JP3101271B1 - 厚板金属板を用いた積層金型の製造方法 - Google Patents

厚板金属板を用いた積層金型の製造方法

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JP3101271B1 JP2000116231A JP2000116231A JP3101271B1 JP 3101271 B1 JP3101271 B1 JP 3101271B1 JP 2000116231 A JP2000116231 A JP 2000116231A JP 2000116231 A JP2000116231 A JP 2000116231A JP 3101271 B1 JP3101271 B1 JP 3101271B1
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Abstract

【要約】 【課題】 高精度のキャビティ面を有する金型を比較的
短時間で得ることが可能であって、金属板同士の接合強
度に優れ板金プレス金型として好適な厚板金属板を用い
た積層金型の製造方法を提供すること。 【解決手段】 所望の金型の3次元CADデータから等
高線データを読み出してそのプロファイルデータに基づ
いて金属板を所要形状に切断し、該切断された金属板を
1枚ずつ所定位置に搬送して順次積層し、該積層された
金属板を接合する工程を繰り返し行うことにより雄型を
製作するとともに、前記切断された金属板の抜きかす部
分を所定位置に搬送して順次積層し、該積層された金属
板を接合する工程を繰り返し行うことにより雌型を製作
し、しかる後に積層により得られた雄型及び雌型の積層
段差部分にすみ肉溶接を行い、次いでこのすみ肉溶接が
施された積層段差部分を切削・研磨して段差を解消す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層金型の製造方法
に関し、より詳しくは複数枚の金属板の積層体からなる
金型を高精度に且つ比較的短時間で製造することが可能
であって、特に板金プレス金型として好適に使用できる
厚板金属板を用いた積層金型の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】金型を使用して所望形状の製品を得る成
形方法は、比較的複雑な形状の製品を大量生産するのに
適した経済的な製造方法として知られており、古くから
様々な製品の成形方法として好適に使用されている。し
かしながら、このような成形方法における最大のネック
は金型の製作に時間がかかることであり、そのために製
品開発の期間がある程度長くなることは避けられなかっ
た。しかも、金型製作の際には素材と金型の形状の差の
部分は全て切削等により除去されるために素材のロスが
非常に多く、その結果として金型製作費用が高額となっ
て、少量生産の場合には製品コストが高くなってしまう
という問題があった。
【0003】このような実情に鑑みて、近年、3次元C
ADデータに基づいて金属板を所要形状に切断して順次
積層することによって積層金型を製造する技術が開発さ
れている。この技術によれば、金型製作の時間を大幅に
短縮することが可能となり、しかも素材のロスも低く抑
えることができ、この点において従来の金型製作方法よ
りも優れたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属板
の積層によって得られた金型は、図10に示す如くその
プロファイル(輪郭)に段差が発生し、そのために雄型
(A)と雌型(B)の段差が素材(C)を挟み込んで素
材の流動を阻止してしまうという避けられない問題があ
った。これは積層金型の致命的な欠陥であり、金型内部
で素材を流動させて製品形状を形作るという塑性加工の
本質に反し、積層金型を外板部品に適用できない大きな
理由であった。そこで、従来は積層される金属板の厚み
を例えば0.5mm程度に薄くすることによって発生す
る段差をできるだけ小さくする方法をとっているが、こ
の場合には金属板の枚数が非常に多くなるため、金属板
切断に要する時間が膨大になってしまうという不都合が
生じていた。
【0005】一方、特開平9−150228号には、3
次元CADデータに基づいて金属板を所要形状に切断し
て順次積層することによって積層金型を製造する方法に
