JP3104564B2 - 塗布装置 - Google Patents

塗布装置

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JP3104564B2
JP3104564B2 JP07065152A JP6515295A JP3104564B2 JP 3104564 B2 JP3104564 B2 JP 3104564B2 JP 07065152 A JP07065152 A JP 07065152A JP 6515295 A JP6515295 A JP 6515295A JP 3104564 B2 JP3104564 B2 JP 3104564B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可撓性支持体の表面に
塗布膜を形成する押し出し型の塗布装置に係り、特に磁
気記録媒体の製造に用いられる塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】塗布型の磁気記録媒体の塗布方法として
は、グラビアロール方式やリバースロール方式等のロー
ルコート方式が一般的であるが、近年これらの塗布方式
よりも、均一かつ薄膜塗布が可能なエクストルージョン
コート方式が実用化されている。
【0003】このエクストルージョンコート方式は、フ
ロントリップ及びドクターリップからなるコーティング
ヘッドの先端のフロントリップ面及びドクターリップ面
に沿って可撓性支持体が走行(移動)し、上記両リップ
が対向して形成するスリットから磁性塗料を押し出し
て、上記ドクターリップ面で塗布膜表面を平滑にしなが
ら支持体上に塗布膜を形成するものである。また、この
エクストルージョンコート方式では、ドクターリップ面
で塗布液に剪断をかけ、ドクターエッヂによって塗布面
の表面性を決定するものである。
【0004】上記エクストルージョンコート方式は実用
化が進むにつれ、高BET値の酸化磁性粉やメタル粉等
を分散した高粘度磁性塗料においても良好に塗布できる
ことが望まれ、さらに、生産効率を高めるために、広幅
塗布や高速塗布等の要望が強くなっている。また、磁性
塗料の塗布厚範囲においても多様化してきている。
【0005】このような要望に応えるためには、可撓性
支持体と接するコーティングヘッドの先端部分の形状
や、その塗布条件は大変重要であり、塗布面向上のこの
種の従来技術としては、例えば特開昭60-238179 号公
報、特開平1-210072号公報、特開平2-265672号公報等に
記載のものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記エクストルージョ
ンコート方式は、確かに均一な塗布厚で良好な塗布面を
得ることが出来るが、高速塗布条件下で塗布厚の可変範
囲を広くすることが難しい。エクストルージョンコート
方式において、塗布厚を変更するための主なパラメータ
としては、一般にドクターリップの曲率半径,塗布速
度,支持体のテンションが挙げられる。
【0007】ドクターリップの曲率半径をR1,R2
(R1>R2)の2種類用意し、他の条件は全て同じに
した場合、曲率半径の大きいR1のドクターリップを使
用した方が塗布厚は厚くなる。支持体のテンションにつ
いては、他の条件は一定とした場合、テンションを高く
する程、塗布厚は薄くなる。
【0008】また、塗布厚の塗布速度依存性も強く、他
の条件を一定として塗布速度を上げると、塗布厚は厚く
なる傾向にあるため、高速塗布条件下で薄塗りを行おう
とすると、支持体のテンションで調整するか、ドクター
リップを曲率半径の小さいものに交換しなければならな
い。しかしながら、支持体のテンション値は、塗料の粘
度や供給量及び塗布速度のバランスから、あまり変更す
ることができず、ドクターリップの交換が有効となる
が、高価なリップを2種類も用意しなければならず、ま
た交換作業も大掛かりとなってしまう。例えば、塗布速
度が300m/minにおいて、塗布厚3.0μmの塗
布を行う場合には、曲率半径R=3mmのドクターリッ
プを使用し、2.0μmの塗布を行う場合はR=1mm
のドクターリップを用いていた。
【0009】そこで、本発明の目的は、コーティングヘ
ッドを変えることなく、単一のヘッドによって、高速塗
布条件下においても広範囲の塗布厚を設定できる塗布装
置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために、下記の構成になる塗布装置を提供す
