JP3114953B2 - エリスロマイシン誘導体、その製造法および用途 - Google Patents

エリスロマイシン誘導体、その製造法および用途

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JP3114953B2
JP3114953B2 JP05058923A JP5892393A JP3114953B2 JP 3114953 B2 JP3114953 B2 JP 3114953B2 JP 05058923 A JP05058923 A JP 05058923A JP 5892393 A JP5892393 A JP 5892393A JP 3114953 B2 JP3114953 B2 JP 3114953B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は消化管の機能促進剤とし
て有用な新規化合物に関する。さらに詳しくは、本発明
はエリスロマイシン(Erythromycin, ERMと略称する
こともある)の新規誘導体を消化管機能促進剤として応
用するものである。
【0002】
【従来の技術】抗生物質エリスロマイシンは塩基性14
員環マクロリドに属し、微生物たとえば Streptomyces
erythreus (Saccharopolyspora erythraea)に代表され
る文献[J. M. McGuire ら;アンティバイオティックス
・アンド・ケモセラピー(Antibiotics & Chemotherap
y), ,281−283(1952),D. P. Labeda
ら;インターナショナル・ジャーナル・オブ・システマ
ティック・バクテリオロジー(Int. J. Syst. Bacterio
l.) 37,19−22(1987)]記載の菌により
生産され、下記に示すようにエリスロマイシンA,B,
CおよびDなどの成分で構成されている[P. F. Wiley
ら;ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エティー(J. Amer. Chem. Soc.), 79,6062−
6070,6070−6073,6074−6077
(1957),J. Majer ら;J. Amer. Chem. Soc.,
,1620−1622(1977)]。
【0003】
【化31】
【0004】エリスロマイシン(以下、ERMと略記す
ることもある)Aには抗菌剤として使用された際、嘔吐
などの副作用などが認められていたが、Z. Itoh らはE
RMAが消化管の蠕動運動を促進するモチリン様作用
(GMS活性)を有することを見出した[アメリカン・
ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Am. J. Physio
l.) 247,G688−694(1984)]。さら
に、S. Omuraらは強いGMS活性を有し、抗菌性の殆ど
認められないERM誘導体を調製し、特許出願した(特
開昭63−99092号および同63−99016号公
報)。これらの誘導体の製造法、物性、構造式、生物活
性などについては文献[ジャーナル・オブ・メディカル
・ケミストリー(J. Med. Chem.) 30,1941−1
943(1987),ケミカル・アンド・ファーマシュ
ーティカル・ブレチン(Chem. Pharm.Bull.), 37
2687−2700,2701−2709(198
9)]にその内容が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ヒトは生命の維持、体
力の維持および回復のために常に食物を摂取しなければ
ならない。しかしながら、消化機能あるいは消化管の運
動機能が低下したヒト、例えば、手術後の患者、重篤な
感染症あるいは癌患者、消化管機能障害のみられる糖尿
病患者、慢性胃炎患者、逆流性食道炎患者などにとって
は消化管の運動機能を賦活する薬剤が必要とされてお
り、優れた消化管運動促進剤の開発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑みて、新たな観点から研究を重ねた結果、14位
および15位の少なくとも一方が水酸基であるエリスロ
マイシン誘導体を動物に投与した時、消化管の運動を促
進(GMS活性)することを見出した。即ち、本発明者
らは、後述の〔表1〕に示される構造式を有する14員
環マクロリド系化合物中、化合物 (1)または (2) を
動物に投与した時、生体内に消化管の運動を促進(GM
S活性)する活性代謝物の存在を認めた。すなわち、イ
ヌに化合物 (1) を静脈投与、投与後30分の肝臓から
溶媒抽出、クロマトグラフィー、分取HPLCにより2
個の活性代謝物、化合物 (3) および (4) を得た。こ
れらの化学構造は種々の物性データからそれぞれ化合物
(1) の15位および14位水酸化体と推定された。ま
た化合物(2)を同様に処理し、対応する化合物(7)
および(8)を得た。これらの化合物は全て新規物質で
あり、イヌのin vivo 試験において強く消化管運動促進
作用を有していた。本発明者らは更に研究を進めた結
果、14位および15位の少なくとも一方が水酸基であ
るエリスロマイシン誘導体が消化管の運動を促進するこ
と、そしてその活性は14位および15位のどちらも水
酸基でないものに比べて、同等もしくは大きいことを見
出したものである。上記の化合物は14位および15位
のどちらも水酸基でないものを酸化反応に付すことによ
り製造することができる。また、上記酸化反応におい
て、動物由来の酸化酵素を用いることができるが、試料
の大量調製に有利な方法として、このような酸化反応を
進行させる酵素を産生する微生物を探索したところ、あ
る種の微生物がこの能力を有することを見出した。
【0007】本発明者らは、これらの知見に基づいてさ
らに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち本発明
は、(1)構造的に新規である、14位および15位の
少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール
型エリスロマイシン誘導体またはその塩、(2)6,9
−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはその
塩に生物由来の酸化酵素を作用させることを特徴とす
る、14位および15位の少なくとも一方が水酸基であ
る6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体ま
たはその塩の製造法、および(3)14位および15位
の少なくとも一方が水酸基であるエリスロマイシン誘導
体またはその塩を含有してなる消化管機能促進剤に関す
るものである。
【0008】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロ
マイシン誘導体を具体的に説明すると、例えば以下の一
般式〔1〕:
【0009】
【化32】
【0010】〔式中、R1は水素または置換基を有して
いてもよい脂肪族炭化水素基を、R2は水素または置換
基を有していてもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ示す
か、もしくはR1とR2で隣接する窒素原子と共に複素環
基を形成し、R3 は水素または置換基を有していてもよ
いアシル基を、R4およびR5は水素または水酸基で、そ
の少なくとも一方が水酸基を、R6は水素または水酸基
を、R7は水素またはメチル基を、R8 は水素、水酸
基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基または置
換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、−A−
は以下に示される一般式〔2〕:
【0011】
【化33】
【0012】〔式中、R9およびR10は水素、または、
相合わさって化学結合を形成する場合を示し、Zは一般
式〔3〕,〔4〕,〔5〕,〔6〕または〔7〕で表さ
れる。
【0013】一般式〔3〕:
【0014】
【化34】
【0015】(式中R11は水素、置換基を有していても
よいアシル基または置換基を有していてもよいアルキル
基を、R12は水素、低級カルボン酸アシル基、またはア
ルキルチオを置換基として有していてもよいアルキル基
をそれぞれ示す)、一般式〔4〕:
【0016】
【化35】
【0017】(式中、R13は水素、置換基を有していて
もよいアシル基または置換基を有していてもよいアルキ
ル基を示す)、式〔5〕:
【0018】
【化36】
【0019】式〔6〕:
【0020】
【化37】
【0021】一般式〔7〕:
【0022】
【化38】
【0023】(式中、Yは式 >B−R14(式中、R14はア
ルキル基またはアリール基を示す)、>S=O,>C=O,>
C=S または一般式〔8〕
【0024】
【化39】
【0025】(式中、R15およびR16は、同一または異
なって水素、アルキル基、あるいは隣接する炭素原子と
ともに環状アルキル基を形成する場合、または一方が水
素、アルキル基またはアリール基で他方がジアルキルア
ミノ基である場合をそれぞれ示す)を表わす)〕を、ま
たは−A−は一般式
〔9〕:
【0026】
【化40】
【0027】(式中、Z′は一般式〔10〕
【0028】
【化41】
【0029】(式中、R17は水素、置換基を有していて
もよいアシル基または置換基を有していてもよいアルキ
ル基を示す)を表わす)を示す。〕で表わされるものが
あげられる。
【0030】上記一般式〔1〕で表わされる14位およ
び15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミ
アセタール型エリスロマイシン誘導体を更に具体的に示
すと、次の一般式〔11〕で表わされるものが含まれ
る。
【0031】一般式〔11〕:
【0032】
【化42】
【0033】[式中、R1は水素または置換基を有して
いてもよい脂肪族炭化水素基を、R2'は置換基を有して
いてもよい脂肪族炭化水素基を、R4およびR5は水素ま
たは水酸基で、その少なくとも一方が水酸基を、R7
水素またはメチル基を、R8'は水素または水酸基を、R
18は水素または水酸基を示す。]。
【0034】上記一般式〔11〕で表わされる14位お
よび15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘ
ミアセタール型エリスロマイシン誘導体のより具体的な
例として、次の一般式〔12〕で表わされるものが含ま
れる。
【0035】一般式〔12〕:
【0036】
【化43】
【0037】〔式中、R1は水素または置換されていて
もよい脂肪族炭化水素基を、R18'は水素または水酸基
を、R4およびR5は水素または水酸基で、その少なくと
も一方が水酸基を、R7は水素またはメチル基を示す。
ただし、R7がメチル基の場合R18'は水素を示す。〕。
同様に一般式〔11〕で表わされる14位および15位
の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセター
ル型エリスロマイシン誘導体のより具体的な例として、
次の一般式〔13〕で表わされるものが含まれる。
【0038】一般式〔13〕:
【0039】
【化44】
【0040】〔式中、R1は水素または置換基を有して
いてもよい脂肪族炭化水素基を、R4およびR5は水素ま
たは水酸基を示し、その少なくとも一方が水酸基を示
す。〕。
【0041】一般式〔11〕で表わされる14位および
15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミア
セタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩の好ま
しい例として、R1およびR2が同一又は異なって置換基
を有していてもよい低級アルキル基または置換基を有し
ていてもよいシクロアルキル基であるものが挙げられ
る。一般式〔11〕で表わされる14位および15位の
少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール
型エリスロマイシン誘導体またはその塩のさらに好まし
い例として、R1およびR2が同一又は異なって置換基を
有していてもよいC1_6アルキル基であるものが挙げら
れる。一般式〔12〕または〔13〕で表わされる14
位および15位の少なくとも一方が水酸基である6,9
−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはその
塩の好ましい例として、R1がイソプロピル基またはエ
チル基であるものが挙げられる。
【0042】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロ
マイシン誘導体またはその塩の製造法の例として、一般
式〔14〕:
【0043】
【化45】
【0044】(式中、R7′は水素またはメチル基を示
し、R1,R2,R3,R6,R8および−A−は一般式
〔1〕で定義した通り)で表される6,9−ヘミアセタ
ール型エリスロマイシン誘導体またはその塩に生物由来
の酸化酵素を作用させることを特徴とする、一般式
〔1〕:
【0045】
【化46】
【0046】〔式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6
7,R8および−A− は一般式〔1〕で定義した通
り。〕で表される6,9−ヘミアセタール型エリスロマ
イシン誘導体またはその塩の製造法が挙げられる。
【0047】上記の製造法の更なる具体例として、一般
式〔15〕:
【0048】
【化47】
【0049】(式中、R1,R2',R8'およびR18は一
般式〔11〕で定義した通りであり、R7'は水素または
メチル基を示す。)で表される6,9−ヘミアセタール
型エリスロマイシン誘導体またはその塩に生物由来の酸
化酵素を作用させることを特徴とする、一般式〔1
1〕:
【0050】
【化48】
【0051】(式中、R1,R2',R4,R5,R7および
8'は一般式〔11〕で定義した通り。)で表される
6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体また
はその塩の製造法が挙げられる。
【0052】上記の製造法の具体例として、一般式〔1
7〕:
【0053】
【化49】
【0054】(式中、R1は水素、または置換基を有し
ていてもよい脂肪族炭化水素基を、R2は水素または置
換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ示
すか、もしくはR1とR2で隣接する窒素原子と共に複素
環基を形成し、R3 は水素または置換基を有していても
よいアシル基を、R6は水素または水酸基を、R8 は水
素、水酸基、置換基を有していてもよいアシルオキシ基
または置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、
−A− は以下に示される一般式〔2〕:
【0055】
【化50】
【0056】〔式中、R9およびR10は水素、または、
相合わさって化学結合を形成する場合を示し、Zは一般
式〔3〕:
【0057】
【化51】
【0058】(式中、R11は水素、置換基を有していて
もよいアシル基または置換基を有していてもよいアルキ
ル基を、R12は水素、低級カルボン酸アシル基、または
アルキルチオを置換基として有していてもよいアルキル
基をそれぞれ示す)、または一般式〔4〕:
【0059】
【化52】
【0060】(式中、R13は水素、置換基を有していて
もよいアシル基または置換基を有していてもよいアルキ
ル基を示す)、または式〔5〕:
【0061】
【化53】
【0062】または式〔6〕:
【0063】
【化54】
【0064】または一般式〔7〕:
【0065】
【化55】
【0066】(式中、Yは式 >B−R14(式中、R14はア
ルキル基またはアリール基を示す)、>S=O,>C=O,>
C=S または一般式〔8〕:
【0067】
【化56】
【0068】(式中、R15およびR16は、同一または異
なって水素、アルキル基、あるいは隣接する炭素原子と
ともに環状アルキル基を形成する場合、または一方が水
素、アルキル基またはアリール基で他方がジアルキルア
ミノ基である場合をそれぞれ示す)を表わす)を示す〕
を、または−A−は一般式
〔9〕:
【0069】
