JP3107757B2 - マイクロ波回路の自動チューニング方法 - Google Patents

マイクロ波回路の自動チューニング方法

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JP3107757B2
JP3107757B2 JP08279275A JP27927596A JP3107757B2 JP 3107757 B2 JP3107757 B2 JP 3107757B2 JP 08279275 A JP08279275 A JP 08279275A JP 27927596 A JP27927596 A JP 27927596A JP 3107757 B2 JP3107757 B2 JP 3107757B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプラズマ発
生装置などの負荷にマイクロ波電力を供給するマイクロ
波回路の自動チューニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のマイクロ波回路の自動チ
ューニング方法として、次のようなスタブ整合器を用い
たものが知られている。このスタブ整合器は、マイクロ
波発生器と負荷とを結ぶ方形導波管の途中に配備され、
方形導波管の隣接する二面から分岐された、その導波管
と略同形同寸の断面をもつ分岐管を備えている。これら
の分岐管には短絡板がそれぞれ摺動自在に挿入されてい
る。導波管内の電界方向に直角に配備される短絡板はE
面スタブ、磁界方向に直角に配備される短絡板はH面ス
タブとも呼ばれる。二つの分岐管内のE面スタブおよび
H面スタブの位置をそれぞれ適宜に調整することによ
り、マイクロ波発生器と負荷とのインピーダンス整合
(以下、単に整合とも言う)をとることができる。
【0003】ところで、E面スタブおよびH面スタブの
各位置の組み合わせにより、マイクロ波発生器から負荷
側を見たインピーダンスが複雑に変化することが知られ
ている。その様子を図17に模式的に示す。図17にお
いて、横軸はE面スタブおよびH面スタブの位置を、縦
軸は反射係数を示している。なお、E面スタブおよびH
面スタブの各位置はそれぞれ独立して変化するので、反
射係数の変化は3次元的であるが、ここでは簡単のため
に2次元的に示してある。
【0004】図17から分かるように、一般に反射係数
の極小値はE面,H面の各スタブの位置の組み合わせに
応じて複数個存在する。言うまでもなく、反射係数が最
小となる位置PA が、マイクロ波発生器と負荷との整合
がとれた点である。つまり、E面スタブおよびH面スタ
ブをこの位置PA に自動的に設定することが自動チュー
ニングの目標である。仮に、E面,H面の各スタブが位
置PA を挟む領域Aの範囲内にあれば、周知のフィード
バック制御などを使って、各スタブを位置PAに近づけ
てゆくことは容易である。しかし、各スタブが位置PA
を含まない例えば領域Bの範囲内にあると、通常の制御
では、各スタブはその領域B内で極小値をとる位置PB
に設定されてしまい、インピーダンスの整合がとれなく
なる。
【0005】このような理由により、マイクロ波回路の
自動チューニングにおいて、反射係数が最小値をとるE
面,H面の各スタブのおおよその初期位置を予め知るこ
とは重要である。そこで、本出願人は、先に特開平7−
153599号公報において、各スタブの適正な初期位
置を知るための手法を提案している。以下のこの手法に
ついて簡単に説明する。
【0006】まず、任意に決めた導波管長さ、入射電
力、負荷などに応じて、E面,H面の各スタブの位置と
反射電力との関係を測定し、その測定結果から反射係数
を算出して、各スタブの位置と反射係数の関係を示すテ
ーブルマップを予め作成しておく。そして、負荷に電力
を供給するときに、前記テーブルマップを参照して、所
望の反射係数を与える各スタブの初期位置を求め、その
位置に各スタブを移動させる。
【0007】この手法によれば、テーブルマップを参照
することにより、各スタブの最適な初期位置を試行錯誤
を繰り返すことなく速やかに得ることができるという利
点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように特開平7
−153599号公報に開示された手法は有用なもので
あるが、次のような問題点が明らかになった。すなわ
ち、上記のテーブルマップは、導波管の長さ、入射電
力、負荷などに応じて作成する必要があるので、テーブ
ルマップの作成に相当の時間を要する。
【0009】また、負荷のインピーダンスが外的要因に
より急激に変化すると、これに伴って図17に示した反
射係数の分布にも急激な変化が現れる。つまり、最小の
反射係数を与えるE面,H面の各スタブの位置が急激に
変化する。その結果、現在設定されているE面,H面の
各スタブの位置が、最小の反射係数を与える適正な位置
から大きくずれてしまい、通常の制御では追随すること
ができなくなる。
【0010】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、E面スタブおよびH面スタブの適正な
初期位置を容易かつ迅速に得ることができるマイクロ波
回路の自動チューニング方法を提供することを目的とす
る。また、本発明の他の目的は、マイクロ波電力の供給
中に負荷のインピーダンスが急激に変化しても、それに
追随して各スタブを適正な位置に動かすことができるマ
イクロ波回路の自動チューニング方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
〔本発明に至る経過〕本発明の理解のために、まず本発
明に至った経過を説明する。本発明者らは、マイクロ波
発生器と負荷とを結ぶ方形導波管の途中に配備されたス
タブ整合器のE面スタブおよびH面スタブをそれぞれ変
位させた場合に、スタブ整合器を含む負荷側のインピー
ダンスがスミスチャート上でどのように変化するかを調
べた。以下、図を参照して説明する。
【0012】図2は方形導波管に配備されたスタブ整合
器の外観斜視図、図3はその横断面図である。方形導波
管1の直交する二壁面にスタブ整合器2E ,2H がそれ
ぞれ配備されている。各スタブ整合器2E ,2H は、方
形導波管1と同形・同寸の断面形状をもつ分岐管3E
H 内に、短絡板としてのスタブ4E ,4H がそれぞれ
摺動自在に挿入されている。特に、電界方向と直交する
面をもつスタブ4E をE面スタブと、磁界と平行な面を
もつスタブ4H をH面スタブと呼ぶ。図示していない
が、各スタブ4E ,4H は、ステッピングモータで駆動
されるネジ送り機構によって、分岐管3E ,3H 内の任
意の位置に移動設定できるようになっている。この例で
は、各スタブ4E ,4H は、方形導波管1の内面と面一
になる位置から、各分岐管3E ,3H の奥側に向かって
最大で39mm移動することができる。なお、本明細書
では、スタブ4E ,4H が方形導波管1の内面と面一に
なる位置をスタブ基準位置と呼ぶ。
【0013】インピーダンスの測定は、スタブ整合器2
E ,2H の設置位置よりも少しマイクロ波発生器よりの
位置に、少なくとも3本の探針(アンテナ)を設置して
電圧定在波を検出することにより、反射係数の絶対値と
その位相を計測し、それらの値からスミスチャート上の
インピーダンスを得ている。このようにして得られたイ
ンピーダンスの測定結果を図6ないし図10に示す。
【0014】図6は、E面スタブ4E およびH面スタブ
H が共にスタブ基準位置にあるときに、インピーダン
スが整合するような負荷を接続した場合のインピーダン
スの軌跡である。図6では、E面スタブ4E をスタブ基
準位置(E=0)から上限位置(E=39mm)までの
間で、5mm間隔で各位置を固定し、固定したE面スタ
ブ4E の各位置ごとに、H面スタブ4H をスタブ基準位
置(H=0)から上限位置(H=39mm)まで移動さ
せたときのインピーダンスをスミスチャート上にプロッ
トしている。例えば、図6でE=0と示した軌跡は、E
面スタブ4E をスタブ基準位置に固定して、H面スタブ
H を移動させたときのインピーダンスの軌跡であり、
軌跡に沿って示した数字はH面スタブ4H の位置を示
す。当然ながら、E面スタブ4E およびH面スタブ4H
が共にスタブ基準位置にあるときは整合がとれているの
で、E=0の軌跡の始点はスミスチャート上の原点(整
合点)にある。H面スタブ4H がスタブ基準位置から遠
ざかるに従って、インピーダンス点はスミスチャートの
原点から外れてゆく。このE=0の軌跡は、スミスチャ
ート上で直径が1/2で、反射係数Γの絶対値(|Γ
|)が1の円(図6中に|Γ|=1で示す円)に接する
円で近似することができる。
【0015】同じく図6において、E面スタブ4E をE
=10の位置に固定してH面スタブ4H を動かしたとき
の軌跡を見ると、E=0の軌跡と比べて軌跡全体の位置
は変化しているが、E=0の場合と同様に、スミスチャ
ート上で直径が1/2で、反射係数Γの絶対値(|Γ
|)が『1』の円に接する円で近似することができる。
同様に、E面スタブ4E の固定位置を変えた場合、各固
定位置に対応する軌跡は、その位置は変化するが、同様
の円で近似することができる。
【0016】ここで、図6に示したE面スタブ4E の各
固定位置に対応したインピーダンスの円状軌跡(以下、
円軌跡という)の中心とスミスチャートの原点(|Γ|
=1の円の中心)を結ぶ線分が、スミスチャートでリア
クタンスが『0』(x=0)のラインに対してとる角度
(以下、円中心角度という)を測定してみると、図11
のようになる。図11の縦軸はE面スタブ4E の固定位
置を、横軸はE面スタブ4E の各固定位置に対応した円
中心角度を、それぞれ示している。なお、円中心角度は
スミスチャート上で反時計回りを正に、時計回りを負に
設定してある。このE面スタブ4E の位置と円中心角度
との関係は、三角関数の正接(tan )曲線で近似するこ
とができる。
【0017】この近似関数は次式(1)で表すことができ
る。 E(θ1 )=A1 +B1 tan {C1 (θ1 −D1 )×360/2π} …(1) (1)式の左辺E(θ1 )はE面スタブ4E の位置、θ1
