JP3102090B2 - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリエステル
組成物に関するものであり、さらに詳しくは微細で直鎖
または分岐の形状を有するコロイダルシリカ粒子を熱可
塑性ポリエステル中に均一に分散させることにより、滑
り性、耐削れ性、耐スクラッチ性(傷がつきにくい性質
のことをいう)に優れたフィルムあるいは繊維を得るに
適した熱可塑性ポリエステル組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレートは、優れた力学特性、化学特
性を有しており、フィルム、繊維等の成形品として広く
用いられている。
【0003】しかしながらポリエステルは成形品に加工
する際に、滑り性不足のため生産性が低下するという問
題があった。このような問題を改善する方法として、従
来よりポリエステル中に不活性粒子を分散せしめ、成形
品の表面に凹凸を付与する方法が行われている。例えば
特開昭52−86471号公報では比表面積の規定され
た無機粒子、特開昭59−171623号公報では0.
1〜1μmの球形のコロイダルシリカを用いる方法が提
案されている。これらの方法は滑り性の問題解決には有
効であるが、成形品とした場合には耐削れ性、耐スクラ
ッチ性を満足すべきレベルとすることができない。
【0004】成形品、例えば磁気テープ用フィルムの耐
削れ性が低い場合、磁気テープの製造工程中にフィルム
の摩耗粉が発生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で
塗布抜けが生じ、その結果磁気記録の抜け(ドロップ・
アウト)等を引き起こす。また磁気テープを使用する際
は多くの場合、記録、再生機器等と接触しながら走行さ
せるため、接触時に生じる摩耗粉が磁性体上に付着し、
記録、再生時に磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)を
生じる。また、カレンダー処理のような大きな外力が加
わる所においては、削れ物の発生が起こりやすく、削れ
物が生じると製品特性を著しく悪化させる。
【0005】そして成形品、例えば磁気テープ用フィル
ムの耐スクラッチ性が低い場合、磁気テープの製造工程
中で異物が発生した場合、容易にフィルム表面上に傷を
作り、その結果磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)等
を引き起こしたり、磁気テープ高速走行使用時にフィル
ム表面に容易に傷を作る。すなわち、磁気テープ用フィ
ルムは磁気テープ製造工程中においても又磁気テープと
して使用する場合においても滑り性や耐削れ性、耐スク
ラッチ性を有することが必要である。耐摩耗性を向上さ
せるための手段として、微細な粒子を含有させる方法が
あるが、例えば平均粒径0.01〜0.1μm程度の微
細な球状コロイダルシリカをポリエステル中に分散せし
める方法の場合、フィルムの走行時に接触するローラー
から受ける強い力で脱落し、さらに脱落した粒子がフィ
ルム表面に傷をつけてしまう等の欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の欠点を解消することにあり、滑り性、耐
削れ性、耐スクラッチ性のすべてに優れたフィルム、繊
維を製造し得る熱可塑性ポリエステル組成物を得ること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、熱可塑性ポリエステルとコロイダルシリカ粒子とか
らなる組成物であって、コロイダルシリカ粒子は、動的
光散乱法による測定粒子径(Dmμ)と窒素ガス吸着
法による測定粒子径(Dmμ)の比D/Dが2以
上7以下であって、Dは20〜280mμであり、電
子顕微鏡観察において10〜40mμの範囲の太さを持
ち、直鎖または分岐の形状を有することを特徴とする熱
可塑性ポリエステル組成物によって達成できる。
【0008】本発明において用いられるポリエステルは
芳香族ジカルボン酸あるいはそのアルキルエステル等の
二官能性成分とグリコール成分を原料として重縮合反応
によって製造されるものである。特にこの中でポリエチ
レンテレフタレートを主体とするものが好ましい。この
ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル
は、ホモポリエステルであってもコポリエステルであっ
てもよく、共重合成分の例としてはアジピン酸、セバシ
ン酸、フタル酸、ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−
ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の
ジカルボン酸成分、トリメット酸、ピロメリット酸等の
多価カルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸等の
オキシカルボン酸成分、およびテトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールジエチレングリコール、
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリ
オキシアルキレングリコール、p−キシリレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、5−ナトリ
ウムスルホレゾルジン等のジオール成分が挙げられる。
【0009】本発明のコロイダルシリカ粒子は、そのス
ラリー状態において動的光散乱法による測定粒子径D
として20〜280mμの大きさを有し、電子顕微鏡観
察において10〜40mμの範囲内の一様な太さで伸長
している形状を有している。この動的光散乱法による粒
子径の測定法は、Journal of Chemic
al Physics 第57巻第11号(1972年
12月)第4814頁に説明されており、例えば、市販
の測定装置米国Coulter社製Nにより容易に粒
子径を測定することができる。Dが20mμ未満では
ポリエステル中での分散性が悪く好ましくない。またD
が280mμを越えると、例えばフィルムの平坦性を
悪化させるので好ましくない。そして該粒子のおよその
伸長度として窒素ガス吸着法(以下、BET法とい
う。)によって測定されるこの粒子の比表面積Sm
gの値D=2720/Sの式によって与えられる換算
粒子径Dmμと上記Dmμとの比D/Dの値が
2以上7以下である特徴を有する。ここでD/D
値が好ましくは2以上6未満、特に好ましくは2以上5
未満である方がポリエステル中での粒子の分散性、ポリ
エステルの滑り性、耐削れ性、耐スクラッチ性が良好で
ある。
【0010】本発明におけるコロイダルシリカ粒子の形
状は線状またはそれが屈曲していてもよく、さらには分
岐点を持って伸長を有していてもよい。その形状を二次
凝集体や粒子同士の重なりと区別するのは難しいが、安
定なゾルの場合、適当な分散処理をしてコロジオン膜に
固定し、透過型電子顕微鏡で分散したところを観察する
とほぼ一様な太さで明瞭度が同じである直鎖または分岐
形状を有する粒子が観察できる。これが二次凝集体でな
いという判断は、二次凝集体では太さがほぼ一様なもの
として観察されないからである。粒子同士の重なりでな
いという判断は、明瞭度の異なる部分を基本的に有して
いないからである。さらにこのことは基本的に同一平面
内のみの伸長を有していると考えられ、スラリーの安定
性が良好であることと結び付く。本発明の場合、三次元
的に伸長を有する粒子はスラリー安定性が悪く、ポリエ
ステル中での分散性も良くないので好ましくない。本発
明における直鎖または分岐の形状を有するコロイダルシ
リカは晶質、非晶質のどちらでもよいが、非晶質が好ま
しい。粒子は通常安定なスラリー状態で保存される。
【0011】本発明のコロイダルシリカは例えば次のよ
うにして作られる。まずpHが6以下の活性珪酸のコロ
イド水溶液に、水溶性のカルシウム塩またはマグネシウ
ム塩を含有する水溶液を適量加え混合する。次にアルカ
リ金属水酸化物、水溶性有機塩基またはそれらの水溶性
珪酸塩を適量加えて混合し、これらの混合物を60℃以
上で適当な時間加熱する。この時、活性珪酸の水スラリ
ーにIII価の金属塩を添加することが好ましい。この
ようにして製造されたコロイダルシリカは直鎖または分
岐の形状を有しており、初期のpH、カルシウム塩また
はマグネシウム塩を含有する水溶液の添加量、アルカリ
金属水酸化物、水溶性有機塩基またはそれらの水溶性珪
酸塩の添加量、混合の仕方、加熱温度及び時間によって
その形状をコントロールすることができる。添加される