【化57】
【0070】(式中、Z′は一般式〔10〕:
【0071】
【化58】
【0072】(式中、R17は水素、置換基を有していて
もよいアシル基または置換基を有していてもよいアルキ
ル基を示す)を表わす)を示す。〕で表される6,9−
ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩
に生物由来の酸化酵素を作用させることを特徴とする、
一般式〔16〕:
【0073】
【化59】
【0074】(式中、R1,R2,R3,R6,R8および
−A−は上記の通り。)で表される6,9−ヘミアセタ
ール型エリスロマイシン誘導体またはその塩の製造法が
挙げられる。
【0075】更に本発明の塩の製造法として、14位お
よび15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘ
ミアセタール型エリスロマイシン誘導体を4級アンモニ
ウム化反応に付す方法で挙げられる。本発明の14位お
よび15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘ
ミアセタール型エリスロマイシン誘導体の塩の製造法に
おいて、生物由来の酸化酵素として動物由来の酸化酵素
を用いる方法、あるいは微生物由来の酸化酵素を用いる
方法が挙げられる。
【0076】本発明の6,9−ヘミアセタール型エリス
ロマイシン誘導体の塩の製造法の具体例として、一般式
〔19〕:
【0077】
【化60】
【0078】(式中、R1は水素、または置換基を有し
ていてもよい脂肪族炭化水素基を、R18は水素または水
酸基を、R7'は水素またはメチル基を示す)で表される
6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体また
はその塩に微生物由来の酸化酵素を作用させることを特
徴とする一般式〔18〕:
【0079】
【化61】
【0080】(式中、R1およびR18は上記の通りであ
り、R4'およびR5'は水素または水酸基を示し、R7
水素またはメチル基を示し、R4'およびR5'の両者が水
素のときR7は水素を示す)で表される6,9−ヘミア
セタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩の製造
法が挙げられる。一般式〔14〕,〔15〕および〔1
9〕で表わされる化合物においてR7'がメチル基の場
合、反応によりR7が水素である化合物に変換されるこ
とがある。上記の微生物としては、ダクチロスポランジ
ウム(Dactylosporangium)属、サッカロスリックス(Sacc
harothrix)属またはアミコラトプシス(Amycolatopsis)
属に属する放線菌が挙げられる。
【0081】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基であるエリスロマイシン誘導体またはその
塩を含有してなる消化管機能促進剤のより具体的な例と
しては、14位および15位の少なくとも一方が水酸基
であるエリスロマイシン誘導体またはその塩が、一般式
〔1〕で表わされるエリスロマイシン誘導体またはその
塩であるものが挙げられ、更にその具体例として一般式
〔11〕で表わされるエリスロマイシン誘導体またはそ
の塩であるものが挙げられる。前記の式〔1〕,式〔1
1〕,式〔12〕,式〔13〕,式〔14〕,式〔1
5〕,式〔16〕,式〔17〕,式〔18〕,式〔1
9〕で表される本発明目的物、本発明原料化合物を示す
式中、R1で表される置換基を有していてもよい脂肪族
炭化水素基における脂肪族炭化水素基としては、例え
ば、低級アルキル基,シクロアルキル基,低級アルケニ
ル基,低級アルキニル基等が挙げられる。好ましくは低
級アルキル基,シクロアルキル基である。さらに好まし
くは低級アルキル基である。これらは1〜3個の適当な
置換基を有していてもよい。低級アルキル基としては、
炭素数1〜6のアルキル基が好まし く、たとえばメチ
ル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブ
チル,ペンチル,ヘキシルなどが挙げられる。好ましく
は炭素数1〜3のアルキル基である。さらに好ましく
は、メチル,エチル,イソプロピルである。シクロアル
キル基としては炭素数3〜7のシクロアルキル基が 挙
げられ、たとえばシクロプロピル,シクロブチル,シク
ロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルなどが挙
げられる。炭素数4〜6のシクロアルキル基、たとえ
ば、シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルな
どが好ましい。低級アルケニル基としては、炭素数2〜
6のアルケニル基が好 ましく、たとえばビニル,アリ
ル,2−ブテニル,メチルアリル,3−ブテニル,2−
ペンテニル,4−ペンテニル,5−ヘキセニルなどが挙
げられる。低級アルキニル基としては、炭素数2〜6の
アルキニル基が好 ましく、たとえばエチニル,プロパ
ルギル,2−ブチン−1−イル,3−ブチン−2−イ
ル,1−ペンチン−3−イル,3−ペンチン−1−イ
ル,4−ペンチン−2−イル,3−ヘキシン−1−イル
などが挙げられる。
【0082】置換基を有する脂肪族炭化水素基上の置換
基としては、たとえば水酸基,アジド,ニトロ,アミ
ノ,シアノ,グアニジノ,アミジノ,スルホ,カルボキ
シ,オキソ,エポキシ,チオキソ,スルホアミノ,スル
ファモイル,スルファモイルアミノ,ウレイド,ベンゾ
イル,ハロゲン,C3_6シクロアルキル,C6_10アリ−
ル,C1_4アルコキシ,C1_4アルコキシ−C2_3−アル
キル,C3_6シクロアルキルオキシ,C6_10アリールオ
キシ,C7_12アラルキルオキシ,C1_4アルキルチオ,
3_6シクロ アルキルチオ,C6_10アリールチオ,C7_
12アラルキルチオ,モノC1_4アルキ ルアミノ,ジC1_
4アルキルアミノ,C3_6シクロアルキルアミノ,C6_10
アリールアミノ,C7_12アラルキルアミノ,C1_4アル
コキシカルボニル,C6_10アリ ールオキシカルボニ
ル,C3_6シクロアルキルオキシカルボニル,C7_12
ラル キルオキシカルボニル,C1_5アルカノイル,C1_
15アルカノイルオキシ,置換基を有していてもよいカル
バモイル,置換基を有していてもよいカルバモイルオキ
シ,C1_4アルコキシカルボニルオキシ,C7_12アラル
キルオキシカルボニルオキシ,C1_4アルカノイルアミ
ノ,C6_10アリールカルボニルアミノ,C1_4アルコキ
シカルボニルアミノ,C7_12アラルキルオキシカルボニ
ルアミノ,C1_4アルキルスルホニルアミノ,C6_10
リールスルホニルアミノ,C1_4アルキルスルフィニ
ル,C6_10アリールスルフィニル,C1_4アルキルスル
ホニル,C6_10アリールスルホニル,C1_4アルキルス
ルホニルオキシ,C6_10アリールスルホニルオキシ,複
素環基,複素環チオ,複素環カルボニルアミノ,複素環
オキシ,複素環アミノなどが挙げられる。
【0083】上記の脂肪族炭化水素基上の置換基である
(1)C3_6シクロアルキル基,(2)C6_10アリール基,(3)
1_4アルキルチオ,C1_4アルキルスルフィニル,C1_
4アルキルスルホニルおよびC1_4アルキルスルホニルオ
キシにおけるアルキル基,(4)複素環基,複素環チオ,
複素環カルボニルアミノ,複素環オキシおよび複素環ア
ミノにおける複素環基は、さらに適当な置換基、たとえ
ば、水酸基,アジド,ニトロ,アミノ,シアノ,スル
ホ,カルボキシ,オキソ,ハロゲン,C1_4アルキル,
1_4アルコキシ,C1_4アルキルチオ,C1_4アルキル
アミノ,ジC1_4アルキルアミノ,C6_10アリールアミ
ノ,C1_4アルコキシカルボニル,C6_10アリールオキ
シカルボニル,C1_5アルカノイル,C1_5アルカノイル
オキシ,カルバモイル,カルバモイルオキシ,C1_4
ルカノイルアミノ,C1_4アルコキシカルボニルアミ
ノ,C1_4アルキルスルホニルアミノなどを有していて
もよい。上記各基において置換基を有している場合の置
換基の数は、1〜3個が好ましい。
【0084】これら置換基についてつぎに詳述する。ハ
ロゲンとしてはたとえばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素が
挙げられる。C3_6シクロアルキル基としてはたとえば
シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シク
ロヘキシルなどが挙げられる。C6_10アリール基として
はたとえばフェニル,ナフチルなどが挙げられる。C1_
4アルコキシとしてはたとえばメトキシ,エトキシ,プ
ロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,tert-ブトキシ
などが挙げられる。C1_4アルコキシ−C2_3アルキル基
としてはたとえばエトキシエチル,メトキシメチル,ジ
メトキシエチル,ジエトキシエチルなどが挙げられる。
3_6シクロアルキルオキシ基としてはたとえばシクロ
プロピルオキシ,シクロブチルオキシ,シクロペンチル
オキシ,シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0085】C6_10アリールオキシ基としてはたとえば
フェノキシ,ナフチルオキシなどが挙げられる。C7_12
アラルキルオキシ基としてはたとえばベンジルオキシ,
2-フェネチルオキシ,1-フェネチルオキシなどが挙げら
れる。C1_4アルキルチオ基としてはたとえばメチルチ
オ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブ
チルチオ,イソブチルチオ,sec-ブチルチオ,tert-ブ
チルチオなどが挙げられる。C3_6シクロアルキルチオ
基としてはたとえばシクロプロピルチオ,シクロペン
チルチオ,シクロヘキシルチオなどが挙げられる。C6_
10アリールチオ基としてはたとえばフェニルチオ,ナフ
チルチオなどが挙げられる。C7_12アラルキルチオ基と
してはたとえばベンジルチオ,2-フェネチルチオ,1-フ
ェネチルチオなどが挙げられる。モノC1_4アルキルア
ミノ基としてはたとえばメチルアミノ,エチルアミノ,
プロピルアミノ,イソプロピルアミノ,ブチルアミノ,
イソブチルアミノ,tert-ブチルアミノなどが挙げられ
る。ジC1_4アルキルアミノ基としてはたとえばジメチ
ルアミノ,ジエチルアミノ,ジプロピルアミノ,ジブチ
ルアミノ,N-メチル-N-エチルアミノ,N-メチル- N
-プロピルアミノ,N-メチル-N-ブチルアミノなどが挙
げられる。C3_6シクロアルキルアミノ基としてはたと
えばシクロプロピルアミノ,シクロブチルアミノ,シク
ロペンチルアミノ,シクロヘキシルアミノなどが挙げら
れる。C6_10アリールアミノ基としてはたとえばアニリ
ノ,ナフチルアミノなどが挙げられる。C7_12アラルキ
ルアミノ基としてはたとえばベンジルアミノ,フェネチ
ルアミノ,フェニルプロピルアミノなどが挙げられる。
【0086】C1_4アルコキシカルボニル基としてはた
とえばメトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロ
ポキシカルボニル,イソプロポキシカルボニル,ブトキ
シカルボニル,tert-ブトキシカルボニル,イソブトキ
シカルボニルなどが挙げられる。C6_10アリールオキシ
カルボニル基としてはたとえばフェノキシカルボニルな
どが挙げられる。C3_6シクロアルキルオキシカルボニ
ル基としてはたとえばシクロプロピルオキシカルボニ
ル,シクロブチルオキシカルボニル,シクロペンチルオ
キシカルボニル,シクロヘキシルオキシカルボニルなど
が挙げられる。C7_12アラルキルオキシカルボニル基と
してはたとえばベンジルオキシカルボニル,1-フェネチ
ルオキシカルボニル,2-フェネチルオキシカルボニル,
フェニルプロピルオキシカルボニルなどが挙げられる。
1_5アルカノイル基としてはたとえばホルミル,アセ
チル,プロピオニル,ブチリル,ピバロイルなどが挙げ
られる。C1_15アルカノイルオキシ基としてはたとえば
ホルミルオキシ,アセトキシ,ブチリルオキシ,ピバロ
イルオキシ,ペンタノイルオキシ,ヘキサノイルオキ
シ,ヘプタノイルオキシ,オクタノイルオキシ,ノナノ
イルオキシ,デカノイルオキシ,ウンデカノイルオキ
シ,ドデカノイルオキシ,トリデカノイルオキシ,テト
ラデカノイルオキシ,ペンタデカノイルオキシなどが挙
げられる。
【0087】置換されたカルバモイル基としてはたとえ
ばN-メチルカルバモイル,N,N-ジメチルカルバモイ
ル,N-エチルカルバモイル,N,N-ジエチルカルバモ
イル,N-フェニルカルバモイル,ピロリジノカルバモ
イル,ピペリジノカルバモイル,ピペラジノカルバモイ
ル,モルホリノカルバモイル,N-ベンジルカルバモイ
ルなどが挙げられる。置換されたカルバモイルオキシ基
としてはたとえばN-メチルカルバモイルオキシ,N,N
-ジメチルカルバモイルオキシ,N-エチルカルバモイル
オキシ,N-ベンジルカルバモイルオキシ,N,N-ジベ
ンジルカルバモイルオキシ,N-フェニルカルバモイル
オキシなどが挙げられる。C1_4アルコキシカルボニル
オキシ基としてはたとえばメトキシカルボニルオキシ,
エトキシカルボニルオキシ,tert−ブトキシカルボニル
オキシなどが挙げられる。C7_12アラルキルオキシカル
ボニルオキシ基としてはたとえばベンジルオキシカルボ
ニルオキシなどが挙げられる。
【0088】C1_4アルカノイルアミノ基としてはたと
えばホルミルアミノ,アセチルアミノ,プロピオニルア
ミノ,ブチリルアミノなどが挙げられる。C6_10アリー
ルカルボニルアミノ基としてはたとえばベンズアミノな
どが挙げられる。C1_4アルコキシカルボニルアミノ基
としてはたとえばメトキシカルボニルアミノ,エトキシ
カルボニルアミノ,ブトキシカルボニルアミノ,tert-
ブトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。C7_12
ラルキルオキシカルボニルアミノ基としてはたとえばベ
ンジルオキシカルボニルアミノ,2-フェネチルオキシカ
ルボニルアミノ,1-フェネチルオキシカルボニルアミノ
などが挙げられる。C1_4アルキルスルホニルアミノ基
としてはたとえばメタンスルホニルアミノ,エタンスル
ホニルアミノ,ブタンスルホニルアミノなどが挙げられ
る。C6_10アリールスルホニルアミノ基としてはたとえ
ばベンゼンスルホニルアミノ,ナフタレンスルホニルア
ミノなどが挙げられる。C1_4アルキルスルフィニル基
としてはたとえばメチルスルフィニル,エチルスルフィ
ニル,プロピルスルフィニル,ブチルスルフィニル,イ
ソブチルスルフィニル,sec-ブチルスルフィニル,tert
-ブチルスルフィニルなどが挙げられる。C6_10アリー
ルスルフィニル基としてはたとえばフェニルスルフィニ
ル,ナフチルスルフィニルなどが挙げられる。C1_4
ルキルスルホニル基としてはたとえばメタンスルホニ
ル,エタンスルホニル,ブタンスルホニルなどが挙げら
れる。C6_10アリールスルホニル基としてはたとえばベ
ンゼンスルホニル,トルエンスルホニル,ナフタレンス
ルホニルなどが挙げられる。C1_4アルキルスルホニル
オキシ基としてはたとえばメタンスルホニルオキシ,エ
タンスルホニルオキシ,ブタンスルホニルオキシなどが
挙げられる。C6_10アリールスルホニルオキシ基として
はたとえばベンゼンスルホニルオキシ,トルエンスルホ
ニルオキシなどが挙げられる。複素環基としてはヘテロ
原子(例、窒素,酸素および硫黄など)の1〜5個を含
む5または6員複素環基があげられる。その例としては
たとえばピロリジニル,ピロリル,ピラゾリル,イミダ
ゾリル,フリル,チエニル,オキサゾリル,イソオキサ
ゾリル,イソチアゾリル,チアゾリル,ピペリジニル,
ピリジル,ピリダジニル,ピラジニル,ピペラジニル,
ピリミジニル,ピラニル,テトラヒドロピラニル,テト
ラヒドロフリル,インドリル,キノリル,1,3,4−オ
キサジアゾリル,1,2,3−チアジアゾリル,1,3,4
−チアジアゾリル,1,2,3−トリアゾリル,1,2,4
−トリアゾリル,1,3,4−トリアゾリル,テトラゾリ
ル,1,3−ジオキソラニルモルホシノ,モルホリニル
などが挙げられる。該複素環基は、炭素原子の他に1〜
3個のヘテロ原子(例、窒素,酸素,硫黄など)を含ん
でいてもよい5または6員環(例、ベンゼン,ピリジ
