JP3103882B2 - バベシア・オバタに特異的な塩基配列とそれを利用したバベシア・オバタの検出方法 - Google Patents

バベシア・オバタに特異的な塩基配列とそれを利用したバベシア・オバタの検出方法

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裕 寺田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バベシア・オバタ
に特異的な塩基配列からなるDNA、該DNAにハイブリダイ
ズし得る核酸、及び該核酸を使用したバベシア・オバタ
感染の判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウシのバベシア病は貧血、黄疸及び血色
素尿の排出を主徴とした住血原虫病であり、その病原体
はピロプラズマ目のバベシア属に分類され、マダニによ
って媒介される。1992年頃までに、日本において、ウシ
寄生性バベシア属原虫として、バベシア・オバタ(Babe
sia ovata)、バベシア・ビゲミナ(Babesia bigemin
a)及びバベシア・ボビス(Babesia bovis)の3種の分
布が確認された。
【0003】これら3種のうち、バベシア・ビゲミナ及
びバベシア・ボビスは病原性が強く法定伝染病に指定さ
れているため、ウシにバベシア属原虫の寄生が確認され
た場合には、それがバベシア・オバタであることを判別
する必要がある。バベシア・オバタは病原性は弱いとさ
れているものの、バベシア・マジョール(Babesia majo
r)より強く、タイレリア属(Thcileria)原虫と混合感
染している場合が多いため、畜産業上、バベシア・オバ
タ感染を判別することは重要である。
【0004】特に、最近はウシの輸入を含めた畜産物の
国内外での取り引きが活発化しており、バベシア・オバ
タ感染の判別方法の必要性は増大してきている。バベシ
ア属原虫の感染を判別する方法としては、血液塗抹ギム
ザ染色標本像の光学顕微鏡を用いた観察が一般的である
が、血液塗抹像の観察だけに基づいてバベシア属原虫の
種を判別することは困難である。この他、血清反応によ
りバベシア属原虫の感染を判別する法もあるが、この方
法では、抗原を実験感染ウシから調製する必要があるた
め、操作が煩雑であり、また、抗体価が上昇していない
感染初期には原虫の感染を検出できない。
【0005】一方、最近、遺伝子工学的手法を利用した
幾つかの原虫検出法によって、バベシア・ビゲミナやバ
ベシア・ボビスの感染の判別が可能となりつつある。こ
れらの遺伝子工学的手法を利用した原虫検出法は、検出
感度が高いため、原虫寄生率の低い感染初期の原虫を検
出することができ、多検体試料の解析、感染宿主の組織
や媒介者体中内の原虫検出、疫学調査等への応用も可能
である。
【0006】バベシア・オバタに関しては、DNA-DNAハ
イブリダイゼーション法が開発されているが(Ohta et
al., J.Protozool. Res.5, 58-65(1995))、この方法
では多数の検体を処理することが困難であるとともに、
放射性同位体元素を利用するため特別な施設と技術を必
要とし、さらに、一連の操作に通常2〜7日程度を必要
とする。また、原虫媒介者、感染初期の動物、キャリヤ
ーになっている動物等の体内からバベシア・オバタを検
出する際には、十分な感度が得られない。
【0007】1993年に北海道渡島地方の褐毛和種牛から
分離されたバベシア・オバタと形態的に類似するバベシ
ア属原虫は、その性状からバベシア・オバタの変種とし
て分類され、Babesia ovata var. oshimensisと命名さ
れた。この変種に対しては、その塩基配列を利用した特
異的検出法が開発されおり、媒介ダニ体内の原虫検出も
行われている。このような状況の下、多検体処理に適
し、汎用性があり、簡便で、かつ精度のよいバベシア・
オバタ感染の判別方法の開発が切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多検体処理
に適し、汎用性があり、簡便で、かつ精度のよいバベシ
ア・オバタ感染の判別方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、バベシア・オ
バタのゲノムDNAのうち、バベシア・オバタに特異的な
塩基配列部分(配列番号1)を同定することに成功し
た。そして、この塩基配列部分にハイブリダイズし得る
オリゴヌクレオチド(配列番号2〜5)を作製し、該オ
リゴヌクレオチドをプローブ又はPCR用プライマーとし
て用いることにより、試料中のバベシア・オバタのゲノ
ムDNAの存在を特異的に検出できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は以下の発明を包含す
る。 (1)配列番号1記載の塩基配列と同一又は相補的な塩
基配列からなるDNA。 (2)前記(1)記載のDNAにハイブリダイズし得る核
酸。 (3)塩基数が14〜855である、前記(2)記載の核
酸。
【0011】(4)以下の(a)〜(d)の塩基配列か
らなる核酸。 (a)配列番号2〜5記載の塩基配列と同一又は相補的
な塩基配列 (b)配列番2〜5記載の塩基配列と同一又は相補的な
塩基配列において、すべてのチミンがウラシルに置換さ
れた塩基配列 (c)塩基配列(a)において、1又は複数個の塩基が