おいて、積層によって生じた段差を切削加工等によって
除去する技術が開示されている。しかしながら、切削加
工等によって段差を完全に除去するのには大変時間がか
かり、特に発生する段差が大きい場合には段差除去に要
する時間はより一層長いものとなる。そのため、この方
法によっても積層される金属板の厚みは薄いものとせざ
るを得ず、結局は金属板の枚数が多くなって金属板切断
に要する時間が膨大になってしまうという不都合を完全
に解消することはできなかった。また、この特開平9−
150228号の開示技術を含め、従来の積層金型の製
造方法では、金属板同士の接合方法としてスポット溶接
やシーム溶接が用いられるのが一般的であったが、この
ような接合方法では板金プレス成形において金型内で板
金が流動するとき、特に積層段差を掛け上るときに、接
合強度の不足によって金属板の接合が離れて積層金型の
破損が生じることがあった。
【0006】本発明は上記した従来技術の課題を解決す
べくなされたものであって、積層によってプロファイル
面に生じる段差を容易に且つ短時間で解消することがで
きて、高精度のキャビティ面を有する金型を比較的短時
間で得ることが可能であり、しかも金属板同士の接合強
度に優れ板金プレス金型として好適に使用できる厚板金
属板を用いた積層金型の製造方法を提供せんとするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
所望の金型の3次元CADデータから等高線データを読
み出してそのプロファイルデータに基づいて金属板を所
要形状に切断し、該切断された金属板を1枚ずつ所定位
置に搬送して順次積層し、該積層された金属板を接合す
る工程を繰り返し行うことにより雄型を製作するととも
に、前記切断された金属板の抜きかす部分を所定位置に
搬送して順次積層し、該積層された金属板を接合する工
程を繰り返し行うことにより雌型を製作し、しかる後に
積層により得られた雄型及び雌型の積層段差部分にすみ
肉溶接を行い、次いでこのすみ肉溶接が施された積層段
差部分を切削・研磨して段差を解消することを特徴とす
る厚板金属板を用いた積層金型の製造方法に関する。請
求項2に係る発明は、所望の金型の3次元CADデータ
から等高線データを読み出してそのプロファイルデータ
に基づいて金属板を所要形状に切断し、該切断された金
属板を1枚ずつ所定位置に搬送して順次積層し、該積層
された金属板を接合した後、積層段差部分にすみ肉溶接
を行う工程を繰り返し行うことにより雄型を製作すると
ともに、前記切断された金属板の抜きかす部分を所定位
置に搬送して順次積層し、該積層された金属板を接合し
た後、積層段差部分にすみ肉溶接を行う工程を繰り返し
行うことにより雌型を製作し、しかる後に雄型及び雌型
のすみ肉溶接が施された積層段差部分を切削・研磨して
段差を解消することを特徴とする厚板金属板を用いた積
層金型の製造方法に関する。請求項3に係る発明は、前
記金属板の積層による金型造形工程において、前記プロ
ファイルデータに基づいた金属板表面への肉盛り溶接に
よる造形を積層による造形と併用して行うことを特徴と
する請求項1又は2記載の厚板金属板を用いた積層金型
の製造方法に関する。請求項4に係る発明は、前記金属
板の厚さが1〜5mmの範囲であることを特徴とする請
求項1乃至3いずれかに記載の厚板金属板を用いた積層
金型の製造方法に関する。
【0008】請求項5に係る発明は、所望の金型が板金
プレス金型であって、プレス成形の際に金型内において
板金流動が生じない部分については、積層段差部分への
すみ肉溶接工程を省くことを特徴とする請求項1乃至4
いずれかに記載の厚板金属板を用いた積層金型の製造方
法に関する。請求項6に係る発明は、積層された金属板
表面の平坦度が所定の基準以下となったときにこれを検
知し、所定の基準を満たすために金属板表面の平面切削
を行うことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載
の厚板金属板を用いた積層金型の製造方法に関する。請
求項7に係る発明は、プロファイルデータに基づいて金
属板を所要形状に切断した後、該切断部に対して金属板
の裏面から回転カッターを当接させ、これによって切断
部のバリを切削除去するとともに面取り部を形成するこ
とを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の厚板金
