JP3115795U - イヌ科動物用経膣人工授精器具 - Google Patents

イヌ科動物用経膣人工授精器具 Download PDF

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Abstract

【課題】外子宮口にカテーテル先端部を確実に入れて子宮頸管内に直接精子を注入する。
【解決手段】雌の膣A内に挿入された内視鏡1の先端からカテーテル2を突出することで、カテーテル2の先端側が略くの字形に曲がり、この略くの字形の曲がったカテーテル2の先端側を、膣壁と子宮頸膣部との隙間に挿入すると共に、該内視鏡1で外子宮口Bの位置を確認しながら誘導することにより、その屈曲部2aから先のテーパー部2c及び射出口2bが、膣Aの最深部にあって膣の管腔軸に対して垂直に配置される外子宮口へ向くと共に、該テーパー部2cで射出口2bが外子宮口の中に容易に入り込む。
【選択図】図1

Description

本考案は、犬、狼、狐、狸などのイヌ科哺乳動物の経膣人工授精に用いるイヌ科動物用経膣人工授精器具に関する。
詳しくは、雌の膣内に精子を射出するイヌ科動物用経膣人工授精に用いるイヌ科動物用精液射出カテーテルに関する。
従来、この種のイヌ科哺乳動物用経膣人工授精方法として、犬特有の生殖器の特殊構造上、経膣による子宮内注入が困難なため、膣内に授精されており、雌犬を逆立ちさせた状態で人工授精する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
更に、現在の技術でも精子を外子宮口内に直接注入することが不可能とされているため、現在、一般的なイヌ科哺乳動物用経膣人工授精方法では、マッサージ法や電気刺激法などにより採取した新鮮な精液又は冷蔵した精液又は凍結解凍した精子を、各種注射筒、硬質カテーテル、直筒状の光学的硬性鏡、光学的子宮鏡などの器具を用いて、発情期の雌犬の膣内に射出し、この射出された精液がより多く膣の深部にある子宮頸膣部の更に裏側の外子宮口部付近に流れ込むよう、雌犬の腰部を10分程度、牽上した状態に保つことで受胎率を高めている。
また、イヌ科哺乳動物以外の特にウマやウシ及びブタなど草食動物の人工授精方法では、内視鏡を用いた視覚による制御下で、カテーテルを導くものがある(例えば、特許文献1参照)。
手塚泰文,長谷正義,筒井敏彦、「犬の臨床繁殖9 人工授精」、「infoVETS(インフォベッツ)1998.12月号」、アニマル・メディア社、平成10年12月15日(毎月1回15日発行)、第1巻、第9号、通巻9号、p.8−13 特表2004−510423号公報(第5−7頁、図1第1図)
しかし乍ら、このような従来のイヌ科動物用経膣人工授精方法では、射出された精子が必ずしも外子宮口に到達するという確実性に乏しいため、一般的には人工授精での受胎率は60%とも言われ、自然交配での受胎率95%までには大きな開きがあった。
また、また、この方法では、射出した精液に膣内の病原菌が混入したまま外子宮口内に流れ込む可能性が高いため、子宮内に侵入した病原菌により重篤な感染症を引き起こす場合も多いという問題もあった。
そこで、特許文献1に開示されるウマやウシ及びブタなどの草食動物と同様に、内視鏡を用いて視覚により、カテーテルを外子宮口まで導き、精子を直接外子宮口内に注入することが考えられる。
ところが、常に敵に襲われる危険性のあるウマやウシ及びブタなどの草食動物と、イヌ科動物のように動物を襲う側の食肉動物では、以下に示すように夫々の繁殖メカニズムが異なる上、これら成体の大きさが異なるため、草食動物に用いる既存の人工授精技術をイヌ科動物に対して活用できなかった。
即ち、ウマやウシ及びブタなどの草食動物は、ペニスはあらかじめ勃起したまま膣内に挿入し、瞬間的に射精して交尾を終える場合が多いため、ウマやウシ及びブタなどほとんどの家畜の雌の生殖器は、図8に示す如く、膣Aの最深部に外子宮口Bが直線状に開口している。
