JP3109290B2 - 箔スクラップからのアルミニウム回収方法 - Google Patents
箔スクラップからのアルミニウム回収方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム箔のスク
ラップからアルミニウムを溶融金属として回収する方法
に関する。
ラップからアルミニウムを溶融金属として回収する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは、ボーキサイト等の原料
を溶融塩電解して製造されているが、電力消費量が非常
に高い。電力消費量の節減を図ると共に資源の有効利用
及び環境問題を考慮して、使用済みのアルミニウムを再
生して使用することも検討されている。アルミニウムの
再利用には、アルミニウムスクラップを加熱炉で溶解
し、金属アルミニウムを溶出させ、アルミニウムインゴ
ットとして回収することが一般的な方法である。また、
アルミニウムスクラップを溶融塩浴に供給し、溶解した
金属アルミニウムをセラミックスフィルターで濾別回収
することが、特開昭60−208491号公報で紹介さ
れている。得られた溶融金属アルミニウムは、次いで精
練用電解槽に送られる。
を溶融塩電解して製造されているが、電力消費量が非常
に高い。電力消費量の節減を図ると共に資源の有効利用
及び環境問題を考慮して、使用済みのアルミニウムを再
生して使用することも検討されている。アルミニウムの
再利用には、アルミニウムスクラップを加熱炉で溶解
し、金属アルミニウムを溶出させ、アルミニウムインゴ
ットとして回収することが一般的な方法である。また、
アルミニウムスクラップを溶融塩浴に供給し、溶解した
金属アルミニウムをセラミックスフィルターで濾別回収
することが、特開昭60−208491号公報で紹介さ
れている。得られた溶融金属アルミニウムは、次いで精
練用電解槽に送られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有価金属として回収さ
れる資源として、化成箔,エッチング箔,プレーン箔等
の箔スクラップがある。化成箔スクラップを回収原料と
するとき、箔スクラップを加圧して塊状に成形した後、
加熱炉で700℃に加熱して溶融金属としてアルミニウ
ムを回収する。しかし、このときの歩留りは、20%程
度に過ぎない。エッチング箔からも同様な方法で金属ア
ルミニウムが回収されるが、たとえば70μm程度の厚
みをもつエッチング箔が金属アルミニウムとなる歩留り
は60%程度に留まる。また、同様なプレーン箔から金
属アルミニウムが回収される歩留りは、60%未満であ
る。
れる資源として、化成箔,エッチング箔,プレーン箔等
の箔スクラップがある。化成箔スクラップを回収原料と
するとき、箔スクラップを加圧して塊状に成形した後、
加熱炉で700℃に加熱して溶融金属としてアルミニウ
ムを回収する。しかし、このときの歩留りは、20%程
度に過ぎない。エッチング箔からも同様な方法で金属ア
ルミニウムが回収されるが、たとえば70μm程度の厚
みをもつエッチング箔が金属アルミニウムとなる歩留り
は60%程度に留まる。また、同様なプレーン箔から金
属アルミニウムが回収される歩留りは、60%未満であ
る。
【0004】箔スクラップからの回収率がこのように低
いことは、箔表面に酸化皮膜等が形成されており、金属
状態でスクラップ中に存在する割合が低いことに原因が
ある。たとえば、陽極酸化された化成箔にあっては、箔
の厚さにもよるが金属分は箔の50%以下となることが
ある。しかも、酸素親和力が大きい金属であること及び
比表面積が大きな箔状態であることから、加熱炉で箔ス
クラップを加熱溶融する過程で容易に酸化を受け、アル
ミナとなって金属アルミニウムの回収率を低下させる。
酸化・燃焼したアルミニウムは、溶解しない滓として残
留し、溶解した金属アルミニウムを搦め捕る。これによ
っても、金属アルミニウムの回収率が低下する。更に、
箔表面にある酸化物皮膜が箔スクラップの溶解を遅ら
せ、生産性を低下させる。
いことは、箔表面に酸化皮膜等が形成されており、金属
状態でスクラップ中に存在する割合が低いことに原因が
