JP3110838B2 - 触媒再生方法 - Google Patents

触媒再生方法

Info

Publication number
JP3110838B2
JP3110838B2 JP04008520A JP852092A JP3110838B2 JP 3110838 B2 JP3110838 B2 JP 3110838B2 JP 04008520 A JP04008520 A JP 04008520A JP 852092 A JP852092 A JP 852092A JP 3110838 B2 JP3110838 B2 JP 3110838B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
oxygen
regeneration
containing gas
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04008520A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05192590A (ja
Inventor
英昭 常木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP04008520A priority Critical patent/JP3110838B2/ja
Publication of JPH05192590A publication Critical patent/JPH05192590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3110838B2 publication Critical patent/JP3110838B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Devices And Processes Conducted In The Presence Of Fluids And Solid Particles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、装置内(現場)で、触
媒上に析出した炭素状物質を燃焼除去する触媒再生方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】目的の有機化合物を、接触分解、脱水、
縮合、水和等の気相反応により生成させる反応器とし
て、反応管に触媒を充填し、これを反応器に装着したも
のがある。反応器には、細径の反応管を多数本装着する
場合もあるし、太径の反応管を一本装着する場合もあ
る。このような反応器の触媒にコーク等の炭素状物質が
析出すると触媒性能が劣化するために、定期的にこれを
燃焼除去して触媒を再生させる必要がある。触媒を再生
させる方法としては、触媒を充填した反応管を反応器か
ら取り出し、装置外で再生させる方法も知られている
が、数時間ないしは数百時間といった短い周期で触媒を
再生させる必要がある場合には、反応管の脱着作業時間
を考慮すると装置内(現場)で再生させることが好まし
い。
【0003】現場触媒再生方法が採用される装置では、
定期的な触媒再生処理が必要であることから、反応器を
複数設けた、いわゆるスイッチコンバータが知られてい
る。このスイッチコンバータでは、一つの反応器の触媒
を再生する場合には、その間反応器を切り換えて他の反
応器が使用される。また、反応器の下流に中間タンクを
設けた装置も知られている。この装置では、触媒の再生
時に、中間タンクに貯留された生成物を使用することに
より連続操業が確保される。この場合、そのタンクに貯
留された生成物が無くなるまでに触媒の再生を終了させ
る必要があることは勿論のことである。
【0004】ところで、触媒は、反応温度より100〜
200℃高い焼成温度で焼成されることが多いが、コー
クを燃焼して除去する際には、触媒の焼成温度より低い
触媒耐熱温度以下で再生処理する必要がある。触媒の再
生時に焼成温度に近い温度で触媒の再生を行い、しか
も、このような再生が繰り返されると触媒の寿命に好ま
しくない影響を与える。そこで、従来の現場触媒再生方
法として、経験的なデータに基づいて入口温度や出口温
度を監視しながら触媒に堆積したコークを燃焼除去する
方法が、例えば、玉山昌顕「工業触媒の再生」(化学工
学第50巻,第9号, 1986年, 624〜629頁)
