しかしながら、一般的なベビーカーには吊り下げベルトが備えられていない。このため、折り畳んだ状態のベビーカーを運搬する場合、運搬者はベビーカーのフレームを握持して提げ持つか、フレームを下から支えて持ち上げる必要があった。この結果、運搬者の手に加わる負担が増大するという問題があった。また、ベビーカーを手に持つため、ベビーカー以外の手荷物を持つこと、子供を連れ歩くこと等が困難であった。
更に、ベビーカーが吊り下げベルトを備える場合、吊り下げベルトを利用しない購入者にとっては、ベビーカーに備えられている吊り下げベルトが無駄になるという問題があった。また、吊り下げベルトを取り外し、吊り下げベルトが備えられていない他のベビーカーに取り付けて利用することができなかった。
本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、肩掛け用のベルトに連結されたフックを、ベビーカーのフレームに掛止する構成とすることにより、折り畳んだ状態のベビーカーを肩で保持して運搬する場合に、ベビーカーをベルトで吊り下げ、運搬者が、ベビーカーを吊り下げているベルトを肩に掛けて運搬することができるフック付きベルトを提供することを目的とする。
本考案の他の目的は、J字状又はU字状のフックの開口部(以下、フック開口という)を開閉するロック体を備えることにより、フックからフレームが脱離することを抑制することができるフック付きベルトを提供することにある。
本考案の他の目的は、フックが湾曲する板状であり、ロック体が可撓板を用いてなり、また、ロック体の一側部をフックの一端部近傍に連結し、中央部を他端部近傍外面側の凹所に挿脱し、他側部を係止溝に嵌脱する構成とすることにより、安定してフレームを支持することができ、フックに対するフレームの挿脱が容易であり、また、フック開口を簡易な構成で確実に閉鎖し、更に開放することができるフック付きベルトを提供することにある。
本考案の更に他の目的は、合成樹脂製のフック及びEVA樹脂製のロック体を備えることにより、フック及びロック体の製造が容易であり、また、ロック体の繰り返しの開閉に対する耐久性に優れるフック付きベルトを提供することにある。
第1考案に係るフック付きベルトは、ベビーカーのフレームに掛止されるフックと、該フックに連結してある肩掛け用のベルトとを備えることを特徴とする。
第2考案に係るフック付きベルトは、前記フックはJ字状又はU字状であり、前記フックの開口部を開放/閉鎖するロック体を備えることを特徴とする。
第3考案に係るフック付きベルトは、前記ロック体は長方形状の可撓板を用いてなり、前記ロック体の長手方向の一側部が前記フックの一端部近傍に連結してあり、前記長手方向の他側部の幅は、前記長手方向の中央部の幅に比べて広く、前記フックは湾曲する板状をなしており、前記フックの他端部近傍外面側に、前記中央部が挿脱される凹所と、該凹所を挟んで配され、前記他側部の幅方向両端部夫々が嵌脱可能に係止される2個の係止溝とを有することを特徴とする。
第4考案に係るフック付きベルトは、前記フックは合成樹脂製であり、前記ロック体はEVA樹脂製であることを特徴とする。
第1考案にあっては、肩掛け用のベルトがフックに連結してある。折り畳んだ状態のベビーカーを肩で保持して運搬する場合、フックをベビーカーのフレームに掛止し、ベルトを肩に掛けることによって、ベビーカーの運搬者がベビーカーをベルトで吊り下げ、ベビーカーを吊り下げているベルトを肩に掛けて運搬する。このため、運搬者がベビーカーを直接的に把持して持ち運ぶ必要がない。
第2考案にあっては、フックがJ字状又はU字状であるため、フックの一端部と他端部との間が湾曲している。また、フック開口、即ちフックの一端部と他端部とに挟まれるフックの開口部を、ロック体が開閉する。フック開口をロック体が開放している場合、運搬者はフックをフレームに掛止することが可能となる。また、フック開口をロック体が閉鎖している場合、フレームがフックから脱離することをロック体が抑制する。つまり、ロック体はフレームの抜け止めとして機能する。
第3考案にあっては、フックが湾曲する板状をなしているため、フックの幅が広く、この結果、フックとフックに掛止されたフレームとの接触面積が大きい。また、ロック体は可撓板を用いてなるため、フック開口の開放時に撓んでフック開口から退避する。この結果、ロック体はフックに対するフレームの挿脱を阻害しない。