欠失、置換又は付加した塩基配列であって、請求項1記
載のDNAにハイブリダイズし得る塩基配列 (d)塩基配列(b)において、1又は複数個の塩基が
欠失、置換又は付加した塩基配列であって、請求項1記
載のDNAにハイブリダイズし得る塩基配列
【0012】(5)以下の工程: (a)対象動物からDNAを含有する試料を調製する工
程、及び(b)前記(2)〜(4)のいずれか1つに記
載の核酸をプローブとして用いることにより、上記試料
中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在するか否かを
確認し、その結果に基づいて、対象動物がバベシア・オ
バタに感染しているか否かを判別する工程、を含んでな
ることを特徴とする、バベシア・オバタ感染の判別方
法。
【0013】(6)以下の工程: (a)対象動物からDNAを含有する試料を調製する工
程、(b)上記試料に対して、前記(2)〜(4)のい
ずれか1つに記載の核酸をプライマーとして用いたPCR
を行う工程、及び(c)工程(b)により得られる増幅
断片の有無により、上記試料中にバベシア・オバタのゲ
ノムDNAが存在するか否かを確認し、その結果に基づい
て、対象動物がバベシア・オバタに感染しているか否か
を判別する工程、を含んでなることを特徴とする、バベ
シア・オバタ感染の判別方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一は、配列番号1記載の塩基配列と同一又は
相補的な塩基配列からなるDNA(以下、「第一発明のDN
A」という)である。第一発明のDNAは、例えば、バベシ
ア・オバタのゲノムDNAを鋳型とし、配列番号1記載の
塩基配列の5'末端側と同一の塩基配列からなるプライマ
ー、及び配列番号1記載の塩基配列の3'末端側と相補的
な塩基配列からなるプライマーを用いてPCRを行うこと
により得ることができる。
【0015】第一発明のDNAは、バベシア・オバタのゲ
ノムDNAのうち、バベシア・オバタに特異的な塩基配列
部分である。従って、第一発明のDNAは、バベシア・オ
バタのゲノムDNAを特異的に検出するためのプローブと
して使用できる。また、バベシア・オバタのゲノムDNA
を特異的に検出するためのプローブ又はPCR用プライマ
ーを作製する際、それらの塩基配列を第一発明のDNAの
塩基配列に基づいて決定することができる。
【0016】本発明の第二は、第一発明のDNAにハイブ
リダイズし得る核酸(以下、「第二発明の核酸」とい
う)である。第二発明の核酸は、第一発明のDNAにハイ
ブリダイズし得る限り、DNAであってもRNAであってもよ
く、その塩基数及び塩基配列は特に限定されない。第二
発明の核酸としては、配列番号1記載の塩基配列の一部
と同一又は相補的な塩基配列を含んでなるDNAを例示で
きる。また、第二発明の核酸としては、配列番号1記載
の塩基配列の一部と同一又は相補的な塩基配列であっ
て、すべてのチミンがウラシルに置換した塩基配列を含
んでなるRNAを例示できる。
【0017】ここで、第二発明の核酸に含まれる配列番
号1記載の塩基配列の一部は、配列番号1記載の塩基配
列のどの部分であってもよい。また、当該一部の塩基数
は特に限定されないが、第二発明の核酸をプローブとし
て使用する場合には、少なくとも14塩基以上であるのが
好ましく、17塩基以上であるのがさらに好ましく、90塩
基以上であるのが最も好ましく、第二発明の核酸をプラ
イマーとして使用する場合には、少なくとも16塩基以上
であるのが好ましく、18〜30塩基であるのがさらに好ま
しく、20〜24塩基であるのが最も好ましい。また、当該
一部と同一又は相補的な塩基配列は、第二発明の核酸の
どの部分に含まれてもよく、第二発明の核酸のうち、当
該一部と同一又は相補的な塩基配列部分以外の部分の塩
基配列は特に限定されない。また、第二発明の核酸の塩
基数は、特に限定されないが、第二発明の核酸をプロー
ブとして使用する場合には、14塩基以上であるのが好ま
しく、17塩基以上であるのがさらに好ましく、90塩基以
上であるのが最も好ましく、第二発明の核酸をプライマ
ーとして使用する場合には、16塩基以上であるのが好ま
しく、18〜30塩基であるのがさらに好ましく、20〜24塩
基であるのが最も好ましい。
【0018】第二発明の核酸しては、配列番号2〜5記
載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列(以下、「塩
基配列(ア)」という)からなるDNA、あるいは、配列
番号2〜5記載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列
において、すべてのチミンがウラシルに置換された塩基
配列(以下、「塩基配列(イ)」という)からなるRNA
を好ましいものとして例示できる。
【0019】配列番号2記載の塩基配列は、配列番号1
記載の塩基配列のうち、21番目の塩基から42番目の塩基
までの部分と同一である。また、配列番号3記載の塩基
配列は、配列番号1記載の塩基配列のうち、855番目の
塩基から834番目の塩基までの部分と相補的である。ま
た、配列番号4記載の塩基配列は、配列番号1記載の塩
基配列のうち、63番目の塩基から84番目の塩基までの部
分と同一である。
【0020】また、配列番号5記載の塩基配列は、配列
番号1記載の塩基配列のうち、647番目の塩基から626番
