JP3107670B2 - 高速回転衝撃式粉砕機 - Google Patents

高速回転衝撃式粉砕機

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JP3107670B2
JP3107670B2 JP04342119A JP34211992A JP3107670B2 JP 3107670 B2 JP3107670 B2 JP 3107670B2 JP 04342119 A JP04342119 A JP 04342119A JP 34211992 A JP34211992 A JP 34211992A JP 3107670 B2 JP3107670 B2 JP 3107670B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、弱熱性物質、繊維質
物質、金属、食品、合成樹脂、一般有機・無機物質等の
原料を数μmから数10μm程度の大きさに微粉砕する
高速回転衝撃式粉砕機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速回転衝撃式粉砕機として、図8に示
したものが従来から知られている。
【0003】上記粉砕機は、ケーシング30の内部に円
筒形のステータ31を設け、そのステータ31の内側に
ロータ32を組込んでステータ31の内部に粉砕室33
と分級室34とを形成し、ロータ32の粉砕室33と対
向する一側面の外周部に攪拌羽根35を設け、かつ他側
面の外周部に分級羽根36を設け、原料供給路37から
粉砕室33に供給される原料を高速回転するロータ32
の攪拌羽根35とステータ31とで衝撃粉砕している。
【0004】また、粉砕物を分級室34内に流入させ、
分級羽根36の回転により旋回させて微粉と粗粉とに遠
心分離し、微粉を分級室34の中心部に連通させた粉砕
物排出口38から取り出し、粗粉を粗粉リターン通路3
9から原料供給路37にリターンさせて再度粉砕してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記粉砕機
においては、粉砕物を微粉と粗粉とに分級する分級機構
がロータ32に一体に設けた分級羽根36の回転によっ
て粉砕物を旋回させる強制渦形であるため、粉砕物の粉
砕性との関係から回収される粉砕物の粒度調整が困難で
あるという不都合がある。
【0006】また、分級羽根36が粉砕物との衝突によ
って摩耗し易く、その分級羽根36への粉砕物の付着を
避けることができず、粉砕物の付着によって分級性能が
低下するという不都合もある。
【0007】この発明は、上記従来の不都合を解消し、
回収される粉砕物の粒度を容易に調整できるようにする
こと、および、摩耗、付着の問題を解決して分級性能の
低下を抑制することを技術的課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、ケーシング内に設けた粉砕
室に円筒形のステータと、そのステータの内側において
高速回転されるロータとを組込み、上記ロータを高速回
転し、そのロータとステータとで原料供給路から粉砕室
内に供給された原料を粉砕し、その粉砕物を粉砕室に連
通させた分級室内で旋回させて粗粉と微粉とに遠心分離
し、微粉を分級室の中心部に連通させた粉砕物排出口か
ら取り出し、粗粉を分級室の外周部に連通させた粗粉リ
ターン通路から原料供給路にリターンさせるようにした
高速回転衝撃式粉砕機において、前記分級室の周壁にそ
の分級室内で旋回する気流の旋回方向に二次エアを流入
させる複数の開度調整可能なノズルを周方向に所要の間
隔をおいて設けた構成を採用したのである。
【0009】また、上記と同一の課題を解決するため、
粗粉リターン通路に、その通路内にエアを噴射して吸引
力を付与するエジェクタを組込んだ構成を採用したので
ある。
【0010】
【作用】上記のように構成すれば、分級室内で粉砕物が
旋回するとき、ノズルから分級室内に二次エアが導入さ
れて粉砕物の旋回速度が増し、上記粉砕物をきわめて効
果的に微粉と粗粉とに遠心分離することができると共