属板を用いた積層金型の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る厚板金属板を
用いた積層金型の製造方法の好適な実施形態について図
面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る積層金型
の製造方法に使用される立体物造形装置の一例を示す模
式図であり、図2は本発明に係る積層金型の製造方法の
基本の流れを示すフローチャートである。立体物造形装
置(1)は、コンピュータ(2)、金属板(3)の収容
部(4)、搬送装置(5)、切断装置(6)、第一の接
合装置(7)、第二の接合装置(8)、切断・研磨手段
(9)とを主要構成として備えているものである。コン
ピュータ(2)にはCADにより作成された所望の立体
物(金型)のソリッドデータが3次元図形情報として入
力されており、演算処理により図形情報から金型を水平
にスライスした場合の等高線データが読みだされる仕組
みとなっている。また、このコンピュータ(2)のメモ
リには、金型を構成するための金属板の種類や厚みを適
宜入力して記憶させることが可能とされている。
【0010】収容部(4)は図示する実施例では3箇所
に配設されており、この収容部(4)にはそれぞれ板厚
や種類の異なる金属板(3)が収容されている。金属板
(3)の種類は通常金型の材料として使用されるもので
あれば特に限定されず、また単一素材からなるものの他
に、異種金属の組み合わせからなる複合板を使用するこ
とも可能である。板厚の異なる金属板(3)を使用可能
とすることにより、製造しようとする金型が高さ方向に
おいて垂直な直線プロファイルと複雑な曲線プロファイ
ルを有する場合、複雑な曲線プロファイルの部分は薄い
金属板を積層させて造形し、直線プロファイルの部分は
1枚の厚い金属板を用いて造形するという効率的な製造
方法を採ることができる。尚、本発明において使用され
る金属板(3)としては、従来の積層金型に使用される
ものよりも板厚が大きいものが使用され、具体的には1
〜5mm、好ましくは3mm程度のものが使用される。
【0011】収容部(4)は搬送装置(5)と連結され
ており、搬送装置(5)は搬送装置制御部(51)から
送り出される制御信号によって駆動され、この搬送装置
制御部(51)はコンピュータ(2)と接続されてい
る。そして、コンピュータ(2)を操作すると、予め入
力されている金型のCADデータから、その断面におけ
る等高線データが演算処理を経て読み出されるととも
に、搬送装置制御部(51)に対して所定の信号が出力
されるようになっている。搬送装置制御部(51)はコ
ンピュータ(2)からの信号に基づいて選択された特定
の搬送装置(5)を駆動させ、これにより駆動された搬
送装置(5)と連結されている収容部(4)内の1枚の
金属板(3)が第一の金属板として搬送される。
【0012】搬送されてきた第一の金属板(3)は、次
いで切断装置(6)によって所定形状に切断されるとと
もに、後述する雌型の積層工程の際の位置決め精度を確
保するために位置決め用の穴が穿設される。この位置決
め用の穴は例えば金属板(3)の四隅の近傍位置にそれ
ぞれ穿設される。切断装置(6)はコンピュータ(2)
と連結されており、コンピュータ(2)によって読み出
される等高線データに従って3軸制御によりX,Y,Z
軸方向に移動しながら金属板(3)を所定形状に切断す
る。このとき、外周は完全に切断せずに2,3箇所の部
分で1mm程度残しておく。切断装置(6)としては、
金属板(3)を切断することが可能であれば特に限定さ
れず、例えば超音波カッターや高速回転エンドミル等を
使用することもできるが、炭酸ガスレーザーやYAGレ
ーザー等のレーザー切断装置が好適に使用される。尚、
図示例における切断装置(6)は1つのレーザーヘッド
から構成されているが、複数のレーザーヘッドを使用す
ることもできる。また、金属板(3)の切断を行う場所
についても限定されず、複数の場所で複数の金属板を複
数の切断装置で切断する構成とすることも可能である。
【0013】切断装置(6)により切断された第一の金
属板(3)は、次いで雄型架台(10)上に搬送され
て、先ず予め雄型架台(10)上に載置された台座部
(13)と第一の接合装置(7)によりスポット溶接さ
れた後、コンピュータ(2)の指示に基づいて切断装置