また、ロック体は長方形状であり、ロック体の長手方向の一側部がフックの一端部近傍に連結してあり、長手方向の他側部の幅は、長手方向の中央部の幅に比べて広い。つまり、他側部の幅方向両端部は、中央部の幅方向両端部に比べて幅方向外側へ突出している。なお、中央部の幅と一側部の幅とは、同一でも異なっていても良い。
更に、フックの他端部近傍外面側には、凹所及び凹所の両側に配された2個の係止溝が配されている。
以上のことから、ロック体は、フックの凹所にロック体の中央部が挿入され、フックの2個の係止溝にロック体の他側部の幅方向両端部が夫々係止されることによって、フック開口を閉鎖する。この場合、係止溝には他側部が嵌入されるため、ロック体は係止溝に確実に係止され、ロック体が係止溝から脱離することが抑制される。一方、ロック体は、フックの凹所及び係止溝からロック体の中央部及び他側部が夫々離脱することによってフック開口を開放する。この場合、ロック体の一側部がフックに連結してあるため、ロック体がフックから脱離することがない。
第4考案にあっては、合成樹脂を用いてフックを形成する。また、EVA(エチレン・ビニール・アセテート)樹脂を用いてロック体を形成する。
第1考案のフック付きベルトによれば、運搬者が、ベビーカーを吊り下げているベルトを肩に掛けて運搬することができるため、運搬者の手に加わる負担を軽減することができ、しかも、運搬者はベビーカーを直接的に把持して持ち運ぶ必要がないため、ベビーカー以外の手荷物を持つこと、子供を連れ歩くこと等が容易であり、ベビーカー運搬の際の利便性を向上させることができる。
また、フックがベビーカーのフレームに掛止されるため、フックを掛止するための掛止部をベビーカー側に設けておく必要がなく、更に、肩掛け用のベルトをベビーカーに予め備えておく必要もない。この結果、本考案のフック付きベルトは一般的なベビーカーを運搬することができる。
また、フックがフレームに対して着脱可能であるため、一つのベビーカーを運搬したフック付きベルトを一つのベビーカーから取り外して他のベビーカーに取り付け、他のベビーカーを運搬することができる。しかも、ベビーカー以外(例えば手提げ袋の手提げ部)をフックに掛止し、ベルトを肩に掛けて持ち運ぶこともできる。
第2考案のフック付きベルトによれば、ロック体がフック開口を開閉するため、フック開口が開放されている場合、運搬者はフックをフレームに掛止することができ、フック開口が閉鎖されている場合、フックに対するフレームの脱離を抑制することができる。以上の結果、本考案のフック付きベルトは、ベビーカーのフレームに対してフックを簡易に、しかも確実に掛止することができる。このため、例えば運搬中のベビーカーに他物が衝突した場合でも、肩からベルトで吊り下げたベビーカーが落下することを防止することができる。つまり、ベビーカー運搬の際の利便性及び安全性を向上させることができる。
第3考案のフック付きベルトによれば、フックが湾曲する板状であるため、フレームとの接触面積が大きく、安定してフレームを支持することができる。また、フック開口の開放時に、可撓板を用いてなるロック体が撓んでフック開口から退避することができるため、フック開口を十分に広く開放することができ、フックに対して容易にフレームを挿脱することができる。
また、その一側部がフックの一端部近傍に連結され、他側部の幅が中央部の幅より広い長方形状のロック体と、凹所及び2個の係止溝を有するフックとを備える簡易な構成で、中央部を凹所に挿入し、他側部を係止溝に嵌入して係止することによってフック開口を確実に閉鎖することができ、更に、中央部及び他側部が凹所及び係止溝から離脱することによってフック開口を容易に開放することができる。
また、凹所及び係止溝はフックの他端部近傍外面側に形成してあるため、凹所及び係止溝がフックの内面側に形成してある場合より、凹所に対する中央部の挿脱、及び係止溝に対する他側部の嵌脱が容易である。
第4考案のフック付きベルトによれば、合成樹脂を用いてフック及びロック体夫々を成型することができるため、フック及びロック体を容易に製造することができる。また、ロック体はEVA樹脂製であるため、柔軟性、耐久性に優れており、フック開口の開放時に容易に変形してフック開口から退避することができ、また、繰り返しの開閉に対する耐久性に優れている。
