JP3101919B2 - 電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレー - Google Patents
電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレーInfo
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Description
ィジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距
離リレーで、詳しくは、電力系統の系統周波数(基本
波)成分など任意の入力基準周波数成分に含まれている
高調波成分のうちの特定の高調波成分を検出して電力系
統に規定値以上の高調波成分を含んだ過電流などが流れ
ないように用いられる電力系統におけるディジタル保護
リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレーに関
する。
タとして、従来、任意の入力基準周波数成分に含まれ
ている任意の倍数の高調波成分を検出するFIR形ディ
ジタルフィルタの前段にサンプリング定理による折り返
し誤差を防ぐためにアナログフィルタ(ローパスフィル
タ)を設置して該アナログフィルタとディジタルフィル
タの総合特性として実現する設計手法と、フーリエ級
数を利用したFIRバンドパスフィルタにより設計する
手法と、が知られている。以下、これら従来の設計手法
およびについて詳しく説明する。
ィジタルフィルタのサンプリング周波数を500Hzと
し、また、前段のアナログフィルタの例として、360
Hzで(1/5)に減衰するものとすると、そのアナロ
グフィルタの特性は、次の数式(2)で表され、振幅ゲ
インG、周波数fの関係で示すと、図7の通りとなる。
の高調波成分を検出するものとしては差分形、加算形お
よび積分形が考えられる。これら各形フィルタの伝達関
数および特性は周知であるため、図示は省略するが、こ
れら各形フィルタ単体で系統周波数成分、直流成分およ
び上記特定の高調波成分以外の高調波成分(以下、非特
定高調波成分と称する)を除去しつつ、特定の高調波成
分のみを検出することが可能なものは存在しない。その
ために、従来のの設計手法では、上記差分形、加算形
および積分形の基本形FIRを組合せることにより、必
要とする特性を実現しようとするものであった。
グ周波数 (fs),FIR次数{n(偶数)}を目的に合わ
せて決定する。 手順2.下記数式(3)にてバンドパスフィルタの伝達
関数の係数列Hb(k)を計算する。
ィルタのリップルを低減させるために最も一般的に使用
されるハミング窓の関数式を用いて係数列W(k)を計算
する。
ルタの伝達関数H(z) を下記の数式(5)により計算す
る。
ディジタル保護リレーにおいては、第1にそれの応答速
度を早めるために系統周波数成分など任意の入力基準周
波数成分に含まれている特定の高調波成分のみを1サイ
クル程度の高速(短時間)に検出できること、第2にデ
ィジタルフィルタの前段に設置されるアナログフィルタ
との総合特性として入力基準周波数成分、直流成分およ
び非特定高調波成分を完全に除去できること、第3に定
格を中心として常に変動している基準周波数成分の影響
を最小限とするために特定高調波成分における振幅ー周
波数特性の傾きを平坦にできること、が特性目標とな
る。
して上記した従来の設計手法及びによるフィルタそ
れぞれについて検討してみると、設計手法によるフイ
ルタでは、検出時間を1サイクル以内として第1の特性
目標を達成することが可能であるが、非特定高調波成分
を完全に除去することができないため、第2の特性目標
を達成することができず、また、アナログフィルタと組
合せたときの総合特性の傾きが大きく、第3の特性目標
も達成することができないという問題がある。
のディジタルフィルタ特性からみて、第2の特性目標を
達成するためには次数を非常に大きくする必要であり、
第1の特性目標を大幅に超過し達成することができな
い。また、第3の特性目標はディジタルフィルタ単体で
は満足できるが、アナログフィルタを含めた総合特性と
してはアナログフィルタの傾きをディジタルフィルタで
補正することができず、その結果、第3の特性目標は達
成することができない。
で、上述した第1ないし第3の特性目標の全てを満足し
つつ、特定の高調波成分を高精度に検出することができ
る電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタを
提供することを主たる目的としている。
護リレー用フィルタを有効に活用することにより電力系
統のどこかに短絡等の故障が発生したとき、その故障点
を確実かつ迅速に検出して出力を停止することができる
電力系統における距離リレーを提供することにある。
るために、請求項1に記載の発明に係る電力系統におけ
るディジタル保護リレー用フィルタは、アナログフィル
タとその後段に配設されて任意の入力基準周波数成分に
含まれている任意の倍数の高調波成分を検出するディジ
タルフィルタとを組合せてなる電力系統におけるディジ
タル保護リレー用フィルタであって、上記ディジタルフ
ィルタの基本伝達関数H6(z)を下記の数式(6)で表わ
せるように設定したことを特徴とするものである。
の発明によれば、数式(6)で示すような基本伝達関数
H6(z)を持つディジタルフィルタにおいてはフィルタ次
数の増加を最小限にして第1の特性目標を達成すること
が可能であるとともに、入力基準周波数成分(m=
1)、直流成分(m=0)および非特定高調波成分を完
全に除去し第2の特性目標も達成することが可能であ
り、さらに、特性因子pの値を変化させることにより、
検出周波数におけるアナログフィルタの特性の傾きを打
ち消して特定高調波成分における振幅−周波数特性を平
坦にし第3の特性目標を達成することが可能となるとい
ったように、この種の電力系統におけるディジタル保護
リレー用フィルタとして要望される第1ないし第3の特
性目標の全てを十分に満足しつつ、特定高調波成分を高
精度に検出することができる。
タルフィルタの基本伝達関数H6(z)の算出についての設
計手法を説明する。直流成分、入力基準周波数成分(系
統周波数成分)および高調波成分の全てを除去するフィ
ルタをH1(z)とすると、これは下記の差分FIRで与え
られる。 H1(z)=Zh −1 (h=サンプリング周波数/入力基準周波数) H1(z)=0とする zをω(k) とすると、 ω(k)=cos (2π・k/h)+i・sin (2π・k/h) (k=0,±1,±2,…, ±(H-1),H H=h/2) となり、k=±1,±2,…, ±(H-1) の成分は共役複素数と
なるため、ω(k) の共役複素数を−ω(k) とすると、H
1(z)=0とするz は、 z=ω(0),ω(k),−ω(k),ω(H) (k=1,2,…, H-1) となる。また、 zは基本定義より、 z=cos (2π・f/fs)+i ・sin (2π・f/fs) (f: 入力基準周波数、 fs:サンプリング周波数) で与えられる。
ると、mとω(k) の関係は下記の表1のようにすること
ができる。
フィルタをH2(z)とすると、上記H1(z)からω(ms), −
ω(ms)の成分を取り除くことによって、H2(z)を作成す
ることが可能である。すなわち、 H2(z)=H1(z)/[{(z−ω(ms)} ・{(z −−ω(ms)}] ここで、H2(z)の検出周波数(m=ms)における振幅
をAとすると、 A=h/{2・sin (2π・ms/h)} となる。
は、z について+(プラス)の次数を 持ち、これはリア
ルタイム系では未来のサンプリングデータを用いて計算
することになり、このままではリアルタイム系で計算す
ることができない。この場合、zの次数が−(マイナ
ス)となるような z -n を掛けることによって、周波数特
性を変化させることなく計算可能な式とすることが可能
であり、H2(z)においては、 z 1-h を掛けることによ
り、 zの次数が−となり、リアルタイム系で計算可能と
なる。また、ディジタルフィルタでは、検出周波数での
振幅ゲインが1になることが望ましい。したがって、特
定高調波成分のみを検出する基本伝達関数H3(z)は、次
式(7)となる。これを展開して整理すると、次式
(8)のようになる。
波数におけるアナログフィルタの特性の傾きを打ち消す
ことが可能なフィルタHp(z)を付加したフィルタをH6
(z)とすると、そのフィルタH6(Z)は、下記数式(9)
で表されるようになる。
ルタの特性の傾きを打ち消すことが可能なフィルタHp
(z)としては、 (目標1):H6(Z)の次数の増加を最小限とするため
に、Hp(z)の次数を1次とする。 (目標2):特性因子p を変化させることにより、図1
のf1〜f3のように、検出周波数(m=ms)の振幅ゲイ
ンが常に1であり、検出周波数の傾きのみを変化できる
ようにする。
近いものが得られる。すなわち、下記の数式(10)と
なり、このHp(z)の特性因子p による特性変化は図2に