これに対して、イヌ科動物のような食肉動物では、勃起をしない代わりに硬骨の芯が入ったペニスを膣内に挿入した後、改めて勃起を起こし、30分から1時間もの長い間に亘って交尾を続けるものが多いため、成体が400kgから1,000kgにも及ぶウマやウシなど草食動物に用いる既存の人工授精技術は、成体が1.5kgから10kg程度のイヌ科動物に活用できなかった。
更に、イヌ科動物の特異的な点は、図9に示す如く、雌の膣Aの深部に露出している子宮頸部の膣側の一部(「子宮頸膣部」と呼ばれる)Cが、発情期の間だけ膣腔内に迫り出し、球状に膨瘤して、あたかも最深部にある外子宮口Bに蓋をかけるように成長するため、精液を外子宮口Bに到達させるのを困難にしている。
この特異的な組織の存在のために、現在、イヌ科動物の経膣人工授精方法で使用されている人工的な器械器具、即ち各種注射器、カテーテル、光学的な硬性鏡、光学的な子宮鏡などの全てが従来の方法では、草食動物のように外子宮口Bの内部に直接、精液を注入することに全く役立ってはおらず、外子宮口Bの中に確実に精液を注入することは不可能とされていた。
そして、子宮頸管Dに通ずる外子宮口Bは、この膨瘤した子宮頸膣部Cと膣Aの最深部に囲まれた「膣円蓋E」と呼ばれる狭い小部屋の中に孤立した状態で存在しており、自然交尾では、図10に示す如く、これら子宮頸膣部Cと腹側の膣壁A1の隙間(1mm程度)A2からペニスFによって膣円蓋Eに向けて勢い良く激しいスピードで精液が注入されるために、精子は必然的に外子宮口Bを通じて子宮頸管D内に進入することになり、球状の子宮頸膣部Cは受精のためには、なんら障害にならぬばかりか、逆に、その奥に精液溜りを作るための重要な役目を担っている。
以上、子宮頸膣部Cの生理的な働きを整理すると、次のようになる。
1)突発的に膣A内に進入してくるペニスFのパワーを和らげる緩衝物となっている。
2)ペニスFの挿入と共に膣Aの開口部から集められてくる病原菌により外子宮口Bが汚染されることを防いでいる。
3)交尾が持続している間は、膣円蓋Eに射精された精液が、外部である膣Aの開口部側に漏れ出すのを、この子宮頸膣部Cが防いでいる。
4)ペニスFの怒張により、この膨瘤組織が外子宮口Bのある膣円蓋Eを律動的に圧迫し、二次的に精子を外子宮口B内に送り込む手助けをしている。
このようなイヌ科動物の自然交配における各生殖器官の生理的な働きが、従来のイヌ科動物用経膣人工授精方法では、技術的に克服できず、外子宮口の中に精液を確実に注入して自然交尾に近い受胎率を得ることができなかった。
本考案のうち請求項1記載の考案は、外子宮口にカテーテル先端部を確実に入れて子宮頸管内に直接精子を注入することを目的としたものである。
請求項2記載の考案は、請求項1に記載の考案の目的に加えて、一本のカテーテルで通路拡張と精子の注入を行うことを目的としたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の目的に加えて、外子宮口が小さいイヌ科動物でも子宮頸管内に直接精子を注入することを目的としたものである。
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3に記載の発明の目的に加えて、カテーテル先端側の操作性を高めることを目的としたものである。
前述した目的を達成するために、本考案のうち請求項1記載の考案は、雌の膣内に挿入される内視鏡と、この内視鏡内に摺動自在に挿通される可撓性のカテーテルとを備え、上記内視鏡の先端から突出して膣壁と子宮頸膣部との隙間に挿入されるカテーテルの先端側には、外子宮口へ向け略くの字形に曲がった変形可能な屈曲部と、その先端に開設された射出口と、これら屈曲部から射出口へ向けて徐々に小径となるテーパー部とを形成したことを特徴とするものである。