以下、本考案を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本考案に係るフック付きベルト4を用いてベビーカー5を運搬している状態を示す斜視図であり、図2は、フック付きベルト4の構成を示す斜視図である。フック付きベルト4は、ポリプロピレンのような合成樹脂を用いて成型してあるJ字状のフック1と、織布を用いて適宜の長さ及び幅を有するよう形成してある肩掛け用のベルト2と、ロック体3とを備え、ロック体3は、フック開口、即ちフック1の一端部であるフック基端部11と他端部であるフック先端部12とに挟まれるフック1の開口部を開放/閉鎖する。図3は、フック開口が閉鎖されている状態を示す斜視図であり、図4は、フック開口が開放されている状態を示す斜視図である。ただし、図4におけるベルト2の図示は省略してある。
ベビーカー5は、折り畳んだ状態で運搬可能な一般的なベビーカーであり、金属、合成樹脂等を用いてなる複数のパイプ状部材で構成されたフレーム50を備え、更に、フレーム50の下部に設けられた複数の車輪、フレーム50の中央部にハンモック状に設けられた座席等を備える。フック1は、ベビーカー5のフレーム50の一部に掛止され、この場合、フック1が掛止してあるフレーム50は、フック1内部を横貫する。図1でフック1が掛止してある部分は、ベビーカー5の上部に配されるベビーカー5の手押し部である。
フック1は、適宜の幅及び厚みを有する板状であり、夫々平板状のフック基端部11及びフック先端部12の間が湾曲して略J字に形成されている。フック1がベビーカー5のフレーム50に掛止された場合、フレーム50は、フック1の湾曲部内面に支持される。フック1の湾曲部は板状であるため幅が広く、このため、フック1とフレーム50との接触面積が大きい。
ロック体3は、EVA樹脂を用いて成型してある柔軟な可撓板であり、このため、容易に撓んで変形し、適宜の弾性を有し、しかも繰り返しの変形に対する耐久性に優れている。フック1のフック基端部11の幅方向中央部には、ベルト2が挿入されるスリット状のベルト挿入孔11aが幅方向に形成してあり、ベルト挿入孔11aからフック1の湾曲部側(以下、下側という)へ適長離隔した位置に、ベルト挿入孔11aに略平行にスリット状の孔が形成してある。この孔に、ロック体3の長手方向の一側部が嵌め込んである。
更に詳細には、ロック体3は、第1広幅部31、第1広幅部31と略等幅の第2広幅部32、及び第1広幅部31の幅方向中央部と第2広幅部32の幅方向中央部とを連結する細幅部33が一体に形成された長方形状である。第2広幅部32はロック体3の長手方向の一側部であり、フック基端部11近傍に形成されたスリット状の孔に嵌め込んで固定してある。つまり、ロック体3の長手方向の一側部がフック1のフック基端部11近傍に連結してある。この場合、第2広幅部32の幅方向がフック1の幅方向に一致するようにしてある。
また、第1広幅部31はロック体3の長手方向の他側部であり、細幅部33はロック体3の長手方向の中央部である。第1広幅部31の幅は、細幅部33の幅に比べて広く形成してある。
フック1は、フック先端部12の近傍外面側に、凹所121と、凹所121を挟んで配されている2個の係止溝122,122とを有する。具体的には、フック先端部12周縁に沿ってフック先端部12の厚さ方向外側へ突出する縦断面の(幅方向に対して垂直な断面の)形状が倒立L字状の凸条部がフック先端部12に一体的に形成してあり、この凸条部の中央部を欠除するようにして凹所121が形成してあり、凸条部の内面とフック先端部12の外面とに囲まれた空隙が係止溝122,122である。係止溝122,122は、夫々下側に向けて開口しており、更に、夫々フック1の幅方向中央部側に向けて、即ち凹所121に臨んで開口している。凸条部はフック1の成型時に一体形成されるため、フック1の製造は容易である。
係止溝122,122には、係止溝122,122夫々の下側及び凹所121側の開口から嵌脱可能に第1広幅部31の幅方向両端部が係止される。このために、係止溝122,122夫々の溝幅は、第1広幅部31の厚みに略等しい。また、凹所121には、細幅部33が挿脱される。このために、凹所121の幅、即ち係止溝122,122間の離隔距離は、細幅部33の幅に略等しい。
第1広幅部31は、ロック体3の開閉操作を行なう際に運搬者が摘持する摘持部でもあり、第1広幅部31の表面には、運搬者が摘持する際の滑り止めとなる凸条部31a,31aがロック体3の幅方向に形成してある。運搬者が第1広幅部31を摘持する場合、第1広幅部31表面の凸条部31a,31aが第1広幅部31表面の摩擦力を増大しているため、運搬者の指先が第1広幅部31表面で滑ることが抑制される。
フック開口が開放されている場合、運搬者は、まず、第1広幅部31を手前側に、フック1を奥側に配し、次に、凹所121に細幅部33を合わせて、ロック体3を手前側及び下側に引っ張る。このとき、運搬者は、凹所121に細幅部33に挿入し、左右の係止溝122,122に第1広幅部31の幅方向両端上部を嵌入する。第1広幅部31の嵌入の際、ロック体3を下側に引っ張りつつ左右に傾斜させることによって、第1広幅部31は容易に係止溝122,122に嵌入される。
