JP2003098312A - 反射防止膜及び光学素子 - Google Patents

反射防止膜及び光学素子

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JP2003098312A
JP2003098312A JP2001293771A JP2001293771A JP2003098312A JP 2003098312 A JP2003098312 A JP 2003098312A JP 2001293771 A JP2001293771 A JP 2001293771A JP 2001293771 A JP2001293771 A JP 2001293771A JP 2003098312 A JP2003098312 A JP 2003098312A
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antireflection film
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film thickness
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JP2001293771A
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Takeshi Deguchi
武司 出口
Tadashi Watanabe
正 渡邊
Kunihiko Uzawa
邦彦 鵜澤
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Yorio Wada
順雄 和田
Takeshi Kawamata
健 川俣
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Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視波長域で良好な反射特性を有し、反射色
のむらの少ない反射防止膜を形成する。 【解決手段】 d線に対する屈折率(n)が1.45
〜1.50の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成であ
り、空気側から基板側へ向かって第1層、第3層及び第
5層は屈折率1.34〜1.40の範囲にある低屈折率
物質からなり、第2層、第4層及び第6層は屈折率1.
90〜2.40の範囲にある高屈折率物質からなり、か
つ、各層の光学的膜厚が以下の条件を満足することを特
徴とする。 n=(0.2712±0.0250)λ=(0.1443±0.0230)λ=(0.0194±0.0152)λ=(0.4096±0.0347)λ=(0.0884±0.0193)λ=(0.0739±0.0145)λ

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学ガラスなど光学
要素の表面に設けられ、その透過率を向上させるための
反射防止膜及び反射防止膜を形成した光学素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光学ガラスからなるレンズやプリズムの
表面の反射特性を改善するために、光学ガラス基板上に
反射防止膜が設けられることは良く知られている。
【0003】光学レンズ個々に対して単独で反射防止膜
を形成する場合は別として、量産を目的に反射防止膜を
形成する場合には、レンズの曲率半径あるいはレンズと
蒸発源の距離の影響を受けて、レンズを置いた場所や同
一レンズの異なる箇所によって異なった厚さの膜が形成
されることがある。そのため、レンズ内に反射防止有効
波長域のむらが生じる。
【0004】従って、有効波長域が狭い反射防止膜の場
合、レンズ全面で同一波長域に有効な反射防止膜を一度
に多数のレンズ上に設けることはレンズ曲率がおおきく
なればなるほど、また反射防止有効波長域が狭くなれば
なるほど困難となる。この反射防止有効波長域のむら
は、レンズ内の反射色のむらを発生させ、外観品質上問
題となる場合がある。
【0005】この問題を解決する一つの方法は、反射防
止有効波長域を広げることである。このため、特公平2
−61001号、同2−61002号、同2−6100
3号、同2−61004号の各公報において開示された
6層構成の反射防止膜では、図12に示すように、ガラ
ス基板100上に空気側から基板側に向かって、第1層
101、第2層102、第3層103、第4層104、
第5層105、第6層106を順に積層している。そし
て、第1層、第3層及び第5層には低屈折率物質のMg
(屈折率=1.38)、第2層、第4層及び第6層
にはZrTiO (屈折率=2.10)、ZrO、T
iO などの高屈折率物質を、各層の光学的膜厚が表
18に示した膜厚になるように基板ガラスの屈折率に応
じて適切に設定することにより広帯域の反射防止膜を実
現している。
【0006】
【表18】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術の反射防止膜は、可視波長域(400〜70
0nm)と近赤外波長域(840〜900nm)の2つ
の領域の光に対して反射防止を行うようにした反射防止
膜であるため、650〜700nmの波長域で反射率が
1%以上となるピークが存在する。これに対し、カメラ
の撮影レンズや顕微鏡の対物レンズなど多数のレンズか
ら構成されるユニットに使用する場合には、どの一面の
反射率も可視波長域で1%以下であることが望ましい。
さらに、この従来技術の反射防止膜の色度座標を計算し
たところ、本来の膜厚における反射色はピンクである
が、膜厚が20%薄くなった時には黄緑色へ変化する。
このため、レンズ表面に形成された膜厚にむらが生じた
場合には、反射色のむらが発生している。
【0008】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、可視波長域で良好な反射特性
を備え、かつレンズ内の反射色のむらが少ない反射防止
膜及びこの反射防止膜を備えた光学素子を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の反射防止膜は、波長420nmに
おける反射率が1.5%以下であり、かつ波長440〜
650nmの範囲内における反射率が1%以下であるこ
とを特徴とする。
【0010】請求項2の発明は、請求項1記載の反射防
止膜であって、基板表面に反射色のむらがないことを特
徴とする。
【0011】請求項3の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.45〜1.50の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ、各層の光学的膜厚が以下の条
件を満足することを特徴とする。 n=(0.2712±0.0250)λ=(0.1443±0.0230)λ=(0.0194±0.0152)λ=(0.4096±0.0347)λ=(0.0884±0.0193)λ=(0.0739±0.0145)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,…,6)、λは可視波長域において
選択された設計波長である。