(6)により金属板(3)の再切断(切り残し部分の切
断)が行われる。そして、切断された金属板(3)の抜
きかす部分は雌型架台(11)上に搬送され、前記工程
において穿設された位置決め用穴に雌型架台(11)上
に立設された位置決め棒(12)を挿通させることによ
り位置決めされながら下ろされ、予め雌型架台(11)
上に載置された台座(14)に第一の接合装置(7)に
よりスポット溶接される。尚、これら雄型架台(10)
及び雌型架台(11)上におけるスポット溶接は、1台
の接合装置(7)を移動させて順次行ってもよいし、図
示の如く2台の接合装置(7)を使用して並行作業で行
ってもよい。
【0014】第一の金属板(3)の再切断処理が終了す
ると、コンピュータ(2)の指示に従ってさらに第二の
金属板(3)が選択されて収容部(4)から搬送装置
(5)により搬送され、前記と同様にコンピュータ
(2)の等高線データに基づいて切断装置(6)が駆動
されることにより、第二の金属板(3)の所要部分が外
周を2,3箇所1mm程度残して切断される。
【0015】次いで、第二の金属板(3)が搬送装置
(5)により搬送されて雄型架台(10)上の第一の金
属板(3)の上に積層される。すると、第一の接合装置
(7)がコンピュータ(2)の指示に基づいて駆動さ
れ、第一の金属板と第二の金属板とを接合させる。この
接合はスポット溶接により金属板の複数箇所にて行われ
る。
【0016】接合処理の終了後、前記第一の金属板の場
合と同様に、コンピュータ(2)の指示に基づいて切断
装置(6)により第二の金属板の再切断(切り残し部分
の切断)が行われ、切断後の抜きかす部分は雌型架台
(11)に搬送されて第一の接合装置(7)によりスポ
ット溶接が行われる。
【0017】以上のような搬送、切断、接合、再切断の
処理を繰り返し行って、複数枚の金属板(3)を積層す
ることにより目的とする形状の金型(雄型及び雌型)が
造形されるが、この段階で得られた金型のプロファイル
には図10に示したような積層段差が存在している。そ
こで、本発明では積層により得られた金型を更に所定位
置に搬送して、第二の接合装置(8)により積層段差部
分に図3に示すようなすみ肉溶接を行う。このすみ肉溶
接は、後工程で行われる切削・研磨しろが最小となるよ
うに行われる。尚、図3にて斜線が施された部分が溶接
によってすみ肉された溶着金属である。第二の接合装置
(8)としては複数のMIG溶接ロボット・ヘッドを持
つ装置が好適に使用され、前工程を経て搬送されてきた
雄型と雌型に対して順番に、もしくは2台の接合装置
(8)を並列配置して雄型と雌型に対して同時にすみ肉
溶接を行う。また、別の方法として、雄型架台(10)
上及び雌型架台(11)上で前工程が終了する度に逐次
第二の接合装置(8)によるMIG溶接工程(すみ肉溶
接工程)をその都度行ってもよい。尚、図5はこの方法
による積層金型の製造方法の基本の流れを示すフローチ
ャートである。
【0018】次いで、第二の接合装置(8)によりすみ
肉溶接が行われた後の積層段差に対して切削・研磨手段
(9)により切削・研磨処理が施される。この切削・研
磨処理に際しては、粗仕上げは機械切削により、最終仕
上げは手作業研磨によりそれぞれ行うと、加工時間を短
縮できて優れた加工精度が得られるため好ましい。図4
は研磨処理後の積層段差部分を示す図であり、図示の如
く段差部分にすみ肉溶接を行った後に切削・研磨処理を
行うことにより、従来に比べて積層される金属板(3)
の板厚を厚くしてその枚数を減らすことが可能となり、
全体の製造時間も短縮することができる。しかも、スポ
ット溶接とすみ肉溶接とを併用して金属板の接合を行う
ため、従来の積層金型製造方法において行われていたス
ポット溶接のみ、或いはスポット溶接とシーム溶接の併
用による金属板の接合に比べて高い接合強度を得ること
ができ、従来の積層金型の如く、板金プレス成形におい
て金型内で板金が流動するとき、特に積層段差を掛け上
るときに、接合強度の不足によって金属板の接合が離れ
て積層金型の破損が生じることがない。
【0019】以上が本発明に係る積層金型の製造方法の
基本流れであるが、本発明においてはこれに加えて以下
に示すような構成を採用することができ、これによって
より優れた積層金型を得ることができる。尚、図6及び
図7に基本流れと付加構成(付加工程)を併せて記載し