、特開昭61-15858号公報、特開昭63-190848 号公報等
により提案されている。
【0005】より具体的には、玉山昌顕「工業触媒の再
生」や特開昭61-15858号公報が開示する再生方法では、
初め、低い酸素濃度、かつ、低温の酸素含有気体を用い
て再生処理を開始し、出口温度の上昇や酸素濃度から、
もはやその酸素含有気体ではコークを燃焼させ得ないこ
とが判明すると、酸素含有気体の酸素濃度や気体温度を
所定値ずつ上げて、コークの燃焼除去を繰り返していく
ものである。一方、特開昭63-190848 号公報が開示する
再生方法では、再生開始時の触媒層温度を低めの所定値
に設定し、触媒昇温速度を所定値以下に抑制しながら最
終触媒温度にまで酸素含有気体の酸素濃度を徐々に増加
させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】上述のような従来の
再生方法では、触媒再生処理に時間が掛かり過ぎ、許容
される再生処理時間内に再生処理が完了できないという
問題がある。上述のスイッチコンバータにおいて、炭素
状析出物の生成速度が大である場合には、頻繁に反応器
の切り換えを行う必要があり、再生処理に時間が掛かる
場合には、多数の反応器が必要になる。また、中間タン
クを用いる場合には、大容量の中間タンクが必要にな
る。
【0007】また、低い酸素濃度から始めて徐々に酸素
濃度を上げ、時間を掛けて再生処理を行なうと、酸素濃
度を調整する不活性気体量も必然的に増えるという結果
を招く。通常この不活性気体には過熱水蒸気、窒素、ア
ルゴン等が使用される。しかしながら、高温で過熱水蒸
気に晒すことは、触媒寿命に悪影響を与え、希釈気体と
して過熱水蒸気の使用を避けた方が好ましい場合が多
い。過熱水蒸気の使用が好ましくない場合には、窒素ガ
ス等を用いる必要があるが、このようなガスの大量の使
用は、費用、供給能力等の面で制限が多い。さらに、再
生処理時間を短縮させるために、低酸素濃度の酸素含有
気体を大量に流通させて触媒温度の上昇を防ぐ再生処理
方法も考えられるが、この方法も大量の不活性気体を使
用することになり、上述の同じ理由で好ましくない。
【0008】従って、反応器を設計する場合、現場触媒
再生の観点から、触媒耐熱温度、すなわち、各触媒層の
最高温度は勿論のこと、許容される再生処理時間、使用
できる不活性気体量(窒素ガス等)の制限等の何れの条
件をも満足するような触媒の再生方法が要請されてい
る。本発明は、このような問題を解決するためになされ
たもので、装置内(現場)で触媒に堆積したコーク等の
炭素状物質を燃焼除去する際に、触媒の活性を落とさ
ず、かつ、短時間に再生処理を完了させるように図った
触媒の再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に依れば、反応器内の触媒に酸素含有気
体を流通させて触媒に析出した炭素状物質を燃焼除去さ
せる触媒再生方法において、触媒に析出した炭素状物質
の、前記酸素含有気体の流通方向の析出量分布を求め、
酸素含有気体の酸素濃度を、触媒の再生燃焼領域の炭素
状物質の析出量に応じて変化させ、再生燃焼領域におけ
る燃焼ピーク温度を所定温度範囲内に制御して、触媒に
析出した炭素状物質を前記酸素含有気体の流通方向に順
次燃焼させることを特徴とする。
【0010】反応器を所定の条件で所定時間使用する毎
に触媒の再生処理を実施する場合には、前記所定時間毎
に触媒に析出する炭素状物質の析出量分布を予め求める
と共に、前記変化させる酸素含有気体の酸素濃度を予め
演算して演算データを記憶しておき、記憶したデータに
基づいて酸素含有気体の酸素濃度を順次変化させること
もできる。
【0011】
【作用】再生燃焼領域における触媒温度は、酸素含有気
体の温度、酸素濃度や燃焼させる炭素状物質量(コーク
量)に依存するので、反応管に充填された触媒に高温の
酸素含有気体を供給すると、入口側の再生燃焼領域から
順にコークが燃焼して酸素がその領域で消費されること
になり、再生処理開始直後には反応管の入口側に触媒温
度のピークが現れる。そして、再生処理が進行すると共
に、再生燃焼領域は出口側に移行し、ピーク温度が出現
する位置も順次下流側に移行していくことになる。ま
た、通常、コークの析出量の分布は反応管の入口側が大
で出口側に行く程小となる。入口側のコークを完全に燃
焼させるには出口側より多量の酸素を必要とするが、コ