ン,シクロヘキサンなど)と縮合して2環性縮合環基
(例、8−キノリル,8−プリニル,チエノ[2,3−
d]ピリジル,テトラゾロ[1,3−b]ピリダジニ
ル,ベンゾチアゾリル,ベンゾオキサゾリル,ベンゾイ
ミダゾリル,ベンゾチエニルなど)を形成していてもよ
い。複素環チオ基,複素環オキシ基,複素環アミノ基お
よび複素環カルボニルアミノ基としては上記の複素環が
それぞれ硫黄原子,酸素原子,窒素原子またはカルボニ
ルアミノ基に結合した基が挙げられる。
【0089】R1で表される置換された低級アルキル、
置換されたシクロアルキル、置換された低級アルケニル
および置換された低級アルキニル基における置換基とし
て好ましくは、たとえば、水酸基,アミノ,スルホ,ハ
ロゲン(例、塩素,臭素,ヨウ素,フッ素)、炭素数3
〜6のアリール(aryl)(例、フェニル,トリル,ナフチ
ルなど)、炭素数1〜4の低級アルコキシ(例、メトキ
シ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ
など)、炭素数1〜4の低級アルキルチオ(例、メチル
チオ,エチルチオ,プロピルチオ,ブチルチオなど)、
炭素数1〜4のアルコキシカルボニルオキシ(例、tert
−ブトキシカルボニルオキシなど)、炭素数7〜12の
アラルキルオキシカルボニルオキシ(例、ベンジルオキ
シカルボニルオキシなど)、置換アミノ(例、ジメチル
アミノ,ジエチルアミノなど)、複素環基(環状アミ
ノ)(例、モルホリノ,ピペリジノ,ピロリジニル,2
−オキソピロリジニルなど)、炭素数1〜3のアルカノ
イルオキシ(例、ホルミルオキシ,アセトキシ,トリフ
ルオロアセトキシなど)、炭素数1〜4のアルカノイル
アミノ(例、アセタミド(アセチルアミノ),トリフル
オロアセタミドなど)、炭素数1〜4の低級アルコキシ
カルボニル(例、メトキシカルボニル,エトキシカルボ
ニル,ブトキシカルボニルなど)、カルバモイル,置換
カルバモイル(例、ジメチルカルバモイル,ジエチルカ
ルバモイルなど)などが挙げられる。さらに好ましくは
ハロゲン(例、塩素,臭素,ヨウ素,フッ素)、水酸
基、アミノ基があげられる。
【0090】R1で表される基について、具体例をあげ
ると、メチル,エチル,イソプロピル,クロロメチル,
ブロモメチル,ヨードメチル,トリフルオロメチル,ク
ロロエチル,ブロモエチル,ヨードエチル,クロロプロ
ピル,ヒドロキシメチル,ヒドロキシエチル,ヒドロキ
シプロピル,2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル,シ
クロプロピルメチル,シクロブチルメチル,シクロペン
チルメチル,シクロヘキシルメチル,2−シクロヘキシ
ルエチル,3−クロロシクロブチルメチル,ベンジル,
4−クロロベンジル,4−ニトロベンジル,4−メトキ
シベンジル,2,4−ジメトキシベンジル,3,4−ジメ
トキシベンジル,4−メチルベンジル,2−エトキシエ
チル,2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチ
ル,メトキシメチル,2,2−ジメトキシエチル,2,2
−ジエトキシエチル,シクロプロピルメトキシメチル,
シクロブチルメトキシメチル,2−シクロプロピルメト
キシエチル,2−シクロブチルメトキシエチル,2−ベ
ンジルオキシエチル,3−ベンジルオキシプロピル,2
−フェノキシエチル,3−フェニルプロピル,メチルチ
オメチル,2−メチルチオエチル,2−フェニルチオエ
チル,2−ベンジルチオエチル,2−ブチルチオエチ
ル,シクロヘキシルチオメチル,2−(4−ピリジルチ
オ)エチル,アミノメチル,アミノエチル,2−メチル
アミノエチル,2−tert−ブチルアミノエチル,2−ジ
メチルアミノエチル,3−ジメチルアミノプロピル,2
−シクロヘキシルアミノエチル,2−ベンジルアミノエ
チル,2−アジドエチル,ニトロメチル,2−ニトロエ
チル,シアノメチル,2−シアノエチル,4−シアノブ
チル,カルボキシメチル,2−カルボキシエチル,エト
キシカルボニルメチル,フェノキシカルボニルメチル,
シクロペンチルオキシカルボニルメチル,アセチルメチ
ル,ベンゾイルメチル,4−クロロベンゾイルメチル,
3−(4−ブロモベンゾイル)プロピル,3−メトキシ
ベンゾイルメチル,2−ホルミルオキシエチル,2−メ
チルスルフィニルエチル,2−フェニルスルフィニルエ
チル,2−メチルスルホニルエチル,3−フェニルスル
ホニルプロピル,2−アセトキシエチル,4−アセトキ
シブチル,ピバロイルオキシメチル,3−スルホプロピ
ル,カルバモイルメチル,3−カルバモイルプロピル,
ピロリジノカルボニルメチル,2−(N−エチル−ベン
ジルアミノ)エチル,2−(2−オキソピロリジノ)エ
チル,2−ホルミルアミノエチル,3−ホルミルアミノ
プロピル,3−トリフルオロアセタミドプロピル,2−
ベンツアミノエチル,3−tert−ブトキシカルボニルア
ミノプロピル,ベンジルオキシカルボニルアミノプロピ
ル,2,3−エポキシプロピル,2−チオアセタミドエ
チル,3−スルホンアミノプロピル,2−(1,3− ジ
オキソラン−2−イル)エチル,2−,3−,4−ピリジ
ルメチル,2−(4−ピリジル)エチル,3−(4−ピ
リジル)プロピル,フルフリル,3−(2−フリル)ア
リル,3−(2−フリル)プロピル,2−(2−ピラニ
ルオキシ)エチル,2−(3−インドリル)エチル,3
−(1−インドリル)プロピル,3−(2−ベンツイミ
ダゾリル)プロピル,2−モルホリノエチル,(3−イ
ソキサゾリル)メチル,2−(2−ピリジルチオ)エチ
ル,2−(2−ベンツチアゾリル)エチル,2−(2−
ピリミジニルチオ)エチル,2−(2−アミノエチルチ
オ)エチル,2−イソニコチノイルアミノエチル,2−
テノイルアミノエチル,2−フロイルアミノエチル,3
−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)プロピル,2−
メチルスルホニルオキシエチル,2−(p−トルエンス
ルホニルオキシ)エチル,2−(tert−ブチルジメチル
シリルオキシ)エチル,スルホアミノメチル,2−スル
ホアミノエチル,ウレイドメチル,2−ウレイドエチ
ル,スルファモイルアミノメチル,2−スルファモイル
アミノエチル,4-メトキシベンジルオキシカルボニルア
ミノ,4-ニトロベンジルオキシカルボニルアミノ,4-ク
ロロベンジルオキシカルボニルアミノ,トルエンスルホ
ニルアミノ,トリフルオロメタンスルホニルアミノ,2-
クロロエタンスルホニルアミノ,2,2,2-トリフルオロメ
タンスルホニルアミノなどである。
【0091】R2もしくはR2'で表される置換基を有し
ていてもよい脂肪族炭化水素基についても、上記のR1
と同様のものが挙げられる。R1とR2で窒素原子と共に
複素環基を形成する場合、その複素環の大きさは4〜7
員のもの、例えばトリメチレンイミノ、テトラメチレン
イミノ、ペンタメチレンイミノ、ヘキサメチレンイミノ
等が挙げられる。
【0092】上記式中、R3、R11、R13またはR17
表される置換基を有していてもよいアシル基またはR8
の置換基を有していてもよいアシルオキシ基におけるア
シル基としては、カルボン酸アシル、スルホン酸アシ
ル、亜リン酸アシルあるいはリン酸アシル基等が挙げら
れる。該カルボン酸アシル基は、カルボン酸から誘導さ
れるアシル基をいい、該カルボン酸としては、モノカル
ボン酸でもポリカルボン酸でもよく、また飽和カルボン
酸でも不飽和カルボン酸でもよい。モノカルボン酸アシ
ル基としては、炭素数1〜20の飽和または不飽和のアシ
ル基(例えば、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブ
チリル,イソブチリル,バレリル,イソバレリル,ヘキ
サノイル,ピバロイル,ラウロイル,ミリストイル,パ
ルミトイル,ステアロイル,アクリロイル,プロピオロ
イル,メタクリロイル等)またはアリールカルボン酸ア
シル基が好ましい。該アリールカルボン酸としては、ベ
ンゼンカルボン酸,ナフタレンカルボン酸などが挙げら
れる。ポリカルボン酸アシル基としては、ジカルボン酸
アシルが好ましく、該ジカルボン酸アシルとしては、エ
ステルを形成していてもよい炭素数2〜6の飽和または
不飽和のアシル基、例えばオキサロ,カルボキシアセチ
ル,3-カルボキシプロピオニル,シス-3-カルボキシア
クリロイル,トランス-3-カルボキシアクリロイル,シ
ス-3-メチル-3-カルボキシアクリロイルなどが挙げられ
る。該スルホン酸アシル基は、スルホン酸から誘導され
るアシル基をいい、例えばアルキル、アリール(aryl)
またはアラルキルスルホン酸アシル基が挙げられる。該
アルキルとしては、例えば炭素数1〜6の直鎖または分
枝状アルキルが好ましい。該アルキルの具体例として
は、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチ
ル,イソブチル,sec−ブチル, tert−ブチル,n-ペン
チル,n-ヘキシルなどが挙げられる。該アリールの例と
しては、フェニル,ナフチルなどが挙げられる。該アリ
ールは、置換基を有していてもよく、該置換基としては
たとえば低級アルキル(例:メチル)、低級アルコキシ
(例:メトキシ)、ハロゲン(例:フッ素、塩素、臭
素)、ニトロ、カルボキシなどが挙げられる。該アラル
キルの例としては2-フェネチルなどが挙げられる。
【0093】該亜リン酸アシル基は、亜リン酸から誘導
されるアシル基をいい、例えば、亜リン酸のアルキル,
アリール(aryl)またはアラルキル誘導体から得られる亜
リン酸アシル基が挙げられる。該アルキルとしては、例
えば炭素数1〜6の直鎖または分枝状アルキルが好まし
い。該アルキルの具体例としては、メチル,エチル,プ
ロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec-ブチ
ル,tert-ブチル,n-ペンチル,n−ヘキシルなどが挙げ
られる。該アリールの例としては、フェニル,トリル,
ナフチルなどが挙げられる。該アラルキルとしては、ア
リールアルキルが挙げられ、該アリールとしては、上記
のアリールがまた該アルキルとしては、炭素数1〜3の
ものが好ましく、例えばメチル,エチル,プロピル等が
挙げられる。該リン酸アシル基は、リン酸から誘導され
るアシル基をいい、例えば、リン酸のアルキル,アリー
ル(aryl)またはアラルキル誘導体から得られるリン酸ア
シル基が挙げられ、アルキル、アリール、アラルキルに
ついては亜リン酸の場合と同様である。
【0094】R3,R11,R13またはR17で表わされる置換基
を有していてもよいアシル基における置換基としては、
例えばハロゲン,アルコキシおよびアルキルチオ等が挙
げられる。該ハロゲンの例としては、塩素,臭素,フッ
素およびヨウ素等が挙げられる。該アルコキシとして
は、炭素数1〜4のもの、例えば、メトキシ,エトキ
シ,プロポキシおよびブトキシ等が挙げられる。該アル
キルチオとしては、炭素数1〜4のもの、例えばメチル
チオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,
ブチルチオ,イソブチルチオ,sec-ブチルチオ,tert-
ブチルチオ等 が挙げられる。上記式中、R12で表わされ
る低級カルボン酸アシル基としては炭素数1〜6のモノ
カルボン酸アシルまたはポリカルボン酸アシル、例えば
ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブ
チリル,バレリル,イソバレリル,ヘキサノイル,オキ
サロ,カルボキシアセチル,3-カルボキシプロピオニル
等が挙げられる。
【0095】上記式中、R8の置換基を有していてもよい
アルコキシ基におけるアルキル基、R11、R13またはR17
で表わされる置換基を有していてもよいアルキル基にお
けるアルキル基としては、炭素数1〜3の直鎖状または
分枝状のものが好ましい。該アルキルの具体例として
は、例えばメチル,エチル,プロピル,イソプロピル等
が挙げられる。該置換基としては、炭素数1〜3のアル
コキシまたは炭素数2〜6のアルコキシアルコキシが好
ましく、該アルコキシの例としては、メトキシ,エトキ
シ,プロポキシが、該アルコキシアルコキシの例として
は、メトキシエトキシ,メトキシプロポキシ,メトキシ
ブトキシ,メトキシペンチルオキシ,エトキシエトキ
シ,エトキシプロポキシ,エトキシブトキシ,プロポキ
シプロポキシ等が挙げられる。上記式中、R12で表わさ
れるアルキルチオを置換基として有していてもよいアル
キルにおけるアルキル基としては、上記のアルキル基が
挙げられる。該置換基としてのアルキルチオとしては、
低級アルキルチオが挙げられる。該低級アルキルとして
は、炭素数1〜3のものが好ましく、その例としてはた
とえばメチル、エチル、プロピル等が挙げられる。上記
式中、R14で表わされるアルキル基としては、炭素数1
〜6のものがあげられ、なかでも炭素数1〜3のものが
好ましく、該アルキルの具体例としては、例えばメチ
ル,エチル,プロピル等が挙げられる。上記式中、R14
で表わされるアリール基(aryl)としては、例えばフェニ
ル,トリル,ナフチル等が挙げられる。上記式中、R15
またはR16 で表わされるアルキル基としては、炭素数1
ないし6の直鎖または分枝状のアルキルが挙げられ、具
体例としては、例えばメチル,エチル,プロピル,イソ
プロピル,ブチル,イソブチル,sec-ブチル,tert-ブ
チル,n−ペンチル,n-ヘキシル等が挙げられる。なか
でも炭素数1〜3の直鎖または分枝状アルキルが好まし
い。該アルキル基の例としては、メチル,エチル,プロ
ピル,イソプロピル等が挙げられる。
【0096】上記式中、アセタール結合している炭素原
子と共に環状アルキル基を形成するR15およびR16で表わ
される炭素鎖としては、炭素数4〜5のもの、例えばテ
トラメチレン、ペンタメチレン等が挙げられる。上記式
中、R15またはR16 で表わされるアリール(aryl)として
は、例えばフェニル,トリル,ナフチル等が挙げられ
る。上記式中、R15またはR16 で表わされるジアルキル
アミノ基としては、ジ低級アルキルアミノ基が挙げら
れ、該低級アルキルとしては、炭素数1〜3のもの、例
えばメチル,エチル,プロピル等が挙げられる。また−
A−としては式〔2〕で表わされるものが好ましい。
【0097】本発明の、14位および15位の少なくと
も一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリス
ロマイシン誘導体の好ましい例として、次のような一般
式〔20〕:
【0098】
【化62】
【0099】〔式中R3は水素原子、C1_5の脂肪族カル
ボン酸のアシル基、C6_12アロイル基、C2_12ジアルキ
ルオキシホスホリル基および C12_24ジアリールオキシ
ホスホリル基からなる群から選ばれる基であり、R4
よびR5は水素または水酸基を示し、その少なくとも一
方が水酸基であり、R19は水素原子、C1_3のアルコキ
シカルボニル基で置換されていてもよいC1_6アルカノ
イル基、C6_12アロイル基、C1_6アルキルスルホニル
基、C6_12アリールスルホニル基、C7_20アラルキルス
ルホニル基およびC2_6アルコキシ基で置換されていて
もよいC1_3アルキル基からなる群から選ばれる基であ
り、R9およびR10は各々水素原子を示すかもしくは相
合わさって化学結合を形成し、Z″は一般式〔21〕:
【0100】
【化63】
【0101】(式中、R11は水素原子、C1_6アルカノ
イル基、C6_12アロイル基、C1_6アルキルスルホニル
基、C6_12アリールスルホニル基、C7_20アラルキルス
ルホニル基およびC1_4アルキルチオ基で置換されてい
てもよいC1_3アルキル基からなる群から選ばれる基で
あり、R12は水素原子、C1_6アルカノイル基およびC1
_4アルキルチオ基で置換されていてもよいC1_3アルキ
ル基からなる群から選ばれる基である)、またはZ″は
式〔22〕:
【0102】
【化64】
【0103】またはZ″は一般式〔23〕:
【0104】
【化65】
【0105】〔式中、Yは式B−R14’(式中R14’は
6_12アリール基を表す)、>C=O、>S=O、>C
=Sまたは式〔24〕:
【0106】
【化66】
【0107】(式中、R15’およびR16’は同一もしく
は異なって、水素原子もしくはC1_6アルキル基を表
す)〕を示し、Raは一般式〔25〕:
【0108】
【化67】
【0109】(式中、Rbは水素原子およびC1_6アルキ