【0012】請求項4の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.50〜1.55の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2730±0.0250)λ=(0.1510±0.0240)λ=(0.0210±0.0155)λ=(0.3996±0.0380)λ=(0.0826±0.0174)λ=(0.0764±0.0217)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長である。
【0013】請求項5の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.55〜1.60の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2784±0.0254)λ=(0.1613±0.0214)λ=(0.0269±0.0154)λ=(0.3696±0.0420)λ=(0.0885±0.0706)λ=(0.1096±0.0830)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長である。
【0014】請求項6の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.60〜1.65の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2827±0.0231)λ=(0.1615±0.0192)λ=(0.0308±0.0173)λ=(0.3654±0.0404)λ=(0.0654±0.0154)λ=(0.0885±0.0288)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長である。
【0015】請求項7の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.65〜1.70の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2830±0.0247)λ=(0.1597±0.0211)λ=(0.0324±0.0156)λ=(0.3619±0.0496)λ=(0.0577±0.0173)λ=(0.0897±0.0353)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長である。
【0016】請求項8の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.70〜1.75の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2847±0.0230)λ=(0.1564±0.0205)λ=(0.0348±0.0171)λ=(0.3606±0.0586)λ=(0.0478±0.0176)λ=(0.0919±0.0408)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長である。
【0017】請求項9の発明は、請求項1または2記載
の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n)が
1.75〜1.80の範囲にあるガラス、プラスチック
または結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構
成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって
第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40
の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及
び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈
折率物質からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件
を満足することを特徴とする。 n=(0.2869±0.0189)λ=(0.1514±0.0198)λ=(0.0379±0.0159)λ=(0.3641±0.0609)λ=(0.0380±0.0159)λ=(0.0947±0.0399)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長、
【0018】請求項10の発明は、請求項1または2記
載の反射防止膜であって、d線に対する屈折率(n
が1.80〜1.85の範囲にあるガラス、プラスチッ
クまたは結晶材料からなる基板の表面に形成された6層
構成の反射防止膜であって、空気側から基板側へ向かっ
て第1層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.4
0の範囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層
及び第6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高
屈折率物質からなり、かつ、各層の光学的膜厚が以下の
条件を満足することを特徴とする。 n=(0.2881±0.0158)λ=(0.1478±0.0176)λ=(0.0396±0.0200)λ=(0.3634±0.0751)λ=(0.0278±0.0126)λ=(0.0903±0.0616)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
て選択された設計波長、
【0019】請求項11の発明は、請求項3〜10のい
ずれかに記載の反射防止膜であって、第1層、第3層及
び第5層を構成する低屈折率物質がMgFであること
を特徴とする。
【0020】請求項12の発明は、請求項3〜10のい
ずれかに記載の反射防止膜であって、第2層、第4層及
び第6層を構成する高屈折率物質がZrO 、LaT
iO 、Ta あるいはこれらの混合物であるこ
とを特徴とする。
【0021】請求項13の発明の光学素子は、基板上に
請求項1〜12のいずれかに記載の反射防止膜を形成し
たことを特徴とする。
【0022】請求項1及び2の発明では、レンズを通過
する光量の減衰を無視でき、しかも色むらも発生せず高
い外観品質を保つことができる。
【0023】請求項3〜10の発明では、所定の高屈折
率物質と低屈折率物質とを所定の光学的膜厚に形成して
交互に6層積層することにより、波長420nmにおけ
る反射率が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜
650nmの範囲内における反射率が1%以下である反
射防止膜が得られ、カメラの撮影レンズや顕微鏡の対物
レンズのように多数のレンズを組み合わせてユニットと
して構成される場合であっても、レンズを通過する光量
の減衰を実用上無視できる。更に、色むらも発生せず高
い外観品質を保つことができる。
【0024】請求項11の発明では、低屈折率物質とし
てMgFを用いることにより、所定の屈折率を有した
膜を容易に形成でき、波長420nmにおける反射率が
1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650nm
の範囲内における反射率が1%以下である反射防止膜が
容易に得られるとともに、色むらを生じない。
【0025】請求項12の発明では、高屈折率物質とし