ークの燃焼速度を考慮して入口側のコークを燃焼させる
に必要な酸素量を供給すると、入口側の再生燃焼領域に
おける燃焼ピーク温度を所定温度範囲内に制御すること
ができる。一方、出口側のコークの析出量は小であるか
ら、入口側より高濃度の酸素を供給しても発熱量は入口
側より大きくならず、触媒許容温度範囲内で、高濃度の
酸素を供給することが好ましい。そこで、再生燃焼領域
のコーク析出量に応じた酸素量を供給することにより、
触媒温度が所定温度範囲に制御され、かつ、触媒全体の
コークの燃焼時間の短縮が図られる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。先ず、本発明方法が適用される反応器の構
成を図1を参照して説明すると、この反応器10は、原
料ガスを触媒に接触反応させて目的とする有機化学物質
を生成させるものである。反応器10の内部に多数の反
応管12が装着されており、各反応管12には触媒が充
填されている。この触媒としては特に限定されないが、
例えば、アルミナ等の担体に触媒物質を担持させたもの
である。この場合の触媒は、接触分解、脱水、縮合、水
和等のいずれの気相反応に使用されるものであってもよ
い。反応ガスは入口側のバルブ14を介して反応器10
に供給され、反応生成ガスはバルブ16を介して下流装
置、例えば中間タンクや精製塔に流出する。なお、この
実施例では、反応器10は1個しか示されていないが、
必要に応じて複数の反応器を並列に配置するようにして
もよい。
【0013】反応器10の入口側にはコーク等の炭素状
物質を燃焼再生するための酸素含有気体供給装置20が
接続されている。酸素含有気体供給装置20は、ミキシ
ングチャンバ22を備えており、この入口ポート22a
には、バルブ24を介して酸素ガスが供給される。ま
た、入口ポート22bには、バルブ26を介して窒素ガ
スが供給される。これらの気体は、各バルブ24,26
により流量制御されてミキシングチャンバ22に供給さ
れ、所望の酸素濃度の混合ガスが生成される。また、こ
の混合ガスは、図示しない熱交換器等のヒータにより、
或いは過熱水蒸気の混合により所望の温度に調整可能で
ある。酸素含有気体としては、酸素ガスに代えて空気を
用いてもよいし、窒素ガスに代えて、或いはこれと共に
過熱水蒸気、炭酸ガス、アルゴン等を用いてもよい。
【0014】ミキシングチャンバ22の出口ポート22
cは、配管28aを介して反応器10の入口側に接続さ
れ、配管28aの途中にはバルブ28が配設されてい
る。一方、反応器10の出口側には、再生時の燃焼ガス
を排出するための配管30aが接続されており、この配
管30aの途中にはバルブ30が配設されている。燃焼
ガスは、図示しないガス回収装置により窒素ガス等の必
要なガスを回収することもできる。
【0015】なお、図1には図示されていないけれど
も、反応管12の入口温度や出口温度、酸素含有気体の
温度等を測定する温度計が適宜の位置に取付けられてい
る。また、酸素ガス、窒素ガス、およびこれらの混合ガ
ス(酸素含有気体)の供給量を測定する流量計、その他
酸素濃度計、圧力計等の必要な計器が取付けられてい
る。これらのセンサは、触媒再生制御装置(プロセス制
御機器)40に接続されている。触媒再生制御装置40
の出力側には、前述したバルブ24,26,28,30
等が電気的に接続されており、触媒再生時にはこの制御
装置40からの制御信号により、反応器10に供給され
る酸素含有気体の酸素濃度、供給量、温度等が目標値に
フィードバック制御される。
【0016】反応器10において、反応ガスから目的の
生成ガスを生成させる場合には、バルブ28,30は閉
じられ、開成されたバルブ14を介して反応ガスが反応
器10に供給される。そして、各反応管12に充填され
ている触媒の存在の下で気相反応が進行し、生成した生
成ガスが開成されているバルブ16を介して送出され
る。このような反応器10における触媒反応は、触媒の
性能が劣化しない間は連続して行なわれる。触媒の劣化
は、触媒上に析出するコーク等の炭素状物質の析出量に
依存することになり、このコークの析出量が予め決めら
れた量に達すると、すなわち、所定時間操業すると、コ
ークを燃焼除去する再生処理を行なう。再生処理周期は
対象とする反応器毎に異なるので、特に限定するもので
ない。
【0017】触媒の再生処理時には、反応系のバルブ1
4,16が閉じられ、再生系のバルブ24,26,2
