JP3097707U - 印字装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクカートリッジ交換後にキャリッジの蓋体が開いたまま、そのキャリッジがカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行しても、キャリッジが退避位置に進入してしまうという事態を機械的手段によって防止する。
【解決手段】筐体壁12に突片でなるストッパ5を一体成形することにより、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32がそのストッパ5係合して、キャリッジ3が退避位置に進入することを阻止させる。閉状態の蓋体32にはストッパ5が係合しない。ストッパ5に弾性を具備させることによって、キャリッジ3の走行駆動源である電動モータに加わる衝撃負荷を軽減する。
【選択図】 図4
【解決手段】筐体壁12に突片でなるストッパ5を一体成形することにより、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32がそのストッパ5係合して、キャリッジ3が退避位置に進入することを阻止させる。閉状態の蓋体32にはストッパ5が係合しない。ストッパ5に弾性を具備させることによって、キャリッジ3の走行駆動源である電動モータに加わる衝撃負荷を軽減する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、印字装置、特に、インクカートリッジを搭載したキャリッジに設けられている蓋体が開いたまま、そのキャリッジが横行して退避位置に進入してしまうという事態を未然に防ぐことのできる対策を講じた印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクカートリッジを交換するときに、キャリッジに具備された蓋体を開いてインクカートリッジをキャリッジに着脱し、キャリッジへのインクカートリッジの装着後にその蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっている印字装置が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、インクカートリッジを搭載したキャリッジが電動モータを駆動源としてカートリッジ交換位置から退避位置まで横行して走行するようになっている印字装置又はインクジェット装置において、キャリッジの蓋体が開いたままになっていることをセンサーによって電気的に検出させ、蓋体が開いたままになっていることをセンサーが検出したときには、キャリッジが退避位置に進入しないように電動モータを制御するという技術も提案されている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照)。
【0004】
図6に従来の他の印字装置を概略斜視図で示してある。この印字装置では、筐体1の内部に配備されたガイドシャフト21やガイドレール22により案内されて横行動作を行うキャリッジ3が、図示してない電動モータを駆動源として、印字領域とその印字領域の側部の退避位置との間で走行する。印字領域には、その印字領域内でのキャリッジ3の横行動作に同調して用紙を送るローラ23の設置されている領域が相当していて、その印字領域内の所定箇所がインクカートリッジ交換位置として定められている。また、退避位置には、キャリッジ3のホルダー部31に搭載されているインクカートリッジのインク吐出ヘッド(図に現れていない)などをクリーニングしたりするためのメンテナンスユニット24の設置箇所を含む位置が相当していて、キャリッジ3の初期位置(ホームポジション)がこの退避位置に定められている。
【0005】
上記キャリッジ3には、ホルダー部31に対して開閉回動される蓋体32が設けられている。そして、インクカートリッジを交換するときには、同図に示されたように、印字領域内の一箇所に定められたインクカートリッジ交換位置にキャリッジ3を移動させた後、蓋体32を上方へ開いてホルダー部31に対するインクカートリッジの着脱を行う。このインクカートリッジの交換作業は、ホルダー部31にインクカートリッジを装着した後、蓋体32を図示のように閉じることによって終了する。
【0006】
一方、上記筐体1は、その筐体壁12が、上記したカートリッジ交換位置と退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備されている。そして、この筐体壁12では、退避位置の全体を覆う覆壁部12aや印字領域の上部だけを部分的に覆ってその前部を開放している上壁部12bなどが合成樹脂で一体成形されている。そのうち、上壁部12bの形状は特に意匠的にデザイン化されている。また、筐体1には、アクセスカバーと呼ばれるカバー13が横軸回りに矢印aのように開閉可能に取り付けられていて、このカバー13を閉じると、カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが当該カバー13によって覆われ、このカバー13を開くと、図示のようにカートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが開放されてキャリッジ3に対するインクカートリッジの着脱操作をその開放部分を利用して行うことができるようになっている。
【0007】
図7は、図6のVII−VII線に沿う部分の拡大断面図である。同図のように、筐体壁12は、退避位置に沿う部分である覆壁部12aと印字領域に沿う部分である上壁部12bとの境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所イ及び上壁部12bとによって、図6に示したカバー13を閉時に収納する収納凹所14が形作られている。このように収納凹所14を筐体壁12に具備させておくと、閉時のカバー13がその収納凹所14に納まって印字装置の意匠に統一感などが付与される、などの利点がある。
【0008】