は円軌跡の円中心角度である。また、A1 ,B1
1 ,D1 は、マイクロ波回路の特性で決まる定数であ
る。
【0018】図6では、E面スタブ4E およびH面スタ
ブ4H が共にスタブ基準位置にあるときにインピーダン
ス整合がとれている場合を示した。さらに、本発明者ら
は、、各スタブ4E ,4H がスタブ基準位置にあるとき
にインピーダンス整合がとれていない一般的な場合につ
いても、同様にインピーダンスの軌跡を測定した。その
結果を図7ないし図9に示す。図6では、各スタブ
E ,4H が基準位置にあるときのインピーダンスのス
ミスチャート上の点(以下、初期インピーダンス点とい
う)はスミスチャート上の原点にあった。しかし、図7
ないし図9では、各図に初期インピーダンス点Sはスミ
スチャート上の原点から外れた位置にある。また、E面
スタブ4E の各位置に対応したインピーダンスの円軌跡
は、反射係数の絶対値が『1』の円に略接してはいる
が、直径は1/2よりも大きくなっている。
【0019】上記の測定結果を検討した結果、本発明者
らは注目すべき事実を見出した。第1に、各スタブ
E ,4H がスタブ基準位置にあるときにインピーダン
ス整合がとれていない図7ないし図9の場合について、
E面スタブ4E の各位置と、それぞれに対応したインピ
ーダンスの円軌跡の円中心角度との関係を調べてみる
と、その関係は、各スタブ4E ,4H がスタブ基準位置
にあるときにインピーダンス整合がとれている図11の
関係と略同じ結果になるといういう事実である。
【0020】第2に、図7ないし図9に示したインピー
ダンスの円軌跡群をみると、図7に示した円軌跡群は図
7中に○印で囲んで領域で交差する、近似的に共通の交
点Gをもつ。同様に図8,図9に示した円軌跡群は、各
図中に○印で囲んだ領域で交際する、近似的に共通の交
点Gをもつ。さらに、注目すべきは、これらの交点G
は、スミスチャート上の原点を通る直線(図7ないし図
9の例ではリアクタンスが『0』(x=0)のライン)
を挟んで、線対称な位置にあるという事実である。この
対称軸は、必ずしもスミスチャート上でリアクタンスが
『0』のラインに一致するものでなくアンテナを導波管
のどの位置につけるかによって角度が変化するが、アン
テナの位置が同じであれば、インピーダンスの整合,不
整合にかかわらず、スミスチャート上の同じ位置に現れ
る。因みに、整合がとれた図6の場合は、初期インピー
ダンス点Sと円軌跡群の共通の交点Gは、共にスミスチ
ャートの原点上にある。
【0021】本発明者らは、上記第1および第2の事実
がH面スタブ4H の位置を固定してE面スタブ4E を動
かしたときのインピーダンスの軌跡についても同様に成
立することを確認した。図10に、E面スタブ4E とH
面スタブ4H とが共にスタブ基準位置にあるときに整合
がとれていない状態から、H面スタブ4H を各位置に固
定し、それぞれの固定位置でE面スタブ4E を動かして
得られたインピーダンスの軌跡を示す。また、図12
に、H面スタブ4H の位置と、その位置に対応したイン
ピーダンスの円軌跡の円中心角度との関係を示す。図1
2の関係も正接曲線で近似することができる。
【0022】この近似関数は次式(2)で表すことができ
る。 H(θ2 )=A2 +B2 tan {C2 (θ2 −D2 )×360/2π} …(2) (2)式の左辺H(θ2 )はH面スタブ4H の位置、θ2
は円軌跡の円中心角度である。また、A2 ,B2
2 ,D2 は、マイクロ波回路の特性で決まる定数であ
る。
【0023】図11,図12に示した各スタブ4E ,4
H の位置と、インピーダンスの円軌跡群の円中心角度と
の関係は、各スタブ4E ,4H がスタブ基準位置にある
ときに整合がとれていなくても、つまり任意の負荷につ
いて、成立することは上述したとおりである。さらに、
本発明者らは、アンテナの取り付け位置が変わった場
合、図11,図12の正接曲線で近似できる特性曲線
は、横軸方向にシフトするが、特性曲線の形はそのまま
維持されることも確認した。
【0024】以上の知見に基づき、本発明者らは、任意
の負荷が接続されたマイクロ波回路をチューニングする
にあたり、E面スタブ4E とH面スタブ4H が共にスタ
ブ基準位置にあるときのインピーダンスさえ分かれば、
各スタブ4E ,4H の各位置のインピーダンスを測定し
なくても、インピーダンスが整合する各スタブ4E ,4
H の適正位置を導出することができることに想到した。
【0025】なお、周知のように、マイクロ波回路の導
波管の任意の位置で反射係数の絶対値とその位相を測定
すれば、その点のインピーダンスが決定する。つまり、
ある位置の反射係数の絶対値とその位相は、その位置の
インピーダンスと等価である。従って、本発明におい
て、例えばスタブ4E ,4H がスタブ基準位置にあると
きのスミスチャートの初期インピーダンス点を知るとい
うことは、その位置での反射係数の絶対値とその位相を
知ることと同義であることに留意されたい。
【0026】〔請求項1の発明の原理〕以下、各スタブ
E ,4H がスタブ基準位置にあるときのインピーダン
スを用いて、インピーダンスが整合する各スタブ4E
H の適正位置を導出する手法の原理を説明する。
【0027】チューニングしようするマイクロ波回路に
ついて、E面スタブ4E とH面スタブ4H が共にスタブ
基準位置にあるときのインピーダンス(したがって、反
射係数の絶対値とその位相)が既知であるとする。その
初期インピーダンス点Sをスミスチャート上にプロット
した様子を図13に示す。また、そのマイクロ波回路
が、ある負荷状態にある場合において、上述したスミス
チャート上の対称軸Xを予め求めておく。負荷側のイン
ピーダンスが変化しても、対称軸Xの位置は変化しない
ことは上述したとおりである。そうすると、この対称軸
Xを挟んで前記初期インピーダンス点Sと線対称な位置
に、上述したインピーダンスの円軌跡群の共通の交点G
が得られる(図13参照)。
【0028】上述の知見より、インピーダンスが整合す
る各スタブ4E ,4H の適正位置に対応するスミスチャ
ート上のインピーダンス点(つまり、整合点)が存在す
るインピーダンスの円軌跡は、当然ながら前記整合点
(スミスチャートの原点)Oを通り、かつ、前記共通の
交点Gを通り、スミスチャート上の反射係数の絶対値|
Γ|が『1』の円に接する円である。このような円軌跡
は図13中に符号C1,C2で示すように二つ存在す
る。二つの円軌跡C1,C2のいずれか一方の円軌跡
を、E面スタブ4E を固定してH面スタブ4H を動かし
たときの円軌跡であるとすれば、他方の円軌跡は、H面
スタブ4H を固定してE面スタブ4E を動かしたときの
円軌跡に相当する。つまり、インピーダンスが整合する
各スタブ4E ,4H の適正位置は2組存在する。一方が
円軌跡C1から得られる各スタブ4E ,4H の位置(E
1 ,H1 )であり、他方が円軌跡C2から得られる各ス
タブ4E,4H の位置(E2 ,H2 )である。各スタブ
E ,4H を(E1 ,H1 )または(E2 ,H2 )のど
ちらの位置に設定しても、インピーダンスの整合を取る
ことができる。
【0029】具体的には、以下のようにして各スタブ4
E ,4H の適正位置(E1 ,H1 ),(E2 ,H2 )を
求めることができる。図14を参照する。いま、E面ス
タブ4E とH面スタブ4H とが共にスタブ基準位置にあ
るときに計測された反射係数の絶対値が|ΓS |、その
位相がθS であったとする。このときの初期インピーダ
ンス点Sは、スミスチャート上で極座標(|ΓS |,θ
S)で表される。簡単のために、上述した対称軸Xが、
スミスチャート上のリアクタンスが『0』(x=0)の
ラインに一致するように、マイクロ波回路の導波管の長
さを設定しておく。そうすると、交点Gの極座標は(|
ΓS |,−θS )で与えられる。
【0030】図13において説明した円軌跡C1,C2
は、|Γ|=1の円に接し、スミスチャートの原点Oを
通るのであるから、これらの円軌跡C1,C2は半径1
/2の円であり、これらの円の中心点はスミスチャート
の原点を中心とした半径1/2の円(図14に一点鎖線
で示す)上に存在する。幾何学の定理から、二つの円の
交点を結ぶ線分(図14の線分OG)は、二つの円の中
心を結んだ線分(図14の線分O1 2 )と直交し、こ
の線分によって2等分される。線分OGの中点をNとす
ると以下の関係が成立する。 ∠O1 ON=∠O2 ON=ψ cos ψ=(|ΓS |/2)/(1/2)=|ΓS | ψ=cos -1|ΓS
【0031】したがって、円軌跡C1の中心O1 が対称
軸Xとなす角度をθ1 、円軌跡C2の中心O2 が対称軸
Xとなす角度をθ2 とすると、これらの角度θ1 ,θ2
は以下の式(3),(4)によって得ることができる。 θ1 =−θS +ψ=−θS +cos -1|ΓS | ……(3) θ2 =−θS −ψ=−θS −cos -1|ΓS | ……(4)
【0032】円軌跡C1,C2の円中心角度θ1 ,θ2
が分かると、図11,図12に示した各スタブ4E ,4
H の位置と円中心角度との関係を参照することにより、
角度θ1,θ2 に対応するスタブ4E ,4H の位置を知
ることができる。例えば、円中心角度θ1 を図11に示
した関係に当てはめると、E面スタブ4E の適正位置E
1 が求められ、円中心角度θ2 を図12に示した関係に
当てはめると、H面スタブ4H の適正位置H1 が求めら
れる。逆に、角度θ2 を図11の関係に、角度θ1 を図
12の関係に当てはめてもよく、その場合は別の適正位
置(E2 ,H2)が得られることは上述したとおりであ
る。
【0033】〔請求項1の発明の構成および作用〕請求
項1に記載の発明は、上述した原理に基づくものであっ
て、その構成は以下のとおりである。すなわち、請求項
1に記載の発明は、マイクロ波発生器と負荷とを結ぶ方
形導波管の途中に、その導波管の直交する二壁面から分
岐させた分岐管を設け、一方の分岐管内にE面スタブ
を、他方の分岐管にH面スタブを、それぞれ摺動自在に
挿入し、各スタブの位置を調整することによりインピー
ダンス整合をとるようにしたマイクロ波回路の自動チュ