ル基からなる群から選ばれる基であり、Rcは水素原
子、1もしくはそれ以上のヒドロキシ基で置換されてい
てもよいC2_6アルキル基、C2_6アルケニル基およびC
2_6アルキニル基からなる群から選ばれる基であるか、
RbおよびRcは隣接する窒素原子と共にC3_6環状アル
キルアミノ基を形成する)か、またはRaは一般式〔2
6〕:
【0110】
【化68】
【0111】(式中、RdはC1_6アルキル基であり、R
eおよびRfは同一または異なってもよく、水素原子、ヒ
ドロキシル基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン、C
3_5シクロアルキル基もしくはC1_3アルコキシカルボニ
ル基で置換されていてもよいC1_6アルキル基、C7_20
アラルキル基、C2_6アルケニル基、およびC2_6アルキ
ニル基、からなる群から選ばれる基であるか、Reおよ
びRfは隣接する窒素原子と共にC5_7環状アルキルアミ
ノ基を形成し、X~はアニオンを表す)を示す。〕で表
されるものが挙げられる。
【0112】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロ
マイシン誘導体の最も好ましい例としては一般式〔2
7〕:
【0113】
【化69】
【0114】〔式中、R4およびR5は水素もしくは水酸
基を示し、少なくとも一方は水酸基であり、Ra’は式
〔28〕:
【0115】
【化70】
【0116】(式中、Rc’はエチルもしくはイソプロ
ピル基である)、またはRa’は式〔29〕:
【0117】
【化71】
【0118】(式中、Re’およびRf’は同一もしくは
異なってもよく、メチル、エチルおよびイソプロピル基
からなる群から選ばれる基であり、各基は水酸基、シア
ノ基、ハロゲン、シクロプロピルおよびプロパルギル基
からなる群から選ばれる1もしくはそれ以上の基で置換
されていてもよい、またはRe’およびRf’は隣接する
窒素原子と共にピロリジノ基もしくはピロリジノ環を形
成し、X~はハロゲンアニオンを表わす)を示す〕で表
わされるものが挙げられる。
【0119】本発明における14位および15位の少な
くとも一方が水酸基である6,9−アンヒドロエリスロ
マイシン誘導体またはその塩としては、一般式〔11〕
中、R1がイソプロピルもしくはエチル基、R2がメチル
基、R18が水酸基、R7がメチル基、R8’が水酸基のも
のが好ましいものとして挙げられる。そして、この好ま
しい化合物の具体例としては、N-デメチル-15-ヒドロ
キシ-N-イソプロピル-8,9-アンヒドロエリスロマイシ
ンA 6,9-ヘミアセタール(化合物(3))、N-デメチ
ル-14-ヒドロキシ-N-イソプロピル-8,9-アンヒドロエ
リスロマイシンA 6,9-ヘミアセタール(化合物
(4))、3″-O-デメチル-N-デメチル-14-ヒドロキ
シ-N-イソプロピル-8,9-アンヒドロエリスロマイシン
A 6,9-ヘミアセタール(化合物(5))、3″-O-デメ
チル-N-デメチル-N-イソプロピル-8,9-アンヒドロエ
リスロマイシンA 6,9-ヘミアセタール(化合物
(6))、N-デメチル-15-ヒドロキシ-N-エチル-8,9-
アンヒドロエリスロマイシンA 6,9-ヘミアセタール
(化合物(7))、N-デメチル-14-ヒドロキシ-N-エ
チル-8,9-アンヒドロエリスロマイシンA 6,9-ヘミアセ
タール(化合物(8))、および3″-O-デメチル-N-
デメチル-14-ヒドロキシ-N-エチル-8,9-アンヒドロエ
リスロマイシンA 6,9-ヘミアセタール(化合物
(9))などが挙げられる。
【0120】本発明に至った経過を以下の式〔12〕お
よび〔表1〕に従って説明する。
【0121】
【化72】
【0122】
【表1】
【0123】本発明者らは、先ず、公知の6,9−ヘミ
アセタール型エリスロマイシン誘導体である化合物 (1)
または (2) を動物に投与した時、生体内に消化管の運
動を促進する(GMS活性)代謝物が生成するかどうか
を調べた。
【0124】イヌの前趾に化合物 (1) のラクトビオン
酸塩(10 mg/kg,iv)を投与し、血液、肝臓、胆汁
および尿を HP-20 クロマトグラフィーに付し、酢酸エ
チル抽出で処理し、活性代謝物を定量した。GMS活性
を示す代謝物は少なくとも2個あり、肝臓中に多く含ま
れ、血液中には原体が多く、尿および胆汁中にもかなり
含まれていた。投与後30分の肝臓を採取、抽出濃縮液
をHP−20クロマトグラフィーに付し、80%v/v メ
タノール/0.005N HCl画分を酢酸エチルで抽出し、
濃縮後、粉末を得た。この粉末を分取HPLCに付し、
2個の活性画分[化合物 (3) および (4) をそれぞれ含
む画分]を得た。これらは三次元HPLC上単一ピーク
を示し、FAB.マススペクトル(FAB−MS)は各
々 m/z760(MH+)(+は上付き),602(MH-Cladin
ose)を示した。化合物 (2) のラクトビオン酸塩を上述
の方法と同様に処理し、化合物 (7) および(8) を得
た。化合物 (3), (4), (7) および (8) の外観は白色粉
末で、塩基性脂溶性の性質を有していた。これらの化合
物の物理化学的性状は実施例に示したとおりである。こ
れらの化合物の構造式はNMRスペクトルの一種である
プロトン−プロトン二次元相関スペクトル(1H-1H COS
Y)データを詳細に解析することにより決定された。す
なわち,化合物 (3) および (4) の構造はそれぞれ化合
物 (1) の 15 -および 14 - 水酸化体、化合物 (7) お
よび (8) の構造はそれぞれ化合物 (2)の 15 - および
14 - 水酸化体であると判明した。
【0125】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロ
マイシン誘導体またはその塩(式〔1〕,式〔11〕,
式〔16〕等参照、以下、本発明目的化合物という場合
もある)を得る方法は、たとえば6,9−ヘミアセター
ル型エリスロマイシン誘導体(式〔14〕,式〔1
5〕,式〔17〕等参照、以下、本発明原料化合物とい
う場合もある)またはその塩を酸化反応に付す方法が挙
げられる。酸化反応は、例えば生物由来の酸化酵素を用
いることにより実施される。生物由来の酸化酵素として
は、ほ乳動物例えばイヌ,ウシ,ブタ,モルモット,ラ
ットなどの肝臓由来の酸化酵素を用いる。 該酵素は、
酵素自体あるいは酵素液として使用する。酵素液として
は、例えば肝臓を破砕し、組織を適当な濃度の緩衝液中
に懸濁し、ホモジェネートとして調製されたものをその
まま使用するか、あるいは該ホモジェネートを遠心分離
後、上清液にアセトンなどを加えて、粉末化した粗酵素
として使用する。酸化酵素を作用させる際、補酵素、脱
水素酵素および無機塩などを併用するのが好ましい。補
酵素としては、通常酸化還元反応に用いられる補酵素が
あげられる。例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(NAD+)(+は上付き)、そのリン酸エステル
(NADP+)(+は上付き)およびこれらの還元体(N
ADHおよびNADPH)などである。脱水素酵素とし
ては、例えばD−グルコース6−リン酸脱水素酵素,グ
リセロール3−リン酸脱水素酵素などが挙げられる。無
機塩としては、例えば塩化マグネシウムなどのハロゲン
化アルカリ土類金属等である。反応時の原料化合物の濃
度は約5μg/mlから約5mg/ml、好ましくは約20μ
g/mlから約2mg/mlである。反応温度は約30℃〜4
2℃、好ましくは約34℃〜40℃である。反応時間は
約5分〜24時間、好ましくは約10分〜20時間であ
る。
【0126】また,本発明目的化合物またはその塩は本
発明原料化合物またはその塩に微生物由来の酸化酵素を
作用させることにより得られる。該微生物は本発明原料
化合物たる6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン
誘導体を酸化する能力を有する微生物である。たとえば
放線菌に属する菌があげられる。そのうち、たとえば、
アミコラトプシス(Amycolatopsis)属〔1992年版I
FOリストによる。1988年版IFOリストではスト
レプトミセス(Streptomyces)属〕、サッカロスリック
ス(Saccharothrix)属〔1992年版IFOリストによ
る。1988年版IFOリストではノカルジア(Nocard
ia)属〕またはダクチロスポランジウム(Dactylospora
ngium)属などに属する菌が好ましい。代表的な菌株と
してはアミコラトプシス・トリポホラス(Amycolatopsi
s tolypophorus)IFO 13151〔1992年版I
FOリストによる。1988年版IFOリストではスト
レプトミセス・トリポホラス(Streptomyces tolypophor
us)IFO 13151。〕、サッカロスリックス・ムタ
ビリス・サブスピーシーズ・カプレオラス(Sassharoth
rix mutabilis subsp.capreolus)IFO 12847
〔1992年版IFOリストによる。1988年版IF
Oリストではノカルディア・カプレオラ(Nocardia cap
reola)IFO 12847。〕またはダクチロスポラン
ジウム・バリエスポラム(Dactylosporangium variespo
rum)IFO 14104〔1992年版IFOリストに
記載されている。〕などがある。上記のIFO番号は、
財団法人発酵研究所(IFO)における受託番号を示
す。これらの放線菌は、他の放線菌の場合と同様に、た
とえば紫外線、エックス線、放射線などの照射、単胞子
分離、種々の変異処理あるいはその他の手段で変異させ
ることができ、このような変異株あるいは自然に得られ
る突然変異株であっても、上記した菌株と分類学的性状
との比較において実質的に別種とするに足らず、しかも
原料化合物を酸化する能力を有するものは、すべて本発
明方法に利用し得る。
【0127】これらの菌の培養に用いられる培地は該菌
が利用し得る栄養源を含むものなら、液状でも固体状で
もよいが、大量に処理する時は液体培地を用いるのがよ
り適当である。培地には当該菌が同化し得る炭素源、窒
素源、無機物質、微量栄養源が適宜配合される。炭素源
としては、たとえばグルコース,ラクトース,シューク
ロース,マルトース,デキストリン,スターチ,グリセ
リン,マンニトール,ソルビトール,油脂類(例、大豆
油,ラード油,チキン油など),n−パラフィンなど
が、窒素源としては、たとえば肉エキス,酵母エキス,
大豆粉,コーン・スチープ・リカー,ペプトン,棉実
油,廃糖蜜,尿素,アンモニウム塩類(例、硫酸アンモ
ニウム,塩化アンモニウムなど)などが用いられる。さ
らに、ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウ
ムなどを含む塩類、鉄,マンガン,亜鉛,コバルト,ニ
ッケルなどの金属塩類,リン酸,ホウ酸などの塩類や酢
酸,プロピオン酸,蓚酸などの有機酸の塩類が適宜用い
られる。その他、アミノ酸(例、グルタミン酸,アスパ
ラギン酸,アラニン,リジン,メチオニン,プロリンな
ど),ペプチド(例、ジペプチド,トリペプチドな
ど),ビタミン類(例、ビタミンB1,ビタミンB2,ビ
タミンB6,ニコチン酸,ビタミンB12,ビタミンC な
ど),核酸類(例、プリン,ピリミジン,その誘導体な
ど)などを含有させてもよい。
【0128】培地のpHを調節する目的で無機酸(例、
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など),有機酸
(例、酢酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸など),アルカリ
類(例、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナト
リウムなど)または緩衝液(例、リン酸二水素ナトリウ
ム,リン酸水素二ナトリウムなど)などを加え、あるい
は消泡の目的で、油脂類(例、大豆油,ラード油,チキ
ン油など),界面活性剤などの適量を添加しても差し支
えない。たとえば液体培養の際、培地のpHは中性付近
が好ましい。そのうち、特にpH約5〜8が好ましい。
培養温度は約20℃〜37℃が好ましい。培養時間は約
6時間〜72時間が好ましい。中でも、特に約12時間
〜48時間が好ましい。
【0129】本発明の酸化酵素により、例えば本発明原
料化合物(例、〔式14〕,〔式15〕,〔式17〕
等)の14位、15位および3”位−O−メチル基の1
箇所またはそれらの2箇所以上が水酸基に変換される。
酸化酵素は、酵素自体あるいは酵素液として使用する。
酵素液としては、前述の培養液をそのまま、あるいは培
養液を遠心分離後、上清液にアセトンなどを加えて、粉
末化した粗酵素を含有する液として使用してもよい。本
発明は、培養液を使用するのが好ましい。また、酵素液
中に、例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(NAD+)(+は上付き),そのリン酸エステル(NA
DP+)(+は上付き)およびこれらの還元体(NADH
およびNADPH)などの補酵素、例えばD−グルコー
ス−6−リン酸,グリセロール−3−リン酸などの脱水
素酵素あるいは例えば塩化マグネシウムなどのハロゲン
化アルカリ土類金属などの無機塩などを用いてもよい。
酵素液に原料を加え反応させる際の原料濃度は約1μg
/mlから20mg/mlが好ましい。そのうち約2μg/ml
から10mg/mlがさらに好ましい。反応温度は約18℃
ないし42℃が好ましい。そのうち約24℃ないし37
℃がさらに好ましい。反応時間は約1分ないし50時間
が好ましい。そのうち約5分ないし30時間がさらに好
ましい。
【0130】反応液から目的とする6,9−ヘミアセタ
ール型エリスロマイシン誘導体またはその塩を採取する
方法を以下に述べる。該化合物は塩基性で脂溶性を示す
ため、この性質を利用する天然物化学の一般的手段を用
いればよい。例えば、1)酵素反応液にろ過補助剤等を
加えてろ過あるいは遠心分離に付し、固形物を除去し、
得られたろ液をpH約5ないし11、好ましくはpH約
6ないし10に調整後、水と混和しない有機溶媒(例え
ば、クロロホルム,酢酸エチル,メチルイソブチルケト
ンあるいはイソブタノールなど)を加え、該化合物を抽
出する。該抽出液を無機物質を含む水(例えば、重曹
水,炭酸ナトリウム水溶液など)および水で洗浄後、有
機溶媒層を濃縮し、該化合物を含有する粗物質を得る方
法、あるいは、2)担体を用いて、酵素反応液あるい
は、上述のようにろ過を行ったろ液から該化合物の粗物
質を採取する方法などを用いる。酵素反応液中の活性物
質を吸着させた担体から活性物質を溶出するには、適当
な、たとえばアセトン、アセトニトリルあるいはメタノ
ールなどの有機溶媒と水または適当量の酸(例えば、塩
酸,硫酸など)を含む水との混合溶媒が用いられる。溶
出画分は有機溶媒を除去後、前述の溶媒抽出法で処理
し、目的物を抽出する。抽出液を濃縮すると粗物質が得
られる。本発明では担体を用いて、酵素反応液から該化
合物の粗物質を採取する方法が好ましい。担体としては
慣用の無機あるいは有機の担体、例えば活性炭、吸着樹
脂、イオン交換樹脂、アルミナ、セルロース、イオン交
換セルロース、セファデックス、イオン交換セファデッ
クスなどが用いられる。そのうち吸着性樹脂が好まし
い。特にダイアイオン HP−20およびSP−207
(三菱化成工業社製),アンバーライトXAD−Iおよ
びII(ローム・アンド・ハース社製,米国)などの吸着
性樹脂が好ましい。
【0131】この粗物質をさらに精製し、純粋な6,9
−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはその
塩を得ることもできる。例えば種々のクロマトグラフィ
ー法が有利に用いられる。例えば、カラムクロマトグラ
フィー法を行なう場合、担体としては慣用の無機あるい
は有機の担体、例えば活性炭、吸着樹脂、アルミナ、セ
ルロース、結晶セルロース、イオン交換セルロース、セ
ファデックス(例、セファデックスLH−20(ファル
マシア社製,スウエーデン)等)、イオン交換セファデ
ックス、シリカゲルなどが用いられる。これらは通常カ
ラムクロマトグラフィー法で行なわれる。カラムから活
性物質を溶出するには適当な有機溶媒たとえばn−ヘキ
サン,クロロホルム,トルエン,酢酸エチル,ジクロロ
エタン,アセトン,メタノールなどの単独あるいはこれ