目の塩基までの部分と相補的である。従って、塩基配列
(ア)からなるDNA及び塩基配列(イ)からなるRNAは、
配列番号1記載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列
からなるDNAにハイブリダイズし得る。
【0021】また、第二発明の核酸の塩基配列は、配列
番号1記載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列から
なるDNAにハイブリダイズし得る塩基配列である限り、
塩基配列(ア)又は塩基配列(イ)において、1又は複
数個の塩基が欠失、置換又は付加した塩基配列であって
もよい。ここで、「1又は複数個の塩基」とは、配列番
号1記載の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列からな
るDNAにハイブリダイズし得る限り、その個数は特に限
定されない。
【0022】第二発明の核酸は、その塩基配列に従って
常法により合成することができる。第二発明の核酸は、
バベシア・オバタのゲノムDNAを特異的に検出するため
のプローブ又はPCR用プライマーとして使用できる。第
二発明の核酸をPCR用プライマーとして使用する場合、
第二発明の核酸のGC含量は、40〜70%であるのが好まし
く、50〜60%であるのがさらに好ましい。また、Tm値
は、55〜80℃であるのが好ましく、60〜78℃であるのが
さらに好ましい。
【0023】本発明の第三は、以下の工程: (a)対象動物からDNAを含有する試料を調製する工
程、及び(b)第二発明の核酸をプローブとして用いる
ことにより、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDN
Aが存在するか否かを確認し、その結果に基づいて、対
象動物がバベシア・オバタに感染しているか否かを判別
する工程、を含んでなることを特徴とする、バベシア・
オバタ感染の判別方法である。以下、各工程ごとに説明
する。
【0024】(1)工程(a) 工程(a)は、対象動物からDNAを含有する試料を調製
する工程である。ここで、「対象動物」とは、バベシア
・オバタ感染の有無を判別しようとする動物を意味す
る。対象動物は、バベシア・オバタに感染し得る動物で
ある限り特に限定されず、いかなる動物であってもよ
い。このような対象動物としては、例えば、ウシ、マダ
ニ、ウシ型赤血球を有するマウス等が挙げられる。
【0025】DNAを含有する試料は、対象動物の赤血
球、脾臓等から常法に従って調製することができる。ま
た、対象動物がマダニである場合には、消化管、卵、唾
液腺等から常法に従ってDNAを含有する試料を調製する
ことができる。例えば、対象動物の赤血球等を液体窒素
の存在下で凍結及び破砕した後、ドデシル硫酸ナトリウ
ム及びプロテナーゼKを含む溶解液中で処理する。次い
でフェノール、等量のフェノール及びクロロホルムを含
む溶媒、クロロホルムを用いてDNAを抽出精製し、さら
に、エタノール沈殿により精製濃縮する。これによって
対象動物からDNAを含有する試料を調製することができ
る。調製されたDNAを含有する試料には、バベシア・オ
バタのゲノムDNAの他、各種RNA、DNA、タンパク質等が
含まれる。従って、該試料を常法に従って精製してもよ
い。
【0026】(2)工程(b) 工程(b)は、第二発明の核酸をプローブとして用いる
ことにより、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDN
Aが存在するか否かを確認し、その結果に基づいて、対
象動物がバベシア・オバタに感染しているか否かを判別
する工程である。上記試料中にバベシア・オバタのゲノ
ムDNAが存在するか否かは、第二発明の核酸をプローブ
として用いる限り、いかなる方法によって確認してもよ
い。
【0027】例えば、上記試料に含有されるDNA断片を
電気泳動によって展開した後、サザンブロッティングに
よりメインブレン上に固定化し、標識した第二発明の核
酸をプローブとして用いて、メンブレン上に固定化した
DNA断片とハイブリダイズさせ、標識を指標として上記
試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在するか否
かを確認することができる。この際、電気泳動及びサザ
ンブロッティングは常法に従って行うことができる。ま
た、第二発明の核酸の標識としては、例えば、32P等の
放射性同位体による放射性標識、、ビオチンやジゴキシ
ゲニン等による非放射性標識等が挙げられ、これらの標
識化は常法に従って行うことができる。
【0028】第二発明の核酸は、バベシア・オバタのゲ
ノムDNAのうち、バベシア・オバタに特異的な塩基配列
部分(配列番号1)にハイブリダイズし得る。従って、
第二発明の核酸をプローブとして用いることにより、上
記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在するか
否かを特異的に検出することができる。上記試料中にバ
ベシア・オバタのゲノムDNAが存在する場合には、対象
動物がバベシア・オバタに感染していると判別でき、一
方、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在
しない場合には、対象動物がバベシア・オバタに感染し
ていないと判別できる。
【0029】本発明の第四は、以下の工程: (a)対象動物からDNAを含有する試料を調製する工
程、(b)上記試料に対して、第二発明の核酸をプライ
マーとして用いたPCRを行う工程、及び(c)工程
(b)により得られる増幅断片の有無により、上記試料
中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在するか否かを
確認し、その結果に基づいて、対象動物がバベシア・オ
バタに感染しているか否かを判別する工程、を含んでな
ることを特徴とする、バベシア・オバタ感染の判別方法
である。以下、各工程ごとに説明する。
【0030】(1)工程(a) 工程(a)は、対象動物からDNAを含有する試料を調製
する工程である。工程(a)は、上記と同様にして行う
ことができる。 (2)工程(b) 工程(b)は、上記試料に対して、第二発明の核酸をプ
ライマーとして用いたPCRを行う工程である。PCRは、第
二発明の核酸をプライマーとして用いる限り、その他の
条件は特に限定されず、常法に従って行うことができ
る。
【0031】PCRに用いるプライマーセットとしては、
例えば、配列番号2記載の塩基配列からなるプライマー
及び配列番号3記載の塩基配列からなるプライマーより
構成されるプライマーセット、配列番号4記載の塩基配
列からなるプライマー及び配列番号5記載の塩基配列か
らなるプライマーより構成されるプライマーセットを例
示できる。
【0032】第二発明の核酸は、バベシア・オバタのゲ
ノムDNAのうち、バベシア・オバタに特異的な塩基配列
部分(配列番号1)にハイブリダイズし得る。従って、
上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが含まれて
いる場合には、第二発明の核酸をプライマーとして用い
たPCRによりバベシア・オバタのゲノムDNAに由来する増
幅断片が得られ、一方、上記試料中にバベシア・オバタ
のゲノムDNAが含まれていない場合には、バベシア・オ
バタのゲノムDNAに由来する増幅断片は得られない。バ
ベシア・オバタのゲノムDNAに由来する増幅断片のみを
さらに効率よく得るために、工程(b)で得られる増幅
断片に対して、nested PCRを行うのが好ましい。
【0033】nested PCRは常法に従って行うことがで
き、nested PCRで使用するプライマーセットは、得られ
る増幅断片に応じで適宜決定し得る。例えば、工程
(b)において、配列番号2記載の塩基配列からなるプ
ライマー及び配列番号3記載の塩基配列からなるプライ
マーを使用した場合には、nested PCRにおいて、配列番
号4記載の塩基配列からなるプライマー及び配列番号5
記載の塩基配列からなるプライマーを使用することがで
きる。
【0034】(3)工程(c) 工程(c)は、工程(b)で得られる増幅断片の有無に
より、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存
在するか否かを確認し、その結果に基づいて、対象動物
がバベシア・オバタに感染しているか否かを判別する工
程である。増幅断片の有無の確認は、常法に従って行う
ことができる。例えば、電気泳動により増幅断片の有無
を確認することができる。増幅断片の有無の確認の結
果、増幅断片が存在する場合には、上記試料中にバベシ
ア・オバタのゲノムDNAが存在すると確認でき、一方、
増幅断片の有無の確認の結果、増幅断片が存在しない場
合には、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが
存在しないと確認できる。
【0035】上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDN
Aが存在するか否かをさらに精度よく確認するために、
増幅断片がバベシア・オバタのゲノムDNAに由来するこ
とを確認することが好ましい。増幅断片がバベシア・オ
バタのゲノムDNAに由来することを確認する方法として
は、例えば、増幅断片を制限酵素で処理して得られる制
限断片長解析を行う方法が挙げられる。この際使用する
制限酵素としては、増幅断片を切断し得るものであれば
特に限定されない。制限酵素は、単独で使用してもよい
が、2種以上を組み合わせて使用することが望ましい。
上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在する
場合には、対象動物がバベシア・オバタに感染している
と判別でき、一方、上記試料中にバベシア・オバタのゲ
ノムDNAが存在しない場合には、対象動物がバベシア・
オバタに感染していないと判別できる。
【0036】
【実施例】〔実施例1〕バベシア・オバタのゲノムDNA
断片の単離・同定 (1)バベシア・オバタのゲノムDNA断片の単離 バベシア・オバタのゲノムDNAを制限酵素EcoRIで処理し
た後、λZAPIIファージに組み込んで、バベシア・オバ
タのサブゲノムDNAライブラリーを作製した。そして、
バベシア・オバタのゲノムDNAとバベシア・ボビスのゲ
ノムDNAをプローブとして用いたプラークハイブリダイ
ゼーションを行うことにより、このライブラリーから、
バベシア・オバタのゲノムDNAには反応するが、バベシ
ア・ボビスのゲノムDNAとは交差反応しないクローンBOZ
AP6を得た(Kawazuら.,J.Protozool.Res.3, 64-68(199
3))。
【0037】一方、バベシア・オバタの変種(Babesia
ovata var. oshimensis)のゲノムDNAを制限酵素EcoRI
で処理した後、λZAPIIファージに組み込んで、バベシ
ア・オバタの変種のサブゲノムDNAライブラリーを作製
した。そして、BOZAP6をプローブとして用いたプラーク
ハイブリダイゼーションを行うことにより、このライブ
ラリーから、BOZAP6に交差反応するクローンpBUを得
た。
【0038】BOZAP6を制限酵素(MluI、DraII、EcoRI)
で処理したものに対して、pBU挿入DNA断片をプローブと
してハイブリダイゼーションを行い、BOZAP6のうち、交
差領域及び非交差領域を明らかにした。非交差領域に属
した0.9kbpのDraII/EcoRI DNA断片をプローブとして用
いることにより、このDNA断片のバベシア・オバタの変
種のゲノムDNAに対する交差反応性を調べた。その結
果、このDNA断片はバベシア・オバタの変種のゲノムDNA
に対する交差反応性を有していなかった。以下、このDN
A断片をOvS9という。
【0039】(2)バベシア・オバタのゲノムDNA断片
の同定 OvS9とpBluescriptIIとをT4リガーゼを用いて、10mM塩
化マグネシウム、10mMジチオスレイトール、0.5mM アデ
ノシン3-リン酸、及び50μg/mlウシ血清アルブミンを含
む40mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)中で結合した。こ
の組換えプラスミドをDNA電気穿孔法により大腸菌内に
導入した後、該大腸菌を37℃で培養し、増殖させた。
【0040】次に、上記大腸菌に存在するプラスミドDN
Aを、臭化エチジウム−塩化セシウム平衡密度勾配遠心
法により精製した。この精製プラスミドDNAに3M 酢酸
ナトリウム(pH7.5)を10分の1容量加えて混和した
後、2〜3倍容量の99.5(v/v)%エタノールを加えて混
和した。−20℃で冷却した後、遠心(1,500rpmで10分
間)して上清を除き、沈殿したDNAを70(v/v)%エタノ
ールで洗浄し、1mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウ
ムを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.6)に溶解し
た。紫外部吸光度法を用いてDNA量を測定した後、このD
NAの塩基配列をサンガーらのジデオキシ法(Sanger et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74, 5463-5467(1977))
によって解析した。
【0041】その結果、プラスミドの両方向からの解析
結果は一致しており、OvS9の全長は865bpであった(配
列番号1)。GENETYX(ソフトウエア開発)を用いてOvS
9の塩基配列をGenBankに収録されている塩基配列と比較
したところ、高い類似性のある配列はなかった。従っ
て、配列番号1記載の塩基配列は、バベシア・オバタの
ゲノムDNAのうち、バベシア・オバタに特異的な塩基配
列部分であることが判明した。
【0042】〔実施例2〕プライマーの作製 配列番号1記載の塩基配列に基づいて、OvS9(全長855b
p)の21番目の塩基から855番目の塩基までの領域(全長
835bp)を増幅するように1組のプライマーセットを設
計した(図1)。このプライマーセットは、5'プライマ
ーがB5OV1(配列番号2)であり、3'プライマーがB3OV1
(配列番号3)である。また、上記プライマーセットに
よる増幅領域の内側、すなわち、OvS9の63番目の塩基か
ら647番目の塩基までの領域(全長585bp)を増幅するよ
うに、もう1組のプライマーセットを設計した(図
1)。このプライマーセットは、5'プライマーがB5OV2
(配列番号4)であり、3'プライマーがB3OV2(配列番
号5)である。
【0043】2組のプライマーセットの各プライマー
は、いずれも22merであり、PCRの効率と特異性とを高め
るために、以下の点に留意して設計した。 各プライマーとOvS9とが1ヶ所でハイブリダイズする
ように、各プライマーがOvS9とハイブリダイズする部分
以外のOvS9の部分が、各プライマーとできる限り相補的
でないようにする。 プライマー同士のハイブリダイズを防止するために、
できる限りプライマー同士に(特に3'側に)相補的な部
分がないようにする。
【0044】プライマーの融解温度(Tm)が55〜80
℃、好ましくは64℃となるようにする。 通常は増幅断片の長さを確認することによって増幅断
片が目的とするものであることを確認するが、制限断片
長解析によりさらに精度よく確認できるように、増幅断
片が制限酵素切断部位を含むようにする。各プライマー
は、アーノルドら(Arnole et al.,Nucleic Acids Symp
Ser,18:181-184(1987))の化学的合成法によって合
成した。
【0045】〔実施例3〕PCRによるバベシア・オバタ
のゲノムDNAの検出 (1)バベシア・オバタのゲノムDNA、代表的な住血微
生物のゲノムDNA及びウシのゲノムDNA各々100pgを鋳型
とし、B5OV1及びB3OV1をプライマーとして、PCRを行っ
た。使用した住血微生物は以下の通りである。
【0046】 タイレリア・セルゲンティ(Theileria sergenti) アナプラズマ・マージナーレ(Anaplasma marginal
e) アナプラズ・マセントラーレ(Anaplasma centrale) エペリスロゾーン・ウェニョニ(Eperythrozoon weny
oni) バベシア・ボビス(Babesia bovis) バベシア・ビゲミナ(Babesia bigemina) バベシア・オバタの変種(Babesia. ovata var. oshi
mensis)
【0047】バベシア・オバタのゲノムDNA、各住血微
生物のゲノムDNA、及びウシのゲノムDNAは次のように調
製した。まず、バベシア・オバタ感染ウシ血液より白血
球を除去した後、赤血球を分離精製した。次いで、この
赤血球を高圧窒素ガスを用いて破砕し、遠心により赤血
球膜画分と微生物画分とを分離した。得られた微生物画
分を、ドデシル硫酸ナトリウム及びプロテナーゼKを含
む溶解液中で処理した。次いで、フェノール、等量のフ
ェノールとクロロホルム、及びクロロホルムを用いてDN
Aを抽出精製し、さらにエタノール沈殿して精製濃縮し
た。これにより、バベシア・オバタのゲノムDNAを調製
した。また、各住血微生物感染ウシ血液を上記と同様に
処理し、各住血微生物のゲノムDNAを調製した。さら
に、非感染ウシの血液を用いて比重遠心法により白血球
画分を分取し、これを上記と同様に処理し、ウシのゲノ
ムDNAを調製した。
【0048】PCRは、50mMの塩化カリウム、15mMの塩化
マグネシウム、200μMのdNTP(dATP、dGTP、dCTP及びdT
TP)、2.5μMの各プライマー(B5OV1及びB3OV1)、及び
Taqポリメラーゼ2.5単位を含む10mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8.3)100μl中で行った。PCRの1サイクルは、DNA
変性を94℃で2分、プライマーのアニーリングを60℃で2
分、及びDNA伸長を72℃で3分とし、これを35サイクル行
った。但し、初回のDNA変性のみを94℃で5分行い、ま
た、最終回のDNA伸長のみを72℃で7分行った。
【0049】PCR後、反応液の10分の1容量(10μl)を
とり、1mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウムを含む
40mMトリス−酢酸緩衝液中で2%アガロースゲルを用い
て電気泳動を行い、分離後のPCR産物を0.5μg/mlの臭化
エチジウムで染色し検出した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、タイレリア・セルゲンティ、アナプ
ラズマ・マージナーレ、アナプラズ・マセントラーレ、
エペリスロゾーン・ウェニョニ、ウシ、バベシア・ボビ
ス、バベシア・ビゲミナ及びバベシア・オバタの変種の
ゲノムDNAを鋳型とした場合には、増幅断片は検出され
なかった。それに対して、バベシア・オバタのゲノムDN
Aを鋳型とした場合には、目的の835bpの増幅断片が検出
された。
【0050】この結果より、B5OV1及びB3OV1をプライマ
ーとするPCRによって、バベシア・オバタのゲノムDNAに
由来するDNA断片のみが増幅されることが判明した。従
って、B5OV1及びB3OV1をプライマーするPCRを行い、得
られる増幅断片の有無を指標とすることにより、バベシ
ア・オバタのゲノムDNAを特異的に検出できることが判
明した。
【0051】(2)次に、バベシア・オバタのゲノムDN
A100pgを段階的に10倍希釈し(100pg、10pg、1pg、100f
g、10fg)、各々の濃度のDNAを鋳型としてPCRを行い、P
CRによる検出限界を求めた。PCR及びPCR産物の電気泳動
は上記と同様にして行った。その結果を図3に示す。図
3に示すように、1pg以上のDNAを鋳型とした場合に増幅
断片を検出できることが判明した。この検出限界は、既
に報告されているDNAプローブを用いる方法(Ohta et a
l.,J.Protozool. Res.5, 58-65(1995))と比べて5000
倍の高感度であった。
【0052】(3)PCRでは、鋳型DNAの減少に伴って増
幅断片の染色強度が弱まり、検出限界付近では、増幅断
片が確認しにくくなる。そこで、B5OV1及びB3OV1を用い
たPCRの後、増幅したPCR産物を含む反応液の100
分の1容量(1μl)を再度PCRに供した(nested PC
R)。nested PCRの際には、プライマーとしてB5OV2及び
B3OV2を使用した。
【0053】上記と同様にバベシア・オバタのゲノムDN
A100pgを段階的に10倍希釈し、各々の濃度のDNAを鋳型
としてnested PCRによる検出限界を求めた。PCR及びPCR
産物の電気泳動は上記と同様にして行った。その結果を
図4に示す。図4に示すように、100fg以上のDNAを鋳型
とした場合に増幅断片が検出できることが判明した。
【0054】nested PCRにおける鋳型DNAの減少に伴う
増幅断片の染色強度の減少は、通常のPCRの時ほど顕著
ではなく、やや弱まる傾向にあったに過ぎず、検出限界
まで明瞭な染色像が得られたので陽性バンドの確認は容
易であった。また、100fg以上のDNAがあれば検出可能で
あったことは、nested PCRは通常のPCRの10倍の高感度
であることを示しており、バベシア・オバタのゲノムサ
イズをタイレリア・パルバと同じであると考えて1×107
bpと仮定すると、計算上は寄生率0.00002%の感染血液10
μlからのバベシア・オバタの検出、あるいは1〜10個
のバベシア・オバタの検出が可能であると考えられる。
nested PCRでは、PCRを繰り返すため、通常のPCRより時
間がかかるが、鋳型となるDNA試料の調製が終わってい
れば、1日で全ての操作を終えることができる。さら
に、2組目のプライマーセットを用いて行う2回目のPCR
反応回数を20回減らして15回としても、35回と同様な結
果が得られるため、通常のPCRにかかる時間の2倍より少
ない時間で操作を終えることができる。
【0055】
【発明の効果】本発明により、配列番号1記載の塩基配
列と同一又は相補的な塩基配列からなるDNAが提供され
る。本発明のDNAは、バベシア・オバタのゲノムDNAのう
ち、バベシア・オバタに特異的な塩基配列部分である。
従って、本発明のDNAは、バベシア・オバタのゲノムDNA
を特異的に検出し得るプローブとして有用である。ま
た、バベシア・オバタのゲノムDNAを特異的に検出し得
るプローブやPCR用プライマーを作製する際、それらの
塩基配列を本発明のDNAの塩基配列に基づいて決定する
ことができる。
【0056】また、本発明により、配列番号1記載の塩
基配列と同一又は相補的な塩基配列からなるDNAにハイ
ブリダイズし得る核酸が提供される。本発明の核酸は、
バベシア・オバタのゲノムDNAのうち、バベシア・オバ
タに特異的な塩基配列部分にハイブリダイズし得る。従
って、本発明の核酸をプローブ又はPCR用プライマーと
して用いることにより、バベシア・オバタのゲノムDNA
を特異的に検出し得る。
【0057】一般に原虫感染症では慢性感染に移行する
と寄生率が低くなり、原虫体が末梢血液中から消失す
る。またバベシア属原虫はその他の住血微生物と混合感
染している場合が多く、タイレリア属原虫の干渉によっ
て寄生率が低く抑えられている場合も多い。従って、対
象動物のバベシア・オバタ感染を判別するのは容易では
ない。しかし、本発明の核酸をプローブ又はPCR用プラ
イマーとして用いることにより、バベシア・オバタのゲ
ノムDNAを特異的に検出することができ、これによって
対象動物のバベシア・オバタ感染を精度よく、かつ迅速
に検出することができる。
【0058】特に、本発明の核酸をPCR用プライマーと
してnested PCRを行うことにより、対象動物のバベシア
・オバタ感染を一層精度よく検出することができる。さ
らに、本発明のDNAをPCR用プライマーとしてPCRを行う
ことにより、寄生率の低い感染初期や慢性感染期のバベ
シア・オバタ、及び感染宿主の組織内や媒介者(例え
ば、ダニ等)体内のバベシア・オバタを検出することが
でき、多検体試料の解析も容易に行うことができる。
【0059】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> National Institute of Animal Health <120> a base sequence specific to Babesia ovata and a method of detection for Babesia ovata by use of the sequence <130> Babesia ovata <160> 5 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 855 <212> DNA <213> Babesia ovata <400> 1 acctagatga aatggagaaa caaataaggg ggacgtttga ctttttaaaa acaggtgtga 60 atgcagtaaa cacatcgcag gtaaatgagt tggtggagaa gttgaaatgg aaagttgctg 120 ctataagggt tcagattgaa ggcatcggtg taatacttga gaatcgtatt aaggagttag 180 agaactggaa ggaggaggca gcaaaacttg tggatggtac cgccaaagtg gcgggtgaaa 240 tcgagagaaa ggatcccgga aaaattaatt acgatgagat tttgggtaaa gagaaggagt 300 tggaagatat tcttgctgcg ctagatgaca acgtaaatag gttcaagggt gatgtgaaag 360 ctgctgctac caagggtgag gagcttgtta aaggttttga caaagtgctt caaacggatt 420 tgaaggtatt ggagggttat attgaaggcg cgatcaagga gtatgttgag aagttgaaga 480 gtgggcactt tggaaagatt aaaaagggcg ttggaaacag agagcgccca ctagagggga 540 atgatgagag catagatgct tgttgggaaa agcttaagca ggagattacg ggccttgttg 600 gtgaggttat tggcaaagag ccggggccga agaaatatga tggccttaag ggaattaaac 660 aaaaggtgaa