JP3100615B2 - 塩酸ベラパミルを含有する固体医薬品の製法及び固体医薬品 - Google Patents

塩酸ベラパミルを含有する固体医薬品の製法及び固体医薬品

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、従来可能であったよりも明らかに高い塩酸
ベラパミル含有率を有する固体医薬品形状物及びその製
法に関する。
[従来の技術] この明細書中で、以後「ベラパミル」は常に塩酸ベラ
パミルを意味する。もちろん、同様に、他の薬理学上問
題のない塩も使用できる。請求項中に相応して変えられ
た量が、それらにもあてはまる。
市販のベラパミル錠剤及びベラパミルフィルム錠剤核
は、ベラパミル最大含有率70%で製造される。記載最高
濃度は、80%ぎりぎりである(欧州公開特許(EP−A)
第217778号)。より高い濃度を達成することはできな
い。それというのも、ベラパミルは、打錠のために必要
条件である造粒工程の際に、造粒装置中で、粘着する傾
向があり、この粘着傾向のため、錠剤圧縮機の鋳型中で
付着するので、乾燥後にも打錠は難しいからである。市
販の高濃度(70%より高い)のベラパミルを予め造粒せ
ずに直接打錠することは、市販原料の難流動性、良好に
変形可能な助剤、例えば微結晶状セルロースの添加にも
かかわらず、不十分な結合力並びに高い圧縮圧の際の粘
着及び付着傾向に依り失敗する。
作用物質及び助剤添加物の必要な比較的高い量に基づ
き、ベラパミル錠剤(特にそれの付加的な遅延性被覆を
有する遅延錠剤(Retard−Tabletten))は、比較的大
きくかつそのため嚥下しにくい。
[発明が解決しようとする課題] 従って本発明は、各々同量の作用物質量を含有する、
より小さなベラパミル錠剤(特により小さなベラパミル
−遅延錠剤)又は、ペレットで充填されたより小さなカ
プセルをも開発することを課題としている。そのため
に、各々高いベラパミル濃度を有する、良好な流動性
で、均一な微粒状、かつ良好に打錠可能な顆粒及びペレ
ットを製造する方法を発見せねばならなかった。
[課題を解決するための手段] この課題は、ベラパミル含有率少くとも90、有利に少
くとも95及び特に少くとも98重量%を有する固体医薬品
形状物及びその製法により解決される。本発明の意味に
おける固体医薬品形状物は、顆粒、ペレット、錠剤及び
フィルム錠剤である。フィルム錠剤の場合は、前記濃度
値は、錠剤核(被覆ぬき)に関する。
意外にも、温度を30〜55℃、有利に40〜50℃に上げ
て、水のみ(2〜10、有利に3〜7重量%)又は水と僅
かの遅延剤添加物及び/又は結合剤添加物を用いて造粒
を行うことによって、優れた打錠可能性及び著しい流動
性を有し、助剤添加物不含又は、僅かに含有し、従っ
て、100%までの高い作用物質含有率を有するベラパミ
ル顆粒を、簡単な方法で製造することができ、かつこの
工程をくり返すことによって、孔の少ない、なめらかな
表面及び直径0.3〜1.5mmを有するペレットが得られるこ
とが発見され、その際、平均直径及び同時に少くともそ
の70重量%は、0.5〜1mmの範囲にある。
前記温度限界は、混合物が軟化し始めることにより与
えられる。30〜40℃より低い温度では、本発明による効
果は、徐々に消失する。必要なエネルギー供給は、有利
に単に機械的に行なうべきだが、加熱又は(冷水のかわ
りに)温水の供給によっても助成されうる。
当業者にとっては、予想外に、市販のベラパミル粉末
の造粒の際に、加熱下では、常温におけるよりも、著る
しく少ない量の水性造粒媒体(水又は水性助剤懸濁液又
は助剤水溶液)が消費されることが判明した。その際、
慣用の薬品の造粒ミキサー、有利に高性能造粒機(場合
によりカッターを備えた高速混合部材、例えばレデゲ
(Loedige)−垂直−及び水平−造粒装置、ジオスナ(D
iosna)−、コレット(Colette)−、ヘンシェル(Hens
chel)−、フィールダー(Fielder)−造粒機)中での
圧縮は、室温時よりもかなり激しく、かつ物質の粘着な
しに進行し;顆粒は、粒径及び粒度分布に関して、微小
かつ均一であるので、粒径範囲0.1〜1mm、有利に0.2〜1
mm以内で少くとも70重量%が430μmの粒径−帯域にあ
る。常法(薬品工業のハンドブック参照)により30〜50