らの混合溶媒が用いられる。粗物質をさらに精製し、純
粋な目的物を得るには分取用高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)を用いてもよい。担体としてはオクタデ
シルシラン(以下、ODSと略す)系またはシリカゲル
系のものが有利に用いられる。例えばODSの場合、移
動相としてはメタノールあるいはアセトニトリルと塩類
含有水溶液の混合溶液が有利に用いられる。目的物を含
む溶出液を水と混和しない適当な有機溶媒で抽出し、抽
出液を濃縮後、残渣を上述の適当な有機溶媒などから粉
末化して純粋な目的化合物を得る。
【0132】本発明の14位および15位の少なくとも
一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロ
マイシン誘導体は、アミノ基を有しているので、それ自
体公知の方法で、酸と作用して生理学的に許容される塩
を形成することができる。酸としては例えば有機酸
(例、エチルコハク酸,ラクトビオン酸,シュウ酸,コ
ハク酸,クエン酸,乳酸,酢酸,メタンスルホン酸
等)、無機酸(例、硫酸,塩酸,リン酸等)などがあげ
られる。上記14位および15位の少なくとも一方が水
酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン
誘導体を原料化合物として、アルキル化、アルケニル化
またはアルキニル化反応(4級アンモニウム化反応)に
付すことにより四級塩を製造することができる。該反応
に用いられる試薬としては、たとえば対応するアルキ
ル,アルケニルまたはアルキニルのハロゲン化物,エス
テル,トリオキソニウム塩などが挙げられる。該ハロゲ
ン化物におけるハロゲンとしては、たとえば塩素,臭
素,ヨウ素が挙げられ、なかでもヨウ素が好ましい。該
エステルとしては、たとえば硫酸エステルなどが挙げら
れる。該トリオキソニウム塩の具体例としては、たとえ
ばトリメチルオキソニウムフルオロボレート,トリエチ
ルオキソニウムフルオロボレートなどが挙げられる。該
反応試薬は、原料化合物1モルに対し約1〜100モル当
量、好ましくは約2〜25モル当量である。該反応に用い
る溶媒としては、たとえばハロゲン化炭化水素(例、ク
ロロホルム,ジクロルメタン)、エーテル類(例、エチ
ルエーテル,テトラヒドロフラン)、エステル類(例、
酢酸エチル)、アルコール類(例、メタノール、エタノ
ール)などが挙げられる。該反応は、氷冷下(約0℃)
ないし溶媒の沸点(約100℃まで)、好ましくは室温(約
15〜25℃)ないし約80℃である。反応時間は、約2時間
〜1週間である。なお、4級アンモニウム化反応は前記
アシル化反応等の前または後に行うことができ、とりわ
けその後に行うのが好ましい。反応液から、必要により
炭酸ナトリウム水、食塩水などによる洗滌、乾燥、濃縮
処理後、エーテル等を加えて沈殿を濾取するなどにより
生成物を単離すれば、4級アンモニウムイオン化に用い
た試薬からの陰イオンの塩が得られる。反応液を、たと
えばシリカゲル,イオン交換樹脂カラムクロマトグラフ
ィー処理し、たとえば展開溶媒としてクロロホルム−メ
タノールに濃アンモニア水を加えた系などを用いた場合
には、陰イオンとしてヒドロキシド(OH~)である化合物
が得られる。このようにして得られた化合物の陰イオン
を常套手段により他の陰イオンに交換する事ができる。
該4級アンモニウム塩における陰イオンとしては、例え
ばハロゲンイオン(例、ヨードイオン,ブロムイオン,
クロルイオンなど)、硫酸イオン,リン酸イオン,硝酸
イオン,メタンスルフェートイオン,p-トリルスルフェ
ートイオン,ベンゼンスルフェートイオン,水酸イオ
ン,有機カルボキシレートイオン(例:オキザレートイ
オン,マレエートイオン,フマレートイオン,サクシネ
ートイオン,シトレートイオン,ラクテートイオン,ト
リフルオロアセテートイオン,ラクトビオネートイオ
ン,アセテートイオン,プロピオネートイオン,エチル
サクシネートイオン)等が挙げられる。
【0133】本発明の原料化合物たる6,9−ヘミアセ
タール型エリスロマイシン誘導体またはその塩は、公知
の常套手段たとえば前述の文献(特開昭63−9909
2号公報、特開昭63−99016号公報および J. Me
d. Chem. 30, 1941-1943 (1987))に記載の方法により
得られる。本発明の目的化合物たる14位および15位
の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセター
ル型エリスロマイシン誘導体またはその塩は後述する試
験例で示すように強い消化管機能促進作用を示す。ま
た,本発明の化合物 (8) のラクトビオン酸塩はマウス
を用いた急性毒性試験において,100 mg/kg の投与量
(静脈内注射)においても死亡例を認めなかった。この
ように,本発明の目的化合物たる14位および15位の
少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール
型エリスロマイシン誘導体またはその塩は優れた消化管
機能促進作用を有し、しかも毒性は弱いので、哺乳動物
(例、マウス,ラット,イヌ,ウシ,ブタ,ヒト等)の
消化機能異常(例、胃における悪心,嘔吐,食欲不振
等)の治療を目的として、消化管機能促進剤として有用
である。
【0134】本発明の目的化合物たる14位および15
位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセタ
ール型エリスロマイシン誘導体またはその塩を有効成分
とする消化管機能促進剤は、該化合物を薬理学的に許容
される担体と混合することにより得られる。本剤は、非
経口剤としてたとえば、注射剤,点滴剤,液剤,懸濁液
剤および坐剤等、経口剤としてたとえば、カプセル剤,
錠剤,シロップ剤,散剤および顆粒剤等またはそのほか
の医薬として適切な剤型で提供できる。非経口剤、たと
えば注射剤を製造する際には等張化剤(例、グルコー
ス,ソルビトール,マンニトール,塩化ナトリウムな
ど),保存剤(例、ベンジルアルコール,クロロブタノ
ール,パラヒドロキシ安息香酸メチルなど),抗凝固剤
(例、デキストラン硫酸,ヘパリンなど),溶解補助剤
(例、ラクトビオン酸類,シクロデキストリン類,ツイ
ーンなど),安定化剤(例、ポリエチレングルコール,
ポリ乳酸など)などが含まれていてもよい。投与に当た
っては、これら抗生物質を慣用の水性希釈剤中に溶解
し、液剤として用いる。希釈剤としてはぶどう糖水溶
液,生理食塩水,リンゲル液,栄養補給剤液などが含ま
れる。また、経口剤には添加剤、たとえば、賦形剤,結
合剤,崩壊剤,滑沢剤,着色剤,矯味剤,安定化剤など
が含まれていてもよい。これらの製剤は経口的あるいは
非経口的に哺乳動物に投与される。たとえばヒトに用い
る場合の投与量は対象疾病の種類,程度,患者の年齢な
どで変動し得る。通常、1日成人1人当たり、非経口的
には約0.1mg〜20mgである。好ましくは約0.2mg
〜5mgである。経口的には約1mg〜100mgである。好
ましくは約2mg〜50mgである。以下の実施例における
原料化合物(化合物(1)および(2))および目的化
合物(化合物(3)〜(9))の構造式をまとめて〔表
1〕(前出)に示した。
【0135】これらの化合物を〔表2〕に示す溶媒系を
移動層に用いたHPLCに付し、それぞれの保持時間を
〔表2〕に示した。
【0136】
【表2】
【0137】以下実施例および試験例によって本発明の
内容をさらに具体的に説明する。培地中の%は重量/容
量%を、カラムクロマトグラフィーにおける%は容量/
容量%を各々表す。実施例中の1H NMRスペクトラム
に関する略号は以下の意味を有する。 s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレッ
ト,q:クワルテット,dd:ダブルダブレット,m:
マルチプレット,br:幅広い,J:カップリング定数 実施例中の13C NMRスペクトラムに関する略号は以
下の意味を有する。 s:4級炭素原子、d:CH,t:CH2,q:CH3 実施例1 イヌ肝臓ホモジネート(10%,0.01Mリン酸ナト
リウムカリウム緩衝液,pH7.4)を0℃で遠心分離
(10000rpm,10分間)し、上清液(400ml)
を200mlずつ三角フラスコ(1.0リットル)に分注
した。氷冷下それぞれにニコチンアミド(1M水溶液、
1.0ml)、塩化マグネシウム(1M水溶液、0.50m
l)、グルコース−6−リン酸(170mg)、NADP+
(+は上付き,23mg)およびグルコース−6−リン酸
脱水素酵素(100単位/ml,100μl) を順次加え
て混和した。次いで化合物 (2) のラクトビオン酸塩
(モル比1:1.1,20mg/ml 水溶液,2.5ml)
をそれぞれのフラスコに加え、ウレタン栓をして37℃
で2.5時間振盪混和した。反応混合物を合わせてpH
5.4に調整後、酢酸エチル−ヘキサン混液(2:1,
400ml)と混和し、遠沈(10000rpm,10分
間)により水層を有機層および沈殿物から分離した。得
られた水層(400ml,pH4.4)をpH8.1〜8.
6に調整し酢酸エチル(200ml)で3回抽出し、得ら
れた酢酸エチル層を合わせて、水(100ml)および飽
和食塩水(50ml)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥
し、濃縮乾固したところ油状物(83mg)が得られた。
残水層(400ml)および水洗層(100ml)を合わせ
て食塩(50g)を加え、pH8.1〜8.6に調整し酢
酸エチル(300ml)で抽出し、得られた酢酸エチル層
を飽和食塩水(50ml)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾
燥し、濃縮乾固したところ油状物(29mg)が得られ
た。得られた粗抽出物を合わせてメタノール(1.3m
l)に溶解し、分取HPLC(担体;ODS、YMC−
Pack,D−ODS−5,移動相;28%v/vアセトニト
リル/0.02Mリン酸緩衝液,pH4,流速;10ml
/min)に付し、溶出容量200〜240 ml [ 化合物
(7) を含む画分 ] および365〜480ml [化合物
(8) を含む画分] をそれぞれ集めてpH7.4に調整
後、減圧下約10mlまで 濃縮した。化合物 (7) を含む
画分の濃縮液に食塩(2.0g)を加え、pH8.1〜
8.6に調整しつつ酢酸エチル(8ml)で3回抽出し、
得られた酢酸エチル層を合わせて飽和食塩水(6ml)で
洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固したところ
化合物 (7) の粉末(2.8mg)が得られた。化合物 (8)
を含む画分の濃縮液はpH4.7に調整後、酢酸エチル
−ヘキサン混液(2:1,8ml)で洗浄後、食塩(2.
0g)を加え、pH8.1〜8.6に調整しつつ酢酸エチ
ル(8ml)で3回抽出し、得られた酢酸エチル層を合わ
せて半飽和食塩水(6ml)で洗浄後、硫酸ナトリウムで
乾燥し、濃縮乾固したところ化合物 (8) の粉末(4.7
mg)が得られた。以下に化合物(7)および(8)の理
化学的性質を示す。
【0138】化合物(7) (1)分子量:m/z 746(MH+)(+は上付き),5
88(MH−Cladinose)(FABマス.スペクトルよ
り) (2)分子式:C3867NO13 (3)UVスペクトル:メタノール中,極大値:208
nm (4)赤外部吸収(IR)スペクトル:KBr中,〔図
1〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3430, 2970, 2930, 1725, 1630, 1455, 1375, 1200, 11
70, 1055, 1010 (5)1H NMRスペクトル:300MHz,CDCl3
中,δppm〔図2〕 1.06(3H,d,J=7.1Hz), 1.10(3H,d,J=7.3Hz), 1.11(3H,
s), 1.14(3H,d,J=7.4Hz), 1.23(3H,d,J=6.1Hz), 1.26(3
H,br), 1.27(3H,s), 1.33(3H,d,J=6.2Hz), 1.35(3H,s),
1.58(3H,s), 1.62(2H,m), 1.91(1H,dm,J=7.5Hz), 2.00
(1H,d,J=15.6Hz), 2.11(1H,brd,J=9.9Hz), 2.16(1H,m),
2.25(3H,brs),2.42(1H,d,J=15.3Hz), 2.60(1H,brt,J=
9.0Hz), 2.65(1H,d,J=15.7Hz), 2.71(1H,dd,J=7.4, 2.5
Hz), 2.83(1H,qunit,J=7.1Hz), 3.05(1H,t,J=9.6Hz),3.
22(1H,brt,J=8.3Hz), 3.36(3H,s), 3.52(1H,m), 3.53(1
H,m), 3.55(1H,d,J=7.4Hz), 3.68(1H,dt,J=11.6, 4.5H
z), 3.91(1H,d,J=7.4Hz), 4.12(2H, m), 4.44(1H,d,J=
7.3Hz), 5.01(1H,dd,J=9.9, 3.2Hz), 5.06(1H,d,J=4.7H
z) 化合物(8) (1)分子量:m/z 746(MH+)(+は上付き),5
88(MH−Cladinose)(FABマス.スペクトルよ
り) (2)分子式:C3867NO13 (3)UVスペクトル:MeOH中,極大値:208nm (4)IRスペクトル:KBr錠剤中,〔図3〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3430, 2970, 2930, 1730, 1635, 1455, 1375, 1170, 10
55, 1010 (5)13C NMRスペクトル:75MHz,CDCl3
中,δppm〔図4〕 177.5(s), 151.2(s), 103.1(d), 102.0(s), 94.6(d), 8
5.8(s), 80.1(d),78.1(d), 77.2(d), 75.8(d), 73.0
(s), 70.3(d), 69.9(d), 69.0(d),66.4(d), 65.8(d), 6
5.2(d), 49.6(q), 47.7(t), 44.6(d), 43.5(d),42.6
(t), 36.3(q), 34.6(t), 30.4(d), 29.7(t), 26.2(q),
21.6(q),21.3(q), 20.0(q), 18.2(q), 16.6(q), 15.2
(q), 14.4(q), 13.3(q),12.0(q), 8.6(q). (6)1H NMRスペクトル:300MHz,CDCl3
中,δppm 1.06(3H,d,J=7.0Hz), 1.09(3H,d,J=7.4Hz), 1.10(3H,d,
J=6.1Hz), 1.14(3H,d,J=7.5Hz), 1.21(3H,s), 1.22(3H,
d,J=7.0Hz), 1.26(3H,brt,J=7.5Hz), 1.27(3H,s), 1.33
(3H,d,J=7.0Hz), 1.34(3H,s), 1.39(1H,m), 1.58(3H,
s), 1.61(1H,dd,J=15.3, 4.9Hz), 1.65(1H,m), 1.86(1
H,td,J=7.2,2.2Hz), 1.96(1H,d,J=15.5Hz), 2.12(1H,d,
J=9.6Hz), 2.26(3H,brs),2.41(d,J=15.3Hz), 2.62(1H,
m), 2.64(1H,d,J=15.7Hz), 2.69(1H,dd,J=7.5, 3.0Hz),
2.78(1H,qunit,J=7.3Hz), 3.06(1H,t,J=9.3Hz), 3.22
(1H,brt,J=8.5Hz), 3.35(3H,s), 3.42(1H,d,J=8.2Hz),
3.54(1H,m), 3.88(1H,d,J=7.7Hz), 4.10(3H,m), 4.43(1
H,d,J=7.3Hz), 4.75(1H,d,J=9.1Hz), 5.09(1H,d,J=4.7H
z)。
【0139】実施例2 イヌ肝臓ホモジネート(10%,0.01Mリン酸ナト
リウムカリウム緩衝液,pH7.4)を0℃で遠心分離
(10000rpm,10分間)し、上清液(1000m
l)を333mlずつ三角フラスコ(1.0リットル)に
分注した。氷冷下それぞれにニコチンアミド(1M水溶
液、1.5ml)、塩化マグネシウム(1M水溶液、0.
