JP3113567B2 - 作業車の作業状態制御装置 - Google Patents

作業車の作業状態制御装置

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JP3113567B2
JP3113567B2 JP32263695A JP32263695A JP3113567B2 JP 3113567 B2 JP3113567 B2 JP 3113567B2 JP 32263695 A JP32263695 A JP 32263695A JP 32263695 A JP32263695 A JP 32263695A JP 3113567 B2 JP3113567 B2 JP 3113567B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業状態と非作業
状態とに切り換え自在な作業部を備えて、所定範囲の作
業地内を移動する作業車の作業状態制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記作業車の作業状態制御装置では、例
えば肥料である薬剤を散布する薬剤散布装置(作業部に
相当する)を車体後部側に備えた作業車を手動運転等に
て走行させながら、所定範囲の作業地としての圃場の全
体に亘って薬剤散布作業を行うために、作業走行の開始
時に手動スイッチ等を操作にて散布装置を散布停止状態
(非作業状態)から散布状態(作業状態)に切り換え、
作業走行の終了に伴って手動操作にて散布停止状態に戻
すようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記薬剤散布
装置等の作業部は、走行距離を極力短くして作業能率を
上げる等のために、車体横幅方向での長さが車体幅に比
べて長く形成され、作業車が作業地の端部分に走行する
ときに、作業部の外方側の端部部分が作業地外にはみ出
す場合があるが、上記従来技術では、その作業地外には
み出した作業部が作業を継続し(散布装置から薬剤が散
布され)、作業部が無駄な作業を行う(薬剤が無駄に消
費される)という不都合があった。尚、作業車を手動運
転する場合には、作業部が作業地外にはみ出さないよう
に運転することも可能であるが、運転者の負担が増大す
ることになる。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、上記従来技術の不具合を解消さ
せるべく、作業地外にはみ出した上記薬剤散布装置等の
作業部が作業地外に対して無駄な作業を行わないように
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の構成
によれば、作業状態切換手段にて作業状態に切り換えた
作業部を備えた作業車が所定範囲の作業地内を移動する
ときに、作業部位置検出手段にて作業部の作業地内での
位置を検出し、その作業部位置検出情報と作業地情報記
憶手段に記憶されている作業地情報とに基づいて、作業
地外にはみ出している作業部の車体横外方側の端部部分
を作業状態から非作業状態に切り換え、上記はみ出し部
分が作業地内に位置すると非作業状態から作業状態に切
り換えるように作業状態切換手段を作動させる。
【0006】従って、作業車が作業地内を移動中に作業
部が作業地外にはみ出すと、その作業部の車体外方側の
はみ出し部分が自動的に作業状態から非作業状態に切り
換わるので、作業地外にはみ出した作業部が引き続き作
業を行う従来技術のように、作業地外に対して無駄な作
業を行うこともなくなり、作業性に優れた作業車の作業
状態制御装置が得られる。
【0007】又、請求項2の構成によれば、上記請求項
1において、車体横幅方向に沿って設定幅を有する複数
個の作業部分にて構成された作業部が作業地外にはみ出
すと、上記複数個の作業部分のうちのはみ出している作
業部分が作業状態から非作業状態に切り換えられる。
【0008】従って、例えば作業部が車体横幅方向に沿
って1つの連続した作業部分にて構成されている場合に
は、そのうちのはみ出し部分だけを非作業状態に切り換
えるのに複雑な機構等が必要になるのに比べて、複数個
の作業部分から所定の作業部分を選択するという単純な
操作で、作業地外にはみ出した端部部分だけを非作業状
態に的確に切り換えることができ、もって、上記請求項
1の構成の好適な手段が得られる。
【0009】又、請求項3の構成によれば、上記請求項
1又は2において、作業部の車体横外方側の端部部分が
作業地外にはみ出すと、その作業部の車体横外方側の端