たフローチャートを示している。
【0020】図2及び図5に示した本発明の基本流れ
は、発生する積層段差部分の全てにすみ肉溶接を行うも
のであったが、本発明においては必ずしも全ての積層段
差部分にすみ肉溶接工程を実施する必要はなく、すみ肉
溶接を行う部分と行わない部分とを設けることができ
る。すみ肉溶接を行わない部分としては、プレス成形の
際に金型内において板金流動が生じない部分が選ばれ
る。その理由は、このような部分であればスポット溶接
のみで強度は充分であり、従来技術の項で述べたような
金属板の接合剥離が起こる恐れがないからである。この
すみ肉溶接を行わない部分については、予め入力された
所望の金型の形状データに基づいてコンピュータ(2)
に内蔵されたソフトウェアより判断され、この判断に従
って発生した積層段差へのすみ肉溶接工程が実施される
か省略されるかが選択される。このように、プレス成形
の際に金型内において板金流動が生じない部分について
積層段差部分へのすみ肉溶接工程を省くことにより、必
要な接合強度を保ちつつ金型の製造時間を短縮すること
が可能となる。
【0021】また本発明においては、前記した金属板の
積層による金型造形工程において、金属板表面への肉盛
り溶接による造形を積層による造形と併用して行うこと
も可能である。この肉盛り溶接による造形は、金属板表
面に面積が小さい凸部を形成したい場合、即ち所望の金
型の特定の等高線において面積が小さい部分を垂直方向
に形成したい場合に行われ、具体的には幅10mm以下
程度のビード形状の凸部を形成する場合に好適に行われ
る。また、肉盛り溶接棒の材質を積層される金属板と異
なる、例えば硬度の高い物を用いることにより、抜き型
の刃先部分を造形することも可能である。肉盛り溶接に
よる造形を行うか金属板積層による造形を行うかは、金
型のプロファイルデータに基づいてコンピュータ(2)
に内蔵されたソフトウェアによって判断され、肉盛り溶
接による造形を行う場合には、前記した切断装置(6)
による切断作業と同様に、コンピュータ(2)によって
読み出される等高線データのプロファイルデータに従っ
て、第二の接合装置(8)によるMIG溶接にて行われ
る。尚、このときの接合装置(8)は前記した段差解消
のためのすみ肉溶接に使用されるものと同じ装置を移動
させて使用してもよいし、別の装置を設置して行っても
よい。
【0022】肉盛り溶接による造形が雄型に対して行な
われた場合、その造形部分と対応する部分の雌型となる
金属板の抜きかすが発生しないこととなるため、この部
分の雌型の造形については上記した金属板の切断・積層
・接合の各工程を経て形成される。この場合、金属板の
抜きかす部分、即ち本来雄型用として使用される部分に
ついては必要とされないため、廃棄されるかもしくは再
利用のために保管される。
【0023】さらに本発明においては、積層された金属
板表面の平坦度が所定の基準以下となったときにセンサ
ーによりこれを検知し、所定の基準を満たすために金属
板表面の平面切削を行う構成も好ましく採用できる。こ
の工程は、雄型及び雌型のそれぞれについて金属板の積
層・接合が行われた後に実施されるが、1枚積層される
毎に実施してもよいし、一定の厚み分の積層が行われる
毎に実施してもよい。この平面切削工程は、コンピュー
タ(2)に予め所定の平坦度の基準値を入力しておき、
センサーによる平坦度の測定値をコンピュータ(2)に
送信して基準値と比較して基準値よりも測定値が大きい
場合(平坦でない場合)にのみ平面切削装置(図示せ
ず)に制御信号を送ることによって実施される。尚、平
面切削装置としては、平フライス刃を備えたNCフライ
ス盤が好適に使用されるが、NC研削装置を用いて平面
研削を行う構成としてもよい。本発明の製造方法におい
てこの平面切削工程を設けることにより、金属板の積層
によって発生する金型の製造誤差を最小限に抑えること
ができる。
【0024】また本発明においては、プロファイルデー
タに基づいて金属板を所要形状に切断する切断工程の
後、この切断部に対して金属板の裏面から回転カッター
を当接させ、これによって切断部のバリを切削除去する
とともに面取り部を形成する工程を設けることが好まし
い。図8はこの工程を概略的に図示したものであり、上
記した切断装置(6)によって切断された金属板(3)
の切断部(15)の裏面に対して円錐状の先端部を有す