これに対し、上壁部12bが覆壁部12aと共に合成樹脂で一体成形されるため、所謂「ひけ」の発生を抑え得るなどの理由で上壁部12bと覆壁部12aの肉厚が同等に定められる。その結果、筐体壁12に上記収納凹所14を具備させて意匠性を高めると、上記屈曲箇所イにはどうしても図7に示した段付部15が備わるようになり、覆壁部12aの内部空間Sからその段付部15を見た場合には、その段付部15が覆壁部12aから下向きに突出した形態をとることになる。これに加えて、上壁部12bも意匠的にデザイン化されている。具体的には、上壁部12bにあっては、図6で判るように、筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)が、上記したカートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した湾曲形状を有している。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−253063号公報
【特許文献2】
特開2002−240250号公報
【特許文献3】
特開2003−11348号公報
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、図6又は図7で説明したような意匠的なデザインを筐体壁12に施した場合、次の問題点が知見された。
【0011】
すなわち、カートリッジ交換位置でキャリッジ3にインクカートリッジC(図7参照)を装着した後、蓋体32を閉め忘れる場合や、蓋体32が完全に閉まっていなかったような場合が起こり得る。これらの各場合には、キャリッジ3がキャリッジ横行路をカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行すると、開くことによって閉位置よりも上位に位置している蓋体32が、図7仮想線で示したように、カートリッジ交換位置から屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を持つ筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)と摺動して次第に開度を狭めながら段付部15に近付き、その後、キャリッジ3が退避位置に進入すると、蓋体32が図7矢印bのように段付部15をくぐり抜けて覆壁部12aの内部空間Sに入り込み、その開度を拡げるという事態が起こり得る。
【0012】
そして、このような事態が起こると、図7に実線で示したように、蓋体32の上端が段付部15の下端よりも上に位置するようになる。この状態で、退避位置から印字領域に向けてキャリッジ3が走行すると、蓋体32が段付部15と干渉してキャリッジ3の走行を阻害するので、キャリッジ3が印字領域に出られなくなり、印字領域での印字が不可能になるという事態に陥る。その上、筐体1では、覆壁部12aと上壁部12bとが一体成形されているため、上記のように蓋体32が開いたままのキャリッジ3が退避位置に進入してしまうと、筐体1を取り外すという印字装置の分解を行わなければ、蓋体32を閉じて印字に備えるという修復を行うことができなくなる。
【0013】
この点に関し、冒頭に掲げた特許文献2や特許文献3によって提案されている技術は、キャリッジの蓋体が開いたままになっていることをセンサーによって電気的に検出させ、蓋体が開いたままになっていることをセンサーが検出したときには、キャリッジが退避位置に進入しないように電動モータを制御するというものであるので、センサーが正常に働いていれば、蓋体32が開いたままキャリッジ3が退避位置に進入してしまうという事態を生じなくなるけれども、センサーやそのセンサーの検出信号を処理する制御部を必要とするので、制御に要する余分な部品が必要になって必要部品点数が増加したり組立工程が複雑化したりする。
【0014】
本考案は以上の状況の下でなされたものであり、蓋体が開いたままキャリッジがキャリッジ横行路をカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行した場合に、必要部品点数が増えたり組立工程が複雑化したりすることを回避しつつ、しかも、電気的制御によることなく、蓋体が開いたままキャリッジが退避位置に進入してしまうという事態を機械的に未然に防止することのできる印字装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る印字装置は、インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている。
【0016】
そして、上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備えている。
【0017】
この構成であると、蓋体が開いたままキャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行すると、開状態の蓋体がストッパに係合してキャリッジが退避位置に進入することを阻止するので、蓋体が開いたままのキャリッジが退避位置に進入してしまうと事態が起こらない。なお、蓋体が閉じているときには、蓋体がストッパに係合しないので、キャリッジがカートリッジ交換位置と退避位置との相互間で正常に走行する。
【0018】
本考案において、上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わっているものであってもよい。これによれば、冒頭で説明したことから判るように、筐体に意匠的なデザインを施しやすくなる。
【0019】
本考案において、上記筐体壁は、その前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当しているものであってもよく、これによっても、冒頭で説明したことから判るように、筐体に意匠的なデザインを施しやすくなる。
【0020】
本考案では、上記ストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形された突片でなることが望ましい。これによれば、ストッパを筐体とは別部品として構成する必要がないので、部品点数を増やさずに、しかも組立工程を複雑化させずに、蓋体が開いたままのキャリッジが退避位置に進入してしまうと事態の起こらない印字装置を提供することが可能になる。