部部分が非作業状態に切り換えられるとともに、作業部
収納手段が作動して、その作業部の車体外方側の端部部
分が車体内方側に収納される。
【0010】従って、例えば作業地の外部側地面高さが
作業地よりも高い場合にも、作業部のはみ出し部分が外
部側地面に衝突して損傷する等の不都合を確実に回避さ
せることができ、もって、上記請求項1又は2の構成の
好適な手段が得られる。
【0011】又、請求項4の構成によれば、上記請求項
1、2又は3において、地上側の基準位置に設置された
GPS基準局において、GPS衛星からの搬送波信号が
受信され、その基準局での搬送波位相情報が作業車側に
送信される一方、作業車側では、そのGPS移動局にお
いてGPS衛星からの搬送波信号が受信されるとともに
上記基準局からの送信情報が受信されて、移動局及び基
準局での両搬送波位相情報から求めた二重位相差情報に
基づいて、前記基準位置に対する作業部の位置が所定時
間間隔の時系列のGPS位置データとして求められ、
又、作業部の位置変化量が所定時間間隔の時系列の慣性
航法位置データとして求められる。そして、作業部位置
検出手段は、上記現在時刻より設定時間前のGPS位置
データ及び現在時刻での慣性航法位置データから、現在
時刻での作業部の作業地内での位置を求める。
【0012】従って、短時間の位置変化については応答
性良く検出できるが長時間での検出では誤差が蓄積する
慣性航法システムと、検出遅れはあるが正確な位置検出
が可能なGPS衛星からの搬送波信号の二重位相差情報
に基づくGPS位置検出システムとを組み合わせて得た
作業部位置情報から、作業部が作業地外にはみ出したこ
とを検出するので、例えば作業地の周囲に沿って全周を
囲うように投射したビーム光を作業部側の受光センサで
受光して作業部が作業地外にはみ出したことを検出する
技術では、地上側にビーム光投射設備等の大掛かりな設
備が要るのに比べて、地上側設備が衛星信号受信用の簡
素な設備で済み、もって、上記請求項1、2又は3の構
成の好適な手段が得られる。
【0013】又、請求項5の構成によれば、上記請求項
1、2、3又は4において、作業車に備えた手動操作式
の操向手段が操作されて、作業車が作業地内を移動する
ときに、作業部が作業地外にはみ出ると、そのはみ出し
た作業部の端部部分が非作業状態に切り換えられる。
【0014】従って、作業車に搭乗した運転者が作業車
を手動運転して、作業車が作業地の端部に走行するよう
な場合において、例えば農地である作業地に植えている
作物を踏みつけないように畝に沿って走行させている運
転者は、作業部が作業地外にはみ出さないように運転す
る必要がなくなり、運転者の負担が軽減され、もって、
上記請求項1、2、3又は4の構成の好適な手段が得ら
れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、薬剤
散布用の作業車Vが、所定範囲の作業地としての圃場内
を走行しながら圃場に対して肥料である薬剤の散布作業
を行う場合について説明する。
【0016】例えばその地点の重力方向に対して水平方
向を東西及び南北方向で表した局地水平座標系E(東方
向),N(北方向),H(地球中心からの高さ方向)に
おいて高精度に位置(上記E,N,H座標系での座標
値)が判っている地上側の基準位置に設置されて、図2
に示すように、少なくとも4個のGPS衛星2からのス
ペクトラム拡散変調された電波(搬送波信号)を受信す
るGPS基準局R(以後、単に基準局Rともいう)用の
アンテナ19aと、このアンテナ19aの受信信号を処
理して搬送波の位相情報を得るGPS受信機19と、そ
のGPS受信機19からの搬送波位相情報を作業車V側
に向けて送信するための送信アンテナ20aを備えた地
上側通信手段としての送受信機20とが設けられてい
る。
【0017】作業車Vの構成について、図1〜図3に基
づいて説明する。左右一対の前輪3及び後輪4を備えた
車体5の後部に、作業部としての薬剤散布装置6が設け
られ、この薬剤散布装置6に対して薬剤を加圧供給する
供給タンク21が設置されている。上記薬剤散布装置6
は、車体横幅方向に沿って設定幅を有する複数個の作業
部分としての噴射ノズル6aを備えて構成され、この複
数個の噴射ノズル6aは、各別にその駆動をオンオフで
きる、つまり、各別に噴射状態と噴射停止状態とに切り
換え自在に構成されている。ここで、各噴射ノズル6a
の設定幅は、隣接するノズル6aからの圃場面上での噴
射範囲が極力重複せず且つその間に空きが生じない状態
に設定された車体横幅方向での噴射幅に対応する。
