JP3100447U - 一軸偏心ねじポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造が簡単で部品点数が少なくて済み、移送液貯留室の底部に固形物が堆積したり内壁に付着したりするのを防止できるスクレーパを備えた一軸偏心ねじポンプを提供する。
【解決手段】 ポンプケーシング2の上方に駆動装置を備え、同駆動装置の駆動回転軸3にフレキシブルロッド8を介して連結した雄ねじ形ロータ10を、ケーシング2の下端側に配置した雌ねじ形ステータ11内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることによりスラリー液を移送する一軸偏心ねじポンプ1において、フレキシブルロッド8の下端部周囲で雄ねじ形ロータ10との連結部7に、半径方向外方に張り出す複数の掻取り片を周方向に間隔をあけて設けた弾性体スクレーパ15をケーシング2の内周壁に掻取り片が接触するように装着した。
【選択図】 図1

Description

 本考案は、主にスラリー液のような固形物含有の移送液を移送するための一軸偏心ねじポンプに関し、詳しくは、ポンプ内の移送液を貯留する移送液貯留室(ポンプケーシング・ホッパなど)の底部に沈降したり堆積したりする粉体状の固形物を掻き取るためのスクレーパに関するものである。
 とくに研磨剤など比重の重い鉄粉のような固形物を含んでいるスラリー液において、固形物の堆積を防止する場合、ケーシングの外壁に振動を与える攪拌機を用いたり、ケーシング内に配置されるカップリングロッドにパドル(撹拌羽根)を装着したりしてスラリー液を撹拌している。
先行技術に、一軸偏心ねじポンプを用いて種菌を供給する装置があり、この供給装置では、ホッパ内下部にカップリングロッドに巻き付けたリボンスクリューを配し、リボンスクリューの下端に加圧空気の吹き出し口を設け、ホッパ内に収納した種菌をリボンスクリューで拡散するとともに、加圧空気で吹き上げて流動化させている。また、種菌がホッパ内周壁に付着するのを防止するために金属ネットを取り付けている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−308554号公報(段落番号0012、0013および図1)
 しかしながら、上記した従来の装置によるスラリー液の撹拌では、下記のような問題点がある。すなわち、比重の重い粉粒状固形物を含有している場合、攪拌機を用いても移送物貯留室の底部に固形物が堆積し、またパドルではスラリー液が滞留する部分が発生し、スラリー分(主に固形物)が沈降し堆積する。とくに、スラリー分が移送液貯留室底部のステータ入り口付近に堆積することによって、移送されるスラリー液の濃度および流量が変動するおそれがある。
 また、上記公報に記載の装置は複数の機構を備え、構造が非常に複雑であり、ホッパなどの大型の移送液貯留室を備えた一軸偏心ねじポンプには適用できても、ポンプケーシングのような小型の移送液貯留室には適用するのが困難である。
 この考案は上述の点に鑑みなされたもので、構造が簡単で部品点数が少なくて済み、移送液貯留室の底部に固形物が堆積したり内壁に付着したりするのを防止できるスクレーパを備えた一軸偏心ねじポンプを提供することを目的としている。
 上記の目的を達成するために本発明に係る一軸偏心ねじポンプは、ポンプケーシング又はホッパなどの移送液貯留室の上方に駆動装置を備え、同駆動装置の駆動軸にフレキシブルロッドを介して連結した雄ねじ形ロータを、前記移送液貯留室の下端側に配置した雌ねじ形ステータ内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、移送物を移送する一軸偏心ねじポンプにおいて、前記フレキシブルロッドの下端部周囲で前記雄ねじ形ロータとの連結部あるいはその付近に、半径方向外方に張り出す複数の掻取り片を周方向に間隔をあけて設けた弾性体スクレーパを前記移送液貯留室底部の内周壁に前記掻取り片が接触するように装着したことを特徴としている。
 本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、ポンプ運転時にフレキシブルロッド下端部に装着されたスクレーパは移送液貯留室内の中心軸線を中心にして偏心回転するので、複数の掻取り片は移送液貯留室底部の内周壁に強く接触したり、弱く接触したりして内周壁に付着しようとしたり付着したりする固形物を掻き取る。また、複数の掻取り片がポンプの運転中に回転し、移送液貯留室の底部に堆積したり滞留したりしようとする固形物を撹拌するので、移送物の濃度が変化したり流量が変化したりしない。しかもスクレーパを回転方向360°のどの位置に装着しても、移送液貯留室底部の内周壁の全周面に対し掻取り片が十分な強さをもって接触するので、固形物が内周壁面に付着することが確実に防止される。