【0021】
本考案に係る印字装置は、次の構成を採用することによっていっそう具体化される。すなわち、インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている印字装置において、上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わり、その筐体壁の前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当しており、上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備え、そのストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形され、かつ、上記キャリッジの走行によって上記蓋体が係合したときに曲り変形して衝撃を緩和する弾性を備えた突片でなる、という構成を採用することによっていっそう具体化され、併せて、図6や図7で説明した従来の印字装置の筐体に弾性を備えた突片でなるストッパを一体成形するだけで済む。
【0022】
【考案の実施の形態】
図1は本考案に係る印字装置の要部の正面図、図2は同要部の平面図、図3はキャリッジ3の側面図、さらに、図4は図7に相応する断面図、図5は突片の様々な形状を示した説明図である。
【0023】
この実施形態の印字装置は、筐体壁12の上壁部12bにストッパ5を設け、そのストッパ5により、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32が係合してそのキャリッジ3が退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体32には係合することなくそのキャリッジ3が退避位置に進入することを許容するようにした点が新しく、その余の点は、図6又は図7で説明した従来の印字装置と同様である。したがって、同一部分に同一符号を付してある。
【0024】
すなわち、図6で説明したように、筐体1の内部に配備されたガイドシャフト21やガイドレール22により案内されて横行動作を行うキャリッジ3が、図示してない電動モータを駆動源として、印字領域とその印字領域の側部の退避位置との間で走行し、印字領域には、用紙を送るローラ23の設置されている領域が相当し、その印字領域内の所定箇所がインクカートリッジ交換位置として定められ、退避位置には、メンテナンスユニット24の設置箇所を含む位置が相当していて、キャリッジ3の初期位置(ホームポジション)がこの退避位置に定められている。また、図3や図6のように、キャリッジ3にホルダー部31と蓋体32とが設けられていて、インクカートリッジCを交換するときには、図6に示したように、印字領域内の一箇所に定められたインクカートリッジ交換位置にキャリッジ3を移動させた後、図3仮想線のように蓋体32を上方へ開いてホルダー部31に対するインクカートリッジCの着脱を行う。インクカートリッジの交換作業は、ホルダー部31にインクカートリッジを装着した後、蓋体32を図3実線のように閉じることによって終了する。
【0025】
一方、筐体1の筐体壁12は、カートリッジ交換位置と退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備されていて、覆壁部12aと上壁部12bとが合成樹脂で一体成形されており、そのうちの上壁部12bの形状は特に意匠的にデザイン化されている。また、筐体1には図6に示したカバー13が横軸回りに矢印aのように開閉可能に取り付けられていて、このカバー13を閉じると、カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが当該カバー13によって覆われ、このカバー13を開くと、図示のようにカートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが開放されてキャリッジ3に対するインクカートリッジの着脱操作をその開放部分を利用して行うことができるようになっている。
【0026】
さらに、図4のように、筐体壁12は、覆壁部12aと上壁部12bとの境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所イと上壁部12bとによって、カバー13を閉時に収納する収納凹所14が形作られ、その結果として、屈曲箇所イには段付部15が備わり、覆壁部12aの内部空間Sからその段付部15を見た場合には、その段付部15が覆壁部12aから下向きに突出した形態をとっている。上壁部12bも意匠的にデザイン化されていて、筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)が、カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した湾曲形状を有している。
【0027】
次に、図1、図2又は図4のように、上記ストッパ5は、上壁部12bの裏面側に一体成形された突片でなる。そして、このストッパ5が、上壁部12bの前縁部12b’の近傍箇所で下方に突き出ている。図3又は図4に説明的に示したように、ストッパ5の下端は、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32が係合してそのキャリッジ3が退避位置に進入することを阻止し得る位置であって、閉状態の蓋体32には係合することなくそのキャリッジ3が退避位置に進入することを許容する高さに位置している。なお、図4では、キャリッジ3が印字領域から退避位置に進入する際に、閉状態の蓋体32の上端が通過する経路を一点鎖線Yで示してある。
【0028】