ーニング方法において、(1)E面スタブおよびH面ス
タブが共に前記方形導波管の内面と面一になる位置(以
下、スタブ基準位置という)にあるときの反射係数の絶
対値とその位相を計測する過程と、(2)前記過程
(1)で計測した反射係数の絶対値とその位相に基づい
て、インピーダンスが整合するE面スタブおよびH面ス
タブの各位置を求める過程と、(3)前記過程(2)で
求められた各位置にE面スタブおよびH面スタブを移動
させて、マイクロ波発生器と負荷とのインピーダンス整
合をとる過程と、を含み、前記過程(2)は実質的に以
下の(a)ないし(g)の過程、すなわち(a)E面ス
タブを種々の位置に固定し、前記固定したE面スタブの
各位置ごとに、H面スタブを可動範囲全域に動かすこと
により得られる、前記E面スタブの各位置ごとのスミス
チャート上のインピーダンスの円状軌跡(以下、円軌跡
という)において、E面スタブの各位置と、前記各円軌
跡の中心とスミスチャート上の原点とを結ぶ線分の角度
(以下、円中心角度という)との対応関係を予め求めて
おき、同様にH面スタブを種々の位置に固定し、前記固
定したH面スタブの各位置ごとに、E面スタブを可動範
囲全域に動かすことによって、H面スタブの各位置とそ
のときの円中心角度との対応関係を予め求めておく過程
と、(b)前記過程(a)で求めたE面スタブまたはH
面スタブの少なくとも一方の円軌跡群について、前記E
面スタブとH面スタブが共にスタブ基準位置にあるとき
のインピーダンスに対応するスミスチャート上の点と、
前記円軌跡群の共通する交点とが線対称になるスミスチ
ャート上の対称軸を予め求めておく過程と、(c)前記
過程(1)で計測した反射係数の絶対値とその位相で決
まるスミスチャート上の点(以下、初期インピーダンス
点という)と、前記過程(b)で求めた対称軸とを使っ
て、前記対称軸を挟んで前記初期インピーダンス点と線
対称になるスミスチャート上の点(以下、線対称点とい
う)を求める過程と、(d)前記線対称点と、スミスチ
ャート上の原点である整合点とを通り、かつ、スミスチ
ャート上で反射係数の絶対値が『1』である円と接す
る、二つの円を求める過程と、(e)前記二つの円の中
心と、スミスチャート上の原点を結ぶ線分の角度をそれ
ぞれ求める過程と、(f)前記過程(a)で求めたE面
スタブの位置と円中心角度との関係を参照し、前記過程
(e)で求めた一方の線分の角度に対応するE面スタブ
の位置を求める過程と、(g)前記過程(a)で求めた
H面スタブの位置と円中心角度との関係を参照し、前記
過程(e)で求めた他方の線分の角度に対応するH面ス
タブの位置を求める過程と、を含む処理であることを特
徴とする。
【0034】請求項1に記載の発明によれば、過程
(1)において、自動チューニングしようとするマイク
ロ波回路について、E面スタブおよびH面スタブを共に
スタブ基準位置に設定し、そのときの反射係数の絶対値
とその位相を計測する。そして、次の過程(2)では、
過程(1)で計測された反射係数の絶対値とその位相に
基づいて、インピーダンスが整合するE面スタブおよび
H面スタブの適正位置を求める。過程(2)で実行され
る処理のアルゴリズは、過程(a)ないし(g)で表さ
れる。過程(2)の処理は、過程(a)ないし(g)が
実質的に実行されたものであればよい。過程(b)で示
した対称軸が予め分かっていれば、過程(c)ないし
(e)で求められる、二つの円の中心と、スミスチャー
ト上の原点を結ぶ線分の角度(円中心角度)は幾何学的
に一義的に決まるので、これらの円中心角度を演算処理
によって直接的に求めることができるからである。求め
られた二つの円中心角度の一方を、過程(a)で求めた
E面スタブの位置と円中心角度との関係に当てはめれ
ば、E面スタブの適正位置が求められる。また、他方の
円中心角度を、H面スタブと円中心角度との関係に当て
はめれば、H面スタブの適正位置が求められる。各スタ
ブの適正位置が求められると、過程(3)において、そ
れぞれ求められた各位置にE面スタブおよびH面スタブ
4を移動させてインピーダンス整合をとる。
【0035】請求項1に記載の発明は、任意の負荷が接
続されたマイクロ波回路を自動チューニングするにあた
り、E面スタブおよびH面スタブを、インピーダンス整
合をとることができる適正位置に初期的に設定する手法
であることに留意されたい。本発明方法を用いて各スタ
ブを適正位置に初期設定した後は、従来から知られてい
るフィードバック制御などを使って、反射係数の絶対値
が最小となるように各スタブの位置を微調整すればよ
い。
【0036】〔請求項2の発明の原理〕図11に示した
E面スタブと円中心角度との関係、および図12に示し
たH面スタブと円中心角度との関係は、上記(1),(2)
式に示した正接関数で近似できることは先に説明した。
また、過程(c)ないし(e)で求められる二つの円の
円中心角度は、E面スタブとH面スタブがスタブ基準位
置にあるときの反射係数の絶対値とその位相が計測され
ると上記(3),(4)式により一義的に決まり、これら
の円中心角度を図11,図12の関係に当てはめれば各
スタブの適正位置が求められることも上述したとおりで
ある。したがって、(3),(4)式で求められる各円中心
角度θ1 ,θ2 の値を、(1),(2)で表された正接関数
に代入した関数を予め設定しておけば、その関数にE面
スタブとH面スタブがスタブ基準位置にあるときの反射
係数の絶対値とその位相を与えるだけで、各スタブの適
正位置を求めることができる。
【0037】すなわち、各スタブの一方の適正位置(E
1 ,H1 )は、次式(5),(6)で表される関数で求める
ことができる。 E1 =A1 +B1 tan {C1 (−θS −360° +cos -1|ΓS |+D1 )×360/2π} ……(5) H1 =A2 +B2 tan {C2 (−θS −360° −cos -1|ΓS |+D2 )×360/2π} ……(6)
【0038】また、各スタブのもう一つの適正位置(E
2 ,H2 )は、次式(7),(8)で表される関数で求める
ことができる。 E2 =A1 +B1 tan {C1 (−θS −360° −cos -1|ΓS |+D1 )×360/2π} ……(7) H2 =A2 +B2 tan {(C2 (−θS −360° +cos -1|ΓS |+D2 )×360/2π} ……(8)
【0039】上記式(5),(6)で得られた適正位置(E
1 ,H1 )、あるいは式(7),(8)で得られた適正位置
(E2 ,H2 )のどちらの位置に各スタブを設定して
も、インピーダンス整合をとることができる。なお、上
記(5)ないし(8)では、θ1 ,θ2 とθS の角度の方向
を揃えるために、式(3),(4)中の『−θS 』を『−θ
S −360°』に置き換えてある。
【0040】〔請求項2の発明の構成および作用〕請求
項2に記載の発明は、上述した原理に基づくものであっ
て、その構成は以下のとおりである。すなわち、請求項
2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前
記過程(2)における処理は、前記過程(a)で求めた
E面スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面ス
タブの位置と円中心角度との関係を、それぞれ近似する
ことに基づいて得られた二つの関数、すなわち、両スタ
ブが共にスタブ基準値にあるときの反射係数の絶対値お
よびその位相と、インピーダンスが整合するE面スタブ
の位置とを関係付けた第1の関数と、前記反射係数の絶
対値およびその位相と、インピーダンスが整合するH面
スタブの位置とを関係付けた第2の関数とに、前記過程
(1)で計測した反射係数の絶対値とその位相をそれぞ
れ与えることによって、実質的に前記過程(a)ないし
(g)を実行して、インピーダンスが整合するE面スタ
ブおよびH面スタブの各位置を求めるものであることを
特徴とする。
【0041】請求項2に記載の発明によれば、上記の第
1の関数と第2の関数とを予め決定しておけば、これら
の関数にE面スタブとH面スタブとが共にスタブ基準位
置にあるときの反射係数の絶対値およびその位相を与え
るだけで、インピーダンスが整合するE面スタブおよび
H面スタブの各位置を求めることができる。
【0042】〔請求項3の発明の原理〕導波管の長さが
変わると、インピーダンスの円軌跡群の位相が変位し、
結果として、図11および図12に示した各スタブと円
中心角度の関係がシフト(位相が変位)したり、スミス
チャート上の初期インピーダンス点と円軌跡群の共通の
交点との対称軸が変化することは先に説明した。導波管
の長さが異なるマイクロ波回路ごとに、前記過程(a)
および過程(b)を実行して対称軸を求めてもよいが、
特に過程(a)で各スタブの位置と円中心角度との関係
を導波管の長さが変わるごとに測定するのは煩わしい。
そこで、本発明者らは、基準となる長さの導波管(以
下、基準導波管という)を用いたマイクロ波回路につい
て求めた各スタブと円中心角度の関係や、その対称軸に
基づき、前記基準導波管と異なる任意の長さの導波管を
備えたマイクロ波回路に関する、各スタブと円中心角度
との関係や、その対称軸を簡便に求める手法を考えた。
以下、図15を参照してその原理を説明する。
【0043】まず、基準導波管を備えたマイクロ波回路
について、E面スタブを各位置に固定してH面スタブを
動かしたときのインピーダンスの円軌跡群のうちから、
基準となる円軌跡C0 を適当に定め、その円中心角度θ
E0を計測しておく。この円中心角度θE0は、E面スタブ
を所定位置に固定し、H面スタブを動かしたときに、反
射係数の絶対値が略『1』になるときの位相と等しくな
るので、この位相(以下、E基準位相という)θE0を計
測することにより得られる。同様に、H面スタブを所定
位置に固定し、E面スタブを動かしたときに、反射係数
の絶対値が略『1』になるときの位相(以下、H基準位
相という)θH0を計測しておく。そして、任意長さの導
波管を備えたマイクロ波回路をチューニングにする際に
は、前記E基準位相θE0を計測したときと同じ位置に、
そのマイクロ波回路のE面スタブを固定し、H面スタブ
を動かしたときに、反射係数の絶対値が略『1』になる