請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案の構成に、前記カテーテルが、テーパー部よりも基端側に、膣壁と子宮頸膣部との隙間で膨張するバルーンを備えたバルーンカテーテルである構成を加えたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に、前記カテーテルが、その内部にインナーチューブを出し入れ自在に備えた二重構造カテーテルである構成を加えたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の発明の構成に、前記内視鏡の先端から突出したカテーテルの先端側が回転防止するためのガイドを備えた構成を加えたことを特徴とする。
本考案のうち請求項1記載の考案は、雌の膣内に挿入された内視鏡の先端からカテーテルを突出することで、カテーテルの先端側が略くの字形に曲がり、この略くの字形の曲がったカテーテルの先端側を、膣壁と子宮頸膣部との隙間に挿入すると共に、該内視鏡で外子宮口の位置を確認しながら誘導することにより、その屈曲部から先のテーパー部及び射出口が、膣の最深部にあって膣の管腔軸に対して垂直に配置される外子宮口へ向くと共に、該テーパー部で射出口が外子宮口の中に容易に入り込む。
従って、外子宮口にカテーテル先端部を確実に入れて子宮頸管内に直接精子を注入することができる。
その結果、外子宮口の中に精液を確実に注入できなかった従来のものに比べ、受胎率を自然交尾と同程度まで向上させることができる。
従って、人と犬などのペットの関係は、盲導犬や聴導犬、救助犬や麻薬犬、老人福祉に対するアニマルアシステッドテラピィ(動物介在治療)や子供の情操教育など社会的なニーズも益々高まっており、更に成体重が1キログラム以下の超小型犬や体重が100キログラムを超える超大型犬の作出など社会の要求は止まることはないが、生体の繁殖能に致命的な問題がなく、受胎可能な期間内であれば、ほぼ確実に受胎に導くことができる本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具を用いれば、それらの目的が容易に達せられる。
また、畜産物の生産分野としても、例えば毛皮産業における狐の養殖事業の衰退は確実な人工授精方法の確立がなかったからだとも云われ、野生希少動物の種の保存など社会のニーズに合わせた計画的な繁殖、生産コントロールは、今後ますます重要になっており、本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具を用いれば、それらの目的が容易に達せられる。
請求項2の考案は、請求項1の考案の効果に加えて、バルーンカテーテルのテーパー部及びバルーンを、膣壁と子宮頸膣部との隙間に挿入してから膨張させることにより、子宮頸膣部が変形して膣壁との隙間が拡開され、それ以降の挿入がスムーズになると共に、テーパー部及び射出口が外子宮口へ向けて誘導可能となる。
従って、一本のカテーテルで通路拡張と精子の注入を行うことができる。
その結果、経膣人工授精の手術時間を短縮化できると共に、カテーテルの交換時に発生する問題を防止できて安全性が向上する。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の効果に加えて、二重構造カテーテルのインナーチューブを突出させて誘導することにより、微調整が可能となって、小さい外子宮口内に挿入可能となる。
従って、超小型犬のようなイヌ科動物でも子宮頸管内に直接精子を注入することができる。
請求項4の発明は、請求項1、2または3の発明の効果に加えて、内視鏡の先端から突出したカテーテルの先端側が回転防止するためのガイドを備えることにより、ガイドでカテーテルの先端側を一方向へ保持したまま外子宮口内へ挿入可能となる。
従って、カテーテル先端側の操作性を高めることができる。