てZrO、LaTiO、Taあるいはこれら
の混合物を用いることにより、所定の屈折率を有した膜
を容易に形成でき、波長420nmにおける反射率が
1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650nm
の範囲内における反射率が1%以下である反射防止膜が
容易に得られるとともに、色むらを生じない。
【0026】請求項13の発明では、波長420nmに
おける反射率が1.5%以下であり、かつ波長440n
m〜650nmの範囲内における反射率が1%以下であ
るとともに、色むらを生じない光学素子が容易に得られ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明により形成された
反射防止膜を示し、ガラス、プラスチックまたは結晶材
料から基板1が構成されている。基板の表面には、空気
側から基板1側へ向かって、第1層11、第2層12、
第3層13、第4層14、第5層15及び第6層16の
6層構成からなる反射防止膜が形成されている。この反
射防止膜は真空蒸着法により形成されるものである。ま
た、このように基板1上に反射防止膜を形成することに
より、レンズ、プリズム等の光学素子を作製することが
できる。以下、各実施の形態を具体的に説明する。
【0028】(実施の形態1)表1は、実施の形態1の
反射防止膜における各層の構成材料及び光学的膜厚をで
ある。また、図2はこの実施の形態の反射防止膜の反射
率特性を測定した結果を示す。図2において、実線で示
す特性曲線aは表1に示した膜厚における反射率特性、
破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す特性曲線cは、特
性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10%、20%薄くな
ったときの反射率特性である。表2はこれらの特性曲線
a、b、cに対応する膜厚における色度座標を測定した
結果を示す。
【0029】図3は実施の形態1に対する比較例とし
て、上述した特公平2−61004号公報に開示された
反射防止膜の反射率特性であり、表3はその色度座標を
測定した結果である。
【0030】図3において、特性曲線a’は表18に示
す膜厚における反射率特性、特性曲線b’及び特性曲線
c’は特性曲線a’に対して膜厚がそれぞれ10%、2
0%薄くなったときの反射率特性を示す。色度座標の測
定結果の表3におけるa’、b’及びc’も同様に、膜
厚が表18に示す値のとき、10%薄くなったとき、2
0%薄くなったときを示す。
【0031】図2及び図3の反射率特性を比較すると、
図3では波長420nmにおける反射率が1.5%以下
であるが、波長440nm〜650nmの範囲で1%を
超える反射率を示す波長域が存在する。このことは反射
膜の膜厚が10%、20%と薄くなっても同様で、反射
率が1%を超える波長域が存在する。一方、図2から分
かるように、この実施の形態に係る反射防止膜は、波長
420nmにおける反射率が1.5%以下であり、かつ
波長440nm〜650nmの範囲内における反射率が
ほぼ0.5%と確実に1%以下であり、膜厚が10%、
20%と薄くなっても特性に大きな変化はない。
【0032】色度座標の測定結果について説明する。図
4はCIExy色度図であり、まずこのCIExy色度
図について説明する。この色度図は国際照明学会により
定められたもので、図4のほぼ三角形状の直線及び曲線
で囲まれた領域の座標で全ての色は表現される。この座
標を色度座標と言う。色度座標では、例えば、純白はx
=y=1/3の点になる。
【0033】比較例の結果である表3の数値をこの色度
図にあてはめると、膜厚が薄くなって、a’からb’、
更にc’と変化するにつれ、その表す色がピンクから黄
色がかったピンク、更には黄緑色と変化することが分か
る。一方、この実施の形態の反射防止膜の測定結果であ
る表2からは、膜厚が薄くなってaからb、更にcと変
化しても、白の領域内を遷移するだけなので大きな色の
変化はない。このことは、反射膜を蒸着する際に種々の
原因により膜厚にむらが生じても、見た目の色むらとし
ては殆ど目立たないことを意味する。
【0034】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
の他、LaTiO、TaOを単独であるいはこれら
の物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。ま
た、基板の材質をガラスとしたが、これに限定されるも
のではなく、屈折率が1.45〜1.50の範囲であれ
ば、ガラスの他にプラスチック、結晶材料に適用でき
る。
【0035】基板の形状も平板、レンズ、プリズム等あ
らゆる光学素子に適用可能である。さらに、反射防止膜
の形成を真空蒸着法以外のスパッタリング法、イオンプ
レーティング法等によって形成することができ、特に限
定するものではない。
【0036】以上のように、この実施の形態に係る反射
防止膜によれば、波長420nmでの反射率が1.5%
以下で、かつ波長440nm〜650nmの範囲内での
反射率が1%以下であり、また膜厚が10%以上薄くな
るような形成むらが生じても反射色のむらが少ない反射
防止膜とすることができる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】(実施の形態2)実施の形態2の反射防止
膜において、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が
1.50〜1.55の範囲である1.52である点と、
形成される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。
その他の点は実施の形態1と同様である。表4は、この
実施の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜
厚である。
【0041】図5は、この実施の形態の反射防止膜の反
射率特性であり、表5はその色度座標である。図5にお
いて、実線で示す特性曲線aは表4に示す膜厚における
反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す特性
曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10%、
20%薄くなったときの反射率特性を示す。表5の色度
座標の判定結果において、a、b及びcも同様に、膜厚
が表4に示す値のとき、10%薄くなったとき、20%
薄くなったときを示す。
【0042】図5の反射率特性に示すように、この実施
の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射率
が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650n
mの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1%
以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、実
施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0043】また、表5の色度座標に示すように、膜厚
が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の領