ある。たとえば、陽極酸化された化成箔にあっては、箔
の厚さにもよるが金属分は箔の50%以下となることが
ある。しかも、酸素親和力が大きい金属であること及び
比表面積が大きな箔状態であることから、加熱炉で箔ス
クラップを加熱溶融する過程で容易に酸化を受け、アル
ミナとなって金属アルミニウムの回収率を低下させる。
酸化・燃焼したアルミニウムは、溶解しない滓として残
留し、溶解した金属アルミニウムを搦め捕る。これによ
っても、金属アルミニウムの回収率が低下する。更に、
箔表面にある酸化物皮膜が箔スクラップの溶解を遅ら
せ、生産性を低下させる。
【0005】溶融塩浴を使用した特開昭60−2084
91号公報の方法でも、スクラップからアルミニウムの
溶出回収は円滑に行われるものの、金属状態にない酸化
物等としてスクラップ中に存在するアルミニウム分は回
収されない。そのため、依然として回収率が低い。本発
明は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、スクラップ中に存在する金属状のアルミニウム分を
溶解して回収すると共に酸化物等の化合状態にあるアル
ミニウム分を金属状態に電解還元することにより、非常
に高い回収率で箔スクラップから金属アルミニウムを回
収することを目的とする。
91号公報の方法でも、スクラップからアルミニウムの
溶出回収は円滑に行われるものの、金属状態にない酸化
物等としてスクラップ中に存在するアルミニウム分は回
収されない。そのため、依然として回収率が低い。本発
明は、このような問題を解消すべく案出されたものであ
り、スクラップ中に存在する金属状のアルミニウム分を
溶解して回収すると共に酸化物等の化合状態にあるアル
ミニウム分を金属状態に電解還元することにより、非常
に高い回収率で箔スクラップから金属アルミニウムを回
収することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム回
収方法は、その目的を達成するため、コイル状に巻き取
ったアルミニウム箔スクラップ又は塊状に加圧成形した
アルミニウム箔スクラップを溶融塩電解炉の電解浴に押
し込み、電解浴中で酸化アルミニウム分を溶解後電気分
解し、箔中金属アルミニウム分と共に溶融金属アルミニ
ウムとして回収することを特徴とする。電解浴として
は、酸化物に対する溶解能が大きなフッ化物系を使用す
ることが好ましい。また、硼酸を使用した化成処理を受
けた箔スクラップは、その投入量に応じて電気製錬炉に
チャージされる硼素の量がコントロールされるため、所
定の成分・組成をもつAl−B合金を製造することも可
能である。
収方法は、その目的を達成するため、コイル状に巻き取
ったアルミニウム箔スクラップ又は塊状に加圧成形した
アルミニウム箔スクラップを溶融塩電解炉の電解浴に押
し込み、電解浴中で酸化アルミニウム分を溶解後電気分
解し、箔中金属アルミニウム分と共に溶融金属アルミニ
ウムとして回収することを特徴とする。電解浴として
は、酸化物に対する溶解能が大きなフッ化物系を使用す
ることが好ましい。また、硼酸を使用した化成処理を受
けた箔スクラップは、その投入量に応じて電気製錬炉に
チャージされる硼素の量がコントロールされるため、所
定の成分・組成をもつAl−B合金を製造することも可
能である。
【0007】
【作 用】本発明においては、たとえば図1に示す溶融
塩電解炉10が使用される。溶融塩電解炉10は、陰極
ブスバー11に接続された陰極カーボン12を炉体13
の底部に配置している。炉体13は、耐熱性及び断熱性
に優れた耐火物で構築されており、上部がトッププレー
ト14となっている。陽極カーボン15は、陰極カーボ
ン12に対向して配置されており、陽極16に接続され
ている。炉体13の内部には、陰極カーボン12と陽極
カーボン15との間に溶融塩20がチャージされてい
る。溶融塩20の表面は、アルミナ21で覆われてい
る。陰極カーボン12と陽極カーボン15との間に流れ
る電流によって溶融塩20に溶解した酸化アルミニウム
(アルミナ)が電解還元される。電解還元によって生じ
た金属アルミニウムは、溶融塩20中を陰極カーボン1