75ml)、グルコース−6−リン酸(255mg)、NA
DP+(+は上付き,34mg)およびグルコース−6−リ
ン酸脱水素酵素(100単位/ml,150μl)を順次
加えて混和した。次いで化合物 (1) のラクトビオン酸
塩(モル比1:1.1,10mg/ml,水溶液7.5ml)
をそれぞれのフラスコに加え、ウレタン栓をして37℃
で2.0時間振盪混和した。反応混合物を合わせてpH
5.4に調整後、酢酸エチル−ヘキサン混液(2:1,
900ml)と混和し、遠沈(10000rpm,10分
間)により水層を有機層および沈殿物から分離した。得
られた水層(1.0リットル,pH4.4)に食塩(10
0g)加えて溶解し、pH 8. 1〜8.6に調整後、酢
酸エチル(500ml)で3回抽出し、得られた酢酸エチ
ル層を合わせて、半飽和食塩水(500ml)で洗浄後、
硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固したところ油状物
(204mg)が得られた。得られた粗抽出物を合わせて
メタノール(1.0ml)に溶解し、実施例1と同様の分
取HPLCに付し、溶出容量220〜280ml [ 化合
物 (3) を含む画分] および430〜620ml [ 化合物
(4) を含む画分 ] をそれぞれ集めてpH7.4 に調整
後、減圧下約 10 ml まで濃縮した。これら各濃縮液
に食塩(2.0g)加え、pH8.1〜8.6に調整しつ
つ酢酸エチル(8ml)で3回抽出し、得られた酢酸エチ
ル層を合わせて半飽和食塩水(6ml)で洗浄後、硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濃縮乾固したところ化合物 (3) お
よび化合物 (4) の粉末(5.8mgおよび6.2mg)が得
られた。以下に化合物(3)および(4)の理化学的性
質を示す。
【0140】化合物(3) (1)分子量:m/z 760(MH+)(+は上付き),6
02(MH−Cladinose)(FABマス.スペクトルよ
り) (2)分子式:C3969NO13 (3)UVスペクトル:メタノール中,極大値:210
nm(ε7,600) (4)IRスペクトル:KBr錠剤中〔図5〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3430, 2970, 2930, 1725, 1635, 1455, 1375, 1195, 11
65, 1055, 1010 (5)13C NMRスペクトル:75MHz,CDCl3
中,δppm〔図6〕 178.7(s), 151.8(s), 103.0(d), 101.6(s), 94.5(d), 8
5.6(s), 79.8(d),78.1(d), 75.9(d), 74.9(s), 74.6
(d), 73.1(s), 70.3(d), 70.2(d),68.9(d), 65.8(d), 6
3.1(d), 59.2(t), 52.8(d), 49.5(q), 44.3(d),43.7
(d), 42.6(t), 34.6(t), 33.1(t), 31.3(t), 30.9(q),
30.5(d),26.5(q), 21.6(q), 21.4(q), 21.0(q), 20.5
(q), 18.1(q), 16.4(q),14.7(q), 12.8(q), 11.9(q),
8.8(q). 化合物(4) (1)分子量:m/z 760(MH+)(+は上付き),6
02(MH−Cladinose)(FABマス.スペクトルよ
り) (2)分子式:C3969NO13 (3)UVスペクトル:メタノール中,極大値:210
nm(ε8,000) (4)IRスペクトル:KBr錠剤中〔図7〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3435, 2970, 2935, 1730, 1635, 1460, 1375, 1170, 10
55, 1010 (5)13C NMRスペクトル:75MHz,CDCl3
中,δppm〔図8〕 177.5(s), 151.2(s), 103.1(d), 101.9(s), 94.6(d), 8
5.8(s), 80.1(d),78.1(d), 77.6(s), 76.2(d), 75.8
(d), 73.1(s), 70.2(d), 69.8(d),68.9(d), 66.4(d), 6
5.8(d), 63.1(d), 52.8(d), 49.5(q), 44.6(d),43.5
(d), 42.6(t), 34.6(t), 33.1(t), 30.9(q), 30.4(d),
26.2(q),21.6(q), 21.4(q), 21.0(q), 20.5(q), 20.0
(q), 18.2(q), 16.7(q),15.3(q), 13.2(q), 12.0(q),
8.6(q). 実施例 3 酵母エキス,麦芽エキス斜面寒天培地に培養したサッカ
ロスリックス・ムタビリス・サブスピーシーズ・カプレ
オラ(ノカルディア・カプレオラ)IFO 12847
株を200ml容三角フラスコ内のグルコース1%,トリ
プトン1%,酵母エキス0.6%(pH7.0)を含む
40mlの培地に接種し、28℃,48時間回転振盪機上
で培養した。得られた培養液を5mlずつ試験管に分注
し、−80℃に凍結保存した。これらの凍結培養液を室
温で融解し、その1mlを200ml容三角フラスコ内の上
記培地40mlに移動し、これらを28℃,24時間回転
振盪機上で培養して、種培養液を得た。得られた種培養
液の1mlを、それぞれ200ml容三角フラスコ内の上記
培地40mlに移植し、28℃,30時間回転振盪機上で
培養した。この培養において24時間目に化合物(1)の
ラクトビオン酸塩の水溶液(6mg/ml)をフラスコ当た
り1ml添加した。
【0141】実施例 4 実施例 3で得られた培養液(3リットル)を遠心分離
(4℃,8000rpm,10分間)し、その上清液
(2.8リットル)をpH7.0に調整後、ダイヤイオ
ンHP−20(300ml)のカラムクロマトグラフィー
に付し、50%メタノール水(1.5リットル)で洗っ
た後、80%メタノール/0.005N塩酸(900m
l)で溶出した。溶出液をpH7.0に調整後、メタノ
ールを留去し、得られた水層をpH8に調整し、酢酸エ
チル(100ml)で3回抽出し、得られた酢酸エチル層
を合わせて、水(100ml)で洗浄後、硫酸ナトリウム
で乾燥し、濃縮乾固すると粗粉末(203mg)が得られ
た。得られた粗粉末(200mg)をシリカゲルのクロマ
トグラフィー(10ml)に付し、クロロホルム:メタノ
ール[98:2〜95:5(70ml)]で溶出される画
分を集め、濃縮乾固すると化合物(4)を含む粉末(11
1mg)が得られた。また95:5(50ml)で溶出され
る画分を集め、これを濃縮乾固して化合物(3)を含む粉
末(45mg)が得られた。さらに化合物(4)を含む粉末
(110mg)を分取HPLC[担体;ODS、YMC−
Pack,D−ODS −5,移動相;55%メタノール/
0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;10ml/mi
n]に付し、化合物(4)を含む画分を集めてpH7.4
に調整後、減圧下約20mlまで濃縮した。この溶液をp
H8で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固する
と化合物(4)の精製粉末(43mg)が得られた。次に化
合物(3)を含む粉末(45mg)を分取HPLC[担体;
ODS、YMC−Pack,D−ODS−5,移動相;2
8%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH
4),流速;10ml/min]に付し、化合物(3)を含む
画分を集めてpH7.4に調整後、減圧下約 5mlまで
濃縮した。この溶液をpH8で酢酸エチル抽出し、酢酸
エチル層を濃縮乾固すると化合物(3)の精製粉末(4.
3mg)が得られた。
【0142】実施例 5 実施例 3の方法に従ってアミコラトプシス・トリポフォ
ラス(ストレプトミセス・トリポフォラス)IFO 13
151の種培養液を調製し、この1mlを200ml容三角
フラスコ内の実施例3に示した培地40mlに移植し、2
8℃,68時間回転振盪機上で培養した。この培養にお
いて48時間目に化合物(1)のラクトビオン酸塩の水溶
液(12mg/ml)をフラスコ当たり1ml添加した。 実施例 6 実施例 5で得られた培養液(3リットル)を遠心分離
し、その上清液(2.9リットル)をpH7.0に調整
後、ダイアイオンHP−20(300ml)のカラムクロ
マトグラフィーに付し、50%メタノール水(1.5リ
ットル)で洗った後、80%メタノール/0.005N
塩酸(900ml)で溶出した。溶出液をpH7.0に調
整後、メタノールを留去し、得られた水層(100ml)
をpH8に調整し、酢酸エチル(100ml)で3回抽出
し、得られた酢酸エチル層を合わせて、水(100ml)
で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固し、粗粉
末(415mg)が得られた。得られた粗粉末(410m
g)をシリカゲルのクロマトグラフィー(20ml)に付
し、クロロホルム:メタノール[98:2(120m
l)]で溶出される画分を集め、濃縮乾固すると化合物
(4)を含む粉末(218mg)が得られた。さらにこの粉
末(215mg)を分取HPLC[担体;ODS、YMC
−Pack,D−ODS−5,移動相;57%メタノール
/0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;10ml/
min]に付し、化合物(4)を含む画分を集めてpH
7.4に調整後、減圧下約50mlまで濃縮した。この溶
液をpH8で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾
固したところ化合物(4)の精製粉末(102mg)が得ら
れた。
【0143】実施例 7 実施例 3の方法に従ってダクチロスポランジウム・バ
リエスポラムIFO14104の種培養液を調製し、こ
の1mlを200ml容三角フラスコ内の実施例3に示した
培地40mlに移植し、28℃,24時間回転振盪機上で
培養して、種培養液を得た。得られた種培養液の1ml
を、それぞれ200ml容三角フラスコ内の上記培地に移
植し、28℃,48時間回転振盪機上で培養した。この
培養において24時間目に化合物(1)(1g/培養液
10リットル)を添加した。 実施例 8 実施例 7で得られた培養液を遠心分離し、その上清液
(9.0リットル)をpH7.0に調整後、ダイアイオ
ンHP−20(900ml)のカラムクロマトグラフィー
に付し、50%メタノール水(4.5リットル)で洗っ
た後、80%メタノール/0.005N塩酸(2.7リ
ットル)で溶出した。溶出液をpH7.0に調整後、メ
タノールを留去し、得られた水層(250ml)をpH8
に調整し、酢酸エチル(250ml)で3回抽出し、得ら
れた酢酸エチル層を合わせて、水(250ml)で洗浄
後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固すると粗粉末
(896mg)が得られた。得られた粗粉末(895mg)
をシリカゲルのクロマトグラフィー(40ml)に付し、
クロロホルム:メタノール[98:2(240ml)]で
溶出される画分を集め、濃縮乾固すると化合物(4)、
(5)および(6)を含む粉末(468mg)が得られ
た。さらにこの粉末を分取HPLC[担体;ODS、Y
MC−Pack,D−ODS −5,移動相;32%アセト
ニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;
10ml/min]に付し、溶出容量190〜240ml(化
合物(5)を含む画分),240〜285ml(化合物(4)
を含む画分)および300〜405ml(化合物(6)を含
む画分)をそれぞれ集めてpH7.4に調整後、減圧下
約10mlまで濃縮した。これらの溶液を各々pH8で酢
酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固すると、化合
物(4)の精製粉末(42mg)および化合物(6)の精製粉
末(49mg)が得られた。また、化合物(5)を含む画分
を再度分取HPLC[担体;ODS、YMC−Pack,
D−ODS−5,移動相;25% アセトニトリル/
0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;10ml/mi
n]に 付し、化合物(5)を含む画分を集めてpH7.4
に調整後、減圧下約15mlまで濃縮した。この液をpH
8で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮,乾固した
ところ化合物(5)の精製粉末(46mg)が得られた。以
下に化合物(5)および(6)の理化学的性質を示す。
【0144】化合物(5) (1)分子量:m/z 746(MH+)(+は上つき),602
(MH-Cladinose)(FABマス.スペクトルより) (2)分子式:C3867NO13 (3)UVスペクトル:MeOH中 極大値:207nm(ε7,500) (4)IRスペクトル:KBr錠剤中。〔図 9〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3460, 2970, 2940, 1730, 1640, 1460, 1380, 1330, 12
70, 1170, 1110,1060, 1010, 940. (5)13C NMRスペクトル:75MHz, CDCl
3中。〔図 10〕 化学シフトを示す(δppm) 177.2(s), 151.1(s), 104.0(d), 102.3(s), 96.3(d), 8
6.1(s), 80.1(d),77.2(d), 76.4(d), 75.9(d), 70.1
(d), 69.8(d), 69.8(s), 69.4(d),66.8(d), 66.3(d), 6
3.1(d), 53.0(d), 44.7(d), 43.5(d), 42.8(t),40.2
(t), 33.2(t), 30.6(q), 30.5(d), 25.9(q), 25.6(q),
21.4(q),20.6(q), 20.4(q), 20.0(q), 18.1(q), 16.6
(q), 15.5(q), 13.2(q),12.0(q), 8.4(q). 化合物(6) (1)分子量:m/z 730(MH+)(+は上付き),586
(MH-Cladinose)(FABマス.スペクトルより) (2)分子式:C3867NO12 (3)UVスペクトル:MeOH中 極大値:206nm(ε7,400) (4)IRスペクトル:KBr錠剤中。〔図 11〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3490, 2970, 2940, 1730, 1640, 1460, 1380, 1330, 12
70, 1200, 1160,1110, 1060, 1020. (5)13C NMRスペクトル:75MHz, CDCl
3中。〔図 12〕 化学シフトを示す(δppm) 178.2(s), 151.5(s), 104.1(d), 101.9(s), 96.6(d), 8
6.0(s), 80.4(d),78.4(d), 77.2(d), 76.5(d), 75.4
(s), 70.2(d), 70.2(d), 69.8(s),69.4(d), 66.7(d), 6
3.1(d), 52.8(d), 45.0(d), 43.3(d), 42.8(t),40.3
(t), 33.2(t), 30.6(q), 30.5(d), 26.0(q), 25.6(q),
21.4(q),21.0(t), 20.7(q), 20.5(q), 18.2(q), 16.1
(q), 15.2(q), 13.6(q),11.9(q), 10.9(q), 8.5(q). 実施例 9 酵母エキス・麦芽エキス斜面寒天培地に培養したダクチ
ロスポランジウム・バリエスポラムIFO 14104
株を200ml容三角フラスコ内のグルコース2%,可溶
性澱粉3%,生大豆粉1%,コーンスティープリカー
0.3%,ポリペプトン0.5%,塩化ナトリウム0.
3%,沈降性炭酸カルシウム0.5%(pH7.0)を
含む40mlの培地に接種し、28℃,48時間回転振盪
機上で培養した。得られた培養液を5mlずつ試験管に分
注し、−80℃で凍結保存した。これらの凍結培養液を
室温で融解し、その5mlを3リットル容坂口フラスコ内
のグルコース1%,トリプトン1%,酵母エキス0.6
%(pH7.0)からなる培地500mlに各々移植し、
これらを28℃,24時間往復振盪機上で培養して、種
培養液を得た。200リットル容のステンレスタンクに
グルコース1%,トリプトン1%,酵母エキス0.6%
(pH7.0)からなる培地120リットルを調製滅菌
し、前記種培養液1.5リットルを接種し、通気量12
0リットル/分,撹拌数120rpmで、28℃,24時
間培養し、タンク培養液とした。この培養において24
時間目に化合物(1)を含む80%エタノール溶液(12
g/750ml)を添加した。
【0145】実施例 10 実施例9で得られた培養液(112リットル)にろ過補
助剤ラジオライト(3kg,昭和化学工業社製)を加え、
ろ過した。得られたろ液(108リットル)をpH7.