℃で残留湿度0.5%以下まで乾燥された顆粒の緩解(篩
による均等化)は、問題なく、粘着性傾向なく進行す
る。微細顆粒(少くとも80重量%が500μm以下)も高
いダスト分なしで(最大10%が100μm以下)本発明の
方法により非常に簡単に製造することができる。更に、
この顆粒は、著しく流動性なので、少くとも250、有利
に少くとも300g/minで、DIN−ビーカーNo.8を通過す
る。従って、本発明による顆粒を用いて、小さな圧縮
体、即ちカプセル(マルチ−ユニット−投与量)の充填
のために好適な、2.5mmより小さい直径の圧縮ペレット
(マイクロ錠剤)を製造することも可能である。
この簡単な造粒−及び圧縮工程は、5〜30、一般に10
〜15分かかる。この時間の間に、生成物の温度は前記範
囲内に上昇する。この工程を、冷却された、そうして得
られた顆粒を用いて、水2〜10%を新たに添加して、再
び30〜55℃に達するまで繰り返すと、前記の(慣用のも
のと比べて)孔の少ない、滑らかな球表面を有し、嵩密
度0.5〜0.7、有利に0.55〜0.65g/ml及び特に従来得られ
なかった高いベラパミル含有率を有するペレットが生じ
る。
こうして製造されたペレットは、水約3%を含有す
る。この水は、慣用の乾燥法により更に(即ち残留湿度
約≦0.5%まで)除去することができる。このような乾
燥法は、薬品工業のすべての教本中に記載されている。
結合剤の種類は厳密ではなく、すべての薬学上慣用の
結合剤、例えばゼラチン、デンプン、カゼイン、セルロ
ース誘導体(例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース)、シェラック、ポリグリコール
及びポリビニルピロリドンをベラパミルに対して10重量
%より少ない、有利に5重量%より少ない、特に2重量
%より少ない量で使用することができる。
結合剤の代わりに又はそれに加えて(全助剤量最大10
重量%まで)遅延剤を使用することもできる。
場合により、結合剤及び/又は遅延剤と共に使用され
る助剤添加物としては、錠剤核に対しては、大概必要な
場合は、薬学上慣用の滑沢剤及び離型剤、例えばステア
リン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリントリベ
ヘネート、エアロジル(Aerosil)及びタルク少量が十
分である。
遅延の目的のために、ペレット又は錠剤を有利に、遅
延性被膜で被覆(コーティング)する。しかしながら、
造粒の際にも、少量(最大10重量%)の遅延剤を導入す
ることができる。遅延性被膜加工用の、又は錠剤材料へ
導入するための材料としては、薬学の教本に記載されて
いるように、慣用のもの、例えばセルロース誘導体及び
アクリル酸エステルとその陽イオン性及び陰イオン性誘
導体とのコポリマー( Eudragit E、R及びS)がこれ
に該当する。これらは、乾燥していて、有機溶液又は有
利に水性分散液として施与される。
本発明による顆粒及びペレットの主要な利点を、もう
一度短かくまとめる: 1.これらは、十分に一様な粒子の大きさを有する。
2.これらは、高い硬度を有するので、慣用法により、く
ずをだすことなく、薬学上の投薬形に更に加工すること
ができる。
3.助剤及び添加物の低い含有率により、もしくはそれら
の欠除により、これらから小さく、コンパクトな(従っ
て患者にとっては服用しやすい)錠剤、フィルム錠剤、
糖衣錠又はカプセル充填物を製造することができる。
4.ペレットは滑らかで、孔の少ない表面を有する申し分
のない球形なので、これはごく少量のラッカーで良好に
再現可能に遅延させることができる。
例1(顆粒製造) 粉末ベラパミル2kgを二重ジャケットを備えた小さな
高性能造粒機(Stephan Mischer,U MC12,Stephan & So
ehne,Hameln,D)中で40℃まで加熱した。最大エネルギ
ー供給下に、40℃まで加熱された水100gを30秒かけて添
加し、温度が50℃に上昇するまで(約5分)造粒を続け
た。冷却された1次顆粒は次の粒度分布を有した: <100μm<5% <200μm<13% <430μm>70% <630μm>85% <750μm>99% これは、問題なく、網目1.0mmの振動篩別装置(Frewi