2上に沈降し、メタルプール22を形成する。炉体13
の内壁面には、電解浴及びアルミナが混合して凝固した
クラスト25が形成される。溶融塩20とアルミナ21
との界面にも、同様なクラスト26が形成される。
塩電解炉10が使用される。溶融塩電解炉10は、陰極
ブスバー11に接続された陰極カーボン12を炉体13
の底部に配置している。炉体13は、耐熱性及び断熱性
に優れた耐火物で構築されており、上部がトッププレー
ト14となっている。陽極カーボン15は、陰極カーボ
ン12に対向して配置されており、陽極16に接続され
ている。炉体13の内部には、陰極カーボン12と陽極
カーボン15との間に溶融塩20がチャージされてい
る。溶融塩20の表面は、アルミナ21で覆われてい
る。陰極カーボン12と陽極カーボン15との間に流れ
る電流によって溶融塩20に溶解した酸化アルミニウム
(アルミナ)が電解還元される。電解還元によって生じ
た金属アルミニウムは、溶融塩20中を陰極カーボン1
2上に沈降し、メタルプール22を形成する。炉体13
の内壁面には、電解浴及びアルミナが混合して凝固した
クラスト25が形成される。溶融塩20とアルミナ21
との界面にも、同様なクラスト26が形成される。
【0008】アルミニウム源として再使用される箔スク
ラップは、コイル状に巻かれ或いは塊状に加圧成形した
箔スクラップ30としてトッププレート14の上に置か
れ、溶融塩電解炉10からの放射熱によって予熱され
る。これにより、箔スクラップ30に含まれている水分
が除去される。なお、予熱に別途の加熱炉を使用し、箔
スクラップ30を100℃以上の高温に保持して置き、
加熱炉から予熱済みの塊状箔スクラップを適宜取り出し
て溶融塩電解炉に投入することも可能である。予熱され
た箔スクラップ30を電解浴に装入するとき、浴表面を
覆っているアルミナ21及びクラスト26を電解浴中に
押し込んで溶かし込み、電解浴表面を露出させる。そし
て、押込み工具31を使用し、露出した温度約980℃
以下の電解浴の浴面32から箔スクラップ33を溶融塩
20中に徐々に押し込む。箔スクラップ33の装入と同
時に、フレッシュアルミナを投入することが好ましい。
フレッシュアルミナは、電解浴の表面を覆うことにより
電解浴からの放熱を抑制すると共に、押し込まれた箔ス
クラップ33の一部が電解浴表面に露出し外気との接触
によって酸化することを防止する。なお、本発明におい
ては、箔スクラップ中の酸化物がアルミナとして補給さ
れるため、通常のアルミニウム溶融塩電解に比較してフ
レッシュアルミナの使用量を節減することができる。
ラップは、コイル状に巻かれ或いは塊状に加圧成形した
箔スクラップ30としてトッププレート14の上に置か
れ、溶融塩電解炉10からの放射熱によって予熱され
る。これにより、箔スクラップ30に含まれている水分
が除去される。なお、予熱に別途の加熱炉を使用し、箔
スクラップ30を100℃以上の高温に保持して置き、
加熱炉から予熱済みの塊状箔スクラップを適宜取り出し
て溶融塩電解炉に投入することも可能である。予熱され
た箔スクラップ30を電解浴に装入するとき、浴表面を
覆っているアルミナ21及びクラスト26を電解浴中に
押し込んで溶かし込み、電解浴表面を露出させる。そし
て、押込み工具31を使用し、露出した温度約980℃
以下の電解浴の浴面32から箔スクラップ33を溶融塩
20中に徐々に押し込む。箔スクラップ33の装入と同
時に、フレッシュアルミナを投入することが好ましい。
フレッシュアルミナは、電解浴の表面を覆うことにより
電解浴からの放熱を抑制すると共に、押し込まれた箔ス
クラップ33の一部が電解浴表面に露出し外気との接触
によって酸化することを防止する。なお、本発明におい
ては、箔スクラップ中の酸化物がアルミナとして補給さ
れるため、通常のアルミニウム溶融塩電解に比較してフ
レッシュアルミナの使用量を節減することができる。
【0009】箔スクラップ33の押込み過程で、箔スク
ラップ33は、溶融塩20によって表面が酸化されるこ
となく、溶融塩20中に溶け込む。このとき、フッ化物
系の浴で処理した酸化アルミニウム等のアルミナ分は、
塩化物系浴で処理した場合よりも大きな溶解能力を示
す。この点、回収率を一層向上させるため、フッ化物系
の浴で処理することが好ましい。押し込まれた箔スクラ
ップ33のうち、金属分は、そのまま沈降して、溶融塩
20の電気分解によって生成した溶融アルミニウムと共
に炉底のメタルプール22に入る。酸化アルミニウム等
の化合状態のアルミニウム分は、溶融塩電解による電気
分解を受け、金属状態に還元される。たとえば、酸化ア
ルミニウムは、次のようにアルミナの電気分解と同じ分
解反応を受け、金属アルミニウムとして回収される。 Al2 O3 →2Al↓+3/2O2 O2 +C→CO2 ↑
ラップ33は、溶融塩20によって表面が酸化されるこ
となく、溶融塩20中に溶け込む。このとき、フッ化物
系の浴で処理した酸化アルミニウム等のアルミナ分は、
塩化物系浴で処理した場合よりも大きな溶解能力を示
す。この点、回収率を一層向上させるため、フッ化物系
の浴で処理することが好ましい。押し込まれた箔スクラ
ップ33のうち、金属分は、そのまま沈降して、溶融塩
20の電気分解によって生成した溶融アルミニウムと共
に炉底のメタルプール22に入る。酸化アルミニウム等
の化合状態のアルミニウム分は、溶融塩電解による電気
分解を受け、金属状態に還元される。たとえば、酸化ア
ルミニウムは、次のようにアルミナの電気分解と同じ分
解反応を受け、金属アルミニウムとして回収される。 Al2 O3 →2Al↓+3/2O2 O2 +C→CO2 ↑
【0010】すなわち、従来の箔スクラップからのアル
ミニウムの回収は、酸化物等の化合状態にあるアルミニ
ウム分を除く金属分のみを回収対象としているため、回
収率が約30%と非常に低い。これに対し、本発明にあ
っては、酸化物等の化合状態にあるアルミニウム分も電
気分解されて金属状態で回収される。その結果、箔スク
ラップ中の酸化皮膜や再酸化アルミニウムをも資源とし
て利用するため、非常に高い回収率で金属アルミニウム
が得られる。
ミニウムの回収は、酸化物等の化合状態にあるアルミニ
ウム分を除く金属分のみを回収対象としているため、回
収率が約30%と非常に低い。これに対し、本発明にあ
っては、酸化物等の化合状態にあるアルミニウム分も電
気分解されて金属状態で回収される。その結果、箔スク
ラップ中の酸化皮膜や再酸化アルミニウムをも資源とし
て利用するため、非常に高い回収率で金属アルミニウム
が得られる。
【0011】
実施例1:(化成箔) 溶融塩電解炉10として、定格電流55kAの横型電解
炉を使用し、氷晶石85%,フッ化アルミ5%及びフッ
化カルシウム10%の溶融塩20を調製した。溶融塩2
0は、陰極カーボン12と陽極カーボン15との間に2
50KWの電力を供給することにより、温度970℃に
保持した。箔スクラップとして、厚みが平均70μmの
化成箔を使用した。この化成箔には、金属状態のアルミ
ニウム分が70%,γ−アルミナ(Al2 O3・H2 O)
状態のアルミニウム分が30%含まれていた。化成箔を
内径50mm,外径200mm及び高さ500mmのコ
イル状に巻き取り、1個当り15kgの箔スクラップ3
0を用意した。なお、円筒状に成形できない箔スクラッ
プは、高さ100mm,縦250mm及び横500mm
の直方体状に加圧成形した。
炉を使用し、氷晶石85%,フッ化アルミ5%及びフッ
化カルシウム10%の溶融塩20を調製した。溶融塩2
0は、陰極カーボン12と陽極カーボン15との間に2
50KWの電力を供給することにより、温度970℃に
保持した。箔スクラップとして、厚みが平均70μmの
化成箔を使用した。この化成箔には、金属状態のアルミ
ニウム分が70%,γ−アルミナ(Al2 O3・H2 O)
状態のアルミニウム分が30%含まれていた。化成箔を
内径50mm,外径200mm及び高さ500mmのコ
イル状に巻き取り、1個当り15kgの箔スクラップ3
0を用意した。なお、円筒状に成形できない箔スクラッ
プは、高さ100mm,縦250mm及び横500mm
の直方体状に加圧成形した。
【0012】個々の箔スクラップ30をそれぞれ木製パ
レット上に保持し、1日の投入分150kgを用意し
た。木製パレットを1日3回、50kgづつ溶融塩電解
炉10のトッププレート14上に載置し、この状態に8
時間放置した。箔スクラップ30は、溶融塩電解炉10
からの放熱によって予熱され、工場内の雰囲気温度(4
0℃)から200℃の温度まで昇温した。この予熱工程
で、箔スクラップ30に含まれていた水分は完全に除去
された。
レット上に保持し、1日の投入分150kgを用意し
た。木製パレットを1日3回、50kgづつ溶融塩電解
炉10のトッププレート14上に載置し、この状態に8
時間放置した。箔スクラップ30は、溶融塩電解炉10
からの放熱によって予熱され、工場内の雰囲気温度(4
0℃)から200℃の温度まで昇温した。この予熱工程
で、箔スクラップ30に含まれていた水分は完全に除去
された。
【0013】予熱完了した箔スクラップ30は、クラス
ト26を割って露出させた電解浴表面32から溶融塩2
0中に押し込んだ。箔スクラップ33の投入によって、
電解製錬で得られる金属アルミニウムの生産量に増加が
みられた。増加分を箔スクラップ33に由来するものと
推定し、箔スクラップ33から金属アルミニウムの回収
率を算出した。得られた回収率は、80%であった。こ
の回収率は、箔スクラップに金属状態で含まれているア
ルミニウム分(70%)より多く、Al2 O3 状態のア
ルミニウム分が電解還元され併せて回収されたことを意
味する。
ト26を割って露出させた電解浴表面32から溶融塩2
0中に押し込んだ。箔スクラップ33の投入によって、
電解製錬で得られる金属アルミニウムの生産量に増加が
みられた。増加分を箔スクラップ33に由来するものと
推定し、箔スクラップ33から金属アルミニウムの回収
率を算出した。得られた回収率は、80%であった。こ
の回収率は、箔スクラップに金属状態で含まれているア
ルミニウム分(70%)より多く、Al2 O3 状態のア
ルミニウム分が電解還元され併せて回収されたことを意
味する。
【0014】実施例2:(エッチング箔) 箔スクラップとして、厚みが平均70μmのエッチング
箔を使用した。このエッチング箔は、表面に酸化物皮膜
が形成されておらず、実質的に純度100%のアルミニ
ウム資源である。箔スクラップを実施例1と同様に塊状
箔スクラップに加圧成形し、実施例1と同じ条件下で溶
融塩電解炉に投入した。この場合の回収率は、95%で
あった。
箔を使用した。このエッチング箔は、表面に酸化物皮膜
が形成されておらず、実質的に純度100%のアルミニ
ウム資源である。箔スクラップを実施例1と同様に塊状
箔スクラップに加圧成形し、実施例1と同じ条件下で溶
融塩電解炉に投入した。この場合の回収率は、95%で
あった。
【0015】実施例3:(プレーン箔) 箔スクラップとして、厚みが平均70μmのプレーン箔
を使用した。このプレーン箔は、厚み0.5μmのγ−
アルミナ層が2層に形成されており、金属状態のアルミ
ニウム分が98.9%であった。箔スクラップを実施例
1と同様に塊状箔スクラップに加圧成形し、実施例1と
同じ条件下で溶融塩電解炉に投入した。この場合の回収
率は、93%であった。また、実施例1〜3共に、箔ス
クラップを継続投入しても金属アルミニウムとしての回
収に変化がみられず、高い回収率が維持された。
を使用した。このプレーン箔は、厚み0.5μmのγ−
アルミナ層が2層に形成されており、金属状態のアルミ
ニウム分が98.9%であった。箔スクラップを実施例
1と同様に塊状箔スクラップに加圧成形し、実施例1と
同じ条件下で溶融塩電解炉に投入した。この場合の回収
率は、93%であった。また、実施例1〜3共に、箔ス
クラップを継続投入しても金属アルミニウムとしての回
収に変化がみられず、高い回収率が維持された。
【0016】比較例:(加熱炉による箔スクラップの溶
融) 加熱炉で箔スクラップを700℃に加熱し、金属アルミ
ニウム分を溶出させてアルミニウムインゴットとして回
収した。加熱溶融される箔スクラップとしては、実施例
1と同様に塊状に加圧成形したものを使用した。この場
合の回収率は、次の通りであった。箔の種類 金属Al分 回収率 化成箔 70% 20% エッチング箔 100% 60% プレーン箔 98.9% 80%
融) 加熱炉で箔スクラップを700℃に加熱し、金属アルミ
ニウム分を溶出させてアルミニウムインゴットとして回
収した。加熱溶融される箔スクラップとしては、実施例
1と同様に塊状に加圧成形したものを使用した。この場
合の回収率は、次の通りであった。箔の種類 金属Al分 回収率 化成箔 70% 20% エッチング箔 100% 60% プレーン箔 98.9% 80%
【0017】この対比から明らかなように、本発明に従
った実施例では、非常に高い回収率で金属アルミニウム
を箔スクラップから得ている。これは、溶融塩電解によ
って酸化物等のアルミニウム分が金属状態に還元され、
金属アルミニウムとして回収されることに由来する。ま
た、溶融塩に箔スクラップが溶融するまでの過程でアル
ミニウムの酸化消耗が抑制されることも、高い回収率の
一因である。
った実施例では、非常に高い回収率で金属アルミニウム
を箔スクラップから得ている。これは、溶融塩電解によ
って酸化物等のアルミニウム分が金属状態に還元され、
金属アルミニウムとして回収されることに由来する。ま
た、溶融塩に箔スクラップが溶融するまでの過程でアル
ミニウムの酸化消耗が抑制されることも、高い回収率の
一因である。
【0018】実施例4:(硼化物処理の影響) 金属アルミニウム分71%及びγ−アルミナ分29%の
組成をもち、厚み70μmの化成箔を、スクラップ原料
として使用した。化成箔は、93℃の硼酸化成処理液中
で陽極酸化により製造した。化成箔表面に、B換算で
0.3%の硼酸が付着していた。硼酸処理後の化成箔
を、実施例1と同様に溶融電解炉のフッ化物浴に1日3
回投入した。投入量は、各過程50kgに設定した。こ
のようにして箔スクラップを溶融塩電解したとき、次の
組成をもつアルミニウム溶湯が得られた。また、箔スク
ラップからの金属アルミニウムの回収率は、80%であ
った。得られたアルミニウム溶湯の組成 Al:99.88重量% Cu:0.003重量% Si:0.04重量% B:0.04重量% Fe:0.04重量%
組成をもち、厚み70μmの化成箔を、スクラップ原料
として使用した。化成箔は、93℃の硼酸化成処理液中
で陽極酸化により製造した。化成箔表面に、B換算で
0.3%の硼酸が付着していた。硼酸処理後の化成箔
を、実施例1と同様に溶融電解炉のフッ化物浴に1日3
回投入した。投入量は、各過程50kgに設定した。こ
のようにして箔スクラップを溶融塩電解したとき、次の
組成をもつアルミニウム溶湯が得られた。また、箔スク
ラップからの金属アルミニウムの回収率は、80%であ
った。得られたアルミニウム溶湯の組成 Al:99.88重量% Cu:0.003重量% Si:0.04重量% B:0.04重量% Fe:0.04重量%
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、リサイクル資源としての箔スクラップを溶融塩電解
炉に投入し、金属アルミニウムを回収している。炉内に
投入された箔スクラップのうち、金属アルミニウム分は
そのまま溶融塩を沈降してメタルプールに送り込まれ、
酸化物等の化合状態にあるアルミニウム分は溶融塩電解
によって金属状態に還元され、メタルプールに送り込ま
れる。そのため、箔スクラップに含まれている酸化アル
ミニウム等も回収源として消費され、高い回収率で金属
アルミニウムが回収される。
は、リサイクル資源としての箔スクラップを溶融塩電解
炉に投入し、金属アルミニウムを回収している。炉内に
投入された箔スクラップのうち、金属アルミニウム分は
そのまま溶融塩を沈降してメタルプールに送り込まれ、
酸化物等の化合状態にあるアルミニウム分は溶融塩電解
によって金属状態に還元され、メタルプールに送り込ま
れる。そのため、箔スクラップに含まれている酸化アル
ミニウム等も回収源として消費され、高い回収率で金属
アルミニウムが回収される。
【図1】 本発明で使用する溶融塩電解炉の一例
10 溶融塩電解炉 14 トッププレート
20 溶融塩 22 メタルプール 30 箔スクラップ 32 露出した電解浴表面 33 押し込まれている箔スクラップ
