓄光塗料を塗布し、その表面に光を遮る塗料を塗布して遮蔽材20を形成し、あるいは表示パターンに合致して切り抜かれた光を遮る遮蔽材20を貼り付けて、避難誘導表示2と位置表示5の黒地の部分を形成する。2次元コード3は別途形成した印刷シールで形成しておき、蓄光塗料の表面に貼り付ける。同様に点字表示18は、別途形成しておいて蓄光塗料の表面に貼り付ける。さらに、点字表示18を除く避難方向明示物1の占有領域の全体を保護層19で覆って、避難方向明示物1の全体を保護する。保護層19は、透明な塗料、あるいは透明なプラスチックシートで形成する。
避難方向明示物1は図6に示すように形成することができる。そこでは、傷付きにくい透明なプラスチック材あるいはガラスで成形した避難方向明示物1を、点字ブロック15の表面に埋設固定する。避難方向明示物1の表面には、点字表示18が形成され、さらに点状突起(あるいは線状突起)22が規格に従って一体に形成してある。避難方向明示物1の埋設面の側には避難誘導表示2、位置表示5、および2次元コード3などが印刷によって、あるいは印刷シールを貼り付けることによって形成してある。このように、点字ブロック15の表面に透明なブロックからなる避難方向明示物1を埋込み固定すると、通常の点字ブロック15と同様に視覚障害者の移動を支援できるのはもちろん、透明の避難方向明示物1を介して自己発光する避難誘導表示2や位置表示5を明確に視認できる。長期使用時の避難方向明示物1の耐久性を向上できる利点もある。
図5および図6で説明した点字ブロック15は、以下の態様で実施することができる。点字ブロック15の表面に、避難方向明示物1が設けられており、避難方向明示物1に、自己発光可能な蓄光材で形成される避難誘導表示2と、固有情報記録媒体12とが設けてあることを特徴とする点字ブロック。前記点字ブロックの避難方向明示物1に、施設内における避難方向明示物1の設置場所を意味する文字表示からなる位置表示5と、避難方向明示物1および位置表示5の表示内容に合致した点字表示18とを付加する。避難方向明示物1は点字ブロック15とは別体のシート材に印刷を施して形成し、点字ブロック15の表面に貼り付け固定する。避難方向明示物1を点字ブロック15の表面に直接印刷して形成する。
上記の実施例では、避難方向明示物1に自己発光する避難誘導表示2や位置表示5などを設けたが、LEDなどの光源を備えた避難方向明示物1においては、避難誘導表示2以外に、固有情報記録媒体12、位置表示5、および点字表示18を付加することにより、施設利用者を非常口まで避難誘導することができるのはもちろん、先の避難誘導システムによって最適の避難ルートを施設利用者に報知して、安全にしかも的確に非常口まで避難誘導できる。
避難方向明示物の正面図である。 別の避難方向明示物の正面図である。 避難誘導システムの概念図である。 避難誘導システムの運用例を示すブロック図である。 避難方向明示物の適用例を示す平面図である。 避難方向明示物の別の適用例を示す平面図である。
符号の説明
1 避難方向明示物
2 避難誘導表示
3 固有情報記録媒体
5 位置表示

Claims (6)

  1. 施設内の多数個所に設置される避難方向明示物(1)に、自己発光可能な蓄光材で形成される避難誘導表示(2)と、固有情報記録媒体(12)とが設けられており、
    固有情報記録媒体(12)に、避難方向明示物(1)の位置情報と、避難管理サーバー(10)の宛先情報などを含む固有情報とが記録してある避難方向明示物。
  2. 避難方向明示物(1)に、施設内における避難方向明示物(1)の固有位置を文字表示する位置表示(5)が設けてある請求項1記載の避難方向明示物。
  3. 固有情報記録媒体が、避難方向明示物(1)に設けられた2次元コード(3)であり、
    2次元コード(3)に、施設内における避難方向明示物(1)の位置データと、位置データを避難管理サーバー(10)に送るための宛先データなどの固有情報が記録してある請求項1または2記載の避難方向明示物。
  4. 固有情報記録媒体が、避難方向明示物(1)に設けられたICタグ(3)であり、
    ICタグ(3)に、施設内における避難方向明示物(1)の位置データと、位置データを避難管理サーバー(10)に送るための宛先データなどの固有情報とが記録してある請求項1または2記載の避難方向明示物。
  5. 避難方向明示物(1)の避難誘導表示(2)が、透明なプラスチック材からなるパネル(4)に蓄光塗料を印刷して形成してある請求項1から4のいずれかに記載の避難方向明示物。
  6. 避難方向明示物(1)が、透明なプラスチック材からなるパネル(4)と、パネル(4)の内面側に貼り付けられるベースシートとで構成されており、
    ベースシートの片面に蓄光塗料を印刷して避難誘導表示(2)が形成してある請求項1から4のいずれかに記載の避難方向明示物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015004920A (ja) * 2013-06-24 2015-01-08 平岡織染株式会社 多機能看板装置およびその表示作動方法

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