カルシウム塩またはマグネシウム塩はコロイド水溶液中
のSiOに対して重量比300ppm〜1500pp
mが好ましく、500ppm〜1200ppmがより好
ましい。
【0012】本発明における微細な直鎖または分岐の形
状を有するコロイダルシリカ粒子の添加方法は特に限定
されないが、一般的には安定なゾル状態であるスラリー
を添加するのが好ましい。
【0013】本発明ではポリエステル中での粒子の分散
性を良好にするためにスラリー中のイオウ原子化合物が
コロイダルシリカ粒子を構成するSiOに対してSO
換算で重量比50ppm以上3000ppm以下存在
することが好ましい。さらには100ppm以上が好ま
しい。含有量が3000ppmを越えるとポリエステル
中での粒子の二次凝集が生じたり、イオウ原子含有化合
物に起因する異物が発生するので好ましくない。含有量
が50ppm未満ではポリエステル中での粒子の二次凝
集が生じるので好ましくない。S原子は、例えば硫酸塩
として粒子製造時に添加される。
【0014】スラリーの安定を得るには、スラリー中の
Na量がコロイダルシリカ粒子を構成するSiOに対
してNaO換算で重量比1000ppm以上2000
0ppm以下であると、スラリーの保存時に粒子が凝集
しないので好ましい。特に2000ppm以上1000
0ppm以下であるのが好ましい。Naは、例えばアル
カリ金属水酸化物として粒子製造時に添加される。
【0015】また、本発明で使用される粒子スラリー
は、他の成分を含有していてもよく、微量の陽イオン、
陰イオン等を含有していてもよい。
【0016】本発明では一般に安定なコロイダルシリカ
スラリーを使用するために、ポリエステルへ含有せしめ
るための添加方法、添加時期は従来の方法、時期でもよ
い。添加法において、特に該ポリエステルの合成原料で
あるグリコールのスラリーにして添加する方法は好まし
い。スラリー濃度としてはSiO重量%として0.5
〜40重量%、さらに好ましくは1〜20重量%がポリ
エステル中での粒子分散性が良くなり望ましい。さらに
添加時のスラリー含有水分量好ましくは1重量%以下、
さらに好ましくは0.5重量%以下である方がポリエス
テル中での粒子分散性が向上するので好ましい。添加時
期は任意でよいが、モノマー時、重合時あるいはその前
後に添加しても良い。また、粒子スラリーはポリマ製造
後ベント式成形機で添加、分散させても良い。
【0017】また、本発明のポリエステル組成物中のコ
ロイダルシリカの総含有量は0.001〜20重量%で
あることが、成形品の滑り性、表面平坦性、フィルム特
に磁気テープにする際の磁気変換特性の点で好ましい。
より好ましくは0.005〜10重量%、さらに好まし
くは0.01〜5重量%である。もちろん本発明の粒子
に公知である無機または有機粒子を含有させてもかまわ
ない。
【0018】本発明のポリエステル中の微細で直鎖また
は分岐した形状を有するコロイダルシリカは他の球状コ
ロイダルシリカに比べてポリエステルから脱落しにくい
だけでなく、ポリエステルの表面を均一に補強する効果
を有し、ポリエステル表面の削れ性を低減する役割を有
するものと考えられる。特にこの粒子は微細なため、カ
レンダー処理などの外力を受けても削れにくく、磁気テ
ープのベースフィルムとして好ましい特性を付与するこ
とができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。なお、得られたポリエステル組成物の各特性値測定
は次の方法に従って行った。
【0020】(A)粒子特性 (1)動的光散乱法による測定粒子径(Dmμ) 米国Coulter社製Nを用いて測定した。 (2)窒素ガス吸着法による測定粒子径(Dmμ) 通常のBET法によって測定された比表面積Sm/g
の値からD=2720/Sの式によって与えられる換
算粒子径を測定した。 (3)電子顕微鏡観察に置ける粒子の太さ(Dmμ)
粒子含有ポリエステル組成物を超薄膜作成装置によって
0.3μm前後の超薄切片にしたのち、透過型電子顕微
鏡を用いて一次粒子を観察し、粒子の太さを測定した。
ここで、ポリエステル中での一次粒子とは、スラリーを
メタノールと水の混合溶媒で希釈し、粒子を分散さして
透過型電子顕微鏡を用いて一次粒子を観察し、その粒子
と同様なポリエステル中の粒子のことを言う。 (4)イオウ原子含有化合物量 スラリーをイオンクロマト法で測定した。 (5)Na量およびCa量 スラリーをイオンクロマト法で測定した。