【0018】前後輪3,4は左右を一対として各別に操
向操作自在に構成され、操向用の油圧シリンダ7,8
と、電磁操作式の制御弁9,10と、手動操縦用のハン
ドル15とが設けられている。つまり、手動操作される
ステアリング切換スイッチ13の状態によって、前輪3
又は後輪4の一方のみを操向する2輪ステアリング形
式、前後輪3,4を逆位相で且つ同角度に操向する4輪
ステアリング形式、前後輪3,4を同位相で且つ同角度
に操向する平行ステアリング形式の3種類のステアリン
グ形式のうちの1つを選択できるとともに、前後輪3,
4は、手動操縦用のハンドル15によって操作される手
動操作式の操向手段を構成している。
【0019】作業車Vには、エンジンE、エンジンEか
らの出力を変速して前後輪3,4の夫々を同時に駆動す
る油圧式無段変速装置11、その変速操作用のアクセル
ペダル12、前記複数個の噴射ノズル6aの駆動を各別
にオンオフする複数個の電磁弁等で構成されたノズル駆
動部14が設けられている。つまり、このノズル駆動部
14が、薬剤散布装置6の複数個の噴射ノズル6aを各
別に噴射状態(作業状態)と噴射停止状態(非作業状
態)とに切り換えることによって、薬剤散布装置6の車
体横外方側の端部部分を噴射状態(作業状態)と噴射停
止状態(非作業状態)とに切り換える作業状態切換手段
を構成する。
【0020】16は作業車Vの走行並びに薬剤散布装置
6の作動等を制御するためのマイクロコンピュータ利用
の制御装置であって、後述の各種センサによる検出情報
等に基づいて、各制御弁9,10、及び、ノズル駆動部
14等を制御する。作業車Vに装備されるセンサ類につ
いて説明すれば、図1に示すように、前記手動操縦用の
ハンドル15の操作角を検出するポテンショメータ利用
のハンドル操作角検出センサR0と、前後輪3,4夫々
の操向角を検出するポテンショメータ利用の操向角検出
センサR1,R2と、変速装置11の変速状態に基づい
て間接的に前後進状態及び車速を検出するポテンショメ
ータ利用の車速センサR3と、変速装置11の出力軸の
回転数を計数して走行距離を検出するためのエンコーダ
S3とが設けられている。
【0021】作業車Vには、その車体方位を検出する地
磁気方位センサS4と、車体5の3次元(車体前後、横
幅及び上下方向)の各軸周りでの角速度を検出するジャ
イロ装置S5と、車体5の3次元(車体前後、横幅及び
上下方向)各方向での加速度を検出する加速度センサS
6とが設けられている。そして、これらのジャイロ装置
S5、加速度センサS6及び前記制御装置16を利用し
て、作業車Vの車体つまり薬剤散布装置6の位置変化量
を所定時間間隔の時系列の慣性航法位置データとして求
める慣性航法システムINSが構成される。上記慣性航
法位置データは、具体的には、所定の計測時間間隔(例
えば0.1秒)内における位置変化量が、夫々所定時間
間隔(例えば0.1秒)の計測時刻のラベル付きのデー
タとして求められる。
【0022】又、作業車V側には、前記GPS衛星2か
らの電波(搬送波信号)を受信するGPS移動局I(以
後、単に移動局Iともいう)用のアンテナ17aと、上
記アンテナ17aの受信信号を処理して搬送波の位相情
報を得るGPS受信機17と、前記地上側の送受信機2
0からの送信情報を受信するためのアンテナ18aを備
えた作業車側通信手段としての送受信機18とが設けら
れている。
【0023】前記基準局R及び移動局Iの各GPS受信
機19,17は、図4に示すように、ほぼ同様の構成に
なるものであって、夫々のアンテナ19a,17aで受
信した電波信号は、先ず高周波信号処理部30,40に
入力して低周波数に変換される。その低周波数変換され
た信号は、C/Aコード解析部31,41にて衛星番号
等が解読されるとともに、搬送波位相計測部33,43
において、上記衛星番号に応じて作成されるC/Aコー
ドと相関をとって搬送波が再生され、さらに内蔵した時
計34,44にて設定時間間隔で搬送波の位相が計測さ
れる。同時に、C/Aコード解析部31,41からの情
報に基づいて、航路メッセージ解読部32,42にて衛
星位置情報等が判別される。そして、上記各部からの情
報は、夫々の制御用のコンピュータ35,45に入力さ
れて各基準局R及び移動局Iにおける搬送波位相情報が
求められる。
【0024】さらに、基準局R側コンピュータ35から
出力された基準局Rでの搬送波位相情報が、前記地上側
の送受信機20を経て送信アンテナ20aから送信され
て作業車側のアンテナ18aで受信され、送受信機18