8,30が、詳細は後述するよう開閉され、酸素含有気
体が反応器10に供給されて、触媒に堆積したコークス
の燃焼除去が行なわれる。次に、本発明に係る触媒の再
生手順の詳細を説明する。先ず、触媒上に析出する炭素
状物質の析出速度に対する反応条件の依存性、および燃
焼速度に対する燃焼条件の依存性について予め実験的に
測定しておく。
【0018】析出速度に対する反応条件としては、反応
温度、原料分圧、反応時間(反応開始からの経過時間)
等があり、これらと、炭素状物質の析出量との関係を実
験的に求める。そして、原料ガスの転化率や反応器内の
圧力損失等と炭素状物質の析出量との関係を求め、求め
た関係から反応器10の最適な操作条件(原料分圧、反
応温度、再生周期(触媒の再生を必要とするまでの反応
時間)、再生に許容される再生処理時間等)を決定す
る。炭素状物質の析出量や反応器10の最適操作条件は
常法により求めることができるので、その詳細な説明は
省略する。
【0019】次に、上述のようにして設定した操作条件
に基づき反応器10を操作して反応ガスを反応させた場
合に、触媒の再生を必要とする、反応時間が経過した時
点において触媒上に析出したコーク量(重量%)の、反
応管12の入口側から出口側までの分布を予め求めてお
く(図4のステップS10)。図3は、触媒上に析出し
たコーク量の実測分布を例示するものである。この析出
分布は、上述の炭素状物質析出速度式からも予測するこ
とができ、予測値が実装置の実測値とよく一致すること
が判明すれば、析出速度式から直接求めるようにしても
よい。
【0020】次いで、上述の触媒上に析出した炭素状物
質の燃焼速度Rc も予め測定しておく。燃焼条件として
は、燃焼温度、酸素分圧、炭素状物質の析出量、未燃焼
炭素状物質量等があり、これらの条件の燃焼速度に対す
る依存性について測定すると次式(1)の燃焼速度式が
得らる。
【0021】
【数1】
【0022】ここに、Rc (燃焼速度)は1分間に触媒
1リットル当たりの炭素状析出物の消失量(g)を表
し、Ea は活性化エネルギ、Rは気体定数、Tは温度
(°K)であり、正確には再生燃焼領域での酸素含有気
体の温度である。YO2は流通させる気体中の酸素のモル
分率、Cは炭素状析出物の重量分率、αは燃焼速度に対
する酸素濃度の依存性を表す指数、βは燃焼速度に対す
る炭素状析出物量の依存性を表す指数である。kは速度
定数である。
【0023】次いで、上述した炭素状物質の析出量分布
と燃焼速度式を用い、供給すべき酸素含有気体の酸素濃
度を演算する(図4のステップS12)。この演算は、
再生燃焼領域が入口側から出口側へ順次移行することか
ら、再生燃焼領域における触媒ピーク温度が所定の上下
限温度範囲内に収まるように、各時点で供給する酸素含
有気体の酸素濃度を演算するものである。換言すれば、
各再生燃焼領域におけるコーク析出量に応じた酸素濃度
の酸素含有気体を供給すればよいことになる。
【0024】ここで、各時点における酸素含有気体の酸
素濃度を決定するための演算式について、より具体的に
説明する。この演算を行なうには、触媒の酸素含有気体
の流通方向の各点における物質収支と熱収支を考慮する
必要がある。そこで、これらの収支モデルとして、各反
応管12の管径が小さく半径方向の温度分布を無視した
モデルについて説明する。
【0025】図5は、このような反応管モデルの部分拡
大図であり、反応管12内の触媒層を入口から厚みΔL
の円盤状の微少区間(再生燃焼領域)に分割してゆき、
i番目の区間における、再生開始時点からt時間後の微
少時間間隔dtでの物質収支と熱収支を考えることにす
る。ここで、i区間の微少時間間隔dtでの温度変化を
dT、標準状態での酸素含有気体の流量をF(リットル
/min)、気体密度をρg (g/リットル)、気体比熱を
Cg (cal/g deg) 、入口およびi区間での酸素モル分率
をそれぞれY0,Yi 、触媒の見掛けの密度をρc (g/
リットル)、気体比熱をCc (cal/g deg) 、管壁の伝熱
係数をhw (cal/cm2 deg min) 、i区間のコークの付着
重量分率およびその初期値をそれぞれW,W0 、触媒1
リットル当たりのコークの燃焼速度Rc (g/min) 、単位
重量当たりのコークが燃焼する際に消費される酸素量お
よび燃焼熱をそれぞれf( リットル/g),H(cal/g)
、管壁の温度Tw (K)、i区間およびそれより一つ