ときの位相(以下、E実位相という)θE0’を計測する
(このときの円軌跡を図15中に符号C0 ’で示す)。
同様にH基準位相を計測したときと同じ位置に、そのマ
イクロ波回路のH面スタブを固定し、E面スタブを動か
したときに、反射係数の絶対値が略『1』になるときの
位相(以下、H実位相という)θH0’を求める。このH
実位相θH0’は必ずしも計測して求める必要はない。H
基準位相に対するH実位相のズレ(変位量)は、E基準
位相に対するE実位相のズレと略同じになるので、E実
位相を計測することにより、E基準位相に対するE実位
相のズレが分かれば、H基準位相からH実位相を知るこ
とができるからである。逆に、H実位相を計測すれば、
E実位相を計測しなくても、E実位相の値を知ることが
できる。
【0044】上記のようにして計測されたE実位相とE
基準位相の差分(θE0’−θE0)は、導波管の長さが変
わることによって生じたE面スタブの位置と円中心角度
との関係のシフト量に等しい。したがって、基準導波管
を備えたマイクロ波回路について求めたE面スタブの位
置と円中心角度との関係を、前記差分(θE0’−θE0
によって補正すれば、任意長さの導波管を備えたマイク
ロ波回路について、E面スタブの位置と円中心角度との
関係を得ることができる。同様に、基準導波管を備えた
マイクロ波回路について求めたH面スタブの位置と円中
心角度との関係を、H実位相とH基準位相の差分
(θH0’−θH0)によって補正すれば、任意長さの導波
管を備えたマイクロ波回路について、H面スタブの位置
と円中心角度との関係を得ることができる。
【0045】任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路
について、スミスチャート上の対称軸(以下、実対称軸
という)を求める場合も同様である。まず、基準導波管
を用いたマイクロ波回路について、E面スタブまたはH
面スタブのいずれか一方のスタブを固定し、他方のスタ
ブを動かして得られた、スミスチャート上のインピーダ
ンスの円軌跡群から、スミスチャート上の対称軸(以
下、基準対称軸という)を求める。この基準対称軸を図
15中に符号Xで示す。その基準対称軸Xが前記E基準
位相またはH基準位相に対してどれだけ変位している
か、その変位角度Δθを求めておく。図15の例では、
簡単のために、対称軸Xがスミスチャート上でリアクタ
ンスが『0』(x=0)のラインと一致するような長さ
をもった導波管を基準導波管としているので、前記変位
角度ΔθはE基準位相(−θE0)に一致している。この
変位角度Δθは導波管の長さが変わっても維持される。
したがって、任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路
についてE実位相θ0 ’(またはH実位相)を計測すれ
ば、その位相θ0 ’から前記変位位相Δθだけ角度をず
らすことにより、そのマイクロ波回路の実対称軸X’を
得ることができる。
【0046】〔請求項3の発明の構成および作用〕請求
項3に記載の発明は、上述した原理に基づくものであっ
て、その構成は以下のとおりである。すなわち、請求項
3に記載の発明は、請求項1または2に記載の方法にお
いて、前記過程(a)は以下の(a1)ないし(a3)
の過程、すなわち、(a1)基準となる長さをもった方
形導波管(以下、基準導波管という)を備えたマイクロ
波回路について、E面スタブの位置と円中心角度との関
係、およびH面スタブの位置と円中心角度との関係を予
め計測しておくとともに、E面スタブを所定位置に固定
してH面スタブを動かしたときの円軌跡の円中心角度
(以下、E基準位相という)と、H面スタブを所定位置
に固定してE面スタブを動かしたときの円軌跡の円中心
角度(以下、H基準位相という)とを予め求めておく過
程と、(a2)前記基準導波管とは長さの異なる任意長
さの方形導波管を備えたマイクロ波回路の自動チューニ
ングを行なうにあたり、そのマイクロ波回路のE面スタ
ブを、前記E基準位相を求めたときのE面スタブと同じ
位置に固定してH面スタブを動かしたときに、反射係数
の絶対値が略『1』になる点の位相(以下、E実位相と
いう)と、そのマイクロ波回路のH面スタブを、前記H
基準位相を求めたときのH面スタブと同じ位置に固定し
てE面スタブを動かしたときに、反射係数の絶対値が略
『1』になる点の位相(以下、H実位相という)とを、
少なくともいずれか一方の実位相を計測することによっ
て求める過程と、(a3)基準導波管を備えたマイクロ
波回路について求めたE面スタブと円中心角度との関係
を、前記E実位相と前記E基準位相との差分に相当する
角度分だけ補正することにより、前記任意長さの方形導
波管を備えたマイクロ波回路のE面スタブと円中心角度
との関係を求め、同様に、基準導波管を備えたマイクロ
波回路について求めたH面スタブと円中心角度との関係
を、前記H実位相と前記H基準位相との差分に相当する
角度分だけ補正することにより、前記任意長さの方形導
波管を備えたマイクロ波回路のH面スタブと円中心角度
との関係を求める過程と、を含み、前記過程(b)は以
下の(b1)ないし(b2)の過程、すなわち、(b
1)前記基準導波管を備えたマイクロ波回路について、
前記E基準位相またはH基準位相の少なくともいずれか
一方の基準位相に対する、その基準導波管を備えたマイ
クロ波回路のスミスチャート上の対称軸(以下、基準対
称軸という)の変位角度を予め求めておく過程と、(b
2)前記任意長さの方形導波管を備えたマイクロ波回路
の自動チューニングを行なうにあたり、前記変位角度を
求めたときの基準位相に対応する実位相から、前記基準
対称軸の変位角度を差し引くことにより、そのマイクロ
波回路のスミスチャート上の実際の対称軸(以下、実対
称軸という)を求める過程と、を含み、前記過程(c)
では過程(b2)で求めた実対称軸を使って線対称点を
求め、前記過程(f)では、過程(a3)で補正したE
面スタブと円中心角度との関係を用いてE面スタブの位
置を求め、前記過程(g)では、同様に過程(a3)で
補正したH面スタブと円中心角度との関係を用いてH面
スタブの位置を求めることを特徴とする。
【0047】請求項3に記載の発明によれば、基準導波
管を備えたマイクロ波回路について、過程(a1)で、
E面スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面ス
タブの位置と円中心角度の関係を計測するともに、E基
準位相およびH基準位相を求め、また、過程(b1)
で、基準対称軸の変位角度を求めておけば、基準導波管
とは異なった任意の長さの導波管を備えたマイクロ波回
路をチューニングするにあたって、そのつど各スタブの
位置と円中心角度との関係を計測して、そのマイクロ波
回路の対称軸を求めるという過程を行う必要がない。つ
まり、任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路につい
ては、過程(a2)でE実位相とH実位相を計測すれ
ば、これらの実位相を使って、そのマイクロ波回路の各
スタブの位置と円中心角度の関係と、スミスチャート上
の対称軸(実対称軸)を簡単に得ることができる。
【0048】〔請求項4の発明の原理〕E面スタブおよ
びH面スタブをインピーダンス整合する適正な位置に初
期設定した後は、反射係数の絶対値|Γ|が極力小さく
なるように、通常のフィードバック制御などによって、
各スタブの位置が微調整される。このとき外的影響で負
荷が急激に変動すると、その負荷に対してインピーダン
ス整合する各スタブの適正位置も急激に大きく変動する
ので、もはや通常の制御では各スタブを適正位置にもっ
てくることができなくなる。その結果、各スタブを初期
設定しなおす必要が生じる。そのために、各スタブをス
タブ基準位置にまで移動させて、その位置における反射
係数の絶対値とその位相を求めるという、上述した過程
(1)を実行するのは煩雑である。そこで、本発明者ら
は、このような急激な負荷変動に対して、各スタブの適
正な位置を再び求めるに際し、各スタブがスタブ基準位
置にあるときの反射係数の絶対値とその位相を計測する
ことなく、各スタブの適正位置を迅速に求めることがで
きる手法を考えた。以下、その原理を説明する。
【0049】負荷が急激に変動したときのE面スタブお
よびH面スタブの各位置E1 ,H1が分かれば、図1
1,図12に示した各スタブの位置と円中心角度との関
係から、各スタブの位置E1 ,H1 に対応したインピー
ダンスの円軌跡の円中心角度θ E ,θH を求めることが
できる。なお、チューニングしようとするマイクロ波回
路の導波管の長さが、基準導波管と異なる場合は、請求
項3の発明において説明した補正された各スタブ位置と
円中心角度の関係を用いて、各スタブ位置に対応した円
中心角度を求めることができる。また、負荷が急減に変
動したときの反射係数の絶対値|Γ|とその位相θは計
測することにより知ることができる。スタブ位置E1
1 に対応した各インピーダンスの円軌跡は、それぞれ
スミスチャート上の|Γ|=1の円に接し、かつ、負荷
急変時の反射係数の絶対値|Γ|と位相θで表される点
を通るはずであるので、これらの二つの円軌跡CE1,C
H1が一義的に決まる。この様子を図16に示す。
【0050】決定した二つの円軌跡CE1,CH1は、負荷
急変時の反射係数の絶対値|Γ|と位相θで表される点
F以外に、もう一つの交点Gをもっている。この交点G
が、E面スタブ(またはH面スタブ)の各位置に対応し
たインピーダンスの円軌跡群が通過する共通の交点であ
る。したがって、各スタブの最初の初期設定の際に求め
た、そのマイクロ波回路のスミスチャート上の対称軸
(あるは実対称軸)Xを挟んで、線対称となる点が各ス
タブがスタブ基準位置にあるときのインピーダンス点
(初期インピーダンス点)Sである。初期インピーダン
ス点Sが分かれば、上述した過程(2)を実行すること
によって、インピーダンスが整合する各スタブの位置を
求めることができる。
【0051】〔請求項4の発明の構成および作用〕請求
項4に記載の発明は、上述した原理に基づくものであっ
て、その構成は以下のとおりである。すなわち、請求項