こうしておくと、インクカートリッジCの交換後やその他のときにおいて、蓋体32が開いたままキャリッジ3がカートリッジ交換位置や印字領域から退避位置に向けて走行した場合には、キャリッジ3が退避位置に進入してしまう前に、開状態の蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3の走行が停止する。そのため、蓋体32が開いたままキャリッジ3が退避位置に進入してしまってその後の印字が不可能になったり、修復に筐体を分解しなければならないといった事態が起こらなくなる。
【0029】
なお、開状態の蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3の走行が停止した場合に、そのキャリッジ3の駆動源である電動モータに予期しない負荷の加わることも考えられるが、そのような事態は、キャリッジ3が停止することを条件にして電動モータを停止するような制御を行ったり、あるいは、キャリッジ3の退避位置に向かう一方向の走行が停止することを条件にして、キャリッジ3を逆向き走行させてカートリッジ交換位置まで戻すという制御を行ったりすることによって防止される。
【0030】
ストッパ5は、上壁部12bと一体成形されるものであるので、様々な形状を採用することが可能であり、その形状の幾つかを図5に示してある。同図(A)は、ストッパ5を形成している突片の形状を横断面コ字形にしたものであり、この形状であれば、蓋体32が矢印の方向から係合した場合に容易に欠損することがない。同図(B)のストッパ5を形成している突片は薄板片でなり、蓋体32が矢印の方向から係合した場合に曲り変形してその衝撃を緩和する弾性を備えている。同様に、同図(C)のストッパ5を形成している突片はJ字形に形成された薄板片でなり、蓋体32が矢印の方向から係合した場合には、その先端側部分が曲り変形してその衝撃を緩和する軟弾性を備えている。そして、同図(B)や同図(C)のように、キャリッジ3の走行によって蓋体32が係合したときに曲り変形して衝撃を緩和する弾性を備えた突片をストッパ5に採用すると、蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3が走行中に停止した場合にキャリッジ3の駆動源である電動モータの受けるダメージが少なくなるので、ストッパ5に蓋体32を係合させてキャリッジ3の走行を停止させるという手段で退避位置へのキャリッジ3の進入を防いだとしても、電動モータの耐用寿命が短くなるということが起こりにくい。
【0031】
【考案の効果】
以上のように、本考案に係る印字装置は、蓋体が開いたままキャリッジがカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行した場合に、蓋体がストッパに係合してキャリッジが退避位置に進入してしまうという事態が防止されるので、蓋体が開いたままキャリッジが退避位置に進入してしまってその後の印字が不可能になったり、修復に筐体を分解しなければならないといった事態が起こらなくなる。しかも、必要部品点数が増えたり組立工程が複雑化したりすることがないという利点もある。したがって、インクカートリッジ交換後に蓋体を閉め忘れるようなことがあっても、蓋体を閉めなおして円滑に印字操作を続行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る印字装置の要部の正面図である。
【図2】同要部の平面図である。
【図3】キャリッジの側面図である。
【図4】作用を説明するための断面図である。
【図5】(A)は突片の形状を示した説明図、(B)は突片の他の形状を示した説明図、(C)は突片のさらに他の形状を示した説明図である。
【図6】従来の印字装置の概略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
3 キャリッジ
5 ストッパ
12 筐体壁
12b’ 筐体壁の前縁部
13 カバー
14 収納凹所
15 段付部
32 蓋体
イ 屈曲箇所
C インクカートリッジ
【考案の属する技術分野】
本考案は、印字装置、特に、インクカートリッジを搭載したキャリッジに設けられている蓋体が開いたまま、そのキャリッジが横行して退避位置に進入してしまうという事態を未然に防ぐことのできる対策を講じた印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクカートリッジを交換するときに、キャリッジに具備された蓋体を開いてインクカートリッジをキャリッジに着脱し、キャリッジへのインクカートリッジの装着後にその蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっている印字装置が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、インクカートリッジを搭載したキャリッジが電動モータを駆動源としてカートリッジ交換位置から退避位置まで横行して走行するようになっている印字装置又はインクジェット装置において、キャリッジの蓋体が開いたままになっていることをセンサーによって電気的に検出させ、蓋体が開いたままになっていることをセンサーが検出したときには、キャリッジが退避位置に進入しないように電動モータを制御するという技術も提案されている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照)。
【0004】
図6に従来の他の印字装置を概略斜視図で示してある。この印字装置では、筐体1の内部に配備されたガイドシャフト21やガイドレール22により案内されて横行動作を行うキャリッジ3が、図示してない電動モータを駆動源として、印字領域とその印字領域の側部の退避位置との間で走行する。印字領域には、その印字領域内でのキャリッジ3の横行動作に同調して用紙を送るローラ23の設置されている領域が相当していて、その印字領域内の所定箇所がインクカートリッジ交換位置として定められている。また、退避位置には、キャリッジ3のホルダー部31に搭載されているインクカートリッジのインク吐出ヘッド(図に現れていない)などをクリーニングしたりするためのメンテナンスユニット24の設置箇所を含む位置が相当していて、キャリッジ3の初期位置(ホームポジション)がこの退避位置に定められている。