域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。この
ことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する際
に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の色
むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0044】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0045】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】(実施の形態3)実施の形態3の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
55〜1.60の範囲である1.58である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表6は、この実施
の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚で
ある。
【0049】図6は、この実施の形態の反射防止膜の反
射率特性であり、表7はその色度座標である。図5にお
いて、実線で示す特性曲線aは表6に示す膜厚における
反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す特性
曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10%、
20%薄くなったときの反射率特性を示す。表7の色度
座標の判定結果において、a、b及びcも同様に、膜厚
が表6に示す値のとき、10%薄くなったとき、20%
薄くなったときを示す。
【0050】図6の反射率特性に示すように、この実施
の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射率
が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650n
mの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1%
以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、実
施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0051】また、表7の色度座標に示すように、膜厚
が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の領
域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。この
ことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する際
に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の色
むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0052】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0053】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】(実施の形態4)実施の形態4の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
60〜1.65の範囲である1.62である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表8は、この実施
の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚で
ある。
【0057】図7は、この実施の形態の反射防止膜の反
射率特性であり、表9はその色度座標である。図7にお
いて、実線で示す特性曲線aは表8に示す膜厚における
反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す特性
曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10%、
20%薄くなったときの反射率特性を示す。表9の色度
座標の判定結果において、a、b及びcも同様に、膜厚
が表8に示す値のとき、10%薄くなったとき、20%
薄くなったときを示す。
【0058】図7の反射率特性に示すように、この実施
の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射率
が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650n
mの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1%
以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、実
施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0059】また、表9の色度座標に示すように、膜厚
が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の領
域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。この
ことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する際
に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の色
むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0060】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0061】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】(実施の形態5)実施の形態5の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
65〜1.70の範囲である1.66である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表10は、この実
施の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚
である。
【0065】図8は、この実施の形態の反射防止膜の反
射率特性であり、表11はその色度座標である。図8に
おいて、実線で示す特性曲線aは表10に示す膜厚にお
ける反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す
特性曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10
%、20%薄くなったときの反射率特性を示す。表11
の色度座標の判定結果において、a、b及びcも同様