前のi−1区間の触媒層温度をそれぞれTi (K),T
i-1 (K)、触媒層の全体長さL(cm) 、反応管の半径
R(cm) とする。
【0026】i区間には、酸素含有気体が流入すること
により、気体の顕熱が流入すると共に、コークの燃焼に
より熱が発生する。一方、i区間からは、管壁を介して
伝熱により系外に熱が失われると共に、流出する気体の
顕熱によっても熱が除去されることになる。従って、こ
の微少区間iの触媒層温度は、燃焼により発生した熱と
気体の顕熱で持ち込まれた熱が、持ち出される熱より多
ければ上昇することになる。通常は、酸素が消費されて
ゆくために入口側から順次触媒層温度が上昇し、コーク
が燃焼で消失すると温度が低下し、酸素も未消費で次の
区間へ供給されるので、次の区間の触媒層温度が上昇す
ることになる。このようにして各時点のピーク温度が入
口から出口へと順次移動して行く。そこで、物質収支と
熱収支を微少時間毎に再生燃焼領域に亘って計算すれ
ば、触媒の各部分の各時点での温度を演算することがで
きることになる。
【0027】上述したi区間の熱の出入りを次表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】i区間の熱収支は次式(2)で表すことが
できる。 FρgCg(Ti-1−Ti)πR2dt−FρgCgdTπR2dt −hw(T−Tw)2πRdLdt+RcHπR2dLdt =ρcCcπR2dLdT ………(2) i区間の物質の出入りを次表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】微少時間dt後のi区間のコーク量は次式
(3)で表すことができる。また、i+1区間へ流入す
る酸素含有気体の酸素量の濃度は次式(4)で表すこと
ができる。 W−RcπR2dLdt/(ρcπR2dL)=W−Rcdt/ρc……(3) Yi+1=Yi−fRcπR2dLdt/(Fdt) =Yi−fRcπR2dL/F ……(4) 上述したように、予め求められている触媒上のコーク析
出量分布と、式(1)ないし式(4)の燃焼速度式、物
質および熱収支式とから、各再生燃焼領域におけるピー
ク温度を、これらの値が定められた条件を満足するよう
に逐次計算することによって、反応管12の入口に供給
すべき酸素含有気体の酸素濃度を時間の経過と共に逐次
計算することができる。
【0032】ここで、各再生燃焼領域のピーク温度は、
許容される上下限値範囲に収まることが必要である。上
限の許容温度としては、触媒の焼成温度や寿命を考慮し
て設定される。下限温度、すなわち熱媒の温度として
は、触媒の再生に許容される処理時間、酸素濃度を希釈
するために用いられる不活性ガス(窒素ガス等)の使用
許容量等により決定される。また、熱媒として溶融塩を
使用する場合には、その融点も考慮して下限温度を設定
する必要がある。再生処理時間の短縮や不活性ガスの使
用量を減らすためには、ピーク温度の下限値を高く設定
すべきである。実際には、反応温度から昇温や降温する
には時間が掛かるので、反応温度付近に設定するのが望
ましい。
【0033】図6は、本発明方法により、触媒層ピーク
温度範囲を400℃(反応温度と同じ)〜450℃に、
許容される再生処理時間を6時間以下の条件で、各触媒
層位置での温度変化を演算したもので各時点のピーク温
度が入口から出口に向かって移行していく様子が判る。
この場合、酸素含有気体の流量を一定にして各時点のピ
ーク温度、すなわち、各再生燃焼領域のピーク温度がい
ずれも上限値の450℃を超えないように、供給酸素含
有気体の酸素濃度を変化させた。
【0034】実際の再生処理時においては、所定時間T
x毎に前述した逐次計算が実行され(前述した図4のス
テップS12)、供給する酸素含有気体の酸素濃度が再
生燃焼領域のコーク析出量に応じた酸素含有気体が反応
器10に供給される。そして、前述の所定時間Txが経
過したか否かを判別し、経過していなければその時間が
経過するまで待機する(ステップS14)。演算周期で
ある所定時間Txは、演算する電子計算機の能力にも依
るが、コークの燃焼速度や触媒許容温度範囲幅、触媒容
量等に応じて適宜値(実施例では60分)に設定され
る。いずれにしても、この所定時間Txは、微少距離で
区画される再生燃焼領域の1つ又は複数の再生処理が完
了するに要する時間に設定される。
【0035】ステップS14において、所定時間Txが
経過したことが判別されると、ステップS16に進み、
