JP3112020U - 鐔を用いた花器 - Google Patents

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Abstract

【課題】
小花、中花、草及び枝物等各種の花卉類の生け花、挿し花に好適で、汎用性のある花器を提供する。
【解決手段】
円形状鋳鉄製の鐔1と陶器製で広口の開口部21を形成した器2からなり、鐔1の中心部には楔状の中子孔11が形成され、該中子孔11と鐔1との外周12間の周面には、花と枝の絵柄模様13が刻設され、また絵柄模様13と絵柄模様13の間には大中小、不定形の複数の透かし14が穿設されている。
【選択図】図1

Description

本考案は、鐔を用いた花器に係り、詳しくは、刀の柄の部分と刀身の間に挟着される鐔(鍔)を用いて、該鐔に形成された透かしに茎又は枝の太さが異なる花卉類を良好に活けたり、挿すことのできる、鐔を用いた花器に関する。
我が国の伝統文化のひとつである生け花は、古くから華道として伝えられ、多くの流派があるが、近年は、流派にとらわれない自己の意図する造形美を表現するために、茎又は枝の太さが異なる花卉類と花器とを使って、斬新な生け花を楽しむ傾向も見える。
生け花に用いる花器には種々の形状があるが、例えば一輪挿しや細口の花瓶には不要であるが、開口部が広い花瓶や水盤、舟形等のように平たい花器には、使用する花卉類の固定部材が必須となる。
従来より、小型の花器、例えば直径が約7.0cm〜10cmのものに枝物やかすみ草等の細茎の花を活けるときは、その固定部材として小径の剣山や小石を使用している。また他の花卉固定部材としては、図9に示す上述の剣山のほか、図10に例示する、小花を活ける挿込孔を複数穿設した筒状体、また図11に例示する、吸水性スポンジの固定部材等が一般的に使用されている。
さらに特開平7−327799のように花台の中央に設けた所要径からなる円形凹部に水吸収スポンジ体を置き、このスポンジ体を覆うように半円球状の蓋部材を嵌合した花器も提案されている。
特開平7−327799号公報
しかしながら、枝物を剣山で固定する場合、剣山が小さいので安定を欠き、枝が倒れたり、長めの枝を花器の周縁から垂らそうとすると、枝の切り口が浮き上がる不具合があり、またかすみ草等の細茎の花は剣山には挿せないうえに、強引に挿そうとすると、指先を負傷することがあり、また小石による固定は不安定であるために、イメージする生け花が創作できないという欠点がある。さらに筒状体は、小花を活けるのに適しているが、中花を活けるには安定性が劣り、吸水性スポンジの固定部材は、柔らかすぎるうえに耐用性に欠点があり、筒状体と同様に安定性に欠けかつ、挿し難いという不具合がある。
特許文献1は、花台、蓋部材及び水吸収スポンジ体からなり、花台と蓋部材はそれぞれ個別に製作し、蓋部材の円形凹部に適合する水吸収スポンジ体を用意しなければならないので、その組み立ては煩わしく、またその製作コストも高価となっている。
本考案の目的は、従来技術及び特許文献1が有する種々の課題を解決し、小花、中花、草及び枝物等各種の花卉類の生け花、挿し花に好適で、汎用性のある花器を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本考案のうち請求項1記載の考案は、鐔を用いた花器であって、該鐔は、平面視略円形、楕円形又は四角形状の重量ある平板体で、その中心部に刻設された楔状の中子孔と、前記中子孔と鐔外周間の表面から底面にかけて絵柄模様を形成するとともに、中子孔と鐔外周間及び模様と模様間には花卉挿入用の複数、不定形の透かしを形成してなり、花卉・水容器は、少なくとも前記鐔の直径より小径の開口を有し、該花卉・水容器の開口周縁部に前記鐔を水平状に載置してなることを特徴としている。
ここで、鐔(鍔)とは、刀の柄の部分と刀身の間に挟着される、平板状の鉄板又は非鉄金属板をいい、各地の鐔(鍔)工により製作され、その作品には芸術性豊かなものもあり、鐔(鍔)表面に形成される絵柄模様には動植物、鳥類、日用品等種々がある。またここにいう透かしとは、中子孔と鐔外周間及び模様と模様間に形成される、花卉の茎又は枝挿入用の穴をいう。
目的を達成するための請求項2記載の考案は、請求項1記載の考案にあって、前記鐔は、鉄又は非鉄金属からなり、花卉・水容器は、陶磁器、鉄、非鉄金属、硬質合成樹脂材、ガラス材、木材又は石材からなることを特徴としている。
目的を達成するための請求項3の考案は、請求項1及び請求項2記載の考案にあって、前記中子孔、中子孔と鐔外周間の模様及び模様と模様間に形成された透かしは、表面から底面にかけて傾斜面としていることを特徴としている。
目的を達成するための請求項4の考案は、請求項1ないし請求項3記載の考案にあって、前記透かしは、底面の巾寸法を表面の巾寸法より狭小とした、傾斜角度を約60°〜80°としていることを特徴としている。
目的を達成するための請求項5の考案は、請求項1ないし請求項4記載の考案にあって、前記中子孔に形成した透かしの巾寸法を、大、中及び小としていることを特徴としている。