に、ノズルの開度を調整して二次エアの流入量を調整す
ることにより粉砕物の旋回速度が変化し、粉砕物排出口
から取り出される粉砕品の粒径を任意に調整することが
できる。
【0011】また、粗粉リターン通路に組込んだエジェ
クタのエア噴射量を調整することにより、分級室内の粉
砕物の旋回速度が変化し、この場合も前記と同様に粉砕
物排出口から取り出される粉砕品の粒径を調整すること
ができる。
【0012】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0013】図1乃至図4に示すように、ケーシング1
には円形の粉砕室2と、その粉砕室2の中心部に連通す
る原料供給路3とが設けられている。
【0014】粉砕室2内の外周部にはステータ4が組込
まれて回り止めされ、かつ軸方向に移動するのが防止さ
れている。
【0015】ステータ4は円筒形リング4aとテーパリ
ング4bとから成り、円筒形リング4aが粉砕室2の原
料入口側に配置されている。円筒形リング4aの円筒形
内面5とテーパリング4bの円錐形内面6のそれぞれに
は、軸方向に延びる溝7が円周方向に等間隔に設けられ
ている。
【0016】図3では、溝7として半円状のものを示し
たが、形状はこれに限定されない。
【0017】ステータ4の内側に組込まれたロータ8は
図示省略したモータによって一方向に高速回転される。
ロータ8には、ステータ4の円筒形内面5との間に円筒
形の一次粉砕ゾーン2aを形成する円筒形外面9と、円
錐形内面6との間に円錐形の二次粉砕ゾーン2bを形成
する円錐形外面10とが設けられている。
【0018】円筒形外面9と円錐形外面10のそれぞれ
には、軸方向に延びる凹凸条11が円周方向に等間隔に
設けられている。
【0019】また、ロータ8には、粉砕室2の原料入口
側の端面外周部に環状突出部12が設けられ、その環状
突出部12に複数の案内溝13が等間隔に形成されてい
る。
【0020】前記二次粉砕ゾーン2bは、円形の分級室
14に連通し、その分級室14の端面中心部に粉砕物排
出口15が設けられている。また、分級室14の周壁に
は、その分級室14内において旋回する粉砕物の旋回方
向に二次エアを流入させる複数のノズル16が等間隔に
設けられている。ここで、ノズル16は開度調整自在と
されている。開度調整自在とする方法として、ここで
は、バルブ16aを用いているが、そのバルブ16aに
代えて、断面積が異なる複数のノズル16を用意し、各
ノズル16を分級室14の周壁に対して着脱自在に取付
けるようにしてもよく、あるいは、断面積の大きいノズ
ル16を上記周壁に固定し、そのノズル16の内側に断
面積が小さいノズルを着脱自在に挿入してもよい。この
ノズル16から分級室14内への二次エアの流入は、分
級室14内の負圧による吸引であってもよく、強制的な
送りであってもよい。
【0021】上記分級室14の外周部と前記原料供給路
3とは粗粉リターン通路17で連通している。粗粉リタ
ーン通路17にはエジェクタ18が設けられている。エ
ジェクタ18は絞り部19を有し、その絞り部19の入
口側にエア噴射ノズル20を接続し、そのノズル20か
ら絞り部19にエアを噴射して粗粉リターン通路17に
吸引力を付与している。
【0022】実施例で示す粉砕機は上記の構造から成
り、図5は上記粉砕機Aを用いた粉砕プラントを示す。
定量供給機21から排出される原料は、原料供給管22
から粉砕機Aの原料供給路3に供給される。
【0023】粉砕機Aの排出口15に接続された粉砕物
回収管26はブロワー23のノズルに接続され、その粉
砕物回収管22の途中にサイクロン捕集機24とバッグ
フィルタ25とが接続されている。
【0024】原料の粉砕に際しては、ブロワー23を駆
動し、粉砕機Aの排出口15に吸引力を付与する状態に
おいて、定量供給機21から原料供給路3に粉砕原料を
供給する。
【0025】いま、ロータ8を一方向に高速度で回転さ
せた状態おいて原料供給路3に原料を供給すると、この
原料は、粉砕室2内に流入し、ロータ8の回転によって
回転力が付与され、遠心力と気流の流れとにより粉砕室
2の外径方向に移動する。このとき、ロータ8の端面に