全領域での再生処理が完了したか否かを判別した後、完
了していなければ、ステップS12に戻って前述した逐
次計算が繰り返される。かくして、このような演算を順
次行いながら、反応開始から各再生燃焼領域の炭素状物
質の析出量に応じた酸素濃度、例えば、2.2%、2.
9%、3.3%、3.8%、4.4%、5.5%の酸素
含有気体が順次反応器10に供給される。
【0036】なお、上述の実施例では、再生処理を実行
しながら供給する酸素含有気体の酸素濃度を演算した
が、上述のような酸素濃度の演算データを予め触媒再生
制御装置(プロセス制御機器)40に組み込んでおき、
この記憶させたデータに基づき酸素濃度を所定時間毎に
逐次変化させて再生処理を行なうようにしてもよい。図
7は、図6に示す同じモデルにおいて、酸素含有気体の
酸素濃度を3.6%に固定し、固定した酸素濃度の酸素
含有気体を反応器に供給し続けた場合の各触媒層位置で
の温度変化、およびピーク温度位置の移動の様子を示
す。このような酸素含有気体の供給方法では、再生処理
時間は6時間以内に完了するが、触媒層の入口において
ピーク温度が490℃に上昇してしまい、入口から83
0mmの位置まで、ピーク温度が許容上限値450℃を
超えた。
【0037】また、図8は、図6に示す同じモデルにお
いて、酸素含有気体の酸素濃度を2.2%に固定し、同
じ酸素濃度の酸素含有気体を反応器に供給し続けた場合
の各触媒位置での温度変化、およびピーク温度位置の移
動の様子を示す。このような酸素含有気体の供給方法で
は、入口のピーク温度においても許容上限温度(450
℃)を超えないが、再生処理に10時間を要した。
【0038】上述の実施例では、予め求められている触
媒上のコーク析出量分布と、式(1)ないし式(4)の
燃焼速度式、物質および熱収支式とから、各再生燃焼領
域におけるピーク温度を、これらの値が定められた条件
を満足するように逐次計算することによって、反応管1
2の入口に供給すべき酸素含有気体の酸素濃度を求める
ようにしたが、これに代えて、再生処理時間および各再
生燃焼領域におけるピーク温度を、これらが共に所要条
件を満足するように逐次計算することにより、供給すべ
き酸素含有気体の酸素濃度および供給量を演算すること
もできる。さらに、再生処理時間、使用することのでき
る不活性気体量、各再生燃焼領域におけるピーク温度
を、これらが共に所要条件を満足するように逐次計算す
ることにより、供給すべき酸素含有気体の酸素濃度を演
算することもできる。いずれの場合にも、反応器に供給
する酸素含有気体の酸素濃度は、再生燃焼領域の炭素状
物質の析出量に応じて変化させることになる。
【0039】さらに、本発明方法によれば、反応器での
反応条件が変更になった場合にでも、炭素状物質の析出
分布や再生条件が前述した手順により予め求められるの
で、これらの反応条件の変更に対応して最適な触媒再生
条件で再生処理を行なうことができる。なお、反応管1
2の管径が大である場合には、半径方向の熱の流れや温
度分布を考慮する必要があるが、円筒座標を用いて上述
した微小区間に区分けし、これらの微小区間の熱および
物質の収支式を、触媒層温度、再生処理時間、使用不活
性ガス量等の諸条件を満たすように逐次計算することに
より、反応器に供給すべき酸素含有気体の酸素濃度、供
給量等を決定することができる。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の触媒再生
方法によれば、再生すべき触媒が充填されている反応器
に、触媒の各再生燃焼領域の炭素状物質の析出量に応じ
た酸素濃度を含有する気体を順次供給し、再生燃焼領域
における燃焼ピーク温度を所定温度範囲内に制御するよ
うにしたので、装置内(現場)において、触媒の再生処
理を効率よく短時間で行うことができ、従って、触媒の
寿命が延び、しかも再生処理時に使用する窒素ガス等の
希釈ガス量を必要最小限で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の触媒再生方法が適用される反応装置
の概略構成を示す図である。
【図2】 図1に示す反応装置の触媒再生処理時に、酸
素含有気体供給装置の作動を制御する触媒再生制御装置
の構成を示すブロック図である。
【図3】 反応器内の触媒に堆積した、再生処理直前の
コーク量分布を示すグラフである。
【図4】 触媒に析出したコークを燃焼除去する手順を