に、膜厚が表10に示す値のとき、10%薄くなったと
き、20%薄くなったときを示す。
【0066】図8の反射率特性に示すように、この実施
の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射率
が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650n
mの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1%
以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、実
施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0067】また、表11の色度座標に示すように、膜
厚が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の
領域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。こ
のことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する
際に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の
色むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0068】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0069】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0070】
【表10】
【0071】
【表11】
【0072】(実施の形態6)実施の形態6の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
70〜1.75の範囲である1.72である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表12は、この実
施の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚
である。
【0073】図9は、この実施の形態の反射防止膜の反
射率特性であり、表13はその色度座標である。図9に
おいて、実線で示す特性曲線aは表12に示す膜厚にお
ける反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で示す
特性曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ10
%、20%薄くなったときの反射率特性を示す。表13
の色度座標の判定結果において、a、b及びcも同様
に、膜厚が表12に示す値のとき、10%薄くなったと
き、20%薄くなったときを示す。
【0074】図9の反射率特性に示すように、この実施
の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射率
が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650n
mの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1%
以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、実
施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0075】また、表13の色度座標に示すように、膜
厚が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の
領域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。こ
のことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する
際に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の
色むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0076】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0077】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0078】
【表12】
【0079】
【表13】
【0080】(実施の形態7)実施の形態7の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
75〜1.80の範囲である1.78である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表14は、この実
施の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚
である。
【0081】図10は、この実施の形態の反射防止膜の
反射率特性であり、表15はその色度座標である。図1
0において、実線で示す特性曲線aは表14に示す膜厚
における反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で
示す特性曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ
10%、20%薄くなったときの反射率特性を示す。表
15の色度座標の判定結果において、a、b及びcも同
様に、膜厚が表14に示す値のとき、10%薄くなった
とき、20%薄くなったときを示す。
【0082】図10の反射率特性に示すように、この実
施の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射
率が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1
%以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、
実施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0083】また、表15の色度座標に示すように、膜
厚が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の
領域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。こ
のことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する
際に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の
色むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0084】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0085】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】(実施の形態8)実施の形態8の反射防止
膜では、実施の形態1との相違点は基板の屈折率が1.