は案内溝13が放射状に設けられているため、原料はそ
の案内溝13に沿ってスムーズに流れ、円筒形リング4
aの円筒形内面に設けた溝7に衝突する。
【0026】上記原料は、上記溝7に対する衝突と溝7
と案内溝13の外径側開口のエッジによる剪断によって
粗砕され、その粗砕物は、分級室14に作用する吸引力
によって、一次粉砕ゾーン2a及び二次粉砕ゾーン2b
に吸引され、各粉砕ゾーン2a、2bを移動するとき、
ステータ4の溝7とロータ8の凹凸条11による剪断と
摩砕の両作用を受けて微粉砕される。
【0027】ここで、二次粉砕ゾーン2bは分級室14
に向けて径が次第に小さくなる円錐形であるため、一次
粉砕ゾーン2aにおいて一次粉砕された粉砕物が二次粉
砕ゾーン2bに流入すると、図4に示すように、粉砕物
の粒子には遠心力F0 が作用し、ロータ8の円錐形外面
10に直角な方向の分力F1 と円錐形外面10に沿う方
向の分力F2 とが作用する。
【0028】分力F2 は粒子を上流側に移動させる力と
して作用するため、粒子径の大きな粉砕物は一次粉砕ゾ
ーン2aに向け移動して一次粉砕ゾーン2aと二次粉砕
ゾーン2bの交差部に滞留し、その交差部における粉砕
物の濃度が高く、粉砕が促進される。
【0029】粒子径の小さな粉砕物は、気流の流れにの
って二次粉砕ゾーン2bから分級室14内に流入し、そ
の分級室14内において旋回する。このとき、ノズル1
6から分級室14内に二次エアが流入し、その二次エア
によって粉砕物の旋回速度が加速され、分級室14にお
ける粉砕物の旋回によって、粉砕物は微粉と粗粉とに遠
心分離される。
【0030】分級室14の外周部において旋回する粗粉
は粗粉リターン通路17に流れ、エジェクタ18の作用
により速度が加速されて原料供給路3に戻り、再度粉砕
される。
【0031】一方、分級室14の中心部に移動する微粉
は、排出口15から排出され、図5に示すサイクロン分
離機24により回収される。
【0032】ここで、粉砕物が分級室14において分級
されるとき、ノズル16の開度を調整し、そのノズル1
6の開度を大きくすると、二次エアの流入量が増大して
粉砕物の旋回速度が加速され、逆に、ノズル16の開度
を小さくすると、粉砕物の旋回速度が減速される。その
旋回速度の調整によって粉砕物の分級点が変化すること
になり、ノズル16の開度調整によって粉砕物排出口1
5から取り出される微粉の粒度を任意に調整することが
できる。このノズル16の開度調整に代えて、分級室1
4の容積を調整して分級点を調整してもよい。容積調整
に際しては、分級室14の端板を着脱自在とし、その端
板の内面側にスペーサリングを取付ける方法を採用する
ことができる。
【0033】また、粗粉リターン通路17に組込んだエ
ジェクタ18のエア噴射ノズル20から絞り部19の入
口側に噴射するエアの噴射速度を高めると、粗粉リター
ン通路17の吸引力が大きくなり、逆に、エアの噴射速
度を低くすると、吸引力が小さくなる。その吸引力の調
整によって分級室14内の粒子に作用する外向きの力が
変化し、この場合も前記と同様に粉砕物の分級点を調整
することができる。
【0034】図6および図7は、この発明に係る粉砕装
置の他の実施例を示す。
【0035】図6に示す実施例では、ステータ4を円筒
形リング4aと、テーパ角度が異なる2枚の第1テーパ
リング4bおよび第2テーパリング4cとで形成し、各
リング4a、4b、4cの内面に溝7を設けている。
【0036】また、ロータ8の外周面には円筒形リング
4aとの間に円筒形の一次粉砕ゾーン2aを形成する円
筒形外面9と、第1テーパリング4bとの間に円錐形の
二次粉砕ゾーン2bを形成する第1円錐形外面10a
と、第2テーパリング4cとの間に円錐形の三次粉砕ゾ
ーン2cを形成する第2円錐形外面10bとを設けてい
る。
【0037】上記実施例においては、一次粉砕ゾーン2
aと二次粉砕ゾーン2bの交差部および二次粉砕ゾーン
2bと三次粉砕ゾーン2cの交差部それぞれに粉砕物を
滞留させることがきるため、原料をきわめて効果的に粉
砕することができると共に、微細な粉砕物を回収するこ
とができる。