0に調整後、ダイアイオンHP−20(10リットル)
のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノール
水(50リットル)で洗った後、80%メタノール/
0.005N塩酸(30リットル)で溶出した。溶出液
をpH7.0に調整後、メタノールを留去し、得られた
水層(7リットル)をpH8に調整し、酢酸エチル(5
リットル)で2回抽出し、得られた酢酸エチル層を合わ
せて、水(5リットル)で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾
燥し、濃縮乾固すると粗粉末(4.3g)が得られた。
得られた粗粉末をシリカゲルのクロマトグラフィー(2
00ml)に付し、クロロホルム:メタノール[98:2
(400ml)]で溶出される画分およびクロロホルム:
メタノール[98:2(200ml)および95:5(1
00ml)]で溶出される画分を集め、濃縮乾固すると化
合物(4),(5)および(6)を各々異なった量で含む粉末
I(972mg)およびII(392mg)が得られた。粉末I
の純度を上げるために、全量をセファデックスLH−2
0(500ml,ファルマシア社製,スウエーデン)のク
ロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出される画分
を集め、濃縮,乾固して化合物(4),(5)および(6)
を含む粉末I−1(506mg)を得た。粉末I−1(50
0mg)および粉末II(392mg)をそれぞれ分取HPL
C[担体;ODS、YMC−Pack,S−363 I−1
5,移動相;30%アセトニトリル/0.02Mリン酸
緩衝液(pH4),流速;20ml/min]に付し、分析
用HPLCで各溶出画分の含量を確認した。化合物(4)
含有画分、および化合物(5)および(6)含有画分をそれ
ぞれ集めてpH7.4に調整後、濃縮した。濃縮液をp
H8で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固する
と、化合物(4)の精製粉末(104mg)、および化合物
(5)および(6)の混合物が得られた。混合物を再度分取
HPLC[担体;ODS、YMC−Pack,D−ODS
−5,移動相;25%アセトニトリル/0.0 2Mリ
ン酸緩衝液(pH4),流速;10ml/min]に付し、
化合物(5)および(6)を含む画分を集めてpH7.
4に調整後、濃縮した。濃縮液をpH8で酢酸エチル抽
出し、酢酸エチル層を濃縮乾固したところ化合物(5)
(129mg)および化合物(6)(133mg)の精製粉末
が得られた。
【0146】実施例 11 実施例 9 と同様の方法に従ってサッカロスリックス・
ムタビリス・サブスピシーズ・カプレオラ(ノカルディ
ア・カプレオラ)IFO 12847のタンク培養液を
調製した。この培養で24時間目に化合物(1)を含む8
0%エタノール溶液(16mg/ml,750ml)を添加
し、培養を6時間継続した。得られた培養液(120リ
ットル)にろ過補助剤ラジオライト(4.0kg,昭和化
学工業社製)を加えろ過した。そのろ液(113リット
ル)をpH7.0に調整後、ダイアイオンHP−20
(10リットル)のカラムクロマトグラフィーに付し、
50%メタノール水(50リットル)で洗った後、80
%メタノール/0.005N塩酸(30リットル)で溶
出した。溶出液をpH7.5に調整後、メタノールを留
去し、得られた水層(8リットル)をpH8に調整し、
酢酸エチル(5リットル)で2回抽出し、得られた酢酸
エチル層を合わせて、水(5リットル)で洗浄後、硫酸
ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固すると粗粉末(6.1
g)が得られた。粗粉末をシリカゲルのクロマトグラフ
ィー(300ml)に付し、クロロホルム:メタノール
[98:2(900ml)および95:5(200ml)]
で溶出される画分、およびクロロホルム:メタノール
[95:5(600ml)]で溶出される画分をそれぞれ
集め、濃縮乾固すると化合物(3),(4)および(5)を
各々異なった量で含む粉末 I(2.55g)およびII
(1.59g)が得られた。粉末Iの純度を上げるため
に、粉末Iの全量をダイアイオンHP−20(100〜
200メッシュ,100ml,三菱化成工業社製)のクロ
マトグラフィーに付し、80%メタノール/0.005
N塩酸で溶出した。溶出液をpH7.0に調整後、メタ
ノールを留去し、得られた水層をpH8に調整し、酢酸
エチルで抽出し、得られた酢酸エチル層を濃縮乾固した
ところ化合物(3),(4)および(5)を含む粉末I−1
(1.58g)が得られた。また粉末IIの純度を上げる
ために、粉末IIの全量をダイアイオンHP−20(10
0〜200メッシュ,50ml)のクロマトグラフィーに
付し、粉末I−1を得た方法と同様にして化合物(3),
(4)および(5)を含む 粉末II−1(722mg)を得
た。粉末I−1(1.5g)および粉末II−1(720m
g)をそれぞれ分取HPLC[担体;ODS、YMC−
Pack,SH−363−15,S−15,移動相;30
%および26%アセトニトリル/0.02Mリン酸緩衝
液(pH4),流速;20ml/min]に付し、分析用H
PLCで各溶出画分の含量を確認し、化合物(3),(4)
および(5)含有画分をそれぞれ集めてpH7.4に調整
後、濃縮した。濃縮液をpH8で酢酸エチル抽出し、酢
酸エチル層を濃縮乾固したところ、化合物(3)の粉末
(300mg),化合物(4)の粉末(534mg)および化
合物(5)の粉末(323mg)が得られた。化合物(3)の
粉末(300mg)を再度分取HPLC[担体;ODS、
YMC−Pack,D−ODS−5,移動相;28%アセ
トニトリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流
速;10ml/min]に付し、化合物(3)を含む画分を集
めてpH7.4に調整後、濃縮した。濃縮液をpH8で
酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固したところ
化合物(3)の精製粉末(105mg)が得られた。また
化合物(4)の粉末(534mg)を再度分取HPLC[担
体;ODS、YMC−Pack,SH−363−15,S
−15,移動相;55%メタノール/0.02Mリン酸
緩衝液(pH4),流速;15ml/min]に付し、化合
物(4)を含む画分を集めてpH7.4に調整後、濃縮し
た。濃縮液をpH8で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層
を濃縮乾固すると化合物(4)の精製粉末(338mg)が
得られた。化合物(5)の粉末(323mg)を再度分取H
PLC[担体;ODS、YMC−Pack,SH−363
−15,S−15,移動相;54%メタノール/0.0
2Mリン酸緩衝液(pH4),流速;15ml/min]に
付し、化合物(5)を含む画分を集めてpH7.4に調整
後、濃縮した。濃縮液をpH8で酢酸エチル抽出し、酢
酸エチル層を濃縮乾固したところ化合物(5)の精製粉末
(76mg)が得られた。
【0147】実施例 12 実施例9と同様の方法に従ってサッカロスリックス・ム
タビリス・サブスピシーズ・カプレオラ(ノカルディア
・カプレオラ)IFO 12847株のタンク培養液を
調製した。この培養で24時間目に化合物(2)の80%
エタノール溶液(16mg/ml,750ml)を添加し、培
養を6時間継続した。得られた培養液(116リット
ル)にろ過補助剤ラジオライト(3.0kg,昭和化学工
業社製)を加え、ろ過した。そのろ液(110リット
ル)をpH7.0に調整後、ダイアイオンHP−20
(10リットル)のカラムクロマトグラフィーに付し、
50%メタノール水(50リットル)で洗った後、80
%メタノール/0.005N塩酸(30リットル)で溶
出した。溶出液をpH7.5に調整後、メタノールを留
去し、得られた水層(10.5リットル)をpH8に調
整し、酢酸エチル(5リットル)で2回抽出し、得られ
た酢酸エチル層を合わせて、水(5リットル)で洗浄
後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固したところ粗粉
末(9.0g)が得られた。粗粉末をシリカゲルのクロ
マトグラフィー(400ml)に付し、クロロホルム:メ
タノール[98:2(1.6リットル)]で溶出される
画分、およびクロロホルム:メタノール[95:5
(1.2リットル)]で溶出される画分をそれぞれ集
め、濃縮乾固したところ化合物(8)を含む粉末I(2.
9g)および化合物(7)および(9)を含む粉末II
(1.68g)が各々得られた。粉末II(1.68g)
を分取HPLC[担体;ODS、YMC−Pack,SH
−363−15,S−15,移動相;26 %アセトニ
トリル/0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;2
0ml/min] に付し、分析用HPLCで各溶出画分の含
量を確認し、化合物(7)および(9)含有画分をそれぞれ
集めてpH7.4に調整後、濃縮した。濃縮液をpH8
で酢酸エチル抽出し、酢酸エチル層を濃縮乾固すると、
化合物(7)の粉末(80mg)および化合物(9)の粉末
(783mg)が得られた。化合物(7)の粉末(80mg)
を再度分取HPLC[担体;ODS、YMC−Pack,
D−ODS−5,移動相;25%アセトニトリ ル/
0.02Mリン酸緩衝液(pH4),流速;10ml/mi
n]に付し、化合物(7)を含む画分を集めてpH7.
4に調整後、濃縮した。濃縮液をpH8で酢酸エチル抽
出し、酢酸エチル層を濃縮乾固すると化合物(7)の精
製粉末(15mg)が得られた。また化合物(9)の粉末
(783mg)を再度分取HPLC[担体;ODS、YM
C−Pack,SH−363−15,S−15,移動相;
52%メタノール/0.02Mリン酸緩衝液(pH
4),流速;15ml/min]に付し、前述の方法と同様
にすると化合物 (9)の精製粉末(200mg)が得られ
た。また化合物(8)を含む粉末(2.9g)をメタノー
ル(10ml)に溶解後エーテル(10ml)を加え濃縮す
ると、化合物(8)の結晶(812mg)が得られた。
【0148】以下に化合物(9)の理化学的性質を示
す。 化合物(9) (1)分子量:m/z 732(MH+)(+は上つき),588
(MH-Cladinose)(FAB マス.スペクトルより) (2)分子式:C3765NO13 (3)UVスペクトル:MeOH中 極大値:208nm(ε7,100) (4)IRスペクトル:KBr錠剤中〔図 13〕 主な吸収を示す(波数,cm~1) 3455, 2975, 2935, 1735, 1635, 1455, 1375, 1330, 12
75, 1170, 1115,1055, 1020, 935. (5)13C NMRスペクトル:75MHz, CDCl3
〔図 14〕 化学シフトを示す(δppm) 177.2(s), 151.2(s), 104.0(d), 102.2(s), 96.2(d), 8
6.1(s), 79.9(d),77.2(s), 76.8(d), 76.3(d), 76.0
(d), 70.3(d), 69.8(s), 69.8(d),69.6(d), 66.9(d), 6
6.4(d), 65.0(d), 47.5(t), 44.6(d), 43.6(d),42.7
(t), 40.2(t), 36.2(q), 30.6(d), 29.5(t), 25.9(q),
25.6(q),21.4(q), 19.9(q), 18.1(q), 16.8(q), 15.6
(q), 13.9(q), 13.0(q),12.0(q), 8.4(q). 試験例 1 イヌ胃運動に対する作用(GMS活性)を測定した。
【0149】[方法]体重10kg前後のビーグル犬を
用い、ペントバルビタール麻酔下に開腹して胃幽門部に
ストレンゲージ・フォーストランスデューサーを装着
し、術後2週間以上おいてから実験に用いた。ストレン
ゲージ・フォーストランスデューサーの導線は増幅器を
介してレコーダーに接続して、胃収縮を記録した。また
増幅器からの信号をシグナル・プロセッサー(日本電気
三栄)に入力した。
【0150】試験化合物はエタノールに溶解してラクト
ビオン酸(試験化合物1mgあたり1mg)を添加し、生理
食塩液で希釈して自然の空腹期収縮終了15分後に静脈
内に投与した。試験化合物の投与により惹起された胃収
縮の面積を、シグナル・プロセッサーを用いて測定し
た。空腹期収縮の最大収縮が1分間持続した場合の面積
を100%とし、200%の収縮面積を惹起させる用量
(ED200値)を用量作用曲線より求めた。
【0151】[結果]各試験化合物のED200を〔表
3〕に示す。
【0152】
【表3】
【0153】〔表3〕から明らかなように、本願発明の
方法で得られた活性化合物(3),(4),(7)および
(8)はそれぞれの原料化合物(1)および(2)より
も強いGMS活性を示した。
【0154】試験例2 イヌ胃運動に対する作用(GMS活性)を測定した。 [方法]試験例 1 と同様の方法で行った。 [結果]各試験化合物(1),(5)および(6)のED
200値を〔表 4〕に示す。
【0155】
【表4】
【0156】〔表 4〕から明らかなように、本願発明の
方法で得られた化合物(5)および(6)は原料化合物
(1)よりも強いGMS活性を示した。
【0157】参考例 1 N−デメチル−N−イソプロピル−8,9−アンヒドロエ
リスロマイシンB 6,9−ヘミアセタ−ルの製造法:出
発物質の N−デメチルエリスロマイシンBは,特開昭4
7-4232号公報(アボット・ラボラトリ−ズ,米国)に記
載の方法で合成した。N−デメチル エリスロマイシン
B (4.95 g, 7.03 mmol) をアセトニトリル (25 ml) に
溶解し、ヨウ化イソプロピル (23.9 g, 140.6 mmol, 20
eq.) およびトリエチルアミン (3.56 g, 35.2 mmol, 5
eq.) を加えて、55 ℃ で 17 時間撹拌した。溶媒等を
減圧下で留去し、水 (50 ml) および酢酸エチル (50 m
l) を加えて分配し、酢酸エチル層を分取した。水層を
酢酸エチル(30 ml)で抽出し、得られた有機層を合わ
せて飽和食塩水(30 ml)で2回洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、減圧下濃縮乾固したところ、粗品の
N−デメチル−N−イソプロピル エリスロマイシンB
(6.3 g) が淡黄色固体として得られた。これを酢酸 (1
0 ml) に溶解した後、室温で1時間撹拌した。反応液に
氷 (40 g) および25% アンモニア水 (20 ml) を加えた
後、酢酸エチル(50 ml) で抽出した。酢酸エチル層を飽
和食塩水(20 ml)で洗浄後、減圧下濃縮固して残さ(4.
86 g) を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー
(400 g, ジクロロメタン−メタノール 10:1)にかけて
精製し、イソプロピルエーテル−ヘキサンから結晶化し
たところ N−デメチル−N−イソプロピル−8,9−アン
ヒドロエリスロマイシンB 6,9−ヘミアセタール (3.20
g) が淡黄色結晶として得られた。得られた化合物は、
本発明の原料化合物として使用できる。以下に該化合物
の理化学的性質を示す。 (1)元素分析 C39H69NO11・H2O (745.99) 計算値 C 62.79, H 9.59, N 1.88 実測値 C 62.54, H 9.48, N 1.89 (2)13C NMR スペクトル:75 MHz, CDCl3 中、δ ppm 178.5(s), 151.5(s), 103.0(d), 101.6(s), 94.6(d), 8
5.8(s), 80.2(d), 78.2(d), 77.4(d), 76.9(d), 73.1
(s), 71.2(d), 70.3(d), 68.9(s), 65.6(d), 63.1(d),
52.7(d), 49.5(q), 44.6(d), 43.7(d), 43.2(d), 42.5
(t), 34.7(t), 33.7(d), 33.1(s), 30.9(q), 26.3(q),
25.0(t), 21.6(q), 21.4(q), 21.1(q), 20.6(q), 18.2
(q), 14.9(q), 13.1(q), 12.1(q), 10.4(q), 8.7(q),
8.7(q)。
【0158】参考例 2 4"−デオキシ−N−デメチル−N−エチル−8,9−アン
ヒドロエリスロマイシンA 6,9−ヘミアセタールの製造
法:2'-O-アセチル−N−デメチル−N−エチル−エリ
スロマイシンA (1.31 g)をテトラヒドロフラン(44
ml)に溶解し、イミダゾール(113 mg)および 1,1'-チ
オカルボニルジイミダゾ−ル(1.97 g)を加えて、2時
間還流した。反応液をエーテル(100 ml)で希釈後5%
重曹水(50 ml)で2回、水および飽和食塩水(各50 m
l)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃
縮乾固し、粗抽出物 (1.85 g)を得た。これをシリカゲ
ルクロマトグラフィー(110 ml)に付し、アセトン/ト
ルエン(2:8)の溶出画分を濃縮したところ、 2'-O-
アセチル-4"-O-イミダゾチオカルボニル−N−デメチル
−N−エチル−エリスロマイシンA(1.10 g、収率 74
%)が得られた。以下に該化合物の理化学的性質を示
す。 (1)1H NMR スペクトル ; 300 MHz,CDCl3 中,δ pp
m, 8.25, 7.56, 7.03 (imidazole),5.47 (4"-H) (2)13C NMR スペクトル ; 75 MHz, CDCl3 中、δ pp
m 184.4(s), 175.3(s),169.9(s), 136.7(d), 131.0
(d), 117.8(d), 100.7(d), 95.9(d), 86.9(d), 83.7
(d), 80.0(d), 76.8(d), 74.8(s), 74.5(s), 73.2(s),
71.4(d), 69.0(d), 68.1(d), 63.3(d), 62.6(d), 49.4
(q), 47.8(t), 45.2(d), 44.6(d), 38.7(d), 37.9(t),
37.7(d), 36.7(q), 35.4(t), 31.0(t), 26.9(q), 21.3
(q), 21.3(q), 21.1(q), 21.1(t), 18.1(q), 18.1(q),
16.3(q), 16.0(q), 14.0(q), 12.0(q), 10.6(q), 9.0
(q). 得られた2'-O-アセチル-4"-O-イミダゾチオカルボニル
−N−デメチル−N−エチル−エリスロマイシンA(38
0 mg)をトルエン(30 ml)に溶解し、 2,2'-アゾジイ
ソブチロニトリル(14 mg)および水素化トリブチルス
ズ(0.176 ml)を加えて3時間加熱還流した。反応液を
濃縮乾固してヘキサンーアセトニトリル(各 50 ml)で
分配し、下層を濃縮後シリカゲルクロマトグラフィー
(20 ml)に付し、アセトンートルエン(15:85)の溶出
画分を濃縮したところ、2'-O-アセチル-4"-デオキシ−
N−デメチル−N−エチル−エリスロマイシンA(185
mg、収率 56%)が得られた。この化合物全量をメタノー
ル(6.0 ml)に溶解し、炭酸カリウム(16 mg)を加え
て室温で24時間撹拌した。反応液を濃縮乾固し、酢酸
エチル(15 ml)で希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水
(10 ml)および飽和食塩水(10 ml)で洗浄後、無水硫
酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮乾固した。これを酢
酸/ジクロロメタン(1:3, 4.0 ml)中で室温2時間撹
拌した。反応液を氷冷化飽和炭酸水素ナトリウム水(15
ml)に注ぎ、水層をクロロホルム(15 ml)で2回抽出
した。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水(15 ml)お
よび15%食塩水(15 ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧下濃縮乾固した。残さをメタノール
に溶解し、逆相系分取HPLC(担体;ODS、YMC-pack
D-ODS-5, 移動層;38% アセトニトリル/0.02 M 燐酸緩
衝液,pH 4.0)に付し、溶出容量 300-470 mlの画分を
濃縮し、酢酸エチル(15 ml)および飽和炭酸水素ナト
リウム水(15 ml)を加えて分配した。水層を酢酸エチ
ル(10 ml)で抽出し、得られた有機層を合わせて飽和
炭酸水素ナトリウム水(10 ml)および飽和食塩水(10
ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃
縮乾固したところ 4"-デオキシ−N−デメチル−N−エ
チル−8,9−アンヒドロエリスロマイシンA 6,9−ヘミ
アセタ−ル(12 mg)が得られた。得られた化合物は本
発明の原料化合物として使用できる。以下に該化合物の
理化学的性質を示す。
【0159】(1) HPLC分析 ; ODS、37% アセ
トニトリル/0.02 M リン酸緩衝液、pH 4.0、保持時間;
18.8 分, 対照化合物 (2); 7.9 分 (2) 13C NMR スペクトル:75 MHz, CDCl3 中、δ p
pm 178.6(s), 151.8(s), 102.6(d), 101.6(s), 95.3(d), 8
5.5(s), 79.8(d),78.3(d), 76.1(d), 75.4(s), 70.5
(s), 70.5(d), 69.6(d), 68.4(s), 64.8(d),61.8(d), 4
9.4(q), 47.7(t), 46.0(t), 44.7(d), 43.4(d), 42.5
(t), 36.2(q),33.4(t), 30.5(d), 29.6(t), 26.4(q), 2
5.7(q), 21.5(q), 21.3(q), 21.1(t),16.6(q), 15.1
(q), 13.8(q), 13.3(q), 12.0(q), 11.0(q), 8.7(q). (3) 分子量 ; 714(M+H)(+は上付き), 572(M+H-deox
ycladinose)(+は上付き), (FABマス.スペクトル
より)
【0160】
【発明の効果】本発明の14位および15位の少なくと
も一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリス
ロマイシン誘導体またはその塩はすぐれた消化管機能促
進作用を有し、かつ低毒性であり、消化管機能促進剤と
して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(7)のIRスペクトルである。
【図2】化合物(7)の1H NMRスペクトルである。
【図3】化合物(8)のIRスペクトルである。
【図4】化合物(8)の13C NMRスペクトルである。
【図5】化合物(3)のIRスペクトルである。
【図6】化合物(3)の13C NMRスペクトルである。
【図7】化合物(4)のIRスペクトルである。
【図8】化合物(4)の13C NMRスペクトルである。
【図9】化合物(5)のIRスペクトルである。
【図10】化合物(5)の13C NMRスペクトルであ
る。
【図11】化合物(6)のIRスペクトルである。
【図12】化合物(6)の13C NMRスペクトルであ
る。
【図13】化合物(9)のIRスペクトルである。
【図14】化合物(9)の13C NMRスペクトルであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 舟橋 康昇 大阪府吹田市岸部北5丁目3番12−410 号 (72)発明者 稲富 信博 大阪府三島郡島本町山崎2丁目1番2− 920号 (72)発明者 棚山 薫晴 大阪府茨木市園田町9番1号 (56)参考文献 特開 昭63−99016(JP,A) 特開 平1−311096(JP,A) 特開 昭62−114998(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 19/00 - 19/64

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔1〕で表わされる、14位および
    15位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミア
    セタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩: 【化1】 〔式中、R1は水素または置換基を有していてもよい脂
    肪族炭化水素基を、R2は水素または置換基を有してい
    てもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ示すか、もしくは
    1とR2で隣接する窒素原子と共に複素環基を形成し、 R3 は水素または置換基を有していてもよいアシル基
    を、 R4およびR5は水素または水酸基で、その少なくとも一
    方が水酸基を、 R6は水素または水酸基を、 R7は水素またはメチル基を、 R8 は水素、水酸基、置換基を有していてもよいアシル
    オキシ基または置換基を有していてもよいアルコキシ基
    を示し、 −A− は以下に示される一般式〔2〕: 【化2】 〔式中、R9およびR10は水素、または、相合わさって
    化学結合を形成する場合を示し、 Zは一般式〔3〕: 【化3】 (式中、R11は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を、R12
    は水素、低級カルボン酸アシル基、またはアルキルチオ
    を置換基として有していてもよいアルキル基をそれぞれ
    示す)、または一般式〔4〕: 【化4】 (式中、R13は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を示
    す)、または式〔5〕: 【化5】 または式〔6〕: 【化6】 または一般式〔7〕: 【化7】 (式中、Yは式 >B−R14(式中、R14はアルキル基また
    はアリール基を示す)、>S=O,>C=O,>C=S または一
    般式〔8〕: 【化8】 (式中、R15およびR16は、同一または異なって水素、
    アルキル基、あるいは隣接する炭素原子とともに環状ア
    ルキル基を形成する場合、または一方が水素、アルキル
    基またはアリール基で他方がジアルキルアミノ基である
    場合をそれぞれ示す)を表わす)を示す〕を、 または−A−は一般式〔9〕: 【化9】 (式中、Z′は一般式〔10〕: 【化10】 (式中、R17は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を示す)
    を表わす)を示す。〕。
  2. 【請求項2】一般式〔11〕: 【化11】 [式中、R1は水素または置換基を有していてもよい脂
    肪族炭化水素基を、 R2'は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、 R4およびR5は水素または水酸基で、その少なくとも一
    方が水酸基を、 R7は水素またはメチル基を、 R8'は水素または水酸基を、 R18は水素または水酸基を示す。]で表わされる請求項
    1記載の14位および15位の少なくとも一方が水酸基
    である6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導
    体またはその塩。
  3. 【請求項3】一般式〔12〕: 【化12】 〔式中、R1は水素または置換されていてもよい脂肪族
    炭化水素基を、R18'は水素または水酸基を、R4および
    5は水素または水酸基で、その少なくとも一方が水酸
    基を、R7は水素またはメチル基を示す。ただし、R7
    メチル基の場合R18'は水素を示す。〕である請求項2
    記載の14位および15位の少なくとも一方が水酸基で
    ある6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体
    またはその塩。
  4. 【請求項4】一般式〔13〕: 【化13】 〔式中、R1は水素または置換基を有していてもよい脂
    肪族炭化水素基を、R4およびR5は水素または水酸基を
    示し、その少なくとも一方が水酸基を示す。〕である請
    求項2記載の14位および15位の少なくとも一方が水
    酸基である6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン
    誘導体またはその塩。
  5. 【請求項5】R1およびR2が同一又は異なって置換基を
    有していてもよい低級アルキル基もしくは置換基を有し
    ていてもよいシクロアルキル基である請求項2記載の1
    4位および15位の少なくとも一方が水酸基である6,
    9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはそ
    の塩。
  6. 【請求項6】R1およびR2が同一又は異なって置換基を
    有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である請求
    項2記載の14位および15位の少なくとも一方が水酸
    基である6,9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘
    導体またはその塩。
  7. 【請求項7】R1はイソプロピル基またはエチル基であ
    る請求項3または4記載の14位および15位の少なく
    とも一方が水酸基である6,9−ヘミアセタール型エリ
    スロマイシン誘導体またはその塩。
  8. 【請求項8】一般式〔14〕: 【化14】 (式中、R7′は水素またはメチル基を示し、R1
    2,R3,R6,R8および−A−は請求項1で定義した
    通り)で表される6,9−ヘミアセタール型エリスロマ
    イシン誘導体またはその塩にダクチロスポランジウム
    属、サッカロスリックス属またはアミコラトプシス属に
    属する放線菌由来の酸化酵素または哺乳動物の肝臓由来
    の酸化酵素を作用させることを特徴とする、 一般式〔1〕: 【化15】 〔式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8およ
    び−A−は請求項1で定義した通り。〕で表される6,
    9−ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはそ
    の塩の製造法。
  9. 【請求項9】一般式〔15〕: 【化16】 (式中、R1,R2',R8'およびR18は請求項2で定義
    した通りであり、R7′は水素またはメチル基を示
    す。)で表される6,9−ヘミアセタール型エリスロマ
    イシン誘導体またはその塩にダクチロスポランジウム
    属、サッカロスリックス属またはアミコラトプシス属に
    属する放線菌由来の酸化酵素または哺乳動物の肝臓由来
    の酸化酵素を作用させることを特徴とする、一般式〔1
    1〕: 【化17】 (式中、R1,R2',R4,R5,R7およびR8'は請求項
    2で定義した通り。)で表される6,9−ヘミアセター
    ル型エリスロマイシン誘導体またはその塩の製造法。
  10. 【請求項10】一般式〔17〕: 【化18】 (式中、R1は水素または置換基を有していてもよい脂
    肪族炭化水素基を、R2は水素または置換基を有してい
    てもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ示すか、もしくは
    1とR2で隣接する窒素原子と共に複素環基を形成し、 R3 は水素または置換基を有していてもよいアシル基
    を、 R6は水素または水酸基を、 R8 は水素、水酸基、置換基を有していてもよいアシル
    オキシ基または置換基を有していてもよいアルコキシ基
    を示し、 −A− は以下に示される一般式〔2〕: 【化19】 〔式中、R9およびR10は水素、または、相合わさって
    化学結合を形成する場合を示し、 Zは一般式〔3〕: 【化20】 (式中、R11は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を、R12
    は水素、低級カルボン酸アシル基、またはアルキルチオ
    を置換基として有していてもよいアルキル基をそれぞれ
    示す)、または一般式〔4〕: 【化21】 (式中、R13は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を示
    す)、または式〔5〕: 【化22】 または式〔6〕: 【化23】 または一般式〔7〕: 【化24】 (式中、Yは式 >B−R14(式中、R14はアルキル基また
    はアリール基を示す)、>S=O,>C=O,>C=S または一
    般式〔8〕: 【化25】 (式中、R15およびR16は、同一または異なって水素、
    アルキル基、あるいは隣接する炭素原子とともに環状ア
    ルキル基を形成する場合、または一方が水素、アルキル
    基またはアリール基で他方がジアルキルアミノ基である
    場合をそれぞれ示す)を表わす)を示す〕を、 または−A−は一般式〔9〕: 【化26】 (式中、Z′は一般式〔10〕: 【化27】 (式中、R17は水素、置換基を有していてもよいアシル
    基または置換基を有していてもよいアルキル基を示す)
    を表わす)を示す。〕で表される6,9−ヘミアセター
    ル型エリスロマイシン誘導体またはその塩にダクチロス
    ポランジウム属、サッカロスリックス属またはアミコラ
    トプシス属に属する放線菌由来の酸化酵素または哺乳動
    物の肝臓由来の酸化酵素を作用させることを特徴とす
    る、一般式〔16〕: 【化28】 (式中、R1,R2,R3,R6,R8および−A−は上記
    の通り。)で表される6,9−ヘミアセタール型エリス
    ロマイシン誘導体またはその塩の製造法。
  11. 【請求項11】請求項1または2記載の14位および1
    5位の少なくとも一方が水酸基である6,9−ヘミアセ
    タール型エリスロマイシン誘導体を4級アンモニウム化
    反応に付すことからなる、請求項1または2記載の14
    位および15位の少なくとも一方が水酸基である6,9
    −ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体の塩の製造
    法。
  12. 【請求項12】一般式〔19〕: 【化29】 (式中、R1は水素、または置換基を有していてもよい
    脂肪族炭化水素基を、R18は水素または水酸基を、R7'
    は水素またはメチル基を示す)で表される6,9−ヘミ
    アセタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩に
    クチロスポランジウム属、サッカロスリックス属または
    アミコラトプシス属に属する放線菌由来の酸化酵素を作
    用させることを特徴とする一般式〔18〕: 【化30】 (式中、R1およびR18は上記の通りであり、 R4'およびR5'は水素または水酸基を示し、 R7は水素またはメチル基を示し、R4'およびR5'の両
    者が水素のときR7は水素を示す)で表される6,9−
    ヘミアセタール型エリスロマイシン誘導体またはその塩
    の製造法。
  13. 【請求項13】請求項1記載のエリスロマイシン誘導体
    またはその塩および薬剤学的に許容し得るそれらの担体
    を含有してなる消化管機能促進剤。
  14. 【請求項14】請求項2記載のエリスロマイシン誘導体
    またはその塩および薬剤学的に許容し得るそれらの担体
    を含有してなる消化管機能促進剤。
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