る。可撓性支持体の移動方向に対して上流側に位置し、
前記支持体と当接するフロントリップ面を備えたフロン
トリップと、前記支持体の移動方向に対して下流側に位
置すると共に、前記フロントリップと所定隙間のスリッ
トを介して相対向し、かつ前記支持体と当接するドクタ
ーリップ面を備えたドクターリップと、前記スリットと
連通し、このスリットより、移動する前記支持体面に塗
布液を供給するポケットとを有し、前記フロントリップ
面と前記ドクターリップ面に沿って連続的に走行する前
記支持体の表面に、前記ポケットから前記スリットを介
して塗布液を連続的に押し出して塗布液を塗布する塗布
装置であって、前記フロントリップは、所定隙間のスリ
ット間隔を保ったまま、前記ドクターリップに対して上
下方向に任意に移動可能であり、前記フロントリップ面
を曲率半径Rとする前記支持体側に突出する円弧面と
し、この円弧面上の頂点A点を通る仮想水平線をX1と
し、一方、前記ドクターリップ面を曲率半径Rとする前
記支持体側に突出する円弧面とし、この円弧面上の頂点
C点を通る仮想水平線をX2とし、前記仮想水平線X1
と仮想水平線X2の間隔をLとした時、前記フロントリ
ップを上下方向に移動することにより前記間隔Lを可変
して、X2はX1と同位置もしくは前記支持体側に位置
すると共に、 R/15 ≦ L ≦ 4R/15(mm) としたことを特徴とする塗布装置。
【0011】
【実施例】
【0012】以下、本発明の塗布装置の一実施例につい
て、図1〜図4を参照して順次詳細に説明する。図1は
本発明に係わる塗布装置を用いた塗布態様を示す斜視
図、図2はコーティングヘッドを示した断面図である。
【0013】ベースブロック1(図2においては1a,
1b)には、可撓性支持体Wの移動方向(矢印で示す)
に対して上流側に位置するフロントリップ4と、下流側
に位置するドクターリップ5とが、スリット3を介して
相対向して配置され、両者はボルト止め、ロウ付けある
いは接着剤による固定等の方法により、ベースブロック
1a,1bにそれぞれ固定されている。両リップ間に形
成されるスリット3は、ベースブロック1の塗布液ポケ
ット2と連通して塗布液を可撓性支持体W上に連続して
吐出する。これらフロントリップ4とドクターリップ5
とにより、コーティングヘッドを構成するものである。
なお、図1に示す6はベースブロック1の長手方向の両
端部に配置されたサイドプレートであり、一方のサイド
プレートには塗布液ポケットと連通する塗布液供給管7
が接続されている。
【0014】図3はフロントリップ4,ドクターリップ
5の先端を拡大した断面図である。図3において、フロ
ントリップ4は支持体Wが接触するが如く走行するフロ
ントリップ面4aと、前面4b,背面4cとを有する一
方、スリット3を介して配置されるドクターリップ5も
同様に支持体Wが接触するが如く走行するドクターリッ
プ面5aと、その先端にドクターエッヂEと前面5b,
背面5cを有する。フロントリップ4の背面4cとドク
ターリップ5の前面5bとは平行面で、両者は互いに垂
直に起立している。
【0015】フロントリップ面4a及びドクターリップ
面5aは、それぞれ中心点をO1 ,O2 とする曲率半径
Rの曲面であり、また、フロントリップ4をベースブロ
ック1aごとベースブロックの合せ面に沿って、上下方
向に移動可能となっている。このフロントリップ4の移
動方法としては、図4に示すように、ボルト8を回転さ
せることにより、ベースブロック1a(フロントリップ
4)を上下方向に移動させるジャッキボルト式や、また
はライナーを挿入する等の様々な方法がある。本願にお
いてはこの移動機構に限定されるわけでなく他の機構を
用いても良い。なお、本発明に係る支持体とは、ポリエ
チレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等の
プラスチックフィルム、紙、ラミネートシート、金属シ
ート等の可撓性支持体であり、材質を特に問うものでは
ない。
【0016】次に、フロントリップ4が移動できる範囲
について説明する。図3において、可撓性支持体Wは、
フロントリップ面4aからドクターリップ面5aへ引い
た接線S1上を走行する。ここで、この接線S1とフロ
ントリップ面4aの接点をB、ドクターリップ面5aと
の接点をD、ドクターエッヂをEとする。また、フロン
トリップ4の頂点をA、A点を通る仮想水平線をX1と
し、ドクターリップ5の頂点をC、C点を通る仮想水平
線をX2とし、前記仮想水平線X1と仮想水平線X2の
間隔をLとする。すると、フロントリップ4を上下に移