また、前記弾性体スクレーパの掻取り片の張出長さは、前記フレキシブルロッドが一つの掻取り片の張出方向の反対方向へ最大限偏心した状態で、その一つの掻取り片の先端が前記移送液貯留室底部の内周壁面にわずかに接触しているように設定するとよい。
 このようにすれば、スクレーパが移送液貯留室内の中心軸線を中心に偏心回転する際に、各掻取り片が移送液貯留室底部の内周壁に無理なく接触し、付着しようとする固形物を確実に掻き取れるとともに、スクレーパの掻取り片を円周方向のどのような位置で装着しても、各掻取り片が移送液貯留室底部の内周壁に接触し、掻き取り作用を発揮する。
さらに、前記移送液貯留室の内周壁をテフロン(登録商標)などの剥離性の良好な素材でコーティングし、前記弾性体スクレーパを軟質の弾性体(ゴム)により形成することができる。
 この構成により、スクレーパの掻取り片がコーティング部に接触しても損傷させたり破損させたりすることがない。
さらにまた、前記フレキシブルロッドが長手方向で分割可能な構成からなっていてもよい。
 このようにすれば、スクレーパが損傷したり寿命がきたときなどに、フレキシブルロッドの連結部から分割し、スクレーパを簡単に交換することができる。
 上記の構成からなる本考案の一軸偏心ねじポンプには、つぎのような効果がある。すなわち、弾性体のスクレーパを装着しただけの簡単な構造からなるので、従来のものとコスト的にほとんどかわらず、移送液貯留室の底部に固形物が堆積したり内壁に付着したりするのを防止し、固形物含有の移送液の濃度および流量を一定に維持できる。
 以下、この考案の実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は第一の実施例にかかる一軸偏心ねじポンプを示す一部を断面で表した側面図である。
 図1に示すように、一軸偏心ねじポンプ1は縦型で、ポンプケーシング(移送液貯留室)2の下端にステータ11が連結され、ステータ11の下端に吐出口を構成するエンドスタッド12が連結されている。ケーシング2の上端には、駆動回転軸3の軸受ユニット4が連結されている。駆動回転軸3は軸受ユニット4のボールベアリング5で回動自在に支承されており、軸受ユニット4から外方へ突出した端部には、駆動モータ(図示せず)が接続される。ケーシング2の一側面の軸受ユニット4寄りに、スラリー液の注入口2aが一側方上向きに傾斜して突設されている。エンジニアリングプラスチック製のフレキシブルロッド8の上端部8b(図2)が、駆動回転軸3の中心孔3aに嵌挿され、接着剤にて接着されている。
 ステータ11は、ロータ10の2倍のピッチからなる横断面長円形の雌ねじ孔11aが螺旋状に形成され、この雌ねじ孔11a内に、横断面円形の雄ねじ形ロータ10が回動自在にかつ長軸方向に往復移動可能に嵌挿されている。ロータ10の上端部(ポンプケーシング2側)にはボス10aが一体に形成され、フレキシブルロッド8の下端部がボス10a内に嵌挿され、接着剤によりロータ10と一体回転可能に接続されている。このフレキシブルロッド8は、本例ではエンジニアリングプラスチックの一つであるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)により円柱状に押し出しされた棒状部材で形成されている。フレキシブルロッド8の上端は、ボス10aのロータジョイント部と対称をなす駆動回転軸3のジョイント部に嵌挿され、接着剤(例えばエポキシ系の接着剤)で一体に接着されている。駆動回転軸3の一部はケーシング2内に突出させているが、この突出部分の周囲にメカニカルシール3bを装着し、軸封している。
 上記したとおり、本例の一軸偏心ねじポンプ1は主にスラリー液を移送するのに使用するため、図1に示すように、スクレーパ15をフレキシブルロッド8とロータ10の連結部7の周囲に装着している。スクレーパ15は、図3に示すように本例では柔軟性に富む軟質の弾力性に優れたゴムからなり、円筒体16の周囲に3枚の掻取り片17を円周方向に等間隔に一体に形成している。円筒体16の内径は連結部7の外径よりやや小さく、引き伸ばした状態で図2のように連結部7上に装着される。スクレーパ15を連結部7の周囲に装着した状態ではポンプ1の運転中にスクレーパ15が連結部7に対し空転することはないが、スクレーパ15を回して連結部7に対する周方向に位置をずらすことは可能である。掻取り片17は半径方向へ張り出す羽根板状で、掻取り片17の下部はポンプケーシング2内の底部形状に合わせて円弧状に形成している。掻取り片17の張出長さは、図4のように一つの掻取り片17の反対方向へスクレーパ15がフレキシブルロッド8とともに最大限偏心(変位)した状態でも、ポンプケーシング2の内周壁との接触を保つように設定する。