80〜1.85の範囲である1.85である点と、形成
される反射防止膜の光学的膜厚が異なる点である。その
他の点は実施の形態1と同様である。表16は、この実
施の形態の反射防止膜の各層の構成材料及び光学的膜厚
である。
【0089】図11は、この実施の形態の反射防止膜の
反射率特性であり、表17はその色度座標である。図1
1において、実線で示す特性曲線aは表16に示す膜厚
における反射率特性、破線で示す特性曲線b及び鎖線で
示す特性曲線cは、特性曲線aに対して膜厚がそれぞれ
10%、20%薄くなったときの反射率特性を示す。表
17の色度座標の判定結果において、a、b及びcも同
様に、膜厚が表16に示す値のとき、10%薄くなった
とき、20%薄くなったときを示す。
【0090】図11の反射率特性に示すように、この実
施の形態の反射防止膜は、波長420nmにおける反射
率が1.5%以下であり、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内における反射率がほぼ0.5%と確実に1
%以下であり、膜厚が10%、20%と薄くなっても、
実施の形態1と同様、特性に大きな変化はない。
【0091】また、表17の色度座標に示すように、膜
厚が薄くなって、aからb、更にcと変化しても、白の
領域内を遷移するだけなので大きな色の変化はない。こ
のことは実施の形態1と同様に、反射防止膜を蒸着する
際に種々の原因により膜厚にむらが生じても、見た目の
色むらとしては殆ど目立たないことを意味する。
【0092】なお、この実施の形態では、第1層11、
第3層13及び第5層15を形成する高屈折率物質とし
てZrOを用いたが、高屈折率物質としてはZrO
以外に、LaTiO、TaOを単独で、あるいはこ
れら物質の2種類以上を混合物にして用いてもよい。基
板の材質としては、ガラス、プラスチック、結晶材料等
に適用できるものは実施の形態1と同様である。また、
反射防止膜の形成は真空蒸着法以外に、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いても良く、このこ
とも実施の形態1と同様である。
【0093】以上のように、この実施の形態の反射防止
膜によれば、実施の形態1と同様に波長420nmでの
反射率が1.5%以下で、かつ波長440nm〜650
nmの範囲内での反射率が1%以下であり、また膜厚が
10%以上薄くなるような形成むらが生じても反射色の
むらが少ない反射防止膜とすることができる。
【0094】
【表16】
【0095】
【表17】
【0096】
【発明の効果】請求項1及び請求項2の発明によれば、
レンズを通過する光量の減衰を無視でき、しかも色むら
も発生せず高い外観品質を保つことができる。
【0097】請求項3〜請求項10の発明によれば、波
長420nmにおける反射率が1.5%以下であり、か
つ波長440nm〜650nmの範囲内における反射率
が1%以下である反射防止膜が得られ、カメラの撮影レ
ンズや顕微鏡の対物レンズのように多数のレンズを組み
合わせてユニットとして構成される場合であっても、レ
ンズを通過する光量の減衰を実用上無視できる。また、
色むらも発生せず高い外観品質を保つことができる。さ
らに、形成される膜厚が10%以上薄くなってもこれら
の効果が失われないので、生産性に優れ、その実用的価
値は極めて高い。
【0098】請求項11及び請求項12の発明によれ
ば、所定の屈折率を有した膜を容易に形成でき、しかも
波長420nmにおける反射率が1.5%以下であり、
かつ波長440nm〜650nmの範囲内における反射
率が1%以下である反射防止膜が容易に得られるととも
に、色むらを生じない。
【0099】請求項13の発明によれば、波長420n
mにおける反射率が1.5%以下であり、かつ波長44
0nm〜650nmの範囲内における反射率が1%以下
であるとともに、色むらを生じない光学素子とすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において形成される反射防
止膜の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図3】従来の反射防止膜の反射率特性を示す特性図で
ある。
【図4】色度座標を示す座標図である。
【図5】実施の形態2の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図6】実施の形態3の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図7】実施の形態4の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図8】実施の形態5の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図9】実施の形態6の反射防止膜の反射率特性を示す
特性図である。
【図10】実施の形態7の反射防止膜の反射率特性を示
す特性図である。
【図11】実施の形態8の反射防止膜の反射率特性を示
す特性図である。
【図12】従来の反射防止膜の構成を示す断面図であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 鵜澤 邦彦 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 豊原 延好 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 和田 順雄 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 川俣 健 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA09 BB02 BB11 CC03 CC06 DD03 DD04 4F100 AA05 AA27 AG00A AK01A AR00B AR00C AR00D AR00E AT00A BA02 BA05 BA07 BA10A BA10C BA26 EH66 GB90 JN06B JN06C JN06D JN06E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長420nmにおける反射率が1.5
    %以下であり、かつ波長440〜650nmの範囲内に
    おける反射率が1%以下であることを特徴とする反射防
    止膜。
  2. 【請求項2】 基板表面に反射色のむらがないことを特
    徴とする請求項1記載の反射防止膜。
  3. 【請求項3】 d線に対する屈折率(n)が1.45