を経て移動局I側コンピュータ45に入力され,その移
動局I側コンピュータ45において、基準局及び移動局
での両搬送波位相情報に基づいて二重位相差情報が求め
られる。そして、上記GPS受信機17を利用して、移
動局Iでの搬送波位相情報及び前記送受信機18が受信
した基準局Rでの搬送波位相情報から求めた二重位相差
情報に基づいて、前記基準位置つまり基準局Rに対する
移動局Iつまり作業車V(薬剤散布装置6)の位置を所
定時間間隔の時系列のGPS位置データとして求めるG
PS位置データ算出手段102が構成されている。そし
て、このGPS受信機17で得られたGPS位置データ
が制御装置16に入力されている。
【0025】ここで、二重位相差情報について概略を説
明すると、異なる2つの衛星2からの各搬送波信号を2
つの受信局(基準局R及び移動局I)夫々で受信して、
各衛星2ごとに対応する2つの位相差を求め、さらにこ
れら2つの位相差の差分をとったものを二重位相差と呼
ぶ。これによって各衛星2での送信信号の位相乱れの影
響が除去されるとともに、各受信局の位相計測用の時計
の同期ずれの影響が除去され、最終的に、衛星側及び受
信局側での誤差の影響を少なくした精度のよい位相差情
報が得られる。尚、後述の位置ベクトルrを求めるため
に、実際は、異なる4つの衛星2からの各搬送波信号に
基づいて、独立した3つの二重位相差が求められること
になる。
【0026】前記GPS位置データ算出手段102によ
る3つの二重位相差情報に基づく車体5(薬剤散布装置
6)の位置検出について具体的に説明する。先ず最初
に、作業車Vを前記局地水平座標系E,N,Hにおいて
高精度に位置座標値が判っている地点に位置させ、移動
局側及び基準局側の各GPS受信機17,19の受信情
報から前記3つの二重位相差を計算し、基準局R及び作
業車V間の相対位置が判っていることから上記二重位相
差情報に含まれる搬送波波長の整数倍の不確定(整数値
バイアス)を確定させる。次に、図5に示すように、作
業車Vを圃場F内の任意の地点に移動させたときの3つ
の二重位相差情報より、基準局Rから車体5つまりGP
S移動局Iのアンテナ17aへの位置ベクトルrが求ま
り、基準局Rの基準位置と上記求めた位置ベクトルrと
から、車体5のGPSアンテナ17aの位置が判別され
る。そして、そのGPSアンテナ17aに対する薬剤散
布装置6の固定した位置関係(図5に示すように、薬剤
散布装置6の車体横幅方向中央への位置ベクトルr0で
表す)と、地磁気方位センサS4による車体方位の情報
とから、薬剤散布装置6の圃場F内での位置が判別され
る。
【0027】但し、前記GPS受信情報に基づく位置検
出には、各局での搬送波位相の計測やその位相情報の通
信及び二重位相差の演算等に時間(例えば2秒程度)が
かかるため、現在時刻での位置をリアルタイムに検出す
ることができない。そこで、車体5(薬剤散布装置6)
の位置情報を所定時間間隔(1秒間隔)の時系列のGP
S位置データとして求める。従って、上記1秒間隔の時
系列のGPS位置データは、2秒前における作業車Vの
車体位置に対応するデータである。
【0028】そこで、薬剤散布装置6の位置をリアルタ
イムに検出するために、前記制御装置16を利用して、
前記GPS位置データ算出手段102にて求められる、
現在時刻より設定時間前のGPS位置データ、及び、前
記慣性航法システムINSにて求められる、現在時刻で
の慣性航法位置データによって、現在時刻での薬剤散布
装置6の位置を求める作業部位置検出手段103が構成
されている。つまり、検出遅れのあるGPS位置データ
に対して慣性航法位置データを補間することで薬剤散布
装置6の圃場F内での位置をリアルタイムに求めるので
ある。
【0029】尚、作業車Vは、運転者が搭乗して前記ハ
ンドル15等を操作し、図5に示すように、圃場Fの端
部側のスタート地点Stから圃場長手方向に沿って直線
状の走行軌跡Lを描くように終端部まで走行させ、終端
部に達するとその終端地点から180度の旋回操作を行
って、今度は、圃場長手方向に沿って逆方向に走行する
往復走行を繰り返して、作業車Vが圃場Fの全範囲を走
行するように運転する。この際、薬剤散布装置6による
散布範囲に非散布領域が生じない状態で且つ極力重複し
ないように各走行軌跡Lの間隔を調整して走行させる。
【0030】前記制御装置16を利用して、作業地であ
る圃場Fの情報を記憶する作業地情報記憶手段101が
構成されている。具体的には、この圃場Fの情報は、地
上側での前記E,N,H座標系における座標データとし
て用意される。例えば、図5に示す圃場Fに対して、そ