【0005】
上記キャリッジ3には、ホルダー部31に対して開閉回動される蓋体32が設けられている。そして、インクカートリッジを交換するときには、同図に示されたように、印字領域内の一箇所に定められたインクカートリッジ交換位置にキャリッジ3を移動させた後、蓋体32を上方へ開いてホルダー部31に対するインクカートリッジの着脱を行う。このインクカートリッジの交換作業は、ホルダー部31にインクカートリッジを装着した後、蓋体32を図示のように閉じることによって終了する。
【0006】
一方、上記筐体1は、その筐体壁12が、上記したカートリッジ交換位置と退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備されている。そして、この筐体壁12では、退避位置の全体を覆う覆壁部12aや印字領域の上部だけを部分的に覆ってその前部を開放している上壁部12bなどが合成樹脂で一体成形されている。そのうち、上壁部12bの形状は特に意匠的にデザイン化されている。また、筐体1には、アクセスカバーと呼ばれるカバー13が横軸回りに矢印aのように開閉可能に取り付けられていて、このカバー13を閉じると、カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが当該カバー13によって覆われ、このカバー13を開くと、図示のようにカートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが開放されてキャリッジ3に対するインクカートリッジの着脱操作をその開放部分を利用して行うことができるようになっている。
【0007】
図7は、図6のVII−VII線に沿う部分の拡大断面図である。同図のように、筐体壁12は、退避位置に沿う部分である覆壁部12aと印字領域に沿う部分である上壁部12bとの境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所イ及び上壁部12bとによって、図6に示したカバー13を閉時に収納する収納凹所14が形作られている。このように収納凹所14を筐体壁12に具備させておくと、閉時のカバー13がその収納凹所14に納まって印字装置の意匠に統一感などが付与される、などの利点がある。
【0008】
これに対し、上壁部12bが覆壁部12aと共に合成樹脂で一体成形されるため、所謂「ひけ」の発生を抑え得るなどの理由で上壁部12bと覆壁部12aの肉厚が同等に定められる。その結果、筐体壁12に上記収納凹所14を具備させて意匠性を高めると、上記屈曲箇所イにはどうしても図7に示した段付部15が備わるようになり、覆壁部12aの内部空間Sからその段付部15を見た場合には、その段付部15が覆壁部12aから下向きに突出した形態をとることになる。これに加えて、上壁部12bも意匠的にデザイン化されている。具体的には、上壁部12bにあっては、図6で判るように、筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)が、上記したカートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した湾曲形状を有している。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−253063号公報
【特許文献2】
特開2002−240250号公報
【特許文献3】
特開2003−11348号公報
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、図6又は図7で説明したような意匠的なデザインを筐体壁12に施した場合、次の問題点が知見された。
【0011】
すなわち、カートリッジ交換位置でキャリッジ3にインクカートリッジC(図7参照)を装着した後、蓋体32を閉め忘れる場合や、蓋体32が完全に閉まっていなかったような場合が起こり得る。これらの各場合には、キャリッジ3がキャリッジ横行路をカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行すると、開くことによって閉位置よりも上位に位置している蓋体32が、図7仮想線で示したように、カートリッジ交換位置から屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を持つ筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)と摺動して次第に開度を狭めながら段付部15に近付き、その後、キャリッジ3が退避位置に進入すると、蓋体32が図7矢印bのように段付部15をくぐり抜けて覆壁部12aの内部空間Sに入り込み、その開度を拡げるという事態が起こり得る。
【0012】
そして、このような事態が起こると、図7に実線で示したように、蓋体32の上端が段付部15の下端よりも上に位置するようになる。この状態で、退避位置から印字領域に向けてキャリッジ3が走行すると、蓋体32が段付部15と干渉してキャリッジ3の走行を阻害するので、キャリッジ3が印字領域に出られなくなり、印字領域での印字が不可能になるという事態に陥る。その上、筐体1では、覆壁部12aと上壁部12bとが一体成形されているため、上記のように蓋体32が開いたままのキャリッジ3が退避位置に進入してしまうと、筐体1を取り外すという印字装置の分解を行わなければ、蓋体32を閉じて印字に備えるという修復を行うことができなくなる。
【0013】
この点に関し、冒頭に掲げた特許文献2や特許文献3によって提案されている技術は、キャリッジの蓋体が開いたままになっていることをセンサーによって電気的に検出させ、蓋体が開いたままになっていることをセンサーが検出したときには、キャリッジが退避位置に進入しないように電動モータを制御するというものであるので、センサーが正常に働いていれば、蓋体32が開いたままキャリッジ3が退避位置に進入してしまうという事態を生じなくなるけれども、センサーやそのセンサーの検出信号を処理する制御部を必要とするので、制御に要する余分な部品が必要になって必要部品点数が増加したり組立工程が複雑化したりする。