る回転カッター(17)を当てることによって、図示の
如く切断により発生したバリ(16)を除去すると同時
に切断部(15)の周囲に面取り部(18)を形成す
る。この工程は、バリによる積層誤差を防ぐ役割を果た
すとともに、これに加えてすみ肉溶接による接合強度を
高めるという重要な役割を果たす。すなわち、金属板
(3)に面取り部(18)が形成されることにより、図
9に示すように積層される金属板(3)の側端面下隅部
に面取り部(18)が位置するようになって、すみ肉溶
接を行った際に溶着金属(斜線で示す部分)が面取り部
(18)に食い込むこととなり、金属板同士の接合強度
をより一層高めることができる。
【0025】尚、本発明においては、コンピュータ
(2)にCADにより作成された所望の立体物(金型)
のソリッドデータが3次元図形情報として入力され、こ
の入力情報に基づいて自動的に積層金型の造形が行われ
るものであるが、最初に入力された金型形状について設
計変更が生じた場合に、設計変更が生じた形状と最初に
入力された形状とを比較してその差異を抽出し、肉盛り
溶接による積層加工用データ及び切削加工用データを自
動的に作成するソフトをコンピュータ(2)に内蔵させ
ておくと、設計変更があった場合でも速やかに対応する
ことができるために好ましい。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る厚板
金属板を用いた積層金型の製造方法によれば、積層によ
ってプロファイル面に生じる段差を切削・研磨処理にて
容易に解消することが可能となり、また従来の積層金型
に比べて板厚を厚くすることができるので、高精度のキ
ャビティ面を有する金型を比較的短時間で得ることが可
能となるという優れた効果を奏する。
【0027】また、前記金属板の積層による金型造形工
程において、プロファイルデータに基づいた金属板表面
への肉盛り溶接による造形を積層による造形と併用して
行う方法によれば、特定の等高線において面積が小さい
部分がある場合にその部分を肉盛り溶接によって形成す
ることができるため、金属板の切断・溶接工程を一部省
くことが可能となり、製造効率に優れたものとなる。更
に、前記金属板の厚さが1〜5mmの範囲であることに
より、従来に比べて積層される金属板の枚数を少なくす
ることができ、金型製造に要する時間を大幅に短縮する
ことができる。
【0028】また、プレス成形の際に金型内において板
金流動が生じない部分については、積層段差部分へのす
み肉溶接工程を省くことにより、必要な接合強度を保ち
つつ金型の製造時間を短縮することが可能となる。ま
た、積層された金属板表面の平坦度が所定の基準以下と
なったときにこれを検知し、所定の基準を満たすために
金属板表面の平面切削を行うことにより、金属板の積層
によって発生する金型の製造誤差を最小限に抑えること
ができる。更に、プロファイルデータに基づいて金属板
を所要形状に切断した後、該切断部に対して金属板の裏
面から回転カッターを当接させ、これによって切断部の
バリを切削除去するとともに面取り部を形成することに
より、バリによる積層誤差が防がれると同時に、すみ肉
溶接による金属板同士の接合強度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る厚板金属板を用いた積層金型の製
造方法に使用される立体物造形装置の一例を示す模式図
である。
【図2】本発明に係る厚板金属板を用いた積層金型の製
造方法の基本の流れを示すフローチャートである。
【図3】積層により得られた金型の積層段差部分にすみ
肉溶接を行った状態を示す部分拡大図である。
【図4】すみ肉溶接された積層段差部分に研磨処理が施
された後の状態を示す部分拡大図である。
【図5】本発明に係る厚板金属板を用いた積層金型の製
造方法の別の例の基本流れを示すフローチャートであ
る。
【図6】図2に示した基本の流れのフローチャートに、
本発明において好ましく採用される付加構成を併せて記
載したフローチャートである。
【図7】図5に示した基本の流れのフローチャートに、
本発明において好ましく採用される付加構成を併せて記
載したフローチャートである。
【図8】切断部のバリ取り工程を概略的に示す図であ
る。
【図9】バリ取り工程を経た金属板を積層してすみ肉溶
接をした状態を示す概略図である。
【図10】積層金型にて発生する段差を示す部分拡大図