【0021】(B)ポリマ特性 (1)固有粘度 25℃でオルトクロロフェノール中、0.1g/cc濃
度で測定した値である。
【0022】(C)フィルム特性 (1)表面粗さRa(μm) JIS−B−0601に準じサーフコム表面粗さ計を用
い、針径2μm、荷重70mg、測定基準長0.25m
m、カットオフ0.08mm条件下で測定した中心線平
均粗さを採用した。
【0023】(2)滑り性(μ) フィルムを1/2インチにスリツトし、テープ走行性試
験機TBT−300型((株)横浜システム研究所製)
を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行させ、初期
のμkを下記の式より求めた。なお、ガイド径は6mm
φであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2
S)、巻き付け角は180゜、走行速度は3.3cm/
秒である。 μ=0.733log(T/T) T:出側張力 T:入側張力 上記μが0.40以下であるものは滑り性良好であ
る。ここで、μが0.40より大きくなると、フィル
ム加工時または製品としたときの滑り性が極端に悪くな
る。
【0024】(3)耐削れ性 フィルムの耐削れ性は、以下のガイドロール汚れとカレ
ンダー汚れの両者の特性から判断し、両者ともに良好な
場合を合格とした。
【0025】(1)ガイドロール汚れ(耐削れ性
(1)) フィルムを1/2インチにスリットし、テープ走行性試
験機TBT−300型((株)横浜システム研究所製)
を使用し、25℃、60%RH雰囲気で1000回繰り
返し走行させた後、ガイドロール表面に発生する白粉量
を目視にて判定する。ここで、ガイド径は6mmφであ
り、ガイド材質はSUS27(表面温度0.2S)、巻
き付け角は180゜、走行速度は6.0cm/秒であ
る。次のようにランク付けし、A級及びB級を合格とし
た。 A級:白粉の発生が非常に少なく、目的を達成する。 B級:白粉の発生が少なく、目的を達成する。 C級:白粉の発生がやや多く、目的を達成しない。 D級:白粉の発生が非常に多く、目的を達成しない。
【0026】(2)カレンダー汚れ(耐削れ性(2)) 磁性層を塗布したテープを小型テストカレンダー装置
(スチロール、ナイロンロール、5段式、ナイロンロー
ルがベースフィルム面に接する)で、温度:70℃、練
圧:200kg/cmでカレンダー処理する。上記処理
を延べ10000mにわたって続けた後、この処理によ
って発生したナイロンロールに付着した白粉を観察し、
次のランクづけを行なう。そして、A級及びB級を合格
とした。 A級:白粉がほとんど付着していない。 B級:わずかに白粉が付着するが、加工工程上、製品性
能上のトラブルに至らない。 C級:白粉の付着が多く、加工工程上、製品性能上のト
ラブルになり使用不可となった。
【0027】(4)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面
粗さ:Raで0.1μm)上を走行させる。(走行速度
1,000m/分、走行回数15パス、巻き付け角60
゜、走行張力65g)この時、フィルムに入った傷を顕
微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あたり
2本未満はA級、2本以上3本未満はB級、3本以上1
0本未満はC級、10本以上はD級とした。そしてA級
およびB級を合格とした。
【0028】実施例1 まず、発明の詳細な説明の項に記載した方法に準じて
的光散乱法による測定粒子D1 が98mμ、BET法に
よる測定粒子D2 が21mμ、透過型電子顕微鏡観察に
よる粒子の太さが22mμの非晶質コロイダルシリカ粒
子10重量部、エチレングリコール90重量部、SiO
2 に対してSO3 換算で1800ppmのイオウ原子化
合物、SiO2 に対してNa2 O換算で6200ppm
のNa、SiO2 に対してCaO換算で950ppmの
Caからなる100重量部のスラリーを調製した。
【0029】次にジメチルテレフタレート100重量部
とエチレングリコール62重量部、および0.06重量
部の酢酸マグネシウムを加えてエステル交換反応を行
い、さきに調製したスラリー20重量部と0.03重量
部の酸化アンチモンを加え重縮合反応を行い[η]0.
612のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。こ
こで得られたポリエチレンテレフタレート組成物を無粒
子ポリマで希釈して290℃で溶融押しだしし、未延伸
フィルムを得た。さらにこれを90℃で縦及び横方向へ
それぞれ3.3倍延伸して220℃で10秒間加熱処理
し、厚さ15μmのフィルムを得た。フィルムは、Ra
0.008μm、μ0.29であり、耐削れ性
(1)、(2)は共にA級、耐スクラッチ性はA級とな
った。
【0030】実施例2〜8 コロイダルシリカ粒子の動的光散乱法による測定粒子径
、D/D、粒子の太さ、スラリー濃度、ポリエ
ステルに対する添加量、イオウ原子化合物含有量、Na
含有量、Ca含有量を変更して、実施例1と同様な方法
でポリエステル組成物、ならびに二軸延伸フィルムを得
た。
【0031】各粒子径D、D/D、粒子太さ、イ
オウ原子化合物含有量、Na含有量、Ca含有量、スラ
リー濃度、添加量、得られたポリエステルの[η]、フ
ィルムの表面粗さRa、μ、耐摩耗性、耐スクラッチ
性を表1に示した。この表からわかるように、得られた
二軸延伸フィルムは磁気テープ用途として十分に満足で
きる易滑性、耐摩耗性、耐スクラッチ性を有していた。
特に実施例1,3,5はD/Dが5未満で、スラリ
ー中のイオウ原子化合物含有量がSiOに対してSO
換算で重量比50〜3000ppmの範囲にあり、か
つスラリー中のNa含有量がSiOに対してNa
換算で重量比1000〜20000ppmの範囲にある
ので、易滑性、耐摩耗性が良好であった。
【0032】比較例1〜5 粒子の形状、D/D、D、太さを変えて実施例1
と同様な方法でポリエステル組成物ならびに二軸延伸フ
ィルムを得た。各粒子径D、D/D、粒子太さ、
イオウ原子化合物含有量、Na含有量、Ca含有量、ス
ラリー濃度、添加量、得られたポリエステルの[η]、
フィルムの表面粗さRa、μ、耐摩耗性、耐スクラッ
チ性を表2に示した。この表からわかるように滑り性、
耐摩耗性、耐スクラッチ性のすべてを満足するものは得
られなかった。比較例1では、球状の非晶質コロイダル
シリカ粒子であるために突起がシャープになり、耐削れ
性(1)および(2)、耐スクラッチ性が悪化したもの
と考えられる。比較例2はD/Dが本発明の請求の
範囲外であるために好ましい結果を得られなかった。比
較例3は、Dが280mμを越えているので好ましい
結果を得られなかった。比較例4は粒子の太さが小さい
ために分散性が悪化したものと考えられる。そして比較
例5ではDが280mμを越えているだけでなく、D
/Dが10より大きいために凝集の傾向が強く、耐
摩耗性、耐スクラッチ性が特に悪化した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリエステル組成物
は、微細で直鎖または分岐した形状を有するコロイダル
シリカ粒子を含有してなり、成形品表面に形成される突
起の高さが低く幅が大きいので他の接触物から受ける衝
撃が小さいだけてなく、粒子の形状効果により粒子が脱
落しにくく、さらに表層を広い面積にわたって補強する
効果を有している。そのため繊維、フィルム、あるいは
その他の成形品にした場合、滑り性、耐削れ性、耐スク
ラッチ性に有効に効果を発揮するが、特に繰り返し摩擦
使用される磁気テープに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−47429(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステルとコロイダルシリ
    カ粒子とからなる組成物であって、コロイダルシリカ粒
    子は、動的光散乱法による測定粒子径(Dmμ)と窒
    素ガス吸着法による測定粒子径(Dmμ)の比D
    が2以上7以下であって、Dは20〜280mμ
    であり、電子顕微鏡観察において10〜40mμの範囲
    の太さを持ち、直鎖または分岐の形状を有することを特
    徴とする熱可塑性ポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 動的光散乱法による測定粒子径(D
    μ)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(Dmμ)の
    比D/Dが2以上7以下であって、Dは20〜2
    80mμであり、電子顕微鏡観察において10〜40m
    μの範囲の太さを持ち、直鎖または分岐の形状を有する
    コロイダルシリカ粒子(a)、該コロイダルシリカ粒子
    を構成するSiOに対してSO換算で重量比50〜
    3000ppmのイオウ原子含有化合物(b)、および
    該コロイダルシリカ粒子を構成するSiOに対してN
    O換算で重量比1000〜20000ppmのNa
    原子(c)を含有してなるスラリーをポリエステルの任
    意の製造段階に添加して得られる熱可塑性ポリエステル
    組成物。
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