【0014】
本考案は以上の状況の下でなされたものであり、蓋体が開いたままキャリッジがキャリッジ横行路をカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行した場合に、必要部品点数が増えたり組立工程が複雑化したりすることを回避しつつ、しかも、電気的制御によることなく、蓋体が開いたままキャリッジが退避位置に進入してしまうという事態を機械的に未然に防止することのできる印字装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る印字装置は、インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている。
【0016】
そして、上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備えている。
【0017】
この構成であると、蓋体が開いたままキャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行すると、開状態の蓋体がストッパに係合してキャリッジが退避位置に進入することを阻止するので、蓋体が開いたままのキャリッジが退避位置に進入してしまうと事態が起こらない。なお、蓋体が閉じているときには、蓋体がストッパに係合しないので、キャリッジがカートリッジ交換位置と退避位置との相互間で正常に走行する。
【0018】
本考案において、上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わっているものであってもよい。これによれば、冒頭で説明したことから判るように、筐体に意匠的なデザインを施しやすくなる。
【0019】
本考案において、上記筐体壁は、その前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当しているものであってもよく、これによっても、冒頭で説明したことから判るように、筐体に意匠的なデザインを施しやすくなる。
【0020】
本考案では、上記ストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形された突片でなることが望ましい。これによれば、ストッパを筐体とは別部品として構成する必要がないので、部品点数を増やさずに、しかも組立工程を複雑化させずに、蓋体が開いたままのキャリッジが退避位置に進入してしまうと事態の起こらない印字装置を提供することが可能になる。
【0021】
本考案に係る印字装置は、次の構成を採用することによっていっそう具体化される。すなわち、インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている印字装置において、上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わり、その筐体壁の前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当しており、上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備え、そのストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形され、かつ、上記キャリッジの走行によって上記蓋体が係合したときに曲り変形して衝撃を緩和する弾性を備えた突片でなる、という構成を採用することによっていっそう具体化され、併せて、図6や図7で説明した従来の印字装置の筐体に弾性を備えた突片でなるストッパを一体成形するだけで済む。
【0022】
【考案の実施の形態】
図1は本考案に係る印字装置の要部の正面図、図2は同要部の平面図、図3はキャリッジ3の側面図、さらに、図4は図7に相応する断面図、図5は突片の様々な形状を示した説明図である。
【0023】
この実施形態の印字装置は、筐体壁12の上壁部12bにストッパ5を設け、そのストッパ5により、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32が係合してそのキャリッジ3が退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体32には係合することなくそのキャリッジ3が退避位置に進入することを許容するようにした点が新しく、その余の点は、図6又は図7で説明した従来の印字装置と同様である。したがって、同一部分に同一符号を付してある。
【0024】
すなわち、図6で説明したように、筐体1の内部に配備されたガイドシャフト21やガイドレール22により案内されて横行動作を行うキャリッジ3が、図示してない電動モータを駆動源として、印字領域とその印字領域の側部の退避位置との間で走行し、印字領域には、用紙を送るローラ23の設置されている領域が相当し、その印字領域内の所定箇所がインクカートリッジ交換位置として定められ、退避位置には、メンテナンスユニット24の設置箇所を含む位置が相当していて、キャリッジ3の初期位置(ホームポジション)がこの退避位置に定められている。また、図3や図6のように、キャリッジ3にホルダー部31と蓋体32とが設けられていて、インクカートリッジCを交換するときには、図6に示したように、印字領域内の一箇所に定められたインクカートリッジ交換位置にキャリッジ3を移動させた後、図3仮想線のように蓋体32を上方へ開いてホルダー部31に対するインクカートリッジCの着脱を行う。インクカートリッジの交換作業は、ホルダー部31にインクカートリッジを装着した後、蓋体32を図3実線のように閉じることによって終了する。
【0025】