説明するためのフローチャートである。
【図5】 反応管に充填された触媒の熱収支および物質
収支を説明するための計算モデルを示す、図1の円Vで
示す部分の部分拡大図である。
【図6】 本発明方法により触媒再生処理を行った場合
の、触媒層の各位置における温度変化を示すグラフであ
る。
【図7】 反応器に供給する酸素含有気体の酸素濃度を
高めに固定して触媒再生処理を行った従来方法の、触媒
層の各位置における温度変化を示すグラフである。
【図8】 反応器に供給する酸素含有気体の酸素濃度を
低めに固定して触媒再生処理を行った従来方法の、触媒
層の各位置における温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10 反応器 12 反応管 20 酸素含有気体供給装置 22 ミキシングチャンバ 40 触媒再生制御装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応器内の触媒に酸素含有気体を流通さ
    せて触媒に析出した炭素状物質を燃焼除去させる触媒再
    生方法において、触媒に析出した炭素状物質の、前記酸
    素含有気体の流通方向の析出量分布を予め求め、酸素含
    有気体の酸素濃度を、触媒の再生燃焼領域の炭素状物質
    の析出量に応じて変化させ、再生燃焼領域における燃焼
    ピーク温度を所定温度範囲内に制御して、触媒に析出し
    た炭素状物質を前記酸素含有気体の流通方向に順次燃焼
    させることを特徴とする触媒再生方法。
  2. 【請求項2】 前記反応器を所定の条件で所定時間使用
    する毎に前記触媒の再生処理が実施され、前記所定時間
    毎に触媒に析出する炭素状物質の析出量分布を予め求め
    ると共に、前記変化させる酸素含有気体の酸素濃度を予
    め演算して演算データを記憶しておき、記憶したデータ
    に基づいて酸素含有気体の酸素濃度を順次変化させるこ
    とを特徴とする、請求項1記載の触媒再生方法。
JP04008520A 1992-01-21 1992-01-21 触媒再生方法 Expired - Fee Related JP3110838B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04008520A JP3110838B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 触媒再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04008520A JP3110838B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 触媒再生方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05192590A JPH05192590A (ja) 1993-08-03
JP3110838B2 true JP3110838B2 (ja) 2000-11-20

Family

ID=11695426

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04008520A Expired - Fee Related JP3110838B2 (ja) 1992-01-21 1992-01-21 触媒再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3110838B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013255738A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Ishii Iron Works Co Ltd 防災用シューズカバー

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5630987B2 (ja) * 2009-11-17 2014-11-26 中外炉工業株式会社 浸炭用ガス供給装置
WO2012091114A1 (ja) 2010-12-28 2012-07-05 株式会社日本触媒 アクリル酸および/またはそのエステルおよびその重合体の製法