の長手方向が例えば東西方向(E軸)に沿っているとし
て、圃場の4隅の座標値を与えるために、1つのN座標
値に対して2つのE座標値が組となったデータが用意さ
れている。
【0031】又、前記制御装置16を利用して、前記作
業地情報記憶手段101及び前記作業部位置検出手段1
03の情報に基づいて、圃場Fの外へはみ出した前記薬
剤散布装置6の端部側部分を非作業状態(散布停止状
態)にするように、前記ノズル駆動部14を作動させる
制御手段100が構成されている。
【0032】次に、作業車Vが進行方向右手側の圃場端
に沿う状態で走行しているときに、薬剤散布装置6の進
行方向右手側端部が圃場外にはみ出して、その端部側部
分を非作業状態(散布停止状態)に制御する場合を図6
に基づいて説明する。前記のように薬剤散布装置6の位
置(前記ベクトルr0で示す車体横幅方向の中央位置)
が検出され、その中央位置から左右端部までの距離が決
まっているので、散布装置6の端部側部分がはみ出して
いるかどうか及びそのはみ出し幅も判別できる。そこ
で、複数個の噴射ノズル6aのうちで、進行方向の右手
側の圃場外へはみ出している部分に位置する各噴射ノズ
ル6aを噴射停止させる。
【0033】次に、制御装置16の制御作動を説明する
と、図示しないメインフローにおいて、ステアリング切
換スイッチ13からの入力情報に基づいて3つのステア
リング形式を切り換えながら、ハンドル操作角検出セン
サR0の情報に基づいて前後輪3,4の操向角を制御す
る操向制御等を行い、図7に示す作業状態制御のフロー
では、時系列のGPS位置データ及びINS位置データ
を夫々取り込み、その両データから現在時刻での作業部
(薬剤散布装置6)の現在位置を算出して、その作業部
が作業地内か否かを判断する。そして、作業地外にはみ
出していれば、そのはみ出し部分に位置する噴射ノズル
6aの噴射を停止させ、作業地外にはみ出していなけれ
ば、噴射停止状態の噴射ノズル6aを噴射作動させる。
【0034】〔別実施形態〕次に、前記作業部(薬剤散
布装置6)が作業地外にはみ出た場合に対する前記制御
手段100による制御の別実施形態を説明すると、図
1、図8及び図9に示すように、薬剤散布装置6の車体
外方側の端部部分を収納する作業部収納手段としての散
布装置収納用の油圧シリンダ24が設けられ、前記制御
手段100は、作業地外へはみ出した薬剤散布装置6の
車体外方側の端部部分を収納するように、上記散布装置
収納用の油圧シリンダ24を作動させるように構成され
ている。具体的には、薬剤散布装置6は、車体横幅方向
左右両側の昇降部分6A,6Cが、その車体内方側基端
部で車体前後方向に沿う軸芯周りに回転自在な状態で中
央の固定部分6Bに支持され、上記散布装置収納用の油
圧シリンダ24は左右夫々の昇降部分6A,6C用に一
対設けてある。尚、作業部収納手段としては、上記のよ
うに作業部の車体外方側の端部部分を上昇させて収納す
るものに限らず、例えば車体外方側の端部部分を車体内
方側にスライド移動させて収納するものでもよい。
【0035】上記実施例では、作業地である圃場に対し
て薬剤を散布する薬剤散布装置6を作業部として備えた
作業車Vについて説明したが、これ以外の農作業用作業
車及び農作業用以外の各種作業車等にも適用できるもの
であって、その際の作業部6や作業状態切換手段14等
の各部の具体構成や作業地等については、作業車の目的
や作業条件等に合わせて適宜変更される。
【0036】上記実施例では、作業部位置検出手段10
3を、GPS衛星からの電波(搬送波)信号に基づく位
置検出と、慣性航法システムによる位置検出とを組み合
わせて構成したが、これに限るものではなく、例えば、
地中に埋設した交流信号線からの電磁信号を受けて位置
検出する手段等でもよい。
【0037】上記実施例では、作業部6を複数個の作業
部分6aにて構成し、作業状態切換手段14がその複数
個の作業部分6aを各別に作業状態と非作業状態とに切
り換えるようにしたが、作業部の機能等によっては、必
ずしも、このように作業部を各別に作業状態が切り換え
可能な複数個の作業部分で構成する必要はない。
【0038】上記実施例では、作業車側の手動操作式の
操向手段を操縦ハンドルにて操向される車輪3,4に構
成したが、車輪に限るものではない。尚、作業車Vは、
設定経路に沿って自動走行するものでもよい。
【0039】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業車の制御構成のブロック図
【図2】作業車及び基準局を示す概略側面図