示すとおりである。
6(z)=H3(z)・Hp(z)に上記(10)式のHp(z)を代入
し展開して整理することにより、上記の数式(6)で示
すように、m=msの特定高調波成分を検出するディジ
タルフィルタの基本伝達関数H6(z)が成立する。図3は
このような基本伝達関数H6(z)に設定されたディジタル
フィルタの構成を示すブロック図である。
る設計手法について詳しく説明する。設計条件は、従来
の設計手法で述べたものと同様に、入力基準周波数
(系統定格周波数)50Hz、サンプリング周波数50
0Hzにおける3倍高調波成分検出用フィルタとし、ま
た、前段のアナログフィルタの例として、360Hzで
(1/5)に減衰するもので、図7に示すような特性を
有するものを使用する。
基本形FIRの伝達関数は上記数式(6)に示すとおり
であり、また、hは上記設計条件からh=10、ms=
3であるから、このディシダルフィルタの基本伝達関数
H6(z)は次の数式(11)となる。
るために、第1の特性目標を達成するとともに、第2の
特性目標も達成することが可能である。また、検出周波
数(ms=3)におけるアナログフィルタの特性の傾き
を打ち消すような値の特性因子 p(-π/2≦p ≦π/2) を
上記H6(z)に付加することによって、第3の特性目標を
達成することができる。以下、この特性因子 pについて
説明する。
は、|H(z) |で与えられるので、これを入力周波数f
で微分して振幅の傾きの特性を得ることができ、fに対
する傾きをD(f) とすると、次の数式(12)となる。
したがって、検出周波数(m=3)における傾きhdは上
記の式(12)にf=50Hzとおいて計算することができ
る。
おける振幅をam、傾きをadとすると、ad/am=-hd とすれ
ばアナログフィルタの特性の傾きをディジタルフィルタ
で打ち消すことができるのであり、このときの pの値を
poとし、図7におけるアナログフィルタで計算すると、
このpo=-0.343 となる。
上記H6(z)にアナログフィルタの特性の傾きを打ち消す
p(−0.343)を付加した下記の数式(13)とすることに
より、第1〜第3の特性目標の全てを達成することがで
き、このように設計したディジタルフィルタの特性は図
4に示すようになり、また、既述のような特性のアナロ
グフィルタと組合せたときの総合特性は図5に示すとお
りとなる。
達関数を持つディジタルフィルタ8及び検出周波数がm
=msの場合で数式(6)で示す基本伝達関数H6(z)を
持つディジタルフィルタ14を活用してなる電力系統に
おける距離リレーの概略構成ブロックであり、電力系統
1に介在させた遮断器2の一次側の系統電圧を計器用変
圧器3を介して取り出すとともに、遮断器2の二次側の
系統電流を計器用変流器4を介して取り出し、その取り
出した系統電圧および系統電流をアナログフィルタ5,
6およびA/D変換器7を経て上述したm=1の場合の
基本伝達関数を持つディジタルフィルタ8に入力させて
系統電圧および系統電流の基本波を検出するとともに、
その基本波から電力系統1の線路の短絡または地絡の故
障点までのインピーダンスをインピーダンス回路9で検
出し、その検出したインピーダンスが設定の動作範囲内
にあるか否かを比較回路10で比較し、設定動作範囲内
になったとき、上記遮断器2に遮断信号を出力するよう
に構成している。
器4により取り出された系統電圧及び系統電流には高調
波発生回路11で発生される特定の高調波成分を加算器
12,13を介して常時重畳させ、その重畳された特定
の高調波成分を上記ディジタルフィルタ8と並列に配置
され上述した基本伝達関数H6(z)を持つディジタルフィ
ルタ14に入力させて上記特定の高調波成分を検出する
とともに、その検出した高調波成分の電圧および電流の
振幅を振幅検出器15により検出し、かつ、その検出し
た高調波成分の振幅と上記高調波発生回路11で発生さ
れ系統電圧及び系統電流に重畳される特定の高調波成分
とが一致しているか否かを比較回路16で比較すること
により異常の有無をチェックする。そして、そのチェッ
ク結果が異常有りの場合は、AND回路17を介して上
記の遮断信号をロックするとともに、反転回路18を経
て装置故障警報を出力するように構成している。
9を電力系統に介在させることによって、電力系統のど
こかに短絡などの故障が発生したとき、その故障の発生
事実および故障点を適正かつ迅速に検出して出力を停止
し、電力系統に付随する各種装置や設備の保全を図るこ
とができるとともに、電力供給の安全性を一層高めるこ