EP2868648B1 (en) 2012-06-27 2019-02-20 Nippon Shokubai Co., Ltd. (meth)acrylic acid production method, and, hydrophilic resin production method
EP3395443A4 (en) 2015-12-25 2019-09-04 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha METHOD OF REGENERATING A CATALYST FOR BUTADIA PRODUCTION
CN117323921B (zh) * 2023-12-01 2024-02-27 中控技术股份有限公司 一种再生反应器氧含量控制方法及系统

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013255738A (ja) * 2012-06-14 2013-12-26 Ishii Iron Works Co Ltd 防災用シューズカバー

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05192590A (ja) 1993-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7201889B2 (en) Fuel reforming method and system
JP3110838B2 (ja) 触媒再生方法
CN103354888B (zh) 利用易燃气体和空气的低浓度气体混合物的具有稳定热能回收的方法以及用于实施所述方法的倒流装置
JP2004531079A5 (ja)
JP6853316B2 (ja) 脱硝装置
JP4145607B2 (ja) 多管式反応器を用いた気相接触酸化方法
US8728404B1 (en) Vessel for regeneration of a catalyst including monitoring and monitoring and control of combustion completion
JP2010111779A (ja) タール分解方法およびタール分解設備
US2344770A (en) Catalyst regeneration control
JP3118672B2 (ja) 可変熱流放射加熱手段によって加熱された閉鎖容器における、芳香族炭化水素の製造方法
EP4023986A1 (en) High-temperature fluid transporting pipeline with pipeline casing formed by heat exchange apparatus, suitable heat exchange apparatus and heat exchange method
JP5619785B2 (ja) アルカン脱水素化の廃熱から一定量の蒸気を生成する方法及び装置
Blasco et al. Catalyst sintering in fixed‐bed reactors: Deactivation rate and thermal history
JP5511592B2 (ja) プロセス流体の漏洩検知方法
EP0591856A1 (en) Pulsed air decoking
US7618255B2 (en) Apparatus and method for catalytic combustion
JP2019171339A (ja) 触媒再生方法
JP3155079B2 (ja) 1,2−ジクロルエタンの熱分解による塩化ビニルモノマーの製造方法
WO2003085320A1 (fr) Unité de combustion catalytique
EP0135357A2 (en) Reactor
RU2324534C2 (ru) Способ проведения химических реакций в псевдоизотермических условиях
CN214863413U (zh) 一种低碳烷烃脱氢反应器
JPS63141638A (ja) 多管式反応器
CN116628576B (zh) 用于热载体石灰窑的智能生产产量监测方法
JPH11263982A (ja) スタートアップ/シャットダウンの運転制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees