JP3107898B2 - 光学部品 - Google Patents

光学部品

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JP3107898B2
JP3107898B2 JP04081391A JP8139192A JP3107898B2 JP 3107898 B2 JP3107898 B2 JP 3107898B2 JP 04081391 A JP04081391 A JP 04081391A JP 8139192 A JP8139192 A JP 8139192A JP 3107898 B2 JP3107898 B2 JP 3107898B2
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節夫 徳弘
智史 中野
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学部品の表面における光の反射
を低減する手段として、当該表面に、真空蒸着法等によ
り誘電体被膜を形成することが行われている。この手段
による光学部品の最も簡単な例として、例えばフッ化マ
グネシウムよりなる単層膜を光学基材の表面に形成させ
た光学部品が一般的に知られている。しかし、光学基材
の表面に単層膜を形成させる手段では、可視光の全領域
(400〜700nm)で有効な反射防止効果を得るこ
とができず、残留反射が残り、十分な反射防止性能が得
られない。そこで、表面反射を更に低減させるものとし
て、光学基材の表面に誘電体多層膜を形成させる手段
(マルチコート)が考え出され、各層の膜材料、屈折率
および光学膜厚並びに積層順序等を変更した種々の構成
の誘電体多層膜が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
マルチコートによる光学部品においては、以下のような
問題がある。 (1)光学部品の製造過程において、誘電体多層膜を形
成する各層の膜厚が設計値から僅かにずれるだけで、反
射防止性能が大きく低下してしまう。この傾向は、反射
防止性能の向上のために膜構成が複雑になるほど顕著で
ある。具体的に説明すると、例えば4つの層構成よりな
る誘電体多層膜において、光学基材に最も近い第1の層
構成には、光学基材の屈折率に応じた屈折率が要求され
る。しかし、斯かる屈折率の条件を充たす単一の膜材料
は知られていないため、4つの層構成を4層の積層膜で
実現することはできない。そこで、よく用いられる手法
として、3層等価膜法というものがある。この手法は、
要求される屈折率Nの層を、屈折率Nより大きい屈折率
H の層と、屈折率Nより小さい屈折率NL の層との交
互3層によって置換できるという原理に基づくものであ
る。然るに、従来の誘電体多層膜においては、第1の層
構成を形成する2種の層の屈折率の差(NH −NL )が
大きいことから、これらの層における膜厚の変動が反射
防止性能に与える影響も大きくなり、複数の光学部品を
同様の条件で製造しても、第1の層構成の屈折率にはバ
ラツキが生じてしまう。従って、膜厚の制御が非常に厳
しいものとなり、製造安定性に欠ける。 (2)光学部品の使用環境下において、光学基材を構成
するある種の光学ガラスが、誘電体多層膜の膜材料と化
学反応を起こし、光学部品の表面が白く濁る白濁現象が
発生する。このような白濁現象が発生すると透過光量の
損失を招き、光学部品として致命的である。
【0004】本発明は、以上のような事情に基いてなさ
れたものであって、本発明の第1の目的は、誘電体多層
膜を構成する各層の膜厚が多少変動しても、反射防止性
能に与える影響が少なく、製造安定性に優れた光学部品
を提供することにある。
【0005】本発明の第2の目的は、光学基材を構成す
る光学ガラスの種類によらず、透過光量の損失の原因と
なる白濁現象が抑制され、耐環境性に優れた光学部品を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光学部品は、4
つの層構成よりなる誘電体多層膜が、光学基材の表面上
に形成されてなる光学部品であって、誘電体多層膜の4
つの層構成のうち、光学基材に最も近い第1の層構成
は、屈折率1.60〜1.75の中間屈折率層Mと、屈
折率1.37〜1.47の低屈折率層Lとが、光学基材
側から、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.20λ 0 の中
間屈折率層M、 光学膜厚(n L L )0.02λ 0 〜0.12λ 0 の低
屈折率層L、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.20λ 0 の中
間屈折率層M の順に 3層積層されて形成されていることを特徴とす
る。
【0007】本発明の光学部品は、4つの層構成よりな
る誘電体多層膜が、光学基材の表面上に形成されてなる
光学部品であって、 誘電体多層膜の4つの層構成のう
ち、光学基材に最も近い第1の層構成は、屈折率1.6
0〜1.75の中間屈折率層Mと、屈折率1.37〜
1.47の低屈折率層Lとが、光学基材側から、 光学膜厚(n L L )0.01λ 0 〜0.10λ 0 の低
屈折率層L、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.26λ 0 の中
間屈折率層M、 光学膜厚(n L L )0.02λ 0 〜0.10λ 0 の低
屈折率層L の順に3層積層されて形成されていることを特徴とす
る。
【0008】本発明の光学部品は、4つの層構成よりな
る誘電体多層膜が、光学基材の表面上に形成されてなる
光学部品であって、 誘電体多層膜の4つの層構成のう
ち、光学基材に最も近い第1の層構成は、屈折率1.6
0〜1.75の中間屈折率層Mと、屈折率1.37〜
1.47の低屈折率層Lとが交互に3層積層されて形成
され、 光学基材側から数えて、第2、第3および第4の
層構成が、下記の条件〜を満足することを特徴とす
る。 第2の層構成: 1.60≦n 2 ≦1.75 0.20λ 0 ≦n 2 2 ≦0.30λ 0 第3の層構成: 2.00≦n 3 ≦2.35 0.47λ 0 ≦n 3 3 ≦0.53λ 0 第4の層構成: 1.35≦n 4 ≦1.40 0.23λ 0 ≦n 4 4 ≦0.27λ 0 (上記〜において、n 2 、n 3 およびn 4 は、それ
ぞれ、第2,第3および第4の層構成の屈折率を示し、
2 2 、n 3 3 およびn 4 4 は、それぞれ、第
2,第3および第4の層構成の光学膜厚を示す。)
【0009】第1の層構成が上記のMLMタイプまたは
LMLタイプの構成である場合において、光学基材側か
ら数えて、第2、第3および第4の層構成が、下記の条
件〜を満足することが好ましい。 第2の層構成: 1.60≦n2 ≦1.75 0.20λ0 ≦n2 2 ≦0.30λ0 第3の層構成: 2.00≦n3 ≦2.35 0.47λ0 ≦n3 3 ≦0.53λ0 第4の層構成: 1.35≦n4 ≦1.40 0.23λ0 ≦n4 4 ≦0.27λ0 (上記〜において、n2 、n3 およびn4 は、それ
ぞれ、第2,第3および第4の層構成の屈折率を示し、
2 2 、n3 3 およびn4 4 は、それぞれ、第
2,第3および第4の層構成の光学膜厚を示す。)
【0010】また、第1の層構成を形成する中間屈折率
層Mが、Alx Y (X:1〜2,Y:1.5〜3)よ
りなる層またはAlx Y を含有する層であることが好
ましい。
【0011】また、第2の層構成が、Alx Y (X:
1〜2,Y:1.5〜3)よりなる層またはAlx Y
を含有する層であることが好ましい。
【0012】また、第3の層構成が、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタニウム、酸化セリウムおよび酸化プラセオ
ジウムよりなる群から選ばれた1種または2種以上から
なることが好ましい。
【0013】また、光学基材側から数えて、第3および
第4の層構成の光学膜厚が、下記の条件〜を満足
し、当該光学部品に、入射角が30°以上の光を入射し
たときの、反射光の干渉色が緑基調であることが好まし
い。 第3の層構成の光学膜厚:0.48λ0 ≦n3 3
0.52λ0 第4の層構成の光学膜厚:0.24λ0 ≦n4 4
0.26λ0
【0014】
【作用】
(1)誘電体多層膜の4つの層構成のうち、光学基材に
最も近い第1の層構成は、「中間屈折率層M−低屈折率
層L−中間屈折率層M」または「低屈折率層L−中間屈
折率層M−低屈折率層L」の3層積層構成となる。従っ
て、いわゆる3層等価膜法の手法により、第1の層構成
は、光学基材に適合した屈折率を有するものとなる。そ
して、「中間屈折率層Mの屈折率」と「低屈折率層Lの
屈折率」との差が、従来のものに比較して小さいので、
各層の膜厚の変動が反射防止性能に与える影響は少なく
なり、各層の膜厚が設計値から多少ずれたとしても、第
1の層構成に要求される屈折率を安定して得ることがで
きる。 (2)中間屈折率層Mまたは第2の層構成としてAlx
Y (含有)層を用いることにより、光学部品の表面に
おける白濁現象を防止することができる。 (3)第3の層構成の光学膜厚(n3 3 )が0.48
λ0 〜0.52λ0 の範囲内にあり、第4の層構成の光
学膜厚(n4 4 )が0.24λ0 〜0.26λ0 の範
囲内にある光学部品によれば、後述する実施例からも明
らかなように、入射角が30°以上の光を入射したとき
の反射光の干渉色が、きれいな緑基調となる。
【0015】以下、本発明について具体的に説明する。 <光学部品の膜構成>図1は、本発明の光学部品の構成
を表す概略図である。同図において、50は光学基材で
あり、通常、1.50〜1.85の屈折率を有する光学
ガラスよりなるものである。光学基材50上には、第1
の層構成10、第2の層構成20、第3の層構成30お
よび第4の層構成40が順次積層されている。光学基材
50に最も近い第1の層構成10は、中間屈折率層Mと
低屈折率層Lとが交互に3層積層されて形成されてい
る。同図(イ)における第1の層構成10は、中間屈折
率層M−低屈折率層L−中間屈折率層M(以下「MLM
タイプ」ともいう)の積層構成であり、同図(ロ)にお
ける第1の層構成10’は、低屈折率層L−中間屈折率
層M−低屈折率層L(以下「LMLタイプ」ともいう)
の積層構成である。
【0016】<中間屈折率層Mおよび低屈折率層Lの屈
折率>図2は、「光学基材の屈折率」と、これに対して
要求される「第1の層構成の屈折率」との関係を示すグ
ラフであり、光学基材の屈折率と第1の層構成の屈折率
との関係が、同図に示す曲線上にあるときには、可視光
全域において満足できる反射防止特性が得られる。同図
に示すように、屈折率が1.50〜1.85の範囲にあ
る光学基材に対して、第1の層構成に要求される屈折率
は1.47〜1.60の範囲となる。この屈折率の範囲
を単一の膜材料によって達成することはできないため、
本発明においては、中間屈折率層Mと低屈折率層Lとの
交互3層によって達成する。本発明において、中間屈折
率層Mの屈折率は1.60〜1.75とされ、低屈折率
層Lの屈折率は1.37〜1.47とされる。このよう
な屈折率の中間屈折率層Mおよび低屈折率層Lについ
て、それぞれの膜厚を調整することにより、第1の層構
成の屈折率を1.47〜1.60の範囲で変化させるこ
とができ、第1の層構成は、光学基材に適合した屈折率
を有するものとなる。
【0017】しかも、第1の層構成を形成する中間屈折
率層Mの屈折率と低屈折率層Lとの屈折率との差が比較
的小さいので、これらの膜厚が設計値から多少ずれたと
しても、第1の層構成に要求される屈折率を安定して得
ることができ、製造安定性に優れている。
【0018】<光学部品の具体的膜構成>第1の層構成
は、MLMタイプまたはLMLタイプのいずれの積層構
成であってもよいが、MLMタイプの場合には、光学基
材側の中間屈折率層Mの光学膜厚(nM M )が0.0
8λ0 〜0.20λ0 (「λ0 」は設計波長を示す)の
範囲にあり、低屈折率層Lの光学膜厚(nL L )が
0.02λ0 〜0.12λ0の範囲にあり、第2の層構
成側の中間屈折率層Mの光学膜厚(nM M )が0.0
8λ0 〜0.20λ0 の範囲にあることが好ましい。ま
た、LMLタイプの場合には、光学基材側の低屈折率層
Lの光学膜厚(nLL )が0.01λ0 〜0.10λ
0 の範囲にあり、中間屈折率層Mの光学膜厚(n
M M )が0.08λ0 〜0.26λ0 の範囲にあり、
第2の層構成側の低屈折率層Lの光学膜厚(nL L
が0.02λ0 〜0.10λ0 の範囲にあることが好ま
しい。一方、第2の層構成20は、屈折率n2 が1.6
0〜1.75の範囲、光学膜厚n2 2 が0.20λ0
〜0.30λ0 の範囲にあり、第3の層構成30は、屈
折率n3 が2.00〜2.35の範囲、光学膜厚n3
3 が0.47λ0 〜0.53λ0 の範囲にあり、第4の
層構成40は、屈折率n4 が1.35〜1.40の範
囲、光学膜厚n44 が0.23λ0 〜0.27λ0
範囲にあることが好ましい。
【0019】各層構成における屈折率および光学膜厚
が、上記の範囲内にある光学部品によれば、後述する実
施例からも理解されるように、可視光全域の400〜7
00nmの波長範囲において、表面反射率を1.0%以
下に抑えることができ、しかも、各層の膜厚が設計値か
ら多少ずれたとしても、第1の層構成に要求される屈折
率を安定して得ることができる。
【0020】<中間屈折率層Mおよび第2の層構成の膜
材料>中間屈折率層Mの膜材料および第2の層構成は、
Alx Y (X:1〜2,Y:1.5〜3)よりなる層
であること、あるいはAlx Y を含有する層であるこ
とが好ましい。本発明者らが種々の膜材料を検討したと
ころ、中間屈折率層Mおよび第2の層構成の膜材料とし
てAlx Y を用いることにより、光学部品の表面にお
ける白濁現象が防止されることを見出した。なお、Al
x Y は、中間屈折率層M、第2の層構成のうち、少な
くとも一方の膜材料に含有されていれば、白濁現象の発
生を防止することができるが、両方の膜材料に含有され
ていてもよいことは勿論である。
【0021】<第3の層構成の膜材料>第3の層構成の
膜材料としては、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、
酸化セリウム、酸化プラセオジウムが好適であり、これ
らは単独ではなく2種以上組み合わせて膜材料とするこ
とができる。第3の層構成の膜材料として、これらの化
合物を用いることにより、化学的に安定な高屈折率の層
を形成することができる。特に、酸化ジルコニウム(Z
rO2 )と酸化チタニウム(TiO2 )との混合物〔例
えば商品名「OH−5」(オプトロン社製)〕を第3の
層構成の膜材料として用いることにより、膜の化学的安
定性および屈折率の再現性に優れた光学部品を得ること
ができるので好ましい。
【0022】<誘電体多層膜の色味の調整>マルチコー
トが施された光学部品において、反射光の干渉色は、緑
基調であることが一般に好ましい。本発明の膜構成を用
いた光学部品において、更に、第3の層構成の光学膜厚
を0.48λ0 〜0.52λ0 の範囲内、第4の層構成
の光学膜厚を0.24λ0〜0.26λ0 の範囲内で調
整することにより、入射角が30°以上の光を当該光学
部品に入射した場合に、きれいな緑基調の干渉色が表面
に現れ、美しい色味を示すものとなる。なお、光学部品
からの反射光の干渉色が緑基調であることは、当該光学
部品の分光反射率特性からも確認することができる。例
えば、図3〜図6は、以下に説明する実施例によって得
られた光学部品の分光半透性率特性を示す曲線図である
が、これらの曲線図において、波長420〜480nm
付近および波長510〜630nm付近に、それぞれ反
射率ピークが認められる。ここで、波長510〜630
nm付近における反射率ピークが波長420〜480n
m付近における反射率ピークよりも大きい場合、特に、
前者のピーク値が後者のピーク値の1.5倍以上である
場合、当該光学部品からの反射光の干渉色は緑基調とな
る。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〜2〕光学基材として光学ガラス「SK1
5」(屈折率1.62)よりなるレンズを用い、下記表
1〜2に示す仕様に基いて誘電体多層膜を形成し、本発
明の光学部品を製造した。なお、蒸着処理は以下のよう
にして行った。光学基材であるレンズを真空蒸着装置内
にセットし、温度350℃まで加熱を行いながら、装置
内の排気を行い、真空度が2.0×10-5mbarにな
ったところで、酸素ガスの導入を開始し、真空度が1.
0×10-4mbarになるまで酸素ガスを導入しながら
各膜材料の蒸着処理を行った。各層における光学膜厚の
制御は、光学式膜厚監視法に基づいてモニターガラス上
の反射率を制御することにより行った。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】〔比較例1〕光学基材として光学ガラス
「SK15」および「lak8」(屈折率1.72)よ
りなるレンズを用い、下記表3に示す仕様に基いて誘電
体多層膜を形成し、光学部品を製造した。
【0027】〔比較例2〕光学基材として光学ガラス
「SK15」および「lak8」よりなるレンズを用
い、下記表4に示す仕様に基いて誘電体多層膜を形成
し、光学部品を製造した。
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】〔実験例〕 (1)分光反射率特性の測定 実施例1〜2で得られた光学部品の分光反射率特性を測
定した。結果をそれぞれ図3および図4に示す。図3お
よび図4に示すように、可視光の全領域において反射率
が1%以下であり、特に、420〜660nmの領域に
おいては0.5%以下であって、優れた反射防止性能を
有していることが理解される。
【0031】(2)製造安定性の評価 実施例1と同様の構成の光学部品を4枚製造し、それぞ
れの分光反射率特性を測定した。結果を図5に示す。図
5に示すように、いずれの光学部品も優れた反射防止性
能を有しており、製造安定性に優れていることが理解さ
れる。
【0032】(3)耐環境性の評価 実施例1〜2により得られた光学部品を、温度60℃、
相対湿度90%の環境下に240時間放置した後、外観
を観察したところ、白濁現象の発生や膜質の劣化等の異
常は認められなかった。また、分光反射率特性の測定を
行ったところ、初期の特性とほぼ同様であった。これら
のことから、本発明の光学部品は、耐環境性に優れてい
ることが理解される。一方、比較例1〜2により得られ
た光学部品について、同様の環境下に24時間放置した
ところ、各光学部品とも、光学基材の表面と第1の層構
成との境界面において、白濁現象が発生し、透過率の低
下が認められた。
【0033】〔実施例3〕光学基材として光学ガラス
「SK15」よりなるレンズを用い、下記表5に示す仕
様に基いて誘電体多層膜を形成し、光学部品を製造し
た。この光学部品に、入射角が30°以上の光を入射
し、表面からの反射光の干渉色を観察したところ、淡い
緑色を呈しており、美しい色味を示していた。なお、こ
の光学部品の分光反射率特性を図6に示す。同図に示す
ように、可視光の全領域において反射率が1%以下であ
り、しかも、510〜630nmの領域(緑基調の領
域)において、小さくて緩やかなピークが認められる。
【0034】
【表5】
【0035】なお、以上の実施例においては、真空蒸着
法によって製膜を行ったが、他の製膜方法、例えばスパ
ッタリング法、イオンアシスト蒸着法等、種々の製膜方
法を用いることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の光学部品は、誘電体多層膜を構
成する各層の膜厚が設計値から多少ずれたとしても、反
射防止性能への影響が少なく、製造安定性に優れたもの
である。
【0037】また、中間屈折率層Mまたは第2の層構成
の材料としてAlx Y (含有)層を用いることによ
り、光学部品の表面における白濁現象が防止される。
【0038】更に、第3の層構成および第4の層構成の
光学膜厚の範囲を特定することにより、入射角が30°
以上の光を光学部品に入射した場合に、きれいな緑基調
の干渉色が表面に現れ、美しい色味を示すものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学部品の構成を表す概略図である。
【図2】光学基材の屈折率と第1の層構成の屈折率との
関係を示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた光学部品の分光反射率特性
を示す曲線図である。
【図4】実施例2で得られた光学部品の分光反射率特性
を示す曲線図である。
【図5】実施例1と同様の構成の4枚の光学部品につい
ての分光反射率特性を示す曲線図である。
【図6】実施例3で得られた光学部品の分光反射率特性
を示す曲線図である。
【符号の説明】
10 第1の層構成 20 第2の層構成 30 第3の層構成 40 第4の層構成 50 光学基材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−61702(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/10 - 1/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4つの層構成よりなる誘電体多層膜が、
    光学基材の表面上に形成されてなる光学部品であって、 誘電体多層膜の4つの層構成のうち、光学基材に最も近
    い第1の層構成は、屈折率1.60〜1.75の中間屈
    折率層Mと、屈折率1.37〜1.47の低屈折率層L
    とが、光学基材側から、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.20λ 0 の中
    間屈折率層M、 光学膜厚(n L L )0.02λ 0 〜0.12λ 0 の低
    屈折率層L、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.20λ 0 の中
    間屈折率層M の順に 3層積層されて形成されていることを特徴とする
    光学部品。
  2. 【請求項2】 4つの層構成よりなる誘電体多層膜が、
    光学基材の表面上に形成されてなる光学部品であって、 誘電体多層膜の4つの層構成のうち、光学基材に最も近
    い第1の層構成は、屈折率1.60〜1.75の中間屈
    折率層Mと、屈折率1.37〜1.47の低屈折率層L
    とが、光学基材側から、 光学膜厚(n L L )0.01λ 0 〜0.10λ 0 の低
    屈折率層L、 光学膜厚(n M M )0.08λ 0 〜0.26λ 0 の中
    間屈折率層M、 光学膜厚(n L L )0.02λ 0 〜0.10λ 0 の低
    屈折率層L の順に3層積層されて 形成されていることを特徴とする
    光学部品。
  3. 【請求項3】 4つの層構成よりなる誘電体多層膜が、
    光学基材の表面上に形成されてなる光学部品であって、 誘電体多層膜の4つの層構成のうち、光学基材に最も近
    い第1の層構成は、屈折率1.60〜1.75の中間屈
    折率層Mと、屈折率1.37〜1.47の低屈折率層L
    とが交互に3層積層されて形成され、 光学基材側から数えて、第2、第3および第4の層構成
    が、下記の条件〜を満足することを特徴とする光学
    部品。 第2の層構成: 1.60≦n 2 ≦1.75 0.20λ 0 ≦n 2 2 ≦0.30λ 0 第3の層構成: 2.00≦n 3 ≦2.35 0.47λ 0 ≦n 3 3 ≦0.53λ 0 第4の層構成: 1.35≦n 4 ≦1.40 0.23λ 0 ≦n 4 4 ≦0.27λ 0 (上記〜において、n 2 、n 3 およびn 4 は、それ
    ぞれ、第2,第3および第4の層構成の屈折率を示し、
    2 2 、n 3 3 およびn 4 4 は、それぞれ、第
    2,第3および第4の層構成の光学膜厚を示す。)
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の光学部
    品であって、 光学基材側から数えて、第2、第3および第4の層構成
    が、下記の条件〜を満足することを特徴とする光学
    部品。 第2の層構成: 1.60≦n2 ≦1.75 0.20λ0 ≦n2 2 ≦0.30λ0 第3の層構成: 2.00≦n3 ≦2.35 0.47λ0 ≦n3 3 ≦0.53λ0 第4の層構成: 1.35≦n4 ≦1.40 0.23λ0 ≦n4 4 ≦0.27λ0 (上記〜において、n2 、n3 およびn4 は、それ
    ぞれ、第2,第3および第4の層構成の屈折率を示し、
    2 2 、n3 3 およびn4 4 は、それぞれ、第
    2,第3および第4の層構成の光学膜厚を示す。)
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    光学部品であって、 第1の層構成を形成する中間屈折率層Mが、Alx Y
    (X:1〜2,Y:1.5〜3)よりなる層またはAl
    x Y を含有する層であることを特徴とする光学部品。
  6. 【請求項6】 請求項3〜請求項5のいずれかに記載の
    光学部品であって、 第2の層構成が、Alx Y (X:1〜2,Y:1.5
    〜3)よりなる層またはAlx Y を含有する層である
    ことを特徴とする光学部品。
  7. 【請求項7】 請求項3〜請求項6のいずれかに記載の
    光学部品であって、 第3の層構成が、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、
    酸化セリウムおよび酸化プラセオジウムよりなる群から
    選ばれた1種または2種以上からなることを特徴とする
    光学部品。
  8. 【請求項8】 請求項3〜請求項7のいずれかに記載の
    光学部品であって、 光学基材側から数えて、第3および第4の層構成の光学
    膜厚が、下記の条件〜を満足し、当該光学部品に、
    入射角が30°以上の光を入射したときの、反射光の干
    渉色が緑基調であることを特徴とする光学部品。 第3の層構成の光学膜厚:0.48λ0 ≦n3 3 ≦0.52λ0 第4の層構成の光学膜厚:0.24λ0 ≦n4 4 ≦0.26λ0
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