4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載
の方法において、さらに以下の(4)ないし(7)の過
程、すなわち、(4)前記過程(1)ないし(3)によ
って、E面スタブおよびH面スタブの位置を初期設定し
た後、反射係数の絶対値が小さくなる方向に両スタブの
位置を制御しながらマイクロ波回路を作動させている期
間中に、反射係数の絶対値が急激に変動したかを監視す
る過程と、(5)前記過程(4)で反射係数の絶対値が
急激に変動したことが検出されると、そのときの反射係
数の絶対値とその位相を計測する過程と、(6)前記計
測された反射係数の絶対値とその位相とに基づいて、E
面スタブおよびH面スタブが共にスタブ基準位置にある
ときの反射係数の絶対値とその位相を新たに求める過程
と、(7)前記過程(6)で求めた反射係数の絶対値と
その位相を使って前記過程(2)ないし過程(3)を実
行することにより、インピーダンス整合がとれる位置に
E面スタブおよびH面スタブを移動させる過程とを含
み、前記過程(6)は実質的に以下の(h)ないし
(j)の過程、すなわち、(h)前記過程(a)で求め
たE面スタブの位置と円中心角度との関係と、同じくH
面スタブの位置と円中心角度との関係を参照することに
より、前記反射係数が急激に変動したときのE面スタブ
の位置に対応する円中心角度と、同じくH面スタブの位
置に対応する円中心角度とを求める過程と、(i)前記
過程(h)で求めたE面スタブの位置に対応した円中心
角度をもち、かつ、スミスチャート上で反射係数の絶対
値が『1』である円に接するとともに、前記過程(5)
で計測した反射係数の絶対値およびその位相に対応する
スミスチャート上の点を通る第1の円と、同様に前記過
程(h)で求めたH面スタブの位置に対応した円中心角
度をもち、かつ、スミスチャート上で反射係数の絶対値
が『1』である円に接するとともに、前記過程(5)で
計測した反射係数の絶対値およびその位相に対応するス
ミスチャート上の点を通る第2の円とを求める過程と、
(j)前記第1および第2の円の二つの交点のうち、過
程(5)で計測した反射係数の絶対値およびその位相に
対応するスミスチャート上の一方の交点とはな異なる他
方の交点に対して、前記過程(b)で求めた対称軸を挟
んで線対称となるスミスチャート上のインピーダンス点
を求め、このインピーダンス点から、E面スタブおよび
H面スタブが共にスタブ基準位置にあるときの反射係数
の絶対値およびその位相を新たに求める過程と、を含む
処理であることを特徴とする。
【0052】請求項4に記載の発明によれば、負荷が急
激に変動したときの反射係数の絶対値とその位相を計測
し、また、そのときの各スタブの位置を知ることによ
り、各スタブがスタブ基準位置にあるときの反射係数の
絶対値とその位相を求めることができるので、負荷が急
減に変動するたびに、各スタブをスタブ基準位置に戻し
て、反射係数の絶対値とその位相を計測する必要がな
く、インピーダンスが整合する適正位置へ各スタブを速
やかに移動させることができる。
【0053】〔請求項5の発明の原理〕請求項4の発明
の原理において説明した初期インピーダンス点Sは演算
によっても求めることができる。以下、図16を参照し
て説明する。円軌跡CE1の円中心角度θE は、図11に
示したE面スタブと円中心角度との関係に近似した正接
関数を使って次式(9)のように表すことができる。
【0054】
【数1】
【0055】同様に、円軌跡CH1の円中心角度θH は、
図12に示したH面スタブと円中心角度との関係に近似
した正接関数を使って次式(10)のように表すことがで
きる。
【0056】
【数2】
【0057】なお、(9)式中、EはE面スタブの位置、
1 ,B1 ,C1 ,D1 は定数、(10) 式中、HはH面
スタブの位置、A2 ,B2 ,C2 ,D2 は定数である。
【0058】極座標(|Γ|,θ)で表される点Fの座
標を、スミスチャートの原点Oを通る直交座標(a,
b)で書き換えると、 F(a,b)=(|Γ|cos θ,|Γ|sin θ) となる。
【0059】ここで、円軌跡CE1の半径をrE とする
と、その中心点OE の座標は、 ((1−rE )cos θE ,(1−rE )sin θE ) となる。同様、円軌跡CH1の半径をrH とすると、その
中心点OH の座標は、 ((1−rH )cos θH ,(1−rH )sin θH ) となる。
【0060】したがって、円軌跡CE1は次式で表され
る。 {x−(1−rE )cos θE 2 +{y−(1−rE
sin θE 2 =r2 上式を書き換えると次のようになる。 x2 −2x(1−rE )cos θE +y2 −2y(1−rE )sin θE +1−2rE =0 ……(11)
【0061】同様に円軌跡CH1は次式で表される。 x2 −2x(1−rH )cos θH +y2 −2y(1−rH )sin θH +1−2rH =0 ……(12)
【0062】円軌跡CE1,CH1は共に点F(a,b)を
通るので、(11) 式より次の関係が得られる。 a2 −2a(1−rE )cos θE+b2 −2b(1−r
E )sin θE +1−2rE =0 上式より、円軌跡CE1の半径rE は次式(13) で表され
る。
【0063】
【数3】
【0064】同様に(12) 式より、円軌跡CH1の半径r
H は次式(14) で表される。
【0065】
【数4】
【0066】ここで、円軌跡CE1の中心OE と、円軌跡
H1の中心OH を通る直線L1 の傾きmは次式(15) で
表される。
【0067】
【数5】
【0068】また、点F,Gを通る直線L2 の傾きを
m’とすると、2つの直線L1 ,L2は直交するので、
次の関係が成立する。 m・m’=−1 したがって、 m’=−1/m ……(16) となる。また、傾きm’は次式(17) で与えられる。 m’=(y’−b)/(x’−a) ……(17) (16) ,(17) 式より、次式(18) が得られる。 x’+m・y’=a+m・b ……(18)
【0069】点OE ,OH を通る直線L1 は次式(19)
で表される。 y−(1−rH )sin θH =m{x−(1−rH )cos θH }……(19) この直線L1 は、線分FGの交点((x’+a)/2,
(y’+b)/2)を通るので、(19) 式から次式(2
0) が得られる。 (y’+b)/2−(1−rH )sin θH =m{(x’+a)/2−(1−rH )cos θH }……(20) (20) 式を変形すると、次式(21) が得られる。 −mx’+y’ =2(1−rH )sin θH −b+ma−2m(1−rH )cos θH ……(21)
【0070】(18) ,(21) 式より、交点G(x’,
y’)は次式(22) ,(23) で表される。
【0071】
【数6】
【0072】上式(22) ,(23) にF(a,b)=(|
Γ|cos θ,|Γ|sin θ)の各値を代入すると、次式
(24) ,(25) が得られる。
【0073】
【数7】
【0074】上式(24) ,(25) で得られる点G
(x’,y’)が、各スタブの位置E,Hにかかわら
ず、インピーダンスの円軌跡群が通過する共通の点であ
る。ここで、対称軸Xをスミスチャート上のリアクタン
スが『0』(x=0)のラインに一致するように、マイ
クロ波回路の導波管の長さを設定しておくと、この対称
軸Xを挟んで点Gに線対称である点S(x’,−y’)
が、各スタブがスタブ基準位置にあるときの初期インピ
ーダンス点になる。この初期インピーダンス点Sに対応
する反射係数の絶対値|Γ|’とその位相θ’で表すと
次式(29) ,(30) のようになる。
【0075】
【数8】
【0076】上式(29) ,(30) で得られた反射係数の
絶対値|Γ|’とその位相θ’を用いて過程(2)を実
行することによって、インピーダンスが整合する各スタ
ブの位置を求めることができる。
【0077】〔請求項5の発明の構成および作用〕請求
項5に記載の発明は、上述した原理に基づくものであっ
て、その構成は以下のとおりである。すなわち、請求項
5に記載の発明は、請求項4に記載の方法において、前
記過程(6)における処理は、過程(a)で求めたE面
スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面スタブ
の位置と円中心角度との関係に基づいて得られる、反射
係数の絶対値が急激に変動したときの反射係数の絶対値
とその位相と、E面スタブおよびH面スタブが共にスタ
ブ基準位置にあるときの反射係数の絶対値とその位相と
を関係付けた近似関数に、前記反射係数の絶対値が急激
に変動したときのE面スタブの位置に対応する円中心角
度と、同じくH面スタブの位置に対応する円中心角度
と、前記反射係数の絶対値が急激に変動したときの反射
係数の絶対値とその位相をそれぞれ与えることによっ
て、実質的に前記過程(h)ないし(j)を実行して、
E面スタブおよびH面スタブが共にスタブ基準位置にあ
るときの反射係数の絶対値およびその位相を求めるもの
であることを特徴とする。
【0078】請求項5に記載の発明によれば、反射係数
の絶対値が急激に変動したときのE面スタブの位置に対
応した円中心角度と、同じくH面スタブ4H の位置に対
応した円中心角度と、そのときの反射係数の絶対値とそ
の位相を近似関数に与えることにより、各スタブがスタ
ブ基準位置にあるときの反射係数の絶対値とその位相を
算出することができるので、インピーダンスが整合する
適正位置へ各スタブを速やかに移動させることができ
る。
【0079】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を説明する。図1は本発明方法を用いたマイクロ波
回路の一実施例の概略構成を示したブロック図である。
ここでは、マイクロ波を利用した集積回路(IC)のプ
ラズマドライエッチング装置を例に採って説明する。
【0080】図中、符号11はマイクロ波電源である。
マイクロ波電源11からの電力はマイクロ波発生器12
に与えられる。マイクロ波発生器12で発生されたマイ
クロ波電力は、断面が長方形の方形導波管1で伝搬され
て、負荷であるプラズマ生成用チャンバー(以下、負荷