第1広幅部31の嵌入後、運搬者が第1広幅部31から手を離したとき、手前側及び下側に引っ張られていたロック体3が、ロック体3の弾性によって上側へ移動し、このため、第1広幅部31は確実に係止溝122,122に嵌入される。なお、運搬者が第1広幅部31を押し上げて第1広幅部31を確実に係止溝122,122に嵌入しても良い。
凹所121に対する細幅部33の挿入、及び係止溝122,122に対する第1広幅部31の嵌入によって、第1広幅部31は確実に係止溝122,122に係止される。この結果、例えば、フック1に掛止されたフレーム50が、フック1の内側から外側へ向けてロック体3の内面に衝突した場合や、第1広幅部31に他物が引っ掛かった場合等でも、第1広幅部31の係止溝122,122に対する係止は解除されない。つまり、ロック体3は、フレーム50がフック1から(又はフック1がフレーム50から)脱離することを抑制する。
フック開口が閉鎖されている場合、運搬者は、まず、第1広幅部31を手前側に、フック1を奥側に配し、次に、ロック体3を手前側及び下側(図3中白抜矢符方向)に引っ張る。次いで、運搬者は、左右の係止溝122,122から第1広幅部31を離脱させる。第1広幅部31の離脱の際、ロック体3を下側に引っ張りつつ左右に傾斜させることによって、第1広幅部31は容易に係止溝122,122から離脱される。
最後に、運搬者は、第1広幅部31を上側及び奥側(図4中白抜矢符方向)へ持ち上げて、凹所121から細幅部33を離脱させ、更に、ロック体3を奥側へ押し倒す。このとき、フック開口が開放され、運搬者はフック1をフレーム50に掛止することが可能となる。しかも、ロック体3を奥側へ退避するため、フック1に対するフレーム50の挿脱時にロック体3が邪魔になることが防止される。また、第2広幅部32がフック基端部11近傍に固定してあるため、フック開口の開放時にロック体3がフック1から脱離することがない。この結果、ロック体3をフック1とは別個に管理する必要がなく、ロック体3の遺失が防止されている。
ところで、ベルト2は、フック1のフック基端部11に連結してあり、肩掛け部20を有する。具体的には、ベルト2の一端をベルト挿入孔11aに挿入し、挿入した一端を180°折り返して、折り返した一端とベルト2との重なり部分を逢着することによって、ベルト2はフック基端部11に連結されている。
また、ベルト2は、合成樹脂を用いて成型してあるアジャスタ(調整器)21を備えており、アジャスタ21は、ベルト2に沿って図2中矢符方向に摺動可能に設けてある。ベルト2の他端はアジャスタ21に連結されており、このため、ベルト2は、ベルト2の他端からアジャスタ21が位置するベルト2の中途までループ状に形成されている。肩掛け部20は、ベルト2のループ状に形成された部分であり、このような肩掛け部20の周長は、アジャスタ21によって調整可能である。
肩掛け部20は、柔軟な合成ゴムを用いて成型してある肩当パッド200を備えており、肩当パッド200は、ベルト2に沿って図2中白抜矢符方向に摺動可能に設けてある。肩当パッド200の裏面(肩掛け部20内面側の面)には、複数の小さな突起が設けられており、これらの突起が肩当パッド200の運搬者の肩に対する摩擦力を向上している。
運搬者は、肩掛け部20に片腕を通し、肩当パッド200を自身の肩に置くことによって、フック付きベルト4を肩から垂下させる。この場合、運搬者は、アジャスタ21の位置を図2中矢符方向に移動させることによって肩掛け部20の垂下長さ、ひいてはフック付きベルト4の垂下長さを適宜に調節し、肩当パッド200を図2中白抜矢符方向に移動させることによって肩当パッド200の位置を適宜に調節する。
折り畳んだ状態のベビーカー5を肩で保持して運搬する場合、運搬者は、フック1をフレーム50に掛止し、肩掛け部20を肩に掛けることによって、ベビーカー5をベルト2で吊り下げ、ベビーカー5を吊り下げているベルト2を肩に掛けて運搬する。このため、運搬者がベビーカー5を直接的に把持して持ち運ぶ必要はない。
以上のようなフック付きベルト4を用いて、ベビーカー5の運搬者は、折り畳んだ状態のベビーカー5を肩で保持して運搬することができるため、運搬者の手に加わる負担を軽減することができる。