とができる。
よれば、電力系統の基準周波数成分に含まれている特定
の高調波成分のみを1サイクル程度の高速(短時間)に
検出できるとともに、前段にサンプリング定理による折
り返し誤差を防ぐために設置されるアナログフィルタと
の総合特性として基準周波数成分、直流成分および非特
定高調波成分を完全に除去することができ、しかも、検
出周波数におけるアナログフィルタの特性の傾きを打ち
消して振幅−周波数特性を平坦にして特定の高調波成分
を高精度に検出することができるという効果を奏する。
記のようなディジタル保護リレー用フィルタを有効に活
用して電力系統のどこかに短絡などの故障が発生した場
合、それを確実かつ迅速に検出して出力を停止すること
ができ、変圧器など電力系統に付随する各種装置や設備
の保全を図ることができるとともに、電力供給の安全性
を高めることができる。
リレー用フィルタの設計手法の説明のうち、特性因子p
を変化させたときの振幅ゲインと周波数との関係を示す
説明図である。
特性変化図である。
の構成を示すブロック図である。
組合せによる特性図である。
略構成ブロックである。
Claims (2)
- 【請求項1】 アナログフィルタとその後段に配設され
て任意の入力基準周波数成分に含まれている任意の倍数
の高調波成分を検出するディジタルフィルタとを組合せ
てなる電力系統におけるディジタル保護リレー用フィル
タであって、上記ディジタルフィルタの基本伝達関数H
6(z)を下記の数式(1)で表わせるように設定したこと
を特徴とする電力系統におけるディジタル保護リレー用
フィルタ。 記 【数1】 - 【請求項2】 電力系統の電圧及び電流から該電力系統
の短絡または地絡の故障点までのインピーダンスを検出
し、その検出インピーダンスが設定の動作範囲内になっ
たとき、系統を遮断する遮断信号を出力するように構成
するとともに、上記電力系統周波数成分に重畳される特
定の高調波成分を上記請求項1に記載のディジタル保護
リレー用フィルタを使用して検出し、その検出高調波成
分と重畳される特定の高調波成分が一致しているか否か
で異常の有無をチェックする手段を備え、そのチェック
結果が異常有りの場合、上記の遮断信号をロックすると
ともに故障警報を出力するように構成していることを特
徴とする電力系統における距離リレー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09353668A JP3101919B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09353668A JP3101919B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレー |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11187568A JPH11187568A (ja) | 1999-07-09 |
JP3101919B2 true JP3101919B2 (ja) | 2000-10-23 |
Family
ID=18432414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09353668A Expired - Lifetime JP3101919B2 (ja) | 1997-12-22 | 1997-12-22 | 電力系統におけるディジタル保護リレー用フィルタ及び電力系統における距離リレー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3101919B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6515733B2 (ja) * | 2015-02-24 | 2019-05-22 | 日新電機株式会社 | ディジタル形保護リレー |
JP2022056091A (ja) | 2020-09-29 | 2022-04-08 | コベルコ建機株式会社 | 情報取得システム |
-
1997
- 1997-12-22 JP JP09353668A patent/JP3101919B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11187568A (ja) | 1999-07-09 |
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