【0038】図7に示す実施例では、粉砕室2内に組込
まれたステータ4を軸方向に移動自在に支持し、そのス
テータ4を一対のねじ21によって軸方向に位置調整で
きるようにしている。
【0039】上記実施例においては、ステータ4の軸方
向の移動によって二次粉砕ゾーン2bの大きさ(テーパ
リング4bの円錐形内面6とロータ8の円錐形外面10
間の間隔)を調整することができるため、粉砕物の粉砕
性の良いもので粉砕品を粗くしたい場合の粉砕や温度上
昇に弱い粉砕物を粉砕するとき、二次粉砕ゾーン2bを
大きくすることによってこれらの粉砕物の粉砕を可能と
することができ、粉砕の応用範囲を広げることができ
る。
【0040】なお、粉砕室2において原料を粉砕するス
テータ4およびロータ8の構成は実施例のものに限定さ
れるものではない。例えば、図8に示す従来の粉砕機と
同様に、ロータに攪拌羽根を取付け、その攪拌羽根の回
転によって原料を粉砕するようにしたものであってもよ
い。
【0041】
【発明の効果】以上のように、この発明においては、分
級室の周壁にノズルを設け、そのノズルから分級室内に
二次エアを流入させて、分級室内で旋回する粉体の旋回
速度を高めるようにしたので、粉砕物をきわめて効果的
に分級することができ、粒度分布が均一化された微粉を
回収することができる。
【0042】また、ノズルは開度調整自在であり、その
開度を調整することによって二次エアの吸引量を調整す
ることができるため、回収される微粉の粒径を任意に調
整することができると共に、粉砕物の分級機構が二次エ
アの流入による自由渦形であるため、攪拌羽根を用いる
分級時の摩耗、付着等の問題の発生がなく、分級性能の
低下を抑制することができる。
【0043】更に、粗粉リターン通路にエアの噴射によ
って粗粉リターン通路内に吸引力を付与するエジェクタ
を設けたことにより、エアの噴射圧を調整する簡単な作
業によって上記と同様に、回収される微粉の粒径を任意
に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る粉砕機の一実施例を示す縦断正
面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】同上のステータとロータとを示す側面図
【図4】図1の粉砕部を拡大して示す断面図
【図5】同上の粉砕装置を用いた粉砕プラントの概略図
【図6】同上粉砕装置の粉砕部の他の例を示す断面図
【図7】同上粉砕装置の粉砕部のさらに他の例を示す断
面図
【図8】従来の粉砕装置を示す縦断正面図
【符号の説明】
1 ケーシング 2 粉砕室 3 原料供給路 4 ステータ 8 ロータ 14 分級室 16 ノズル 17 粗粉リターン通路 18 エジェクタ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング内に設けた粉砕室に円筒形の
    ステータと、そのステータの内側において高速回転され
    るロータとを組込み、上記ロータを高速回転し、そのロ
    ータとステータとで原料供給路から粉砕室内に供給され
    た原料を粉砕し、その粉砕物を粉砕室に連通させた分級
    室内で旋回させて粗粉と微粉とに遠心分離し、微粉を分
    級室の中心部に連通させた粉砕物排出口から取り出し、
    粗粉を分級室の外周部に連通させた粗粉リターン通路か
    ら原料供給路にリターンさせるようにした高速回転衝撃
    式粉砕機において、前記分級室の周壁にその分級室内で
    旋回する気流の旋回方向に二次エアを流入させる複数の
    開度調整可能なノズルを周方向に所要の間隔をおいて設
    けたことを特徴とする高速回転衝撃式粉砕機。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の高速回転衝撃式粉砕機
    において、粗粉リターン通路にその通路内にエアを噴射
    して吸引力を付与するエジェクタを組込んだことを特徴
    とする高速回転衝撃式粉砕機。
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