    〜1.50の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ、各層の光学的膜厚が以下の条件を満足
    することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2712±0.0250)λ=(0.1443±0.0230)λ=(0.0194±0.0152)λ=(0.4096±0.0347)λ=(0.0884±0.0193)λ=(0.0739±0.0145)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,…,6)、λは可視波長域において
    選択された設計波長である。
  4. 【請求項4】 d線に対する屈折率(n)が1.50
    〜1.55の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2730±0.0250)λ=(0.1510±0.0240)λ=(0.0210±0.0155)λ=(0.3996±0.0380)λ=(0.0826±0.0174)λ=(0.0764±0.0217)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長である。
  5. 【請求項5】 d線に対する屈折率(n)が1.55
    〜1.60の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2784±0.0254)λ=(0.1613±0.0214)λ=(0.0269±0.0154)λ=(0.3696±0.0420)λ=(0.0885±0.0706)λ=(0.1096±0.0830)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長である。
  6. 【請求項6】 d線に対する屈折率(n)が1.60
    〜1.65の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2827±0.0231)λ=(0.1615±0.0192)λ=(0.0308±0.0173)λ=(0.3654±0.0404)λ=(0.0654±0.0154)λ=(0.0885±0.0288)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長である。
  7. 【請求項7】 d線に対する屈折率(n)が1.65
    〜1.70の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2830±0.0247)λ=(0.1597±0.0211)λ=(0.0324±0.0156)λ=(0.3619±0.0496)λ=(0.0577±0.0173)λ=(0.0897±0.0353)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長である。
  8. 【請求項8】 d線に対する屈折率(n)が1.70
    〜1.75の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2847±0.0230)λ=(0.1564±0.0205)λ=(0.0348±0.0171)λ=(0.3606±0.0586)λ=(0.0478±0.0176)λ=(0.0919±0.0408)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長である。
  9. 【請求項9】 d線に対する屈折率(n)が1.75
    〜1.80の範囲にあるガラス、プラスチックまたは結
    晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反射
    防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1層、
    第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範囲に
    ある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第6層
    は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率物質
    からなり、かつ各層の光学的膜厚が以下の条件を満足す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
    膜。 n=(0.2869±0.0189)λ=(0.1514±0.0198)λ=(0.0379±0.0159)λ=(0.3641±0.0609)λ=(0.0380±0.0159)λ=(0.0947±0.0399)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長、
  10. 【請求項10】 d線に対する屈折率(n)が1.8
    0〜1.85の範囲にあるガラス、プラスチックまたは
    結晶材料からなる基板の表面に形成された6層構成の反
    射防止膜であって、空気側から基板側へ向かって第1
    層、第3層及び第5層は屈折率1.34〜1.40の範
    囲にある低屈折率物質からなり、第2層、第4層及び第
    6層は屈折率1.90〜2.40の範囲にある高屈折率
    物質からなり、かつ、各層の光学的膜厚が以下の条件を
    満足することを特徴とする請求項1または2記載の反射
    防止膜。 n=(0.2881±0.0158)λ=(0.1478±0.0176)λ=(0.0396±0.0200)λ=(0.3634±0.0751)λ=(0.0278±0.0126)λ=(0.0903±0.0616)λ ここで、nは第i層の構成物質の屈折率(i=1,
    2,…,6)、nは第i層の構成物質の光学的膜
    厚(i=1,2,‥・,6)、λは可視波長域におい
    て選択された設計波長、
  11. 【請求項11】 第1層、第3層及び第5層を構成する
    低屈折率物質がMgFであることを特徴とする請求項
    3〜10のいずれかに記載の反射防止膜。
  12. 【請求項12】 第2層、第4層及び第6層を構成する
    高屈折率物質がZrO 、LaTiO 、Ta
    あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求
    項3〜10のいずれかに記載の反射防止膜。
  13. 【請求項13】 基板上に請求項1〜12のいずれかに
    記載の反射防止膜を形成したことを特徴とする光学素
    子。
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