JP3105124B2 - 非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方法 - Google Patents

非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方法

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JP3105124B2
JP3105124B2 JP05325412A JP32541293A JP3105124B2 JP 3105124 B2 JP3105124 B2 JP 3105124B2 JP 05325412 A JP05325412 A JP 05325412A JP 32541293 A JP32541293 A JP 32541293A JP 3105124 B2 JP3105124 B2 JP 3105124B2
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礦三 山下
忠彦 宮垣
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日鐵溶接工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼材の突合せ溶接に使用
する非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接(以下、単に
スラグ溶接という)に関し、特にその溶接スタートを容
易にし、かつ長尺な突合せ溶接を可能にする溶接方法を
提供する。
【0002】
【従来の技術】スラグ溶接方法の開先は一般にI形開先
のため熱効率がよく、開先準備が簡単という特徴があ
り、特に厚板を使用する分野で広く普及している。図3
に示す如くこれらのスラグ溶接法は従来直径2mm以上の
ワイヤを用いて、スラグ浴深さ11を約40〜60mmに
保持し、約20〜30mmのウェットエクステンション1
0を維持しながら溶融スラグの熱とワイヤ8を流れる電
流のジュール熱でワイヤ8を溶かしながら溶接してい
る。
【0003】このスラグ溶接は、溶接スタート時にフラ
ックスを徐々に添加しながら先ずアークを発生させ、そ
のアーク熱によってフラックスを溶かし、溶融スラグと
なるとアークは消えスラグ溶接状態に移行する。すなわ
ち、スラグ浴深さを40〜60mmにまで溶融する間はス
ラグ溶接ではなく、その間は融合不良が発生している。
言い換えれば、スラグ浴深さは、溶接スタート時からス
ラグ溶接になるまでの長さで、溶接スタート部の溶接欠
陥長さに相当する。従って、スタート部は大きなタブ板
を取付け溶接後除去したり、補修溶接を行ったりする。
また、スラグ溶接が何かの不具合で中断し、溶接を再開
する場合なども溶接再開部の補修に多大な時間を要して
いた。また、溶接時間も長かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するためなされたものであって、スラグ浴深
さを浅くして短時間でアーク溶接からスラグ溶接への移
行を可能とし、補修量を少なくし、かつ安定した高能率
な長尺な突合せ溶接を可能にする非消耗ノズル式エレク
トロスラグ溶接方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方法におい
て、直流定電圧特性の電源を用いてスラグ浴深さを10
〜30mmとし、溶接ワイヤ径を2mm未満で、ウェットエ
クステンションを0〜2mmに制御して突合せ溶接するこ
とを特徴とする非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方
法にあり、さらには突合せ溶接する開先の裏側に水冷固
定銅板を当てがい、開先表側には、立向に溶接進行する
溶接トーチと連動して摺動する水冷摺動銅板を当てが
い、溶接スタート時には予め開先内にスラグ浴深さが1
0〜30mmになる量のフラックスを散布しアークを発生
させフラックスを溶融させてエレクトロスラグ溶接状態
に移行させることを特徴とする非消耗ノズル式エレクト
ロスラグ溶接方法にある。
【0006】
【作用】以下、図面を参照しながら、本発明を説明す
る。図1は本発明の溶接時の状況を示す図3のA−Aの
模式断面図であり、図2(a)はスタートが完了した状
態を示し、(b)は開先断面を示すB−B矢視図であ
る。図3は本発明および従来法にも共通するスラグ溶接
の一部断面で示す斜視図であり、図4は従来のスラグ溶
接の図3A−Aの断面図である。
【0007】図1および図2において所定の開先をもつ
母材1,2を所定の間隙を設けて設置し、この間隙を閉
じるように裏側には固定式の水冷銅板3を、表側には立
向に溶接進行する溶接トーチ6と連動して摺動する水冷
摺動銅板4を配置して開先5を形成する。開先下端部は
図2に示すようにタブ材7を設置している。6は開先内
に挿入された溶接トーチであり、該トーチを介して溶接