である。
【符号の説明】
1 立体物造形装置 2 コンピュータ 3 金属板 4 収容部 5 搬送装置 6 切断装置 7 第一の接合装置 8 第二の接合装置 9 切断・研磨手段 10 雄型架台 11 雌型架台 12 位置決め棒 13 雄型台座 14 雌型台座 15 切断部 16 バリ 17 回転カッター 18 面取り部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 37/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の金型の3次元CADデータから等
    高線データを読み出してそのプロファイルデータに基づ
    いて金属板を所要形状に切断し、該切断された金属板を
    1枚ずつ所定位置に搬送して順次積層し、該積層された
    金属板を接合する工程を繰り返し行うことにより雄型を
    製作するとともに、前記切断された金属板の抜きかす部
    分を所定位置に搬送して順次積層し、該積層された金属
    板を接合する工程を繰り返し行うことにより雌型を製作
    し、しかる後に積層により得られた雄型及び雌型の積層
    段差部分にすみ肉溶接を行い、次いでこのすみ肉溶接が
    施された積層段差部分を切削・研磨して段差を解消する
    ことを特徴とする厚板金属板を用いた積層金型の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 所望の金型の3次元CADデータから等
    高線データを読み出してそのプロファイルデータに基づ
    いて金属板を所要形状に切断し、該切断された金属板を
    1枚ずつ所定位置に搬送して順次積層し、該積層された
    金属板を接合した後、積層段差部分にすみ肉溶接を行う
    工程を繰り返し行うことにより雄型を製作するととも
    に、前記切断された金属板の抜きかす部分を所定位置に
    搬送して順次積層し、該積層された金属板を接合した
    後、積層段差部分にすみ肉溶接を行う工程を繰り返し行
    うことにより雌型を製作し、しかる後に雄型及び雌型の
    すみ肉溶接が施された積層段差部分を切削・研磨して段
    差を解消することを特徴とする厚板金属板を用いた積層
    金型の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記金属板の積層による金型造形工程に
    おいて、前記プロファイルデータに基づいた金属板表面
    への肉盛り溶接による造形を積層による造形と併用して
    行うことを特徴とする請求項1又は2記載の厚板金属板
    を用いた積層金型の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属板の厚さが1〜5mmの範囲で
    あることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の
    厚板金属板を用いた積層金型の製造方法。
  5. 【請求項5】 所望の金型が板金プレス金型であって、
    プレス成形の際に金型内において板金流動が生じない部
    分については、積層段差部分へのすみ肉溶接工程を省く
    ことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の厚板
    金属板を用いた積層金型の製造方法。
  6. 【請求項6】 積層された金属板表面の平坦度が所定の
    基準以下となったときにこれを検知し、所定の基準を満
    たすために金属板表面の平面切削を行うことを特徴とす
    る請求項1乃至5いずれかに記載の厚板金属板を用いた
    積層金型の製造方法。
  7. 【請求項7】 プロファイルデータに基づいて金属板を
    所要形状に切断した後、該切断部に対して金属板の裏面
    から回転カッターを当接させ、これによって切断部のバ
    リを切削除去するとともに面取り部を形成することを特
    徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の厚板金属板を
    用いた積層金型の製造方法。
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