 上記のようにして本考案の実施例に係る一軸偏心ねじポンプ1が構成されるが、このポンプ1は下記のように使用される。つまり、一軸偏心ねじポンプ1の運転を開始することで、あらかじめ十分に撹拌され、固形分が均等に混合された状態のスラリー液(移送液)が貯留タンクなどからホース(図示せず)を介して注入口2aよりポンプケーシング2内に注入される。ポンプケーシング2内に注入されたスラリー液は固形物が沈降しようとし、底部に堆積しようとする。しかし、図4(a)に示すようにスクレーパ15がフレキシブルロッド8とともに中心点sを中心に直径2eで偏心回転することにより、ポンプケーシング2の底部の内周壁面に付着しようとする固形物は掻取り片17により掻き取られ、付着が防止される。また、スクレーパ15が回転することにより掻取り片17が撹拌羽根の機能をもちスラリー液中の固形物を撹拌するので、固形物は均等に混合された状態を保ち、吐出口12から吐出されるスラリー液の濃度が変化することがなく、流量も常に一定に維持される。ところで、図1に2点鎖線で示すようにスラリー液の注入口2aの位置を下方のスクレーパ15の装着部付近へ下げれば、スラリー液がポンプケーシング2内に滞留する時間が短縮されるとともに、注入後に直ぐにスクレーパ12で撹拌されるので、ポンプケーシング2の底部内周壁に固形分がさらに付着しにくくなる。
 なお、図3はポンプケーシング2に比べてステータ11の部分の外径を小さくし、ポンプケーシング2を二分割可能にして形状を変えた点が図1の一軸偏心ねじポンプ1と異なるが、基本的な構造的には全く共通している。
 つぎに、図5は本考案の別の実施例に係る一軸偏心ねじポンプを示す中央縦断面図である。本例の一軸偏心ねじポンプ1’が上記実施例と異なるところは下記の点である。すなわち、図5に示すように、
 (1) 逆円錘状のホッパー(移送液貯留室)18の底部の開口18aに、ステータ11・ロータ10からなるポンプ本体をホッパー18の法線の延長線上に連結し、ステータ11の先端に吐出口であるエンドスタッド12を取り付けている。
 (2) ホッパー18がポンプケーシングを兼ねた構造で、メカニカルシールなどの軸封部がない。
 (3) 側方より見て略直角三角形の台車19の傾斜部19aにホッパー18がブラケット18bを介して取り付けられ、傾斜部19aの上端部に駆動モータ20がブラケット20bを介して取り付けられている。駆動モータ20の駆動軸20aの端部とロータ10の上端部とをフレキシブルロッド8により接続しているが、このフレキシブルロッド8は非分割構造で、ホッパー18内においてその法線と平行に配置している。
 (4) 駆動回転軸3の上端部は、駆動モータ20の駆動軸20aに焼き嵌めで取り付けたカップリングスリーブ21にカップリングピン21aにより一体回転可能に接続している。なお、その他の構成については第一実施例のポンプ1と共通しているので、図1中の符号と同一の符号を用いて示し、説明を省略する。
本考案の第一の実施例に係る一軸偏心ねじポンプを示す一部を断面で表した側面図である。 分離したフレキシブルロッドとロータとの連結部にスクレーパを装着した状態を表す斜視図である。 (a)は一軸偏心ねじポンプのスクレーパ部分を示す部分断面図、(b)は(a)のb−b矢視図でスクレーパを示す。 (a)はスクレーパが一回転する状態を順に表す、ステータ側のねじ孔からスクレーパとポンプケーシングとを見た断面図、(b)は連結部7上でスクレーパを60°回転させた状態でポンプを運転したときのスクレーパが一回転する状態を順に表す、ステータ側のねじ孔からスクレーパとポンプケーシングとを見た断面図である。 本考案の第二の実施例に係る一軸偏心ねじポンプを示す中央縦断面図である。
符号の説明
 1・1’一軸偏心ねじポンプ
 2 ポンプケーシング(移送液貯留室)
 7 連結部
 8 フレキシブルロッド
10 ロータ
11 ステータ
12 エンドスタッド(吐出口)
15 スクレーパ
16 円筒体
17 掻取り片
18 ホッパー(移送液貯留室)

Claims (1)

  1. ポンプケーシング又はホッパなどの移送液貯留室の上方に駆動装置を備え、同駆動装置の駆動軸にフレキシブルロッドを介して連結した雄ねじ形ロータを、前記移送液貯留室の下端側に配置した雌ねじ形ステータ内に回動自在に嵌挿して偏心回転させることにより、移送物を移送する一軸偏心ねじポンプにおいて、
     前記フレキシブルロッドの下端部周囲で前記雄ねじ形ロータとの連結部あるいはその付近に、半径方向外方に張り出す複数の掻取り片を周方向に間隔をあけて設けた弾性体スクレーパを前記移送液貯留室底部の内周壁に前記掻取り片が接触するように装着したことを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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