用ワイヤ8を開先5の中へと送給する。本発明では、図
2で示すように溶接スタート部となるタブ材7の上には
予めスラグ浴生成用のフラックス9を必要なスラグ浴深
さ分散布しておく。
【0008】スラグ浴の生成過程を述べるとトーチ6か
ら送給されるワイヤ8とタブ材7の間にフラックス9を
介してアークが発生し、フラックスは直ちに溶融しスラ
グ浴12となる。本発明ではワイヤ8径が2mm未満の細
径で、かつ、直流定電圧特性の溶接電源を用いるためア
ークスタート性は極めてスムーズで、従来の太径ワイヤ
の場合に比べ、短時間でスラグ浴12が形成する。
【0009】これは、従来直径2mm以上のワイヤを用い
るスラグ溶接では「省力化溶接ハンドブック」((株)
山海堂から昭和51年12月10日初版発行の276
頁)によれば「交流、直流いずれも用いられるが、原理
的にはアークの不安定な交流の方が適しており、交流が
使われることが多い」とし、さらに「アーク発生を必要
とするスタート時は、アーク安定のため垂下特性を利用
する」と記載し、交流垂下特性の溶接電源の使用が好ま
しいように示唆している点とは異なっている。
【0010】本発明は図1に示すようにワイヤ径を細く
して、図4に示す従来の太径ワイヤによるスラグ溶接の
如くワイヤ先端の一部がスラグ浴の中に潜り込んだ部分
いわゆるウェットエクステンション10を無くしたの
で、スラグ浴深さ11が従来40〜60mmだったのに対
し、本発明では10〜30mmと非常に浅く維持する。既
述の通り、このスラグ浴深さは溶接欠陥長さに相当する
もので、本発明ではこの溶接欠陥長さが従来の方法に比
べ短い。
【0011】ところで、このスラグ浴深さ11が10mm
未満では溶接中スラグ浴のスラグが時々周囲に飛び散る
現象が生じ、溶接安定性を維持する上で不適である。ス
ラグ浴深さ11が30mm超では溶接の安定性は極めて良
好であるが、スラグ浴12内のスラグの対流が劣化する
ためか熱効率が悪くなって開先裏側が溶けにくくなって
融合不良を生じることがある。
【0012】本発明ではワイヤ径を2mm未満にするが、
ワイヤ径を2mm以上に太くするとウェットエクステンシ
ョンが生じるようになりスラグ浴深さが深くなり溶接欠
陥長さが長くなるので、ワイヤ径は2mm未満に限定す
る。
【0013】スラグ溶接では、溶融金属14の母材1,
2に対する溶込み確保はスラグ浴12の対流によって行
われるが、本発明の如くウェットエクステンションを0
〜2mmにすることによって図1で示すようにスラグ浴1
2の対流はスラグ浴表面部から活発に生じるようになり
溶融金属の母材に対する溶込みはスラグ浴表面部から確
保できる。
【0014】本発明者らは詳細に確認したところ、本発
明を成し遂げる過程でウェットエクステンション10を
短くするためには、溶接ワイヤの電流密度を高めること
とドライエクステンション13を長くしてドライエクス
テンション部分でのジュール熱の発熱を高めることが必
要と判断した。しかし、ドライエクステンションを長く
して溶接することは溶接トーチ6とスラグ浴12の間の
距離を長くして溶接することであり、スラグ浴に送給さ
れる溶接ワイヤにうねりがあると、溶接ワイヤはスラグ
浴の一定した位置に送給できず開先や水冷銅板に接触し
てアークを発生させる危惧があった。また、ドライエク
ステンション13が長い状態で溶接スタートするとスタ
ート時に不安定なアークが発生し、溶接ワイヤが溶断し
て溶接続行が不可能になる現象も生じた。
【0015】本発明では開先裏側に水冷固定銅板5を当
てがい、トーチ6の上昇と連動して上昇する短尺な水冷
摺動銅板4を当てがうので、スラグ浴とワイヤの送給状
況が監視でき、長尺溶接が容易にできる。溶接が進行す
るにつれてスラグ浴のスラグが表裏の銅板4,5に付着
して、スラグ浴深さ11が浅くなると既述の如くスラグ
が時々周囲に飛び散る現象が生じ、溶接電圧の変動幅が
大きくなるので、これらが生じたら適量のフラックスを
手動ないしは自動的に添加すればよい。いずれにして
も、スラグ浴を直接監視できるので溶接作業は行い易い
という特長がある。
【0016】ワイヤ先端は必要に応じて記号Dで示す矢
印の板厚方向に揺動させることにより動かすが、揺動幅
の調整やワイヤ先端の適正配置もスラグ浴が直接監視で
きるから容易にでき、長尺溶接が可能である。また、開
先形状はI形で説明したが、表側で広く、裏側で狭いV
形の開先を採用することもできる。
【0017】なお、本発明に類似した非消耗ノズルを採
用したスラグ溶接方法として特開昭57−156884
号公報があるが、これによれば溶接部周辺が当金鋼板や
当金銅板で覆われ、その中に給電ノズルを挿入して溶接
するため、いわゆるメクラ溶接となりスラグ溶接上昇時
当金銅板に付着して消耗するスラグ量分のフラックス供
給が適時できず、溶接途中でスラグ溶接からアーク溶接
に変わったり、また給電ノズルの長さに制限があり長尺
溶接は不可能という問題点があった。
【0018】