本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具Xは、図1〜図7に示す如く、人工授精するイヌ科動物の膣A内に挿入される可撓性の内視鏡1と、この内視鏡1の内部に挿通される可撓性のカテーテル2とからなり、膣A内で内視鏡1の先端からカテーテル2を突出させて、膣壁A1と子宮頸膣部Cとの隙間A2に挿入し、外子宮口Bへ向け案内して子宮頸管D内に精子を注入するものである。
上記内視鏡1は、図1、図3、図6及び図7に示す如く、送気装置(図示せず)が接続される送気用通路(ノズル)1aと、後述するカテーテル2の挿入が可能なチャンネル(鉗子口)1bを備えると共に、それ以外には、対物レンズ1cやライトガイド1dを備えた例えば上部消化管に使用する内視鏡と同様に、その先端側が上下左右方向へ屈曲可能に作動制御される構造になっている。
そして、この内視鏡1の先端側を膣A内に押し込みながら上下左右方向へコントロールすることにより、外子宮口Bへ向け前進して子宮頸膣部C近くまで誘導している。
従って、内視鏡1の少なくとも先端側の直径は、人工授精するイヌ科動物の膣Aから見て6mm以下が好ましく、特に小型のイヌ科動物に対しては5mm以下の内視鏡1が更に好ましい。
前記可撓性カテーテル2は、例えばテフロン(登録商標)、ポリエチレンなどの折れ難くしかも適度に柔らかい合成樹脂などで管状に成形され、上記内視鏡1のチャンネル1b内に摺動自在に挿通して、少なくともその先端部(後述する射出口2b)が外子宮口B内に挿入された時点で、基端に接続された貯留部(図示せず)から精液を子宮頸管D内に注入するように構成される。
このカテーテル2の直径は、人工授精するイヌ科動物の大小や上記内視鏡1の太さにもよって異なるもの、例えば1.2mm、1.5mm、1.7mm、2.0mmなどを多種類用意することが好ましい。
更に、このカテーテル2の先端側には、前記内視鏡1の先端から膣A内へ突出された状態で外子宮口Bへ向けて略くの字形に曲がる変形可能な屈曲部2aと、その先端に開設された射出口2bと、この射出口2bへ向けて外径が徐々に小径となるテーパー部2cとが形成される。
上記屈曲部2aは、本実施形態の好ましい一例によれば、弾性変形可能な材料で形成することにより、上記内視鏡1のチャンネル1b内では直線状に弾性変形して引っ掛かることなく摺動可能であるが、内視鏡1の先端から突出して負荷が無くなった状態では、弾性的に元の形状に戻って外子宮口Bへ向け、先端側全体が略くの字形に曲がるようにする。
また、他の好ましい態様として、少なくとも屈曲部2aを形状記憶材料などで形成して、内視鏡1の先端から膣A内へ突出して温度変化することにより、先端側全体が略くの字形に曲がるようにすることも可能である。
図示例の場合には、上記屈曲部2aとして1箇所のみをカテーテル2の軸線に対し約45°に湾曲した構造になっているが、他の例として図示せぬが、更に先端部分を鉤状に折り曲げることも可能である。
更に、上記テーパー部2cとして、射出口2b近くの外周部分のみを該射出口2bへ向けて外径が徐々に小径となるテーパー状に形成することにより、外子宮口Bの中へ挿入し易くなるようにしている。
また、他の例として図示せぬが、上記屈曲部2a近くから射出口2bに至る部分全体を、該射出口2bへ向け外径が徐々に小径となるテーパー状に形成するなどして、内径に相当する先端流路を徐々に絞ることことにより、射出口2bから精液を勢い良く射出できるようにすることも可能である。
そして、このようなカテーテル2には、図1に示す一重構造の管状体からなるカテーテルと、図3に示すそれに後述する通路拡張用バルーン2dを一体的に備えたバルーンカテーテル2′と、図6に示すこれら一重構造のカテーテル又はバルーンカテーテル2′の内部にインナーチューブ2fを出し入れ自在に備えた二重構造カテーテル2″とがあり、これらの中から人工授精するイヌ科動物の状況に合ったものを選び出して使用する。