20 溶融塩 22 メタルプール 30 箔スクラップ 32 露出した電解浴表面 33 押し込まれている箔スクラップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝来野 修一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161 日本軽金 属株式会社蒲原電解工場内 (72)発明者 金野 健一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161 日本軽金 属株式会社蒲原電解工場内 (72)発明者 南波 正敏 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽 金属株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−64703(JP,A) 特表 平2−503695(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25C 1/00 - 7/08
Claims (3)
- 【請求項1】 コイル状に巻き取ったアルミニウム箔ス
クラップ又は塊状に加圧成形したアルミニウム箔スクラ
ップを溶融塩電解炉の電解浴に押し込み、電解浴中で酸
化アルミニウム分を溶解後電気分解し、箔中金属アルミ
ニウム分と共に溶融金属アルミニウムとして回収するこ
とを特徴とする箔スクラップからのアルミニウム回収方
法。 - 【請求項2】 フッ化物系の電解浴を使用する請求項1
記載のアルミニウム回収方法。 - 【請求項3】 アルミニウム箔スクラップが硼酸処理さ
れたものである請求項1記載のアルミニウム回収方法。
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---|---|---|---|
JP04292263A JP3109290B2 (ja) | 1992-10-06 | 1992-10-06 | 箔スクラップからのアルミニウム回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04292263A JP3109290B2 (ja) | 1992-10-06 | 1992-10-06 | 箔スクラップからのアルミニウム回収方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06116773A JPH06116773A (ja) | 1994-04-26 |
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ID=17779517
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP04292263A Expired - Fee Related JP3109290B2 (ja) | 1992-10-06 | 1992-10-06 | 箔スクラップからのアルミニウム回収方法 |
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Country | Link |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN117144420B (zh) * | 2023-08-07 | 2024-10-01 | 中信戴卡股份有限公司 | 回收铝固相提纯的方法 |
-
1992
- 1992-10-06 JP JP04292263A patent/JP3109290B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
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US6202591B1 (en) | 1998-11-12 | 2001-03-20 | Flex Products, Inc. | Linear aperture deposition apparatus and coating process |
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