【図3】作業車の概略平面図
【図4】GPS受信系の構成を示すブロック図
【図5】作業地及び作業車の走行軌跡を示す概略平面図
【図6】作業状態切換作動を説明する平面図
【図7】作業状態切換制御のフローチャート
【図8】別実施形態の作業部の収納動作を示す概略背面
【符号の説明】
6 作業部 V 作業車 101 作業地情報記憶手段 103 車体部位置検出手段 14 作業状態切換手段 100 制御手段 6a 作業部分 24 作業部収納手段 R GPS基準局 20 地上側通信手段 I GPS移動局 18 作業車側通信手段 102 GPS位置データ算出手段 INS 慣性航法システム 3,4 操向手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01B 69/00 A01C 23/00 G01S 5/14 G01C 21/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業状態と非作業状態とに切り換え自在
    な作業部(6)を備えて、所定範囲の作業地内を移動す
    る作業車の作業状態制御装置であって、 前記作業車(V)に、 前記作業地の情報を記憶する作業地情報記憶手段(10
    1)と、 前記作業部(6)の前記作業地内での位置を検出する作
    業部位置検出手段(103)と、 前記作業部(6)の車体横外方側の端部部分を作業状態
    と非作業状態とに切り換える作業状態切換手段(14)
    と、 前記作業地情報記憶手段(101)及び前記作業部位置
    検出手段(103)の情報に基づいて、前記作業地外へ
    はみ出した前記作業部(6)の端部側部分を非作業状態
    にするように、前記作業状態切換手段(14)を作動さ
    せる制御手段(100)とが設けられている作業車の作
    業状態制御装置。
  2. 【請求項2】 前記作業部(6)が、車体横幅方向に沿
    って設定幅を有する複数個の作業部分(6a)にて構成
    され、 前記作業状態切換手段(14)が、前記複数個の作業部
    分(6a)を各別に作業状態と非作業状態とに切り換え
    るように構成されている請求項1記載の作業車の作業状
    態制御装置。
  3. 【請求項3】 前記作業車(V)に、前記作業部(6)
    の車体横外方側の端部部分を車体内方側に収納する作業
    部収納手段(24)が設けられ、 前記制御手段(100)は、前記作業地外へはみ出した
    前記作業部(6)の車体外方側の端部部分を収納するよ
    うに、前記作業部収納手段(24)を作動させるように
    構成されている請求項1又は2記載の作業車の作業状態
    制御装置。
  4. 【請求項4】 地上側の基準位置に設置されて、GPS
    衛星からの搬送波信号を受信するGPS基準局(R)
    と、このGPS基準局(R)での搬送波位相情報を前記
    作業車(V)側に送信する地上側通信手段(20)とが
    設けられ、 前記作業車(V)に、 GPS衛星からの搬送波信号を受信するGPS移動局
    (I)と、 前記地上側通信手段(20)の送信情報を受信する作業
    車側通信手段(18)と、 前記移動局(I)での搬送波位相情報及び前記作業車側
    通信手段(18)が受信した前記GPS基準局(R)で
    の搬送波位相情報から求めた二重位相差情報に基づい
    て、前記基準位置に対する前記作業部(6)の位置を所
    定時間間隔の時系列のGPS位置データとして求めるG
    PS位置データ算出手段(102)と、 前記作業部(6)の位置変化量を所定時間間隔の時系列
    の慣性航法位置データとして求める慣性航法システム
    (INS)とが設けられ、 前記作業部位置検出手段(103)は、前記GPS位置
    データ算出手段(102)にて求められる、現在時刻よ
    り設定時間前のGPS位置データ、及び、前記慣性航法
    システム(INS)にて求められる、現在時刻での慣性
    航法位置データによって現在時刻での前記作業部(6)
    の位置を求めるように構成されている請求項1、2又は
    3記載の作業車の作業状態制御装置。
  5. 【請求項5】 前記作業車(V)に、手動操作式の操向
    手段(3,4)が設けられている請求項1、2、3又は
    4記載の作業車の作業状態制御装置。
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