以下、本考案の各実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例1は、図1〜図2に示す如く、人工授精するイヌ科動物がその膣A内に、本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具Xの内視鏡1を挿入した状態で、子宮頸膣部Cと膣壁A1との隙間A2が内視鏡1の先端径と略同じ程度まで開いている場合を示すものであり、この場合には、カテーテル2として一重構造のカテーテルを使用する。
次に、カテーテル2として一重構造のカテーテルを使用した場合の経膣人工授精方法について、その工程順に従って説明する。
先ず、イヌ科動物の陰門から膣A内に内視鏡1を挿入し、この挿入状態で、この内視鏡1の送気用通路1aに接続される送気装置(図示せず)を作動し、該送気用通路1aを通して内視鏡1の先端から膣A内に空気などの気体を送風することが好ましい。
それにより、図2(a)に示す如く、この気体が自然交尾におけるペニスの役目を肩代わりして膣Aの内腔が常に拡開され、それ以降の全ての作業が内視鏡1による視界下で行われる。
この状態で、図2(b)に示す如く、この押し広げられた膣Aの内部に内視鏡1を押し込み、その先端を子宮頸膣部C及び外子宮口Bに接近させ、この内視鏡1の先端部をそのまま直接、子宮頸膣部Cと腹側の膣壁A1との隙間A2に挿入できれば、この子宮頸膣部Cを越えて内視鏡1の先端から突出する一重構造のカテーテル2の屈曲部2aを、膣Aの最深部にある外子宮口B近くまで導くことができる。
この隙間A2から膣Aの最深部にある外子宮口Bは、直線ではなく膣Aの管腔軸に対して垂直に配置されるため、略くの字形に曲がったカテーテル2の屈曲部2aを利用する。
このカテーテル2の屈曲部2aを内視鏡1で外子宮口Bの位置確認しながら誘導すれば、その先端側に配置されたテーパー部2cが外子宮口Bの中へ容易に入り込む。
このテーパー部2cが外子宮口Bの中へ入った後もカテーテル2を押し続ければ、図2(c)に示す如く、子宮頸管Dの形状に沿って屈曲部2aが弾性変形して所定深さの精子射出位置まで到達し、ここで精子が外子宮口Bの中に直接注入される。
この精子注入後は、上記屈曲部2aがカテーテル2ごと外子宮口Bから引き抜かれ、その後は、内視鏡1の先端を膣Aの深部付近に置いたまま、送気用通路1aに接続される送気装置(図示せず)を作動させ、約2分間程度、膣A内に空気などの気体を送風することが好ましい。
それにより、膣A内が陽圧になって、注入した精液が気体の圧力でより多く子宮側に押圧され、精液が膣A内へ逆流するを防止しながら精子を外子宮口B内へ二次的に送り込むことができ、受精の機会が高まることが期待される。
その場合、予め陰門を指などで閉じながら、閉じた指を自在に開閉して気体が膣A外に漏れ出さないように空気圧を調節すれば、あたかも自然交尾のペニスの怒張や拍動と同じ効果がこの送風による陽圧で期待できる。
一方、イヌ科動物の自然交尾において、いったん膣円蓋Eの中に射精された精液は、約30分も続くペニスの怒張や海綿体組織の動脈の脈動の力で、外子宮口Bから子宮頸管Dの中に送り込まれるが、それと同じ働きを送風装置の作動で行っている。
更に、イヌ科動物の自然交尾では、30分にも及ぶ交尾時間の間、膣A内には怒張したペニスが居座っているため、射精された精液は膣円蓋Eの外に漏れ出ることはない。
また、雑菌の多い膣口との間は、怒張したペニスによって完全に遮断されるから、感染も防がれている。
しかし、人工授精ではおのずからペニスのような精液の漏れ出しを防ぐものは存在せず、余剰の精液は、たちまち膣円蓋Eの外に漏れ出してしまい、それが再び外子宮口Bへ向け逆流することによって細菌やウイルス感染の原因にもなる。
そこで、内視鏡1の先端から注射針が付いたカテーテル(図示せず)を挿入し、その注射針を子宮頸膣部Cやその周辺組織の粘膜下に刺してから、生理食塩水などの液体や気体などの膨張用流体を注入すれば、膨瘤した子宮頸膣部Cが更に膣管腔内一杯に膨らんで、この膨らんだ組織により膣円蓋E(膣管腔)が一時的に閉鎖される。
この閉鎖は、約6時間程度持続して正常に戻り、この作業により余剰の精液が膣円蓋Eの外に漏れ出るのが防止され、精子の子宮頸管D内への進入を助けて受胎率の向上につながると共に、感染の防止にもなり、しかも生理的にもまったく問題がない。
それにより、イヌ科動物の自然交配における各生殖器官の生理的な働きを利用した受胎率の高いイヌ科動物用経膣人工授精方法を提供できる。
この実施例2は、図3〜図5に示す如く、人工授精する発情期に入ったイヌ科動物がその膣A内に、本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具Xの内視鏡1を挿入した状態で、その送気用通路1aを通して空気などの気体を膣Aに送風しても外子宮口Bの位置が目視で全く確認できない状況にある場合を示すものであり、この場合には、カテーテル2としてバルーンカテーテル2′を使用する構成が、前記図1〜図2に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は実施例1と同じものである。
このバルーンカテーテル2′は、図3(a)(b)に示す如く、上述した一重構造のカテーテル2に加えて、その先端側にバルーン(風船)2dを設け、バルーン2dが膨らんで所望箇所を拡張させ、これと逆に空気を吸引すればバルーン2dが収縮して元の形状に戻るようになっている。
このバルーン2dの大きさは、その最大膨張時の直径を、子宮頸膣部Cの膣側に膨大している部分の直径と同じ大きさに設定し、イヌ科動物の成体の多様な大きさに合わせて、例えば大型犬の場合には20mm、中型犬の場合には15mm、小型犬の場合には10mm以下などを多種類用意することが好ましい。
また、図示例では、前記屈曲部2aより基端側にバルーン2dとエアー供給口2eを配置した構造になっているが、少なくともガイドよりも基端側であれば、図示例以外の形状であっても良い。
次に、このバルーンカテーテル2′を使用した場合の経膣人工授精方法について説明する。
上述した実施例1と同様に、図4(a)に示す如く、内視鏡1の先端から突出したバルーンカテーテル2′の先端側を子宮頸膣部Cと膣壁A1との隙間A2に挿入するが、発情期における隙間A2は、学術的にも「偽頸管」と呼ばれ、この偽頚管A2は1mm程度で狭いために現在までの技術では、精液を射出する場所は全て、この子宮頸膣部Cの手前、即ち偽頚管A2よりも膣Aの入口側にしか精液を射出することしかできないものが多かった。
従って、この偽頚管と呼ばれる狭い隙間A2に、内視鏡1の先端を直接挿入するのは非常に困難であった。
そこで、バルーンカテーテル2′の先端側を子宮頸膣部Cと膣壁A1との隙間A2に挿入してから、図4(b)に示す如く、バルーン2dを膨らませて、この子宮頸膣部Cが凹むように変形させる。
それにより、子宮頸膣部Cと膣壁A1との隙間A2が拡開して、この隙間A2に対する内視鏡1の先端挿入がスムーズになる。
その後は、バルーン2dを収縮すれば、膣Aの最深部にある外子宮口Bが内視鏡1で見えるため、そのまま略くの字形に曲がった屈曲部2aを利用して、内視鏡1により外子宮口Bの位置確認しながら誘導すれば、その先端側に配置されたテーパー部2cが外子宮口Bの中へ容易に入り込む。
このテーパー部2cが外子宮口Bの中へ入った後もバルーンカテーテル2′を押し続ければ、図4(c)に示す如く、子宮頸管Dの形状に沿って屈曲部2aが弾性変形して所定深さの精子射出位置まで到達し、ここで精子が外子宮口Bの中に直接注入される。
それ以降は、上述した実施例1と同様に、内視鏡1の先端から注射針付きカテーテルを突出させ、その注射針を子宮頸膣部Cやその周辺組織の粘膜下に刺して、生理食塩水などの液体や気体などの膨張用流体を注入すれば、子宮頸膣部Cを更に膨らませて膣円蓋Eを一時的に閉鎖すれば、イヌ科動物の自然交配における各生殖器官の生理的な働きを利用した受胎率の高いイヌ科動物用経膣人工授精方法を提供できる。
従って、図3〜図4に示す実施例2は、一本のバルーンカテーテル2′で通路拡張と精子の注入を行うことができ、それにより、図5(a)に示す如く、子宮頸膣部Cに邪魔されることなく精子を外子宮口Bの中に直接注入でき、現在一般的に行われている(b)に示すような各種注射器Gを使用した経膣人工授精方法や、(c)に示すような直筒状の硬質カテーテルHを使用した経膣人工授精方法などに比べて、受胎率を自然交尾と同程度まで向上させることができる。
この実施例3は、図6に示す如く、人工授精するイヌ科動物の外子宮口Bが小さい場合や外子宮口Bの位置へ向けて射出口2bをうまく誘導できない場合を示すものであり、この場合には、カテーテル2として上述した一重構造のカテーテル2又はバルーンカテーテル2′の内部にインナーチューブ2fを出し入れ自在に備えた二重構造カテーテル2″を使用する構成が、前記図1〜図2に示した実施例1や前記図3〜図5に示した実施例2とは異なり、それ以外の構成は実施例1や実施例2と同じものである。
このインナーチューブ2fは、上述した可撓性カテーテル2と同様に例えばテフロン(登録商標)、ポリエチレンなどの折れ難くしかも適度に柔らかい合成樹脂などで管状に成形され、その先端には精液吐出口2gを開口し、一重構造のカテーテル2又はバルーンカテーテル2′の内部に摺動自在に挿通して、該射出口2から突出した精液吐出口2gが外子宮口B内に挿入された時点で、基端に接続された貯留部(図示せず)から精液を子宮頸管D内に注入するように構成される。
更に、このインナーチューブ2fの先端側には、前記射出口2bから膣A内へ突出された状態で外子宮口Bへ向けて略くの字形に曲がる変形可能に屈曲させることが好ましい。
そのためには弾性変形可能な材料や形状記憶材料などで形成して、前記屈曲部2aではそれに沿って引っ掛かることなく摺動可能であるが、射出口2bから突出して負荷が無くなった状態では、弾性的に元の形状に戻って外子宮口Bへ向け、先端側全体が略くの字形に曲がるようにするか、又は温度変化することで、先端側全体が略くの字形に曲がるようにする必要がある。
従って、図6に示す実施例3は、人工授精するイヌ科動物の外子宮口Bが小さい場合や外子宮口Bの位置へ向けて射出口2bをうまく誘導できない場合でも、射出口2bから細いインナーチューブ2fを突出させて誘導すれば、微調整が可能となって、小さい外子宮口B内に精液吐出口2gを確実に挿入できる。
その結果、特に小型のイヌ科動物に有効であるという利点がある。
この実施例4は、図7に示す如く、前記内視鏡1の先端から突出した一重構造のカテーテル2又はバルーンカテーテル2′又は二重構造カテーテル2″の先端側が回転するのを防止するためのガイド3を備えた構成が、前記図1〜図2に示した実施例1や前記図3〜図5に示した実施例2や図6に示す実施例3とは異なり、それ以外の構成は実施例1や実施例2や実施例3と同じものである。
このガイド3は、透明又は不透明の合成樹脂などで略円筒状に形成され、その基端部を内視鏡1の先端側に装着し、内視鏡1の先端から突出した一重構造のカテーテル2又はバルーンカテーテル2′又は二重構造カテーテル2″の先端側に形成される屈曲部2aや射出口2bの往復動の邪魔とならないように一部を開口させることが好ましい。
それにより、二点点鎖線に示す如く、これらカテーテル2,2′,2″の先端側をガイド3で回転不能に保持すれば、これらが突出したまま内視鏡1を内視鏡1で移動させても該カテーテル2,2′,2″の先端側が回転せず、その後、実線に示す如く、外子宮口Bへ向け突出させて誘導する際に、一方向へ保持したまま安定した状態で導くことができ、射出口2bやインナーチューブ2fの精液吐出口2gを外子宮口B内へ容易に挿入することができる。
従って、図7に示す実施例4は、カテーテル2の先端側の操作性が向上するという利点がある。
尚、図6に示す実施例3と実施例4では、バルーンカテーテル2′の場合を図示したが、これに限定されず、それ以外の一重構造のカテーテル2や二重構造カテーテル2″であっても良い。
本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具の実施例1を示す斜視図である。 実施例1のイヌ科動物用経膣人工授精器具を用いた経膣人工授精方法の一例を示す断面図であり、(a)〜(c)に工程順に示している。 本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具の実施例2を示す斜視図であり、(a)は全体を示し、(b)はバルーンを膨らませた状態を示している。 実施例2のイヌ科動物用経膣人工授精器具を用いた経膣人工授精方法の一例を示す断面図であり、(a)〜(c)に工程順に示している。 実施例2のイヌ科動物用経膣人工授精器具を用いた経膣人工授精方法と、現在の人工授精器具を用いた経膣人工授精方法との違いを説明する断面図であり、(a)は実施例2のイヌ科動物用経膣人工授精器具であり、(b)(c)は現在の人工授精器具である。 本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具の実施例3を示す斜視図である。 本考案のイヌ科動物用経膣人工授精器具の実施例4を示す斜視図である。 ウシとイヌ科動物の雌生殖器の違いを説明する断面図であり、円で囲まれた断面図が同一縮尺の犬の生殖器である。 イヌ科動物の雌生殖器の断面図である。 イヌ科動物の交尾時における断面図である。
符号の説明
A 膣 B 外子宮口
C 子宮頸膣部 D 子宮頸管
E 膣円蓋 F ペニス
G 注射器 H 硬質カテーテル
X 経膣人工授精用器具 1 内視鏡
1a 送気用通路 1b チャンネル
1c 対物レンズ 1d ライトガイド
2 カテーテル 2′ バルーンカテーテル
2″ 二重構造カテーテル 2a 屈曲部
2b 射出口 2c テーパー部
2d バルーン 2e エアー供給口
2f インナーチューブ 2g 精液吐出口
3 ガイド

Claims (4)

  1. 雌の膣(A)内に挿入される内視鏡(1)と、この内視鏡(1)内に摺動自在に挿通される可撓性のカテーテル(2)とを備え、上記内視鏡(1)の先端から突出して膣壁(A1)と子宮頸膣部(C)との隙間(A2)に挿入されるカテーテル(2)の先端側には、内視鏡(1)の先端から膣(A)内へ突出された状態で外子宮口(B)へ向け略くの字形に曲がる屈曲部(2a)と、その先端に開設された射出口(2b)と、この射出口(2b)へ向けて外径が徐々に小径となるテーパー部(2c)とを形成したことを特徴とするイヌ科動物用経膣人工授精器具。
  2. 前記カテーテル(2)が、テーパー部(2c)よりも基端側に、膣壁(A1)と子宮頸膣部(C)との隙間(A2)で膨張するバルーン(2d)を備えたバルーンカテーテル(2′)である請求項1記載のイヌ科動物用経膣人工授精器具。
  3. 前記カテーテル(2)が、その内部にインナーチューブ(2f)を出し入れ自在に備えた二重構造カテーテル(2″)である請求項1または2記載のイヌ科動物用経膣人工授精器具。
  4. 前記内視鏡(1)の先端から突出したカテーテル(2)の先端側が回転するのを防止するためのガイド(3)を備えた請求項1、2または3記載のイヌ科動物用経膣人工授精器具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010213948A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Tottori Prefecture 精液注入装置
JP2014519925A (ja) * 2011-06-17 2014-08-21 バイエル・エシュア・インコーポレイテッド 内視鏡システムアダプター
CN112584794A (zh) * 2018-08-31 2021-03-30 英格朗公司 用于人工授精的装置和方法

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