本考案に係る、鐔を用いた花器は、上記の構成になるから以下の効果を奏する。請求項1記載の考案によれば、本考案の鐔を用いた花器は、部品点数の少ない簡単な構造であるとともに安定感を有する。即ち、花器を構成する部材は、平板体の中心部に刻設された楔状の中子孔と、中子孔と鐔外周間の表面から底面にかけて絵柄模様を形成した重量ある鐔と、該鐔の直径より小径とした開口を有する、花卉・水容器の二部材からなっている。
また生け花、挿し花の準備が簡易に整うとともに、細茎の草花も安定した生け花ができる。即ち、生け花、挿し花の準備は花卉・水容器の開口周縁部に鐔を水平状に載置するだけでよく、
細茎の草花は、剣山や小石を固定部材として使用することなく、鐔に形成された複数、不定形の透かしのなかから茎径に適合する部位を選択し、自由にレイアウトしながら活けることができ、興趣ある造形作品ができる。
また我が国の各地で製作される焼き物(陶磁器)、例えば萩焼、備前焼、立杭焼等を花卉・水容器とし、鐔と組み合わせた花器とすれば、従来の花器とは異なった興趣と風情が醸し出され、この花器に活けられる花卉は、その相乗作用によって、より一層美麗に映える効果をもたらす。
請求項2記載の考案によれば、鐔は、鉄又は非鉄金属からなり、花卉・水容器は、陶磁器、鉄、非鉄金属、硬質合成樹脂材、ガラス材、木材又は石材からなるので、鐔と花卉・水容器の各種素材との組み合わせも楽しむことができる。
請求項3及び請求項4記載の考案によれば、中子孔、中子孔と鐔外周間の模様及び模様と模様間に形成された透かしは、表面から底面にかけて傾斜面とし、底面の巾寸法を表面の巾寸法より狭小とした、傾斜角度を約60°〜80°としているので、花卉の挿し入れが円滑になされるとともに、茎や枝を底面の角部にくい込ませることにより安定した固定ができる。
請求項5記載の考案によれば、中子孔に形成した透かしの巾寸法を、大、中及び小としているので、長めの枝物を垂直又は傾斜して挿す場合、枝の径に適合する透かしの巾寸法を選択し、花器の周縁から垂らすようにして、安定した生け花ができる。
以下、本考案に係る、鐔を用いた花器の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本考案の鐔を用いた花器における構成部材を分離して示す、分解斜視図、図2は、鐔の平面図、図3は、鐔の底面図、図4は、図2における4−4線断面図、図5は、透かしの傾斜角度を説明する、鐔の一部拡大断面図、図6は、使用状態を示す一部切欠断面図、図7は、中子孔の拡大平面図、図8は、中子孔に枝物を傾斜して活けた状態の斜視図、図9は、従来例を示す剣山の斜視図、図10は、同筒状体の斜視図、図11は、同吸水性スポンジの斜視図である。
図1に示すのは、本考案の鐔を用いた花器(以下、花器Kという)で、円形状鋳鉄製の鐔1と陶器製で広口の開口部を形成した花卉・水容器(以下、器2という)からなっている。鐔1の材質としては、鉄が好ましいが、非鉄金属例えば、銅、アルミニウム等のように透かしの形成が容易で、適度の重量(約130g〜200g)があれば他の素材でも問題はない。
鐔1の中心部には平面視楔状の中子孔11が形成され、該中子孔11と鐔1との外周12間の周面には、花と枝の絵柄模様13が刻設され、また絵柄模様13と絵柄模様13の間には大中小、不定形の複数の透かし14、14…が穿設されている(図1〜図3参照)。
図4に示すように、鐔1の表面15から底面16にかけては傾斜面17が形成され、その角度θは、図5に示すように約60°〜80°とされ、鐔1の直径は約7cm〜10cmで、好ましいのは約8cmで、厚さ寸法は、約4mm〜6mmで、好ましいのは約5mmである。
器2の上方は、鐔1の着脱が可能な広径の開口部21が形成されるとともに、該鐔1が水平状に載置される開口周縁部22が形成されている。器2の全体高さは約4cm〜8cmで好ましくは約6cmである。
図6は、本考案の花器Kを用いて花Fを活けた状態を示し、花Fの茎F1は適宜長さに切裁され、茎F1の末端F2は、例えば図7に示す鐔1の中心部に設けた中子孔11の広巾部D1から挿入され、茎F1は、順次中巾部D2又は小巾部D3へと茎F1の
直径に適合する部位まで移行され、傾斜面17の下端の角部17a及び17b(図4)にくい込むように固定される。なおWは水である。
図8は、枝物F10を傾斜して活けた状態を示し、枝物F10の枝F11は、適宜長さに切裁され、枝F11の末端F12は、中子孔11の広巾部D1から挿入され、枝F11の上部F13は小巾部D3で保持される。
本考案に係る、鐔を用いた花器における構成部材を分離して示す、分解斜視図である。 鐔の平面図である。 鐔の底面図である。 図2における4−4線断面図である。 透かしの傾斜角度を説明する、鐔の一部拡大断面図である。 使用状態を示す一部切欠断面図である。 中子孔の拡大平面図である。 中子孔に枝物を傾斜して活けた状態の斜視図である。 従来例を示す剣山の斜視図である。 同筒状体の斜視図である。 同吸水性スポンジの斜視図である。
符号の説明
K 花器
1 鐔
2 器
11 中子孔
12 外周
13 絵柄模様
14 透かし
15 表面
16 底面
17 傾斜面
θ 角度
17a 角部
17b 角部
21 開口部
22 開口周縁部
F 花
F1 茎
F2 末端
D1 広巾部
D2 中巾部
D3 小巾部
F10 枝物
F11 枝
F12 末端
F13 上部