tt S.A.,Fribourg,CH)を通して緩解された。循環空気
乾燥箱中、40℃で残留湿度0.4%まで乾燥の後に、この
顆粒は0.63mmの網目を有する振動篩別装置を難なく通過
した;篩別装置に粘着しなかった。DIN−ビーカーNo.8
中で測定された流動性は305g/minであった。
タルク2重量%及びステアリン酸マグネシウム1重量
%の混合の後に、この顆粒を、機械的に安定で、塗料分
散液で簡単に被覆される錠剤に圧縮し、その際、鋳型壁
又は押し抜き表面への圧縮体の付着傾向はみられなかっ
た。
500μm−篩で篩別された顆粒を用いて、直径2mm、高
さ2mmの、ほぼ球形のアーチ形でマイクロ錠剤が圧縮さ
れ、これは、機械的に非常に堅固でくづが少なく、かつ
流動層中及び穴あきドラム塗装機中でも比較的僅かの拡
散調整ラッカーを用いて非常に有効に遅延化することが
できた。
比較例1. ベラパミル2kgを例1の小さい高性能造粒機中で、慣
用の条件で、即ち室温で純粋な水を用いて造粒する場合
には、一様な湿潤のためには約300g必要である。生じた
顆粒は、1.0mm−篩を通過することができない。それと
いうのも、この試みが、篩別装置を粘着性にし、つまら
せるからである。3mm−篩を通して湿式ふるい分けし、
かつ慣用の乾燥後でも、この顆粒は、1mm−篩をとおり
抜けるのさえ難かしい。それというのも、この乾燥顆粒
も篩上で粘着する傾向があるからである。微細な顆粒は
製造できない。
このような顆粒を少量の打錠助剤(タルク2%、ステ
アリン酸マグネシウム1%)の添加下に圧縮する試み
は、失敗した。それというのもこの材料は圧力下では、
鋳型壁及び圧し抜きへの、すぐさまの付着を生じるから
である。製造された圧縮体が、結合剤を有さない場合
は、これらは親指と人さし指との間で押し砕くことがで
きる。薬学上申し分のない錠剤は、各々顆粒乾燥物の質
量分に対して、20%のラクトース及び5%のポリビニル
ピロリドンを結合剤として、造粒液体中に装入すること
によって製造することができた。更に、付着傾向を減少
させるために、圧縮の際に圧縮材料中にミクロ結晶のセ
ルロース5%分を混入することが必要であった。しかし
ながら、この慣用の顆粒を用いて、直径2mmのミクロ圧
縮体を製造することは不可能であった。それというの
も、その粒径を十分に小さくできなかったからであり、
かつこの顆粒は、小さな押し抜きの際には、短い圧縮時
間後に付着する傾向があるから、圧縮工具から分離させ
る際に、この圧縮体は、部分的に引き裂かれてしまった
からであった。
例2(ペレット製造) 水平プロペラ及びカッターを備えた50−薬品ミキサ
ー(製造者:Fa.Diosna,Osnabrueck)中に塩酸ベラパミ
ル10kgを装入した。27℃の水0.5kgをミキサー操行時に
添加した。この工程を、次の記録で明らかにする: ペレットの湿気含有率は工程終了時に3.0%であった。
残留湿度0.3%までの乾燥を、循環空気乾燥箱中、乾燥
台板上で給気温度40℃で行なった。
このペレットの流動性は乾燥後に測定した。ペレット
はDIN−ビーカーNo.8から、時間14〜15秒の間に(235〜
250g/分に相当)流出した。
ペレットの粒径は80%が0.5〜0.8mmであった。ペレッ
トの嵩密度は0.58〜0.60g/mlであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−156913(JP,A) 特開 昭57−175113(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/277 A61K 9/14 - 9/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩酸ベラパミルを含有する固体医薬品の製
    法において、温度を30〜55℃に上げて、水2〜10重量%
    のみ、又は水と僅かの遅延剤添加物及び/又は結合剤添
    加物を用いて造粒を行うことを特徴とする、塩酸ベラパ
    ミルを含有する固体医薬品の製法。
  2. 【請求項2】塩酸ベラパミル含有率が少なくとも90重量
    %である、請求項1に記載の方法により得られる固体医
    薬品。
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