一方、筐体1の筐体壁12は、カートリッジ交換位置と退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備されていて、覆壁部12aと上壁部12bとが合成樹脂で一体成形されており、そのうちの上壁部12bの形状は特に意匠的にデザイン化されている。また、筐体1には図6に示したカバー13が横軸回りに矢印aのように開閉可能に取り付けられていて、このカバー13を閉じると、カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが当該カバー13によって覆われ、このカバー13を開くと、図示のようにカートリッジ交換位置でキャリッジ横行路の上部と前部とが開放されてキャリッジ3に対するインクカートリッジの着脱操作をその開放部分を利用して行うことができるようになっている。
【0026】
さらに、図4のように、筐体壁12は、覆壁部12aと上壁部12bとの境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所イと上壁部12bとによって、カバー13を閉時に収納する収納凹所14が形作られ、その結果として、屈曲箇所イには段付部15が備わり、覆壁部12aの内部空間Sからその段付部15を見た場合には、その段付部15が覆壁部12aから下向きに突出した形態をとっている。上壁部12bも意匠的にデザイン化されていて、筐体壁12の前縁部(上壁部12bの前縁部12b’)が、カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所イに近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した湾曲形状を有している。
【0027】
次に、図1、図2又は図4のように、上記ストッパ5は、上壁部12bの裏面側に一体成形された突片でなる。そして、このストッパ5が、上壁部12bの前縁部12b’の近傍箇所で下方に突き出ている。図3又は図4に説明的に示したように、ストッパ5の下端は、キャリッジ3がキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体32が係合してそのキャリッジ3が退避位置に進入することを阻止し得る位置であって、閉状態の蓋体32には係合することなくそのキャリッジ3が退避位置に進入することを許容する高さに位置している。なお、図4では、キャリッジ3が印字領域から退避位置に進入する際に、閉状態の蓋体32の上端が通過する経路を一点鎖線Yで示してある。
【0028】
こうしておくと、インクカートリッジCの交換後やその他のときにおいて、蓋体32が開いたままキャリッジ3がカートリッジ交換位置や印字領域から退避位置に向けて走行した場合には、キャリッジ3が退避位置に進入してしまう前に、開状態の蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3の走行が停止する。そのため、蓋体32が開いたままキャリッジ3が退避位置に進入してしまってその後の印字が不可能になったり、修復に筐体を分解しなければならないといった事態が起こらなくなる。
【0029】
なお、開状態の蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3の走行が停止した場合に、そのキャリッジ3の駆動源である電動モータに予期しない負荷の加わることも考えられるが、そのような事態は、キャリッジ3が停止することを条件にして電動モータを停止するような制御を行ったり、あるいは、キャリッジ3の退避位置に向かう一方向の走行が停止することを条件にして、キャリッジ3を逆向き走行させてカートリッジ交換位置まで戻すという制御を行ったりすることによって防止される。
【0030】
ストッパ5は、上壁部12bと一体成形されるものであるので、様々な形状を採用することが可能であり、その形状の幾つかを図5に示してある。同図(A)は、ストッパ5を形成している突片の形状を横断面コ字形にしたものであり、この形状であれば、蓋体32が矢印の方向から係合した場合に容易に欠損することがない。同図(B)のストッパ5を形成している突片は薄板片でなり、蓋体32が矢印の方向から係合した場合に曲り変形してその衝撃を緩和する弾性を備えている。同様に、同図(C)のストッパ5を形成している突片はJ字形に形成された薄板片でなり、蓋体32が矢印の方向から係合した場合には、その先端側部分が曲り変形してその衝撃を緩和する軟弾性を備えている。そして、同図(B)や同図(C)のように、キャリッジ3の走行によって蓋体32が係合したときに曲り変形して衝撃を緩和する弾性を備えた突片をストッパ5に採用すると、蓋体32がストッパ5に係合してキャリッジ3が走行中に停止した場合にキャリッジ3の駆動源である電動モータの受けるダメージが少なくなるので、ストッパ5に蓋体32を係合させてキャリッジ3の走行を停止させるという手段で退避位置へのキャリッジ3の進入を防いだとしても、電動モータの耐用寿命が短くなるということが起こりにくい。
【0031】
【考案の効果】
以上のように、本考案に係る印字装置は、蓋体が開いたままキャリッジがカートリッジ交換位置から退避位置に向けて走行した場合に、蓋体がストッパに係合してキャリッジが退避位置に進入してしまうという事態が防止されるので、蓋体が開いたままキャリッジが退避位置に進入してしまってその後の印字が不可能になったり、修復に筐体を分解しなければならないといった事態が起こらなくなる。しかも、必要部品点数が増えたり組立工程が複雑化したりすることがないという利点もある。したがって、インクカートリッジ交換後に蓋体を閉め忘れるようなことがあっても、蓋体を閉めなおして円滑に印字操作を続行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る印字装置の要部の正面図である。
【図2】同要部の平面図である。
【図3】キャリッジの側面図である。
【図4】作用を説明するための断面図である。
【図5】(A)は突片の形状を示した説明図、(B)は突片の他の形状を示した説明図、(C)は突片のさらに他の形状を示した説明図である。
【図6】従来の印字装置の概略斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
3 キャリッジ
5 ストッパ
12 筐体壁
12b’ 筐体壁の前縁部
13 カバー
14 収納凹所
15 段付部
32 蓋体
イ 屈曲箇所
C インクカートリッジ
Claims (5)
- インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、
カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている印字装置において、
上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わり、その筐体壁の前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当しており、
上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備え、
そのストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形され、かつ、上記キャリッジの走行によって上記蓋体が係合したときに曲り変形して衝撃を緩和する弾性を備えた突片でなることを特徴とする印字装置。 - インクカートリッジを搭載してカートリッジ交換位置と印字領域の側部の退避位置との間で電動モータを駆動源として横行動作を行うキャリッジと、上記カートリッジ交換位置と上記退避位置との間に亘るキャリッジ横行路に沿って配備された筐体壁と、閉時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を覆いかつ開時に上記カートリッジ交換位置でキャリッジ横行路を開放することによってキャリッジに対するインクカートリッジの着脱を可能にするカバーと、を備え、
カートリッジ交換位置では、上記キャリッジに設けられた蓋体を開いてキャリッジに対するインクカートリッジの着脱が行われ、かつ、キャリッジへのインクカートリッジの装着後に上記蓋体を閉じることによりインクカートリッジの交換が終了するようになっていて、上記筐体壁に開状態の上記蓋体を摺動させつつ上記キャリッジが走行して退避位置への進入が可能になっている印字装置において、
上記キャリッジがキャリッジ横行路を退避位置に向けて走行するときに、開状態の蓋体が係合してそのキャリッジが退避位置に進入することを阻止し、かつ、閉状態の蓋体には係合することなくそのキャリッジが退避位置に進入することを許容するストッパを備えていることを特徴とする印字装置。 - 上記筐体壁は、上記退避位置に沿う部分と上記印字領域に沿う部分との境界箇所が屈曲していて、その屈曲箇所と印字領域に沿う部分とによって上記カバーを閉時に収納する収納凹所が形作られ、かつ、その屈曲箇所に、開状態の上記蓋体に係合して退避位置から印字領域に向かうキャリッジの走行を阻害する段付部が備わっている請求項2に記載した印字装置。
- 上記筐体壁は、その前縁部が、上記カートリッジ交換位置で最も後方に位置し、そのカートリッジ交換位置から上記屈曲箇所に近付くにつれて漸次前方に迫り出しながら下向きに延び出した形状を有していると共に、この前縁部が、上記筐体壁に対する開状態の上記蓋体の摺動箇所に相当している請求項3に記載した印字装置。
- 上記ストッパが、上記筐体壁と共に合成樹脂で一体成形された突片でなる請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載した印字装置。
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JP2003002607U JP3097707U (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 印字装置 |
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JP2003002607U JP3097707U (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 印字装置 |
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JP3097707U true JP3097707U (ja) | 2004-02-05 |
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ID=41172147
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JP2003002607U Expired - Lifetime JP3097707U (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 印字装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3097707U (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010052218A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Seiko Epson Corp | 装置の開口部の開閉判定 |
JP2010052219A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Seiko Epson Corp | 装置の開口部の開閉判定 |
JP2010052216A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Seiko Epson Corp | 印刷装置および印刷装置における蓋体の開閉検出方法 |
JP2013099957A (ja) * | 2013-01-24 | 2013-05-23 | Seiko Epson Corp | 装置の開口部の開閉判定 |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003002607U patent/JP3097707U/ja not_active Expired - Lifetime
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