Claims (5)

  1. 鐔を用いた花器であって、
    該鐔は、平面視略円形、楕円形又は四角形状の重量ある平板体で、その中心部に刻設された楔状の中子孔と、
    前記中子孔と鐔外周間の表面から底面にかけて絵柄模様を形成するとともに、中子孔と鐔外周間及び模様と模様間には花卉挿入用の複数、不定形の透かしを形成してなり、
    花卉・水容器は、少なくとも前記鐔の直径より小径の開口を有し、
    該花卉・水容器の開口周縁部に前記鐔を水平状に載置してなることを特徴とする、鐔を用いた花器。
  2. 前記鐔は、鉄又は非鉄金属からなり、花卉・水容器は、陶磁器、鉄、非鉄金属、硬質合成樹脂材、ガラス材、木材又は石材からなることを特徴とする、請求項1記載の鐔を用いた花器。
  3. 前記中子孔、中子孔と鐔外周間の模様及び模様と模様間に形成された透かしは、表面から底面にかけて傾斜面としていることを特徴とする、請求項1及び請求項2記載の、鐔を用いた花器。
  4. 前記透かしは、底面の巾寸法を表面の巾寸法より狭小とした、傾斜角度を約60°〜80°としていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載の、鐔を用いた花器。
  5. 前記中子孔に形成した透かしの巾寸法を、大、中及び小としていることを特徴とする、請求項1ないし請求項4記載の、鐔を用いた花器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019244918A1 (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 哲郎 小谷野 鍔観賞具

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