【実施例】間隙20mmのI形開先5に設定した板厚25
mm,50mmおよび60mmの溶接構造用圧延鋼材SM49
0Bからなる試験板を、本発明および従来の方法でスラ
グ浴深さ11を種々変え溶接した。溶接に用いたワイヤ
は本発明では直径1.6mm、従来法では直径2.4mmの
ソリッドワイヤで、フラックスは粒度20×Dmeshの中
酸化マンガン系フラックスである。溶接中、ワイヤのド
ライエクステンション13は40mmになるようトーチと
表側水冷摺動銅板4の位置関係を調整した。使用した直
流溶接電源は市販されている定電圧特性のもので逆極性
とし、ワイヤ送給は溶接中は一定送給し、本発明では
8.5mm/min、従来法では3.52m/minであった。な
お、板厚25mmの溶接ではワイヤは揺動させることな
く、板厚50mmおよび60mmの溶接では板厚の半分の長
さだけワイヤを板厚方向に揺動させた。表1に、溶接時
の溶接条件と溶接結果を示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1で明かな通り、板厚25mmの溶接では
本発明の要件を満たすNo.2,No.3,No.4が、板厚
50mmの溶接ではNo.7,No.8,No.9が溶接スター
ト部の不良長さが約30mm以下の状態で良好なビード外
観を呈しており、板厚60mmの溶接においても同様本発
明要件を満たせばNo.10,No.11,No.12の如く
良好な結果となっている。これに対して、直径2.4mm
のワイヤでウェットエクステンションのある状態でスラ
グ溶接したものは、スラグ深さが40〜60mmの場合、
ビード外観は良好であるが溶接スタート部の不良長さが
短くても40mmとなっており、本発明より長く溶接速度
が遅くて非能率である。
【0021】なお、表1の評価の欄の記号は、次のこと
を意味する。 ◎:ビード外観が良好で、溶接スタート部の不良長さが
30mm以下のもの ○:ビード外観が良好で、溶接スタート部の不良長さが
40mm以上のもの △:ビード外観上にスラグの噛み込みが所々あるもの ×:ビード外観上にスラグの噛み込みが頻繁にあるもの
【0022】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、溶接
スタート部に生じる融合不良の発生長さが少なくなって
溶接スタート部の補修量が少なくなるとともに、長尺溶
接が容易に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3のA−A線断面を模式的に示し、本発明の
スラグ溶接を実施しているときのスラグ浴近傍の状態を
示す。
【図2】(a)は本発明の溶接スタート時の状況を示す
図、(b)は(a)図のB−B線断面を示す図。
【図3】スラグ溶接時の各部材の配置を示す図。
【図4】図3のA−A線断面における模式図であり、従
来の方法でスラグ溶接を実施しているときのスラグ浴近
傍の状態を示す。
【符号の説明】
1,2 母材 3 水冷固定銅板 4 水冷摺動銅板 5 開先 6 溶接トーチ 7 タブ材 8 溶接ワイヤ 9 フラックス 10 ウェットエクステンション 11 スラグ浴深さ 12 スラグ浴 13 ドライエクステンション 14 溶融金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−115987(JP,A) 特開 平5−42377(JP,A) 特開 昭62−72492(JP,A) 特開 昭60−203380(JP,A) 特開 昭60−130487(JP,A) 特開 平7−16786(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 25/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方
    法において、直流定電圧特性の電源を用いてスラグ浴深
    さを10〜30mmとし、溶接ワイヤ径を2mm未満で、ウ
    ェットエクステンションを0〜2mmに制御して突合せ溶
    接することを特徴とする非消耗ノズル式エレクトロスラ
    グ溶接方法。
  2. 【請求項2】 突合せ溶接する開先の裏側に水冷固定銅
    板を当てがい、開先表側には、立向に溶接進行する溶接
    トーチと連動して摺動する水冷摺動銅板を当てがい、溶
    接スタート時には予め開先内にスラグ浴深さが10〜3
    0mmになる量のフラックスを散布しアークを発生させフ
    ラックスを溶融させてエレクトロスラグ溶接状態に移行
    させることを特徴とする請求項1記載の非消耗ノズル式
    エレクトロスラグ溶接方法。
JP05325412A 1993-12-22 1993-12-22 非消耗ノズル式エレクトロスラグ溶接方法 Expired - Fee Related JP3105124B2 (ja)

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