動させることにより、両リップの頂点の垂直方向の差L
(X1とX2の間隔)を変えることができる。両リップ
の頂点の垂直方向の差Lを可変させるということは、円
弧DE、即ち支持体とドクターリップ面との接触部分を
可変することと相等しい。
【0017】また、磁性塗料はチキソ性流体の為、圧力
がかかると見かけ上の粘度が低下し、レベリング特性が
向上して塗布厚も薄くなる傾向がある。即ち、塗布速度
が一定且つ支持体のテンションが一定であるならば、磁
性塗料が受ける単位面積当りの圧力が大きくなるため、
表面性は向上し薄塗りが可能となる。このことは曲率半
径Rの大きい厚塗り用ヘッドにおいても広範囲の塗布厚
に対応できることを示している。
【0018】そこで、図3に示す両リップ間の頂点の垂
直方向の差Lは、様々な値を取り得るが、実験の結果よ
り、L≦R/2が望ましいことが分かった。なぜなら
ば、R/2を超えると塗料ビードの保持が不安定とな
り、オーバーフローが発生したり、塗料が支持体につい
ていかなくなる塗布不良が発生してしまう。また、L<
0(フロントリップ4a面がドクターリップ5a面より
上方にある場合)では、支持体のフロントリップ面4a
との接触面積が大きくなりすぎるため、支持体の削れに
よるスジ不良が発生しやすくなる。
【0019】以上より、両リップの頂点間の垂直方向の
差Lの範囲は、次式の条件として示すことができる。 0 ≦ L ≦ R/2(mm) …(1)
【0020】この(1)式を満たす範囲内にて、両リッ
プの頂点間の垂直方向の差Lを可変するならば、単一の
コーティングヘッドにおいても、さらに支持体のテンシ
ョンの調整と共に、塗布厚を広範囲に制御することがで
きる。また、さらに付け加えるならば、Lの範囲として
最も好ましくは、 R/15 ≦ L ≦ 4R/15(mm) …(2) である。
【0021】次に、本発明を適応したさらに具体的な実
施例にて説明する。コーティングヘッドとしては、図3
に示すように、フロントリップ面4a及びドクターリッ
プ面5aの両曲率半径R=3mmの円弧面とし、両リッ
プ材料としては超合金を用い、両リップの形成するスリ
ット隙間3は0.15mmとした。
【0022】また、基本的な塗布条件は以下に示すもの
である。 支持体 :幅307mm,厚さ14.5μmのポリエス
テルテレフタレートフィルム 塗布速度:300m/min 塗布液 :酸化鉄粉を有する粘度3000cps(B型
粘度計No.3)の磁性分散塗布液
【0023】〈実施例1〉まず、図3における両リップ
頂点間の垂直方向の差Lを種々変更して塗布実験を行っ
た結果を表1に示す。ここで、テンションは支持体全体
で9Kgに設定した。評価としては、マイクロメータで
測定した塗布厚と、白く透けて見えるスジ「白スジ」、
細く塗布厚が厚くなったようなスジ「黒スジ」、剪断力
不足から生じると思われる雨模様のように塗布膜表面に
発生する微細なスジ「表面スジ」を区別して各項目につ
いて目視検査を行った。なお、「裏漏れ」とはフロント
リップの前面4b側に塗料が漏れる現象のことを言う。
表1における判断記号は、×印は塗布故障多発、△印は
塗布故障ときどき発生、○印は問題は無いがわずかに発
生、◎印は良好な状態をそれぞれ表している。
【0024】
【表1】
【0025】表1において、両リップ頂点間の垂直方向
の差Lを変更していくと、塗布厚も変化していることが
わかる。Lがマイナスの時、つまりX1(フロントリッ
プ4の頂点の水平線)がX2(ドクターリップ5の頂点
の水平線)の上にきた時、「白スジ」が発生しやすく、
その原因として、支持体がフロントリップ面4aと接触
している距離が長く、ベースクズが発生することが考え
られる。また、L=2(2R/3)の時、「黒スジ」,
「裏漏れ」が発生するが、スリット隙間3とフロントリ
ップ4からドクターリップ5へ引いた接線(支持体)S
1とで囲まれた空間に満たされた塗料を、支持体のテン
ションで押さえきれなくなり、塗料がオーバーフローぎ
みになったことが原因と考えられる。
【0026】以上より、両リップ頂点間の垂直方向の差
Lは、0≦L≦R/2(mm)の範囲が好ましいといえ
る。しかし、Lが0≦L≦R/2(mm)の範囲におい
ても「白スジ」,「表面スジ」が問題無い程度ではある
が発生がみられる。よって、さらに好ましいLの範囲と
して、R/15≦L≦4R/15(mm)が良い。
【0027】〈実施例2〉表1に示す最も好ましいLの
範囲の下限と上限である、L=0.2mm(R/1
5),L=0.8mm(4R/15)において、支持体