という)13に与えられる。マイクロ波発生器12と負
荷13との間に、アイソレータ14、方向性結合器1
5、スタブ整合器2E ,2H がその順に介在されてい
る。なお、スタブ整合器2E ,2H と負荷13との間に
は、必要に応じて延長用の導波管1aが介在する。
【0081】方向性結合器15は入射波と反射波とを分
離する。分離された各マイクロ波はパワーメーター16
に与えられ、各々の電力値が計測される。計測された入
射電力により、マイクロ波電源11が定電力制御され
る。
【0082】スタブ整合器2E ,2H は、図2,図3で
説明したように、方形導波管1の直交する二壁面から分
岐された分岐管3E ,3H 内に摺動自在に挿入されたE
面スタブ4E およびH面スタブ4H を備える。各スタブ
E ,4H はパルスモータを用いたネジ送り機構(図示
せず)によって任意位置に駆動される。スタブ整合器2
E ,2H には、各スタブ4E ,4H が方形導波管1の内
面と面一になる位置(スタブ基準位置)に達したことを
検出するセンサ(図示せず)がそれぞれ配備されてい
る。
【0083】スタブ整合器2E ,2H の入力側の方形導
波管1内に、3本(あるいは5本)の探針からなるアン
テナ19が例えばλ/8(λはマイクロ波の波長)の間
隔で配置されている。アンテナ19は方形導波管1内の
電圧定在波を検出する。その検出信号はコントローラ1
7に与えられる。コントローラ17は、その検出信号に
基づき、アンテナ19が設置された位置における反射係
数の絶対値とその位相を計測し、インピーダンス整合が
とれるように各スタブ4E ,4H の位置の初期設定や微
調整などを行なう。
【0084】以下、上述した実施例装置の動作を図4,
図5に示したのフローチャートを参照して説明する。こ
こでは、任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路を自
動チューニングする場合を例に採って説明する。
【0085】ステップS1(セットアップ処理)では、
任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路をチューニン
グするにあたり、予め基準長さの導波管を備えたマイク
ロ波回路について次の3つのデータを計測しておく。こ
のステップS1は、請求項3に記載の発明の過程(a
1)および過程(b1)に相当する。
【0086】第1は、図11に示したE面スタブ4E
位置と円中心角度との関係、および図12に示したH面
スタブ4H の位置と円中心角度との関係を計測する。そ
して、上記した(5)式ないし(8)式中の定数A1
1 ,C1 ,D1 、およびA2 ,B2 ,C2 ,D2 の各
値を決定する。
【0087】第2は、E面スタブ4E を所定位置に固定
してH面スタブ4H を動かしたときの円軌跡の円中心角
度(E基準位相)θE0と、H面スタブ4H を所定位置に
固定してE面スタブ4E を動かしたときの円軌跡の円中
心角度(H基準位相)θH0を計測する。本実施例では、
E面スタブ4E をスタブ基準位置に固定したときの円中
心角度をE基準位相θE0とし、同様にH面スタブ4H
スタブ基準位置に固定したときの円中心角度をH基準位
相θH0としている。
【0088】第3は、E基準位相θE0またはH基準位相
θH0の少なくともいずれか一方の基準位相に対する、そ
の基準導波管を備えたマイクロ波回路のスミスチャート
上の対称軸(基準対称軸)の変位角度Δθを求めてお
く。本実施例では、E基準位相θE0に対する基準対称軸
の変位角度ΔθE を求めるものとする。なお、本実施例
では、基準導波管を備えたマイクロ波回路の基準対称軸
が、スミスチャート上でリアクタンスが『0』(x=
0)のラインと一致するような長さをもった導波管を基
準導波管としているので、前記変位角度ΔθE はE基準
位相θE0に一致している。ここでは、角度の方向を考慮
して、ΔθE =−θE0とする。
【0089】そして、各定数が決定された式(5)ないし
式(8)と、E基準位相θE0およびH基準位相θH0と、変
位角度ΔθE とを、それぞれコントローラ17に記憶さ
せておく。以上で、セットアップ処理が完了する。以
下、コントローラ17の制御のもとに自動チューニング
が進められる。
【0090】ステップS2では、任意長さの導波管を備
えたマイクロ波回路について、E面スタブ4E を所定位
置に固定して、H面スタブ4H を動かしたときに、反射
係数の絶対値|Γ|が略『1』になる位相(E実位相)
を計測する。ここでは、基準導波管を備えたマイクロ波
回路についてE基準位相θE0を計測した条件に合わせ
て、E面スタブ4E をスタブ基準位置に固定して、H面
スタブ4H を動かしたときに、反射係数の絶対値|Γ|
が略『1』になるE実位相θE0’を計測する。同様に、
H面スタブ4H をスタブ基準位置に固定して、E面スタ
ブ4E を動かしたときに、反射係数の絶対値|Γ|が略
『1』になる位相(H実位相)θH0’を求める。上述し
たように、H基準位相に対するH実位相のズレ(変位
量)は、E基準位相に対するE実位相のズレと略同じに
なるので、H実位相は必ずしも計測によって求める必要
はない。この実施例では、E実位相の計測によって、E
基準位相に対するE実位相の変位量が分かるので、この
変位量とH基準位相とからH実位相θH0’を求めるよう
にしている。このステップS2は、請求項3に記載の発
明の過程(a2)に相当する。
【0091】ステップS3では、ステップS2で計測し
たE実位相θE0’から、ステップS1で予め求めておい
た変位角度ΔθE (=−θE0)を差し引くことにより、
任意長さの導波管を備えたマイクロ波回路について、実
対称軸の角度を求める。このステップS3は、請求項3
に記載の発明の過程(b2)に相当する(図15参
照)。具体的には、実対称軸の角度θE ’を以下の式に
より求める。 θE ’=θE0’−ΔθE =θE0’+θE0 コントローラ17は、この実対称軸の角度θE ’を記憶
する。
【0092】ステップS4では、チューニング対象であ
るマイクロ波回路について、E面スタブ4E およびH面
スタブ4H を共にスタブ基準位置に設定して、そのとき
の反射係数の絶対値|ΓS |とその位相θS を計測す
る。このステップS4は、請求項1に記載の発明の過程
(1)に相当する。
【0093】ステップS5では、ステップS4で計測し
た位相θS をステップS3で求めた実対称軸の角度
θE ’で補正することにより、実対称軸を基準とした位
相θS ’を得る。具体的には位相θS ’を以下の式によ
り求める。 θS ’=θS −θ’
【0094】ステップS6では、ステップS4で計測し
た反射係数の絶対値|ΓS |と、ステップS5で求めた
位相θS ’を、上述した(5)ないし(8)式に代入するこ
とにより、インピーダンスが整合する各スタブ4E ,4
H の位置(E1 ,H1 )、(E2 ,H2 )を求める。な
お、(5)ないし(8)式中の位相θS の値として、補正さ
れた位相θS ’の値を与える。このステップS5は、請
求項2に記載の発明に相当する。
【0095】ステップS7では、ステップS6で求めら
れた各スタブ4E ,4H の2組の適正位置(E1
1 )、(E2 ,H2 )のうち、いずれか一方を選択す
る。本実施例では、各スタブ4E ,4H の可動範囲を3
9mmにしてあるので、各スタブ4E ,4H の初期位置
としては、略その中間位置である20mm前後にしてお
くのが好ましい。各スタブ4E ,4H の初期位置を中間
位置に近いところに設定しておくと、後の制御過程で初
期位置を中心として各スタブ4E ,4H が正負に動ける
範囲が広くなるからである。そこで、このステップS7
では、E面スタブ4 E の位置E1 ,E2 に着目し、E=
20mm近い方の値をもつ組を選択し、その位置へ各ス
タブ4E ,4H を移動する。このステップS7は、請求
項1に記載の発明の過程(3)に相当する。
【0096】以上の処理によって、各スタブ4E ,4H
の初期設定が完了する。以下のステップは、各スタブ4
E ,4H を初期設定した後に、各スタブ4E ,4H の位
置を微調整してインピーダンスの整合を維持するための
処理、および負荷が急激に変動した場合に実行する各ス
タブ4E ,4H の再設定処理である。
【0097】ステップS8では、反射係数の絶対値|Γ
|が極力小さくなるように、各スタブ4E ,4H の位置
を微調整する。このステップS8は従来からよく知られ
ている自動チューニング過程であるので詳述はしない
が、概ね次のようにして各スタブ4E ,4H が微調整さ
れる。上記のように各スタブ4E ,4H が初期設定され
ることにより、各スタブ4E ,4H は、例えば図17に
示した領域Aの位置PAの近くに移動する。この領域A
内では、スタブの位置に応じて反射係数が単純に減少す
るか、あるいは単純に増加するかのいずれかである。こ
のような単純勾配の領域において、例えば一方のH面ス
タブ4H を固定して、他方のE面スタブ4 E を微動(例
えば、0.1mm程度)させると、反射係数が小さくな
る方向が存在する。その方向にE面スタブ4E を微動さ
せていくと、反射係数は次第に小さくなり、ある点を過
ぎると大きくなる。すなわち、変曲点が現れる。変曲点
を検出すると、それまで微動させていたE面スタブ4E
をその位置に固定し、他方のH面スタブ4H を同様に微
動させて、反射係数が小さくなる方向を見つける。そし
て、その方向にH面スタブ4H を微動させていく。以上
のような動作を反射係数が所定値以下になるまで繰り返
し行い、反射係数が所定値以下になれば、その位置に各
スタブ4E ,4H を固定する。
【0098】ステップS9では、反射係数の絶対値|Γ
|が急激に変動したか否かを常に監視しており、急激な
変動がない場合はステップS8による自動チューニング
過程を継続する。一方、反射係数の絶対値|Γ|が急激
に変動した場合は、図17において説明したように、も
はや通常の自動チューニングでは各スタブ4E ,4H
インピーダンス整合がとれる適正位置に動かすことがで
きないので、ステップS10以降の各スタブ4E ,4H
の再設定処理に移る。このステップS9は、請求項4に
記載の発明の過程(4)に相当する。
【0099】ステップS10では、反射係数の絶対値|
Γ|が急激に変動した後の反射係数の絶対値|Γ|とそ
の位相θを計測する。このステップS10は、請求項4
に記載の発明の過程(5)に相当する。
【0100】ステップS11では、ステップS10で計
測された位相θを、そのマイクロ波回路の実対称軸X’
を基準とした位相に補正する。補正された位相θ”は次
の式によって得られる。 θ”=(−360°)−θE ’+θ 上式において、θは計測された位相、θE ’はステップ
S3で求められた実対称軸の角度である。なお、ここで
は角度の方向を合わせるために、上式の右辺に(−36
0°)を加えている。
【0101】ステップS12では、ステップS10で計
測された反射係数の絶対値|Γ|と、ステップS11で
得られた補正位相θ”を、上述した(24) ないし(30)
式に示した近似関数に与えることにより、各スタブ
E ,4H がスタブ基準位置にあるときの反射係数の絶
対値|ΓS ’|とその位相θS ’を算出する。なお、
(24) ないし(30) 式中の位相θの値としては、上記の
補正位相θ”の値を与える。このステップS12は、請
求項5に記載の発明に相当する。
【0102】(24) ないし(30) 式において、反射係数
の絶対値が急激に変動したときのE面スタブ4E の位置
に対応する円中心角度θE は次のようにして得られる。
まず、ステップS1で求めたE面スタブの位置と円中心
角度との関係に、反射係数の絶対値が急激に変動したと
きのE面スタブ4E の位置を与えて円中心角度を求め
る。この円中心角度は基準導波管の場合に対応している
ので、任意長さの導波管の場合には、さらにこの円中心
角度から、ステップS2で求めたE実位相θE0’とE基
準位相θE0との差分(θE0’−θE0)を差し引いた値を
円中心角度θE とする。
【0103】同様に、反射係数の絶対値が急激に変動し
たときのH面スタブの位置に対応する円中心角度θ
H は、ステップS1で求めたH面スタブの位置と円中心
角度との関係に、反射係数の絶対値が急激に変動したと
きのH面スタブ4H の位置を与えて円中心角度を求め、
さらにこの円中心角度から、ステップS2で求めたH実
位相θH0’とH基準位相θH0との差分(θH0’−θH0
を差し引いた値を円中心角度θH とする。
【0104】上述したステップS12の演算処理によっ
て、各スタブ4E ,4H がスタブ基準位置にあるときの
反射係数の絶対値|ΓS ’|とその位相θS ’を算出す
ると、ステップS6にもどり、前記反射係数の絶対値|
ΓS ’|とその位相θS ’に基づいて、各スタブ4E
H の適正位置を算出し、続いてステップS7で選択さ
れた適正位置にスタブ4E ,4H を設定する。以上の処
理により、各スタブ4 E ,4H の再設定が完了し、以
後、ステップS8の通常の自動チューニングに移行す
る。
【0105】本発明は上述の実施例に限らず、以下のよ
うに変更実施することができる。 (1)上述の実施例では、図11,図12に示した各ス
タブ4E ,4H の位置と円中心角度との関係を正接関数
で近似したが、これらの関係を、いわゆるルックアップ
テーブルの形態で記憶しておき、このルックアップテー
ブルに円中心角度を与えることにより、各スタブ4E
H の位置を直接的に読み出すようにしてもよい。
【0106】(2)チューニングしようとする任意長さ
の導波管を備えたマイクロ波回路について、各スタブ4
E ,4H の位置と円中心角度の関係や、スミスチャート
上の対称軸を計測するようにすれば、上述の実施例で説
明したような、基準導波管を備えたマイクロ波回路につ
いて各スタブ4E ,4H の位置と円中心角度の関係など
を求めておく必要はない。
【0107】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば次の効果を奏する。請求項1に記載の発明によ
れば、E面スタブおよびH面スタブが共にスタブ基準位
置にあるときの反射係数の絶対値とその位相を計測する
ことによって、インピーダンスが整合する各スタブの適
正位置を求めることができるので、マイクロ波回路の自
動チューニングにあたり、各スタブの初期設定を迅速に
行なうことができる。
【0108】請求項2に記載の発明によれば、E面スタ
ブおよびH面スタブが共にスタブ基準位置にあるときの
反射係数の絶対値とその位相を、予め設定した第1およ
び第2の関数に与えることによって、インピーダンスが
整合する各スタブの適正位置を簡単に求めることができ
る。
【0109】請求項3に記載の発明によれば、基準導波
管を備えたマイクロ波回路について、各スタブの位置と
円中心角度との関係を計測しておけば、任意長さの導波
管を備えたマイクロ波回路をチューニングするにあた
り、その都度、上記の関係を計測する必要がないので、
各スタブの初期設定を一層迅速に行なうことができる。
【0110】請求項4に記載の発明によれば、外的影響
で負荷が急激に変動した場合に、そのときの反射係数の
絶対値とその位相を計測することに基づき、インピーダ
ンスが整合する各スタブの適正位置を求めることができ
る。つまり、各スタブをスタブ基準位置に戻さなくて
も、各スタブの適正位置を求めることができるので、負
荷が急激に変動した場合に各スタブの再設定を迅速に行
なうことができる。
【0111】請求項5に記載の発明によれば、外的影響
で負荷が急激に変動した場合に、そのときの反射係数の
絶対値とその位相を近似関数に与えることにより、各ス
タブがスタブ基準位置にあるときの反射係数の絶対値と
その位相を簡単に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を用いたマイクロ波回路の概略構成
を示すブロック図である。
【図2】スタブ整合器の外観斜視図である。
【図3】スタブ整合器の断面図である。
【図4】実施例に係るチューニング方法の手順を示した
フローチャートである。
【図5】実施例に係るチューニング方法の手順を示した
フローチャートである。
【図6】E面スタブを固定して、H面スタブを動かした
ときのインピーダンスの円軌跡群の一例を示した図であ
る。
【図7】E面スタブを固定して、H面スタブを動かした
ときのインピーダンスの円軌跡群のその他の例を示した
図である。
【図8】E面スタブを固定して、H面スタブを動かした
ときのインピーダンスの円軌跡群のその他の例を示した
図である。
【図9】E面スタブを固定して、H面スタブを動かした
ときのインピーダンスの円軌跡群のその他の例を示した
図である。
【図10】H面スタブを固定して、E面スタブを動かし
たときのインピーダンスの円軌跡群の一例を示した図で
ある。
【図11】E面スタブの位置と円中心角度との関係を示
したグラフである。
【図12】H面スタブの位置と円中心角度との関係を示
したグラフである。
【図13】本発明の原理を説明するための図である。
【図14】本発明の原理を説明するための図である。
【図15】本発明の原理を説明するための図である。
【図16】本発明の原理を説明するための図である。
【図17】従来例の問題点の説明に供するグラフであ
る。
【符号の説明】
1…方形導波管 2E ,2H …スタブ整合器 4E …E面スタブ 4H …H面スタブ 11…マイクロ波電源 12…マイクロ波発生器 13…負荷 14…アイソレータ 15…方向性結合器 16…パワーメーター 17…コントローラ 19…アンテナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−153599(JP,A) 特開 昭63−264893(JP,A) 特開 昭63−264892(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 5/04 601 H05H 1/46

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波発生器と負荷とを結ぶ方形導
    波管の途中に、その導波管の直交する二壁面から分岐さ
    せた分岐管を設け、一方の分岐管内にE面スタブを、他
    方の分岐管にH面スタブを、それぞれ摺動自在に挿入
    し、各スタブの位置を調整することによりインピーダン
    ス整合をとるようにしたマイクロ波回路の自動チューニ
    ング方法において、 (1)E面スタブおよびH面スタブが共に前記方形導波
    管の内面と面一になる位置(以下、スタブ基準位置とい
    う)にあるときの反射係数の絶対値とその位相を計測す
    る過程と、 (2)前記過程(1)で計測した反射係数の絶対値とそ
    の位相に基づいて、インピーダンスが整合するE面スタ
    ブおよびH面スタブの各位置を求める過程と、 (3)前記過程(2)で求められた各位置にE面スタブ
    およびH面スタブを移動させて、マイクロ波発生器と負
    荷とのインピーダンス整合をとる過程と、 を含み、 前記過程(2)は実質的に以下の(a)ないし(g)の
    過程、すなわち(a)E面スタブを種々の位置に固定
    し、前記固定したE面スタブの各位置ごとに、H面スタ
    ブを可動範囲全域に動かすことにより得られる、前記E
    面スタブの各位置ごとのスミスチャート上のインピーダ
    ンスの円状軌跡(以下、円軌跡という)において、E面
    スタブの各位置と、前記各円軌跡の中心とスミスチャー
    ト上の原点とを結ぶ線分の角度(以下、円中心角度とい
    う)との対応関係を予め求めておき、同様にH面スタブ
    を種々の位置に固定し、前記固定したH面スタブの各位
    置ごとに、E面スタブを可動範囲全域に動かすことによ
    って、H面スタブの各位置とそのときの円中心角度との
    対応関係を予め求めておく過程と、 (b)前記過程(a)で求めたE面スタブまたはH面ス
    タブの少なくとも一方の円軌跡群について、前記E面ス
    タブとH面スタブが共にスタブ基準位置にあるときのイ
    ンピーダンスに対応するスミスチャート上の点と、前記
    円軌跡群の共通する交点とが線対称になるスミスチャー
    ト上の対称軸を予め求めておく過程と、 (c)前記過程(1)で計測した反射係数の絶対値とそ
    の位相で決まるスミスチャート上の点(以下、初期イン
    ピーダンス点という)と、前記過程(b)で求めた対称
    軸とを使って、前記対称軸を挟んで前記初期インピーダ
    ンス点と線対称になるスミスチャート上の点(以下、線
    対称点という)を求める過程と、 (d)前記線対称点と、スミスチャート上の原点である
    整合点とを通り、かつ、スミスチャート上で反射係数の
    絶対値が『1』である円と接する、二つの円を求める過
    程と、 (e)前記二つの円の中心と、スミスチャート上の原点
    を結ぶ線分の角度をそれぞれ求める過程と、 (f)前記過程(a)で求めたE面スタブの位置と円中
    心角度との関係を参照し、前記過程(e)で求めた一方
    の線分の角度に対応するE面スタブの位置を求める過程
    と、 (g)前記過程(a)で求めたH面スタブの位置と円中
    心角度との関係を参照し、前記過程(e)で求めた他方
    の線分の角度に対応するH面スタブの位置を求める過程
    と、 を含む処理であることを特徴とするマイクロ波回路の自
    動チューニング方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、 前記過程(2)における処理は、前記過程(a)で求め
    たE面スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面
    スタブの位置と円中心角度との関係を、それぞれ近似す
    ることに基づいて得られた二つの関数、すなわち、両ス
    タブが共にスタブ基準値にあるときの反射係数の絶対値
    およびその位相と、インピーダンスが整合するE面スタ
    ブの位置とを関係付けた第1の関数と、前記反射係数の
    絶対値およびその位相と、インピーダンスが整合するH
    面スタブの位置とを関係付けた第2の関数とに、前記過
    程(1)で計測した反射係数の絶対値とその位相をそれ
    ぞれ与えることによって、実質的に前記過程(a)ない
    し(g)を実行して、インピーダンスが整合するE面ス
    タブおよびH面スタブの各位置を求めるものであること
    を特徴とするマイクロ波回路の自動チューニング方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法におい
    て、 前記過程(a)は以下の(a1)ないし(a3)の過
    程、すなわち、 (a1)基準となる長さをもった方形導波管(以下、基
    準導波管という)を備えたマイクロ波回路について、E
    面スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面スタ
    ブの位置と円中心角度との関係を予め計測しておくとと
    もに、E面スタブを所定位置に固定してH面スタブを動
    かしたときの円軌跡の円中心角度(以下、E基準位相と
    いう)と、H面スタブを所定位置に固定してE面スタブ
    を動かしたときの円軌跡の円中心角度(以下、H基準位
    相という)とを予め求めておく過程と、 (a2)前記基準導波管とは長さの異なる任意長さの方
    形導波管を備えたマイクロ波回路の自動チューニングを
    行なうにあたり、そのマイクロ波回路のE面スタブを、
    前記E基準位相を求めたときのE面スタブと同じ位置に
    固定してH面スタブを動かしたときに、反射係数の絶対
    値が略『1』になる点の位相(以下、E実位相という)
    と、そのマイクロ波回路のH面スタブを、前記H基準位
    相を求めたときのH面スタブと同じ位置に固定してE面
    スタブを動かしたときに、反射係数の絶対値が略『1』
    になる点の位相(以下、H実位相という)とを、少なく
    ともいずれか一方の実位相を計測することにより求める
    過程と、 (a3)基準導波管を備えたマイクロ波回路について求
    めたE面スタブと円中心角度との関係を、前記E実位相
    と前記E基準位相との差分に相当する角度分だけ補正す
    ることにより、前記任意長さの方形導波管を備えたマイ
    クロ波回路のE面スタブと円中心角度との関係を求め、
    同様に、基準導波管を備えたマイクロ波回路について求
    めたH面スタブと円中心角度との関係を、前記H実位相
    と前記H基準位相との差分に相当する角度分だけ補正す
    ることにより、前記任意長さの方形導波管を備えたマイ
    クロ波回路のH面スタブと円中心角度との関係を求める
    過程と、 を含み、 前記過程(b)は以下の(b1)ないし(b2)の過
    程、すなわち、 (b1)前記基準導波管を備えたマイクロ波回路につい
    て、前記E基準位相またはH基準位相の少なくともいず
    れか一方の基準位相に対する、その基準導波管を備えた
    マイクロ波回路のスミスチャート上の対称軸(以下、基
    準対称軸という)の変位角度を予め求めておく過程と、 (b2)前記任意長さの方形導波管を備えたマイクロ波
    回路の自動チューニングを行なうにあたり、前記変位角
    度を求めたときの基準位相に対応する実位相から、前記
    基準対称軸の変位角度を差し引くことにより、そのマイ
    クロ波回路のスミスチャート上の実際の対称軸(以下、
    実対称軸という)を求める過程と、 を含み、 前記過程(c)では過程(b2)で求めた実対称軸を使
    って線対称点を求め、 前記過程(f)では、過程(a3)で補正したE面スタ
    ブと円中心角度との関係を用いてE面スタブの位置を求
    め、 前記過程(g)では、同様に過程(a3)で補正したH
    面スタブと円中心角度との関係を用いてH面スタブの位
    置を求めることを特徴とするマイクロ波回路の自動チュ
    ーニング方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の方
    法において、さらに以下の(4)ないし(7)の過程、
    すなわち、 (4)前記過程(1)ないし(3)によって、E面スタ
    ブおよびH面スタブの位置を初期設定した後、反射係数
    の絶対値が小さくなる方向に両スタブの位置を制御しな
    がらマイクロ波回路を作動させている期間中に、反射係
    数の絶対値が急激に変動したかを監視する過程と、 (5)前記過程(4)で反射係数の絶対値が急激に変動
    したことが検出されると、そのときの反射係数の絶対値
    とその位相を計測する過程と、 (6)前記計測された反射係数の絶対値とその位相とに
    基づいて、E面スタブおよびH面スタブが共にスタブ基
    準位置にあるときの反射係数の絶対値とその位相を新た
    に求める過程と、 (7)前記過程(6)で求めた反射係数の絶対値とその
    位相を使って前記過程(2)ないし過程(3)を実行す
    ることにより、インピーダンス整合がとれる位置にE面
    スタブおよびH面スタブを移動させる過程とを含み、 前記過程(6)は実質的に以下の(h)ないし(j)の
    過程、すなわち、 (h)前記過程(a)で求めたE面スタブの位置と円中
    心角度との関係と、同じくH面スタブの位置と円中心角
    度との関係を参照することにより、前記反射係数が急激
    に変動したときのE面スタブの位置に対応する円中心角
    度と、同じくH面スタブの位置に対応する円中心角度と
    を求める過程と、 (i)前記過程(h)で求めたE面スタブの位置に対応
    した円中心角度をもち、かつ、スミスチャート上で反射
    係数の絶対値が『1』である円に接するとともに、前記
    過程(5)で計測した反射係数の絶対値およびその位相
    に対応するスミスチャート上の点を通る第1の円と、同
    様に前記過程(h)で求めたH面スタブの位置に対応し
    た円中心角度をもち、かつ、スミスチャート上で反射係
    数の絶対値が『1』である円に接するとともに、前記過
    程(5)で計測した反射係数の絶対値およびその位相に
    対応するスミスチャート上の点を通る第2の円とを求め
    る過程と、 (j)前記第1および第2の円の二つの交点のうち、過
    程(5)で計測した反射係数の絶対値およびその位相に
    対応するスミスチャート上の一方の交点とは異なる他方
    の交点に対して、前記過程(b)で求めた対称軸を挟ん
    で線対称となるスミスチャート上のインピーダンス点を
    求め、このインピーダンス点から、E面スタブおよびH
    面スタブが共にスタブ基準位置にあるときの反射係数の
    絶対値およびその位相を新たに求める過程と、 を含む処理であることを特徴とするマイクロ波回路の自
    動チューニング方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、 前記過程(6)における処理は、過程(a)で求めたE
    面スタブの位置と円中心角度との関係、およびH面スタ
    ブの位置と円中心角度との関係に基づいて得られる、反
    射係数の絶対値が急激に変動したときの反射係数の絶対
    値とその位相と、E面スタブおよびH面スタブが共にス
    タブ基準位置にあるときの反射係数の絶対値とその位相
    とを関係付けた近似関数に、前記反射係数の絶対値が急
    激に変動したときのE面スタブの位置に対応する円中心
    角度と、同じくH面スタブの位置に対応する円中心角度
    と、前記反射係数の絶対値が急激に変動したときの反射
    係数の絶対値とその位相をそれぞれ与えることによっ
    て、実質的に前記過程(h)ないし(j)を実行して、
    E面スタブおよびH面スタブが共にスタブ基準位置にあ
    るときの反射係数の絶対値およびその位相を求めるもの
    であることを特徴とするマイクロ波回路の自動チューニ
    ング方法。
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