ggaatatgct cagtttttca ctcaggagag ttttgagagt acagttcaag 720 gctggataaa aacaattctg gagaagaatg agattgttat tgagcgtatt gggtactata 780 tcagctatga ccataacaag acgcattttg tgcacgagaa agttaagcaa caaggtaaag 840 acgctattga tgacg 855 <210> 2 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: B5OV1 <400> 2 caaataaggg ggacgtttga ct 22 <210> 3 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: B3OV1 <400> 3 cgtcatcaat agcgtcttta cc 22 <210> 4 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: B5OV2 <400> 4 gcagtaaaca catcgcaggt aa 22 <210> 5 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: B3OV2 <400> 5 aaggccatca tatttcttcg gc 22
【図面の簡単な説明】
【図1】PCR及びnested PCRの概略図である。
【図2】PCR産物の電気泳動結果を示す写真である。
【図3】PCR産物の電気泳動結果を示す写真である。
【図4】PCR産物の電気泳動結果を示す写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:90) (C12Q 1/68 C12R 1:90) (72)発明者 寺田 裕 茨城県つくば市松代5丁目9番地2− 637−2 (72)発明者 河津 信一郎 茨城県つくば市松代5丁目15番地503− 301 (72)発明者 辻 尚利 茨城県つくば市松代5丁目16番地527− 206 (56)参考文献 J.Bacteriol.,Vol. 178,No.11,(1996),p.3293− 3307 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/00 - 1/70 G01N 33/50 - 33/98 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1記載の塩基配列と同一又は相
    補的な塩基配列からなるDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のDNAにハイブリダイズす
    ることができ、ハイブリダイズ時のTm値が55℃以上であ
    る核酸であって、バベシア・オバタのゲノムDNAを特異
    的に検出するためのプローブ又はPCR用プライマーとし
    て機能し得る核酸。
  3. 【請求項3】 塩基数が14〜855である、請求項2記載
    の核酸。
  4. 【請求項4】 以下の(a)〜(d)に示す塩基配列か
    らなる核酸。 (a)配列番号2〜5記載の塩基配列と同一又は相補的
    な塩基配列 (b)配列番号2〜5記載の塩基配列と同一又は相補的
    な塩基配列において、すべてのチミンがウラシルに置換
    された塩基配列 (c)塩基配列(a)において、1又は複数個の塩基が
    欠失、置換又は付加した塩基配列であって、請求項1記
    載のDNAにハイブリダイズし、かつバベシア・オバタの
    ゲノムDNAを特異的に検出するためのプローブ又はPCR用
    プライマーとして機能し得る塩基配列 (d)塩基配列(b)において、1又は複数個の塩基が
    欠失、置換又は付加した塩基配列であって、請求項1記
    載のDNAにハイブリダイズし、かつバベシア・オバタの
    ゲノムDNAを特異的に検出するためのプローブ又はPCR用
    プライマーとして機能し得る塩基配列
  5. 【請求項5】 以下の工程: (a)対象動物(ヒトを除く)からDNAを含有する試料
    を調製する工程、及び (b)請求項2〜4のいずれか1項に記載の核酸をプロ
    ーブとして用いることにより、上記試料中にバベシア・
    オバタのゲノムDNAが存在するか否かを確認し、その結
    果に基づいて、対象動物がバベシア・オバタに感染して
    いるか否かを判別する工程、 を含んでなることを特徴とする、バベシア・オバタ感染
    の判別方法
  6. 【請求項6】 以下の工程: (a)対象動物(ヒトを除く)からDNAを含有する試料
    を調製する工程、 (b)上記試料に対して、請求項2〜4のいずれか1項
    に記載の核酸をプライマーとして用いたPCRを行う工
    程、及び (c)工程(b)により得られる増幅断片の有無によ
    り、上記試料中にバベシア・オバタのゲノムDNAが存在
    するか否かを確認し、その結果に基づいて、対象動物が
    バベシア・オバタに感染しているか否かを判別する工
    程、 を含んでなることを特徴とする、バベシア・オバタ感染
    の判別方法。
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