のテンション値を可変し、本塗布装置における塗布厚の
コントロール範囲を求めた。この結果を表2,表3に示
す。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】また、従来のリップ固定方式(R=3m
m,L=0.5mm)での塗布厚コントロール範囲を表
4に示し、同様に、薄塗り用リップを用いた固定方式
(R=1mm,L=0.5mm)での塗布厚コントロー
ル範囲を表5に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】この結果より、塗布厚2.0μmのコーテ
ィングをしようとした場合、表4から分かるように、従
来のリップ固定方式のR=3mmのリップでは塗布厚
2.0μmの塗布が不可能である。また、塗布厚3.0
μmのコーティングをしようとした場合、表5から分か
るように、R=1mmのリップでは塗布厚3.0μmの
塗布において不良が発生してしまう。しかし、本発明に
よれば、表2,表3より、R=3mmのリップを用いて
塗布厚2.0μmも3.0μmも塗布可能であり、間隔
Lの調整と支持体のテンション値の調整と共に1.7μ
m〜4.6μmの塗布厚制御が可能である。塗布面の性
能においても、従来のリップ固定方式のものと同等以上
であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の塗
布装置によれば、コーティングヘッドを変えることな
く、単一のヘッドによって、高速塗布条件下においても
広範囲の塗布厚を設定できるという実用上極めて優れた
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布装置を用いた塗布態様を示す斜視
図である。
【図2】コーティングヘッドを示した断面図である。
【図3】フロントリップ4,ドクターリップ5の先端を
拡大した断面図である。
【図4】コーティングヘッドを示した断面図である。
【符号の説明】
1 ベースブロック 2 塗布液ポケット 3 スリット 4 フロントリップ 4a フロントリップ面 5 ドクターリップ 5a ドクターリップ面 A フロントリップ面の頂点 B 接線S1とフロントリップの接点 C ドクターリップ面の頂点 D 接線S1とドクターリップの接点 E ドクターエッヂ L 両リップの頂点間の垂直方向の差(X2−X1) R フロントリップ面,ドクターリップ面の曲率半径 S1 フロントリップ面からドクターリップ面へ引いた
接線 X1 頂点Aを通る仮想水平線 X2 頂点Cを通る仮想水平線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05C 5/02 G11B 5/84 - 5/848

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性支持体の移動方向に対して上流側
    に位置し、前記支持体と当接するフロントリップ面を備
    えたフロントリップと、 前記支持体の移動方向に対して下流側に位置すると共
    に、前記フロントリップと所定隙間のスリットを介して
    相対向し、かつ前記支持体と当接するドクターリップ面
    を備えたドクターリップと、 前記スリットと連通し、このスリットより、移動する前
    記支持体面に塗布液を供給するポケットとを有し、 前記フロントリップ面と前記ドクターリップ面に沿って
    連続的に走行する前記支持体の表面に、前記ポケットか
    ら前記スリットを介して塗布液を連続的に押し出して塗
    布液を塗布する塗布装置であって、 前記フロントリップは、所定隙間のスリット間隔を保っ
    たまま、前記ドクターリップに対して上下方向に任意に
    移動可能であり、 前記フロントリップ面を曲率半径Rとする前記支持体側
    に突出する円弧面とし、この円弧面上の頂点A点を通る
    仮想水平線をX1とし、一方、前記ドクターリップ面を
    曲率半径Rとする前記支持体側に突出する円弧面とし、
    この円弧面上の頂点C点を通る仮想水平線をX2とし、
    前記仮想水平線X1と仮想水平線X2の間隔をLとした
    時、前記フロントリップを上下方向に移動することによ
    り前記間隔Lを可変して、X2はX1と同位置もしくは
    前記支持体側に位置すると共に、 R/15 ≦ L ≦ 4R/15(mm) としたことを特徴とする塗布装置。
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