また、ベルト2が適宜の幅を有し、しかも柔軟な肩当パッド200が付いているため、運搬者の肩に加えられる負荷を軽減することができる。更に、肩当パッド200の裏面に形成してある複数の突起によって、肩当パッド200がベルト2と運搬者の肩との間の滑り止めとして機能し、ベビーカー5運搬の際のベルト2の位置ずれを抑制して、運搬者の負担を軽減することができる。
また、運搬者はベビーカー5を直接的に把持して持ち運ぶ必要がないため、ベビーカー5以外の手荷物を持つこと、子供を連れ歩くこと等が容易である。
更に、フック1がフレーム50に着脱可能に掛止されるため、フック1を掛止するための掛止部をベビーカー5側に設けておく必要がなく、ベルト2をベビーカー5に予め備えておく必要もない。この結果、フック付きベルト4は一般的なベビーカー5を運搬することができ、一つのベビーカー5を運搬したフック付きベルト4を一つのベビーカー5から取り外して他のベビーカー5に取り付け、他のベビーカー5を運搬することもできる。
つまり、フック付きベルト4は、汎用のベビーカー吊り下げベルトとして機能する。このため、吊り下げベルトを備えるベビーカーを購入する必要がなく、購入したベビーカーに後からフック付きベルト4を追加することもできる。また、例えば吊り下げベルトを備えるベビーカーの吊り下げベルトの破損時又は遺失時に、フック付きベルト4で代用することができる。
更に、ロック体3によってフック開口を容易に開閉することができるため、フレーム50に対してフック1を簡便に、しかも確実に掛止することができる。この結果、例えば運搬中のベビーカー5に他物が衝突した場合でも、肩からベルト2で吊り下げたベビーカー5が落下することを防止することができる。また、フック1とフレーム50との接触面積が大きいため、フック1が安定してフレーム50を支持することができる。
更に、凹所121及び係止溝122,122はフック1のフック先端部12の外面に形成してあるため、凹所121及び係止溝122,122がフック1の内面に形成してある場合より、凹所121に対する細幅部33の挿脱、及び係止溝122,122に対する第1広幅部31の嵌脱が容易である。
また、第1広幅部31及び細幅部33は一体成型されているため、第1広幅部31がロック体3から脱離することが抑制され、しかも、ロック体3の構造は簡易であり、製造が容易である。更に、係止溝122,122は、フック1を厚さ方向に穿って設けられた孔又は穴ではないため、フック1にフレーム50が掛止されてベビーカー5の重量がフック1に加えられた場合でも、負荷が係止溝122,122に集中して係止溝122,122からフック1が破損することが抑制される。つまり、フック1とロック体3とによるフック開口の開閉機構は耐久性に優れている。
なお、運搬者は、2本のフック付きベルト4を用いてベビーカー5を吊り下げても良い。この場合、例えばフレーム50にフック1,1を掛止し、一方のフック付きベルト4のベルト2を右肩に、他方のフック付きベルト4のベルト2を左肩に掛けて、ベビーカー5を運搬する。
また、1本のフック付きベルト4に関し、その長さの調節が可能なベルト2の両端に、フック1,1が連結してある構成でも良い。この場合、運搬者は、例えば一方のフック1をベビーカー5の一側部上側のフレーム50に、他方のフック1をベビーカー5の一側部下側のフレーム50に掛止し、フック1,1間のベルト2に腕を通して、ベビーカー5を横倒しにして運搬する。
又は、運搬者は、フック1,1を備えるフック付きベルト4を2本用い、フック付きベルト4,4夫々の一方のフック1,1をベビーカー5の両側部上側のフレームに、他方のフック1,1をベビーカー5の両側部下側のフレームに掛止し、フック1,1間のベルト2,2に両腕を通して、ベビーカー5を背負って運搬する。
更に、フック付きベルト4を用いてベビーカー以外の荷物を運搬しても良い。この場合、フック1に、例えば手提げ袋の手提げ部を掛止し、ベルト2を運搬者の肩に掛けて運搬する。
また、フック1及びロック体3に係止溝122,122及び第1広幅部31を設ける代わりに、ボタン及びボタンホール、面ファスナなどの留め具を設けて開閉機構を構成しても良い。また、第2広幅部32を設けず、細幅部33をフック1に連結しても良い。更に、フック1は略J字の板状に限らず、例えば湾曲した棒状でも良く、フック基端部11及びフック先端部12の間が湾曲して略U字に形成されていても良い。また、ベルト2は織布製に限らず、例えば合皮製でも良い。更に、凹所121及び係止溝122,122の形状も、これらに限るものではなく、例えばフック1の厚さ方向に貫通する凹所、フック1の厚さ方向に開口する係止溝等でも良い。