JP3115690B2 - 半溶融鍛造機の押出し装置 - Google Patents

半溶融鍛造機の押出し装置

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JP3115690B2 JP04089366A JP8936692A JP3115690B2 JP 3115690 B2 JP3115690 B2 JP 3115690B2 JP 04089366 A JP04089366 A JP 04089366A JP 8936692 A JP8936692 A JP 8936692A JP 3115690 B2 JP3115690 B2 JP 3115690B2
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清二 才川
満 澤瀬
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旭テック株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は溶融した素材金属を半
溶融状態に冷却し樹枝状晶を機械的または電磁的に破壊
した後、パンチとダイスを使って金型内へ流動させる、
いわゆる、チクソ鋳造法や溶融させることなく、半溶融
状態に加熱した後、同様にパンチとダイスを使って金型
内へ流動させるチクソ鍛造法の改良に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、チクソ鋳造法は製品中に含まれ
る微細な気泡が少なく、気密性の優れた鋳造製品が得ら
れることが注目され、実用化に向けて数多くの提案がな
されている(例えば、特開昭60−152358号公
報、特公平2−51703号公報など)。出願人は素材
金属を溶融せず、加熱方法の改良のみで直接に半溶融状
態へ加熱し、チクソ鋳造品と同等かそれ以上の高品質製
品が得られるチクソ鋳造法に似て非なる鍛造法を先に提
案した(整理番号ASTP0938、出願日平成4年0
3月14日)。
【0003】しかしながら、いずれの方法で半溶融加工
を行うにしても、液相状態の金属を含む素材を空気中に
おいて移送したり加熱したりするのでは、素材が空気に
触れて表面に厚い酸化皮膜を生じる。もちろん、大規模
な装置を使って素材の通路すべてに不活性ガスを満たし
て酸化を防止する方法もないではないが、装置が大がか
りとなって、設備費が高額になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような素材として
用いるビレットを加熱する際に表面に生じる酸化皮膜を
除去する方法として図7で示すように、搬送容器Cを傾
けてビレットBをダイスDへ挿入する際に、ダイスの縁
でしごいて表面の酸化皮膜Sを取り除くことも試された
が、外周部はとも角として、上下の面に生じた酸化皮膜
を除去、ないしは薄くすることは困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は上記した不具
合を解消し、素材がダイスから型内へ押し出される際
に、酸化皮膜が混入するのを防止するための構造簡単な
装置を得ることを目的とするもので、パンチとダイスを
備え、ダイスに供給した半溶融状態の素材をパンチで加
圧して表面の酸化皮膜を排除し、酸化されていない内部
型内のキャビティへ供給するように構成した半溶融鍛
造機の押出し装置において、前記パンチを円柱形に形成
して、その円形押圧面の中央部と外周部のいずれか又は
両方に酸化皮膜を逃がす凹部を形成してなる半溶融鍛造
機の押出し装置。
【0006】
【作用】ダイスへ半溶融状態に加熱したビレットを入
れ、パンチを降下させビレットを押圧すると、ビレット
は変形し材料の一部はパンチの下面に形成した凹部へ逃
れようとする。そのとき、まず、上面の酸化皮膜の部分
が凹部へ押し込まれるが、凹部へ押し込まれた部分はパ
ンチに接して急速に冷却し、硬さを増すのでパンチの下
降に伴って、周囲の酸化皮膜が凹部内へ引き込まれ、残
部をなす内部の酸化されていない部分のみが下方のダイ
ス孔を通してキャビティへ送られる。
【0007】
【実施例】以下、図示の実施例によってこの発明を説明
する。図1において、1は半溶融鍛造に使用されるダイ
ス、2はそのダイス1と協働するパンチである。ダイス
1は素材を受け入れる円形のダイス孔1aと、その底部
の中心に開くランナ1bを備え、ランナ1bの下端部は
左右に分岐しゲート1cを介して金型3に形成したキャ
ビティ3a内に通じている。3bはキャビティ3aを形
成するための固定ピンである。3c、3cはノックアウ
トピンであり、鍛造が終了し、金型3を上下に分割した
後に金型3から製品を取り出すため押出す公知の手段で
ある。なお、金型3の分割は上下に限らず左右割りでも
よいことは勿論である。
【0008】パンチ2は酸化皮膜を除去するため2種の
実施例を示す。最初の例は図2で示すように、ダイス孔
1aと同軸に配置された円柱形の押圧部2aを有し、そ
の押圧部2aの下面をなす円形押圧面には中央部に浅い
円孔からなる酸化皮膜を逃がすための凹部2bが設けら
れている。また、次の例は図3で示すように、前記酸化
皮膜を逃がすための凹部2bはパンチ2の外周面に形成
した環状の深い溝からなっている。パンチ2は状況に応
じて、これら下面中央に形成されるものと外周に形成さ
れるものとの2種の凹部2bのいずれかが単独で用いら
れる場合と、双方が同時に設けられる場合とがある。
【0009】次に、この金型を用いた加工方法を説明す
る。まず、電気炉と高周波誘導加熱を用いて素材を半溶
融状態に加熱する。素材の材質は約11%のシリコンを
含むアルミニウム合金であり、図4で示すように、直径
約75 mm 、高さ60 mm のビレットBに加工されてい
る。すなわち、押し出し成形された長い棒状の素材を機
械的に切断したものである。ビレットBの加熱は図5で
示すように、高周波誘導加熱により液相率が50〜70
%になる温度まで数分間かけ、ビレットBの表面と芯の
部分との間に大きな温度差を生じないように加熱する。
なお、エネルギー効率の上では常温から固相域での加熱
は電気炉を用い比較的多量の素材を同時に窒素、二酸化
炭素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で固相線の直下
の温度まで加熱し、その後、一個づつ取り出して高周波
誘導加熱によって固液両相が混在する温度域の加熱を行
うようにした方が加熱工程全体での加熱効率がよいよう
である。この場合でも、固相線より上の加熱を誘導加熱
によって個別に行うのは、多数のビレットBを形の崩れ
易い半溶融状態に長時間放置することが好ましくないか
らである。
【0010】次に、鍛造工程を説明すると、図6で示す
ように、半溶融状態に加熱されたビレットBをダイス1
の円形のダイス孔1aへ挿入し(a)、パンチ2によっ
て強く押圧すると、素材が変形してランナ1bを下方へ
流動する。このとき、素材の下面に付着していた酸化皮
膜Sの一部は流動する素材の先頭部に付着し、随伴して
いる(b)。この先頭部はそのまゝランナ1bの底部へ
達っし、そこを充填すると、その底部よりやゝ上の酸化
皮膜を含まない部分が左右に分岐してランナ1bの水平
部を通り、ゲート1cを経て(c)、金型3のキャビテ
ィ3a内へ流動し、キャビティ3aの内面に従って製品
の形状に塑性変形する(d)。よって、流動する素材の
先頭部分に含まれた酸化皮膜Sはランナ1bの垂直部の
底に残され、排除される。キャビティ3a内が素材によ
って充填されると、直ちに数秒間に亘って一層高い圧力
が加えられた後、金型3を開きノックアウトピン3cに
よって製品を押し出すと、製品と材料とはゲート1cの
部分で剪断されて製品が取り出される。
【0011】この発明によれば、パンチ2には少なくと
も中央部と外周部とのいずれか一方に酸化皮膜を逃がす
凹部が形成されているので、上記したパンチ2が素材を
押圧してランナ1b内へ押し込む過程で、表面に付着し
ている酸化皮膜が除去され、内部の酸化されていない部
分のみがランナ1bを経てキャビティ3a内へ送られ
る。すなわち、図2の例によれば、凹部2bがパンチ2
の中央部に浅い円孔として形成されているので、パンチ
2が降下してビレットBの上面に当接し、これを強圧す
ると、ビレットBの上面に形成されていた酸化皮膜Sは
凹部2bたる浅い円孔へ押し込まれ、そこの壁面に接し
て冷却され硬化する。引き続きパンチ2が降下すると、
ビレットBの上部は凹部2bを満たす。このとき冷却し
硬化した酸化皮膜Sが周囲の酸化皮膜Sを引き込むの
で、ランナ1bに面した部分の酸化皮膜Sが減少する。
他の図3の例によれば、凹部2bがパンチ2の外周面に
形成された円筒型の空間として形成されているので、パ
ンチ2がビレットBの上面を押圧する時、外周部は押圧
しないので、ビレットBの外周部が取り残され、側面に
形成された酸化皮膜Sが結果としてパンチ2外周の凹部
2bに引き込まれ、更に、上面に形成されていた酸化皮
膜Sは図2の例と同様にしてパンチ2外周の凹部2bに
引き込まれる。以上の作用により、ランナ1bに面した
部分の酸化皮膜Sが薄くなって、ランナ1bに引き込ま
れる量が減ずる。図2の例の方が、図3の例よりダイス
内に残留するビレット、所謂ビスケット部になる量が少
なくて済み、素材効率がよい。
【0012】なお、以上の実施例においては、素材とし
てアルミニウム合金を用いたが、必ずしもこれに限るも
のではなく、マグネシュウム合金等の軽合金や、他の金
属一般の半溶融加工ににおいてこの発明が適用できる。
また、レオ鋳造法や、あるいは金属を一旦溶融状態にし
た後に半溶融状態に冷却して撹拌し、キャビティへ流動
させるチクソ鋳造法にも適用できることは勿論のことで
ある。
【0013】
【発明の効果】この発明は以上のように、パンチ2の下
面に素材であるビレットの表面に付着した酸化皮膜を排
除する凹部2bを形成したものであるから、半溶融鍛造
においてビレットBをパンチ2で強圧する際、表面の酸
化皮膜が上方に位置した凹部2b内へ引き込まれ、そこ
に固定されるので、下方のランナ1bに引き込まれる酸
化皮膜が減じ、鍛造品の品質を向上させることができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】半溶融鍛造機の断面図である。
【図2】パンチ2の形状を示す正面図(a)と底面図
(b)である。
【図3】他の実施例を示す図3相当の正面図(a)と底
面図(b)である。
【図4】ビレットBの形状を示す外観図である。
【図5】ビレットBの加熱方法を示す加熱曲線である。
【図6】鍛造過程を示す行程図である。
【図7】要部を拡大して示す図1相当のダイスの断面図
である。
【符号の説明】
1・・・ダイス 1a・・ダイス孔 2・・・パンチ 2b・・凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/00 B22D 1/00 B22D 18/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パンチとダイスを備え、ダイスに供給した
    半溶融状態の素材をパンチで加圧して表面の酸化皮膜を
    排除し、酸化されていない内部を型内のキャビティへ
    給するように構成した半溶融鍛造機の押出し装置におい
    て、前記パンチを円柱形に形成して、その円形押圧面の
    中央部と外周部のいずれか又は両方に酸化皮膜を逃がす
    凹部を形成してなる半溶融鍛造機の押出し装置。
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